JP2013142986A - タッチパネル部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明基材の両面において取出し配線を形成する際において、導電部材の無駄を低減し、且つ、微細配線形成を可能とし、しかも製造工程数の増大を抑えた取出し配線形成段階を含むタッチパネル部材の製造方法を提供する。
【解決手段】タッチパネル部材に設けられる取出し配線の形成に関し、導電部材含有感光性有機材料を用い、透明基材の一方の面に選択的に第一導電層を形成し、他方の面に選択的に第二導電層を形成し、上記第一導電層上に第一露光マスクを配置し、第一導電層を露光し、且つ、上記第二導電層上に第二露光マスクを配置し、第二導電層を露光する露光工程と、上記露光工程後において、上記第一導電層および上記第二導電層を現像して第一取出し配線と第二取出し配線とをパターニングする現像工程とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、タッチパネル部材の製造方法に関するものである。
近年、所謂タッチパネルと呼称される座標検出装置は、携帯電話、携帯音楽再生装置などのポータブルデバイス、自動販売機、パーソナルコンピュータの画面などを種々の技術分野において搭載機種が増加している。
座標検出装置は、透明基材上に操作領域と非操作領域とを有し、操作領域への接触操作または接触に近い操作により接触位置を検出可能とするものである。検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、光学方式、超音波表面弾性方式など様々であり、使用の目的や搭載されるデバイスの種類などによって適宜選択することができる。特に、静電容量方式、抵抗膜方式などの、透明基板上に電極を備えるタッチパネル部材を利用した座標検出装置は、幅広い用途を有する。
上記タッチパネル部材は、一般的に、透明基材上に複数の電極部から構成される電極層を備え、且つ、各電極部の端部に電気的に接続される取出し配線を備えて構成される。電極層は、主として操作領域に設けられ、一方、取出し配線は、非操作領域に設けられることが一般的である。
ところで、座標検出装置の小型化、軽量化などの要望に答えるために、これに搭載されるタッチパネル部材についても小型化、軽量化が図られている。また、大型の座標検出装置においても、その意匠性や操作性を向上する等の観点から、一定の規格内において、操作領域をなるべく大きく確保し、その分、非操作領域を狭くするという設計が求められる傾向にある。これに伴い、非操作領域において形成される取出し配線も、より小さい面積に集約する必要がある。
また、軽量化の要望に対する異なるアプローチとして、一枚の透明基材の一方側に第一電極層および第一取出し配線を形成し、該透明基材の他方側に第二電極層と第二取出し配線を形成してなるタッチパネル部材が知られる(例えば特許文献1)。かかる一枚の透明基材両面に、それぞれ電極層と取出し配線とを備えて構成されるタッチパネル部材によれば、従来公知の、第一の透明基材の一方側に、第一電極層と第一取出し配線とを設けた第一基材と、第二の透明基材の一方側に、第二電極層と第二取出し配線とを設けた第二基材とを、接着層等により貼り合わせて製造された透明基材積層型のタッチパネル部材に比べ、透明基材の数を少なくすることができ、軽量化、薄膜化が図られ、望ましい。
特開2011−54208
ただし、一枚の透明基材の両面にそれぞれ第一取出し配線と第二取出し配線とを形成するためには以下の課題を有していた。
即ち、透明基材上に取出し配線を形成する方法としては、銀―パラジウム―銅(APC)などの銀合金を導電材料として用い、これを基材略全面に導電層を製膜し、フォトリソグラフィ手法でパターニングすることにより所望のパターンの配線を形成する方法が知られる。かかる方法によれば、微細な配線パターンの取出し配線を形成することができる。しかし、タッチパネル部材は、上述するとおり取出し配線が基材上の非操作領域という限られた面積に形成されるため、製膜された導電層の大半は削除される結果となり、導電材料の使用効率が悪く、コストを上げる要因の一つとなっていた。
これに対し、銀ペーストなどの導電部材含有ペーストをインキとして利用し、スクリーン印刷などの印刷手法により、基材上に所望のパターンの取出し配線を直接に印刷形成する方法が知られる。このような印刷手法によれば、導電部材の無駄がなく、コスト低減の観点では非常に有利である。しかしながら、印刷手法はフォトリソグラフィ手法に比べて微細配線形成能に劣り、現状では実質的にL(線幅)/S(配線間距離)=50μm/50μが限界である。したがって、非操作領域をより小さく設計し、当該領域内に取出し配線を集約し、部材の小型化を図るという観点では、問題があった。
そこで本発明者は、導電部材が含有される感光性の有機材料(以下、「導電部材含有感光性有機材料」ともいう)を印刷用ペーストとして用い、透明基材両面に、それぞれ導電層を形成した後、フォトリソグラフィ手法を用いて取出し配線を形成する方法を検討した。
具体的には、まず基材の一方側の所望の領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第一導電層を印刷形成し、その後、第一導電層上に第一露光マスクを設置して露光し、現像により導電層の不要部分を削除し第一取出し配線を形成する。続いて、基材の他方側の所望の領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第二導電層を形成し、第二導電層上に第二露光マスクを設置して露光し、現像により導電層の不要部分を削除し第二取出し配線を形成する方法を検討した。かかる方法であれば、導電部材の無駄を最小限にし、且つ、フォトリソグラフィ手法による微細な配線形成が可能であることがわかった。しかし、透明基材の一面ずつに取出し配線を形成しなければならず、工程数が増大し、製造コストも上がってしまうという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、透明基材の両面において取出し配線を形成する際において、導電部材の無駄を低減し、且つ、微細配線形成を可能とし、しかも製造工程数の増大を抑えた取出し配線形成段階を含むタッチパネル部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(1)透明基材の一方側に第一電極層と第一取出し配線とを有し、他方側に第二電極層と第二取出し配線とを有するタッチパネル部材の製造方法において、
第一電極層を形成する第一電極層形成段階と、
第二電極層を形成する第二電極層形成段階と、
第一取出し配線および第二取出し配線を形成する取出し配線形成段階と、を含み、
上記取出し配線形成段階が、
透明基材の一方側において、該透明基材上面視上、第一取出し配線および第二取出し配線の形成が予定される取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第一導電層を形成し、且つ、該透明基材の他方側において、基材上面視上、第一取出し配線および第二取出し配線の形成が予定される取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第二導電層を形成する導電層形成工程と、
上記導電層形成工程後において、上記第一導電層上に第一露光マスクを配置し、第一導電層を露光し、且つ、上記第二導電層上に第二露光マスクを配置し、第二導電層を露光する露光工程と、
上記露光工程後において、上記第一導電層および上記第二導電層を現像して第一取出し配線と第二取出し配線とをパターニングする現像工程と、
を含むことを特徴とするタッチパネル部材の製造方法、
(2)透明基材の一方側に第一電極層と第一取出し配線とを有し、他方側に第二電極層と第二取出し配線とを有するタッチパネル部材の製造方法において、
第一電極層を形成する第一電極層形成段階と、
第二電極層を形成する第二電極層形成段階と、
第一取出し配線および第二取出し配線を形成する取出し配線形成段階と、を含み、
上記取出し配線形成段階が、
透明基材の一方側において、該透明基材上面視上、第一取出し配線の形成が予定される第一取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第一導電層を形成し、且つ、該透明基材の他方側において、基材上面視上、第二取出し配線の形成が予定される第二取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第二導電層を形成する導電層形成工程と、
上記導電層形成工程後において、上記第一導電層上に第一露光マスクを配置し、第一導電層を露光し、且つ、上記第二導電層上に第二露光マスクを配置し、第二導電層を露光する露光工程と、
上記露光工程後において、上記第一導電層および上記第二導電層を現像して第一取出し配線と第二取出し配線とをパターニングする現像工程と、
を含むことを特徴とするタッチパネル部材の製造方法、
(3)上記導電層形成工程において、上記露光工程における第一露光マスク側から照射される透過前露光光の露光強度を100%としたときに、該透過前露光光が第一導電層を透過した透過後露光光の露光強度が、上記透過前露光光の露光強度の100%未満であって、該透過後露光光が透明基材を透過し第二導電極層に到達する場合にも第二取出し配線のパターニングに実質的に影響を与えることのない露光強度となるように、第一導電層の露光時における膜厚を決定し、且つ、第二露光マスク側から照射される透過前露光光の露光強度を100%としたときに、該透過前露光光が第二導電層を透過した透過後露光光の露光強度が、上記透過前露光光の露光強度の100%未満であって、該透過後露光光が透明基材を透過し第一導電層に到達する場合にも第一取出し配線のパターニングに実質的に影響を与えることのない露光強度となるように第二導電層の露光時における膜厚を決定することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載のタッチパネル部材の製造方法、
(4)上記導電部材含有感光性有機材料に含有される導電部材として、少なくとも銀が含有されていることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載のタッチパネル部材の製造方法、
(5)上記第一電極層形成段階および第二電極層形成段階の後に、上記取出し配線形成段階が実施されることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載のタッチパネル部材の製造方法、を要旨とするものである。
本発明のタッチパネル部材の製造方法であれば、透明基材の両面において取出し配線を形成する際において、導電部材の無駄を低減し、且つ、必要に応じて微細配線形成を可能とし、しかも取出し配線形成段階において製造工程数の増大を抑えることができる。
(a)は、本発明のタッチパネル部材の製造方法で製造されたタッチパネル部材の一方側の上面図である、(b)は同他方の上面図である。 (a)は、図1のA−A断面図であり、(b)は、図1のB−B断面図である。 本発明のタッチパネル部材の製造方法を説明するための断面図である。 本発明のタッチパネル部材の製造方法を説明するための断面図である。 本発明のタッチパネル部材の製造方法を説明するための断面図である。 本発明のタッチパネル部材の製造方法を説明するための断面図である。 (a)は、図3Bに示す製造工程における基材の一方側を示す上面図であり、(b)は、同他方側を示す上面図である。 本発明のタッチパネル部材を液晶表示装置に搭載したタッチパネル部材付き表示装置の一実施態様を説明するための説明図である。 本発明の異なる態様を説明するための上面図であって、(a)は、第一導電層形成予定領域に選択的に第一導電層が形成された透明基材の一方側の面の上面図であり、(b)は、第二導電層形成予定領域に選択的に第二導電層が形成された透明基材の他方側の面の上面図である。
[実施態様1]
以下に、本発明を実施するための形態について、本発明のタッチパネル部材の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう)および本発明の製造方法により製造されたタッチパネル部材(以下、単に「本発明のタッチパネル部材」ともいう)について、図面を用いて説明する。尚、以下に示す図面は、図示容易化および理解のし易さのために便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比率等を、実際の数値に対し変更して示す場合がある。
尚、以下に説明する実施態様1は、導電層形成工程が、「透明基材の一方側において、該透明基材上面視上、第一取出し配線および第二取出し配線の形成が予定される取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第一導電層を形成し、且つ、該透明基材の他方側において、基材上面視上、第一取出し配線および第二取出し配線の形成が予定される取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第二導電層を形成する」という特徴を有する。
まず、本発明の製造方法の一実施態様により製造されたタッチパネル部材1について図面を用いて説明する。図1(a)は、タッチパネル部材1における透明基材2の一方側の面Xの上面図であり、図1(b)は、同他方側の面X’の上面図である。図1(a)に示される面Xと図1(b)に示される面X’とが外側面となり、且つ、面Xの辺Yと面X’の辺Yとが重なる向きでタッチパネル部材1の両面が構成される。また、図2(a)は、図1に示すタッチパネル部材1のA−A断面図であり、図2(b)は、図1に示すタッチパネル部材1のB−B断面図である。
タッチパネル部材1は、透明基材2の一方側の面Xに破線で区画される操作領域3と非操作領域4を備える。操作領域3は、タッチパネル部材1において、使用者が接触操作または接触に近い動作により操作することによって、接触位置、または接触に近い動作があった位置を検出可能とする領域であり、y軸方向に伸長するストライプ形状の第一電極部5がx軸方向に整列してなる第一電極層6およびx軸方向に伸長するストライプ形状の第二電極部7がy軸方向に整列してなる第二電極層8が設けられている領域である。第一電極部5と第二電極部7とは、上面視上、略直交に交差する角度の位置関係にあるが、これは一例であって、第一電極部5と第二電極部7との交差角度は任意の角度に設計されてよい。また、本発明のタッチパネル部材の製造方法において製造される第一電極層および第二電極層は、図1に示すストライプ状の第一電極部と第二電極部とが上面視上交差してなるパターンに限定されず、タッチパネル部材の形式を勘案し、操作領域における指などの操作体の操作位置を感知可能なタッチパネル用の積層電極を構成可能なパターンであれば、適宜選択して実施されてよい。
一方、非操作領域4は、接触による検出はなされない領域であって、一般的には、操作領域3の周囲に位置するよう設計され、額縁領域と称される態様が汎用であるが、これに限定されない。一方側の面Xには、非操作領域4に伸長した第一電極部5の端部と重なることにより電気的に接続されている第一取出し配線9が設けられており、他方側の面X’には、非操作領域4に伸長した第二電極部7の端部と重なることにより電気的に接続されている第二取出し配線10が設けられている。第一取出し配線9は、いずれも第一電極部5の紙面下側の端部と接続し、辺Yの中央領域まで伸長し、端部に外部回路接続領域11を有している。一方、第二取出し配線10は、y軸方向に整列する第二電極部7の紙面左右側の端部のいずれかに交互に電気的に接続されており、辺Yであって、外部回路接続領域11が集約される領域の左右領域まで伸長し、端部に外部回路接続領域12を有している。このように、第一取出し配線9および第二取出し配線10の端部に設けられる外部回路接続領域11、12は、タッチパネル部材1の任意の共通する辺に集約されるよう設けられることによって、フレキシブルプリント基板(FPC)などの外部回路接続部材と、外部回路接続領域11、12との接続が容易となるため好ましい。また、取出し配線の端部には上述のとおり外部回路接続領域が設けられることが一般的ではあるが、その他の形式により、取出し配線の端部と外部回路接続基板とが直接に接続されてもよい。
尚、図1に示す第一取出し配線9および第二取出し配線10の形成パターンは、本発明のタッチパネル部材の製造方法において形成される取出し配線のパターンを限定するものではない。本発明の製造方法において、第一取出し配線、第二取出し配線は、タッチパネル部材の両面それぞれにおける非操作領域において、第一電極部、第二電極部からの電気信号を外部回路へ直接または間接に伝達可能な任意のパターンにより形成することができる。
また、タッチパネル部材1では、非操作領域4にまで第一電極部5、第二電極部7が伸長し、その端部が入り込む態様を示したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば操作領域3内に、第一取出し配線9、第二取出し配線10の一部が入り込む態様を包含し、電極部と取出配線とが電気的に接続される領域、視認性、使用性などを勘案して、適宜設計され実施されてよい。
次に、本発明の製造方法について、図面を用いて工程順に説明する。以下における説明は、図1、図2に示すタッチパネル部材1を例にし、その製造方法について説明する。本発明の製造方法は、第一電極層を形成する第一電極層形成段階と、第二電極層を形成する第二電極層形成段階と、第一取出し配線および第二取出し配線を形成する取出し配線形成段階と、を含む。
以下に説明する本発明の製造方法の実施態様では、まず、第一電極層を形成する第一電極層形成段階と、第二電極層を形成する第二電極層形成段階とを実施して透明基材上に、第一電極層と第二電極層を形成した後、取出し配線形成段階を実施する態様にて説明する。また以下に示す製造方法の説明は、図3A〜図3Dに示す製造工程のフローチャートおよび図4を用いて説明する。尚、図3A〜図3Dは、図1に示すタッチパネル部材1のA−A断面に対応しており、図4(a)は、図3Bに示す製造工程における透明基材2の一方側の面Xの上面図であり、図4(b)は、図3Bに示す製造工程における透明基材2の他方側の面X’の上面図である。
タッチパネル部材1を製造するために、まず、透明基材2の一方側の面Xに第一電極部5を形成し、他方側の面X’に第二電極部7を形成する(図3A参照)。
透明基材2は、タッチパネル部材の基材として使用可能な基材から適宜選択されてよい。具体的な例としては、光透過性のガラス基材、あるいは光透過性であって、シート、フィルム、板、膜などの概念を含む樹脂より構成される基材を用いることができる。ガラス基材を選択することにより、タッチパネル部材強度が高くなり、また加熱温度などの製造条件の設定範囲を広くすることが可能である。一方、樹脂より構成される基材を選択することにより、タッチパネル部材の軽量化が図られ、またタッチパネル部材にフレキシブル性も付加可能である。
尚、本発明において、「透明」「透明性」という場合には、特段の断りがない限り、タッチパネル部材の操作者が、操作面からの視認を妨げない程度の透明性をいう。したがって、無色透明および、視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で適宜されず、タッチパネル部材の用途等に応じて、透過性の度合いを決定することができる。
第一電極部5および第二電極部7は、透明性を有する透明導電材料から形成することができ、例えば、インジウム錫オキサイド(ITO)、酸化インジウム(In)、インジウム亜鉛オキサイド(IZO)、酸化錫(SuO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウム亜鉛オキサイド(AZO)、ポリアニリン、ポリアセチレンなどの透明導電膜を所定の位置に形成することによって、第一電極部5および第二電極部7とすることができる。形成方法は特に限定されず、タッチパネル部材における電極部を形成可能な方法を適宜選択して実施することができる。
例えばまず、一方側の面Xに第一電極部5を形成するために、一方側の面Xに、スパッタリング手法により透明導電材料からなる導電膜を製膜し、次いで、該導電膜上に感光性膜を製膜した後、第一電極部5の形成パターンに適した露光マスクを設置、固定し、上記感光性膜に含まれる感光材料に適した波長域の光で露光し、次いで感光性膜を現像してエッチングし、エッチングされた感光性膜をマスクに導電膜をエッチングし、しかる後、残留する感光性膜および不要な導電膜を削除して第一電極部5を形成することができる。同工程を他方側の面X’においても繰り返し、これによって第二電極部7を形成してもよい。
あるいは、第一電極部5および第二電極部7を透明基材2の両面に同時に形成することもできる。第一電極部5および第二電極部7の同時形成方法は、例えば、特開2011−54208に開示されており、ここでは説明を割愛する。
第一電極部5および第二電極部7の透明基材2面に対する法線方向の厚みは、特に限定されず、操作領域における操作位置を感知し、これを取出し配線を通じて外部駆動回路に伝達し、上記操作位置を座標として算出するための演算を行なうための諸条件や設計仕様などを勘案して決定してよく、10〜40nm程度に形成されることが一般的である。尚、後述において層または膜の「厚み」、あるいは「膜厚」という場合には、特段の断りがない限り、基材面に対し法線方向の厚みを意味する。
尚、本発明の製造方法の一実施態様は、第一電極層形成段階と、第二電極層形成段階とを、順番に、あるいは同時に実施して得た透明電極部を備える透明基材を用いて、さらに取出し配線形成段階を実施することができる。一般的に、取出し配線の厚みに対する、電極部の厚みが充分に小さいという事情から、上記態様は、電極部の端部に取出し配線の端部を乗り上げて両者を電気的に接続し易いといった長所がある。
一方、本発明の製造方法の異なる実施態様は、透明基材上において、まず取出し配線形成段階を実施し、続いて第一電極層形成段階と、第二電極層形成段階とを、順番に、あるいは同時に実施することができる。
導電層形成工程:
上述のとおり第一電極部5および第二電極部7を形成した後、一方側の面Xにおいて、上面視上、第一取出し配線9および第二取出し配線10の形成が予定される領域を含む取出し配線形成予定領域13に導電部材含有感光性有機材料を用いて第一導電層14を形成し、且つ、他方側の面X’において、上面視上、第一取出し配線9および第二取出し配線10の形成が予定される取出し配線形成予定領域13に導電部材含有感光性有機材料を用いて第二導電層15を形成する導電形成工程を実施する(図3B、図4参照)。
取出し配線予定領域13は、図4において斜線で示す領域であり、透明基材2上面視上、第一取出し配線9、第二取出し配線10が形成される領域を含む。図4に示すとおり、基材面における限定的な領域にのみ第一導電材14、第二導電層15を形成することにより、従来のAPCなどの銀合金を用いて基材略全面に導電層を製膜して実施するフォトリソグラフィ手法で取出し配線を形成する場合に比べて、導電部材含有感光性有機材料の無駄な使用を低減させることができる。導電部材含有感光性有機材料を用いて所望の領域にのみ第一導電層14、第二導電層15を形成する方法は特に限定されないが、例えば、導電部材含有感光性有機材料を印刷インキとして用いるに可能なペースト状に調整し、これを用いてスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷などの印刷方法を実施してもよい。特に、スクリーン印刷は、限定的な所定領域に均一の膜を形成しやすく望ましい。
上記導電層形成工程は、第一導電層14または第二導電層15のいずれか一方を先に形成し、続いて他方を形成してもよいし、あるいは、両者を同時に形成してもよい。
透明基材2の一方側の面Xに第一導電層14を形成し、その後に他方側の面X’に第二導電層15を形成する場合には、第一導電層14を形成した後、必要に応じて乾燥工程を実施し、その後に第一導電層14上に保護フィルムを貼ってから、裏面に第二導電層15を形成すると、先に形成された第一導電層14に傷がつくことを防止できるため好ましい。
一方、透明基材2の両面X、X’において同時に第一導電層14および第二導電層15を形成するための方法としては、例えば、ロータリースクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ダイコートなどの両面同時印刷技術などにより実施することができる。また、両面同時に第一導電層14および第二導電層15を形成した場合にも、その後、必要に応じて乾燥工程を実施してもよい。
上述する乾燥工程は、導電部材含有感光性有機材料として溶媒を含むペースト状の材料を用いて印刷方法などにより、第一導電層14あるいは第二導電層15を形成した場合に、後工程の実施容易化等の理由により、溶媒を除去するための工程である。乾燥手段としてはホットプレート、オーブン、赤外線照射などによる加熱乾燥、真空乾燥などの任意の手段を選択してよい。加熱乾燥時における加熱温度や加熱時間、真空乾燥の条件は、特に限定されず、導電層に含有される溶媒の種類や量によって適宜決定してよい。透明基材2が樹脂基材である場合には、樹脂基材の耐熱性を踏まえ、140℃前後の比較的低温で実施することが好ましい。
印刷方法にも適用可能な、上記導電部材含有感光性有機材料は、取出し配線として充分な導電性を付与可能な導電部材および感光性を示す有機材料を1種以上含んで調製されてよい。また、必要に応じて光重合開始剤、酸発生剤などを含有してよい。
上記導電部材としては、銀、銅、金、白金、鉛などの導電部材あるいはこれらの合金、2種以上の混合粉末である導電部材が挙げられるが、これに限定されない。特に銀または銀合金は、導電性に優れ、基材に対する密着性や、酸化され難いなどの長所があり、取出し配線形成部材として優れている。また、銅または銅合金は、導電性に優れ、且つ、銀などに比べてコストが安いといった長所がある。導電部材は、一般的には粉体形状が適当であり、球形、楕円形、フレーク形状など種々の形態を選択可能である。球形の場合には、平均粒子径0.5μmから10μm程度、さらには1μmから6μm程度であることが好適である。楕円形やフレーク形状の場合には、上記数値範囲は、部材の最長径に適応される。導電部材の含有量にもよるが、0.5μm未満では、取出し配線中において粉末同士の接触が充分でない場合があり、また10μmを超えると、導電層を露光する際に露光光の透過が不充分となる場合がある。
上記感光性を示す有機材料としては、公知の材料、たとえば感光性ポリイミド、感光性フェノキシ樹脂、感光性アクリル変性エポキシ樹脂、あるいは、不飽和二重結合およびアルコキシ基を一つ以上有する化合物(以下、「化合物A」ともいう)と不飽和二重結合を有する感光性成分(以下、「化合物B」ともいう)の組み合わせなどを挙げることができる。上記化合物Aは、光重合開始剤の働きにより重合反応を起こす不飽和二重結合と加熱により縮合するアルコキシ基を分子内に少なくとも一つ以上有する化合物であって、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルメタクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルメタクリルアミドなどを挙げることができるがこれに限定されない。また、化合物Bは、分子内に不飽和二重結合を少なくとも一つ以上有するモノマー、オリゴマーもしくはポリマーであってよく、1種または2種以上使用してよい。化合物Bとしては、たとえばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレートなどの感光性アクリル系共重合体、あるいはそれ以外の炭素間二重結合を有するすべての化合物が使用可能である。尚、上述する化合物Aおよび化合物Bおよび光重合開始剤を含む導電部材含有感光性有機材料の好ましい例としては、特開2011−118191に開示されており、ここでのさらなる詳細な説明は割愛する。
尚、導電部材含有感光性有機材料をペーストとして調整する際には、一般的に溶媒を用いるが、溶媒についても特に限定されず、有機溶媒やアルカリ溶媒を、現像工程などを勘案して適宜決定してよい。
次に、取出し配線形成予定領域13について説明する。取出し配線形成予定領域13とは、図1に示すタッチパネル部材の上面図である図1(a)および(b)を、一方側の面Xおよび他方側の面X’を外側面として辺Y、Yで重ね、基材上面視上、観察した際に、第一取出し配線9および第二取出し配線10を含む領域を意味する。即ち、一般的に第一取出し配線9および第二取出し配線10とは異なるパターンで形成されるところ、取出し配線形成予定領域13は両方の形成位置を含む。
このように、取出し配線形成予定領域13を確保することにより、後述する露光工程において、一方側の面Xから露光される露光光が、第二取出し配線10を形成するための第二導電層15に対し第一導電層14を介して照射されることになる。その結果、一方側の面Xから露光される露光光が予定外の光硬化を第二導電層15において生じせしめ第二取出し配線10の所望のパターニングを困難とするという問題を回避することが可能である。特に第一導電層および第二導電層に含有される感光性材料がポジ型の場合には、上記問題回避はより大きい効果が期待される。以上の取出し配線形成予定領域13に関する説明は、他方側の面X’から露光される露光光が第一導電層14に対し与える影響に関しても同様である。
上述のとおり一方側の面Xから露光される露光光の照射によっても第二取出し配線10のパターニングをより確実なものとし、一方、他方側の面X’から露光される露光光の照射によっても第一取出し配線9のパターニングをより確実なものとするためには、さらに、第一導電層14および第二導電層15の膜厚を適切な範囲に調整することが望ましい。
以下に、第一導電層14および第二導電層15の膜厚の調整について、一方側の面Xから露光される露光光とこれに影響され得る第二導電層15とに着眼し、これに基づく第一導電層14の膜厚の調整を例に説明する。ただし、当該説明は、他方側の面X’から露光される露光光とこれに影響され得る第一導電層14とについても同様に適用され、これに基づく第二導電層15の膜厚の調整に関する説明として適用される。また、後述する取出し配線9の厚みに関する記載も、同様に取出し配線10の厚みに関する説明として適用される。
本発明者の検討により、一方側の面Xから露光された露光光が、第一導電層14および透明基材2を介して第二導電層15に到達した場合にであっても、第一導電層14を透過する前の透過前露光光の強度100%に対し、第一導電層14を透過した後の透過後露光光の強度が100%未満であって、該透過後露光光が透明基材2を透過し第二導電層15に到達する場合にも第二取出し配線10のパターニングに実質的に影響を与えることのない露光強度となるよう留意することが第二取出し配線10のパターニングに、より望ましいことがわかった。
また、このとき上記透過前露光光に対し、上記透過後露光光を適切な範囲に減衰させるためには、第一導電層14の露光時における膜厚を調整すればよいということを見出した。上述の観点における第一導電層14の具体的な膜厚は、第一導電層14を形成する導電部材含有感光性有機材料の組成や、導電部剤の含有比率などによって異なるため、予備実験として、使用予定の導電部材含有感光性有機材料を用いて、第一導電層、第二導電層の膜厚をふった複数の予備タッチパネル部材を、導電層の膜厚以外は予定されるタッチパネル部材の製造方法と同様に形成し、形成された第一取出し配線および第二取出し配線の状態を確認し、第一導電層および第二導電層の膜厚を決定することができる。一般的には、導電層の膜厚を大きくするほど、当該導電層を透過した透過後露光光の強度は、透過前露光光の強度に対し小さくなる傾向にある。
あるいは、予備実験として、使用予定の導電部材含有感光性有機材料を用いて導電層を形成し、該導電層に対する透過後露光光が適切な範囲、即ち、実質的に反対面側に形成予定の取出し配線のパターニング精度を良好に維持することが可能な程度まで減衰されることを確認することにより第一導電層14の膜厚を決定することができる。
即ち、上記導電層形成工程において、上記露光工程における第一露光マスク側から照射される透過前露光光の露光強度を100%としたときに、該透過前露光光が第一導電層を透過した透過後露光光の露光強度が、上記透過前露光光の露光強度に対し適切な範囲まで減衰されるように、第一導電層の露光時における膜厚を決定し、且つ、第二露光マスク側から照射される透過前露光光の露光強度を100%としたときに、該透過前露光光が第二導電層を透過した透過後露光光の露光強度が、上記透過前露光光の露光強度に対し適切な範囲まで減衰されるように第二導電層の露光時における膜厚を決定してもよい。
上記膜厚の決定には、例えば、透明基材の一方側の面に、上述する銀などの導電部材含有感光性有機材料を用いて予備実験用導電層を形成し、これをホットプレート上に設置し、80℃、10分程度の条件で乾燥し、予備実験用導電層の膜厚を測定する。続いて、予備実験用導電層側から、実際のタッチパネル部材の形成工程において予定される取出し配線形成時の露光工程と同じ条件で露光を行う。そして、予備実験用導電層および透明基材を介して、他方側の面に透過した透過後露光光の強度を照度計を用いて測定する。上記照度計としてはオーク社製のものなどが挙げられるがこれに限定されない。そして、透過前露光光の露光強度を100%とし、これに対し、透過後露光光の露光強度が100%未満であって、上記使用の導電部材含有感光性有機材料の露光現像には実質的に不充分となるような露光強度であることが確認された場合に、上記予備実験用導電層の膜厚を、本発明の製造方法において形成される導電層の膜厚と確認することができる。尚、導電層の膜厚は、露光時における膜厚を参照するものとする。ただし上述する膜厚の決定方法は、特に本発明の製造方法を限定するものではなく、導電層を透過した透過後露光光を適切な範囲まで減衰させることが可能な導電層の膜厚を確認することのできる他の方法を採用することを除外するものではない。
形成される第一取出し配線9の膜厚は特に限定されないが、この膜厚は、導電部材含有感光性有機材料に含まれる導電部材や有機材料の含有比率により調整可能である。したがって、例えば、導電部材含有感光性有機材料の組成や配合比率を、第一取出し配線9の膜厚を勘案して決定し、そのように決定された導電部材含有感光性有機材料を用いて予備実験を行い、第一導電層14を透過する透過後露光光の強度が100%未満であって、該透過後露光光が透明基材2を透過し第二導電層15に到達する場合にも第二取出し配線10のパターニングに実質的に影響を与えることのない露光強度となるように、第一導電層14の膜厚を決定してよい。即ち、第一導電層14の膜厚を、単に第一取出し配線9として求められる膜厚にのみ留意して決定するのではなく、一方側の面Xから露光された露光光が第二導電層15にまで透過する場合に、当該露光光の透過率を望ましく減衰させるに足る膜厚に決定するのである。
透過する露光光の減衰の観点で決定される第一導電層14の膜厚は、露光時に示される膜厚である。したがって、先に述べるとおり、第一導電層14を形成した後に、該第一導電層14に含有される溶媒を除去するための乾燥工程を実施する場合には、溶媒除去後の第一導電層14の膜厚を、露光時における膜厚として認識すればよい。膜厚を決定するための予備実験においても、実際の製造工程で予定される乾燥工程を行なった上、第一導電層14の膜厚を決定する。
以上に説明する導電層形成工程に関する記載は、適宜、他方側の面X’から露光された露光光が、第二導電層15および透明基材2を介して第一導電層14に到達した場合にも適応されることは上述のとおりである。したがって、第二導電層15を透過する前の透過前露光光の強度100%に対し、第二導電層15を透過した後の透過後露光光の強度が100%未満であって、該透過後露光光が透明基材2を透過し第二導電層14に到達する場合にも第一取出し配線9のパターニングに実質的に影響を与えることのない露光強度となっていれば、第一取出し配線9は、より望ましく形成されうる。
露光工程:
上記導電層形成工程後において、露光工程が実施される。露光工程は、上述のとおり形成された第一導電層14上に第一露光マスク16を配置して固定し、第一導電層14を露光し、且つ、上記第二導電層15上に第二露光マスク17を配置して固定し、第二導電層15を露光する工程である。具体的には、まず、図3Cに示すとおり、第一導電層14上に、第一露光マスク16を適当な距離にて位置あわせをして配置し、固定するとともに、第二導電層15上に、第二露光マスク17を適当な距離にて位置あわせをして配置し、固定する。第一露光マスク16は、第一取出し配線9に対応する第一取出し配線形成パターン18を有しており、一方、第二露光マスク17は、第二取出し配線10に対応する第二取出し配線形成パターン19を有している。
露光マスクを設置し固定した後、第一導電層14および第二導電層15に含有される樹脂の感光特性に対応した露光光を、第一露光マスク16、第二露光マスク17上から照射し、第一導電層14および第二導電層15を所望のパターンで露光する。露光光は、紫外線などの露光に適した光でよく、露光強度、露光時間は、第一導電層14および第二導電層15の露光に適した強度で決定してよい。
露光光は、例えば紫外線照射ランプ、水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどを用いて照射することができる。例えば水銀灯を用い365nm、405nm、436nmの混合波長で露光する場合には、9.5〜10.0(mW/cm)程度の露光強度で実施することができるが、これに限定されない。
露光時間(sec)とあわせて、導電層をパターニングするに充分な露光量(J/cm)を決定することができる。尚、露光光の露光強度は、例えば、照度計や光量形によって計測することができる。
露光工程は、導電層に含有される感光性樹脂の感光特性によって適切な露光マスクを設計し、ポジ型、ネガ型のいずれの露光を行なうこともできる。
上述のとおり露光を行なうと、第一露光マスク16側から露光された露光光は、第一導電層14の存在により第二導電層15における第二取出し配線10のパターニングに実質的に影響を与えないことが期待されるが、第一導電層14を構成する材料の選択によっては、上記露光光が第一導電層14および透明基材2を介して、第二導電層15に到達する虞もある。一方、第二露光マスク17側から露光された露光光は、第二導電層15存在により第一導電層14における第一取出し配線9のパターニングに実質的に影響を与えないことが期待されるが、第二導電層15を構成する材料の選択によっては、上記露光光が第二導電層15および透明基材2を介して、第一導電層14に到達する虞がある。
つまり、導電部材含有感光性有機材料により形成される導電層は、一般的に光透過性であるところ、透明基材の一方側に形成された導電層に対し露光された露光光が該導電層を透過し、透明基材を透過し、他方側に形成された導電層に到達して光硬化反応を生じせしめ、取出し配線の所望のパターニングが出来ない場合がある。これは透明基材の両面において一つの露光工程により、第一導電層および第二導電層を同時にあるいは準じ露光する工程を含むことによる問題である。
上記問題が危惧される場合には、上述にも説明するとおり、第一導電層14および第二導電層15の膜厚を、これらを透過する露光光の強度を、適切な範囲まで減衰可能な厚みに設計することにより、透明基材2を介して対面から到達する露光光は、取出し配線のパターニングに実質的に影響を及ぼすことを回避することができる。したがって、第一取出し配線14および第二取出し配線15が設計どおりにパターニングされる。
即ち、本発明のタッチパネル部材の製造方法の一態様として、導電層に露光される露光光を該導電層透過時に適度に減衰させるために、該導電層の膜厚を決定してもよい。これによって、上記問題を有し、一方面側からの露光光が対面側の導電層に到達した場合であっても、実質的に対面側の取出し配線のパターニング精度を落とさずに、設計どおりの取出し配線を形成することができる。上記態様によれば、上述する問題が危惧される場合にであっても、透明基材の一方側からの露光光が他方側に透過することを防止するための遮光層を設けることを省略可能であり、その結果、遮光層の形成工程や遮光層の削除工程を省略することできる。
本発明における露光工程は、導電層形成工程と後述する現像工程との間で行なわれる範囲において実施されればよく、例えば、まず、第一露光マスク16および第二露光マスク17を設置し固定して第一導電層14および第二導電層15を同時に露光してもよい。あるいは、まず、第一露光マスク16を設置し固定して第一導電層14を露光し、続いて、第二露光マスク17を設置し固定して第二導電層15を露光してもよい。
尚、感光性遮光層を予め導電層上に設けることによっても、対面側から到達する露光光の影響により取出し配線のパターニングを乱すことを防止することが可能である。即ち、導電層を形成した後、少なくとも透明基材のいずれかの面における導電層上に感光性遮光層を形成し、露光マスクを配置した後、感光性遮光層を露光、現像し、現像された感光性遮光層をマスクとして導電層をエッチングすることによれば、一方側の面からの露光光が他方側の面に形成された導電層に透過されることを防ぎ、同様に、他方側の面からの露光光が一方側の面に形成された導電層に透過されることを防ぐことができる(この場合には、導電層を感光性材料で形成する必要はない)。しかしながら、上記方法では、工程数が増大し、非常に手間がかかり、製造コストの増大も余儀なくされる。
これに対し、本発明の製造方法における一つの態様では、導電層の膜厚を調整することよって、透明基材の一方側からの露光光が他面側の導電層に到達した場合であっても、対面側の導電層のパターニングに実質的に影響を及ぼすことが防止され、また、工程数を増大させることなく、所望のパターンの取出し配線を透明基材の両面に精度よく形成することができる。
現像工程:
上記露光工程後において、現像工程が実施される。本発明における現像工程は、第一導電層14および第二導電層15を現像して第一取出し配線9および第二取出し配線10をパターニングする工程である(図3D参照)。具体的には、第一導電層14および第二導電層15に対応した現像液を用意し、この現像液を用いて、第一導電層14および第二導電層15を現像する。これにより、所望の露光マスクにより露光された第一導電層14および第二導電層15のうち、第一取出し配線9および第二取出し配線10の形成に不要な部分が除去される。上記現像液としては、アルカリ現像を行う場合には、炭酸ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、アルカリエチルアミノエタノール、水酸化テトラメチルアンモニウム、ジエタノールアミンなどを用いることができるが、これに限定されず、公知のアルカリ現像液を適宜選択して使用することができる。また、有機現像を行う場合には、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドといった極性溶媒を単独で、あるいは、メタノール、エタノール、水などのその他の溶媒との組み合わせて用いることができるが、これに限定されず、公知の有機現像液を適宜選択して使用することができる。
現像の具体的な実施方法は、特に限定されないが、例えば、上述する任意の現像液に、露光工程後の第一導電層14および第二導電層15を備える透明基材2を浸漬させることによって行なうことができる。あるいは、露光工程後の第一導電層14および第二導電層15を備える透明基材2をコンベヤ等の上に配置するなどして、第一導電層14および第二導電層15上に現像液をシャワーすることによって行なうこともできる。
最終的に得られる第一取出し配線9および第二取出し配線10の膜厚は、適宜設計してよいが、一般的には、5μm〜20μm程度とすることができる。ただし、上述するように露光光の減衰を勘案して第一導電層14、第二導電層15の膜厚を決定する場合には、取出し配線としての機能が確保される範囲において、最終的に得られる第一取出し配線9および第二取出し配線10の膜厚が決定されてよい。また、第一取出し配線9および第二取出し配線10の線幅についても適宜設計してよいが、本発明の製造方法は、第一導電層14および第二導電層15を所定の領域に形成した後、フォトリソグラフィ手法に倣って露光工程および現像工程を経て第一取出し配線9および第二取出し配線10をパターニングすることができる。したがってスクリーン印刷などの印刷手法により取出し配線を形成した場合よりも微細な線幅および配線間隔の取出し配線を形成可能であり、例えば、5μm〜200μm程度の線幅を実施可能である。また、第一取出し配線9および第二取出し配線10の全て、あるいは所望の箇所において、隣り合う取出し配線同士の間隔を、L(線幅)/S(配線間の距離)=20μm/20μm〜50μm未満/50μm未満程度とすることができる。もちろん、本発明の製造方法において形成される取出し配線は、上記微細な線幅、あるいは配線間隔に限定されず、タッチパネル部材の規格などに合わせ、適宜充分な太さで形成してもよい。
現像後には、任意で、水などによる洗浄液により基材面に対しリンス処理を行なってよい。
以上に説明する本発明のタッチパネル部材の製造方法は、透明基材2の両面において、導電層形成工程、露光工程、現像工程を進行させるため、透明基材2の一方側の面Xと、他方側の面X’とにおいて、それぞれ同じ工程を繰り返し実施しなくてよく、製造工程の増大を免れる。
以上に、本発明の製造方法における第一電極層形成段階、第二電極層形成段階、取出し配線形成段階以外について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、さらに任意の工程を実施し、任意の層を形成してもよい。
例えば、選択される透明基材が樹脂基材である場合に、選択される樹脂基材によっては、該基材中に含まれる樹脂材料からオリゴマー成分などがブリードアウトする虞がある。このとき、樹脂基材からブリードアウトする成分がタッチパネル用の電極層に何らかの作用を及ぼす虞がある場合などには、これを防止するために、まず透明基材面に、アンダーコート層を形成するためのアンダーコート層形成工程を実施してもよい。アンダーコート層は、透明性のアクリル樹脂系などの樹脂材料を用い、バーコート法などの印刷方法により透明基材一方側の面略全面に塗布して塗膜を形成し、続いて紫外線などの電離放射線を照射して樹脂を硬化させて0.5μm〜2μm程度の層として形成することができる。もちろん、まず一方側の面にアンダーコート層を形成し、次に、他方側にもアンダーコート層を形成することもできる。また、上記アンダーコート層の形成に先駆けて、透明基材面にプライマー層を形成するプライマー層形成工程を実施してもよい。上記プライマー層は、従来公知のプライマー層を構成可能な材料として知られる材料を用いて適宜形成してよいが、例えば、特開2011-26546に開示される、数平均分子量が3000以上15000未満のポリエステル樹脂(A)と、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物(B)とを含有し、このポリエステル樹脂(A)が芳香族性のカルボキシ基を2個以上有するプライマー組成物を用いて、好適に上記プライマー層を形成することができる。尚、上記プライマー組成物の詳細については、特開2011−26546に開示されているため、これ以上の説明は割愛する。形成方法は特に限定されないが、例えばマイクログラビア塗工の方法により容易に形成することができる。プライマー層の厚みは、特に限定されないが、一般的には、10nm〜10μm程度であってよい。
また、上記アンダーコート層上に、あるいは透明基材上に直接に、密着性向上層を形成してもよい。密着性向上層は、後工程において透明基材上に形成される層と透明基材との密着性を高めるために設けられる層であり、二酸化ケイ素などの透明性の無機材料で形成することができる。具体的には、二酸化ケイ素(SiO)などの適切な材料を用い、スパッタリングなどの製膜方法により10nm〜50nm程度の薄膜として形成することができる。
あるいはまた、取出し配線形成段階における現像工程を実施した後、キュア工程を実施してもよい。キュア工程を実施することによって、取出し配線に含有される硬化性樹脂の硬化反応を完遂させ、あるいは完遂に近い状態にすることができる。キュア工程は、ホットプレート、オーブン、赤外線照射などによる加熱乾燥、真空乾燥などの任意の手段により実施してよい。加熱乾燥時における加熱温度や加熱時間、真空乾燥の条件は、特に限定されず、取出し配線に含まれる樹脂の種類や量によって適宜決定してよい。透明基材2が樹脂基材である場合には、樹脂基材の耐熱性を踏まえ、例えば140℃前後で実施することが好ましく、これによって、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの比較的熱に弱い樹脂基材を透明基材2として用いることが可能である。
以上に説明する本発明の製造方法によれば、製造工程を増大させることなく、透明基材2の両面において、精度よくパターニングされた第一取出し配線9および第二取出し配線10が設けられたタッチパネル部材1を製造することができる。
尚、必要に応じて、本発明のタッチパネル部材の露出面側の一方、又は両方には、保護フィルムやカバーガラスをさらに設けてもよい。
[実施態様2]
次に本発明の製造方法の実施態様2について説明する。実施態様2は、導電層形成工程が、「透明基材の一方側において、該透明基材上面視上、第一取出し配線の形成が予定される第一取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第一導電層を形成し、且つ、該透明基材の他方側において、基材上面視上、第二取出し配線の形成が予定される第二取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第二導電層を形成する」なる特徴を備える。
また上記特徴以外は、実施態様2は、上述にて説明する実施態様1と同様に実施することができる。したがって実施態様2については、取出し配線形形成領域について以下に説明し、その他の事項については説明を割愛する。
即ち、実施態様2は、図6に示すとおり、取出し配線形成予定領域が、図4とは変更される点で実施態様1と異なっている。具体的には、実施態様2を説明する図6(a)は、第一取出し配線9の形成が予定される第一取出し配線形成予定領域13’に選択的に第一導電層14’が形成されている。したがって、図4(a)に示される取出し配線形成予定領域13よりも第一取出し配線形成予定領域13’の面積の方が小さく、導電部材含有感光性有機材料の使用量が図4(a)に示される態様よりもさらに低減されている。また、図6(b)は、第二取出し配線10の形成が予定される第二取出し配線形成予定領域13’’に選択的に第二導電層15’が形成されている。図4(b)における取出し配線形成予定領域13と、図6(b)における第二取出し配線形成予定領域13’’は、同じ領域であって同じ面積で示されているが、本発明の実施態様2における第二取出し配線形成予定領域が、必ずしも、実施態様1における取出し配線形成予定領域と同領域あるいは同面積になるわけではない。実施態様1における取出し配線形成予定領域は、上述のとおり、透明基材の上面視上、第一取出し配線および第二取出し配線の形成が予定される領域を含むのに対し、実施態様2では第二取出し配線の形成が予定される領域のみを含むよう第二導電層を形成すればよい。
したがって、実施態様2は、実施態様1に比べて、透明基材の一方側の面あるいは他方側の面において、導電部材含有感光性有機材料の使用量をより低減することが可能である。実施態様2は、特に導電部材含有感光性有機材料に含まれる感光性材料がネガ型の場合であって、取出し配線の露光現像がネガ型で行なわれる場合に、好ましく選択することができる。即ち、ネガ型であれば、露光時に、取出し配線形成部分のみが露光され、それ以外の部分では露光光がマスクにより遮蔽される。したがって、透明基材の上面視上、第一取出し配線のみ、あるいは第二取出し配線のみが形成される領域では、一方側の面からの露光光が他方側の面へと透過することにより該他方側の面に形成される取出し配線のパターニングの阻害という問題が生じないからである。したがって、少なくとも透明基材の上面視上、第一取出し配線および第二取出し配線の形成が重なる領域にのみ、第一導電層と第二導電層との重なりが確保されればよい。
一方、実施態様1は、導電部材含有感光性有機材料に含まれる感光性材料がネガ型およびポジ型のいずれにおいても望ましく実施することができる。ただし、上記感光性材料がポジ型の場合には、取出し配線を形成しない部分に露光光が照射されるため、透明基材の上面視上、第一取出し配線および第二取出し配線のいずれの形成領域も含む領域に第一導電層、第二導電層が形成される実施態様1は好適である。
次に、本発明のタッチパネル部材を液晶表示装置に搭載した使用例について説明する。図5は、本発明の使用態様の一例であって、本発明のタッチパネル部材1を静電容量式タッチパネル部材として液晶表示装置に搭載してなるタッチパネル付き液晶表示装置30を説明するための説明図である。尚、本説明では、液晶表示装置を例に本発明のタッチパネル部材の使用の例を説明するが、本発明のタッチパネル部材は、有機EL表示装置などのその他の表示装置にも適宜搭載して入力装置として実施可能である。
タッチパネル部材1は、液晶表示パネルを構成する液晶表示基板31の表示面側に搭載され、これによってタッチパネル付き液晶表示基板32が構成される。タッチパネル付き液晶表示基板32に対し図5紙面後方には、液晶表示対向基板33が位置しており、両基板が対向して固定されて液晶表示パネルをなしている。
タッチパネル付き液晶表示基板32の表示面(操作面)34は、アクティブ領域35と非アクティブ領域36とを備え、アクティブ領域35は、タッチパネル部材1の操作領域と概略一致し、また非アクティブ領域36はタッチパネル部材1の非操作領域と概略一致している。
タッチパネル部材1の非操作領域には、フレキシブルプリント回路(FPC)などの回路37が取り付けられており、これによってタッチパネル部材1における取出し配線の端部(一般的には、取出し配線の端部に設けられた外部回路接続領域)と回路37の配線とが接続されている。FPCの取り付けは、一般的には異方導電性フィルムなどを挟んで、FPCとタッチパネル部材1の非操作領域とを熱圧着することにより行うことができるが、これに限定されない。またFPCなどの配線部材を用いずに金属銅線を用いても接続可能である。回路37は、直接または間接に入力情報処理部40に接続されている。入力情報処理部40は、タッチパネル用駆動回路41を含むタッチパネル用プリント基板42を備え、指などの導体によりアクティブ領域35において接触あるいは接触に近い状態で操作がなされた場合に、その操作位置を検出し得るよう構成されている。
一方、液晶表示装置を駆動させるために、タッチパネル付き液晶表示基板32と液晶表示対向基板33との間の適切な位置に、FPCなどの回路43が接続される。回路43は、直接または間接に、映像情報処理部44に接続されている。映像情報処理部44は、映像情報に基づき液晶表示(画素表示)を制御するための液晶駆動回路45を含む液晶表示用プリント基板46を備え、該映像情報に基づく映像をアクティブ領域35に表示するよう駆動する。
映像情報処理部44および入力情報処理部40は、タッチパネル付き液晶表示装置30の駆動を制御する制御部と理解することができる。入力情報処理部40と映像情報処理部44とは接続されており、入力情報処理部40において得られた入力情報を映像情報処理部44に送信し、入力情報に基づいた映像情報を作成し、当該映像情報に基づいた映像を、表示領域に表示することもできる。
[実施例1]
(透明基材)
基材として、150mm×150mm、厚み200μmのSiO/PETフィルム(ジオマテック社製)を準備した。実施例1は、第一電極部、第二電極部の形成パターン、および第一取出し配線、第二取出し配線の形成パターンは、図1に示すタッチパネル部材1に倣って設計した。このとき、第一取出し配線、第二取出し配線の形成パターンにおいて、L(線幅)/S(配線間距離)=20μm/20μmと設計した。
(アンダーコート層)
アクリレート化合物(4官能アクリレート)(東亞合成株式会社製、アロニックスM405)100質量部、イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5質量部、をイソブチルアルコールに添加し、アンダーコート層形成液を準備した。アンダーコート層形成液をバーコート法(K303マルチコーター(松尾産業株式会社製)を使用)により上記透明基材の一方側の面に塗布して塗布膜を形成し、塗布膜に紫外線(波長365nm、照射エネルギー300mJ/m)を照射して、塗布膜を硬化させることにより、アンダーコート層(厚み1μm)が形成された。アンダーコート層は、基材フィルムの片面側に塗工形成された後、反対面側についても同様にして形成された。
(密着性向上層)
透明基材の両面にアンダーコート層を形成した積層体を用い、その積層体の両面それぞれに、小型スパッタ装置(株式会社アルバック製)を用いて二酸化ケイ素(SiO)をスパッタリングし、膜厚みが30nmの二酸化ケイ素膜を形成することによって密着性向上層とした。
(第一電極層、第二電極層)
上記で得られた密着性向上層を積層した積層体(密着性向上層付積層体)を用い、密着性向上層付積層体に対して、以下のとおり、第一電極層を形成する第一電極層形成段階をまず実施し、次いで、第二電極層を形成する第二電極層形成段階を実施することにより、透明電極層を形成した。尚、本実施例では、第一電極層形成段階と第二電極層形成段階を順に実施することによって、まず透明基材の一方側に第一電極層を形成し、次いで他方側に第二電極層を形成する態様を用いるが、本発明の製造方法はこれに限定されず、上述のとおり第一電極層形成段階と第二電極層形成段階とを同時に実施し、透明基材の両面において同時に第一電極層および第二電極層を形成する態様を含む。
<ITO膜の形成>
上述のとおり得られた密着性向上層付積層体の一方側の面において、密着性向上層の上に、スパッタにより厚み30nmのITO膜を形成し、これを第一電極層形成膜とした。
<第一電極層のパターニング>
上述のとおり形成された第一電極層形成膜上に、感光性材料としてポジ型レジスト材料(AZマテリアルズ社製)を塗布し、第一感光性層(厚さ1.0μm)を形成し、第一感光性膜付積層体を得た。尚、ポジ型レジスト材料の塗布は、カーテンコート法(カーテンコーター(株式会社セリテック製)を使用)により実施した。
続いて、第一電極層の形成パターンに対応した所定のパターンを有する第一露光マスクを準備した。第一露光マスクは、第一電極層の非形成部分に対応した部分を光透過可能に構成した。また、第一露光マスクには、第一感光性膜との位置関係を指定するアライメントマークを予め設けた。そして、第一露光マスクを第一感光性層上において、適切な間隔をあけて配置するとともに、位置あわせして固定した。
上述のとおり位置あわせして固定された第1露光マスクの外側から第一感光性膜に向かって紫外線(波長453nm、412nm、照射エネルギー1000mJ/m、30秒)を照射し露光処理を行なった。露光処理の後、第一感光性膜付積層体を現像液(水酸化カリウム(KOH)水溶液)に浸して、第一感光性膜についてポジ型レジスト材料の現像を行い(現像処理)、第一感光性膜のうち、第1電極層の形成部分を透明基材上に残した。
上記現像処理が施された第一感光性膜付積層体において、残存する第一感光性膜をマスクとして、第一電極層形成膜をエッチングした。エッチング液には、塩化鉄溶液を用いた。そしてエッチングの後、透明基材上に存在する第一感光性膜を、KOH水溶液を用いて剥離した。これにより、透明基材の一方側の面に第一電極層を形成した。尚、本実施例における第一電極層および後述する第二電極層の形成には、ポジ型のレジストを用いたが、本発明の製造方法はこれに限定されず、ネガ型のレジストを用いることも可能である。
<第二電極層のパターニング>
上述のとおり第一電極層を形成した後、透明基材の他方側に第二電極層を形成した。第二電極層の形成は、第二電極層の形成パターンに対応した所定のパターンを有する第二露光マスクを用いたこと以外は、第一電極層を同様の形成工程を実施することにより行なった。
以上により、透明基板の両面に、アンダーコート層、密着性向上層を形成し、その上に、第一電極層と第二電極層を形成してなる積層体(電極層付積層体)を得た。
(第一取出し配線、第二取出し配線)
まず取出し配線を形成するための銀含有感光性有機材料として、特開2011−118191号公報の実施例1の記載に倣って、調整した。即ち、当該公報の実施例1に関する記載「100mlクリーンボトルにアルカリ可溶性アクリルポリマーAP−003(東レ株式会社製、A−1)を20g、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド(笠野興産株式会社製、B−1)を20g、光重合開始剤OXE−01(チバジャパン株式会社製)を4g、酸発生剤SI−110(三新化学工業株式会社製、E−1)を0.6g、γ−ブチロラクトン(三菱ガス化学株式会社製)を10gいれ、‘‘あわとり練太郎’ ’(商品名ARE−310、株式会社シンキー社製)で混合し、感光性樹脂溶液45.6g(固形分97.8wt%)を得た。得られた感光性樹脂溶液3.99gと平均粒子径2μmのAg粒子を26.1g混ぜ合わせ、3本ローラー‘‘EXAKT M−50’ ’(商品名、EXAKT社製)を用いて混練し、30.1gの有機−無機複合導電性パターン形成用感光性ペーストを得た」なる記載に基づき、本実施例における銀含有感光性有機材料を調整した。
そして、上述のとおり得た電極層付積層体の一方側における取出し配線形成予定領域に、銀含有感光性有機材料を用い、スクリーン印刷により第一導電層を形成した。尚、上記取出し配線形成予定領域は、図4に示される取出し配線予定領域13と同様のパターンで決定した。そして、第一導電層を備える透明基材をホットプレート上に設置し、80℃、10分の条件で乾燥し、第一導電層中の溶剤を除去した。乾燥後の第一導電層の厚みは、最終的に形成される第一取出し配線が6μmとなるように調整した。
上述のとおり得た透明基材の一方側の面である第一導電層を有する面に保護フィルムを貼り付け、該保護フィルムを下面側になるよう設置した。そして、透明基材の他方側にも、第一導電層の形成と同様の方法で導電層を形成し、これを第二導電層とした。そして、第二導電層中に溶剤を除去するために、上述と同様の方法で乾燥を行なった。乾燥後の第二導電層の厚みは最終的に形成される第二取出し配線が6μmとなるように調整した。
乾燥を実施した後の、第一導電層および第二導電層に対し、フォトリソグラフィ法により以下のとおりパターン加工を行なうことにより、第一取出し配線および第二取出し配線を形成した。具体的にはまず、第一取出し配線の形成パターンに対応した所定のパターンを有する取出し配線形成用の第一露光マスクおよび、第二取出し配線の形成パターンに対応した所定のパターンを有する取出し配線形成用の第二露光マスクを準備した。取出し配線形成用の第一露光マスク、第二マスクはそれぞれ、第一取出し配線、第二取出し配線の形成部分に対応した部分を光透過可能に構成した。また、取出し配線形成用の第一露光マスクには、第一導電層との位置関係を指定するアライメントマークを予め設け、同様に、取出し配線形成用の第二露光マスクには、第二導電層との位置関係を指定するアライメントマークを予め設けた。そして、取出し配線形成用の第一露光マスクを第一導電層上において、適切な間隔をあけて配置するとともに、位置あわせし、取出し配線形成用の第二露光マスクを第二導電層上において、適切な間隔をあけて配置するとともに、位置あわせした。
上述のとおり位置あわせして固定された第1露光マスク、第二露光マスクの外側から第一導電層および第二導電層に向かって両面同時に露光処理を行なった。該露光処理には、光源として365nm、405nm、436nmの波長域を含む光を照射可能な水銀灯を用い、照射エネルギー600mJ/m、照射時間64秒の条件で行なった。
上記露光処理の後、第一導電層および第二導電層を備える透明基材をコンベヤの上に設置し、現像液(炭酸ナトリウム水溶液)を、該透明基材の両面にシャワーし、ネガ型レジスト材料の現像を行い(現像処理)、第一導電層のうち、第一取出し配線の形成部分を透明基材上に残し、且つ、第二導電層のうち、第二取出し配線の形成部分を透明基材上に残した。これによって、透明基材の両面にそれぞれ第一取出し配線および第二取出し配線を形成した。上記現像処理後に、純水によるリンス処理を透明基材の両面において実施した。
次に現像処理によって第一取出し配線および第二取出し配線が形成された透明基材をオーブン内に設置し、140℃、60分の加熱(キュア工程)を行ない、上記第一取出し配線および上記第二取出し配線の硬化を完遂した。以上のとおりに製造されたタッチパネル部材を実施例1とした。
[予備実験]
尚、実施例1を実施するために、予め以下のとおりの予備実験を行った。即ち、予備実験として、第一導電層および第二導電層の厚みを異ならしめた複数の予備タッチパネル部材を形成した。予備タッチパネル部材は、第一導電層および第二導電層の膜厚以外は、上述する実施例1に示される製造方法と同様に製造した。そして、得られた複数の予備タッチパネル部材において形成された第一取出し配線および第二取出し配線の厚み、および第一取出し配線および第二取出し配線の形成状態を確認した。その結果、第一取出し配線および第二取出し配線の厚みの厚みが、それぞれ6μm以上である予備タッチパネル部材では、良好に第一取出し配線および第二取出し配線が形成されたことが確認された。そこで、第一取出し配線および第二取出し配線の厚みの厚みが6μmとなる設計で実施例1を実施することとした。また、実施例1における第一導電層および第二導電層の厚みは、上記実施例1の製造条件において、形成される第一取出し配線および第二取出し配線の厚みが、6μmとなるように、調整した。
[参考例1]
形成される第一取出し配線および第二取出し配線の厚みが、0.5μmとなるよう第一導電層および第二導電層の厚みを変更したこと以外は、実施例1と同様にタッチパネル部材を製造し、これを参考例1とした。
[評価1]
第一取出し配線および第二取出し配線を光学顕微鏡で観察、TOPCON社製SOKKIAで線幅測定を行い、設計どおりのパターンにより形成されているかどかを確認した。
その結果、実施例1では、第一取出し配線および第二取出し配線は、いずれも設計どおりのパターンで形成されていることが確認された。一方、参考例1は、第一取出し配線および第二取出し配線において、配線パターンの精度が不充分な箇所が見出された。
ただし上記参考例1は、あくまでも本発明を理解する上での参考に示す例であって、第一取出し配線および第二取出し配線の厚みが6μm未満であっても、選択される部材や製造条件によって、本発明の所期の課題は解決し得る。
1 タッチパネル部材
2 透明基材
3 操作領域
4 非操作領域
5 第一電極部
6 第一電極層
7 第二電極部
8 第二電極層
9 第一取出し配線
10 第二取出し配線
11、12 外部回路接続領域
13 取出し配線形成予定領域
13’ 第一取出し配線形成予定領域
13’’ 第二取出し配線形成予定領域
14、14’ 第一導電層
15、15’ 第二導電層
16 第一露光マスク
17 第二露光マスク
18 第一取出し配線形成パターン
19 第二取出し配線形成パターン
30 タッチパネル付き液晶表示装置
31 液晶表示基板
32 タッチパネル付き液晶表示基板
33 液晶表示対向基板
34 表示面(操作面)
35 アクティブ領域
36 非アクティブ領域
37、43 回路
40 入力情報処理部
41 タッチパネル用駆動回路
42 タッチパネル用プリント基板
44 映像情報処理部
45 液晶駆動回路
46 液晶表示用プリント基板
X タッチパネル部材1の一方側の面
X’ タッチパネル部材1の他方側の面
Y タッチパネル部材1の一辺

Claims (5)

  1. 透明基材の一方側に第一電極層と第一取出し配線とを有し、他方側に第二電極層と第二取出し配線とを有するタッチパネル部材の製造方法において、
    第一電極層を形成する第一電極層形成段階と、
    第二電極層を形成する第二電極層形成段階と、
    第一取出し配線および第二取出し配線を形成する取出し配線形成段階と、を含み、
    上記取出し配線形成段階が、
    透明基材の一方側において、該透明基材上面視上、第一取出し配線および第二取出し配線の形成が予定される取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第一導電層を形成し、且つ、該透明基材の他方側において、基材上面視上、第一取出し配線および第二取出し配線の形成が予定される取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第二導電層を形成する導電層形成工程と、
    上記導電層形成工程後において、上記第一導電層上に第一露光マスクを配置し、第一導電層を露光し、且つ、上記第二導電層上に第二露光マスクを配置し、第二導電層を露光する露光工程と、
    上記露光工程後において、上記第一導電層および上記第二導電層を現像して第一取出し配線と第二取出し配線とをパターニングする現像工程と、
    を含むことを特徴とするタッチパネル部材の製造方法。
  2. 透明基材の一方側に第一電極層と第一取出し配線とを有し、他方側に第二電極層と第二取出し配線とを有するタッチパネル部材の製造方法において、
    第一電極層を形成する第一電極層形成段階と、
    第二電極層を形成する第二電極層形成段階と、
    第一取出し配線および第二取出し配線を形成する取出し配線形成段階と、を含み、
    上記取出し配線形成段階が、
    透明基材の一方側において、該透明基材上面視上、第一取出し配線の形成が予定される第一取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第一導電層を形成し、且つ、該透明基材の他方側において、基材上面視上、第二取出し配線の形成が予定される第二取出し配線形成予定領域を少なくとも含む領域に、導電部材含有感光性有機材料を用いて第二導電層を形成する導電層形成工程と、
    上記導電層形成工程後において、上記第一導電層上に第一露光マスクを配置し、第一導電層を露光し、且つ、上記第二導電層上に第二露光マスクを配置し、第二導電層を露光する露光工程と、
    上記露光工程後において、上記第一導電層および上記第二導電層を現像して第一取出し配線と第二取出し配線とをパターニングする現像工程と、
    を含むことを特徴とするタッチパネル部材の製造方法。
  3. 上記導電層形成工程において、上記露光工程における第一露光マスク側から照射される透過前露光光の露光強度を100%としたときに、該透過前露光光が第一導電層を透過した透過後露光光の露光強度が、上記透過前露光光の露光強度の100%未満であって、該透過後露光光が透明基材を透過し第二導電層に到達する場合にも第二取出し配線のパターニングに実質的に影響を与えることのない露光強度となるように、第一導電層の露光時における膜厚を決定し、且つ、第二露光マスク側から照射される透過前露光光の露光強度を100%としたときに、該透過前露光光が第二導電層を透過した透過後露光光の露光強度が、上記透過前露光光の露光強度の100%未満であって、該透過後露光光が透明基材を透過し第一導電層に到達する場合にも第一取出し配線のパターニングに実質的に影響を与えることのない露光強度となるように第二導電層の露光時における膜厚を決定することを特徴とする、請求項1または2に記載のタッチパネル部材の製造方法。
  4. 上記導電部材含有感光性有機材料に含有される導電部材として、少なくとも銀が含有されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のタッチパネル部材の製造方法。
  5. 上記第一電極層形成段階および第二電極層形成段階の後に、上記取出し配線形成段階が実施されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のタッチパネル部材の製造方法。
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JP2021056774A (ja) * 2019-09-30 2021-04-08 セイコーエプソン株式会社 静電容量タッチパネル付き表示装置

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