JP2013145815A - 多層配線基板とその製造方法 - Google Patents

多層配線基板とその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013145815A
JP2013145815A JP2012005793A JP2012005793A JP2013145815A JP 2013145815 A JP2013145815 A JP 2013145815A JP 2012005793 A JP2012005793 A JP 2012005793A JP 2012005793 A JP2012005793 A JP 2012005793A JP 2013145815 A JP2013145815 A JP 2013145815A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
metal region
core
resin
copper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012005793A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiko Honjo
和彦 本城
Akihito Iwasaki
亮人 岩崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2012005793A priority Critical patent/JP2013145815A/ja
Publication of JP2013145815A publication Critical patent/JP2013145815A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)

Abstract

【課題】銅粉と半田粉とを有する導電ペーストをビアホール導体に用いた多層配線基板において、ビア抵抗の低抵抗化や、ビア部分の高強度化が求められていた。
【解決手段】電気絶縁性基材となるコア絶縁層140と、その上に設けたビルドアップ部180とを有する多層配線基板110であり、ビルドアップ部180に設けたビアホール導体の少なくとも一つは、樹脂部分270と、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域230、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域240、ビスマスを主成分とする第3金属領域250からなると金属部分260を含み、第2金属領域240は、第1金属領域230単体や第3金属領域250単体より大きく、第2金属領域240の中に、第1金属領域230と第3金属領域250が互いに接触することなく点在し、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含み、Cu6Sn5/Cu3Snの比が0.10以下であるものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁樹脂層を介して配された複数の配線同士がビアホール導体で層間接続されてなる多層配線基板とその製造方法に関する。詳しくは、低抵抗なビアホール導体の接続信頼性の改良に関する。
従来、絶縁樹脂層を介して配された配線同士を層間接続して得られる多層配線基板が知られている。このような層間接続の方法として、絶縁樹脂層に形成された孔に導電性ペーストを充填して形成されるようなビアホール導体が知られている。また、導電性ペーストの代わりに、銅(Cu)を含有する金属粒子を充填し、これらの金属粒子同士を金属間化合物で固定したビアホール導体も知られている。
具体的には、例えば、下記特許文献1は、CuSn化合物のマトリクス中に複数の銅粉からなるドメインを点在させてなるマトリクスドメイン構造を有するビアホール導体を開示している。
また、例えば、下記特許文献2は、Cuを含む高融点粒子相材料と錫(Sn)または錫合金等の金属から選ばれる低融点材料とを含む、ビアホール導体の形成に用いられる焼結性組成物を開示している。このような焼結性組成物は、液相または過渡的(transient)液相の存在下で焼結される組成物である。
また、例えば、下記特許文献3は、錫−ビスマス(Bi)系金属粒子と銅粒子を含む導電性ペーストを錫−ビスマス系金属粒子の融点以上の温度で加熱することにより銅粒子の外周に固相温度250℃以上の合金層を形成させたビアホール導体用材料が開示されている。このようなビアホール導体用材料は、固相温度250℃以上の合金層同士の接合により層間接続が行われるために、ヒートサイクル試験や耐リフロー試験でも合金層が溶融しないために高接続信頼性を得ることが可能であることが記載されている。
また特許文献4では、導電ペーストをビアに用いたプリント配線基板において、導電ペースト中に含まれている金属粒子の含有率を75%以上([表1]の試料No.14では、充填率87%)とすることで、体積固有抵抗を9.5×10-6Ωcm(すなわち、9.5×10-8Ωm)とすることが提案されている。
特許文献5では、ビアホール導体として、Cu6Sn5/Cu3Snが0.30〜0.65であることを特徴とする配線基板が提案されている。
特許文献6では、Sn/(Cu+Sn)で表される重量比が0.25〜0.75となる金属間化合物が存在することを特徴とする配線基板が提案されている。
更に特許文献7では、ビアペースト中の銅粒子同士が面接触し、更に金属間化合物等で保護されてなる多層配線基板が提案されている。
特開2000−49460号公報 特開平10−7933号公報 特開2002−94242号公報 特開平10−275978号公報 特開2001−44590号公報 特開2000−49460号公報 特許第4713682号公報
特許文献1に開示されたビアホール導体について図22を参照して詳しく説明する。図22は、特許文献1に開示された多層配線基板のビアホール部分の模式断面図である。
図22の多層配線基板の模式断面図においては、多層配線基板表面に形成された配線1にビアホール導体2が接している。ビアホール導体2は、金属間化合物であるCu3Sn、Cu6Sn5を含むマトリクス4と、マトリクス4中にドメインとして点在する銅含有粉末3を含む。このビアホール導体2においては、Sn/(Cu+Sn)で表される重量比を0.25〜0.75の範囲にすることにより、マトリクスドメイン構造を形成している。しかしながら、このようなビアホール導体2においては、熱衝撃試験において図22中の5に示すようなボイドやクラックが発生しやすいという問題があった。
このようなボイドやクラックは、例えば熱衝撃試験やリフロー処理においてビアホール導体2が熱を受けた場合に、Sn−Bi系金属粒子にCuが拡散してCu3Sn、Cu6Sn5等のCuSn化合物を生成することに起因する亀裂に相当する。またこのようなボイドは、CuとSnとの界面に形成されたCu−Snの拡散接合部に含有されたCuとSnとの金属間化合物であるCu6Sn5が、各種信頼性試験の際の加熱により、Cu3Snに変化することにより、ビアホール導体2に新たな内部応力が発生する可能性がある。
また、特許文献2に開示された焼結性組成物は、例えば、プリプレグをラミネートするための加熱プレス時において発生する、過渡的(transient)液相の存在下または不存在下で焼結される組成物である。このような焼結性組成物は、Cu、Sn、およびPbを含むものであり、加熱プレス時の温度も180℃から325℃と高い温度になるために、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させてなる一般的な絶縁樹脂層(ガラスエポキシ樹脂層と呼ばれることもある)に対応させることは困難であった。また市場から求められている、Pbフリー化に対応することも困難であった。
また、特許文献3に開示されたビアホール導体用材料においては、銅粉の表層に形成される合金層は抵抗値が高い。そのために、銅粉や銀(Ag)粉等を含有する一般的な導電性ペーストのように銅粉間やAg粒子間の接触のみで得られる接続抵抗値と比較して高抵抗値になるという問題があった。
また、特許文献4に開示されたビアホール導体においては、金属粒子の含有率が75%以上とすることで、その体積固有抵抗を、9.5×10-6Ωcm(すなわち、9.5×10-8Ωm)以上としている。更には[表1]の資料No.14では充填率87%とすることで、スルーホール導電抵抗を4.5×10-6Ωcm(すなわち、4.5×10-8Ωm)にまで低抵抗化することが提案されている。しかし特許文献4に開示されたビアホール導体において、金属粒子同士は、パルス電流等を用いて放電溶接を行う必要がある。これは放電溶接等を行なわず、すなわち金属粒子同士を単に機械的に接触させただけでは、多層配線基板に要求される信頼性が得られないためである。すなわち、金属粒子同士を単に機械的に接触させた場合、金属粒子の含有率を高くするほど、金属粒子以外の成分、すなわち金属粒子同士を互いに結着保持する樹脂成分の含有率が低下してしまう。そして半田リフロー等を考慮したヒートサイクル試験において、ビアホール導体の熱膨張係数(金属粒子の含有率が高くなるほど、金属の熱膨張係数に近づく)と、ビアホール導体の周囲に形成された絶縁層(例えば、ガラスクロスやアラミド不織布に樹脂を含浸してなるプリプレグの硬化物)の熱膨張係数との差により、信頼性が低下する可能性がある。
また引用文献5では、ビアホール導体として、Cu−Sn系金属化合物を、あるいはCu6Sn5/Cu3Snが0.30〜0.65であることを特徴とする配線基板が提案されているが、この場合、Cu−Sn系金属化合物中に、Cu6Sn5がかなり残っている。そのため、この残留したCu6Sn5が、信頼性評価(例えば、ヒートサイクル試験)において、Cu6Sn5がCu3Snに反応する際に、新たにカーケンダイルボイド等を発生させてしまう可能性がある。
特許文献6には、Sn/(Cu+Sn)で表される重量比が0.25〜0.75となる金属間化合物が存在することを特徴とする配線基板が提案されている。図23は、ビアホール導体の組織を示す概略図の一例である。図23において、銅含有粉末3は、互いに点接触するか、あるいは互いに離れて存在する。また金属間化合物7は、Cu3Sn(7aで示す)と、Cu6Sn5(7bで示す)から、構成されている。そしてこの金属間化合物7の中に、銅含有粉末3が点在する。
図23に示す従来の配線基板の場合、ビアホール導体における、Sn/(Cu+Sn)の重量比を0.25〜0.75を実現するために、ビアペースト中にPb−Sn合金(平均粒径10μm、Pb:Sn重量比=38:62)を多量に添加する必要がある。その結果、Pb−Sn合金が銅と反応してなる際に副産物として生成するPb化合物が、ビアホール導体の中で増加する。そしてビアホール導体中におけるPb化合物の割合が増加するほど、ビアホールの信頼性評価(例えば、ヒートサイクル試験等)や抵抗値に影響を与える可能性がある。またPb化合物は、配線基板の使用材料として好ましくない場合がある。
図24(A)〜(B)、図25(A)〜(B)は、それぞれ特許文献7で開示されたビアホール導体の写真及び模式図である。
特許文献7に開示されたビアホール導体においては、図24(A)〜(B)、図25(A)〜(B)に示すように、複数の銅含有粉末3同士が互いに変形してなる面接触部(番号等は付与していない)を介して面接触してなる結合体を含む第1金属領域8と、錫−銅合金等からなる第2金属領域9と、ビスマスを主成分とする第3金属領域10とを有する金属部分11と、樹脂部分12を有している。一方、市場からは、更なる低抵抗化(すなわち、絶縁部となる樹脂部分12の更なる低減)が求められている。
本発明は、高い接続信頼性を有する低抵抗のビアホール導体により層間接続された、Pbフリーのニーズに対応することができる多層配線基板を提供することを目的とする。
更に、特許文献7で示されたビアホール導体において、電気絶縁性基材を介して互いに絶縁された複数の配線同士を、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域で、直接的に接続すると共に、絶縁体である樹脂部分の体積分率(すなわち、金属部分と、樹脂部分とを有するビアホール導体における樹脂部分の体積分率)を25体積%以下、更には10体積%以下と小さく抑えることができ、ビア部分の更なる高信頼性化、高強度化、低抵抗化を実現する。
本発明の一局面である多層配線基板は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材を介して配設された複数の配線と、前記電気絶縁性基材を貫通するように設けられた前記複数の配線同士を電気的に接続する複数のビアホール導体と、を有するコア基板部と、このコア基板部の上に設けられたビルドアップ部とを有する多層配線基板であって、前記複数のビアホール導体の内、少なくとも一つ以上の前記ビアホール導体は、樹脂部分と、金属部分とを含み、前記樹脂部分は、エポキシ樹脂を含む硬化済樹脂であり、前記金属部分は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域と、ビスマスを主成分とする第3金属領域とを含み、前記第2金属領域は、前記第1金属領域や前記第3金属領域より大きく、前記複数の配線同士は、前記第2金属領域を介して電気的に接続され、前記第2金属領域の中に、前記第1金属領域と、前記第3金属領域が、互いに接触することなく点在し、前記第2金属領域は、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含み、Cu6Sn5/Cu3Snの比が0.10以下であることを特徴とする多層配線基板であることを特徴とする。
また電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材を介して配設された複数の配線と、前記電気絶縁性基材を貫通するように設けられた前記複数の配線同士を電気的に接続する複数のビアホール導体とを有するコア基板部と、このコア基板部の上に設けられたビルドアップ部とを有する多層配線基板であって、前記複数のビアホール導体の内、少なくとも一つ以上の前記ビアホール導体は、樹脂部分と、金属部分とを含み、前記樹脂部分は、エポキシ樹脂を含む硬化済樹脂であり、前記金属部分は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域と、ビスマスを主成分とする第3金属領域とを含み、前記第2金属領域は、前記第1金属領域や前記第3金属領域より大きく、前記複数の配線同士は、前記第2金属領域を介して電気的に接続され、前記第2金属領域の中に、前記第1金属領域と、前記第3金属領域が、互いに接触することなく点在し、前記金属部分は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域と、ビスマスを主成分とする第3金属領域とを含み、錫を主成分とする第4金属領域は、前記金属部分の0.5重量%以下であることを特徴とする多層配線基板とすることも有用である。
また本発明の他の一局面である多層配線基板の製造方法は、少なくともコア基板部もしくはビルドアップ部のいずれか一つ以上にビアホール導体を有した多層配線基板の製造方法であって、電気絶縁性基材の両側に熱硬化性樹脂層を介して保護フィルムを付与する保護フィルム付与工程と、前記保護フィルムで被覆された耐熱フィルムに、前記保護フィルムの外側から穿孔することにより、貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔に、少なくとも銅粉と半田粉とを含む金属粉と樹脂とを含む、ビアペーストを充填する充填工程と、前記充填工程の後、保護フィルムを剥離することにより、前記貫通孔から前記ビアペーストの一部が突出した突出部を表出させる突出部形成工程と、前記突出部を覆うように、前記耐熱フィルムの表面に金属箔を配置する配置工程と、前記金属箔を前記耐熱フィルムの表面に圧着させ、同時に、前記金属粉が互いに変形するまで圧着させることで、前記樹脂の一部を前記電気絶縁性基材側へ流動させることにより、前記ビアペースト中の前記樹脂を低減する圧着工程と、前記圧着工程の後、加熱し、第2金属領域を、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含むと共に、Cu6Sn5/Cu3Snの比が0.10以下とする加熱工程とを備えている多層配線基板の製造方法とすることを特徴とする。
また本発明の他の一局面である多層配線基板の製造方法は、少なくともコア基板部もしくはビルドアップ部のいずれか一つ以上に、ビアホール導体を有した多層配線基板の製造方法であって、電気絶縁性基材の両側に熱硬化性樹脂層を介して保護フィルムを付与する保護フィルム付与工程と、前記保護フィルムで被覆された耐熱フィルムに、前記保護フィルムの外側から穿孔することにより、貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔に、少なくとも銅粉と半田粉とを含む金属粉と樹脂とを含む、ビアペーストを充填する充填工程と、前記充填工程の後、保護フィルムを剥離することにより、前記貫通孔から前記ビアペーストの一部が突出した突出部を表出させる突出部形成工程と、前記突出部を覆うように、前記耐熱フィルムの表面に金属箔を配置する配置工程と、前記金属箔を前記耐熱フィルムの表面に圧着させ、同時に、前記金属粉が互いに変形するまで圧着させることで、前記樹脂の一部を前記電気絶縁性基材側へ流動させることにより、前記ビアペースト中の前記樹脂を低減する圧着工程と、前記圧着工程の後、加熱し、前記金属部分は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域と、ビスマスを主成分とする第3金属領域とを含み、錫を主成分とする第4金属領域は、前記金属部分の0.5重量%以下とすることを特徴とする多層配線基板の製造方法である。
本発明の目的、特徴、局面、及び利点は、以下の詳細な説明及び添付する図面により、より明白となる。
本発明によれば、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材を介して配設された複数の配線と、前記電気絶縁性基材を貫通するように設けられた前記複数の配線同士を電気的に接続する複数のビアホール導体と、を有するコア基板部と、このコア基板部の上に形成されたビルドアップ部と、を有する多層配線基板であって、前記複数のビアホール導体の内、少なくとも一つ以上の前記ビアホール導体は、樹脂部分と、金属部分とを含み、前記樹脂部分は、エポキシ樹脂を含む硬化済樹脂であり、前記金属部分は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域と、ビスマスを主成分とする第3金属領域とを含み、前記第2金属領域は、前記第1金属領域や前記第3金属領域より大きく、前記複数の配線同士は、前記第2金属領域を介して電気的に接続され、前記第2金属領域の中に、前記第1金属領域と、前記第3金属領域が、互いに接触することなく点在し、前記第2金属領域は、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含み、Cu6Sn5/Cu3Snの比が0.10以下(更には0.05以下)であることを特徴とする多層配線基板とすることで、信頼性の高い配線基板とすることができる。
これは電気絶縁性基材を介して互いに絶縁された複数の配線同士を、直接、Cu3Snを主体とする金属間化合物で、電気的に接続するためであり、更に金属間化合物Cu6Sn5が、金属間化合物Cu3Snに変化する際、発生するカーケンダイルボイド等の発生を抑制する効果が得られる。
本実施形態の多層配線基板の模式断面図 図1に示した多層配線基板のコア基板部に形成した第1コアビアの断面の模式図 第2コアビアの断面の模式図 第1コアビアと第2コアビアとを含むコア基板部の断面の模式図 第1コアビアと、第2コアビア、第3コアビアとを含むコア基板部の断面の模式図 第1コアビアと、第2コアビア、第3コアビアとを含むコア基板部の断面の模式図 (A)〜(D)は、それぞれ多層配線基板の製造方法の一例を示す断面図 (A)〜(C)は、それぞれ多層配線基板の製造方法の一例を示す断面図 (A)〜(C)は、それぞれ多層配線基板の製造方法の一例を示す断面図 (A)〜(B)は、ビアペーストが充填された未硬化基材の貫通孔周辺の圧縮前後の模式断面図 電気絶縁性基材として、圧縮性を有する部材を用いた場合の課題について説明する断面図 電気絶縁性基材として、非圧縮性を有する部材を用いることで、ビアペースト中における金属成分の体積分率を増加させる様子を断面で説明する模式図 電気絶縁性基材として、非圧縮性を有する部材を用いることで、ビアペースト中における金属成分の体積分率を増加させる様子を断面で説明する断面図 (A)〜(B)は、有機成分の体積分率が少なくなることで、互いに変形しながら密接した銅粉と半田粉とが互いに合金化反応する様子を模式的に示す断面図 本実施形態のビアペースト中の金属組成の一例を示す三角図 第1コアビアと、第2コアビアとをコア配線を介して、スタック状態で形成した場合について説明するSEM写真 (A)は、第1コアビアの断面の電子顕微鏡(SEM)写真、(B)はそのトレース図 (A)は、第1コアビアの断面の電子顕微鏡(SEM)写真、(B)はそのトレース図 (A)は、第1コアビアと、コア配線(あるいは銅箔)との界面部分の断面の電子顕微鏡(SEM)写真、(B)はそのトレース図 (A)は、第1コアビアと、コア配線(あるいは銅箔)との界面部分の断面の電子顕微鏡(SEM)写真、(B)はそのトレース図 発明者らが作成したビアホール導体のX線回折による分析結果の一例を示すグラフ 特許文献1に開示された多層配線基板のビアホール部分の模式断面図 ビアホール導体の組織を示す概略図 (A)〜(B)は、それぞれ特許文献7で開示されたビアホール導体のSEM写真及び模式図 (A)〜(B)は、それぞれ特許文献7で開示されたビアホール導体のSEM写真及び模式図
(実施の形態1)
実施の形態1では、多層配線基板の構造について説明する。
図1は、本実施形態の多層配線基板110の模式断面図である。図1において、110は多層配線基板、120はコア基板部、130はコア配線、140はコア絶縁層である。150は第1コアビア、160は第2コアビア、170は第3コアビア、180はビルドアップ部、190はビルド配線層、200はビルド絶縁層である。
多層配線基板110は、コア基板部120と、コア基板部の上に形成されたビルドアップ部180を有する。コア基板部120は、ビアホール導体である、第1コアビア150、第2コアビア160、第3コアビア170の内、少なくとも1個以上、更には複数個のビアホール導体を有する。さらコア基板部120は、第1コアビア150、第2コアビア160、第3コアビア170の内、複数種類のビアホール導体を有することは有用である。なお第1コアビア150、第2コアビア160は、主にビアを構成する金属部分260の割合の違い(60体積%程度、あるいは70〜99体積%か)で区別できる。また第3コアビア170としては、従来知られたビア(例えば、メッキビア、あるいは市販の銅ペースト等を圧接してなる圧接型のビアペーストであって、半田等を含まないもの)を用いることができる。このように、第1コアビア150や第2コアビア160のように、銅粉と半田粉を含むペースト系のビアであって、その中の金属部分の比率が、60体積%前後、あるいは70〜99体積%を互いに組み合わせて、多層配線基板110やコア基板部120を形成することは有用である。
更に第1コアビア150や第2コアビア160のように、銅粉と半田粉を含むペースト系のビアであって、その中の金属部分の比率が、60体積%前後、あるいは70〜99体積%に加え、第3コアビアとして、めっきからなるビアホール導体、あるいは半田を含まない金属粉同士の圧接によるものを互いに組み合わせて、多層配線基板110やコア基板部120を形成することは有用である。
コア基板部120は、少なくとも、1層以上のコア絶縁層140と、コア絶縁層140によって層間絶縁された複数のコア配線130と、このコア配線130間を層間接続する第1コアビア150〜第3コアビア170の1個以上、更には2個以上(更には2種類以上)からなるビアホール導体を有する。
ビルドアップ部180は、少なくとも、1層以上のビルド絶縁層200と、ビルド絶縁層200によって層間絶縁された複数のビルド配線190とを有する。なお層間絶縁された複数のビルド配線190間は、その間に設けられたビア(図示していない)によって電気的に接続しても良いが、ビルド配線190の一部を、ビルド絶縁層200に形成された有底穴(あるいはブラインドビア穴)にメッキビアとして形成しても良い。この場合、ビルド配線190の一部が、ビルド絶縁層200に形成された層間接続ビア(あるいはメッキビア、あるいはブラインドビア)として機能する。
なおビルド配線190間を接続するビアの一部を、コア基板部120に形成したのと同様のビア(例えば、第1コアビア150、第2コアビア160、第3コアビア170)とすることは有用である。
コア配線130は、銅箔等を所定パターン形状に加工したもので形成することは有用である。
次に、図2を用いて、第1コアビアの一例について説明する。
図2は、図1に示した多層配線基板110のコア基板部120に形成した第1コアビア150の断面の模式図である。
図2において、コア配線130間(あるいはコア配線130aとコア配線130bの間)は、第1コアビア150によって層間接続されている。
第1コアビア150は、複数の銅粉210同士が互いに変形し、面接触してなる面接触部220や、銅粉210を有する第1金属領域230と、銅錫合金(さらには銅錫からなる金属間化合物)を有する(更には主体とする)第2金属領域240と、ビスマスを含む第3金属領域250とを含む金属部分260と、この金属部分260の中に点在するように存在している樹脂部分270を有している。
なお第1コアビア150において、銅粉210同士の面接触部220が不明確であっても良い。これは、図2の構成において、コア配線130a、130b間の導通は、銅粉210や第1金属領域230のみならず、第2金属領域240を介して行なわれるためである。
ここでビア抵抗とは、ビアホール導体全体での抵抗値を意味する。そのため、ビアホール導体となる、第1コアビア150中の絶縁成分である樹脂部分270の体積分率(体積%)も含んだ状態の抵抗値をビア抵抗として計算することは有用である。
なおコア配線130と、ビアホール導体となる第1コアビア150との接続抵抗を小さくするには、コア配線130とビアホール導体となる第1コアビア150との接触面積を増加させることは有用である。そのため、コア配線130と第1コアビア150との界面部分に残る樹脂部分270の体積分率(体積%)を低下することも、ビア抵抗の低減に有用である。またコア配線130として、その表面を予め粗化処理したものを用いることも有用である。
なお樹脂部分270は、エポキシ樹脂を含む硬化済樹脂とすることが望ましい。エポキシ樹脂は、信頼性に優れている。なお樹脂部分270は、ビアペースト中に添加していた樹脂の硬化物であっても良いが、コア絶縁層140等を構成する熱硬化性樹脂の一部が混入しても良い。
なお図2に示すように、第2金属領域240の大きさ(あるいは体積分率または重量分率)は、第1金属領域や第3金属領域の大きさ(あるいは体積分率あるいは重量分率)より、それぞれ大きくすることが望ましい。第2金属領域の大きさを、第1金属領域や第3金属領域の大きさ(あるいは体積分率あるいは重量分率)より、それぞれ大きくすることで、複数の配線150間を、第2金属領域240を主体として電気的に接続できる。更に第2金属領域240の大きさを、第1金属領域230や第3金属領域250の大きさ(あるいは体積分率または重量分率)より大きくすることで、第2金属領域240の中に(あるいは第2金属領域240からなる海の中に)、第1金属領域230や、第3金属領域250を、互いに接することなく点在(あるいは離れ小島状態で点在)させることができる。
また第2金属領域240は、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含み、更にCu6Sn5/Cu3Snの比を0.10以下とすることは有用である。Cu6Sn5の量を減らすことで、多層配線基板110の中に残留するCu6Sn5が、半田リフロー等の加熱処理工程においてCu3Snに変化することを防止できる。そしてカーゲンダイルボイド等の発生を抑制する。
なお、電気絶縁性基材となるコア絶縁層140は、非圧縮性を有する耐熱フィルム290と、この耐熱フィルム290の両面に形成された硬化性接着層280を備えたものとすることは有用である。ここで非圧縮性(incompressibility)とは、温度や圧力による密度の変化が実質的に無視できるほど小さいことを意味する。
なお非圧縮性を有する耐熱フィルム290としては、厚み55μm以下の耐熱性(特に耐半田耐熱性)を有するフィルムが望ましい。
耐熱フィルム290とは、半田耐熱を有するフィルムであり、例えば、ポリイミドフィルムや液晶ポリマー等からなる樹脂フィルムが有用である。そしてこうした耐熱フィルム290は、圧縮性を発現させるための気泡部分等を設けていないため、優れた非圧縮性を有する。
更に、第1コアビア150を構成する金属部分260は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域230と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域240と、ビスマスを主成分とする第3金属領域250とを含み、錫を主成分とする第4金属領域(0.5重量%以下、望ましくは0.3重量%以下とすることは有用である。そのため図2等では、第4金属領域は、意図的に図示していない)は、金属部分260の0.5重量%以下であることを特徴とする多層配線基板110とすることも有用である。
以上のように、電気絶縁性基材となるコア絶縁層140と、このコア絶縁層140を介して配設された複数のコア配線130と、コア絶縁層140を貫通するように設けられた複数のコア配線130同士を電気的に接続するビアホール導体を有する多層配線基板110であって、複数のビアホール導体の内、少なくとも一つ以上のビアホール導体を、第1コアビア150とし、この第1コアビア150が、樹脂部分270と、金属部分260とを含み、樹脂部分270は、エポキシ樹脂を含む硬化済樹脂であり、金属部分260は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域230と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域240と、ビスマスを主成分とする第3金属領域250とを含み、第2金属領域240は、第1金属領域230単体や第3金属領域250単体よりそれぞれ大きく、複数のコア配線130同士は、第2金属領域240を介して電気的に接続され、第2金属領域240の中に、第1金属領域230と、第3金属領域250が、互いに接触することなく点在し、第2金属領域240は、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含み、Cu6Sn5/Cu3Snの比が0.10以下であることを特徴とする多層配線基板110とすることは有用である。
また第2金属領域240は、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含み、Cu6Sn5/Cu3Snの比が0.10以下であることに加えて、金属部分260は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域230と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域240と、ビスマスを主成分とする第3金属領域250とを含み、錫を主成分とする第4金属領域(図示していない)は、金属部分260の0.5重量%以下であることを特徴とする多層配線基板110とすることも有用である。
更に本発明では、この非圧縮性を有する耐熱フィルム290を、多層配線基板110の電気絶縁性基材とすることで、第1コアビア150を突出部を設けた状態のビアペースト(例えば後述する図10(A)(B)のビアペースト330)の圧縮によって形成する際に、ビアホールの直径が広がらないため、より強力な圧縮を行なうことが可能となる。その結果、金属部分(例えば、後述する図10(A)(B)の銅粉210や半田粉370等)の体積分率を大きく増やすことができる。
このように、非圧縮性部材を用いることで、ビアペーストの高圧縮が可能となり、第1コアビア150を形成できる。なお第1コアビア150は、74.0体積%以上99.5体積%以下の金属部分260と、0.5体積%以上26.0体積%以下の樹脂部分270を有するビアとすることは有用である。そして第1コアビア150を、コア基板部120の一部に形成することで、コア基板部120におけるビアの高強度化、高信頼性化が可能となる。
なお第1コアビア150の形成位置は、コア基板部120に限定する必要はない。第1コアビア150となる74.0体積%以上99.5体積%以下の金属部分260と、0.5体積%以上26.0体積%以下の樹脂部分270を有するビアホールを、ビルドアップ部180の内部にビアとして設けることも有用である。こうすることで、ビルドアップ部180におけるビアの高強度化、高信頼性化が可能となる。
こうした本発明の構成によって、更にビアホール導体(樹脂部分270も加味して)としての比抵抗を、1.00×10-7Ω・m〜5.00×10-7Ω・mと低くすることができ、更にビアホール抵抗の経時に対する安定化を実現する。
また金属部分260における錫を主成分とする第4金属領域(図示していない)は、前記金属部分の0.5重量%以下とすることができ、経時変化やヒートサイクル試験において、合金化反応(さらには金属間化合物の形成反応)の発生を抑制でき、ビアホール抵抗の長期安定化を実現する。
なお、第1コアビア150を構成する樹脂部分270は、硬化性樹脂の硬化物からなる。硬化性樹脂は特に限定されないが、具体的には、例えば、耐熱性に優れ、また、線膨張率が低い点からエポキシ樹脂の硬化物が特に好ましい。
なお、第1コアビア150の構造を実現するためには、銅−錫間の合金化反応を完全に完了させることが有用である。そしてビア部分の機械的な強度を高めるためにも、第1コアビア150となるビアホール導体中の金属部分260の体積分率を多くすることが有用である。特に、第1コアビア150を、74.0体積%以上99.5体積%以下の金属部分260と、0.5体積%以上26.0体積%以下の樹脂部分270を有するようにすることは有用である。
なお第1コアビア150を、74.0体積%以上99.5体積%以下の金属部分260と、0.5体積%以上26.0体積%以下の樹脂部分270を有するものとした場合、第2コアビア160は、第1コアビア150より金属部分260の割合を、後述する図3に示すように65体積%以上74.0体積%未満としても良い。65体積%未満の場合、ビア抵抗が増加する場合がある。
(実施の形態2)
実施の形態2では、コア基板部120に形成するビア(あるいはコアビア)について更に詳しく説明する。
図3は、第2コアビア160の断面の模式図である。
図3に示すように、第2コアビア160は、第1金属領域230、第2金属領域240、第3金属領域250を含む。そして第2コアビア160は、第1金属領域230、第2金属領域240、第3金属領域250を含む金属部分260と、この金属部分260の中に点在するように存在している樹脂部分270とを有している。
なお第1金属領域230は、複数の銅粉210から形成されている。そして複数の銅粉210は、互いに変形してなる面接触部220を介して導通している。また第2金属領域240は、銅粉210(あるいは第1金属領域230)の周囲に形成されている。また第3金属領域250は、第2金属領域と、樹脂部分270との間に形成されている。
なお図3に示すように、第2コアビア160において、複数の配線130間は、互いに変形してなる面接触部220や、複数の銅粉210からなる第1金属領域230を介して導通することが望ましい。銅粉210を主体とする第1金属領域230は、第2金属領域240や第3金属領域250より、比抵抗が小さいからである。更に複数の配線130間は、第1金属領域230に加えて、第2金属領域240も介して導電することが望ましい。
なおビア全体における金属部分260の体積分率(体積%)が60体積%以上を第2コアビア160とし、さらに金属部分260の体積分率(体積%)が74体積%以上99.5体積%以下を第1コアビアとすることは有用である。
更に1つの多層配線基板110において、あるいは1つのコア基板部120の中に、第1コアビア150と第2コアビア160とを、それぞれ一つ以上設けることによって、各ビアの最適化が可能となり、各ビアの高信頼性化が可能となる。
なお、第1コアビア150、第2コアビア160に加えて、メッキビアや、金属粉同士の圧接体等からなる第3コアビア170も、1つの多層配線基板110、あるいは1つのコア基板部120の中に設けることも有用である。従来から知られているメッキビアや、金属粉同士の圧接体からなるビアからなる第3コアビア170は安価である。そのため第3コアビア170に加え、信頼性が高い第1コアビア150や第2コアビア160を組み合わせて、多層配線基板110とすることは有用である。
図4は、第1コアビア150と、第2コアビア160とを含むコア基板部120の断面の模式図である。コア絶縁層140a、140b、140cとしては、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸してなるプリプレグは、耐熱フィルム等を用いることは有用である。第1コアビア150として、後述する図16に示すコアビア150を用いることは有用である。また第2コアビア160として、後述する図16に示す第2コアビア160を用いることは有用である。また第2コアビア160として、図24、図25に示したビアホール導体を用いることも有用である。
図4に示すように、コア基板部120は、中央部分に形成された第2コアビア160と、第2コアビア160の上に重なるように(あるいはスタック状に)形成された第1コアビア150と、を有している。図4に示すように、複数のビアが互いに重なるように厚み方向に積層する(あるいはスタックする)ことで、ビアに含まれる金属部分260の体積%を増加させ、第1コアビア150とすることが可能となる。またスタック構造とすることで、ビアの形成時(あるいは積層時)に、ビアペーストの高圧縮が可能となり、ビア中の金属部分260の含有率を高められ、第1コアビア150を形成できる。
図5は、第1コアビア150と、第2コアビア160、第3コアビア170とを含むコア基板部120の断面の模式図である。
図5において、コア基板部120は、中央部分に形成された、市販の導電ペースト等からなる第3コアビア170の上に、第1コアビア150、第2コアビア160を形成している。図5に示すように、第3コアビア170に重なるように(あるいはスタックするように)することで、ビアの形成時(あるいは積層時)に、ビアペーストの高圧縮が可能となり、ビア中の金属部分260の含有率を高められ、第1コアビア150を形成できる。またスタック状態でない場合(いわゆる、一般的なIVH状態)を、第2コアビア160とすることができる。これは第2コアビア160が、スタック構造でない(あるいは少なくとも上下一方以上に、金属ビアが形成されていない)ためであり、ビアの形成時(あるいは積層時)に、ビアペーストの圧縮率が影響され、ビア中の金属部分260の含有率が60体積%以上74体積%以下となるためである。
なお図5において、第3コアビア170の代わりに、第2コアビア160、第1コアビア150としても良い。第1コアビア150であっても、第2コアビア160であっても、この上に重なるように(あるいはスタック状に)第1コアビア150を形成することができる。スタック状態の複数個のビアの一部を、第1コアビア150とすることで、ビア抵抗を小さくし、ビア部分の高強度化、高信頼性化が可能となる。
図6は、第1コアビア150と、第2コアビア160、第3コアビア170とを含むコア基板部120の断面の模式図である。
図6に示すように、コア基板120の中央部に、第1コアビア150、第2コアビア160、第3コアビア170のいずれかを形成し、その上にスタック状態となるように、第1コアビア150、第2コアビア160、第3コアビア170のいずれかを形成し、その上に、第1コアビア150、第2コアビア160、第3コアビア170のいずれかを形成することも有用である。
以上のように、コア基板部120、更にはビルドアップ部180に含まれるビアを、第1コアビア150、第2コアビア160、第3コアビア170の組み合わせとすることは有用である。
(実施の形態3)
実施の形態3では、上述したような多層配線基板110の製造方法の一例を説明する。まず各製造工程について、図面を参照しながら詳しく説明する。
図7(A)〜(D)、図8(A)〜(C)、図9(A)〜(C)は、それぞれ多層配線基板110の製造方法の一例を示す断面図である。
図7(A)〜(D)において、300は未硬化基材、310は保護フィルムである。未硬化基材としては、市販のプリプレグを用いることができる。
なおビア部分を局所的に高圧縮しようとする場合、未硬化基材300として、耐熱フィルム290(望ましくは厚み55μm以下)と、耐熱フィルム290の一面以上(望ましくは両面)に形成された未硬化状態の硬化性接着層280とを有したものを用いることは有用である。耐熱フィルム290(図示していない)としては、半田付けの温度に耐える樹脂シートであれば、特に限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム等が挙げられる。これらの中では、ポリイミドフィルムが特に好ましい。
硬化性接着層としては、エポキシ樹脂等からなる未硬化の接着層が挙げられる。また、硬化性接着層の片面あたりの厚みとしては、1〜30μm、さらには5〜10μmであることが、多層配線基板の薄肉化に寄与する点で好ましい。
なお図7〜図9において、耐熱フィルム290や、硬化性接着層280、あるいはプリプレグに含まれるガラス繊維等の織布あるいは芯材等は図示していない。
本実施形態の製造方法においては、はじめに、図7(A)に示すように、未硬化基材300の両表面に保護フィルム310が貼り合わされる。耐熱フィルム290と用いることで、厚み50μm以下、30μm以下、15μm以下、さらには6μm以下のような厚みでも充分な絶縁性が得られる。
保護フィルムとしては、各種樹脂フィルムが用いられる。その具体例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等の樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムの厚みとしては0.5〜50μm、さらには、1〜30μmであることが好ましい。このような厚みの場合には、後述するように、保護フィルムの剥離により、充分な高さのビアペーストからなる突出部を表出させることができる。
未硬化基材300に保護フィルム310を貼り合わせる方法としては、例えば、未硬化基材300、あるいは未硬化基材300表面の硬化性接着層280の表面タック性(あるいは接着力)を用いて、直接貼り合わせる方法が挙げられる。
次に、図7(B)に示すように、保護フィルム310が配された未硬化基材300に保護フィルム310の外側から穿孔することにより、貫通孔320を形成する。穿孔には、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等の非接触による加工方法の他、ドリルを用いた穴あけ等各種方法が用いられる。貫通孔の直径としては10〜500μm、さらには50〜300μm、80〜120μm程度が挙げられる。
次に、図7(C)に示すように、貫通孔320の中にビアペースト330を満充填する。ビアペースト330は、銅粉210と、SnとBiとを含有するSn−Bi系の半田粉370と、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂成分を含有する。
銅粉の平均粒径は、0.1〜20μm、さらには、1〜10μmの範囲であることが好ましい。銅粉の平均粒径が小さすぎる場合には、貫通孔320中に高充填しにくくなり、また、高価である傾向がある。一方、銅粉の平均粒径が大きすぎる場合には、径の小さいビアホール導体を形成しようとした場合に充填しにくくなる傾向がある。
また、銅粉210の粒子形状は、特に限定されない。具体的には、例えば、球状、扁平状、多角状、麟片状、フレーク状、あるいは表面に突起を有するような形状等が挙げられる。また、一次粒子でもよいし、二次粒子を形成していてもよい。
なお後述する図10(A)(B)、図15、図21等で示すように、Sn−Bi系の半田粉370(図示していない)は、SnとBiとを含有する半田粉370とすることが有用である。
更に、ビアペースト330中のCu、Sn及びBiの重量比は、後述する図15に示すような三角図において、A、B、C、Dを頂点とする四角形で囲まれるような領域に調整することができるような組成を有する半田粉370とすることも有用である。また、インジウム(In)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)等を添加することにより、濡れ性、流動性等を改善させられたものであってもよい。このようなSn−Bi系の半田粉370中のBiの含有割合としては10〜58%、さらには20〜58%であることが好ましい。また、融点(共晶点)としては75〜160℃、さらには135〜150℃の範囲のものを用いることが好ましい。なお、Sn−Bi系の半田粉370としては、組成の異なる種類の粒子を2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中では、共晶点が138℃と低い、環境問題に考慮した鉛フリー半田である、Sn−58Bi系の半田粉370等が特に好ましい。
Sn−Bi系の半田粉370の平均粒径は0.1〜20μm、さらには、2〜15μmの範囲であることが好ましい。Sn−Bi系半田粉の平均粒径が小さすぎる場合には、比表面積が大きくなり表面の酸化皮膜割合が大きくなり溶融しにくくなる傾向がある。一方、Sn−Bi系半田粉の平均粒径が大きすぎる場合には、貫通孔320ヘのビアペースト330の充填性が低下する傾向がある。
好ましい硬化性樹脂成分であるエポキシ樹脂の具体例としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、またはその他変性エポキシ樹脂などを用いることができる。
また、エポキシ樹脂と組み合わせて硬化剤を配合してもよい。硬化剤の種類は特に限定されないが、分子中に少なくとも1つ以上の水酸基を持つアミン化合物を含有する硬化剤を用いることが特に好ましい。このような硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化触媒として作用するとともに、銅粉、及びSn−Bi系の半田粉370の表面に存在する酸化皮膜を還元することにより、接合時の接触抵抗を低減させる作用も有する点から好ましい。これらの中でも、特にSn−Bi系半田粉の融点よりも高い沸点を有するアミン化合物は、接合時の接触抵抗を低減させる作用が特に高い点から好ましい。
このようなアミン化合物の具体例としては、例えば、2−メチルアミノエタノール(沸点160℃)、N、N−ジエチルエタノールアミン(沸点162℃)、N、N−ジブチルエタノールアミン(沸点229℃)、N−メチルエタノールアミン(沸点160℃)、N−メチルジエタノールアミン(沸点247℃)、N−エチルエタノールアミン(沸点169℃)、N−ブチルエタノールアミン(沸点195℃)、ジイソプロパノールアミン(沸点249℃)、N、N−ジエチルイソプロパノールアミン(沸点125.8℃)、2、2'−ジメチルアミノエタノール(沸点135℃)、トリエタノールアミン等(沸点208℃)が挙げられる。
ビアペースト330は、銅粉と、SnとBiとを含有するSn−Bi系半田粉と、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂成分とを混合することにより調製される。具体的には、例えば、エポキシ樹脂と硬化剤と所定量の有機溶媒を含有する樹脂ワニスに、銅粉及びSn−Bi系半田粉を添加し、プラネタリーミキサー等で混合することにより調製される。
硬化性樹脂成分の、銅粉及びSn−Bi系の半田粉370を含む金属成分との合計量に対する配合割合としては、0.3〜30質量%、さらには3〜20質量%の範囲であることが低い抵抗値を得るとともに、充分な加工性を確保する点から好ましい。
また、ビアペースト330中の銅粉210とSn−Bi系の半田粉370との配合割合としては、ペースト中のCu、Sn及びBiの重量比を、後述する図15に示すような三角図において、A、B、C、Dを頂点とする四角形で囲まれるような領域の範囲になるように含有させることが好ましい。例えば、Sn−Bi系の半田粉370としてSn−58Bi系の半田粉370を用いた場合には、銅粉210及びSn−58Bi系の半田粉370の合計量に対する銅粉210の含有割合は、22〜80質量%、さらには、40〜80質量%であることが好ましい。
ビアペースト330の充填方法は特に限定されない。具体的には、例えば、スクリーン印刷などの方法が用いられる。なお、本実施形態の製造方法においては、貫通孔320にビアペースト330を充填する場合においては、充填工程の後に、保護フィルム310を剥離したときに、ビアペースト330の一部が、未硬化基材300に形成された貫通孔320から突出して突出部340が表出するように、未硬化基材300に形成された貫通孔320からはみ出す量を充填する必要がある。
次に、図7(D)に示すように、未硬化基材300の表面から保護フィルム310を剥離することにより、ビアペースト330の一部を、貫通孔320から突出部340として突出させる。突出部340の高さhは、保護フィルムの厚みにもよるが、例えば、0.5〜50μm、さらには、1〜30μmであることが好ましい。突出部340の高さが高すぎる場合には、後述する圧着工程において未硬化基材300の表面の、貫通孔320の周囲にペーストが溢れて表面平滑性を失わせる可能性があるために好ましくなく、低すぎる場合には、後述する圧着工程において充填されたビアペーストに圧力が充分に伝わらなくなる傾向がある。
次に、図8(A)に示すように、未硬化基材300の上に銅箔360を配置し、矢印350で示す方向にプレスする。それにより、図8(B)に示すように未硬化基材300と銅箔360とを一体化させることにより、ビアホール導体となる第2コアビア160が形成される。この場合においては、プレスの当初に、銅箔360を介して突出部340に力が掛かるために、貫通孔320に充填されたビアペースト330が高い圧力で圧縮される。この時の圧縮条件や加熱条件を調整することで、第2コアビア160や、第1コアビア150を作り分けることができる。
更に未硬化基材300として、耐熱フィルム290(図示していない)を用いることで、矢印350で示す加圧、圧縮時(更には加熱時)に、貫通孔320(図示していない)の直径が広がらないため、ビアペースト330によりいっそう強い圧力が加えられる。
それにより、ビアペースト330中に含まれる複数の銅粉や、Sn−Bi粒子の間隔が狭められ、互いに密着することで、ビアペースト330中の樹脂部分の比率が低減する(あるいはビアペースト中の金属部分の比率が増加する)。
そして、この圧縮状態を保った状態で加熱することで、合金化反応を起こし、金属部分260と、樹脂部分270を形成する。ここで金属部分260は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域230と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域240と、ビスマスを主成分とする第3金属領域250とを含むものとする。
こうして、第1コアビア150、あるいは第2コアビア160を形成することができる。
なお、第1コアビア150とする場合は、この合金化反応時において、第2金属領域240の大きさ(体積%や重量%)は、第1金属領域230や第3金属領域250より、それぞれ大きくすることができる。この結果、ビア部分の、更なる高信頼性化や高強度化が可能となる。このように、複数のコア配線130(図示していない)を構成する銅箔360同士を、第2金属領域240を介して電気的に接続することは、ビア部分の高信頼性化に有用である。
なお第1コアビア150、あるいは第2コアビア160において、第2金属領域240の中に、第1金属領域230と第3金属領域250を、互いに接触することなく点在させることは、ビア部分の高信頼性化に有用である。
また第1コアビア150、あるいは第2コアビア160において、第2金属領域240は、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含み、Cu6Sn5/Cu3Snの比を0.10以下とすることは、ビア部分の高信頼性化に有用である。
プレス条件は特に限定されないが、常温(20℃)からSn−Bi系半田粉の融点未満の温度に金型温度が設定された条件が好ましい。また、本プレス工程において、硬化性接着層の硬化を進行させるために、硬化を進行させるのに必要な温度に加熱した加熱プレスを用いてもよい。
その後、図8(C)に示すように、銅箔360をパターニングし、コア配線130とする。
ここで、突出部340を有するビアペースト330を圧縮するときの様子については、後述する図10等を用いて詳しく説明する。
その後、図9(A)〜(C)に示すように多層化する。
図9(A)〜(C)は、図8(C)で作成したサンプルを、更に多層化する様子を説明する断面図である。
図9(A)に示すように突出部340を有するサンプルを、図8(C)で作成したサンプルの両側に配置する。そして銅箔360を介して、プレス金型(図示していない)に挟み込み、上述したような条件でプレス及び加熱することで、図9(B)に示すような積層体が得られる。
次に、図9(C)に示すように、コア配線130を形成する。コア配線130は、表層に貼り合わされた銅箔360の表面にフォトレジスト膜を形成し、フォトマスクを介して選択的露光することによりパターニングした後、現像を行い、エッチングにより配線部以外の銅箔を選択的に除去した後、フォトレジスト膜を除去すること等により形成されうる。フォトレジスト膜の形成には、液状のレジストを用いてもドライフィルムを用いてもよい。
なお図9(A)〜(C)に示すように、ビアペーストをスタック状態として加圧圧縮することで、ビアペースト330に強い圧縮力を加えることができ、第2コアビア160のみならず、第1コアビア150とすることができる。
このような工程により、上層のコア配線130と下層のコア配線130とをビアホール導体となる第2コアビア160等を介して層間接続した両面に回路形成された多層配線基板110(あるいは、コア基板部120)が得られる。このような多層配線基板110をコア基板部120として、さらにこの上にビルドアップ部180(図示していない)を設けることにより、図1に示すような複数層の回路が層間接続された多層配線基板110が得られる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、特に、ビアペースト330中に含まれる有機成分を、突出部340と、非圧縮性を有する未硬化基材300の作用効果によって、ビアペースト330から外に排出する様子を説明する。そしてビアペースト330中に含まれる有機成分が低減した分、金属成分が増加し、その結果、合金化反応、更には金属間化合物の形成反応を短時間に完了させ、第2コアビア160、さらには第1コアビア150を形成できる。
図10(A)〜(B)は、ビアペースト330が充填された未硬化基材300の貫通孔320周辺の圧縮前後の模式断面図である。図10(A)は圧縮前、図10(B)は圧縮後を示している。図10(A)〜(B)は、前述の図8(A)や、図9(A)におけるビアペースト330の圧縮例を詳しく説明する断面図に相当する。
図10(A)〜(B)に示すように、ビアペースト330は、銅粉210、半田粉370、エポキシ樹脂や溶剤等の有機成分380を有している。
図10(A)に示すように、未硬化基材300に形成された貫通孔320から突出した突出部340を、銅箔360(表面を粗化処理していることが望ましい)を介して矢印350aのように押圧することにより、図10(B)のように、貫通孔320に充填されたビアペースト330が圧縮される。なお、このときビアペースト330中の有機成分380のかなりの部分を、矢印350bに示すように貫通孔320から外に押し出すことが可能となる。そして、その結果、貫通孔320に充填された銅粉210及びSn−Bi系の半田粉370の密度を、60体積%以上、74体積%以上、更には80体積%以上と高くすることができる。
なおこの効果は、未硬化基材300として、非圧縮性を有する耐熱フィルム290を用いることは有用である。これは加圧、加熱時に耐熱フィルム290に形成された貫通孔320(図示していない)が、ビアペースト330からの圧力に負けて広がったり、変形したりしにくいためである。
次に図11〜図13を用いて、ビアペースト中の有機成分を減らすメカニズムについて説明する。
図11は、電気絶縁性基材として、圧縮性を有する部材を用いた場合の課題について説明する断面図である。圧縮性を有する部材としては、例えば、ガラス繊維やアラミド繊維等を芯材とし、この芯材にエポキシ樹脂等からなる半硬化樹脂を含浸させたもの(プリプレグと呼ばれる)がある。プリプレグは、芯材の繊維間、あるいは芯材とこの芯材に含浸した半硬化樹脂との隙間、あるいは半硬化樹脂中に含まれる空隙等(例えば、空気の泡等)の存在によって、圧縮性が発現する。一方、プリプレグの硬化物は、非圧縮性を有している。これはプリプレグを加熱圧縮する際、半硬化状態の樹脂が軟化し、芯材の繊維間、芯材と樹脂との隙間、あるいは樹脂中に含まれる空隙(例えば、空気の泡等)を埋めるからである。このため、プリプレグは、圧縮性を有している。
図11において、390は芯材である。芯材390としては、ガラス繊維(ガラス織布、ガラス不織布)や、アラミド繊維(アラミド織布、アラミド不織布)等である。また400は半硬化樹脂であり、芯材390に含浸したエポキシ樹脂等を半硬化状態としたものである。410は圧縮性基材である。圧縮性基材410は、例えば、ガラス繊維等からなる芯材390と、この芯材390に含浸された半硬化樹脂400とからなり、例えば市販のプリプレグ等である。
図11に示すように、こうしたプリプレグ等の圧縮性基材410は、内部に気泡(あるいはボイド)等も有するために、加圧したときに、その厚みが10%〜30%程度圧縮されるという圧縮性を有している。
図11において、矢印350cは、ビアペースト330が矢印350aのように加圧圧縮されることで、貫通孔320の直径が増加する(あるいは貫通孔320の直径が広がる、あるいは変形する)様子を示す。
図11は、前述の図10(A)〜(B)の状態に相当する。図10における未硬化基材300の代わりに、図11に示すような圧縮性基材410を用いた場合、図11の矢印350a、350bに示すような圧力がビアペースト330に加えられ、貫通孔320の直径がビアペースト330の突出部340の体積相当分だけ大きく広がってしまう。その結果、矢印350aで示す圧力を増加しても、それ以上ビアペースト330を加圧圧縮することが難しくなる。この結果、ビアペースト330中の有機成分380を、未硬化基材300中に移動させることが難しくなる場合がある。この結果、ビアペースト330中の有機成分380の割合(例えば、体積分率)は、矢印350aによる加圧前と、加圧後では、殆ど変化しない場合がある。
例えば、球体を容器にランダムに(不規則に)入れた場合の体積分率は、『ランダム細密充填』として、最大で約64%であることが知られている(例えば、Nature 435、7195 (May 2008)、Song氏他)。
このように、電気絶縁性基材に圧縮性基材410を用いた場合、貫通孔320に充填したビアペースト330中に含まれる銅粉210や半田粉370の充填密度(更には体積分率)を高めようとしても、ランダム細密充填の点から、体積分率を高くすることが難しい。この結果、突出部340を利用して、物理的に銅粉210や半田粉370が互いに変形して面接触するように加圧圧縮しても、互いに変形して面接触してなる複数の銅粉210や複数の半田粉370の隙間に残った有機成分380を、ビアペースト330の外に追い出すことは難しい場合がある。
しかし本発明の場合、突出部340を用いて加圧するため、ランダム細密充填である約64体積%を超えた高密度充填である、74体積%以上の高密度充填が可能となるが、これは銅粉210と半田粉370が互いに変形しながら緻密化するためである。
その結果、前述の図24、図25で示すように、加圧圧縮力を増加させても、ビアホール導体中における金属部分260の体積分率の増加に限界がある場合がある。
図12〜図13は、共に電気絶縁性基材として、非圧縮性を有する部材を用いることでビアホール導体中における金属成分の体積分率を増加させる様子を断面で説明する模式図である。図12〜図13に示すようにして、ビアペースト中の流動成分(例えば、有機成分)を、ビアホール導体の外に追い出すことで、ビアホール導体中における金属部分260の体積分率を60体積%以上、更には74体積%以上に増加させることが可能となる。
図12〜図13や、前述の図10(A)(B)で示したように、未硬化基材300に、耐熱フィルム290(望ましくは厚み55μm以下)を用いることで、ビアペースト330中の流動成分(例えば、有機成分等の絶縁成分)を、ビアホール導体の外に追い出すことができ、ビアペースト330中の有機成分380の体積%を更に低減することができる。この結果、第1コアビア150や第2コアビア160を形成することが可能となる。
図12〜図13において、矢印350a、350b、350cに示すような圧力が、ビアペースト330に加えられる。しかし貫通孔320の直径が、ビアペースト330の突出部340の体積相当分だけ大きく広がらない。そのため矢印350aで示す圧力を増加すればするほど、ビアペースト330中に含まれる、銅粉210と半田粉370とが互いに変形しながらより広い面積で互いに面接触するようになる。その結果、ビアホール導体中における金属部分260の体積分率が、60体積%以上、70体積%以上、74体積%以上、更には80体積%以上、90体積%以上とすることが可能となる。こうして所定の部分に、第1コアビア150や第2コアビア160を作り分けることができる。
なお銅粉210と半田粉370とが、互いに変形しながらより広い面積で互いに面接触させるためには、銅粉210と、半田粉370との硬度を異なるようにすることも有用である。例えば、銅粉210の硬度に比べ、半田粉370の硬度を低くしておくことで、互いの粉体同士のすべり(あるいはスリップ)を低減できる。その結果、図12〜図13に示す加圧圧縮時に、半田粉370が複数の銅粉210に挟まれた状態を保ったまま変形することになり、ビアペースト330中の流動成分(例えば、有機成分等の絶縁成分)を、ビアホール導体の外に追い出すことができ、ビアペースト330中の有機成分380の体積%を更に低減することができる。このように銅粉210と半田粉370とが、互いに石垣構造を保ったまま互いに面接触することで、エジプトのピラミッドに示されるような石垣構造を、より低い圧力から形成することが可能となる。
また図12、図13に示すように、銅箔360の表面を粗化処理しておく(あるいは粗化処理した銅箔を用いる)ことで、銅箔360と半田粉370や銅粉210との接触をより確実なものとできることは言うまでもない。
ここで非圧縮性を有する部材としては、ポリイミド等の耐熱フィルム290と、この耐熱フィルム290の両側に形成された硬化性接着層280とを有する未硬化基材300がある。またプリプレグ等の硬化物と、このプリプレグ等の硬化物の両側に形成された硬化性接着層280とを有する未硬化基材300も、非圧縮性を有する部材の一つとなる。これはプリプレグが硬化することで、芯材の繊維間、芯材と樹脂との隙間、あるいは樹脂中に含まれる空隙(例えば、空気の泡等)を有していても、未硬化基材300としては圧縮性を有していない(すなわち、非圧縮性基材となる)ためである。
上述した図12に示すように、銅箔360の外から、矢印350aに示すように、ビアペースト330を加圧圧縮すると、ビアペースト330中の流動成分、すなわち有機成分380が、耐熱フィルム290の表面に設けられた硬化性接着層280の中に流れ出す。その結果、図13に示すように、ビアペースト330中の銅粉210や半田粉370の充填率が高くなる。なお図12、図13は模式図であり、銅粉210や半田粉370が互いに圧縮され、変形し、面接触した様子は図示していない。銅箔360に形成されたビアペースト330による突出部340も図示していない。
図13は、ビアペースト330中の有機成分380による圧力(矢印350c)が、硬化性接着層280からの圧力(矢印350d)に打ち勝ち、貫通孔320の外に流れ出す様子を示す。図13に示すように、耐熱フィルム290等を用いた非圧縮性基材を用いた場合、ビアペースト330中の有機成分380を、ビアペースト330の外に排出することができ、有機成分380の体積分率を大幅に低減することができる。そしてビアペースト330中に含まれる有機成分380が少なくなった分だけ、ビアペースト330中の銅粉210や半田粉370等の金属成分の体積分率を増加させられる。その結果、後述する図14(A)(B)や、図16〜図20で示すように、ビアホール導体中における金属部分260の体積分率を、60体積%以上、更に74体積%以上に高められる。そして第1コアビア150や第2コアビア160を、同一のコア絶縁層140であっても、それぞれ作り分けることができる。
なお、図12〜図13において、ビアペースト330の突出部340は図示していない。また非圧縮性基材を未硬化基材300に使用することで、圧縮の前後で貫通孔320の直径の変化が少ないため、ビアペースト330の突出に応じて、ビアペースト330を高圧縮することが可能となる。
なお、発明者らが、両面に厚み10μmの硬化性接着層280を設けた市販の耐熱フィルム290(厚み10〜50μmの市販のポリイミドフィルム)を使用して、前述の図7(A)〜(D)、図8(A)〜(C)、図9(A)〜(C)に示すようにして、図1に示す多層配線基板110を形成した場合、複数のコア配線130同士を電気的に接続するビアホール導体中において、銅粉210や半田粉370に起因する金属部分の体積%を、74.0体積%以上99.5体積%以下とすることが可能であった。また複数の配線同士を電気的に接続するビアホール導体となる第1コアビア150や第2コアビア160において、銅粉210や半田粉370を除く部分である、有機成分380の体積%を、0.5体積%以上26.0体積%以下の樹脂部分270にまで減らすことができた。なおここで樹脂部分270とは、ビアホール導体の中に含まれる樹脂部分であって、ビアペースト330中に含まれる有機成分380に限定する必要は無い。これはビアペースト330中の有機成分380と、硬化性接着層280とが互いに相溶し、あるいは溶け合っても、あるいは入れ替わっても良いからである。
このように、実施の形態4では、ビアペースト330を、非圧縮性を有する耐熱フィルム290の中に形成した貫通孔320に充填し、加圧することで、ビアペースト中の有機成分380の含有率(あるいは体積%)を更に低減し、ビアペースト中の銅粉210や半田粉370等の充填率(あるいは体積%)を増加することで、銅粉210と半田粉370との接触面積を増加させ、互いの合金化反応を促進させることができる。
(実施の形態5)
実施の形態5では、図14(A)〜(B)を用いて、有機成分の体積分率が少なくなることで、銅粉と半田粉との合金化反応が更に促進する様子を説明する。
また図14(A)〜(B)に示すように、ビアペースト330中の有機成分380を、よりいっそう低減させることで、ビアペースト330中に含まれる銅粉210と半田粉370との接触面積が増加し、より均一な合金化反応を行なうことが可能となる。
図14(A)〜(B)は、有機成分の体積分率が少なくなることで、互いに変形しながら密接した銅粉と半田粉とが互いに合金化反応する様子を模式的に示す断面図である。図14(A)は合金化反応の前の状態を、図14(B)は合金化反応の後の状態を示す。
図14(A)において、銅粉210と半田粉370とは、矢印350に示すように互いに圧縮され高密度状態に詰まっている。このとき銅粉210と半田粉370とは互いに変形し面接触していることが望ましい。互いが変形し面接触してなる面接触部分の面積が広いほど、銅粉210と半田粉370との合金化反応(更には金属間化合物の形成反応)が短時間に、かつ均一に進行するためである。
なお図14(A)において、加圧圧縮されることで、ビアペースト330中に含まれる有機成分380の体積分率は、26体積%以下(更には20体積%以下、更には10体積%以下)となっている。また図14(A)は模式図であり、銅粉210や半田粉370等が互いに圧縮され、面接触部を介して互いに密着し、変形している状態までは図示していない。
そして図14(A)に示すように、銅箔360を未硬化基材300に圧着し、銅箔360を介してビアペースト330の突出部340に所定圧力を掛けることにより、ビアペースト330を加圧し圧縮することが望ましい。こうすることで銅粉210同士や、銅粉210と半田粉370同士を互いに面接触させることで、合金化反応を促進させやすくする。
図14(A)のビアペースト330の上下面に設けた銅箔360には、突出部340を設けている。また、図14(B)のビアホール導体の上下面に設けた銅箔360は突出部が存在せず、平坦になっている。このように、合金化反応を起こしてなるビアホール導体の両面に設けた銅箔360が平坦になることが望ましい。従来においては、非圧縮性の高い部材を用いたとき、図14(A)のように突出部を設けたビアホール導体になっていたため、部品を実装する際に、不良の原因になっていたが、このように、加圧圧縮され、更に合金化反応を極めて速く進行させることで、ビアホール導体中の金属部分260の体積分率を、74.0体積%以上とするとともに、ビアホール導体を平坦にすることが可能となる。また、ビアホール導体中の樹脂部分270の体積分率を、26.0体積%以下とすることができる。なお、突出部340の大きさ(例えば、前述の図7(D)におけるh)は2μm以上、更には5μm以上、あるいは銅箔360の厚みの0.5倍以上が望ましい。突出部340の大きさが2μmより小さい場合、あるいは銅箔360の厚みの0.5倍より小さい場合、電気絶縁性基材となるコア絶縁層140に非圧縮性の部材を用いた場合であっても、銅粉210や半田粉370等の、ビアペースト330中の体積分率を74体積%以上とすることができない場合がある。
なお銅粉210や半田粉370の粒径を互いに異ならせ、あるいは異なる粒径の銅粉210同士を混合して用いることも有用であるが、こうした場合、粉の比表面積が増加し、ビアペースト330の粘度を高くしてしまう。この結果、ビアペースト330としての、銅粉210と半田粉370との合計の体積分率を高くすることができたとしても、ビアペースト330の粘度が上昇し、貫通孔320への充填性に影響を与える。
なお銅粉210と半田粉370とを互いに変形させ面接触させるには、銅粉210同士、あるいは半田粉370と銅粉210とが互いに塑性変形するまで加圧圧縮することが望ましい。またこの圧着工程において、必要に応じて加熱する(あるいは加熱を開始する)ことは有効である。これは圧着工程に続き加熱工程を行うことが有用なためである。またこの加圧圧縮の際に、非圧縮性の高い部材である未硬化基材300を用いることが有用である。非圧縮性を有する部材を用いることで、ビアペースト330中の有機成分380が、前述の図10(B)の矢印350b、図12、図13の矢印350cに示すように、貫通孔320(図示していない)の外側、すなわち硬化性接着層280の中へ排出できるからである。そしてビアペースト330中の有機成分380を硬化性接着層280等へ排出することで、貫通孔320に充填された銅粉210及びSn−Bi系の半田粉370の密度を高くする。
そして、図14(A)〜(B)の矢印350に示すように、この圧着状態を維持した状態で所定の温度で加熱し、Sn−Bi系の半田粉370の一部を溶融させることが有用である。この圧着状態を維持した状態で加熱し、半田粉370を溶解させる。圧着工程の一部に、加熱工程を設けることは有用である。また圧着工程の中で加熱を開始することで、圧着工程や加熱工程のトータル時間を短縮することができ、生産性を高められる。
図14(B)において、互いに変形し面接触している銅粉210と、半田粉370とが、合金化反応(更には金属間化合物の形成反応)を行なった後の状態である。図14(B)に示すように、ビアホール導体は金属部分260と、樹脂部分270とを含んでいることが判る。そして金属部分260は、銅を主体とする第1金属領域230と、錫−銅合金を主体とする第2金属領域240と、ビスマスを主成分とする第3金属領域250とを含む。そして金属部分260と、樹脂部分270とが、ビアホール導体を構成することが判る。
またこの合金化反応の際にも、矢印350で示す加圧圧縮を続けることが望ましい。合金化反応を起こしている間にも、矢印350で示す加圧圧縮を続けることで、合金化後の銅箔360における突出部340の高さを低くすることができる。このように合金化反応後に、突出部340の高さを合金化反応前の突出部340の高さより低くすることで、ビアホール導体に占める樹脂部分270の体積%を低減できる。またビアホール導体に起因する突出部340の高さを小さくすることで、製品となった多層配線基板110の厚みバラツキを低減できる。また多層配線基板110の平面性や平滑性を向上できるため、半導体チップ等のベアチップ実装性を高められる。
なお、銅粉210と半田粉370とが反応してなるビアホール導体である第1コアビア150において、第2金属領域は、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含むことが望ましい。そしてCu6Sn5/Cu3Snの比を0.10以下とするには、銅粉210と半田粉370との接触面積が広い方が望ましい。発明者らの実験では、合金化反応(あるいは金属間化合物の形成反応)を行なう時点において、ビアペースト330中の有機成分380の体積分率は、26体積%以下(更には20体積%以下、更には10体積%以下)が望ましい。有機成分380の体積分率が少ないほど、銅粉210と半田粉370との接触面積が大きくなり、合金化反応が均一となる。その結果、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含む第2金属領域において、Cu6Sn5/Cu3Snの比を0.10以下に抑えることができる。また、Cu6Sn5/Cu3Snの比を0.10以下に抑えることで、多層配線基板110中に含まれるCu6Sn5の割合を減らせ、信頼性評価時等において、Cu6Sn5がCu3Snに変化することを防止できる。これはCu6Sn5がCu3Snに変化する際に、ボイド5(例えば、カーケンダイルボイド等)の発生を抑制するためである。
以上のように、図14(A)〜(B)で示したように、ビアペースト330の圧縮の際、電気絶縁性基材140となる未硬化基材300には、非圧縮性の高い部材を用いることが有用である。非圧縮性を有する部材を用いることで、貫通孔320に充填された銅粉210及びSn−Bi系の半田粉370の密度が高くなる。
また圧縮を維持した状態のままで、この圧縮されたビアペースト330を加熱してSn−Bi系の半田粉370の共晶温度以上共晶温度+10℃以下の温度の範囲でSn−Bi系の半田粉370の一部分を溶融させ、引き続き、さらに共晶温度+20℃の温度以上300℃以下の温度の範囲に加熱することが有用である。こうした加圧、加熱によって、第2金属領域240の成長を促進できる。更にこれらを連続した圧着や加熱を伴う1の工程とすることは有用である。連続した1の工程で、これら各金属領域の形成反応を安定化でき、ビア自体の構造を安定化できる。
例えば図14(A)に示すように、銅粉210や半田粉370の、ビアペースト330中に占める体積%が74体積%以上になるように高圧縮しておく。なお図14は模式図であり、銅粉210や半田粉370が互いに変形した状態で密着している様子までは図示していない。そして、この状態で、ビアペースト330をSn−Bi系の半田粉370の共晶温度以上の温度にまで徐々に加熱していく。この加熱によりSn−Bi系の半田粉370の一部がその温度において溶融する組成割合で溶融する。そして、銅粉210の表面や周囲に錫、錫−銅合金及び/または錫−銅金属間化合物を主成分とする第2金属領域240が形成される。この場合において、銅粉210同士が面接触している面接触部も、第2金属領域240の一部に変化しても良い。銅粉210と溶融したSn−Bi系の半田粉370とが、互いに変形した状態で面接触することで、Sn−Bi系の半田粉370中のSnと銅粉210中のCuとが反応して、Cu6Sn5やCu3Snを含むSn−Cuの化合物層(金属間化合物)や錫−銅合金を主成分とする第2金属領域240が形成される。一方、Sn−Bi系の半田粉370は内部のSn相からSnを補われながら溶融状態を維持し続け、さらに残されたBiが析出することにより、Biを主成分とする第3金属領域250が形成される。結果として図14(B)に示すような構造を有するビアホール導体が得られる。
そしてこの状態で加熱して、Sn−Bi系の半田粉370の共晶温度以上に達するとSn−Bi系の半田粉370が部分的に溶融しはじめる。溶融する半田の組成は温度で決まり、加熱時の温度で溶融しにくいSnはSn固相体として残留する。また、溶融した半田に銅粉210が接触してその表面が溶融したSn−Bi系半田で濡れたとき、その濡れた部分の界面でCuとSnの相互拡散が進んでSn−Cuの化合物層等が形成される。このようにして、ビアホール導体に占める第2金属領域240の割合を、他の第1金属領域230や第3金属領域250より大きくできる。
一方、Sn−Cuの化合物層等の形成や、相互拡散がさらに進行することにより、溶融した半田中のSnは減少する。溶融した半田中の減少したSnはSn固体層から補填されるために溶融状態は維持し続けられる。さらにSnが減少し、SnとBiの比率がSn−58BiよりもBiが多くなるとBiが偏析しはじめ、ビスマスを主成分とする固相体として第3金属領域が析出して形成される。
なお、よく知られている比較的低温域で溶融する半田材料としては、Sn−Pb系半田、Sn−In系半田、Sn−Bi系半田などがある。これらの材料のうち、Inは高価であり、Pbは環境負荷が高いとされている。一方、Sn−Bi系半田の融点は、電子部品を表面実装する際の一般的な半田リフロー温度よりも低い140℃以下である。従って、Sn−Bi系半田のみを回路基板のビアホール導体として単体で用いた場合には、半田リフロー時にビアホール導体の半田が再溶融することによりビア抵抗が変動してしまうおそれがある。
図15は、本実施形態のビアペースト中の金属組成の一例を示す三角図である。なお本実施形態のビアペースト中の金属組成は、図15に示すように、Cu、Sn及びBiの重量組成比(Cu:Sn:Bi)が三角図において、A(0.37:0.567:0.063)、B(0.22:0.3276:0.4524)、C(0.79:0.09:0.12)、D(0.89:0.10:0.01)を頂点とする四角形で囲まれる領域とすることが望ましい。詳細については、後述する[表1]等を用いて説明する。
更に望ましくは、C(0.79:0.09:0.12)、D(0.89:0.10:0.01)、E(0.733:0.240:0.027)、F(0.564:0.183:0.253)を頂点とする四角形で囲まれる領域とすることが望ましい。C(0.79:0.09:0.12)、D(0.89:0.10:0.01)、E(0.733:0.240:0.027)、F(0.564:0.183:0.253)を頂点とする四角形で囲まれる領域とすることで、更にビア抵抗を小さくすることができる。また第2金属領域において、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含み、Cu6Sn5/Cu3Snの比を0.10以下とすることが容易となる。また、錫を主成分とする第4金属領域を、前記金属部分の0.5重量%以下とすることが容易となる。詳細については、後述する[表1]等を用いて説明する。
なおこうした金属組成のビアペーストを用いた場合には、Sn−Bi系の半田粉370の組成が共晶のSn−Bi系半田組成(Bi58%以下、Sn42%以上)よりもSn組成が多くなる、このようなビアペーストを用いることにより、Sn−Bi系半田粉の共晶温度+10℃以下の温度の範囲で半田組成中の一部が溶融する一方、溶融しないSnが残留するが、銅粉表面へ拡散・反応することによりSn−Bi系の半田粉370からSn濃度が減少することで、残留したSnが溶融する。一方で、加熱し続けて温度が上昇することによってもSnは溶融し、半田組成中の溶融しきれなかったSnはなくなり、さらに加熱を続けることにより銅粉表面との反応が進むことにより、ビスマスを主成分とする固相体として第2金属領域が析出して形成される。そして、このように第2金属領域を析出させて存在させることにより、半田リフローに供してもビアホール導体の半田が再溶融しにくくなる。さらにSn組成の多いSn−Bi組成の半田粉370を用いることによって、ビア中に残るBi相を少なくすることができるため、抵抗値の安定化を図ることができるとともに、半田リフロー後でも抵抗値の変動が起こりにくくすることができる。
圧縮後のビアペースト330を加熱する温度は、Sn−Bi系の半田粉370の共晶温度以上の温度であり、未硬化基材300の構成成分を分解しないような温度範囲であれば特に限定されない。具体的には、例えば、Sn−Bi系半田粉として共晶温度139℃のSn−58Bi半田粉を用いる場合には、はじめに139〜149℃の範囲に加熱することによりSn−58Bi半田粉370の一部分を溶融させたあと、さらに159〜230℃程度の温度範囲に徐々に加熱することが好ましい。なお、このときに温度を適切に選択することにより、ビアペースト330中に含まれる硬化性樹脂成分を硬化させることができる。
このようにして、図14(B)に示すように、複数の銅箔360間を層間接続するためのビアホール導体が形成される。なお、図14(B)において、ビアホール導体は、樹脂部分270と、金属部分260とを含む。そして、樹脂部分270は、エポキシ樹脂を含む硬化済樹脂である。また金属部分260は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域230と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域240と、ビスマスを主成分とする第3金属領域250とを含む。そして第2金属領域240は、第1金属領域230や第3金属領域250より、断面積やその体積分率、あるいは重量分率が大きい。また複数のコア配線130を形成する銅箔360同士を、第2金属領域240を介して電気的に接続する。そして第2金属領域240の中に、第1金属領域230と第3金属領域250が、互いに接触することなく点在させることで、ビアホール導体の信頼性を高める。更に第2金属領域240は、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含み、Cu6Sn5/Cu3Snの比を0.10以下とすることでビアホール導体の信頼性を高める。
次に実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は本実施例の内容により何ら限定して解釈されるものではない。
[実施例1〜12及び比較例]
はじめに、本実施例で用いた原材料を以下にまとめて説明する。
・銅粉:平均粒子径5μmの三井金属(株)製1100Y
・Sn−Bi系半田粉:組成別に[表1]に示す半田組成になるように配合して溶融させたものをアトマイズ法にて粉状化し、平均粒子径5μmに分球したものを使用した。
・エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン(株)製jeR871
・硬化剤:2−メチルアミノエタノール、沸点160℃、日本乳化剤(株)製
・樹脂シート:縦500mm×横500mm、厚み10μm〜50μmのポリイミドフィルムの両表面に厚み10μmの未硬化エポキシ樹脂層を積層したものを、それぞれ用意した。
・保護フィルム:厚み25μmのPET製シート
・銅箔(厚み25μm)
(ビアペーストの調整)
[表1]に記載した配合割合の銅粉及びSn−Bi系半田粉の金属成分とエポキシ樹脂及び硬化剤の樹脂成分とを配合し、プラネタリーミキサーで混合することにより、ビアペーストを調製した。なお、樹脂成分の配合割合は、銅粉及びSn−Bi系半田粉の合計100重量部に対して、エポキシ樹脂10重量部、硬化剤2重量部とした。
(多層配線基板の製造)
樹脂シートの両表面に保護フィルムを貼り合わせた。そして、保護フィルムを貼り合わせた樹脂シートの外側からレーザーにより直径150μmの孔を100個以上穿孔した。
次に、調製されたビアペーストを貫通孔に満充填した。そして、両表面の保護フィルムを剥離することにより、貫通孔からビアペーストの一部が突出して形成された突出部を表出させた。
次に、樹脂シートの両表面に、突出部を覆うようにして銅箔を配置した。そして、加熱プレスの一対の金型の下型の上に離形紙を介して、銅箔が配置された樹脂シートとの積層体を載置し、常温25度から最高温度220℃まで60分で昇温して220℃を60分間キープしたのち、60分間かけて常温まで冷却した。なお、プレス圧は3MPaであった。このようにして多層配線基板を得た。
(評価)
〈抵抗値試験〉
得られた多層配線基板に形成された100個のビアホール導体の抵抗値を4端子法により測定して求めた。そして、100個の初期抵抗値と最大抵抗値を求めた。なお、初期抵抗値としては2mΩ以下のものをA、2mΩを超えていたものをBと判断した。また、最大抵抗値としては3mΩ未満の場合をA、3mΩより大きい場合をBと判定した。
〈接続信頼性〉
初期抵抗値を測定した多層配線基板の500サイクルのヒートサイクル試験を行い、初期抵抗値に対する変化率が10%以下のものをA、10%を超えたものをBと判断した。
結果を[表1]に示す。また、[表1]に示した実施例及び比較例の各組成の三角図を図15に示す。なお、図15の三角図において、「丸(○)」が実施例の組成、「塗丸(●)」が本発明に係る金属組成よりもSn量に対するBi量が少ない比較例1の組成、「三角(△)」が本発明に係る金属組成よりもSn量に対するBi量が多い比較例7の組成、「四角(□)」が本発明に係る金属組成よりもCu量に対するSn量が多い比較例2、4、6、9の組成、「塗三角」が本発明に係る金属組成よりもCu量に対するSn量が少ない比較例3、5、8の組成である。
前述の図15から、初期抵抗、最大抵抗値、及び接続信頼性の全ての判定についてA評価を得られる実施例の組成は三角図中の重量比率(Cu:Sn:Bi)が、A(0.37:0.567:0.0063)、B(0.22:0.3276:0.4524)、C(0.79:0.09:0.12)、D(0.89:0.10:0.01)を頂点とする四角形で囲まれる領域の範囲であることがわかる。
更に、C(0.79:0.09:0.12)、D(0.89:0.10:0.01)、E(0.733:0.240:0.027)、F(0.564:0.183:0.253)を頂点とする四角形は、初期抵抗、最大抵抗値、及び接続信頼性の全ての判定についてA評価を得られている上、さらにビア抵抗が小さいことがわかる。このように、三角図中の重量比率(Cu:Sn:Bi)をC(0.79:0.09:0.12)、D(0.89:0.10:0.01)、E(0.733:0.240:0.027)、F(0.564:0.183:0.253)を頂点とする四角形で囲まれる領域とすることで、より低抵抗値であるCuの重量比率を多くし、ビアホールの低抵抗化を実現している。さらに、CuとSnを全て合金化反応させることで、Sn−Biの再溶融化をなくし、信頼性の高いプリント配線基板を実現している。
また、図15の「三角(△)」でプロットしたSn量に対するBi量が多い組成の領域の比較例7では、ビア中に析出するビスマス量が多くなる。Biの導体抵抗は78μΩ・cmであり、Cu(1.69μΩ・cm)、Sn(12.8μΩ・cm)や、CuとSnの化合物(Cu3Sn:17.5μΩ・cm、Cu6Sn5:8.9μΩ・cm)に比べて著しく大きい。そのためSn量に対するBi量が多い場合には抵抗値を充分に下げることができないとともに、ビスマスの点在状態により抵抗値が変わるために接続信頼性が低下する。
また、図15の「四角(□)」でプロットしたCu量に対するSn量が多い組成の領域の比較例2、4、6、9の領域では圧縮による銅粒子の面接触部の形成が不充分である。また相互拡散後に銅粒子同士の接触部にSn−Cuの化合物層が形成されてしまうために、初期抵抗値及び最大抵抗値が高くなっている。
また、図15の「塗丸(●)」でプロットしたSn量に対するBi量が少ない組成の領域の比較例1の組成では、Bi量が少ないことによりSn−Bi系半田粉の共晶温度である140℃付近で溶融する半田の量が少なくなるために、銅粒子同士の面接触部を補強するSn−Cuの化合物層が充分に形成されなくなり、接続信頼性が低下する。すなわち、Sn−5Bi半田粉を用いた比較例1の場合には、銅粒子同士の面接触部は形成されたために初期抵抗値及び最大抵抗値は高かったが、Bi量が少なかったために半田粉が溶融しにくくなって、面接触部を補強するSn−Cuの化合物層を形成するCuとSnとの反応が充分に進行しなかったと考えられる。
また、図15の「塗三角(▲)」でプロットしたCu量に対するSn量が少ない組成の領域の比較例3、5、8では、銅粒子に対するSn量が少ないために、銅粒子同士の面接触部を補強するために形成されるSn−Cuの化合物層が少なくなるために接続信頼性が低下する。
ここで、代表的に、実施例16に係るペースト(銅粉:Sn-28Bi半田の重量比率が70:30)を用いて得られた多層配線基板のビアホール導体の断面の電子顕微鏡(SEM)写真及び、そのトレース図を図16〜図20に示す。
図16は、第1コアビア150と、第2コアビア160とをコア配線130を介して、スタック状態で形成した場合について説明するSEM写真である。
図16に示すように、第2コアビア160と第1コアビア150を、互いに重なるように(あるいはスタック状態で)形成することで、スタックビアの更なる高強度化、高信頼性化が可能となる。またコア配線130となる銅箔360(図示していない)には、予め表面粗化処理を行ったものを用いることが望ましい。なおコア配線130に設けた表面粗化処理は、第1コアビア150や第2コアビア160と接触する部分で消失していても良い。また第1コアビア150や第2コアビア160と接触する面のコア配線130の表面粗さ(例えば、Ra、あるいはRz)は、コア絶縁層140と接する面のコア配線130の表面粗さに比べて小さいことは有用である。コア配線130の粗化処理面と、ビアペースト330中の半田粉370等が反応することで、コア配線130の表面粗さが小さくなる場合があるためである。
なお複数の第1コアビア150を、途中に挟んだコア配線130を介してスタック状態で形成することは有用である。スタック状態とすることで、局所的にビアペースト330の更なる高圧縮が可能となる。
図17〜図18は、第1コアビア150の断面の電子顕微鏡(SEM)写真及び、そのトレース図である。
なお、図17(A)〜(B)は3000倍、図18(A)〜(B)は6000倍であり、それぞれSEM写真(A)及びそのトレース図(B)を示している。
図17及び図18から、得られたビアホール導体は、金属充填率が95体積%以上と非常に高いことが判る。図17〜図18に示すように、複数の配線同士を電気的に接続するビアホール導体は、樹脂部分270と金属部分260とを含んでいる。なお樹脂部分270はエポキシ樹脂を含む樹脂部分である。また金属部分260は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域230と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域240と、ビスマスを主成分とする第3金属領域250とを含んでいる。そして、第2金属領域240の大きさは(更には体積もしくは重さ、断面積の一つ以上)、第1金属領域230や第3金属領域250より大きい。こうすることで、複数のコア配線130同士は、第2金属領域240を介して電気的に接続することができる。また第2金属領域240の中に、第1金属領域230と第3金属領域250を互いに接触することなく点在させることで、合金化反応(更には金属間化合物の生成反応)をムラ無く均一に行なうことができる。
図19〜図20は、第1コアビア150とコア配線130(あるいは銅箔360)との界面部分の断面の電子顕微鏡(SEM)写真及び、そのトレース図である。
図19〜図20に示すように、第1コアビア150とすることで、コア配線130(あるいは銅箔360)と第1コアビア150との接続をより確実なものとできる。なお図19〜20は、コア配線130(あるいは銅箔360)と第1コアビア150との接続を示すが、第1コアビア150の代わりに、第2コアビア160としても同様な接続が可能のとなる。このように、コア配線130(あるいは銅箔360)とコア部分のビアとの接続は用途によって、第1コアビア150や第2コアビア160を使い分けることが有用である。
図21は、発明者らが作成したビアホール導体のX線回折による分析結果の一例を示すグラフを示す図である。図21において、[I]で示すピークはCu(銅)である。[II]で示すピークはBi(ビスマス)である。[III]で示すピークは錫(Sn)である。[IV]で示すピークは、金属間化合物Cu3Snである。[V]で示すピークは、金属間化合物Cu6Sn5である。
図21は、ビアホール導体に対する処理温度(25℃、150℃、175℃、200℃)における測定結果を1枚にまとめている。なお図21においてX軸は2θ(単位は度)、Y軸は強度(単位は任意)である。
なお測定に用いた試料は、ビアペーストからなるペレットを作製し、このペレットの処理温度を変化させて、各測定サンプルとした。またX線回折には、株式会社リガク製のRINT−2000を用いた。
図21のX線回折(XRD、X-Ray Diffraction)のグラフより、サンプル温度が25℃の場合は、Cu(I)、Bi(II)、Sn(III)のピークは検出されるが、Cu3Sn(IV)やCu6Sn5(V)のピークは検出されていないことが判る。
図21のサンプル温度が150℃のグラフより、Cu(I)、Bi(II)、Sn(III)のピークに加えて、僅かであるがCu6Sn5(V)のピークが現れていることが判る。
このように、本実施の形態で示すように、更には、前述の図10(B)や、図13、図14(A)(B)で示すように、貫通孔からビアペーストの一部が突出した突出部を表出させ、この突出部を覆うように、金属箔を配置し、ビアペースト中に含まれているCu粉や半田粉からなる金属粉同士が互いに変形するまで圧着させ、更にビアペースト中に含まれている樹脂の一部を電気絶縁性基材側へ流動させることにより、前記ビアペーストを、74.0体積%以上99.5体積%以下の金属部分と、0.5体積%以上26.0体積%以下の樹脂部分とすることで、こうした合金化反応(更には金属間化合物化反応)を安定して行なうことができる。そしてこうして作製した第1コアビア150は、樹脂部分が少ない分、物理的強度が高い。
なおコアビアの全てを、第1コアビア150とする必要はない。第2コアビア160、第1コアビア150と、一つの多層配線基板110の中で使い分けることは有用である。
図21のサンプル温度が175℃のグラフより、Cu(I)、Bi(II)、Cu6Sn5(V)のピークに加え、Cu3Sn(IV)のピークが現れていることが判る。またSn(III)のピークは殆ど無くなっている。以上より、Cu粉とSn−Biの半田粉との合金化反応、更には金属間化合物の形成反応が、均一に進んでいることが判る。このように、前述の図10(B)や、図13、図14(A)(B)で示すように、貫通孔320からビアペースト330の一部が突出した突出部340を表出させ、この突出部340を覆うように、銅箔360を配置し、ビアペースト330中に含まれている銅粉210や半田粉370からなる金属粉同士が互いに変形するまで圧着させ、更にビアペースト330中に含まれている樹脂の一部を電気絶縁性基材側へ流動させることが有用である。こうすることで、ビアペースト330を、74.0体積%以上99.5体積%以下の金属部分260と、0.5体積%以上26.0体積%以下の樹脂部分270とすることができ、合金化反応(更には金属間化合物化反応)を安定して行なうことができる。
図21のサンプル温度が200℃のグラフより、Cu(I)、Bi(II)、Cu3Sn(IV)のピークは検出されるが、Sn(III)や、Cu6Sn5(V)のピークが消えていることが判る。以上より、Cu粉とSn−Biの半田粉との合金化反応、更には金属間化合物の形成反応が進み、CuとSn−Bi半田粉との合金化反応、更には金属間化合物の反応は、Cu3Sn(IV)の生成で安定化したことが判る。
以上のように、本実施の形態が示すように、金属間化合物をCu6Sn5(V)ではなくて、より安定したCu3Sn(IV)とすることでビアペースト330が圧縮され、合金化してなるビアホール導体の高信頼性化が可能となる。
なお以上のような反応を、より均一に行なうためには、前述の図10(B)や、図13、図14(A)(B)で示すように、貫通孔320からビアペースト330の一部が突出してなる突出部340を表出させることが有用である。
そしてこの突出部340を覆うように、銅箔360を配置し、ビアペースト330中に含まれている銅粉210や半田粉370からなる金属粉同士が互いに変形するまで圧着させることが有用である。更にビアペースト330中に含まれている樹脂等の一部を、ビアペースト330の外部へ流動させることにより、ビアペースト330を、74.0体積%以上99.5体積%以下の金属部分と、0.5体積%以上26.0体積%以下の樹脂部分とすることが可能となる。こうすることで、金属間化合物をCu6Sn5(V)から、より安定したCu3Sn(IV)とする合金化反応(あるいは金属間化合物化反応)を、より安定して行なうことができる。
なお耐熱フィルム290の厚みは、3μm以上55μm以下(更には50μm以下、更には35μm以下)が望ましい。なお耐熱フィルムの厚みが3μm未満の場合、フィルム強度が低下し、ビアペースト330の圧縮効果が得られない場合がある。55μmを超えると、銅粉210と半田粉370との高圧縮が得られない場合がある。
また耐熱フィルム290の表面に設ける硬化性接着層280の厚みは、片側で1μm以上15μm以下が望ましい。1μm未満の場合、所定の密着強度が得られない場合がある。また15μmを超えると、ビアペースト330の圧縮効果が得られない場合がある。なお、耐熱フィルム290単体の厚みの方が、片側の硬化性接着層280の厚みより厚い方が有用である。
発明者らの実験では、耐熱フィルム290の厚みが75μmの場合、ビアホール導体中に占める金属部分260の体積%を60体積%〜70体積%程度までしか増加させることができなかったが、耐熱フィルム290の厚みが50μm(両面にそれぞれ厚み10μmの硬化性接着層280を形成したので、トータル厚みは70μmとなった)の場合、80〜82体積%が実現できた。また耐熱フィルム290の厚みが40μm(両面にそれぞれ厚み10μmの硬化性接着層280を形成したので、トータル厚みは60μmとなった)の場合、83〜85体積%が実現できた。耐熱フィルム290の厚みが30μm(両面にそれぞれ厚み10μmの硬化性接着層280を形成したので、トータル厚みは50μmとなった)の場合、89〜91体積%が実現できた。更に耐熱フィルム290の厚みが20μm(両面にそれぞれ厚み10μmの硬化性接着層280を形成したので、トータル厚みは40μmとなった)の場合、87〜95体積%が実現できた。更に耐熱フィルムの厚みが10μm(両面にそれぞれ厚み10μmの硬化性接着層280を形成したので、トータル厚みは30μmとなった)の場合、98〜99.5体積%が実現できた。
一方、比較品として試作したサンプル(耐熱フィルムの厚み75μm、両側の硬化性接着層の厚みがそれぞれ10μmずつ)の場合、ビアホール導体中に占める金属部分260の体積%を60体積%〜70体積%程度までしか増加させることができなかった。
以上より、耐熱フィルム290の厚みが55μm以下となることで、その体積%が急激に増加することが判る。
以上のように、多層配線基板110において、第1コアビア150、第2コアビア160を組合せることは有用である。また第1コアビア150、第2コアビア160に加え、第3コアビアとしてメッキによるビア、あるいは金属粉の圧接によるビア等を組み合わせることも有用である。
なお第1コアビア150、第2コアビア160の作り方は、上述した製造方法に限定する必要は無い。また第1コアビア150、第2コアビア160を、敢えて互いに区別する必要もない。これは第1コアビア150、第2コアビア160は、共に金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含み、Cu6Sn5/Cu3Snの比が0.10以下であるからである。
更に第1コアビア150、第2コアビア160は、共に金属部分260中のCu、Sn及びBiの重量組成比(Cu:Sn:Bi)が、図15に示す三角図において、A(0.37:0.567:0.063)、B(0.22:0.3276:0.4524)、C(0.79:0.09:0.12)、D(0.89:0.10:0.01)を頂点とする四角形で囲まれる領域にあるためである。
本発明によれば、携帯電話等に使われる多層配線基板の更なる低コスト化、小型化、高機能化、高信頼性化が実現できる。またビアペースト側からも、ビアの小径化ビアペーストの反応物の形成に最適なものを提案することで、多層配線基板の小型化、高信頼性化に貢献する。
110 多層配線基板
120 コア基板部
130 コア配線
140、140a、140b、140c コア絶縁層
150 第1コアビア
160 第2コアビア
170 第3コアビア
180 ビルドアップ部
190 ビルド配線
200 ビルド絶縁層
210 銅粉
220 面接触部
230 第1金属領域
240 第2金属領域
250 第3金属領域
260 金属部分
270 樹脂部分
280 硬化性接着層
290 耐熱フィルム
300 未硬化基材
310 保護フィルム
320 貫通孔
330 ビアペースト
340 突出部
350、350a、350b、350c 矢印
360 銅箔
370 半田粉
380 有機成分
390 芯材
400 半硬化樹脂
410 圧縮性基材

Claims (10)

  1. 電気絶縁性基材と、
    前記電気絶縁性基材を介して配設された複数の配線と、
    前記電気絶縁性基材を貫通するように設けられた前記複数の配線同士を電気的に接続する複数のビアホール導体と、を有するコア基板部と、
    このコア基板部の上に形成されたビルドアップ部と、を有する多層配線基板であって、
    前記複数のビアホール導体の内、少なくとも一つ以上の前記ビアホール導体は、樹脂部分と、金属部分とを含み、
    前記樹脂部分は、エポキシ樹脂を含む硬化済樹脂であり、
    前記金属部分は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域と、ビスマスを主成分とする第3金属領域とを含み、
    前記第2金属領域は、前記第1金属領域や前記第3金属領域より大きく、
    前記複数の配線同士は、前記第2金属領域を介して電気的に接続され、
    前記第2金属領域の中に、前記第1金属領域と、前記第3金属領域が、互いに接触することなく点在し、
    前記第2金属領域は、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含み、Cu6Sn5/Cu3Snの比が0.10以下であることを特徴とする多層配線基板。
  2. 電気絶縁性基材と、
    前記電気絶縁性基材を介して配設された複数の配線と、
    前記電気絶縁性基材を貫通するように設けられた前記複数の配線同士を電気的に接続する複数のビアホール導体と、を有するコア基板部と、
    このコア基板部の上に形成されたビルドアップ部と、を有する多層配線基板であって、
    前記複数のビアホール導体の内、少なくとも一つ以上の前記ビアホール導体は、樹脂部分と、金属部分とを含み、
    前記樹脂部分は、エポキシ樹脂を含む硬化済樹脂であり、
    前記金属部分は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域と、ビスマスを主成分とする第3金属領域とを含み、
    前記第2金属領域は、前記第1金属領域や前記第3金属領域より大きく、
    前記複数の配線同士は、前記第2金属領域を介して電気的に接続され、
    前記第2金属領域の中に、前記第1金属領域と、前記第3金属領域が、互いに接触することなく点在し、
    前記金属部分は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域と、ビスマスを主成分とする第3金属領域とを含み、錫を主成分とする第4金属領域は、前記金属部分の0.5重量%以下であることを特徴とする多層配線基板。
  3. 前記金属部分中のCu、Sn及びBiの重量組成比(Cu:Sn:Bi)が、三角図において、A(0.37:0.567:0.063)、B(0.22:0.3276:0.4524)、C(0.79:0.09:0.12)、D(0.89:0.10:0.01)を頂点とする四角形で囲まれる領域にあることを特徴とする請求項1〜2の何れか1項に記載の多層配線基板。
  4. 前記ビアホール導体は、74.0体積%以上99.5体積%以下の金属部分と、0.5体積%以上26.0体積%以下の樹脂部分を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の多層配線基板。
  5. 前記ビアホール導体中の前記第1金属領域と、前記第2金属領域との合計の重量割合が20〜90%の範囲である請求項1〜4の何れか1項に記載の多層配線基板。
  6. 前記樹脂部分はエポキシ樹脂硬化物を含む請求項1〜5の何れか1項に記載の多層配線基板。
  7. 前記ビアホール導体の比抵抗が1.00×10-7Ω・m〜5.00×10-7Ω・mであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の多層配線基板。
  8. 前記絶縁性基材は、厚み55μm以下の耐熱フィルムとその一面以上に形成された熱硬化性接着層とからなることを特徴とする請求項1〜2の何れか1項に記載の多層配線基板。
  9. 少なくともコア基板部もしくはビルドアップ部のいずれか一つ以上にビアホール導体を有した多層配線基板の製造方法であって、
    少なくとも、プリプレグまたは電気絶縁性基材の両側に熱硬化性樹脂層を介して保護フィルムを付与する保護フィルム付与工程と、
    前記保護フィルムで被覆された耐熱フィルムに、前記保護フィルムの外側から穿孔することにより、貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
    前記貫通孔に、少なくとも銅粉と半田粉とを含む金属粉と樹脂とを含む、ビアペーストを充填する充填工程と、
    前記充填工程の後、保護フィルムを剥離することにより、前記貫通孔から前記ビアペーストの一部が突出した突出部を表出させる突出部形成工程と、
    前記突出部を覆うように、前記耐熱フィルムの表面に金属箔を配置する配置工程と、
    前記金属箔を前記耐熱フィルムの表面に圧着させ、同時に、前記金属粉が互いに変形するまで圧着させることで、前記樹脂の一部を前記電気絶縁性基材側へ流動させることにより、前記ビアペースト中の前記樹脂を低減する圧着工程と、
    前記圧着工程の後、加熱し、第2金属領域を、金属間化合物Cu6Sn5と金属間化合物Cu3Snを含むと共に、Cu6Sn5/Cu3Snを0.10以下とする加熱工程と、を備えている多層配線基板の製造方法。
  10. 少なくともコア基板部もしくはビルドアップ部のいずれか一つ以上にビアホール導体を有した多層配線基板の製造方法であって、
    少なくとも、プリプレグまたは電気絶縁性基材の両側に熱硬化性樹脂層を介して保護フィルムを付与する保護フィルム付与工程と、
    前記保護フィルムで被覆された耐熱フィルムに、前記保護フィルムの外側から穿孔することにより、貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
    前記貫通孔に、少なくとも銅粉と半田粉とを含む金属粉と樹脂とを含む、ビアペーストを充填する充填工程と、
    前記充填工程の後、保護フィルムを剥離することにより、前記貫通孔から前記ビアペーストの一部が突出した突出部を表出させる突出部形成工程と、
    前記突出部を覆うように、前記耐熱フィルムの表面に金属箔を配置する配置工程と、
    前記金属箔を前記耐熱フィルムの表面に圧着させ、同時に、前記金属粉が互いに変形するまで圧着させることで、前記樹脂の一部を前記電気絶縁性基材側へ流動させることにより、前記ビアペースト中の前記樹脂を低減する圧着工程と、
    前記圧着工程の後、加熱し、前記金属部分は、少なくとも銅を主成分とする第1金属領域と、錫−銅合金を主成分とする第2金属領域と、ビスマスを主成分とする第3金属領域とを含み、錫を主成分とする第4金属領域は、前記金属部分の0.5重量%以下とすることを特徴とする多層配線基板の製造方法。
JP2012005793A 2012-01-16 2012-01-16 多層配線基板とその製造方法 Pending JP2013145815A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012005793A JP2013145815A (ja) 2012-01-16 2012-01-16 多層配線基板とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012005793A JP2013145815A (ja) 2012-01-16 2012-01-16 多層配線基板とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013145815A true JP2013145815A (ja) 2013-07-25

Family

ID=49041460

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012005793A Pending JP2013145815A (ja) 2012-01-16 2012-01-16 多層配線基板とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013145815A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5099272B1 (ja) 多層配線基板とその製造方法
JP5382270B1 (ja) 配線基板とその製造方法
JP4859999B1 (ja) 多層配線基板、多層配線基板の製造方法、及びビアペースト
JP4917668B1 (ja) 多層配線基板、多層配線基板の製造方法
JP4713682B1 (ja) 多層配線基板、及び多層配線基板の製造方法
JP4795488B1 (ja) 配線基板、配線基板の製造方法、及びビアペースト
JP4616927B1 (ja) 配線基板、配線基板の製造方法、及びビアペースト
JP5333702B1 (ja) フレキシブル配線基板とその製造方法と、これを用いた実装製品と、フレキシブル多層配線基板
JP5130661B2 (ja) 部品内蔵配線板、部品内蔵配線板の製造方法。
JP2015032807A (ja) 合金ビアペーストと合金ビアペーストを用いた配線基板の製造方法
JP2020053524A (ja) 回路基板及び部品実装基板、並びに、それらの製造方法
JP2015032806A (ja) 合金ビアペーストと合金ビアペーストを用いた配線基板の製造方法
JP2013145815A (ja) 多層配線基板とその製造方法
JP2012138417A (ja) 多層配線基板及びその製造方法
WO2013099204A1 (ja) 配線基板とその製造方法
JP5526818B2 (ja) プリント配線板
JP6476562B2 (ja) 配線基板および配線基板の製造方法
JP2002151839A (ja) 両面回路基板の製造方法および多層配線基板
JP2012151228A (ja) 複合配線基板及び複合配線基板の製造方法