JP2013143089A - 交通信号制御装置およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】演算負荷の増大を防止しつつ、交通信号機の制御を詳細かつリアルタイムに実行する。
【解決手段】交通信号制御装置10は、通信装置12によって車両22の加速度に基づいて算出された渋滞予兆度を取得する。交通信号機制御部11は、交通信号機2が設置された道路に進入することが予想される車両22の所定台数毎の平均渋滞予兆度を算出し、平均渋滞予兆度に基づいて、交通信号機2の信号灯色の切り替えタイミングを制御するための信号制御指令を生成する。交通信号機制御部11は、信号制御指令によって、平均渋滞予兆度が高い場合に、走行を許可する点灯表示の点灯時間を延長または走行を禁止する点灯表示の点灯時間を短縮することを指示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、交通信号制御装置に関する。
従来、例えば経路探索によって作成された車両の経路に含まれる交差点に流入する交通量を予測し、この予測交通量に応じて交通信号機の灯色の切り替えタイミングを制御する制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−60019号公報
ところで、上記従来技術に係る制御装置によれば、経路探索および予測交通量の演算における演算負荷が増大すると共に、これらの情報の情報量が増大することで情報の送受信における通信負荷が増大し、演算および通信に要する時間が嵩むことで、交通信号機の制御を詳細かつリアルタイムに実行することが困難になるという問題が生じる。
しかも、経路が設定されていない車両が存在する場合には、交差点に流入する交通量の予測精度が低下し、交通信号機の制御を適正に実行することが困難になり、渋滞が発生する虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、演算負荷の増大を防止しつつ、交通信号機の制御を詳細かつリアルタイムに実行することが可能な交通信号制御装置およびプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の請求項1に係る交通信号制御装置は、車両の加速度に基づいて算出された渋滞予兆度を取得する取得手段(例えば、実施の形態での通信装置12)と、前記交通信号機が設置された道路に進入することが予想される車両の所定台数毎の平均渋滞予兆度を算出する算出手段(例えば、実施の形態での交通信号機制御部11)と、前記平均渋滞予兆度に基づいて、前記交通信号機の信号灯色の切り替えタイミングを制御するための信号制御指令を生成する指令生成手段(例えば、実施の形態での交通信号機制御部11が兼ねる)と、を備える。
さらに、本発明の請求項2に係る交通信号制御装置では、前記指令生成手段は、前記平均渋滞予兆度が高い場合に、走行を許可する点灯表示の点灯時間を延長または走行を禁止する点灯表示の点灯時間を短縮することを指示する前記信号制御指令を生成する。
さらに、本発明の請求項3に係る交通信号制御装置では、前記取得手段は、路車間通信によって前記渋滞予兆度を取得する。
さらに、本発明の請求項4に係る交通信号制御装置では、前記取得手段は、サーバ装置(例えば、実施の形態でのサーバ装置23)を介した通信によって前記渋滞予兆度を取得する。
また、本発明の請求項5に係るプログラムは、コンピュータを、交通信号機の信号灯色の切り替えタイミングを制御するための信号制御指令を生成する手段として機能させるためのプログラムであって、前記プログラムは、車両の加速度に基づいて算出された渋滞予兆度を取得する取得手段(例えば、実施の形態でのステップS11)と、前記交通信号機が設置された道路に進入することが予想される複数の車両の所定台数毎の平均渋滞予兆度を算出する算出手段(例えば、実施の形態でのステップS13)と、前記平均渋滞予兆度に基づいて前記信号制御指令を生成する指令生成手段(例えば、実施の形態でのステップS14〜ステップS19)と、を備える。
さらに、本発明の請求項6に係るプログラムでは、前記指令生成手段は、前記平均渋滞予兆度が高い場合に、走行を許可する点灯表示の点灯時間を延長または走行を禁止する点灯表示の点灯時間を短縮することを指示する前記信号制御指令を生成する。
さらに、本発明の請求項7に係るプログラムでは、前記取得手段は、路車間通信によって前記渋滞予兆度を取得する。
さらに、本発明の請求項8に係るプログラムでは、前記取得手段は、サーバ装置(例えば、実施の形態でのサーバ装置23)を介した通信によって前記渋滞予兆度を取得する。
本発明の請求項1に係る交通信号制御装置によれば、リアルタイムかつ容易に取得可能な車両の加速度に基づき算出された平均渋滞予兆度に基づいて信号制御指令を生成することにより、演算負荷の増大を防止して、信号制御を詳細かつリアルタイムに実行することができる。
さらに、例えば道路の交通量を直接的に把握するために路面などに設置される各種センサの検知結果に基づいて信号制御を実行する場合に比べて、より早期の渋滞の予兆段階において信号制御を実行することができ、渋滞発生を的確に抑制することができる。
さらに、本発明の請求項2に係る交通信号制御装置によれば、走行を許可する点灯表示の点灯時間を所定時間延長または走行を禁止する点灯表示の点灯時間を所定時間短縮することによって交通流の整流化を促進することができ、渋滞発生を的確に抑制することができる。
さらに、本発明の請求項3に係る交通信号制御装置によれば、例えば新たな通信ネットワークシステムを設ける場合に比べて、既存の路車間通信のネットワークシステムを用いることによって、システム構成に要する費用が嵩むことを防止することができる。
さらに、本発明の請求項4に係る交通信号制御装置によれば、例えば大規模かつ専用の路車間通信などのネットワークシステムを用いる場合に比べて、例えばプローブ交通情報の生成などに用いられる汎用性の高い既存のクライアントサーバー型の通信ネットワークシステムを用いることによって、システム構成に要する費用が嵩むことを防止することができる。
また、本発明の請求項5に係るプログラムによれば、リアルタイムかつ容易に取得可能な車両の加速度に基づいて算出された平均渋滞予兆度に基づいて信号制御指令を生成することにより、演算負荷の増大を防止して、信号制御を詳細かつリアルタイムに実行することができる。
さらに、例えば道路の交通量を直接的に把握するために路面などに設置されるセンサの検知結果に基づいて信号制御を実行する場合に比べて、より早期の渋滞の予兆段階において信号制御を実行することができ、渋滞発生を的確に抑制することができる。
さらに、本発明の請求項6に係るプログラムによれば、走行を許可する点灯表示の点灯時間を所定時間延長または走行を禁止する点灯表示の点灯時間を所定時間短縮することによって交通流の整流化を促進することができ、渋滞発生を的確に抑制することができる。
さらに、本発明の請求項7に係るプログラムによれば、例えば新たな通信ネットワークシステムを設ける場合に比べて、既存の路車間通信のネットワークシステムを用いることによって、システム構成に要する費用が嵩むことを防止することができる。
さらに、本発明の請求項8に係るプログラムによれば、例えば大規模かつ専用の路車間通信などのネットワークシステムを用いる場合に比べて、例えばプローブ交通情報の生成などに用いられる汎用性の高い既存のクライアントサーバー型の通信ネットワークシステムを用いることによって、システム構成に要する費用が嵩むことを防止することができる。
本発明の実施の形態に係る交通信号制御装置を備える交通信号制御システムの構成図である。 本発明の実施の形態に係る車両に搭載された車両処理装置の構成図である。 本発明の実施の形態に係る加速度スペクトルの例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る車両に搭載された車両処理装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る交通信号制御装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態の変形例に係る車両に搭載された車両処理装置の構成図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る確率密度分布の例を示す図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る共分散値の分布の例を示す図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る共分散最小値と傾き極大値との相間マップの例を示す図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る交通密度と交通量の関係の例を示す図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る車間距離分布についての共分散最小値の対数と加速度スペクトルについての傾き極大値の対数との相関マップの例を示す図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る車両に搭載された車両処理装置の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の交通信号制御装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による交通信号制御装置10は、例えば交通信号制御システム1に備えられ、道路に配置された交通信号機2に接続され、交通信号機2の信号灯色の切り替えタイミングを制御するための信号制御指令を交通信号機2へと出力する。
そして、交通信号制御装置10は、例えば、交通信号機2の信号灯色の切り替えタイミングを制御するための信号制御指令を生成する交通信号機制御部11と、交通信号機2への信号制御指令の送信と外部の機器および装置との間での各種信号の送受信とを行なう通信装置12と、を備えている。
交通信号制御装置10は、例えば図1に示すように、道路に配置された路側通信機21に対して双方向通信可能に有線接続されている。
また、交通信号制御装置10は、例えば複数の車両22との間でクライアントサーバー型の無線通信ネットワークシステムを構成するサーバ装置23に対して双方向通信可能に有線接続されている。
そして、交通信号制御システム1は、例えば、交通信号機2と、交通信号制御装置10と、路側通信機21と、サーバ装置23と、車両22と、によって構成されている。
路側通信機21は、例えば、路側などに配置されて光信号および電波信号を発信するビーコン装置などからなり、車両22と双方向に無線通信可能である。
なお、路側通信機21は交通信号機2に有線接続されていてもよく、交通信号制御装置10の通信装置12から出力された信号制御指令は、交通信号機2に直接的に送信されてもよいし、路側通信機21を介して交通信号機2に間接的に送信されてもよい。
路側通信機21は、例えば、車両22から送信された渋滞予兆度および現在位置の情報を受信し、これらの情報を交通信号制御装置10に転送する。
また、路側通信機21は、例えば、適宜の情報センターなどから取得した各種情報(例えば、道路交通情報など)を車両22に送信する。
複数の車両22とサーバ装置23とは、各種の情報を送受信するためのクライアントサーバー型の無線ネットワークシステムを構成している。
例えば、車両22にて作成された渋滞予兆度の情報や車両22にて検出された現在位置の情報などの車両22に関する情報は車両22からサーバ装置23に送信されると共に、車両22を制御するための制御指令や車両22の運転者に報知するための報知信号などはサーバ装置23から車両22に送信される。
そして、サーバ装置23は、例えば、車両22を制御するための制御指令や車両22の運転者に報知するための報知信号などを生成する制御部31と、交通信号制御装置10および車両22との間での各種信号の送受信を行なうサーバ通信装置32と、を備えている。
サーバ通信装置32は、例えば、制御部31によって作成された制御指令や報知信号を車両22に送信すると共に、車両22からサーバ装置23へと送信された渋滞予兆度および現在位置の情報を受信し、これらの情報を交通信号制御装置10に転送する。
車両22は、例えば、車両通信装置41と、各種センサ42と、スイッチ43と、各種アクチュエータ44と、表示器45と、スピーカー46と、車両処理装置47とを備えて構成されている。
車両通信装置41は、交通信号制御装置10の通信装置12および路側通信機21およびサーバ装置23のサーバ通信装置32と通信可能であって、直接的な無線通信接続または所定の通信網を介した間接的な通信接続によって、各種信号を送受信する。
例えば、車両通信装置41と、交通信号制御装置10の通信装置12および路側通信機21との間の通信は、光信号および電波信号などによる直接的な路車間通信などである。
また、例えば、車両通信装置41と、サーバ装置23のサーバ通信装置32との間の通信は、無線通信用の基地局とサーバ装置23とを有線接続するインターネットなどの公衆通信網を介した通信などである。この通信では、例えば、車両22の乗員の携帯電話機や車載通信端末などの車両通信装置41から無線通信により発信された信号は、先ず基地局により受信され、次に基地局から有線通信によりサーバ装置33へ転送される。
なお、車両22と、交通信号制御装置10および路側通信機21およびサーバ装置23との間の通信は、上記の通信形態に限定されず、例えば通信衛星を経由する通信などの他の通信が採用されてもよい。
各種センサ42は、例えば、車両22の車輪速などに基づき速度を検出する車速センサと、車両22のヨーレートを検出するヨーレートセンサとなどであって、車両22の走行状態に係る検出結果の信号を車両処理装置47に出力する。
スイッチ43は、例えば車両22の走行制御に係る各種の信号を車両処理装置47に出力する。
スイッチ43から出力される各種の信号は、例えば、運転者によるブレーキペダルやアクセルペダルの操作状態(例えば、操作位置など)に係る信号と、運転者の入力操作に応じて自動的に車両22の走行状態を制御する自動走行制御に係る各種信号(例えば、制御開始や制御停止を指示する信号と、目標車速や先行車両に対する目標車間距離の増減を指示する信号となど)となどである。
各種アクチュエータ44は、例えば、車両22の駆動力を制御するスロットルアクチュエータと、車両22の制動を制御するブレーキアクチュエータと、車両22の転舵を制御するステアリングアクチュエータとなどであって、車両処理装置47から出力される制御信号によって駆動制御される。
表示器45は、例えば、液晶表示画面などの表示画面を備える各種のディスプレイや、フロントウィンドウ上を表示画面とした投影により表示を行なうヘッドアップディスプレイや、各種の灯体などであり、車両処理装置47から出力される制御信号に応じた表示や点灯または消灯をおこなう。
スピーカー46は、車両処理装置47から出力される制御信号に応じて、警報音や音声などを出力する。
なお、表示器45およびスピーカー46は、例えばナビゲーション装置などの各種の車載機器に具備されていてもよい。
車両処理装置47は、例えば、演算処理部51と、車両通信制御部52と、走行制御部53と、報知制御部54とを備えて構成されている。
さらに、演算処理部51は、例えば図2に示すように、現在位置検出部61と、地図データ記憶部62と、加速度算出部63と、周波数分析部64と、単回帰直線算出部65と、傾き極大値算出部66と、渋滞予測部67と、情報記憶部68とを備えて構成されている。
現在位置検出部61は、例えば人工衛星を利用して車両22の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号などの測位信号を受信するアンテナ51aにより受信された測位信号によって車両22の現在位置を検出する。
なお、現在位置検出部61は、さらに、各種センサ42から出力される車両22の速度およびヨーレートなどに基づく自律航法の演算処理を併用して、車両22の現在位置を検出してもよい。
地図データ記憶部62は、地図データを記憶する。
地図データは、例えば、車両22の現在位置に基づくマップマッチングの処理に必要とされる道路上の位置座標を示す道路座標データと、経路探索や経路誘導などの処理に必要とされる道路データ(例えば、交差点および分岐点などの道路上の所定位置の緯度および経度からなる座標点であるノードおよび各ノード間を結ぶ線であるリンクと、道路形状および道路種別となど)とを備えている。
加速度算出部63は、例えば、各種センサ42から出力された車両22の速度の情報または現在位置検出部61により検出された現在位置の情報に基づき、速度の経時的な変化または現在位置の経時的な変化から車両22の加速度を算出する。
周波数分析部64は、加速度算出部63により算出された車両22の加速度に対して周波数分析を行ない、周波数に対応するパワースペクトルを算出する。
例えば、2つの異なる適宜の走行状態において加速度算出部63により検出された車両22の加速度に対して周波数分析が行なわれることで、図3(A),(B)に示すようなパワースペクトルとして周波数に対応した加速度スペクトルS1,S2が算出される。
単回帰直線算出部65は、周波数分析部64により算出されたパワースペクトルにおいて単回帰直線を算出する。
例えば、図3(A),(B)に示す加速度スペクトルS1,S2に対して、単回帰直線L1,L2が算出される。
傾き極大値算出部66は、単回帰直線算出部65により算出された単回帰直線に対して、所定周波数範囲での単回帰直線の傾きの変化量の極大値を傾き極大値として算出する。
例えば、傾き極大値算出部66は、図3(A),(B)に示す単回帰直線L1,L2に対して、所定周波数範囲Y(例えば、数秒から数分の時間範囲に対応する周波数範囲であって、0〜0.5Hzなど)でのスペクトル値の変化Xに基づき、傾きα1,α2(=Y/X)を算出する。
渋滞予測部67は、傾き極大値算出部66により算出された傾き極大値に応じて、渋滞が発生する可能性あるいは既に渋滞が発生している可能性を示す渋滞予兆度を算出する。
渋滞予兆度は、例えば傾き極大値に応じたパラメータであって、車両22の進行方向前方において渋滞となる可能性が高い場合に大きくなり、可能性が低い場合に小さくなる。
また、渋滞予兆度の大小を判定する所定の閾値については、任意の値を定めることができるが、一般的に(1/f)ゆらぎ特性として知られている「−45度」を所定の閾値とすることができる。
例えば、単回帰直線算出部65により算出された単回帰直線に対して、傾きαが小さい場合は、先行車両から受ける衝撃波(振動、ゆらぎ)が小さい場合に相当し、先行車両に対する反応遅れが小さく、車間距離が長くなって車群が形成され難い、すなわち渋滞に至る可能性が小さい場合に相当する。この場合、渋滞予兆度は小さな値をとる。
逆に、傾きαが大きい場合は、先行車両から受ける衝撃波(振動、ゆらぎ)が大きい場合に相当し、先行車両に対する反応遅れが大きく、車群が密になりやすく、すなわち渋滞に至る可能性が大きい場合に相当する。この場合、渋滞予兆度は大きな値をとる。
なお、ここで言う衝撃波(振動、ゆらぎ)とは、車両が加速および減速の動作を繰り返すことにより、この動作(前後の動き)を後方の車両に一種の振動として伝播させることを意味する。
したがって、渋滞予測部67は、単回帰直線算出部65により算出された単回帰直線の傾きαの大きさ、より具体的には、傾き極大値算出部66によって算出された傾き極大値に応じて渋滞予兆度を算出する。
例えば、渋滞予測部67は、傾き極大値(x)と渋滞予兆度(y)との関係を示す関数(例えば、y=ax+bなど)を予め求めておき、傾き極大値算出部66によって算出された傾き極大値(x)に対する渋滞予兆度(y)を算出する。
なお、渋滞予測部67は、傾き極大値と対応する渋滞予兆度の値との関係を予め作成してテーブルとしてメモリに格納しておき、算出された傾き極大値に対する渋滞予兆度をそのテーブルを参照して求めることもできる。
さらに、渋滞予測部67は、算出した渋滞予兆度および地図データ記憶部62に記憶されている地図データに基づき、車両22において渋滞回避さらには渋滞解消に必要とされる走行の支援を示す走行支援情報を作成する。
走行支援情報は、例えば、渋滞の発生を未然に阻止することを可能とするために車両22の走行制御に用いられたり、車両22の表示器45やスピーカー46から運転者に報知される情報である。
より詳細には、例えば、車両22において渋滞回避さらには渋滞解消に必要とされる自動走行制御での目標車速や目標車間距離の情報や、先行車両に対する車間距離の増大や加速動作の抑制などの所定の運転操作の情報や、車両22に対する経路探索や経路誘導の情報などである。
情報記憶部68は、渋滞予測部67により逐次作成された渋滞予兆度および走行支援情報を記憶する。
車両通信制御部52は、車両通信装置41による各種の情報の送受信を制御する。
例えば、車両通信制御部52は、所定周期のタイミングあるいは車両22の現在位置が交通信号機2から所定範囲内に到達したときなどにおいて、情報記憶部68に記憶されている渋滞予兆度と、現在位置検出部61により検出された車両22の現在位置との各情報を、車両通信装置41から交通信号制御装置10の通信装置12または路側通信機21またはサーバ装置23のサーバ通信装置32へと送信する。
また、例えば、車両通信制御部52は、サーバ装置23において作成され、サーバ装置23のサーバ通信装置32から送信されて車両通信装置41により受信された制御指令や報知信号などを取得して、走行制御部53および報知制御部54に出力する。
走行制御部53は、渋滞予測部67によって算出された渋滞予兆度および走行支援情報と、スイッチ43から出力される各種の信号と、各種センサ42から出力される車両22の走行状態に係る検出結果の信号と、サーバ装置23において作成され、車両通信制御部52から出力された制御指令などとに基づき、例えばスロットルアクチュエータとブレーキアクチュエータとステアリングアクチュエータとを駆動制御することによって、車両22の走行を制御する。
例えば、走行制御部53は、スイッチ43から出力される信号に応じて、自動走行制御の実行を開始または停止したり、自動走行制御での目標車速や目標車間距離の設定や変更を行なう。
また、例えば、走行制御部53は、渋滞予測部67によって算出された渋滞予兆度において車両22の進行方向前方に渋滞が発生する可能性が高いこと(あるいは、既に渋滞が発生している可能性が高いことなど)が示されている場合には、車両22が渋滞を回避するようにして、さらには車両22の後続車両が渋滞を起こし難いようにして、あるいは、車両22の周辺の渋滞を解消するようにして、必要とされる目標車速や目標車間距離を設定したり、車両の走行状態を変更する。
そして、これらの目標車速や目標車間距離を維持するような自動走行制御(例えば、実際の車速を目標車速に一致させる定速走行制御や、他車両(例えば、先行車両など)に対する実際の車間距離を目標車間距離に一致させる車間距離制御(例えば、追従走行制御など)を行なう。
また、例えば、走行制御部53は、渋滞予測部67によって作成された走行支援情報に応じて、車両22が渋滞を回避するようにして、さらには車両22の後続車両が渋滞を起こし難いようにして、あるいは、車両22の周辺の渋滞を解消するようにして、必要とされる目標車速や目標車間距離を設定したり、車両22の走行状態を変更する。
報知制御部54は、渋滞予測部67によって算出された渋滞予兆度および走行支援情報と、サーバ装置23において作成され、車両通信制御部52から出力された報知信号などとに基づき、表示器45とスピーカー46とを制御することによって、各種の報知動作を制御する。
例えば、報知制御部54は、渋滞予測部67によって算出された渋滞予兆度において車両22の進行方向前方に渋滞が発生する可能性が高いこと(あるいは、既に渋滞が発生している可能性が高いことなど)が示されている場合には、例えば、表示器45の表示画面での表示や灯体の点灯または消灯などを制御して、また、スピーカー46からの警報音や音声などの出力を制御して、これらの渋滞に係る情報を車両22の乗員に報知する。
また、例えば、報知制御部54は、渋滞予測部67によって算出された渋滞予兆度または走行支援情報に応じて、車両22が渋滞を回避するようにして、さらには車両22の後続車両が渋滞を起こし難いようにして、あるいは、車両22の周辺の渋滞を解消するようにして、必要とされる運転操作の指示(例えば、先行車両に対する車間距離の増大や加速動作の抑制など)を報知する。
例えば表示器45では、渋滞発生の有無を示す2色信号(青色と赤色など)の表示が切り替えられたり、渋滞発生を示す単色の灯体の点灯や点滅が行なわれたり、渋滞発生を示す警報メッセージの出力が行なわれる。
例えばスピーカー46では、渋滞発生を示す警報音や警報音声の出力が行なわれる。
また、例えば、走行支援情報の内容が表示器45やスピーカー46から運転者に報知される。
交通信号制御装置10の通信装置12は、車両22の車両通信装置41から直接的に、あるいは車両22の車両通信装置41から路側通信機21を介して間接的に、あるいは車両22の車両通信装置41からサーバ装置23のサーバ通信装置32を介して間接的に、渋滞予兆度および現在位置の情報を受信する。
交通信号機制御部11は、少なくとも1台以上の車両22の渋滞予兆度および現在位置の情報に基づき、交通信号機2が設置された道路に進入することが予想される車両22(例えば、交通信号機2から所定範囲内において交通信号機2に向かい接近する車両22など)の所定台数毎の渋滞予兆度の相加平均などである平均渋滞予兆度を算出する。
そして、算出した平均渋滞予兆度に基づいて、交通信号機2の信号灯色の切り替えタイミングを制御するための信号制御指令を生成する。
なお、所定台数は、例えば1台であってもよく、この場合の平均渋滞予兆度は1台の車両22の渋滞予兆度に等しい。
交通信号機制御部11は、例えば、平均渋滞予兆度が高い場合に、走行を許可する点灯表示の点灯時間を所定時間αだけ延長または走行を禁止する点灯表示の点灯時間を所定時間βだけ短縮することを指示する信号制御指令を生成する。
なお、平均渋滞予兆度が高い場合とは、例えば、車両22の車両処理装置47の傾き極大値算出部66により算出された傾き極大値に応じたパラメータである平均渋滞予兆度が、渋滞発生の確率が高い場合(例えば、70%以上など)に対応する所定閾値(例えば、「−45度〜−60度」など)以上の場合などである。
また、交通信号機制御部11は、例えば、複数の相互に作用する交通信号機2に関係する複数の車両22(例えば、交通信号機2から所定範囲内に到達した車両22など)から所定値(例えば、所定閾値よりも小さな所定値など)以上の渋滞予兆度の情報を取得した場合には、渋滞予兆度の高い順に応じて優先度が高い順となる制御優先順を設定する。
そして、設定した制御優先順に応じて、順次、渋滞予兆度に対して、渋滞予兆度に対応する車両22が関係する交通信号機2において、渋滞予兆度を低下させる信号制御を実行する。
なお、渋滞予兆度を低下させる信号制御は、例えば、走行を許可する点灯表示の点灯時間を所定の時間(例えば、渋滞予兆度が所定閾値以上である場合よりも短い延長時間など)だけ延長または走行を禁止する点灯表示の点灯時間を所定の時間(例えば、渋滞予兆度が所定閾値以上である場合よりも短い短縮時間など)だけ短縮する。
また、交通信号機制御部11は、例えば、車両22の現在位置の情報に基づき、交通信号機2が設置された道路に進入することが予想される車両22(例えば、交通信号機2から所定範囲内において交通信号機2に向かい接近する車両22など)の交通量を算出し、この交通量に基づいて、交通信号機2の信号灯色の切り替えタイミングを制御するための信号制御指令を生成する。
例えば、交通信号機制御部11は、交通信号機2が設置された道路に進入することが予想される車両22の交通量が所定交通量以上である場合に、走行を許可する点灯表示の点灯時間を所定時間αだけ延長または走行を禁止する点灯表示の点灯時間を所定時間βだけ短縮することを指示する信号制御指令を生成する。
本実施の形態による交通信号制御装置10を備える交通信号制御システム1は上記構成を備えており、次に、この交通信号制御システム1の動作について説明する。
以下に、車両22の車両処理装置47の動作について説明する。
先ず、例えば図4に示すステップS01においては、各種センサ42の車速センサにより車両22の速度を検出し、現在位置検出部61により車両22の現在位置を検出する。
次に、ステップS02においては、車両22の速度または現在位置に基づき、速度の経時的な変化または現在位置の経時的な変化から、車両22の加速度を算出する。
次に、ステップS03においては、車両22の加速度に対して周波数分析を行ない、周波数に対応するパワースペクトルを算出する。
次に、ステップS04においては、パワースペクトルにおいて単回帰直線を算出し、所定周波数範囲での単回帰直線の傾きの変化量の極大値を傾き極大値として算出する。
次に、ステップS05においては、傾き極大値(例えば、所定値以上の傾き極大値など)が算出されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS01に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS06に進む。
そして、ステップS06においては、傾き極大値に応じて、渋滞が発生する可能性あるいは既に渋滞が発生している可能性を示す渋滞予兆度を算出する。
次に、ステップS07においては、算出した渋滞予兆度および検出した現在位置の各情報を、交通信号制御装置10の通信装置12に直接的に送信、あるいはサーバ装置23のサーバ通信装置32を介して交通信号制御装置10の通信装置12に間接的に送信し、エンドに進む。
以下に、交通信号制御装置10の動作について説明する。
先ず、例えば図5に示すステップS11においては、車両22から送信された渋滞予兆度および現在位置の情報を受信する。
次に、ステップS12においては、受信した車両22の現在位置の情報と、例えば予め記憶している複数の交通信号機2の位置の情報とに基づき、複数の相互に作用する交通信号機2に関係する複数の車両22(例えば、交通信号機2から所定範囲内に到達した車両22など)から渋滞予兆度を受信したか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS20に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS13に進む。
次に、ステップS13においては、交通信号機2が設置された道路に進入することが予想される車両22の所定台数(少なくとも1台以上の台数)毎の渋滞予兆度の相加平均などである平均渋滞予兆度を算出する。
次に、ステップS14においては、平均渋滞予兆度は所定閾値(例えば、「−45度〜−60度」など)以上であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS15に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS17に進む。
そして、ステップS15においては、通常の点灯制御として、例えば各種の点灯表示に対して予め設定された所定の点灯時間を適用する点灯制御を実行し、エンドに進む。
また、ステップS16においては、渋滞予兆度に応じた信号制御は所定時間以上継続しているか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS15に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS17に進む。
そして、ステップS17においては、交通信号機2は車両22の走行を許可する点灯表示の点灯状態であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、つまり車両22の走行を禁止する点灯表示の点灯状態である場合には、ステップS18に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS19に進む。
そして、ステップS18においては、車両22の走行を禁止する点灯表示の点灯時間を所定時間短縮し、エンドに進む。
また、ステップS19においては、車両22の走行を許可する点灯表示の点灯時間を所定時間延長し、エンドに進む。
また、ステップS20においては、複数の相互に作用する交通信号機2に関係する複数の車両22から受信した複数の渋滞予兆度のうちに所定値(例えば、ステップS14における所定閾値よりも小さい所定値など)以上の渋滞予兆度が存在するか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS15に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS21に進む。
そして、ステップS21においては、所定値以上の渋滞予兆度に対して、渋滞予兆度の高い順に応じて優先度が高い順となる制御優先順を設定する。
そして、ステップS22においては、設定した制御優先順に応じて、順次、渋滞予兆度に対して、渋滞予兆度に対応する車両22が関係する交通信号機2において、渋滞予兆度を低下させる信号制御を実行し、エンドに進む。
上述したように、本実施の形態による交通信号制御システム1に備えられた交通信号制御装置10によれば、リアルタイムかつ容易に取得可能な車両22の加速度に基づいて、交通信号機2が設置された道路に進入することが予想される車両22の平均渋滞予兆度を算出し、この平均渋滞予兆度に基づいて信号制御指令を生成することにより、演算負荷の増大を防止して、信号制御を詳細かつリアルタイムに実行することができる。
より詳細には、平均渋滞予兆度が所定閾値以上である場合に、走行を許可する点灯表示の点灯時間を所定時間延長または走行を禁止する点灯表示の点灯時間を所定時間短縮することによって、交通流の整流化を促進することができ、渋滞発生を的確に抑制することができる。
そして、実時間的な交通量の情報に加え、実時間的かつ動的な走行パターンの周期変動に基づいて信号制御を実行することにより、渋滞に繋がる車群が生成される可能性を低減させるように適正な車両誘導を行なうことができる。
さらに、例えば道路の交通量を直接的に把握するために路面などに設置される各種センサの検知結果に基づいて、交通量に応じて信号制御を実行する場合に比べて、より早期の渋滞の予兆段階において信号制御を実行することができ、たとえ1台の車両22から得られる渋滞予兆度だけであっても信号制御を適正に実行することができ、渋滞発生を的確に抑制することができると共に、システムの構成に要する費用が嵩むことを防止することができる。
また、交通信号機2が設置された道路に進入することが予想される所定台数毎の車両22から得られる渋滞予兆度の平均渋滞予兆度を算出することにより、複数の渋滞予兆度のばらつきを平準化し、各車両22によって異なる渋滞予兆度の算出精度を平均化し、渋滞発生を、より一層、的確に抑制することができる
また、渋滞予兆度に応じた信号制御が所定時間以上継続した場合には、通常の点灯制御の実行を復帰させることから、交通流の適正な整流化を促進することができる。
さらに、複数の相互に作用する交通信号機2に対しては、所定閾値よりも小さい所定値によって、渋滞予兆度を低下させる信号制御を実行するか否かを判定することから、より早期に、渋滞予兆度が過度に増大するより前において、渋滞発生を的確に抑制することができる。
なお、上述した実施の形態においては、例えば図6に示す変形例に係る車両22のように、車両22の加速度に加えて、車両22と先行車両との車間距離の情報に基づいて、渋滞予測の演算を行なってもよい。
この変形例に係る車両22の構成において、上述した実施の形態の車両22の構成と異なる点は、例えば、演算処理部51において、先行車両検知部71と、車間距離算出部72と、車間距離分布推定部73と、共分散最小値算出部74と、相関演算部75と、が追加されている点と、各種センサ42として、車両22の外界を検出するレーダ装置などの外界センサが追加されている点とである。
つまり、変形例の車両22の演算処理部51は、例えば、現在位置検出部61と、地図データ記憶部62と、加速度算出部63と、周波数分析部64と、単回帰直線算出部65と、傾き極大値算出部66と、渋滞予測部67と、情報記憶部68と、先行車両検知部71と、車間距離算出部72と、車間距離分布推定部73と、共分散最小値算出部74と、相関演算部75とを備えて構成されている。
なお、レーダ装置(図示略)は、例えば、車両22の進行方向の前方に設定された検出対象領域を複数の角度領域に分割し、各角度領域を走査するようにして、赤外光レーザやミリ波などの電磁波の発信信号を発信する。そして、各発信信号が車両22の外部の物体(例えば、先行車両など)や歩行者などによって反射されることで生じた反射波の反射信号を受信する。そして、発信信号および反射信号に応じた信号を演算処理部51に出力する。
先行車両検知部71は、レーダ装置から出力された信号に基づき、車両22の進行方向の前方に存在する先行車両を検知する。
車間距離算出部72は、先行車両検知部71により検知された車両22の各先行車両に対して車間距離を検出する。
車間距離分布推定部73は、車間距離算出部72により検出された車両22の各先行車両に対する車間距離と、先行車両の検知台数とに基づき、車間距離分布を推定する。
例えば、車間距離分布推定部73は、車間距離と車両台数の情報から車両22の前方での車群(すなわち、車間距離が比較的緻密な先行車両の集合)が検知される場合、変分ベイズなどの分布推定法を用いて各車群に対してガウス分布(確率密度分布)を適用する。
例えば2つの車群が検知される場合は、2つの車群を2つのガウス分布を線形結合した分布として捉えることができ、例えば図7に示すように、2つのガウス分布を表わす確率関数P1(X)、P2(X)の和(重ね合わせ)として全体の分布を表す確率関数P(X)を得る。
ここで、ガウス分布(確率関数)をN(x|μ,Σ)で表すと、図7に例示されるような複数のガウス分布の重ね合わせは、下記数式(1)に示すように記述される。
Figure 2013143089
なお、上記数式(1)において、例えば任意の自然数kに対して、期待値(平均値)μは密度が最も高い位置を表す。共分散値(行列)Σは、分布のゆがみ、すなわち期待値μからどの方向に離れると密度がどのように減るかを表す。ガウス分布の混合係数(混合比)π(0≦π≦1)は、各ガウス分布がどれだけ寄与しているかの割合を表し、いわゆる確率とされている。
共分散最小値算出部74は、例えば上記した確率関数P(X)から得られる尤度関数が最大となるパラメータ(共分散)を求めるために変分ベイズなどを用いて算出処理をおこなう。
例えば、共分散最小値算出部74は、図7で例示されるような複数のガウス分布の重ね合わせとして得られる確率関数P(X)に対しては、各ガウス分布に対して共分散値Σを算出する。そして、各ガウス分布に対して得られた複数の共分散値Σの最小値を算出する。
例えば図8(A)に示すような共分散値Σの分布のグラフVは、共分散値Σに係る変数δ(例えば、共分散値Σそのものなど)に対して、変数δ=0においてシャープなグラフとなっており、車群の変動が無い、すなわち車間距離がほぼ一定の走行状態にあることを示唆している。
一方、図8(B)に示すような共分散値Σの分布は、共分散値Σに係る変数δの負の領域の値δ1でピークを持つグラフV1と正の領域の値δ2でピークを持つグラフV2の2つのグラフにより構成されている。各グラフV1、V2は共分散値Σに係る変数δに対して所定の変動幅を有しており、車群の変動が有る、言い換えれば車間距離が異なる車両2の集合が複数存在することを示唆している。
そして、例えば図8(A)において、共分散値Σの最小値(共分散最小値)はほぼゼロとなり、例えば図8(B)において、共分散値Σの最小値は2つの値δ1,δ2のうち小さいほうの値δ1となる。
相関演算部75は、傾き極大値算出部66により算出された傾き極大値と、共分散最小値算出部74によって算出された共分散最小値との相関マップを作成する。
例えば図9に示す傾き極大値と共分散最小値との相関マップのイメージ(概念)図では、横(X)軸を共分散最小値Xとし、縦(Y)軸を傾き極大値Yとして、変数(X、Y)の相関をマッピングしている。
例えば図9に示す相関マップでは、2つの領域A1,A2が示されており、2つの領域A1,A2が重なっている境界領域A3が存在している。領域A1は比較的共分散最小値が小さく、車群の変動が小さい状態、言い換えれば車間距離が比較的一定しているような状態に相当する。逆に領域A2は比較的共分散最小値が大きく、車群の変動が大きい状態、言い換えれば車間距離が異なる車の集合が複数存在する状態に相当する。
境界領域A3は、車群の変動が小さい状態から大きい状態へ遷移する領域であり、この境界領域A3に相当する車群の状態を定量的に見出すことによって、渋滞予測をおこなうことができる。
例えば図10に示すような交通密度と交通量の関係を示す図において、グラフの横(X)軸は、適宜の車両から所定距離内に存在する他の車両の台数を意味する交通密度であり、この交通密度の逆数が車間距離に相当する。縦(Y)軸は所定位置を通過する車両数を意味する交通量である。
例えば図10に示すような交通密度と交通量の関係を示す図は、いわば車両の流れを意味する交通流を表わしていると捉える事ができる。
図10で例示される交通流は、大きく4つの状態(領域)に区分けすることができる。
第1の状態は、渋滞が発生する可能性が低い自由流の状態であって、ここでは一定以上の加速度および車間距離が確保可能である。
第2の状態は、車両の制動状態と加速状態が混合する混合流の状態である。この混合流の状態は、渋滞流に移行する前の状態であって、運転者による運転の自由度が低下して、交通密度の増大(車間距離の縮小)によって渋滞流へと移行する確率が高い状態である。
第3の状態は、渋滞を示す渋滞流の状態である。
第4の状態は、自由流の状態から混合流の状態へ移行する間に存在する遷移状態である臨界領域である。この臨界領域は、自由流に比べて交通量および交通密度が高い状態であって、交通量の低下と交通密度の増大(車間距離の縮小)によって混合流へと移行する状態である。なお、臨界領域は、準安定流、メタ安定流と呼ばれることもある。
そして、例えば図9に示される領域A1は、例えば図10に示される自由流および臨界領域を含むことになり、例えば図9に示される領域A2は、例えば図10に示される混合流および渋滞流の状態を含むことになる。
したがって、例えば図9に示される境界領域は、例えば図10に示される臨界領域と混合流の状態との双方を含む境界状態であり、例えば図10に示される臨界領域の境界とされる。
この臨界領域の境界を含む臨界領域を定量的に把握することによって、混合流の状態への移行を抑制して渋滞の発生を防ぐことが可能である。
以下に、例えば車間距離分布についての共分散最小値の対数と加速度スペクトルについての傾き極大値の対数との相関マップを示す図11(A),(B)を参照しながら臨界領域の定量化について説明する。
図11(A)は図10に示される交通流のマップを簡略化して描いた図であり、図11(B)は共分散最小値の対数と傾き極大値の対数との相関マップを示す。
図11(B)に示される共分散最小値の対数と傾き極大値の対数は、傾き極大値算出部66により算出された傾き極大値と共分散最小値算出部74によって算出された共分散最小値との対数値として算出され、臨界領域における相転移状態のパラメータ化を描写したものである。
例えば図11(B)において、領域B1は図9(A)に示される臨界領域を含み、領域B2は図9(A)に示される混合流の状態を含む。臨界線Cは、これを越えて混合流の状態へ移行すると渋滞に至ってしまう可能性が高い臨界点を意味する。各領域B1,B2の境界領域B3は臨界線C直前の臨界領域の境界に相当する。
なお、図9(B)に例示される相関マップは車両処理装置47内のメモリ(図示略)に格納される。
この変形例の渋滞予測部67は、相関演算部75によって作成された相関マップにおいて、臨界領域の境界の状態が存在するか否かを判定し、この判定結果に応じて渋滞予兆度を算出する。さらに、相関マップにおいて、臨界領域の境界の状態が存在する場合には、渋滞への移行を阻止すべく、地図データ記憶部62に記憶されている地図データを参照して、走行支援情報を作成する。
なお、この変形例での渋滞予兆度は、例えば、相関マップにおいて臨界領域の境界の状態が存在する場合に対応して、所定の閾値よりも高くなり、相関マップにおいて臨界領域の境界の状態が存在しない場合に対応して、所定の閾値よりも低くなる。
この変形例による車両22は上記構成を備えており、次に、この車両22の車両処理装置47の動作について説明する。
先ず、例えば図12に示すステップS31においては、各種センサ42の車速センサにより車両22の速度を検出し、現在位置検出部61により車両22の現在位置を検出する。
次に、ステップS32においては、車両22の速度または現在位置に基づき、速度の経時的な変化または現在位置の経時的な変化から、車両22の加速度を算出する。
次に、ステップS33においては、車両22の加速度に対して周波数分析を行ない、周波数に対応するパワースペクトルを算出する。
次に、ステップS34においては、パワースペクトルにおいて単回帰直線を算出し、所定周波数範囲での単回帰直線の傾きの変化量の極大値を傾き極大値として算出する。
次に、ステップS35においては、傾き極大値(例えば、所定値以上の傾き極大値など)が算出されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS31に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS36に進む。
次に、ステップS36においては、車両22の進行方向前方に存在する先行車両を検知し、車両22の各先行車両に対する車間距離を算出する。
次に、ステップS37においては、車両22の各先行車両に対する車間距離と、複数の先行車両の検出台数とに基づき、車間距離分布を推定する。
次に、ステップS38においては、車間距離分布から共分散の最小値を算出する。
次に、ステップS39においては、共分散の最小値と傾き極大値との相関関係から車両の進行方向前方の車群分布を推定する。
次に、ステップS40においては、共分散最小値と加速度スペクトルの傾き極大値との相関マップにおいて臨界領域の境界の状態が存在するか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS31に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS31に進む。
次に、ステップS41においては、傾き極大値に応じて、渋滞が発生する可能性あるいは既に渋滞が発生している可能性を示す渋滞予兆度を算出する。
次に、ステップS42においては、算出した渋滞予兆度および検出した現在位置の各情報を、交通信号制御装置10の通信装置12に直接的に送信、あるいはサーバ装置23のサーバ通信装置32を介して交通信号制御装置10の通信装置12に間接的に送信し、エンドに進む。
この変形例に係るナビゲーション装置10によれば、車両22の加速度に加えて、車両22と先行車両との車間距離という容易に取得可能な情報を組み合わせて渋滞予兆度を算出することにより、渋滞予兆度の算出精度および信頼性を向上させることができ、渋滞予兆度に応じた信号制御を、より適正化することができる。
なお、上述した実施の形態の変形例においては、例えばレーダ装置などの外界センサの代わりに、車両通信装置41を他車両と通信可能として、この車載通信装置41によって他車両の現在位置の情報を取得して、車両22と先行車両との車間距離を算出してもよい。
なお、上述した実施の形態において、各交通信号機2は各車両22と通信可能であってもよい。
この場合には、交通信号制御装置10の通信装置12は、車両22の車両通信装置41から交通信号機2を介して間接的に渋滞予兆度および現在位置の情報を受信してもよい。
なお、本発明の一実施形態に係る交通信号制御システム1に備えられた交通信号制御装置10は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびCPUにより構成され、交通信号制御装置10の機能を実現するためのプログラム(データ更新用のプログラム)をメモリにロードして実行することによりその機能を実現するものであってもよい。
また、上述した本発明に係るプログラムをコンピュータ読みとり可能な記憶媒体に記憶して、この記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより信号制御を行ってもよい。なお、ここで言うコンピュータシステムとはOSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、コンピュータ読みとり可能な記憶媒体とは、DVD、メモリカード等の可搬記憶媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことを言う。さらに、コンピュータ読みとり可能な記憶媒体とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
1 交通信号制御システム
2 交通信号機
10 交通信号制御装置
11 交通信号機制御部(算出手段、指令生成手段)
12 通信装置(取得手段)
21 路側通信機
22 車両
23 サーバ装置
ステップS11 取得手段
ステップS13 算出手段
ステップS14〜ステップS19 指令生成手段

Claims (8)

  1. 車両の加速度に基づいて算出された渋滞予兆度を取得する取得手段と、
    前記交通信号機が設置された道路に進入することが予想される車両の所定台数毎の平均渋滞予兆度を算出する算出手段と、
    前記平均渋滞予兆度に基づいて、前記交通信号機の信号灯色の切り替えタイミングを制御するための信号制御指令を生成する指令生成手段と、
    を備えることを特徴とする交通信号制御装置。
  2. 前記指令生成手段は、前記平均渋滞予兆度が高い場合に、走行を許可する点灯表示の点灯時間を延長または走行を禁止する点灯表示の点灯時間を短縮することを指示する前記信号制御指令を生成する
    ことを特徴とする請求項1の交通信号制御装置。
  3. 前記取得手段は、路車間通信によって前記渋滞予兆度を取得することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の交通信号制御装置。
  4. 前記取得手段は、サーバ装置を介した通信によって前記渋滞予兆度を取得することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の交通信号制御装置。
  5. コンピュータを、交通信号機の信号灯色の切り替えタイミングを制御するための信号制御指令を生成する手段として機能させるためのプログラムであって、前記プログラムは、
    車両の加速度に基づいて算出された渋滞予兆度を取得する取得手段と、
    前記交通信号機が設置された道路に進入することが予想される複数の車両の所定台数毎の平均渋滞予兆度を算出する算出手段と、
    前記平均渋滞予兆度に基づいて前記信号制御指令を生成する指令生成手段と、
    を備えることを特徴とするプログラム。
  6. 前記指令生成手段は、前記平均渋滞予兆度が高い場合に、走行を許可する点灯表示の点灯時間を延長または走行を禁止する点灯表示の点灯時間を短縮することを指示する前記信号制御指令を生成する
    ことを特徴とする請求項5のプログラム。
  7. 前記取得手段は、路車間通信によって前記渋滞予兆度を取得することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のプログラム。
  8. 前記取得手段は、サーバ装置を介した通信によって前記渋滞予兆度を取得することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のプログラム。
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