JP2013143432A - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】RFバイアス機能の制御性を向上させるとともに、対向電極と接地電位間の高周波伝送路上で不所望な共振が発生するのを確実に防止してプラズマプロセスの信頼性を向上させる。
【解決手段】この容量結合型プラズマ処理装置は、第1、第2および第3高周波電源35,36,38より3種類の高周波RF1,RF2,RF3を重畳してサセブタ(下部電極)16に印加する。かかる3周波重畳印加方式において、プラズマプロセスに関係または影響する主だった周波数を全部考慮に入れ、上部電極48回りの高周波伝送路上の周波数−インピーダンス特性に工夫を凝らすことにより、該高周波伝送路上で直列共振が起きるのを防止している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被処理基板にプラズマ処理を施す技術に係わり、特に容量結合型のプラズマ処理装置に関する。
半導体デバイスやFPD(Flat Panel Display)の製造プロセスにおけるエッチング、堆積、酸化、スパッタリング等の処理では、処理ガスに比較的低温で良好な反応を行わせるためにプラズマが多く利用されている。この種のプラズマプロセスにおいては、真空の処理容器内で処理ガスを放電または電離させるために、高周波(RF)やマイクロ波が使用されている。
容量結合型のプラズマ処理装置においては、処理容器内に上部電極と下部電極とを平行に配置し、下部電極の上に被処理基板(半導体ウエハ、ガラス基板等)を載置し、上部電極もしくは下部電極にプラズマ生成に適した周波数(通常13.56MHz以上)の高周波を印加する。この高周波の印加によって相対向する電極間に生成された高周波電界により電子が加速され、電子と処理ガスとの衝突電離によってプラズマが発生する。そして、このプラズマに含まれるラジカルやイオンの気相反応あるいは表面反応によって、基板上に薄膜が堆積され、あるいは基板表面の素材または薄膜が削られる。
このように、プラズマプロセスでは、基板に入射するラジカルとイオンが重要な役割を果たす。特に、イオンは、基板に入射する際の衝撃によって物理的な作用を奏する点が重要である。
従来より、プラズマプロセスにおいては、基板を載置する下部電極に低い周波数(通常13.56MHz以下)の高周波を印加し、下部電極上に発生する負のバイアス電圧またはシース電圧によりプラズマ中のイオンを加速して基板に引き込むRFバイアス法が多く用いられている。このようにプラズマからイオンを加速して基板表面に衝突させることにより、表面反応、異方性エッチング、あるいは膜の改質等を促進することができる。
特開平7−302786
上記のようなRFバイアスの機能を搭載する従来の容量結合型プラズマ処理装置は、下部電極に印加するイオン引き込み用の高周波を1種類(単一周波数)に限定し、その高周波のパワー、下部電極上の自己バイアス電圧あるいはシース電圧を制御パラメータとしている。
しかしながら、本発明者がプラズマプロセスの技術開発の中でRFバイアスの作用について研究を重ねたところ、イオン引き込み用に単一の高周波を用いる従来方式は、複合的なプロセス特性を求められる最先端のプラズマプロセスにおいてはイオンエネルギー分布の制御性に難があることが分かってきた。
より詳細には、イオン引き込み用に単一の高周波を用いたときに基板に入射するイオンのエネルギー分布(IED:Ion Energy Distribution)を解析すると、図15A〜図15Cおよび図16A〜図16Cに示すように、定型的に、連続したエネルギーバンドの中に全ての入射イオンのエネルギーが収まり、最大エネルギー付近および最小エネルギー付近にイオンが多く集中する(ピークが現れる)。したがって、イオンエネルギーの平均値だけでなく、イオンが多く集中する最大エネルギーおよび最小エネルギーを自在に可変できれば、プラズマプロセスにおいて求められるRFバイアス機能の制御性の向上が見込まれるのであるが、単一の高周波を用いた場合では、上述のようなイオンが多く集中する最大エネルギーおよび最小エネルギーを自在に可変できることはない。
従来方式によれば、イオン引き込み用に低めの周波数たとえば0.8MHzの高周波を用いた場合、そのRFパワーを可変すると、イオンエネルギー分布特性は、図15A(低パワー)、図15B(中パワー)、図15C(高パワー)に示すように変化する。すなわち、最小エネルギーが略0eVに固定されたまま、最大エネルギーがRFパワーに比例して1000eV(図15A)、2000eV(図15B)、3000eV(図15C)と変化する。
しかし、イオン引き込み用に高めの周波数たとえば13MHzの高周波を用いた場合は、そのRFパワーを可変すると、イオンエネルギー分布特性は、図16A(低パワー)、図16B(中パワー)、図16C(高パワー)に示すように変化する。すなわち、最大エネルギーがRFパワーに比例して650eV、1300eV、1950eVと変化する一方で、最小エネルギーもRFパワーに比例して350eV、700eV、1050eVと変化する。
図15A〜図15Cおよび図16A〜図16Cのイオンエネルギー分布特性はAr+イオンについてのものであるが、他のイオンでも同様の特性(パターン)が見られる。
このように、従来方式においては、イオンエネルギー分布の最大エネルギーまたは平均エネルギーを任意に可変することはできても、最大エネルギーから独立して最小エネルギーを任意に可変することはできない。したがって、たとえば図16Cの仮想線(一点鎖線)Kで示すようなイオンエネルギー分布特性を実現することはできない。そのことによって、たとえばHARC(High Aspect Ratio Contact)のプラズマエッチングにおいてエッチング速度および選択比とエッチング形状との間のトレードオフを巧みに回避できないことが問題となっている。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するものであり、RFバイアス機能の制御性を向上させるとともに、対向電極と接地電位間の高周波伝送路上で不所望な共振が発生するのを確実に防止してプラズマプロセスの信頼性を向上させるプラズマ処理装置を提供する。
本発明のプラズマ処理装置は、被処理基板を出し入れ可能に収容する真空排気可能な処理容器内に相対向して設けられた第1および第2の電極の間の処理空間で処理ガスの高周波放電によるプラズマを生成し、前記プラズマの下で前記第1の電極上に保持される前記基板に所望の処理を施すプラズマ処理装置であって、第1の周波数f1を有する第1の高周波を前記第1の電極に印加する第1の高周波給電部と、第2の周波数f2を有する第2の高周波を前記第1の電極に印加する第2の高周波給電部と、第3の周波数f3を有する第3の高周波を前記第1の電極に印加する第3の高周波給電部と、前記第2の電極と接地電位の部材との間に接続されるフィルタ回路とを有し、f1は100kHz〜6MHz、f2は6MHz〜40MHzおよびf3は40MHz〜300MHzであって、2f1<f2かつ2f2<f3の関係が成立し、3f2<f3の場合は、(f1+f2)をA、2f2と(f3−f2)のうち低い方をBとすると、前記処理空間と前記第2の電極との境界面から前記第2の電極を介して接地電位に至るまでの高周波伝送路を見込んだときの周波数−インピーダンス特性において、f1<f≦AおよびB≦f<f3の周波数範囲ではいかなる共振周波数も存在せず、A<f<Bの周波数範囲ではfs<fpの関係で1つの直列共振周波数fsと1つの並列共振周波数fpが存在するように、前記フィルタ回路が構成され、3f2>f3の場合は、(f3−f2)と(f1+f2)のうち高い方をA、2f2と(f3−f1)のうち低い方をBとすると、前記処理空間と前記第2の電極との境界面から前記第2の電極を介して接地電位に至るまでの高周波伝送路を見込んだときの周波数−インピーダンス特性において、f1<f≦AおよびB≦f<3f2(またはf3)の周波数範囲ではいかなる共振周波数も存在せず、A<f<Bの周波数範囲ではfs<fpの関係で1つの直列共振周波数fsと1つの並列共振周波数fpが存在するように、前記フィルタ回路が構成される。
上記の構成においては、被処理基板を載置する第1の電極にイオン引き込みに適した第1および第2の周波数をそれぞれ有する第1および第2の高周波を重畳して印加することより、プラズマから基板に入射するイオンのエネルギー分布において最小エネルギーおよび最大エネルギーを独立に制御することが可能であり、さらにはイオンエネルギー分布特性の形状を凹型やフラット型にすることも可能であり、多種多様なプロセス特性あるいは複合的なプロセス特性に対してイオンエネルギー分布特性を最適化し、ひいてはプロセス特性を最適化することができる。
一方で、プラズマは概して非線形な負荷であるため、容量結合型プラズマ処理装置のチャンバ内では、各基本波の整数倍の周波数を有する高調波や、基本波同士あるいは基本波と高調波との和または差の周波数を有するIMD(混変調歪)が不可避的に発生する。これらの高調波やIMDは、そのパワーが大きいほど基本波のパワーを食い、さらには大きな電流でフィルタ回路を流れると回路素子を焼損させることもある。容量結合型プラズマ処理装置において、これらの望ましくない現象は、チャンバ内のプラズマから対向電極(第2の電極)を介して接地電位に至るまでの高周波伝送路上でいずれかの高調波またはIMDに対して直列共振が起きるときに、顕著に現れる。もちろん、該高周波伝送路上でいずれかの基本波に対して直列共振が起きるときも、フィルタ回路内のインピーダンス素子を焼損させるおそれがあり、望ましくない。
本発明のプラズマ処理装置においては、フィルタ回路を通じて第2の電極回りの高周波伝送路上に上記のような周波数−インピーダンス特性を構築することにより、プロセス条件をどのように設定しても、第2の電極回りの高周波伝送路上で直列共振が発生する可能性を皆無にすることができる。したがって、基本波のパワーが高調波またはIMDに変換されて損失を招くこともなければ、フィルタ回路内の回路素子が大電流によって焼損するようなこともない。
本発明のプラズマ処理方法またはプラズマ処理装置によれば、上記のような構成および作用により、RFバイアス機能の制御性を向上させるとともに、対向電極と接地電位間の高周波伝送路上で不所望な共振が発生するのを確実に防止してプラズマプロセスの信頼性を向上させることができる。
本発明の一実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図である。 実施形態の2周波RFバイアス法におけるシース電圧およびイオン応答電圧の波形を示す図である。 実施形態で用いる変換関数を示す図である。 単周波RFバイアス法におけるイオンエネルギー分布およびイオン応答電圧を示す図である。 2周波RFバイアス法におけるイオンエネルギー分布およびイオン応答電圧を示す図である。 実施形態において、イオンエネルギー分布の最大エネルギーを固定したまま最小エネルギーを一定範囲内で任意に調節できる機能を示す図である。 イオンエネルギー分布の最大エネルギーを固定したまま最小エネルギーを一定範囲内で任意に調節できる機能を示す図である。 イオンエネルギー分布の最大エネルギーを固定したまま最小エネルギーを一定範囲内で任意に調節できる機能を示す図である。 実施形態において、イオンエネルギー分布の最小エネルギーを固定したまま最大エネルギーを一定範囲内で任意に調節できる機能を示す図である。 イオンエネルギー分布の最小エネルギーを固定したまま最大エネルギーを一定範囲内で任意に調節できる機能を示す図である。 イオンエネルギー分布の最小エネルギーを固定したまま最大エネルギーを一定範囲内で任意に調節できる機能を示す図である。 実施形態において、エネルギー中心値を固定したまま、エネルギーバンドの幅を一定範囲内で任意に可変できる機能を示す図である。 エネルギー平均値(中心値)を固定したままエネルギーバンドの幅を一定範囲内で任意に可変できる機能を示す図である。 エネルギー平均値を固定したままエネルギーバンドの幅を一定範囲内で任意に可変できる機能を示す図である。 エネルギー平均値を固定したままエネルギーバンドの幅を一定範囲内で任意に可変できる機能を示す図である。 エネルギー平均値を固定したままエネルギーバンドの幅を一定範囲内で任意に可変できる機能を示す図である。 実施形態の2周波バイアス法における周波数の組み合わせ方法を説明するための図である。 一実施例においてプラズマプロセスに関係または影響する主な周波数の分布を示す図である。 実施形態におけるフィルタ回路単体の回路構成を示す回路図である。 上部電極回りの高周波伝送路の回路構成を示す回路図である。 上記高周波伝送路の周波数−インピーダンス特性を示す図である。 別の実施例においてプロセスに関係または影響する主な周波数の分布を示す図である。 低めの周波数を用いる従来の単周波バイアス法においてRFパワーを低くしたときに得られるイオンエネルギー分布を示す図である。 低めの周波数を用いる従来の単周波バイアス法においてRFパワーを中位の値に選んだときに得られるイオンエネルギー分布を示す図である。 低めの周波数を用いる従来の単周波バイアス法においてRFパワーを高くしたときに得られるイオンエネルギー分布を示す図である。 高めの周波数を用いる従来の単周波バイアス法においてRFパワーを低くしたときに得られるイオンエネルギー分布を示す図である。 高めの周波数を用いる従来の単周波バイアス法においてRFパワーを中位の値に選んだときに得られるイオンエネルギー分布を示す図である。 高めの周波数を用いる従来の単周波バイアス法においてRFパワーを高くしたときに得られるイオンエネルギー分布を示す図である。
以下、図1〜図14を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
[装置全体の構成]
図1に、本発明の一実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す。このプラズマ処理装置は、下部3周波印加方式の容量結合型プラズマエッチング装置として構成されており、たとえば表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなる円筒形の真空チャンバ(処理容器)10を有している。チャンバ10は接地されている。
チャンバ10の底部には、セラミックなどの絶縁板12を介して円柱状のサセプタ支持台14が配置され、このサセプタ支持台14の上にたとえばアルミニウムからなるサセプタ16が設けられている。サセプタ16は下部電極を構成し、この上に被処理基板としてたとえば半導体ウエハWが載置される。
サセプタ16の上面には、半導体ウエハWを静電吸着力で保持するための静電チャック18が設けられている。この静電チャック18は導電膜からなる電極20を一対の絶縁層または絶縁シートの間に挟み込んだものであり、電極20には直流電源22がスイッチ24を介して電気的に接続されている。直流電源22からの直流電圧により、半導体ウエハWを静電気力で静電チャック18に吸着保持できるようになっている。静電チャック18の周囲でサセプタ16の上面には、エッチングの面内均一性を向上させるためのたとえばシリコンからなるフォーカスリング26が配置されている。サセプタ16およびサセプタ支持台14の側面にはたとえば石英からなる円筒状の内壁部材28が貼付けられている。
サセプタ支持台14の内部には、たとえば円周方向に延びる冷媒室または冷媒通路30が設けられている。この冷媒通路30には、外付けのチラーユニット(図示せず)より配管32a,32bを介して所定温度の冷媒たとえば冷却水cwが循環供給される。冷媒cwの温度によってサセプタ16上の半導体ウエハWの処理温度を制御できるようになっている。さらに、伝熱ガス供給機構(図示せず)からの伝熱ガスたとえばHeガスが、ガス供給ライン34を介して静電チャック18の上面と半導体ウエハWの裏面との間に供給される。
サセプタ16には、第1、第2および第3高周波電源35,36,38がそれぞれ整合器40,42,43および下部給電導体44,45,46を介して電気的に接続されている。下部給電導体44,45,46は共通の導体たとえば給電棒であってもよい。
第1高周波電源35は、サセプタ16上の半導体ウエハWにプラズマのイオンを引き込むのに適した低めの周波数f1(100kHz〜6MHz)を有する第1高周波RF1を可変のパワーで出力するように構成されている。第2高周波電源36は、サセプタ16上の半導体ウエハWにプラズマのイオンを引き込むのに適した高めの周波数f2(6MHz〜40MHz)を有する第2高周波RF2を可変のパワーで出力するように構成されている。第3高周波電源38は、処理ガスの容量結合による高周波放電つまりプラズマ生成に適した周波数f3(40MHz〜300MHz)を有する第3高周波RF3を可変のパワーで出力するように構成されている。なお、第1高周波RF1と第2高周波RF2とを同時に印加する場合はf1<f2の関係でRF1,RF2が重畳され、第2高周波RF2と第3高周波RF3とを同時に印加する場合はf2<f3の関係でRF2,RF3が重畳されるようになっている。
サセプタ16の上方には、このサセプタと平行に対向して上部電極48が設けられている。この上部電極48は、多数のガス噴出孔50aを有するたとえばSi、SiCなどの半導体材料からなる電極板50と、この電極板50を着脱可能に支持する導電材料たとえば表面がアルマイト処理されたアルミニウムからなる電極支持体52とで構成されており、チャンバ10の上部にリング状の絶縁体54を介して取り付けられている。この上部電極48とサセプタ16との間にプラズマ生成空間または処理空間PSが設定されている。リング状絶縁体54は、たとえばアルミナ(Al23)からなり、上部電極48の外周面とチャンバ10の側壁との間の隙間を気密に塞いでおり、上部電極48を非接地で物理的に支持する。電気的には、リング状絶縁体54を挟んで上部電極48とチャンバ10との間に固定値の静電容量(以下「電極浮遊容量」と称する。)ECが形成されている。
電極支持体52は、その内部にガスバッファ室56を有するとともに、その下面にガスバッファ室56から電極板50のガス噴出孔50aに連通する多数のガス通気孔52aを有している。ガスバッファ室56にはガス供給管58を介して処理ガス供給源60が接続されており、ガス供給管58にマスフローコントローラ(MFC)62および開閉バルブ64が設けられている。処理ガス供給源60より所定の処理ガスがガスバッファ室56に導入されると、電極板50のガス噴出孔50aよりサセプタ16上の半導体ウエハWに向けて処理空間PSに処理ガスがシャワー状に噴出されるようになっている。このように、上部電極48は処理空間PSに処理ガスを供給するためのシャワーヘッドを兼ねている。
サセプタ16およびサセプタ支持台14とチャンバ10の側壁との間に形成される環状の空間は排気空間となっており、この排気空間の底にはチャンバ10の排気口72が設けられている。この排気口72に排気管74を介して排気装置76が接続されている。排気装置76は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ10の室内、特に処理空間PSを所望の真空度まで減圧できるようになっている。また、チャンバ10の側壁には半導体ウエハWの搬入出口78を開閉するゲートバルブ80が取り付けられている。
チャンバ10の外に設置される直流電源ユニット82の出力端子は、スイッチ84およびフィルタ回路86を介して上部電極48に電気的に接続されている。直流電源ユニット82は、たとえば制御可能な直流電源からなり、−2000〜+1000Vの直流電圧VDCを出力できるように構成されている。あるいは、直流電源ユニット82は、別の形態として、異なる直流電圧を出力する複数の直流電源を有し、それら複数の直流電圧の中の1つを選択的に出力することも可能である。直流電源ユニット82の出力(電圧、電流)の極性および絶対値およびスイッチ84のオン・オフ切換は、後述する制御部88からの指示の下で直流電源コントローラ83により制御されるようになっている。
フィルタ回路86は、直流電源ユニット82からの直流電圧VDCを上部電極48に印加する一方で、サセプタ12から処理空間PSおよび上部電極48を通って入ってきた高周波電流を接地ラインへ流して直流電源ユニット82側へは流さないように構成されている。この実施形態においてフィルタ回路86の構成および回路定数は特に重要であり、後に詳しく説明する。
チャンバ10内で処理空間PSに面する適当な箇所に、たとえばSi,SiC等の導電性材料からなるDC接地部品(図示せず)が取り付けられている。このDC接地部品は、接地ライン(図示せず)を介して常時接地されている。
制御部88は、マイクロコンピュータを含み、このプラズマエッチング装置内の各部たとえば静電チャック用のスイッチ24、第1、第2および第3高周波電源35,36,38、整合器40,42,43、処理ガス供給部(60,62,64)、排気装置76、DCバイアス用の直流電源ユニット82およびスイッチ84、チラーユニット、伝熱ガス供給部等の動作を個別的および統括的に制御する。また、制御部88は、マン・マシン・インタフェース用のタッチパネル(図示せず)および各種プログラムや設定値等のデータを格納する記憶装置(図示せず)等とも接続されている。この実施形態では制御部88が1つの制御ユニットとして示されているが、複数の制御ユニットが制御部88の機能を並列的または階層的に分担する形態を採ってもよい。
このプラズマエッチング装置において、エッチング加工を行なうには、先ずゲートバルブ80を開状態にし、加工対象の半導体ウエハWをチャンバ10内に搬入して、静電チャック18の上に載置する。そして、処理ガス供給源60より所定の処理ガスつまりエッチングガス(一般に混合ガス)を所定の流量および流量比でチャンバ10内に導入し、排気装置76による真空排気でチャンバ10内の圧力を設定値にする。さらに、第3高周波電源38より所定のパワーでプラズマ生成用の第3高周波RF3(40MHz〜300MHz)を上部電極48に印加する。他方で、第1および第2高周波電源35,36よりそれぞれ所定のパワーでイオン引き込み用の第1高周波RF1(100kHz〜6MHz)および第2高周波RF2(6MHz〜40MHz)をサセプタ(下部電極)16に印加する。また、スイッチ24をオンにし、静電吸着力によって、静電チャック18と半導体ウエハWとの間の接触界面に伝熱ガス(Heガス)を閉じ込める。また、必要に応じて、スイッチ84をオンにし、直流電源ユニット82からの所定の直流電圧VDCを上部電極48に印加する。シャワーヘッド(上部電極)48より吐出されたエッチングガスは両電極16,48間で高周波の放電によってプラズマ化し、このプラズマに含まれるラジカルやイオンによって半導体ウエハWの主面の膜がエッチングされる。
この実施形態のプラズマエッチング装置は、プロセス中にプラズマから半導体ウエハWに入射するイオンのエネルギーを制御するために、2つの高周波電源35,36よりイオン引き込みに適した2種類の高周波RF1(100kHz〜6MHz),RF2(6MHz〜40MHz)をサセプタ12に重畳して印加するハードウェア構成(32〜46)を有し、エッチング加工の仕様、条件またはレシピに応じて制御部88が両高周波RF1,RF2のトータルパワーおよびパワー比を制御するようになっている。

[実施形態におけるRFバイアス機能]
この実施形態のプラズマエッチング装置においては、上記のように、プロセス中には、第1高周波電源35および第2高周波電源36よりイオン引き込み用の第1高周波RF1(たとえば0.8MHz)および第2高周波RF2(たとえば13MHz)がサセプタ(下部電極)16に重畳印加される。そうすると、プラズマ生成空間PSに臨むサセプタ16または半導体ウエハWの表面に生じるイオンシースには、図2に示すような両高周波RF1,RF2が重畳された負極性のシース電圧VS(t)が発生する。なお、図2では、イオンシースの中で両高周波RF1,RF2が重畳されている状態をわかりやすくするために、第1高周波RF1の電圧(パワー)に比して第2高周波RF2の電圧(パワー)が著しく小さい場合を示している。
プラズマからのイオンは、このようなシース電圧VS(t)により加速されて半導体ウエハWの表面に入射する。その際、入射イオンの加速度またはエネルギーは、その時のシース電圧VS(t)の瞬時値(絶対値)に依存する。つまり、シース電圧VS(t)の瞬時値(絶対値)が大きい時にイオンシース内に入ったイオンは大きな加速度または運動エネルギーでウエハ表面に入射し、シース電圧VS(t)の瞬時値(絶対値)が小さい時にイオンシース内に入ったイオンは小さな加速度または運動エネルギーでウエハ表面に入射する。
もっとも、イオンシース内で、イオンはシース電圧VS(t)に対して100%(係数1)以下のある感度で応答(加速運動)する。この応答感度または変換関数α(f)は、図3に示すようにRFバイアスに用いられる高周波の周波数fに依存して(逆比例して)変わり、次の式(1)で表わされる。
α(f)=1/{(cfτip+1}1/p ・・・・(1)
ただし、c=0.3×2π、p=5、τi=3s(M/2eVs)、Mはイオンの質量数、sはイオンのシース通過時間、Vsはシース電圧である。
したがって、イオンシース内のイオンの加速に寄与する正味のシース電圧つまりイオン応答電圧Vi(t)は次の式(2)で表わされる。
i(t)=α(f) VS(t) ・・・・(2)
図2に示すイオン応答電圧Vi(t)および図3に示す変換関数α(f)はAr+イオンについてのものであるが、他のイオンもシース電圧VS(t)およびRFバイアスの周波数に対して同様の特性を示す。
図2の電圧波形からもわかるように、イオンシース内のイオンは、周波数が低めの第1高周波RF1(0.8MHz)に対しては略100%の感度(α(f)≒1)で応答(加速運動)し、周波数が高めの第2高周波RF2(13MHz)に対しては略50%の感度(α(f)≒0.5)で応答(加速運動)する。
上記のようなイオン応答電圧Vi(t)に基づいて、下記の式(3)から図4および図5に示すような考え方でイオンエネルギー分布IEDを計算で求めることができる。
IED(Ei)∝Σi(dVi/dti) ・・・・(3)
図4は、RFバイアスに低めの周波数を有する単一の高周波を用いた場合のIEDおよびイオン応答電圧Vi(t)を示している。一方、図5は、RFバイアスに低めの周波数および高めの周波数をそれぞれ有する2つの高周波を用いた場合のIEDおよびイオン応答電圧Vi(t)を示している。
RFバイアスに単一の高周波を用いる単周波バイアス法によれば、図15A〜図15Cおよび図16A〜図16Cにつき上述したように、イオンエネルギー分布(IED)が定型的に最大エネルギー付近および最小エネルギー付近にイオンが多く集中する(ピークが現れる)ようなプロファィルになり、RFパワーを如何様に可変しても最小エネルギーを任意に可変することができないという制約が付く。
これに対して、この実施形態におけるようにRFバイアスに2つの高周波RF1(0.8MHz),RF2(13MHz)を用いる2周波バイアス法によれば、両高周波RF1,RF2のトータルパワーおよび/またはパワー比を調整することにより、イオンエネルギー分布(IED)の最大エネルギーおよび最小エネルギーの各々を独立に制御することができる。
すなわち、この実施形態においては、図6A〜図6Cに示すように、最大エネルギーをたとえば約2000eVに固定したまま最小エネルギーをたとえば約0eV〜1000eVの範囲内で任意に調節することができる。
また、図7A〜図7Cに示すように、最小エネルギーをたとえば約350eVに固定したまま最大エネルギーをたとえば約650eV〜2650eVの範囲内で任意に調節することができる。
なお、図6A〜図6Cおよび図7A〜図7CにおけるIED特性は、Ar+イオンについて計算したものである。他のイオンでもパターン的には同様の特性が得られる。また、両高周波RF1(0.8MHz),RF2(13MHz)の電圧値は各々の周波数のバイアス電圧の振幅値であり、RFパワーにも換算可能である。
また、この実施形態においては、図6B[RF1(0.8MHz)=340V,RF2(13MHz)=1000V]、図7B[RF1(0.8MHz)=500V,RF2(13MHz)=500V]に示すように、2周波のRFバイアスによって、エネルギーバンドの全領域にわたってイオンを略均一に分布させることも可能である。さらには、図7C[RF1(0.8MHz)=1000V,RF2(13MHz)=500V]に示すように、最小エネルギーおよび最大エネルギーのイオン入射数よりも中間エネルギーのイオン入射数を多くすることも可能である。
さらに、この実施形態においては、図8A[RF1(0.8MHz)=1500V,RF2(13MHz)=0V]、図8B[RF1(0.8MHz)=1125V,RF2(13MHz)=375V]、図8C[RF1(0.8MHz)=750V,RF2(13MHz)=750V]、図8D[RF1(0.8MHz)=375V,RF2(13MHz)=1125V]、図8E[RF1(0.8MHz)=0V,RF2(13MHz)=1500V]に示すように、2周波のRFバイアスによって、エネルギー平均値または中心値をたとえば1500Vに固定したまま、エネルギーバンドの幅EWをたとえば約1000eVから約3000Vの範囲内で任意に調節することも可能である。
このように、この実施形態においては、RFバイアスに第1高周波RF1(0.8MHz)のみを用いた場合のIED特性(図8A)と、RFバイアスに第2高周波RF2(13MHz)のみを用いた場合のIED特性(図8E)との間で、エネルギーバンドの幅EWを任意に調節して中間のIED特性を得ることができる。
また、中間IED特性の中でも、第1高周波RF1に対する第2高周波RF2のパワー比が1125V:375V=3:1のときに得られる図8BのIED特性は、特徴的な凹型の分布形状を示している。すなわち、最小エネルギーおよびその近辺のエネルギー領域(約250eV〜約750eV)と最大エネルギーおよびその近辺のエネルギー領域(約2250eV〜約2750eV)にイオンが帯状に集中し、中間のエネルギー領域(約750eV〜約2250eV)では一様にイオン分布数が少ない。この凹型のIED特性は、両高周波RF1,RF2のいずれか一方を用いた場合のように最小エネルギーおよび最大エネルギーにイオンが尖頭的に集中するU型のIED特性(図8A、図8E)とも異なる。
なお、図示省略するが、図8D[RF1(0.8MHz)=375V,RF2(13MHz)=1125V]と図8E[RF1(0.8MHz)=0V,RF2(13MHz)=1500V]との中間でも、つまり第1高周波RF1に対する第2高周波RF2のパワー比が約1:30のときも、図8Bと同様の凹型の中間IED特性が得られる。
このように、この実施形態においては、RFバイアスに周波数の異なる第1高周波RF1および第2高周波RF2を組み合わせて使用し、それらのトータルパワーおよび/またはパワー比を制御することにより、サセプタ12上の半導体ウエハWの表面に入射するイオンのエネルギー分布(IED)に関して、エネルギーバンド幅および分布形状さらには入射エネルギーの総量を多種多様に制御することができる。
ここで、第1高周波RF1および第2高周波RF2の周波数f1,f2は上記の値(0.8MHz,13MHz)に限定されるものではなく、一定の範囲内で任意に選定してよい。図8AのIED特性と図8EのIED特性との対比からわかるように、単周波バイアスにおけるイオンエネルギー分布の幅(エネルギーバンド)EWは、周波数が低いほど広く、周波数が高いほど狭くなる。
これは、図9に示すように、周波数と変換関数α(f)との関係に対応している。したがって、エネルギーバンドEWの可変範囲を大きくするには、エッチングプロセスで支配的な作用を奏するイオンの種類(F+、Ar+,C46 +等)にも依存するが、基本的には、第1高周波RFL1の周波数を低めの値(好ましくは100kHz〜6MHz)に選定し、第2高周波RF2の周波数を高めの値(好ましくは6MHz〜40MHz)に選定するのがよい。特に、第2高周波RF2の周波数が高くなりすぎると、つまり40MHz以上になると、プラズマ生成効果が強くなり、RFバイアスとしては適さなくなるので、40MHz以下の周波数が望ましい。なお、プラズマ生成用の第3高周波RF3の周波数は、通常40MHz〜300MHzの範囲内で選ばれる。

[上部電極回りの直列共振とその対策]
ところで、プラズマは概して非線形な負荷であるため、容量結合型プラズマ処理装置のチャンバ内では、各基本波の整数倍の周波数を有する高調波や、基本波同士あるいは基本波と高調波との和または差の周波数を有するIMD(混変調歪)が不可避的に発生する。これらの高調波やIMDは、そのパワーが大きいほど基本波のパワーと干渉し、さらには大きな電流でフィルタ回路86を流れると回路素子を焼損させることもある。特に、本実施形態のようなカソードカップリング方式の容量結合型プラズマ処理装置においては、チャンバ内のプラズマから上部電極を介して接地電位に至るまでの高周波伝送路(以下、「上部電極回りの高周波伝送路」と称する。)上でいずれかの高調波またはIMDに対して直列共振が起きるときに、顕著に現れる。もちろん、上部電極回りの高周波伝送路上でいずれかの基本波に対して直列共振が起きるときも、フィルタ回路86内のインピーダンス素子を焼損させるおそれがあり、望ましくない。
したがって、基本波、高調波およびIMDのいずれに対しても上部電極回りの高周波伝送路上で直列共振が起きないように工夫する必要がある。ところが、この実施形態のように3種類の高周波RF1,RF2,RF3を重畳してサセブタ(下部電極)16に印加する場合は、基本波、高調波およびIMDの種類・数が多数存在するため、直列共振対策は非常に難しい。さらに、プラズマと上部電極との間に形成されるイオンシース(以下、「上部電極シース」と称する。)が対策をより一層難しくする。この上部電極シースは電子電流に対してコンデンサとして作用し、プロセス条件(圧力、RFパワー、ガス種等)や直流電圧VDCに応じてその厚みが(ひいてはその静電容量)が変化する。このため、上部電極回りの高周波伝送路上で直列共振が起きるときの周波数(直列共振周波数)が上部電極シースの厚みによって変わる。この点も十分考慮する必要がある。
この実施形態では、以下に説明するように、3周波重畳印加方式においてプラズマプロセスに関係または影響するIMDの次数が低い周波数を全部考慮に入れて上部電極48回りの周波数−インピーダンス特性に工夫を凝らすことにより、上記のような直列共振の問題を解決するものである。
図10に、一実施例として、第1、第2および第3高周波RF1,RF2,RF3の周波数f1,f2,f3をそれぞれf1=3.2MHz、f2=12.88MHz、f3=40.68MHzに選んだ場合のプラズマプロセスに関係または影響する主な周波数の分布を示す。図示されているもの以外の高調波およびIMDは、発生してもパワーレベルが非常に低くてプロセスに影響を与えるおそれは殆どなく、無視することができる。
この場合、2f1(6.4MHz)<f2(12.88MHz)かつ2f2(25.76MHz)<f3(40.68MHz)の関係が成立し、さらに3f2(38.64MHz)<f3(40.68MHz)の関係が成立する。したがって、f1+f2(16.08MHz)を第1の周波数Aとする。また、2f2(25.76MHz)とf3−f2(27.8MHz)のうち低い方の2f2(25.76MHz)を第2の周波数Bとする。
そうすると、f1<f≦Aの周波数範囲[1]には、低い方から順に、第1高周波RF1の第2高調波の周波数2f1(6.4MHz)と、第1高周波RF1の第3高調波の周波数3f1(9.6MHz)と、第2高周波RF2の周波数と第1高周波RF1の周波数との差の周波数f2−f1(9.68MHz)と、第1高周波RF1の第4高調波の周波数4f1(12.8MHz)と、第2高周波RF2の周波数f2(12.88MHz)と、第1高周波RF1の周波数と第2高周波RF2の周波数との和の周波数f1+f2(16.08MHz)とが存在する。
また、B≦f<f3の周波数範囲[3]には、低い方から順に、第2高周波RF1の第2高調波の周波数2f2(25.76MHz)と、第3高周波RF3の周波数と第2高周波RF2の周波数との差の周波数f3−f2(27.8MHz)と、第3高周波RF3の周波数と第1高周波RF1の周波数との差の周波数f3−f1(37.48MHz)と、第2高周波RF2の第3高調波の周波数3f2(38.6MHz)とが存在する。
ここで注目すべきことは、A(16.08MHz)<f<B(25.76MHz)の周波数範囲[2]には、基本波RF1,RF2,RF3の周波数f1,f2,f3のいずれも属さないのはもちろん、次数が低い高調波、または次数が低いIMDの周波数が1つも存在しないことである。
この実施形態では、上記のような周波数分布の特性を考慮して、f1<f≦Aの周波数範囲[1]およびB≦f<f3の周波数範囲[3]ではいかなる共振周波数も存在せず、中間のA<f<Bの周波数範囲[2]ではfs<fpの関係で1つの直列共振周波数fsと1つの並列共振周波数fpとが存在するようにフィルタ回路86を構成するようにしている。
図11に、フィルタ回路86の回路構成を示す。このフィルタ回路86は、LCはしご型回路として構成されており、一対の入出力端子90,92の間で直列に接続された複数個たとえば3個のコイル94,96,98と、コイル94,96間のノードN1、コイル96,98間のノードN2,コイル98,端子92間のノードN3と接地電位の部材(図示せず)との間にそれぞれ接続された3個のコンデンサ100,102,104とを有する。ここで、一方の端子90は、上部電極48に接続される側の端子であり、上部電極48からフィルタ回路86に入ってくる高周波に対しては入力端子となり、直流電源ユニット82からフィルタ回路86に入ってくる直流電圧VDCに対しては出力端子となる。他方の端子92は、スイッチ84を介して直流電源ユニット82の出力端子に接続される側の端子であり、直流電源ユニット82からフィルタ回路86に入ってくる直流電圧VDCに対しては入力端子となり、上部電極48からフィルタ回路86に入ってくる高周波に対しては出力端子となる。
この種のフィルタ回路では、RF入力端子となる端子90付近に非常に小さな固定値の浮遊容量(以下、「入力ポート浮遊容量」と称する。)PCが存在する。この入力ポート浮遊容量PCは、フィルタ回路86が上部電極48に接続された状態では、図12に示すように、上部電極48とチャンバ10との間にリング状絶縁体54を挟んで形成される電極浮遊容量ECと電気的に並列になって合成される。電極浮遊容量ECの値CECは通常100pF以上であるのに対して、入力ポート浮遊容量PCの値CPCは通常10pF以下であり、合成浮遊容量(CEC+CPC)の中で占めるCPCの割合は非常に小さい。したがって、入力ポート浮遊容量PCは実際上無視できる。ただし、入力ポート浮遊容量PCはフィルタ回路86単独では並列共振周波数を与えるファクタになるので、この実施例では一応考慮している。
図12に、フィルタ回路86を上部電極48に接続した状態でチャンバ10内のプラズマPRから見た高周波伝送路の回路構成を示す。この高周波伝送路の回路は、プラズマPRと上部電極48との間に形成される上部電極シースを可変コンデンサSHとして含んでいる。この可変コンデンサSHの静電容量CSHは、上部電極シースの厚さに応じて変化する。すなわち、上部電極シースの厚さが大きいほどCSHは小さくなり、上部電極シースの厚さが小さいほどCSHは大きくなる。もっとも、チャンバ10内でプラズマPRが発生していないとき、つまり上部電極シースが存在しないときは、この高周波伝送路回路からプラズマPRの端子と可変コンデンサSHが除かれる。なお、上部電極48のインダクタンスは、相対的に非常に低いので、無視している。
この上部電極48回りの高周波伝送路回路(図12)は多段のLC直並列回路で構成されているので、その周波数−インピーダンス特性には直列共振周波数および並列共振周波数がそれぞれ複数存在する。
直列共振周波数の中で最も高い周波数fsは、チャンバ10内でプラズマPRが発生していないとき(上部電極シースが無いとき)は初段コイル94と初段コンデンサ100とからなるLC直列回路の共振周波数であり、チャンバ10内でプラズマPRが発生しているとき(上部電極シースが存在しているとき)は可変コンデンサSHと初段コイル94と初段コンデンサ100とからなるLC直列回路の共振周波数である。
並列共振周波数の中で最も高い周波数fpは、プラズマPRまたは上部電極シースの有無に関係なく、入力ポート90と接地電位との間で形成される、電極浮遊容量ECと入力ポート浮遊容量PCと初段コイル94と初段コンデンサ100とからなるLC直並列回路の並列共振周波数である。ここで、このLC直並列回路におけるコンデンサEC,PC,100の合成容量は上記LC直列回路のコンデンサ100の容量より大きいので、fs<fpの関係が成立する。
また、並列共振周波数の中で2番目に高い周波数fqも、プラズマPRまたは上部電極シースの有無に関係なく、入力ポート90と接地電位との間で形成される、電極浮遊容量ECと入力ポート浮遊容量PCと初段コイル94と次段コイル96と次段コンデンサ102とからなるLC直並列回路の並列共振周波数である。
フィルタ回路86において第3段以降のコイル98およびコンデンサ104は、2番目以降の直列共振周波数および/または3番目以降の並列共振周波数に関係し、上記最も高い直列共振周波数fs、最も高い並列共振周波数fp、2番目に高い並列共振周波数fqには関係しない。
この実施形態では、上記のような周波数分布(図10)に鑑みて、最も高い直列共振周波数fsと最も高い並列共振周波数fpがA<f<Bの周波数範囲[2]に属し、2番目に高い並列共振周波数fqがf<f1の周波数領域に属するように、フィルタ回路86の回路定数を選定する。
具体的に、たとえば電極浮遊容量ECの値CECが300pFで、入力ポート浮遊容量PCの値CPCが7pFの場合、初段コイル94のインダクタンスL94は400nH、初段コンデンサ100の静電容量C100は200pF、次段コイル96のインダクタンスL96は15μH、次段コンデンサ102の静電容量C102は2500pFにそれぞれ選ばれる。これによって、チャンバ10内でプラズマPRが発生していないとき(上部電極シースが無いとき)の周波数−インピーダンス特性、つまり処理空間PSと上部電極48との境界面から上部電極48を介して接地電位に至るまでの高周波伝送路を見込んだときの周波数−インピーダンス特性において、最も高い直列共振周波数fsは18MHz、最も高い並列共振周波数fpは23MHz、2番目に高い並列共振周波数fqは2MHzとなる。
図13に、この実施例における上部電極回りの高周波伝送路上の周波数−インピーダンス特性を示す。この特性で注目すべきことは、チャンバ10内でプラズマPRが発生しているとき(上部電極シースが存在しているとき)は上部電極シースの厚みが増すほど各直列共振周波数(特にfs)が高くなる方向にシフトする一方、各並列共振周波数(特にfp,fq)は殆どシフトしない点である。
すなわち、上部電極シースの厚みが増大するほど、可変コンデンサSHの静電容量CECが小さくなり、ひいてはLC直列回路(EC,PC,100)の全静電容量(CEC+CPC+C100)が減少し、それによって直列共振周波数fsの値が高くなる。fs以外の直列共振周波数も同様である。一方、上記のように可変コンデンサSHの静電容量CECは並列共振には関係しないので、上部電極シースの厚みが増しても各並列共振周波数(特にfp,fq)の値は変わらない。
このように、チャンバ10内でプラズマPRが発生して上部電極シースが形成されると直列共振周波数fsがシース無しのときの基準値(18MHz)から高い方へシフトする。しかし、上部電極シースの厚みが増すほど直列共振周波数fsのシフト量が大きくなるにしても、直列共振周波数fsが固定値の並列共振周波数fp(23MHz)に届くようなことはない。しかも、直列共振周波数fsの値がシフトする領域、つまりA<f<Bの周波数範囲[2]には、基本波RF1,RF2,RF3の周波数f1,f2,f3のいずれも属さないのはもちろん、主だった高調波またはIMDの周波数も全く存在しない。
したがって、この実施形態のプラズマ処理装置においては、プロセス条件をどのように設定しても、あるいは直流電源ユニット82より上部電極48に印加する直流電圧VDCの値をどのように選んでも、上部電極48回りの高周波伝送路上で直列共振が発生する可能性は皆無である。したがって、基本波RF1,RF2,RF3のパワーが高調波またはIMDに変換され損失を招くことにはならない。さらに、フィルタ回路86内の回路素子が大電流によって焼損するおそれもない。
また、図13に示すように、上部電極シースの厚みが大きくなるほど、プラズマ生成用の第3高周波RF3(40.68MHz)に対するインピーダンスが高くなる。ここで、直流電源ユニット82より上部電極48に負極性の直流電圧VDCを印加し、その電圧の絶対値を十分大きくするほど、上部電極シースの厚みが増大するという関係もある。そして、プラズマ生成用の第3高周波RF3(40.68MHz)に対する上部電極48回りのインピーダンスが高くなるほど、サセプタ16側から(上部電極48ではなくて)チャンバ10の側壁に流れる電子電流の割合が高くなって、プラズマの密度が半径方向外側へ拡がる。したがって、上部電極48に負極性で印加する直流電圧VDCの絶対値を調整することによって、プラズマ密度の空間分布を径方向で均一化することも任意に制御することもできる。
さらに、上部電極シースの厚みが大きいほど、プラズマから上部電極48に入射するイオンのエネルギーが増大して、上部電極48の表面に付着しているポリマー等の堆積物(デポ)をイオン衝撃によって物理的に除去するスパッタ効果が高まるという一面もある。したがって、上部電極48に印加する負極性の直流電圧VDCの絶対値を調整することによって、上部電極48に対するスパッタ(電極表面の清浄化)の効き目を制御することも可能である。

[他の実施形態または変形例]
上述した実施例は、第1、第2および第3高周波RF1,RF2,RF3の周波数f1,f2,f3がそれぞれf1=3.2MHz、f2=12.88MHz、f3=40.88MHzであり、3f2<f3の関係が成立する場合であった。別の実施例として、第1、第2および第3高周波RF1,RF2,RF3の周波数f1,f2,f3がそれぞれf1=3.2MHz、f2=16.0MHz、f3=40.88MHzの場合を考える。この場合、2f1(6.4MHz)<f2(16.0MHz)かつ2f2(32.0MHz)<f3(40.68MHz)の関係が成立し、さらにf3(40.68MHz)<3f2(48.0MHz)の関係が成立する。
このようにf3<3f2の関係が成立する場合は、f3−f2(24.68MHz)とf1+f2(19.2MHz)のうち高い方を第1の周波数Aとし、2f2(32.0MHz)とf3−f1(37.48MHz)のうち低い方の2f2(32.0MHz)を第2の周波数Bとする。
そうすると、図14に示すように、f1(3.2MHz)<f≦Aの周波数範囲[1]には、低い方から順に、第1高周波RF1の第2高調波の周波数2f1(6.4MHz)と、第1高周波RF1の第3高調波の周波数3f1(9.6MHz)と、第2高周波RF2の周波数と第1高周波RF1の周波数との差の周波数f2−f1(12.8MHz)と、第1高周波RF1の第4高調波の周波数4f1(12.8MHz)と、第2高周波RF2の周波数f2(16.0MHz)と、第1高周波RF1の周波数と第2高周波RF2の周波数との和の周波数f1+f2(19.2MHz)と、第3高周波RF3の周波数と第2高周波RF2の周波数との差の周波数f3−f2(24.68MHz)とが存在する。
また、B≦f<3f2(48.0MHz)の周波数範囲[3]には、低い方から順に、第2高周波RF1の第2高調波の周波数2f2(32.0MHz)と、第3高周波RF3の周波数と第1高周波RF1の周波数との差の周波数f3−f1(37.48MHz)と、第3高周波RF3の周波数f3(48.0MHz)とが存在する。
ここでも注目すべきことは、A(24.68MHz)<f<B(32.0MHz)の周波数範囲[2]には、基本波RF1,RF2,RF3の周波数f1,f2,f3のいずれも属さないのはもちろん、次数が低い高調波、または次数が低いIMDの周波数が1つも存在しないことである。
そこで、このような周波数分布(図14)に鑑みて、最も高い直列共振周波数fsと最も高い並列共振周波数fpがA<f<Bの周波数範囲[2]に属し、2番目に高い並列共振周波数fqがf<f1の周波数領域に属するように、フィルタ回路86の回路定数を選定する。
具体的に、たとえば電極浮遊容量ECの値CECが300pFで、入力ポート浮遊容量PCの値CPCが7pFの場合、初段コイル94のインダクタンスL94は307nH、初段コンデンサ100の静電容量C100は130pF、次段コイル96のインダクタンスL96は15μH、次段コンデンサ102の静電容量C102は2500pFにそれぞれ選ばれる。これによって、チャンバ10内でプラズマPRが発生していないとき(上部電極シースが無いとき)の周波数−インピーダンス特性、つまり処理空間PSと上部電極48との境界面から上部電極48を介して接地電位に至るまでの高周波伝送路を見込んだときの周波数−インピーダンス特性において、最も高い直列共振周波数fsは26MHz、最も高い並列共振周波数fpは31MHz、2番目に高い並列共振周波数fqは2MHzとなる。
したがって、この場合でも、プロセス条件をどのように設定しても、あるいは直流電源ユニット82より上部電極48に印加する直流電圧VDCの値をどのように選んでも、上部電極回りの高周波伝送路上で直列共振が発生する可能性は皆無である。したがって、基本波RF1,RF2,RF3のパワーが高調波またはIMDに変換されて損失を招くこともなければ、フィルタ回路86内の回路素子が大電流によって焼損するようなこともない。一方で、上部電極48に印加する負極性直流電圧VDCの絶対値を調整することにより、プラズマ密度の空間分布を径方向で任意に制御することや、上部電極48に対するスパッタ(電極表面の清浄化)の効き目を任意に制御することも可能である。
フィルタ回路86は、上記のようなLCはしご型回路に限定されず、たとえば1個のコイル94と1個のコンデンサ100とからなるL型回路であってもよい。この場合、プラズマPRから上部電極48を介して接地電位に至るまでの高周波伝送路を見込んだときの周波数−インピーダンス特性においては、直列共振周波数と並列共振周波数がそれぞれ1つずつ存在する。
すなわち、唯一の直列共振周波数fsは チャンバ10内でプラズマPRが発生していないとき(上部電極シースが無いとき)はコイル94とコンデンサ100とからなるLC直列回路の共振周波数であり、チャンバ10内でプラズマPRが発生しているとき(上部電極シースが存在しているとき)は可変コンデンサSHとコイル94とコンデンサ100とからなるLC直列回路の共振周波数である。また、唯一の並列共振周波数fpは、プラズマPR(上部電極シース)の有無に関係なく、入力ポート90と接地電位との間で形成される、電極浮遊容量ECと入力ポート浮遊容量PCとコイル94とコンデンサ100とからなるLC直並列回路の並列共振周波数である。この場合も、このLC直並列回路におけるコンデンサEC,PC,100の合成静電容量(CEC+CPC+C100)は上記LC直列回路のコンデンサ100の静電容量C100よりも大きいので、fs<fpの関係が成立する。
このように、f<fsの周波数領域が単調減少の周波数領域になるので、f1<f≦Aの周波数範囲ではいかなる共振周波数も存在しないことになる。また、fp<fの周波数領域が単調増加の周波数領域になるので、B≦f<f3またはB≦f<3f2の周波数範囲ではいかなる共振周波数も存在しないことになる。したがって、フィルタ回路86をLCはしご型回路で構成する場合と同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、容量結合型プラズマエッチング装置に限定されず、プラズマCVD、プラズマALD、プラズマ酸化、プラズマ窒化、スパッタリングなど任意のプラズマプロセスを行う容量結合型プラズマ処理装置に適用可能である。本発明における被処理基板は半導体ウエハに限るものではなく、フラットパネルディスプレイ、有機EL、太陽電池用の各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等も可能である。
10 チャンバ
16 サセプタ(下部電極)
35,36,38 高周波電源
40,42,43 整合器
48 上部電極(シャワーヘッド)
54 リング状絶縁体
60 処理ガス供給源
86 フィルタ回路
88 制御部
94,96 コイル
100,102 コンデンサ

Claims (7)

  1. 被処理基板を出し入れ可能に収容する真空排気可能な処理容器内に相対向して設けられた第1および第2の電極の間の処理空間で処理ガスの高周波放電によるプラズマを生成し、前記プラズマの下で前記第1の電極上に保持される前記基板に所望の処理を施すプラズマ処理装置であって、
    第1の周波数f1を有する第1の高周波を前記第1の電極に印加する第1の高周波給電部と、
    第2の周波数f2を有する第2の高周波を前記第1の電極に印加する第2の高周波給電部と、
    第3の周波数f3を有する第3の高周波を前記第1の電極に印加する第3の高周波給電部と、
    前記第2の電極と接地電位の部材との間に接続されるフィルタ回路と
    を有し、
    1は100kHz〜6MHz、f2は6MHz〜40MHz、f3は40MHz〜300MHzであって、2f1<f2かつ2f2<f3の関係が成立し、
    3f2<f3の場合は、(f1+f2)をA、2f2と(f3−f2)のうち低い方をBとすると、
    前記処理空間と前記第2の電極との境界面から前記第2の電極を介して接地電位に至るまでの高周波伝送路を見込んだときの周波数−インピーダンス特性において、f1<f≦AおよびB≦f<f3の周波数範囲ではいかなる共振周波数も存在せず、A<f<Bの周波数範囲ではfs<fpの関係で1つの直列共振周波数fsと1つの並列共振周波数fpが存在するように、前記フィルタ回路が構成され、
    3<3f2の場合は、(f3−f2)と(f1+f2)のうち高い方をA、2f2と(f3−f1)のうち低い方をBとすると、
    前記処理空間と前記第2の電極との境界面から前記第2の電極を介して接地電位に至るまでの高周波伝送路を見込んだときの周波数−インピーダンス特性において、f1<f≦AおよびB≦f<3f2またはf3の周波数範囲ではいかなる共振周波数も存在せず、A<f<Bの周波数範囲ではfs<fpの関係で1つの直列共振周波数fsと1つの並列共振周波数fpが存在するように、前記フィルタ回路が構成される、
    プラズマ処理装置。
  2. 前記直列共振周波数fsは、前記周波数−インピーダンス特性に存在する唯一の直列共振周波数であり、
    前記並列共振周波数fpは、前記周波数−インピーダンス特性に存在する唯一の並列共振周波数であり、
    3f2<f3の場合は、
    前記周波数−インピーダンス特性において前記直列共振周波数fsより低い周波数領域に、前記第1および第2の周波数f1,f2と、前記第1の高周波の第2高調波、第3高調波および第4高調波の周波数2f1,3f1,4f1と、前記第2の周波数f2と前記第1の周波数f1との差の周波数(f2−f1)および和の周波数(f1+f2)とが存在するとともに、
    前記並列共振周波数fpより高い周波数領域に、前記第3の周波数f3と、前記第2の高周波の第2高調波および第3高調波の周波数2f2,3f2と、前記第3の周波数f3と前記第2の周波数f2との差の周波数(f3−f2)と、前記第3の周波数f3と前記第1の周波数f1との差の周波数(f3−f1)とが存在し、
    3<3f2の場合は、
    前記周波数−インピーダンス特性において前記直列共振周波数fsより低い周波数領域に、前記第1の周波数f1と、前記第1の高周波の第2高調波、第3高調波および第4高調波の周波数2f1,3f1,4f1と、前記第2の周波数f2と前記第1の周波数f1との差の周波数(f2−f1)および和の周波数(f1+f2)と、前記第3の周波数f2と前記第2の周波数f1との差の周波数(f3−f2)とが存在するとともに、
    前記並列共振周波数fpより高い周波数領域に、前記第3の周波数f3と、前記第2の高周波の第2高調波および第3高調波の周波数2f2,3f2と、前記第3の周波数f3と前記第1の周波数f1との差の周波数(f3−f1)とが存在する、
    請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記フィルタ回路は、一方の端子が前記第2の電極に接続される第1のコイルと、前記第1のコイルの他方の端子と接地電位の部材との間に接続される第1のコンデンサとを含み、
    前記第2の電極が誘電体を介して接地電位の前記処理容器に結合され、前記第2の電極、前記誘電体および前記処理容器によって第2のコンデンサが形成され、
    前記第1のコイルのインダクタンスと前記第1のコンデンサのキャパシタンスとによって前記直列共振周波数fsが規定され、
    前記第1のコイルのインダクタンスと前記第1および第2のコンデンサのキャパシタンスとによって前記並列共振周波数fpが規定される、
    請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記周波数−インピーダンス特性に少なくとも1つの直列共振周波数と少なくとも2つの並列共振周波数が存在し、
    前記直列共振周波数fsは、前記周波数−インピーダンス特性に存在する直列共振周波数の中で最も高い周波数であり、
    前記並列共振周波数fpは、前記周波数−インピーダンス特性に存在する並列共振周波数の中で最も高い周波数であり、
    3f2<f3の場合は、
    前記周波数−インピーダンス特性において2番目に高い並列共振周波数fqと前記直列共振周波数fsとの間の周波数領域に、前記第1および第2の周波数f1,f2と、前記第1の高周波の第2高調波、第3高調波および第4高調波の周波数2f1,3f1,4f1と、前記第2の周波数f2と前記第1の周波数f1との差の周波数(f2−f1)および和の周波数(f1+f2)とが存在するとともに、
    前記並列共振周波数fpより高い周波数領域に、前記第3の周波数f3と、前記第2の高周波の第2高調波および第3高調波の周波数2f2,3f2と、前記第3の周波数f3と前記第2の周波数f2との差の周波数(f3−f2)と、前記第3の周波数f3と前記第1の周波数f1との差の周波数(f3−f1)とが存在し、
    3<3f2の場合は、
    前記周波数−インピーダンス特性において2番目に高い並列共振周波数fqと前記直列共振周波数fpとの間の周波数領域に、前記第1の周波数f1と、前記第1の高周波の第2高調波、第3高調波および第4高調波の周波数2f1,3f1,4f1と、前記第2の周波数f2と前記第1の周波数f1との差の周波数(f2−f1)および和の周波数(f1+f2)と、前記第3の周波数f2と前記第2の周波数f1との差の周波数(f3−f2)とが存在するとともに、
    前記並列共振周波数fpより高い周波数領域に、前記第3の周波数f3と、前記第2の高周波の第2高調波および第3高調波の周波数2f2,3f2と、前記第3の周波数f3と前記第1の周波数f1との差の周波数(f3−f1)とが存在する、
    請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記フィルタ回路は、一方の端子が前記第2の電極に接続される第1のコイルと、前記第1のコイルの他方の端子と接地電位の部材との間に接続される第1のコンデンサと、一方の端子が前記第1のコイルの他方の端子に接続される第2のコイルと、前記第2のコイルの他方の端子と接地電位の部材との間に接続される第2のコンデンサとを含み、
    前記第2の電極が誘電体を介して接地電位の前記処理容器に結合され、前記第2の電極、前記誘電体および前記処理容器によって第3のコンデンサが形成され、
    前記第1のコイルのインダクタンスと前記第1のコンデンサのキャパシタンスとによって前記直列共振周波数fsが規定され、
    前記第1のコイルのインダクタンスと前記第1のコンデンサのキャパシタンスと前記第3のコンデンサのキャパシタンスとによって前記並列共振周波数fpが規定され、
    前記第1および第2のコイルのインダクタンスと前記第2および第3のコンデンサのキャパシタンスとによって前記並列共振周波数fqが規定される、
    請求項4に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記第2の電極に前記フィルタ回路を介して直流電圧を印加する直流電源を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記プラズマから前記基板に引き込まれるイオンのエネルギーに依存する少なくとも1つのプロセス特性を最適化するように、前記第1および第2の高周波のトータルパワーおよびパワー比を制御する制御部を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
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