JP2013142237A - 避難シェルター - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で、避難室への水の浸入を確実に防止できる地中埋設式の避難シェルターを提供する。
【解決手段】地中埋設式の避難シェルターであって、地上からの避難口11を有し、かつ、避難口11からの水の侵入を許容する前室1と、前室1に連結された避難室2と、前室1と避難室2との連結箇所に設けられ、前室1と避難室2との往来を可能にする連結口14と、を備え、避難口11から前室1に侵入した水によって、前室1及び避難室2のうち少なくとも前室1に既に存在する空気の所定量以上が避難口11から外部に漏れ出すことが防止されるように、前記前室を構成した。
【選択図】図4
【解決手段】地中埋設式の避難シェルターであって、地上からの避難口11を有し、かつ、避難口11からの水の侵入を許容する前室1と、前室1に連結された避難室2と、前室1と避難室2との連結箇所に設けられ、前室1と避難室2との往来を可能にする連結口14と、を備え、避難口11から前室1に侵入した水によって、前室1及び避難室2のうち少なくとも前室1に既に存在する空気の所定量以上が避難口11から外部に漏れ出すことが防止されるように、前記前室を構成した。
【選択図】図4
Description
本発明は、津波や洪水等の水災害から避難するための地中埋設式の避難シェルターに関する。
従来から、津波や洪水等の際は、丘陵地や高い建築物等の高台に避難するのが一般的であった。しかし、特に高齢者や小さな子供にとっては、比較的近い場所に高台がない場合や、高台への登坂路が急傾斜である場合等は避難が困難であり、逃げ遅れに繋がることがあった。例えば、自宅を高い建物に建築すること等も考えられるが、全ての家庭において可能であるという訳ではなく、また、その建物よりも高い津波等に襲われると甚大な被害に見舞われることになる。
そこで、特許文献1や特許文献2のような地中埋設式の避難シェルターが提案されている。引用文献1や特許文献2に記載の技術では、庭先等の地中にカプセルやボックスカルバート等によって避難室を構成し、地上の避難口から降下して直接避難室に避難できるようにしている。
しかしながら、避難シェルターは常時使用するものではないため、メンテナンスを怠ると、各部が経年劣化等して破損する虞もある。特許文献1や特許文献2に記載の技術であると、避難口の蓋が破損すると、水が直接避難室に進入することとなるため、地下に避難することに対して使用者が躊躇してしまう可能性がある。
また、複雑な構成、例えば、幾重もの蓋やドアを備える構成等を採用すれば、避難室への水の浸入を阻止することはできるが、コスト増となって、一般の方が入手し難いものとなり、また、避難に時間がかかる虞もある。
そこで、本発明は、簡単な構成で、避難室への水の浸入を確実に防止できる地中埋設式の避難シェルターを提供することを目的とする。
本発明に係る避難シェルターの第一特徴構成は、地中埋設式の避難シェルターであって、地上からの避難口を有し、かつ、前記避難口からの水の侵入を許容する前室と、前記前室に連結された避難室と、前記前室と前記避難室との連結箇所に設けられ、前記前室と前記避難室との往来を可能にする連結口と、を備え、前記避難口から前記前室に浸入した水によって、前記前室及び前記避難室のうち少なくとも前記前室に既に存在する空気のうちの所定量以上が前記避難口から外部に漏れ出すことが防止されるように、前記前室を構成した点にある。
本特徴構成であれば、災害時に前室に水が侵入すると、その侵入量に対応した量の空気が追い出されるが、所定量の空気が追い出されると、それ以上の空気はそのまま前室に残ることとなる。つまり、その後は、前室の残留空気層が、侵入した水によって圧縮されるだけとなる。そして、水頭圧と前室の空気圧とのバランスが取れると、前室への水の浸入は確実に止まる。即ち、本構成によると、前室に敢えて水を侵入させることにより、複雑な構成を採用することなく、空気と水との圧力バランスという簡単な仕組みで、避難室への水の侵入を確実に防止することができる。
本発明に係る避難シェルターの第二特徴構成は、前記前室に、前記避難口から前記連結口までの避難経路を遮る隔壁を備えると共に、前記隔壁に、避難者が通行可能な開口を形成し、前記開口の上端部が前記連結口の下端部よりも低い位置となるように構成した点にある。
本特徴構成によれば、前室に侵入した水の水位が開口の上端にまで達すると、その後は、いくら避難口から前室に水が浸入しようとも、隔壁よりも避難室の側に存在する空気は、水面と隔壁とによって囲われ、隔壁よりも避難口の側に漏れ出すことはない。そして、空気と水との圧力バランスとが取れれば、水の侵入は止まり、開口よりも高い位置にある連結口から避難室に水が侵入することはない。このように、本特徴構成であれば、隔壁を備え、開口と連結口との位置を調整するという簡単な構成を採用するだけで、避難室への水の侵入を確実に止めることができる。
本発明に係る避難シェルターの第三特徴構成は、前記避難室に地上へ直接連通可能な脱出口と、前記脱出口を閉塞する仕切部材と、を備え、前記連結口に、前記連結口を気密状態に閉塞可能なドアを備えた点にある。
地上において水が引いた後でも、前室内に侵入した水はそのまま残ってしまうので、前室及び避難口を介して地上に脱出するのが困難な場合があるが、本特徴構成であると、仕切部材を開放すると、前室を通らずとも、脱出口を介して避難室から直接地上に脱出することができる。
また、例えば、脱出口が避難口よりも高い位置にある場合でも、水位が避難口より高いと、仕切部材を開放した瞬間に、避難室の空気圧と前室側からの水頭圧との圧力バランスが崩れ、高圧状態の避難室に前室側から一気に水が流れ込む虞がある。しかし、本特徴構成であると、ドアを閉鎖することにより、避難室が前室と気密状態に区画されるので、仕切部材を開放すると避難室の空気圧が外部に逃げるだけで、前室側から水が流れ込むことはない。
本発明に係る避難シェルターの第四特徴構成は、前記避難室に、地上に対して出退可能な空気取得装置を備えた点にある。
避難シェルターに避難して、津波の襲来等をやり過ごせたとしても、その水が引くのには時間がかかる場合がある。その一方で、時間が経てば経つほど、避難室内の空気は、二酸化炭素濃度の増加によって汚染されていく。そこで、空気ボンベ等を常設することが考えられるが、備品を増やせば、その分だけメンテナンスが必要となる。本特徴構成であると、避難中に周囲の水が引かず、未だに避難室から脱出できないような場合にも、空気取得装置を地上の水面以上に突出させれば、新鮮な外気を避難室に導入することができる。
本発明に係る避難シェルターの第五特徴構成は、前記避難室を、複数のユニット部材で構成し、前記ユニット部材の増減によって前記避難室の容積を変更可能なように構成した点にある。
本特徴構成であると、自宅の庭先の広さや、避難対象人数といった諸条件によって避難シェルターの容積を変更する際に、ユニット部材を増減するだけで良く、容積に応じた規格を設ける必要がなく、より汎用性の高い避難シェルターを提供することができる。
以下、本発明を適用した避難シェルターについて図面に基づいて説明する。本実施形態においては、避難対象となる水災害の一例として津波を想定して記載するが、水災害であればその他の洪水等であっても良い。
〔全体構成について〕
避難シェルターは、プレキャストコンクリート製であり、ほぼ全体が地中に埋設される(図4乃至図6参照)。避難シェルターは内周に防水処理が施され、外部に対して防水性及び気密性を有する。避難シェルターは、図1及び図2に示すごとく、一つのユニットからなる前室1と、複数のユニットからなる避難室2と、を備えている。前室1ユニットと避難室2とは隣り合わせの状態で連結されている。前室1と避難室2との床高さは一致させてあり、かつ、間口寸法も一致させてある。従って、搬送・搬入が容易であると共に、土工事も簡単であって、自宅の庭先等にも簡単に埋設することができる。
避難シェルターは、プレキャストコンクリート製であり、ほぼ全体が地中に埋設される(図4乃至図6参照)。避難シェルターは内周に防水処理が施され、外部に対して防水性及び気密性を有する。避難シェルターは、図1及び図2に示すごとく、一つのユニットからなる前室1と、複数のユニットからなる避難室2と、を備えている。前室1ユニットと避難室2とは隣り合わせの状態で連結されている。前室1と避難室2との床高さは一致させてあり、かつ、間口寸法も一致させてある。従って、搬送・搬入が容易であると共に、土工事も簡単であって、自宅の庭先等にも簡単に埋設することができる。
〔前室について〕
前室1は、四方の壁面と天井面と床面とを有する箱状のユニットである。図2及び図4に示すごとく、前室1の天井面のうち、避難室2とは反対側の角部分には、地上からの避難口11が立ち上げ形成されている。図4に示すごとく、避難口11には、開閉自在なハッチ11aが設置されている。ハッチ11aは、日常の雨水や粉塵の侵入は防止するが、ある程度の水圧によって水の侵入を許容したり、損壊するか、または、浮力によって開放されるような構成としてある。また、図1、図3及び図5に示すごとく、前室1の壁面のうち、避難室2に隣接する壁面の高い位置には、避難室2側に開口する連結口14が形成されている。
前室1は、四方の壁面と天井面と床面とを有する箱状のユニットである。図2及び図4に示すごとく、前室1の天井面のうち、避難室2とは反対側の角部分には、地上からの避難口11が立ち上げ形成されている。図4に示すごとく、避難口11には、開閉自在なハッチ11aが設置されている。ハッチ11aは、日常の雨水や粉塵の侵入は防止するが、ある程度の水圧によって水の侵入を許容したり、損壊するか、または、浮力によって開放されるような構成としてある。また、図1、図3及び図5に示すごとく、前室1の壁面のうち、避難室2に隣接する壁面の高い位置には、避難室2側に開口する連結口14が形成されている。
図1乃至図4に示すごとく、前室1には、前室1の内部を避難室2側とその反対側とに区画する垂直の隔壁12が設けられている。そして、前室1の内部には、隔壁12を挟んで、避難室2とは反対側の第一階段13Aと、避難室2の側の第二階段13Bとが備えられている。第一階段13Aの最上段の踊り場は、避難口11の下方に位置し、第一階段13Aは前室1の床まで隔壁12に沿って下っている。第二階段13Bは、前室1の床から、第一階段13Aと平行に、かつ、同じ昇り勝手に配設され、第二階段13Bの最上段の踊り場は、連結口14に近接している。図1乃至図4、及び図6に示すごとく、隔壁12の下部には、第一階段13Aを下りきった箇所と第二階段13Bを下りきった箇所とを連通し、避難者の往来を可能にする開口12aが形成されている。
つまり、前室1内において、避難口11→第一階段13A→開口12a→第二階段13B→連結口14が避難経路(図3の点線矢印参照)であり、隔壁12は避難経路を遮るように設けられていることとなる。また、図4に示すごとく、開口12a及び連結口14の位置は、開口12aの上端部が連結口14の下端部よりも寸法Hだけ低い位置となるように設定されている。寸法Hは、後述するように、前室1や避難室2の容積や、想定される津波の高さ(水頭圧)等によって適宜設定する。
図3乃至図5に示すごとく、連結口14のうち前室1側には、前室1の内部側向きの開き勝手であって、閉じたときに、連結口14を気密状態に閉塞可能な気密ドア14a(本発明に係る「ドア」に相当)が配設されている。
図1、図4及び図6に示すごとく、前室1のうち第二階段13Bの上方に、いわゆるハト小屋16が一体形成されている。ハト小屋16は、長手方向に傾斜状(避難室2の側から前室1の側に向かって上り傾斜)かつ台形形状の断面に形成され、避難シェルター設置時に地上に露出する。ハト小屋16の断面の台形形状は、底辺は一定であるが、避難室2から離れるに従って、上辺の幅が狭まりつつ、高さが高くなる。ハト小屋16は、図4に示すごとく、第二階段13Bの上方のスラブ(床版)15によって前室1と区画されると共に、避難室2の側に大きく開口され、避難室2と一体的な空間を形成している。また、ハト小屋16のうち避難室2とは反対側の壁面には、脱出口17が形成されている。脱出口17には、本発明に係る「仕切部材」としてのパネル17aが嵌め込み固定されており、外部に対しての気密性が保たれている。パネル17aは、高気密性を有するだけでなく、樹脂等でかなりの厚さに形成されて高強度に構成してあり、備え付けの、例えば、先細りの特殊治具等でなければ破壊できない構成としてある。したがって、パネル17aは、津波によって流されてきた衝突物等によって外部から破壊されることがない。
〔避難室について〕
避難室2は、図1乃至図4に示すごとく、第一ユニット2A、第二ユニット2B、第三ユニット2C、拡張用ユニット2D、端部ユニット2Eから構成されている。第一ユニット2A乃至第三ユニット2Cは、断面六角形状の中空状のユニットである。第一ユニット2Aは、前室1及びハト小屋16に突き合わせ連結されている。第二ユニット2Bは第一ユニット2Aに突き合わせ連結されている。第三ユニット2Cは、第二ユニット2Bに突き合わせ連結されている。第三ユニット2Cのうち前室1とは反対側の端面は四角形状であるが、第三ユニット2Cから第一ユニット2Aに向うに従って、各ユニットの上部の形状が徐々に変化し、第一ユニット2Aの前室1の側の端面形状は、ハト小屋16及び前室1の端面の六角形状に対応している。
避難室2は、図1乃至図4に示すごとく、第一ユニット2A、第二ユニット2B、第三ユニット2C、拡張用ユニット2D、端部ユニット2Eから構成されている。第一ユニット2A乃至第三ユニット2Cは、断面六角形状の中空状のユニットである。第一ユニット2Aは、前室1及びハト小屋16に突き合わせ連結されている。第二ユニット2Bは第一ユニット2Aに突き合わせ連結されている。第三ユニット2Cは、第二ユニット2Bに突き合わせ連結されている。第三ユニット2Cのうち前室1とは反対側の端面は四角形状であるが、第三ユニット2Cから第一ユニット2Aに向うに従って、各ユニットの上部の形状が徐々に変化し、第一ユニット2Aの前室1の側の端面形状は、ハト小屋16及び前室1の端面の六角形状に対応している。
第二ユニット2Bの天井面には、図1、図2及び図4に示すごとく、透明の覗き窓22が配設されている。津波襲来時には、覗き窓22を介して地上の水位状況等を窺い知ることができる。また、覗き窓22の設置高さは、脱出口17の下端位置と同程度の高さに設定してあり、覗き窓22から水が見えなければ、脱出口17の下端位置より水面Wが低くなったと判断することも可能である。
図1、図3及び図4に示すごとく、拡張用ユニット2Dは、断面四角形状の中空状のユニットであって、第三ユニット2Cに突き合わせ連結されている。図1乃至図4に示すごとく、端部ユニット2Eは、拡張用ユニット2Dに突き合わせ連結され、避難室2のうちの前室1とは反対側の壁面を構成している。また、図3及び図4に示すごとく、避難室2のうち前室1側の壁面は、前室1の壁面が兼用されている。なお、拡張用ユニット2Dを増減させることにより、避難室2の総延長を長短させて、避難室2の容積を変更することができる。
図1乃至図4に示すごとく、第一ユニット2Aには第三階段21が備えられている。第三階段21は、避難室2の床から、第二階段13Bと平行に、かつ、同じ昇り勝手に配設され、第三階段21の最上段の踊り場は、連結口14及びハト小屋16に近接している。
〔空気取得装置〕
図4に示すごとく、端部ユニット2Eには、空気取得装置23が備えられている。避難室2の容積は一定であるので、内部の空気の量にも限りがある。したがって、津波が引いて水位が下がるのに時間がかかると、避難室2の内部の二酸化炭素濃度が上昇し、空気が汚染される。したがって、ある程度の時間が経っても水位が下がらない場合は、空気取得装置23を地上に突出させて、外部からの空気を取得する。
図4に示すごとく、端部ユニット2Eには、空気取得装置23が備えられている。避難室2の容積は一定であるので、内部の空気の量にも限りがある。したがって、津波が引いて水位が下がるのに時間がかかると、避難室2の内部の二酸化炭素濃度が上昇し、空気が汚染される。したがって、ある程度の時間が経っても水位が下がらない場合は、空気取得装置23を地上に突出させて、外部からの空気を取得する。
空気取得装置23には、蓋23aと外筒23bと内筒23cとハンドル23dとが備えられている。端部ユニット2Eの天井面に空気取得用の貫通孔を形成し、貫通孔の周囲を立ち上げ、その立ち上りの上端部に蓋23aが取り付けられている。外筒23bは貫通孔に出退可能に支持され、内筒23cは外筒23bに入れ子式に内挿されている。ハンドル23dは、段部ユニットの天井面に回転操作可能に支持されている。ハンドル23dと外筒23bとは公知のギア構造によって連係されている。
ハンドル23dを回転操作すると、先ず、外筒23bと内筒23cとが一体的に上昇し、蓋23aを押し開ける。そして、外筒23bが限界まで突出すると、引き続いて、内筒23cが外筒23bから突出する。最終的には、外筒23bと内筒23cとの合計の長さ程度まで延長でき、水面Wよりも上側に内筒23cの先端を突出させられる。そして、ハンドル23d付近に備えた不図示の開放レバーを操作すると、内筒23cの先端部が開放され、外気を取得可能となる。なお、空気取得装置23と貫通孔との間では常に気密状態が維持されるようになっており、外筒23b等の出退によって、外部の水が避難室2に侵入することはない。
〔避難シェルターのメカニズムについて〕
図7(a)乃至(c)及び図8に基づいて、避難シェルターのメカニズムについて説明する。まず、津波の襲来を知った避難者は、図7(a)に示すごとく、避難経路を辿って、避難室2に避難する。具体的には、ハッチ11aを開放して第一階段13Aの踊り場へ降り、ハッチ11aを閉鎖する。そして、第一階段13Aを下り、開口12aを潜り抜け、第二階段13Bを最上段の踊り場まで昇る。次に、連結口14を通って避難室2に入り、気密ドア14aを閉める。避難の容易性を考慮して、通常は気密ドア14aを開放させておく方が好ましい。最後に、第三階段21を降りて、避難を完了する。気密ドア14aの閉鎖によって、避難室2は、外部に対しても前室1に対しても気密状態で区画される。
図7(a)乃至(c)及び図8に基づいて、避難シェルターのメカニズムについて説明する。まず、津波の襲来を知った避難者は、図7(a)に示すごとく、避難経路を辿って、避難室2に避難する。具体的には、ハッチ11aを開放して第一階段13Aの踊り場へ降り、ハッチ11aを閉鎖する。そして、第一階段13Aを下り、開口12aを潜り抜け、第二階段13Bを最上段の踊り場まで昇る。次に、連結口14を通って避難室2に入り、気密ドア14aを閉める。避難の容易性を考慮して、通常は気密ドア14aを開放させておく方が好ましい。最後に、第三階段21を降りて、避難を完了する。気密ドア14aの閉鎖によって、避難室2は、外部に対しても前室1に対しても気密状態で区画される。
避難室2への避難後に津波が襲来し、特に津波の高さが高く、水圧が高いような場合に、図7(b)に示すごとく、ハッチ11aが破損する等して、水が前室1に侵入する。そして、開口12aを介して前室1の底全体に徐々に水が溜り、その水位は上昇する。水位が開口12aの上端部に至るまでは、水位の上昇によって、第二階段13Bの側の空気は、開口12aを介して第一階段13Aの側へ追い出される。しかし、図7(c)に示すごとく、水位が開口12aの上端部よりも高くなると、第二階段13Bの側の空気は、水面Wと隔壁12と外周の壁面と気密ドア14aとスラブ15とで囲われて逃げ場を失う。つまり、その後は、地上の津波の高さを含めた水頭圧によって、前室1に閉じ込められた空気層が多少圧縮されるだけで、水頭圧と空気層の空気圧とのバランスが取れると、前室1へのそれ以上の水の侵入が止まる。
また、避難シェルターは、日常的に使用するものではないので、メンテナンスが必要であるが、そのメンテナンスを怠って気密ドア14aが故障していたり、気密ドア14aの気密性能が低下していたりすることもある。このような場合であっても、連結口14の下端部と開口12aの上端部とに寸法Hの高低差が設けられているので、少なくとも、前室1及び避難室2の空気層が寸法H以上分だけ圧縮されない限り、水が連結口14を乗り越えて避難室2に侵入することはない。したがって、寸法Hの決定は重要であり、前室1や避難室2の容積や、想定される津波の高さ(水頭圧)等によって適宜設定する。
次に、避難シェルターから外部に脱出する際の要領について、図8に基づいて、説明する。地上の水が引いたとしても、前室1には水が残ってしまう。即ち、大量の水が前室1に残留した場合は、前室1を通って避難口11から脱出することがでない場合がある。このような場合は、上述した脱出口17から脱出可能である。まず、第三階段21を昇り、その踊り場からスラブ15の上に昇る。そして、パネル17aを破壊して、外部に脱出する。
また、避難シェルター周辺の水位が脱出口17よりも低くなっていたとしても、その水位が未だ避難口11より高ければ、パネル17aを開放した瞬間に、それまでの避難室2の空気圧と前室1側からの水頭圧との圧力バランスが崩れ、高圧状態の避難室2に前室1側から一気に水が流れ込む虞がある。しかし、上述したように、避難の際に気密ドア14aを閉鎖することにより、避難室2が前室1と気密状態に区画されるので、パネル17aを開放すると避難室2の空気圧が外部に逃げるだけで、前室1の側から水が流れ込むことはない。
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態においては、避難シェルターをユニット化したプレキャストコンクリートで構成した例を示したが、これに限られるものではない。例えば、現場打ちコンクリート製やFRP樹脂製の一体成形物であっても良い。
(1)上述の実施形態においては、避難シェルターをユニット化したプレキャストコンクリートで構成した例を示したが、これに限られるものではない。例えば、現場打ちコンクリート製やFRP樹脂製の一体成形物であっても良い。
(2)上述の実施形態においては、避難シェルターを箱形状に構成し、ハト小屋16を台形形状に構成した例を示したが、避難シェルターやハト小屋16はこれらの形状に限られるものではない。特に、ハト小屋16は地上に露出するものであるので、設置場所の用途や、敷地の広さに応じて、適宜形状を変化させれば良い。また、ハト小屋16は、避難室2側のユニットに一体形成してあっても良い。
(3)上述の実施形態においては、避難のし易さに配慮して第一階段13A乃至第三階段21を設けたり、脱出容量等を考慮して、ハト小屋16(脱出口17)や気密ドア14aを設けたりしたが、これらに限られるものではない。例えば、各階段の代わりに、タラップを壁面に固定してあっても良いし、梯子や脚立を備え付けても良い。また、覗き窓22やハト小屋16や気密ドア14aを備えていなくても、図9に示すごとく、隔壁12を備え、隔壁12に開口12aを形成し、開口12aの上端部が連結口14の下端部よりも低い位置となるように構成してさえすれば、避難室2への水の侵入を防ぐことができる。
(4)上述の実施形態においては、空気取得装置23を備えたが、これに限られるものではない。例えば、空気取得装置23を備えずに、避難室2に空気ボンベや酸素ボンベ等を備え付けてあっても良い。
(5)上述の実施形態においては、隔壁12、開口12a、及び、開口12aと連結口14との高さ関係によって、水の浸入を阻止する構成を示したが、これに限られるものではない。例え、その他の構成であっても、避難口11から前室1に水が侵入する際、前室1に浸入する水が、前室1及び避難室2のうち少なくとも前室1に既に存在する空気の所定量以上の量が避難口11から外部に漏れ出すのを防止するように、前室1が構成されていれば良い。
本発明は、津波以外の水災害用の避難シェルターにも適用可能である。
1 前室
2 避難室
11 避難口
12 隔壁
12a 開口
14 連結口
14a 気密ドア(ドア)
17 脱出口
17a パネル(仕切部材)
23 空気取得装置
2 避難室
11 避難口
12 隔壁
12a 開口
14 連結口
14a 気密ドア(ドア)
17 脱出口
17a パネル(仕切部材)
23 空気取得装置
Claims (5)
- 地中埋設式の避難シェルターであって、
地上からの避難口を有し、かつ、前記避難口からの水の侵入を許容する前室と、
前記前室に連結された避難室と、
前記前室と前記避難室との連結箇所に設けられ、前記前室と前記避難室との往来を可能にする連結口と、を備え、
前記避難口から前記前室に浸入した水によって、前記前室及び前記避難室のうち少なくとも前記前室に既に存在する空気のうちの所定量以上が前記避難口から外部に漏れ出すことが防止されるように、前記前室を構成した避難シェルター。 - 前記前室に、前記避難口から前記連結口までの避難経路を遮る隔壁を備えると共に、前記隔壁に、避難者が通行可能な開口を形成し、
前記開口の上端部が前記連結口の下端部よりも低い位置となるように構成した請求項1に記載の避難シェルター。 - 前記避難室に地上へ直接連通可能な脱出口と、前記脱出口を閉塞する仕切部材と、を備え、
前記連結口に、前記連結口を気密状態に閉塞可能なドアを備えた請求項1または2に記載の避難シェルター。 - 前記避難室に、地上に対して出退可能な空気取得装置を備えた請求項1から3の何れか一項に記載の避難シェルター。
- 前記避難室を、複数のユニット部材で構成し、前記ユニット部材の増減によって前記避難室の容積を変更可能なように構成した請求項1から4の何れか一項に記載の避難シェルター。
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- 2012-01-10 JP JP2012002355A patent/JP2013142237A/ja active Pending
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