JP2013148462A - プローブ、プローブ製造用デバイス、及びプローブの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のナノチューブからなるナノチューブ束が強固に結合された高品質なプローブを容易且つ効率良く製造すること。
【解決手段】結合電極3に対して親和性を有する選択的結合性物質及びナノチューブを溶媒に混合させたナノチューブ分散液中において、複数の結合電極と共通配線部34との間に高周波電圧を印加してナノチューブを高周波泳動により移動させると共に、互いに向かい合った複数組の結合電極と対向電極32との間に該ナノチューブを架け渡すように結合させることでナノチューブ束4を形成するナノチューブ束形成工程を備え、該工程の際、制御素子40による計測によって把握されたナノチューブ束の形成状態が予め設定された状態に達した時点で該ナノチューブ束の形成プロセスを各別に停止させることを特徴とするプローブの製造方法。
【選択図】図8

Description

本発明は、ナノチューブが集合した(寄り集った)ナノチューブ束を具備するプローブ、該プローブを製造する際に用いられるプローブ製造用デバイス、及びプローブの製造方法に関するものである。
AFM(Atomic Force Microscope)等の走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)に好適に用いられるプローブとして、探針の先端にナノチューブを付着させたものが知られている。このプローブによれば、探針の先端を先鋭化させる場合よりも、より精密で高分解能の表面形状観察や様々な物性特性等を得ることが可能とされている(例えば、非特許文献1参照)。
ところで、カーボンナノチューブに代表されるナノチューブは、その名のとおりナノサイズであるため取り扱いが難しく、狙った位置に正確に付着させることが困難とされている。そこで、従来では以下の方法によりナノチューブを結合してプローブを製造することが知られている(例えば特許文献1〜3参照)。
まず、ナノチューブを分散させた溶液中に電極を対向配置させ、これら電極間に電圧を印加することでナノチューブを高周波泳動させる。すると、この高周波泳動によってナノチューブが溶液中を移動し、電極の先端縁に引き寄せられて次々と付着する。
次に、上記高周波泳動によって複数のナノチューブが付着した電極を、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)のチャンバー内にセットすると共に、該チャンバー内に先端に探針が形成されたカンチレバーもセットする。そして、走査型電子顕微鏡を操作し、電極の先端縁に付着した複数のナノチューブの中から選択した1本を、カンチレバーの探針の先端に移植させ、その先端に付着させる。これにより、ナノチューブを具備するプローブを得ることができる。
なお、ナノチューブを付着させるにあたって、例えば電流加熱による融着や、カーボン膜を被膜させること等も考えられている。
特開2000−227435号公報 特開2000−249712号公報 特開2009−58488号公報
菅原康弘、「STM及びAFM、原理と応用」、電子顕微鏡、2003年、第38巻、第1号、p.13−18
しかしながら、上記した従来の方法では、作業者が走査型電子顕微鏡を操作しながらナノチューブを1本ずつ探針の先端に移植させているので、繊細な作業を慎重且つ集中して長時間行う必要があり、作業者の肉体的、精神的負担が大きかった。そのため、作業効率が悪く、プローブの生産効率が悪かった。
また、生産の自動化が困難であるうえ、例えばマルチプローブを実現するといったことは実質的に不可能に近く、デバイスとして将来的な発展性に乏しいものであった。
更に、ナノチューブが十分に付着されていない場合もあり、品質にばらつきが生じ易かった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、複数のナノチューブからなるナノチューブ束が強固に結合された高品質なプローブを提供することである。また、該プローブを容易且つ効率良く製造することができ、生産性の向上化及び低コスト化に繋げることができると共に、マルチプローブへの応用も可能となり、デバイスとしての高機能化及び高性能化を図ることができるプローブの製造方法、プローブ製造用デバイスを提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るプローブは、一端部が自由端とされ、且つ他端部が片持ち支持されるプローブ基部と、前記プローブ基部の表面に形成され、該プローブ基部の前記他端部側から前記一端部まで延設された結合電極と、複数のナノチューブ同士が集合することで形成され、前記結合電極を介して前記プローブ基部の前記一端部に結合されたナノチューブ束と、を備え、前記ナノチューブ束は、その先端部が前記プローブ基部の前記一端部よりも外方に突出するように、その基端部が前記プローブ基部の前記一端部に結合され、前記ナノチューブ束と前記結合電極とは、該結合電極に対して親和性を有する選択的結合性物質を介してさらに化学的結合されていることを特徴とする。
本発明に係るプローブによれば、自由端とされているプローブ基部の一端部に、複数のナノチューブ同士が集合する(寄り集る)ことで形成されたナノチューブ束の基端部が結合電極を介して結合されており、該ナノチューブ束の先端部がプローブ基部の一端部よりも外方に突出している。従って、ナノチューブ束の微細な先端部を利用して、精密且つナノオーダーの高分解能で各種測定、例えばサンプルの表面形状観察や各種の物性情報(粘弾性等)の測定を行える。
特に、上記ナノチューブ束は結合電極に対して単に結合されているだけでなく、結合電極に対して親和性を有し、特異的に結合する選択的結合性物質を介して化学的結合されている。そのため、ナノチューブ束は、この選択的結合性物質によって補強された状態でプローブ基部の一端部に結合されている。従って、プローブ基部の一端部にナノチューブ束が強固に結合された高品質なプローブとすることができ、高剛性と高分解能とを両立させたプローブとすることができる。
(2)上記本発明に係るプローブにおいて、前記プローブ基部を複数備え、複数の前記プローブ基部の前記他端部を一体的に片持ち支持する共通のホルダ部を備えていることが好ましい。
この場合には、複数のプローブ基部の他端部が共通のホルダ部にそれぞれ片持ち支持されているので、マルチプローブデバイスとして利用でき、ナノチューブ束が結合されたプローブ基部を各別に利用して上記表面形状観察や物性特性等の測定を一度に多数箇所で行える。従って、デバイスとしての付加価値を高めることができる。
(3)本発明に係るプローブ製造用デバイスは、上記発明に係るプローブを製造する際に用いられるプローブ製造用デバイスであって、前記結合電極が形成された複数の前記プローブ基部のそれぞれに対して向かい合うように配設された複数の対向電極用基部を有する基板と、複数の対向電極用基部の表面にそれぞれ形成され、前記プローブ基部に形成された前記結合電極に対して向かい合う複数の対向電極と、前記基板の表面に形成され、複数の前記対向電極に対して導通する共通配線部と、前記結合電極に対して親和性を有する選択的結合性物質、及び前記ナノチューブを溶媒に混合させたナノチューブ分散液中において、複数の前記結合電極と前記共通配線部との間に高周波電圧を印加してナノチューブを高周波泳動により移動させると共に、互いに向かい合った複数組の前記結合電極と前記対向電極との間に該ナノチューブを架け渡すように結合させることで前記ナノチューブ束を形成させる電圧印加部と、を備え、前記基板には、前記複数の対向電極にそれぞれ接続され、前記ナノチューブ束の形成状態を電気的計測によって各別に把握すると共に、その形成状態が予め設定された状態に達した時点で該ナノチューブ束の形成プロセスを各別に停止させる制御素子が設けられていることを特徴とする。
本発明に係るプローブ製造用デバイスによれば、ナノチューブ分散液中において、基板に形成された共通配線部と複数の結合電極との間に電圧印加部を利用して高周波電圧を印加することができ、これによりナノチューブ分散液中のナノチューブを結合電極及び対向電極に向けて高周波泳動により移動させることができる。
この際、ナノチューブの両端部に電荷が局所的に集中し易いので、この両端部が結合電極及び対向電極に向いた状態に姿勢変化し易い。そのため、上記移動中、結合電極と対向電極とを結ぶ電界方向に沿ってナノチューブを配向させることができる。また、対向電極及び結合電極の互いに向かい合っている部分に電界が局所的に集中し易いので、高周波泳動したナノチューブはこれらの部分に対してそれぞれ両端部が付着して結合する。そして、このようにしてナノチューブが次々と結合することでナノチューブ束が形成される。その結果、互いに向かい合った複数組の結合電極と対向電極との間に、それぞれナノチューブ束を架け渡すように結合させることができる。
特に、上記ナノチューブ束は、結合電極に対して単に結合されているだけでなく、結合電極に対して親和性を有し、特異的に結合する選択的結合性物質を介して化学的結合される。そのため、この選択的結合性物質を利用して、ナノチューブ束を補強した状態で結合電極に結合させることができる。
これにより、例えば対向電極とナノチューブ束との結合を解いて両者を分離させる等することで、前述した剛性と高分解能とを両立させたプローブを得ることができる。
特に、高周波泳動を利用してナノチューブの向きを所望の向きに整えながら、結合電極を介してプローブ基部に結合させることができるので、従来の1本ずつ移植を行っていた方法とは異なり、作業者にかかる負担を軽減できると共に容易且つ効率良く製造することができる。従って、生産性の向上化及び低コスト化に繋げることができる。
また、高周波泳動させるだけで、選択的結合性物質を利用してナノチューブ束を補強する作業を同時に行えるので、工程を簡略化でき量産性に優れている。また、常温程度の温度環境で製造を行えるので、この点においても量産性に優れている。
更には、制御素子による電気的計測によってナノチューブ束の形成状態をそれぞれ正確に把握でき、その形成状態が予め設定された状態に達した時点でナノチューブ束の形成プロセスを各別に停止させることができる。従って、それぞれのナノチューブ束の成長具合のコントロールを正確に行うことができる。よって、品質のムラを抑制でき、所望のナノチューブ束を具備するプローブを効率良く製造することができる。また、ナノチューブ束の成長具合のコントロールを正確に行えるので、例えば感度の異なるプローブを同時に製造することも可能である。
(4)上記本発明に係るプローブ製造用デバイスにおいて、前記制御素子は、前記ナノチューブ束の電流値又は抵抗値を計測する計測プロセスを行う計測素子と、計測された前記電流値又は前記抵抗値が予め設定された閾値に達した際に、前記対向電極と前記共通配線部との導通を開放して前記形成プロセスを停止させるスイッチ素子と、を備えていることが好ましい。
この場合には、ナノチューブ束の電流値又は抵抗値を計測するので、ナノチューブ束の成長具合をより正確に把握し易い。従って、ナノチューブ束を狙い通りの形成状態に仕上げることができ、より高品質なプローブを得ることができる。
(5)上記本発明に係るプローブ製造用デバイスにおいて、前記スイッチ素子は、前記対向電極の接続を前記計測素子又は前記共通配線部に切り替え可能な素子であり、該切替を一定時間毎に行って前記形成プロセスと前記計測プロセスとを交互に行い、前記電流値又は前記抵抗値が前記閾値に達した時点で前記形成プロセスを停止させることが好ましい。
この場合には、ナノチューブ束の電流値又は抵抗値の計測と高周波電圧の印加とを一定時間毎に交互に行うので、ナノチューブ束の成長具合を小刻みに把握でき、狙い通りの形成状態にさらに正確に仕上げ易い。
(6)上記本発明に係るプローブの製造方法は、一端部が自由端とされ、且つ他端部が片持ち支持されるプローブ基部と、前記プローブ基部の表面に形成され、該プローブ基部の前記他端部側から前記一端部まで延設された結合電極と、複数のナノチューブ同士が集合することで形成され、前記結合電極を介して前記プローブ基部の前記一端部に結合されたナノチューブ束と、を備えるプローブを、同一の基板から一度に複数製造する方法であって、前記基板に、複数の前記プローブ基部を形成すると共に、これら複数のプローブ基部のそれぞれに対して向かい合うように複数の対向電極用基部を形成する基部形成工程と、前記プローブ基部の表面に前記結合電極を形成すると共に、前記対向電極用基部の表面に前記結合電極に対して向かい合う対向電極をそれぞれ形成し、且つ前記基板の表面にこれら複数の対向電極に対して導通する共通配線部を形成する電極形成工程と、前記基板に、前記複数の対向電極にそれぞれ接続され、前記ナノチューブ束の形成状態を電気的計測によって各別に把握する制御素子を形成する素子形成工程と、前記結合電極に対して親和性を有する選択的結合性物質、及び前記ナノチューブを溶媒に混合させたナノチューブ分散液中において、複数の前記結合電極と前記共通配線部との間に高周波電圧を印加してナノチューブを高周波泳動により移動させると共に、互いに向かい合った複数組の前記結合電極と前記対向電極との間に該ナノチューブを架け渡すように結合させることで前記ナノチューブ束を形成するナノチューブ束形成工程と、前記基板から複数の前記プローブ基部を分離させると共に、前記対向電極と前記ナノチューブ束との結合を解いて両者を分離させる分離工程と、を備え、前記ナノチューブ束形成工程の際、前記ナノチューブ束と前記結合電極とを、前記選択的結合性物質を介してさらに化学的結合させると共に、前記制御素子による計測によって把握された前記ナノチューブ束の形成状態が予め設定された状態に達した時点で該ナノチューブ束の形成プロセスを各別に停止させることを特徴とする。
本発明に係るプローブの製造方法によれば、基部形成工程、電極形成工程及び素子形成工程を経た後、ナノチューブ分散液中において、基板に形成された共通配線部と、複数の結合電極と、の間に高周波電圧を印加する。これにより、複数組の結合電極と対向電極との間に同時に高周波電圧を印加することができ、ナノチューブ分散液中のナノチューブを結合電極及び対向電極に向けて高周波泳動により移動させることができる。
この際、ナノチューブの両端部に電荷が局所的に集中し易いので、この両端部が結合電極及び対向電極に向いた状態に姿勢変化し易い。そのため、上記移動中、結合電極と対向電極とを結ぶ電界方向に沿ってナノチューブを配向させることができる。また、対向電極及び結合電極の互いに向かい合っている部分に電界が局所的に集中し易いので、高周波泳動したナノチューブはこれらの部分に対してそれぞれ両端部が付着して結合する。そして、このようにしてナノチューブが次々と結合することでナノチューブ束が形成される。その結果、互いに向かい合った複数組の結合電極と対向電極との間に、それぞれナノチューブ束を架け渡すように結合させることができる。
特に、上記ナノチューブ束は、結合電極に対して単に結合されているだけでなく、結合電極に対して親和性を有し、特異的に結合する選択的結合性物質を介して化学的結合される。そのため、この選択的結合性物質を利用して、ナノチューブ束を補強した状態で結合電極に結合させることができる。
そして、上記したナノチューブ束形成工程後、基板から複数のプローブ基部を分離させると共に、対向電極とナノチューブ束との結合を解いて両者を互いに分離させる分離工程を行う。
その結果、自由端とされているプローブ基部の一端部に、ナノチューブ束の基端部が結合電極を介して結合され、ナノチューブ束の先端部がプローブ基部の一端部よりも外方に突出したプローブを一度に効率良く複数製造することができる。しかも、ナノチューブ束をプローブ基部の一端部に強固に結合させた高品質なプローブを製造することができ、高剛性と高分解能とを両立させたプローブとすることができる。
特に、高周波泳動を利用してナノチューブの向きを所望の向きに整えながら、結合電極を介してプローブ基部に結合させることができるので、従来の1本ずつ移植を行っていた方法とは異なり、作業者にかかる負担を軽減できると共に容易且つ効率良く製造することができる。従って、生産性の向上化及び低コスト化に繋げることができる。
また、高周波泳動させるだけで、選択的結合性物質を利用してナノチューブ束を補強する作業を同時に行えるので、工程を簡略化でき量産性に優れている。また、常温程度の温度環境で製造を行えるので、この点においても量産性に優れている。
更には、ナノチューブ束形成工程の際に、制御素子による電気的計測によってナノチューブ束の形成状態をそれぞれ正確に把握でき、その形成状態が予め設定された状態に達した時点でナノチューブ束の形成プロセスを各別に停止させることができる。従って、単に複数のプローブを一度に製造するだけでなく、それぞれのナノチューブ束の成長具合のコントロールを正確に行うことができる。よって、品質のムラを抑制でき、所望のナノチューブ束を具備するプローブを効率良く製造することができる。
また、ナノチューブ束の成長具合のコントロールを正確に行えるので、例えば感度の異なるプローブを同時に製造することも可能である。
(7)上記本発明に係るプローブの製造方法において、前記制御素子は、前記ナノチューブ束の電流値又は抵抗値を計測することで前記ナノチューブ束の形成状態を把握し、前記ナノチューブ束形成工程の際、計測された前記電流値又は前記抵抗値が予め設定された閾値に達した際に、前記対向電極と前記共通配線部との導通を開放して前記形成プロセスを停止させることが好ましい。
この場合には、ナノチューブ束の電流値又は抵抗値を計測するので、ナノチューブ束の成長具合をより正確に把握し易い。従って、ナノチューブ束を狙い通りの形成状態に仕上げることができ、より高品質なプローブを得ることができる。
(8)上記本発明に係るプローブの製造方法において、前記ナノチューブ束形成工程の際、前記計測と前記高周波電圧の印加とを一定時間毎に交互に行い、前記電流値又は前記抵抗値が前記閾値に達した時点で前記形成プロセスを停止させることが好ましい。
この場合には、ナノチューブ束の電流値又は抵抗値の計測と高周波電圧の印加とを一定時間毎に交互に行うので、ナノチューブ束の成長具合を小刻みに把握でき、狙い通りの形成状態にさらに正確に仕上げ易い。
(9)上記本発明に係るプローブの製造方法において、前記分離工程の際、複数の前記プローブ基部の前記他端部を共通のホルダ部で一体的に片持ち支持した状態で分離させることが好ましい。
この場合には、マルチプローブデバイスとして利用することができ、ナノチューブ束が結合されたプローブ基部を各別に利用して上記表面形状観察や物性特性等の測定を一度に多数箇所で行える。従って、デバイスとしての付加価値を高めることができる。
本発明によれば、ナノチューブ束が結合電極を介してプローブ基部に強固に結合された高品質なプローブを得ることができると共に、該プローブを容易且つ効率良く製造することができ、生産性の向上化及び低コスト化に繋げることができる。
本発明に係る実施形態を示す図であって、プローブの外観斜視図である。 図1に示すプローブのナノチューブ束の基端部を拡大した斜視図である。 図1に示すプローブを具備するプローブ顕微鏡の簡略構成図である。 図1に示すプローブを製造する際の一工程図であって、基板を加工して、結合電極が形成されたプローブ基部、結合電極が形成された対向電極用基部、及び制御素子等を形成した状態を示す図である。 図4に示す制御素子の構成図である。 図4に示す基板をナノチューブ分散液中に浸漬させた状態を示す図である。 図6に示す状態から、結合電極と対向電極との間に高周波電圧を印加して、カーボンナノチューブを高周波泳動させている状態を示す図である。 高周波電圧の印加によって、複数のプローブ基部上の結合電極と、複数の対向電極用基部上の対向電極と、の間にナノチューブ束が形成された状態を示す図である。 図5に示す制御素子におけるスイッチ素子が作動して、ナノチューブ束の形成プロセスを停止させた状態を示す図である。 図5に示す制御素子の変形例を示す図であって、スイッチ素子が泳動回路側に切り替わり、ナノチューブ束の形成プロセスを行っている状態を示す図である。 図10に示すスイッチ素子が計測回路側に切り替わり、ナノチューブ束を流れる電流値の計測を行う計測プロセスを行っている状態を示す図である。 本発明に係るプローブの変形例を示す図であって、プローブ基部を複数具備するプローブの外観斜視図である。 図12に示すプローブを具備するプローブ顕微鏡の簡略構成図である。 図12に示すプローブの変形例を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
(プローブの構成)
本実施形態のプローブ1は、図1に示すように、プローブ基部2と、該プローブ基部2の主面(表面)2aに形成された結合電極3と、該結合電極3を介してプローブ基部2に結合されたナノチューブ束4と、を備えている。
プローブ基部2は、例えば一定の厚みを有する基板から形成された板片であり、一端部2bが自由端とされ、且つ他端部2cが片持ち支持される部材とされている。図示の例では、他端部2cから一端部2bに向けう延在方向L1に沿って一定幅Wで延在する略直方体状に形成されている。
なお、上記基板としては、例えばシリコン(ケイ素)ウエハや、表面に酸化膜又は窒化膜が形成されたシリコンウエハや、ガラスウエハ等が挙げられる。
結合電極3は、プローブ基部2の他端部2c側から一端部2bまで延設された帯状の電極であり、蒸着法やスパッタリング法等によりプローブ基部2の主面2a上における幅方向中央部に形成されている。この結合電極3としては、例えば金(Au)やクロム(Cr)等からなる金属膜、又は酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)、酸化インジウム(In)等の導電性を有する金属化合物膜等である。
ナノチューブ束4は、図1及び図2に示すように、複数のカーボンナノチューブ(ナノチューブ)10同士が寄り集ることで束状(バンドル状)に形成されたカーボンナノチューブ10の集合体であり、結合電極3を介してプローブ基部2の自由端である一端部2bに結合されている。
このナノチューブ束4は、基端部4aから先端部4bに向かうにしたがって漸次先鋭化するように形成されており、その先端部4bがプローブ基部2の一端部2bよりも外方に突出するように、その基端部4aが結合電極3を介してプローブ基部2の一端部2bに結合されている。
なお、本実施形態のナノチューブ束4は、プローブ基部2の延在方向L1に沿って平行に配向されている。
ところで、ナノチューブ束4と結合電極3とは、単に結合しているだけでなく、選択的結合性物質を介してさらに化学的結合されている。
上記選択的結合性物質としては、例えばアミノ酸の集合体である合成ペプチドであり、より具体的には、結合電極3として用いた金属膜又は金属化合物膜に対して親和性を有する配列のペプチドである。なお、本実施形態では、結合電極3に対してだけでなく、カーボンナノチューブ10に対しても親和性を有し、両者に特異的に結合する特性を有する2重特異性のペプチド11とされている。
これにより、ナノチューブ束4と結合電極3とは、上記したようにペプチド11を介して化学的結合されており、結合が補強されている。また、カーボンナノチューブ10がペプチド11によって修飾されているので、ペプチド11を介して複数のカーボンナノチューブ10同士がより密に結びついて一体化し易い。そのため、ナノチューブ束4自体の剛性を高めることができる。
なお、通常ペプチドはアミノ酸の種類とその配列によって決定されるものであるが、本実施形態のペプチド11としては、カーボンナノチューブ10及び結合電極3に対してそれぞれ特異的に結合する(2重特異性を有する)ものを採用すれば良い。このようなペプチド11としては、以下の方法で見つけ出すことが可能である。
特定の材料表面やカーボンナノチューブ10等のナノ粒子に特異的結合性を有する結合分子(ペプチド)の探索及び合成においては、ファージディスプレイ法を応用したペプチド分子ライブラリ(又はペプチド提示ファージライブラリ)を用いる。これは、進化分子工学による分子設計法としても知られている。
ランダムなアミノ酸配列を有するペプチド分子を提示した(組み込んだ)バクテリオファージの集合体(ファージライブラリ)に、結合を目的とするターゲット粒子(材料又はナノチューブ等)を添加し、ターゲットに結合したファージのみを比重などで分離・抽出し、これを複製することにより、ターゲットに特異的に結合するペプチドの配列を見いだすことができる。
この方法で、ナノチューブと金属や金属化合物であるプローブ材質に特異的に結合するペプチド配列をそれぞれ見いだし、それらを化学的又は遺伝子工学的手法等により接続・合成することで2重特異性結合分子を作り出すことができる。その結果、ペプチド修飾されたカーボンナノチューブを製造することが可能とされている。
(プローブの作用)
上記のように構成されたプローブ1を利用して、プローブ顕微鏡装置を構成する場合について説明する。
図3に示すように、プローブ顕微鏡装置20は、XYステージ21と、該XYステージ21上にセットされた試料台22と、この試料台22の上方に配設されたプローブ1と、を備えている。
プローブ1は、ナノチューブ束4の先端部4bが試料台22側を向くように下向きに配設されている。また、プローブ1と試料台22とは、相対的に接近離間可能に配設されている。これにより、ナノチューブ束4の先端部4bを試料台22にセットされた図示しない観察試料に対して接触させながら、XYステージ21の作動により観察試料上を走査することが可能とされている。
そして、上記走査時における、ナノチューブ束4の挙動変化又はプローブ基部2の挙動変化等に基づいて、観察試料の表面形状観察等の計測を行うことができる。
特に、本実施形態のプローブ1は、複数のカーボンナノチューブ10同士が集合することで形成されたナノチューブ束4を具備するプローブであり、しかもこのナノチューブ束4は、基端部4aから先端部4bに向かうにしたがって漸次先鋭化している。従って、この先鋭化されたナノチューブ束4の微細な先端部4bを利用して、上記計測を精密且つナノオーダーの高分解能で行える。
しかもナノチューブ束4は、単に結合されているだけでなく、カーボンナノチューブ10及び結合電極3の両者に対してそれぞれ特異的に結合するペプチド11を介して化学的結合されている。そのため、ナノチューブ束4は、ペプチド11によって補強された状態でプローブ基部2の一端部2bに結合されている。加えて、ナノチューブ束4は、上記したように、先端部4bに向かうにしたがって漸次先鋭化されているので、基端部4aについては先端部4bよりも幅広とされ、帯状の結合電極3に対して線接触し、十分な接触面積を持って強固に結合している。
これらのことから、プローブ基部2の一端部2bにナノチューブ束4が強固に結合された高品質なプローブ1とすることができると共に、プローブ1が測定試料をスキャンするときの変形が小さいため、高剛性と高分解能とを両立させたプローブ1とすることができる。その結果、上述した観察試料の計測を安定して行うことができ、その計測結果の信頼性の向上に繋げることができる。
(プローブの製造方法)
次に、上記したプローブ1の製造方法について、以下に説明する。
なお、本実施形態では、シリコンウエハを基板として用い、該基板を利用したプローブ製造用デバイスを用いて、プローブ1を一度に複数製造する場合を説明する。
はじめに、図4に示すように、一般的なフォトリソグラフィ技術やエッチング加工技術を利用した半導体プロセスやMEMSプロセス等により、基板30の主面(表面)30aを部分的に掘り下げ加工し、複数のプローブ基部2を形成すると共に、これら複数のプローブ基部2のそれぞれに対して一定の間隔を開けて向かい合うように対向電極用基部31を形成する基部形成工程を行う。
なお、対向電極用基部31は、後述する対向電極32を支持する土台部であり、プローブ基部2の一端部2bに向けて先鋭化するように形成する。また、上記間隔はナノチューブ束4の長さに相当する。
次いで、蒸着又はスパッタリング等によって、複数のプローブ基部2の主面2aに帯状の結合電極3を形成すると共に、対向電極用基部31の主面(表面)31aに結合電極3に対して向かい合う対向電極32を形成する電極形成工程を行う。
この際、結合電極3及び対向電極31の材質としては、結合電極3に対するペプチド11の親和性が、対向電極31に対するペプチド11の親和性よりも高くなるように、各々の金属材料を選択することが好ましい。例えば、クロムと親和性を有するペプチド11を用いた場合、結合電極3としてクロムを用い、対向電極31としてアルミニウム、チタン、または金/ニッケルなどを用いる組み合わせが挙げられる。なお、例えば、チタンと親和性を有するペプチド11を用いた場合、結合電極3としてチタンを用い、対向電極31としてアルミニウム、クロム、または金/ニッケルなどを用いる組み合わせとなる。また、対向電極用基部31は先鋭化しているので、対向電極32についても同様に先鋭化させることができ、対向電極用基部31の主面31a上に先鋭部32aを有する対向電極32が形成された状態となる。
また、上記電極形成工程時、基板30の主面30aに複数の結合電極3に対して導通する共通配線部33を形成すると共に、複数の対向電極32に対して導通する共通配線部34を同時に形成する。
上記した一方の共通配線部33は、基板30の外縁部まで延在している。また、他方の共通配線部34は、泳動用配線部35及び計測用配線部36で構成され、互いに非導通状態で基板30の外縁部まで延在している。
なお、基板30を掘り下げ加工してプローブ基部2及び対向電極用基部31を形成した後、結合電極3及び対向電極32を形成したが、この場合に限定されるものではなく、先に結合電極3及び対向電極32を形成し、その後、基板30を掘り下げ加工してプローブ基部2及び対向電極用基部31を形成しても構わない。
次いで、基板30に、複数の対向電極32に対してそれぞれ接続され、ナノチューブ束4の形成状態を電気的計測によって各別に把握する制御素子40を形成する素子形成工程を行う。
本実施形態の制御素子40は、例えばMEMSプロセス等により基板30に作り込み可能な素子であって、図5に示すように、ナノチューブ束4を流れる電流値を計測する計測素子41と、計測された電流値が予め設定された閾値に達した際に、対向電極32と共通配線部34における泳動用配線部35との導通を開放してナノチューブ束4の形成プロセスを停止させるスイッチ素子42と、で構成される。
計測素子41は、共通配線部34における計測用配線部36に接続されており、計測した上記電流値が閾値に達するとスイッチ素子42に対して開信号Sを出力する。スイッチ素子42は、例えば電磁素子や半導体素子であって、上記開信号Sを受けて対向電極32と泳動用配線部35との回路を開放するように作動する。
次いで、ナノチューブ分散液中において、複数の結合電極3と複数の対向電極32との間に高周波電圧を印加して、ナノチューブ束4を形成するナノチューブ束形成工程を行う。
詳細には、図6に示すように、まず一方の共通配線部33と他方の共通配線部34における泳動用配線部35との間に高周波電源(電圧印加部)45を接続すると共に、一方の共通配線部33と他方の共通配線部34における計測用配線部36との間に計測用電源46を接続する。
なお、上記した対向電極用基部31を有する基板30、対向電極32、共通配線部34、制御素子40は、プローブ製造用デバイス5として機能する。
次いで、カーボンナノチューブ10及びペプチド11が水系溶媒又は有機溶媒(アルコール類等)に予め混合されたナノチューブ分散液W中に、上記基板30を浸漬させる。
なお、図中では、ナノチューブ分散液W中のペプチド11及びカーボンナノチューブ10の図示を省略している。
ところで、ペプチド11はカーボンナノチューブ10に対して親和性を有しているので、該カーボンナノチューブ10の全体にムラなく特異的に化学的結合する。これにより、ナノチューブ分散液W中にはペプチド11が化学的結合された(修飾された)カーボンナノチューブ10が均一に分散された状態とされている。
なお、カーボンナノチューブ10を単に溶液に混入させた場合には、カーボンナノチューブ10同士がくっ付き合い易く(絡まり易く)なることが一般的に知られており、これにより溶液中に均一に分散されない恐れがある。その対策として、溶液に分散剤や界面活性剤等を入れておく等の処置を行う場合が多い。
これに対して本実施形態の場合には、ペプチド11がカーボンナノチューブ10に対して速やかに且つムラなく化学的結合するので、カーボンナノチューブ10同士のくっ付き合いを抑制することができ、上記界面活性剤等と同様の働きをさせることができる。従って、界面活性剤等を入れる手間や、その管理に係る手間を省略することができる。
そして、基板30をナノチューブ分散液W中に浸漬させた後、上記高周波電源45により、一方の共通配線部33と他方の共通配線部34における泳動用配線部35との間に高周波電圧を印加する。これにより、複数組の結合電極3と対向電極32との間に高周波電圧を印加することができ、図7に示すようにペプチド11が化学的結合されたカーボンナノチューブ10を、結合電極3及び対向電極32に向けて高周波泳動により移動させることができる。
この際、カーボンナノチューブ10の両端部に電荷が局所的に集中し易いので、該両端部が結合電極3及び対向電極32の先鋭部32aに向いた状態に姿勢変化し易い。従って、上記移動中、結合電極3と対向電極32の先鋭部32aとを結ぶ電界方向(図7に示す矢印V方向)に沿ってカーボンナノチューブ10を配向させることができる。
また、対向電極32の先鋭部32aと、帯状の結合電極3のうち対向電極32に向かい合う部分と、に電界が局所的に集中し易いので、高周波泳動したカーボンナノチューブ10はこれら結合電極3と対向電極32の先鋭部32aとに対して上記配向状態を維持したまま、それぞれ両端部が付着して結合する。
そして、このようにしてカーボンナノチューブ10が次々と結合することで、図8に示すように、ナノチューブ束4が形成されると共に、互いに向かい合った複数組の結合電極3と対向電極32との間に、それぞれナノチューブ束4を架け渡すように結合させることができる。
この時点で、ナノチューブ束形成工程が終了する。なお、図8では、ナノチューブ分散液Wの図示を省略している。
特に、帯状の結合電極3と対向電極32の先鋭部32aとの間にナノチューブ束4を形成するので、両電極3、32の形状の違いから、ナノチューブ束4を対向電極32に向かうにしたがって漸次先鋭化した形状とすることができる。そのため、ナノチューブ束4は、対向電極32の先鋭部32aに対しては点接触した状態で結合され、帯状の結合電極3に対しては線接触させ、十分な接触面積をもって強固に結合させることができる。
また、ナノチューブ束4は、結合電極3に単に結合されているだけでなく、結合電極3に対して親和性を有し、特異的に結合するペプチド11を介して化学的結合される。そのため、このペプチド11を利用して、ナノチューブ束4を補強した状態で結合電極3に結合させることができる。
次いで、ナノチューブ束4の形成後、基板30から複数のプローブ基部2を分離させると共に、対向電極32とナノチューブ束4との結合を解いて両者を互いに分離させる分離工程を行う。
詳細には、基板30をナノチューブ分散液Wから引き上げ、洗浄及び乾燥させた後、基板30から複数のプローブ基部2を完全に切り出して、これら複数のプローブ基部2を基板30から分離させる。
なお、プローブ基部2の切り出しは、例えばエッチング法又はダイシング法で行えば良い。これにより、相対的にプローブ基部2から対向電極32が離間し、対向電極32の先鋭部32aとナノチューブ束4との結合が切り離される。
特に、上記切り離しの際、対向電極32の先鋭部32aとナノチューブ束4とは、上記したように点接触した状態で結合されているだけであるので、ナノチューブ束4に負荷を掛けることなく上記分離を容易に行い易い。しかも、対向電極32は、ペプチド11に対する結合電極3の親和性よりも低い親和性を有する材質で形成されているので、ペプチド11による結合力の影響を受け難い。よって、この点においても上記分離を容易に行うことができる。
そして、この分離工程を行った結果、図1に示すプローブ1を一度に効率良く製造することができる。
上記したプローブ製造用デバイス5を利用した製造方法によれば、高周波泳動を利用してカーボンナノチューブ10の向きを所望の向きに整えながら、結合電極3を介してプローブ基部2に結合させることができるので、従来の1本ずつ移植を行っていた方法とは異なり、作業者にかかる負担を軽減できると共に容易且つ効率良く製造することができる。従って、生産性の向上化及び低コスト化に繋げることができる。
また、高周波泳動させるだけで、ペプチド11を利用してナノチューブ束4を補強する作業を同時に行えるので、工程を簡略化でき量産性に優れている。更に、常温程度の温度環境で製造を行えるので、この点においても量産性に優れている。
更に、本実施形態ではナノチューブ束形成工程の際、制御素子40の計測素子41がナノチューブ束4を流れる電流値に基づいてナノチューブ束4の形成状態、即ち成長具合を把握している。そして、計測素子41は、計測した電流値が閾値に達すると、ナノチューブ束4が所望の状態に成長したと判断して、スイッチ素子42に対して開信号Sを出力する。するとスイッチ素子42は、これを受けて図9に示すように対向電極32と泳動用配線部35との導通を開放してナノチューブ束4の形成プロセスを各別に停止させる。
従って、それぞれのナノチューブ束4の成長具合のコントロールを正確に行うことができる。よって、単に複数のプローブ1を一度に製造するだけでなく、各プローブ1の品質のムラを抑制でき、所望のナノチューブ束4を具備するプローブ1を効率良く製造することができる。
特に、本実施形態では、ナノチューブ束4の電流値を計測するので、ナノチューブ束4の成長具合をより正確に把握し易い。従って、ナノチューブ束4を狙い通りの形成状態(直径等のサイズや形状等)に仕上げることができ、より高品質なプローブ1を得ることができる。
なお、ナノチューブ束4の成長具合のコントロールを正確に行えるので、例えばそれぞれ感度の異なるプローブ1を一度に複数製造するといったことも可能である。
なお、上記実施形態における製造方法では、ナノチューブ束4に流れる電流値を計測素子41で計測する構成としたが、この場合に限られず、例えばナノチューブ束4の抵抗値を計測するように構成しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏効することができる。なお、この場合には、計測した抵抗値が予め設定された閾値に達した時点で、計測素子41がスイッチ素子42に対して開信号Sを出力するように構成すれば構わない。
また、制御素子40としては、必ずしも計測素子41及びスイッチ素子42を具備する構成に限定されるものではなく、ナノチューブ束4の形成状態を電気的計測によって各別に把握でき、その形成状態が予め設定された状態に達した時点でナノチューブ束4の形成プロセスを停止できれば良い。例えば、ナノチューブ束4に流れる電流の電流値が予め設定された閾値に達した時点で、対向電極32と泳動用配線部35との接続を切断するヒューズを制御素子としても構わない。
更に、上記実施形態において、図10及び図11に示すようにスイッチ素子42として、対向電極32の接続を、計測素子41又は泳動用配線部35に切り替え可能な素子を採用し、該切り替えを一定時間毎に行って、ナノチューブ束4を形成する形成プロセスと計測素子41による計測プロセスとを交互に行うように構成しても構わない。
この場合には、スイッチ素子42を図10に示す泳動回路側にして高周波電圧を印加する形成プロセス(泳動モード)を一定時間行った後、スイッチ素子42を図11に示す計測回路側に切り替えて、電流値の計測を行う計測プロセス(計測モード)を一定時間行う。そして、スイッチ素子42による切り替えによって計測プロセスと計測プロセスとを交互に行いながら、電流値が閾値に達した時点で計測プロセスを停止させれば良い。
この場合であっても同様の作用効果を奏効することができる。特に、この場合には、ナノチューブ束4の成長具合を小刻みに把握できるので、ナノチューブ束4を狙い通りの形成状態により正確に仕上げ易い。
また、上記実施形態において、図12に示すようにプローブ基部2を複数備え、これら複数のプローブ基部2の他端部2cを共通のホルダ部51で一体的に片持ち支持したプローブ50としても構わない。
この場合には、プローブ50をマルチプローブデバイスとして利用でき、図13に示すように、各プローブ基部2のナノチューブ束4をそれぞれ利用して、試料台22上にセットされた観察試料の表面形状観察等の計測を一度に多数箇所で行える。従って、デバイスとしての付加価値を高めることができる。
特に、プローブ基部2の数が増えたとしても、高周波泳動により各プローブ基部2に対して、結合電極3を介してナノチューブ束4を容易且つ同時に結合させることができるので、やはり効率良く製造でき、量産性に優れている。
しかも、本実施形態の製造方法によれば、各プローブ基部2におけるナノチューブ束4の成長具合をコントロールできるので、例えば各プローブ基部2の感度を均一にしたプローブ50とすることが可能である。
なお、この場合には、上記した製造方法における分離工程時に、複数のプローブ基部2の他端部2cを共通のホルダ部51で一体的に片持ちした状態で基板30から分離させれば良い。よって、ホルダ部51には、各プローブ基部2の結合電極3に導通する共通配線部33が形成される。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、ナノチューブとしてカーボンナノチューブ10を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えばBCN(炭窒化ホウ素)系ナノチューブや、BN(窒化・ホウ素)系ナノチューブ等の一般的なナノチューブでも構わない。この場合、これらのナノチューブに応じて、特異性を有するペプチド11を採用すれば良い。
また、上記実施形態では、選択的結合性物質としてペプチド11を用いたが、ペプチド11以外のものを採用しても構わない。また、ペプチド11を利用した場合、必ずしも2重特異性を有する必要はなく、少なくとも結合電極3に対して親和性を有するものであれば構わない。但し、結合電極3及びカーボンナノチューブ10の両者に対して親和性を有する2重特異性のものがより好ましい。
また、上記実施形態では、結合電極3と対向電極32との形状の違いを利用して、ナノチューブ束4が基端部4aから先端部4bに向けて漸次先鋭化するように形成したが、この場合に限定されるものではなく、同じ直径で略ストレート状に延びるようにナノチューブ束4を形成しても構わない。例えば、図14に示すように、対向電極32の先鋭部32aに対応させるために、プローブ基部2の一端部2b側及び結合電極3を先鋭化させ、それによって略ストレート状のナノチューブ束4を結合させたプローブ50(マルチプローブデバイス)としても構わない。
W…ナノチューブ分散液
1、50…プローブ
2…プローブ基部
2a…プローブ基部の主面(表面)
2b…プローブ基部の一端部
2c…プローブ基部の他端部
3…結合電極
4…ナノチューブ束
5…プローブ製造用デバイス
10…カーボンナノチューブ(ナノチューブ)
11…ペプチド(選択的結合性物質)
30…基板
31…対向電極用基部
32…対向電極
34…共通配線部
40…制御素子
41…計測素子
42…スイッチ素子
45…高周波電源(電圧印加部)
51…ホルダ部

Claims (9)

  1. 一端部が自由端とされ、且つ他端部が片持ち支持されるプローブ基部と、
    前記プローブ基部の表面に形成され、該プローブ基部の前記他端部側から前記一端部まで延設された結合電極と、
    複数のナノチューブ同士が集合することで形成され、前記結合電極を介して前記プローブ基部の前記一端部に結合されたナノチューブ束と、を備え、
    前記ナノチューブ束は、
    その先端部が前記プローブ基部の前記一端部よりも外方に突出するように、その基端部が前記プローブ基部の前記一端部に結合され、
    前記ナノチューブ束と前記結合電極とは、
    該結合電極に対して親和性を有する選択的結合性物質を介してさらに化学的結合されていることを特徴とするプローブ。
  2. 請求項1に記載のプローブにおいて、
    前記プローブ基部を複数備え、
    複数の前記プローブ基部の前記他端部を一体的に片持ち支持する共通のホルダ部を備えていることを特徴とするプローブ。
  3. 請求項1に記載のプローブを製造する際に用いられるプローブ製造用デバイスであって、
    前記結合電極が形成された複数の前記プローブ基部のそれぞれに対して向かい合うように配設された複数の対向電極用基部を有する基板と、
    複数の対向電極用基部の表面にそれぞれ形成され、前記プローブ基部に形成された前記結合電極に対して向かい合う複数の対向電極と、
    前記基板の表面に形成され、複数の前記対向電極に対して導通する共通配線部と、
    前記結合電極に対して親和性を有する選択的結合性物質、及び前記ナノチューブを溶媒に混合させたナノチューブ分散液中において、複数の前記結合電極と前記共通配線部との間に高周波電圧を印加してナノチューブを高周波泳動により移動させると共に、互いに向かい合った複数組の前記結合電極と前記対向電極との間に該ナノチューブを架け渡すように結合させることで前記ナノチューブ束を形成させる電圧印加部と、を備え、
    前記基板には、前記複数の対向電極にそれぞれ接続され、前記ナノチューブ束の形成状態を電気的計測によって各別に把握すると共に、その形成状態が予め設定された状態に達した時点で該ナノチューブ束の形成プロセスを各別に停止させる制御素子が設けられていることを特徴とするプローブ製造用デバイス。
  4. 請求項3に記載のプローブ製造用デバイスにおいて、
    前記制御素子は、
    前記ナノチューブ束の電流値又は抵抗値を計測する計測プロセスを行う計測素子と、
    計測された前記電流値又は前記抵抗値が予め設定された閾値に達した際に、前記対向電極と前記共通配線部との導通を開放して前記形成プロセスを停止させるスイッチ素子と、を備えていることを特徴とするプローブ製造用デバイス。
  5. 請求項4に記載のプローブ製造用デバイスにおいて、
    前記スイッチ素子は、
    前記対向電極の接続を前記計測素子又は前記共通配線部に切り替え可能な素子であり、該切替を一定時間毎に行って前記形成プロセスと前記計測プロセスとを交互に行い、前記電流値又は前記抵抗値が前記閾値に達した時点で前記形成プロセスを停止させることを特徴とするプローブ製造用デバイス。
  6. 一端部が自由端とされ、且つ他端部が片持ち支持されるプローブ基部と、前記プローブ基部の表面に形成され、該プローブ基部の前記他端部側から前記一端部まで延設された結合電極と、複数のナノチューブ同士が集合することで形成され、前記結合電極を介して前記プローブ基部の前記一端部に結合されたナノチューブ束と、を備えるプローブを、同一の基板から一度に複数製造する方法であって、
    前記基板に、複数の前記プローブ基部を形成すると共に、これら複数のプローブ基部のそれぞれに対して向かい合うように複数の対向電極用基部を形成する基部形成工程と、
    前記プローブ基部の表面に前記結合電極を形成すると共に、前記対向電極用基部の表面に前記結合電極に対して向かい合う対向電極をそれぞれ形成し、且つ前記基板の表面にこれら複数の対向電極に対して導通する共通配線部を形成する電極形成工程と、
    前記基板に、前記複数の対向電極にそれぞれ接続され、前記ナノチューブ束の形成状態を電気的計測によって各別に把握する制御素子を形成する素子形成工程と、
    前記結合電極に対して親和性を有する選択的結合性物質、及び前記ナノチューブを溶媒に混合させたナノチューブ分散液中において、複数の前記結合電極と前記共通配線部との間に高周波電圧を印加してナノチューブを高周波泳動により移動させると共に、互いに向かい合った複数組の前記結合電極と前記対向電極との間に該ナノチューブを架け渡すように結合させることで前記ナノチューブ束を形成するナノチューブ束形成工程と、
    前記基板から複数の前記プローブ基部を分離させると共に、前記対向電極と前記ナノチューブ束との結合を解いて両者を分離させる分離工程と、を備え、
    前記ナノチューブ束形成工程の際、
    前記ナノチューブ束と前記結合電極とを、前記選択的結合性物質を介してさらに化学的結合させると共に、前記制御素子による計測によって把握された前記ナノチューブ束の形成状態が予め設定された状態に達した時点で該ナノチューブ束の形成プロセスを各別に停止させることを特徴とするプローブの製造方法。
  7. 請求項6に記載のプローブの製造方法において、
    前記制御素子は、前記ナノチューブ束の電流値又は抵抗値を計測することで前記ナノチューブ束の形成状態を把握し、
    前記ナノチューブ束形成工程の際、計測された前記電流値又は前記抵抗値が予め設定された閾値に達した際に、前記対向電極と前記共通配線部との導通を開放して前記形成プロセスを停止させることを特徴とするプローブの製造方法。
  8. 請求項7に記載のプローブの製造方法において、
    前記ナノチューブ束形成工程の際、前記計測と前記高周波電圧の印加とを一定時間毎に交互に行い、前記電流値又は前記抵抗値が前記閾値に達した時点で前記形成プロセスを停止させることを特徴とするプローブの製造方法。
  9. 請求項6から8のいずれか1項に記載のプローブの製造方法において、
    前記分離工程の際、複数の前記プローブ基部の前記他端部を共通のホルダ部で一体的に片持ち支持した状態で分離させることを特徴とするプローブの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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