JP2013142133A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明において、ポリアミド樹脂(A)は、下記一般式(I)で表される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位を含有する。
ただし、前記ジアミン単位、前記ジカルボン酸単位の合計は100モル%を超えないものとする。ポリアミド樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の構成単位を更に含んでいてもよい。
ポリアミド樹脂中(A)のジアミン単位は、優れたガスバリア性を付与する観点から、前記式(I)で表される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含み、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。
本発明のポリアミド樹脂(A)中のジカルボン酸単位は、適度な結晶性を付与することに加え、包装材料として必要な柔軟性を付与する観点から、前記一般式(II)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含み、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。
特に、ポリオレフィンとの多層シートを熱成形により多層容器を成形する場合、結晶化速度を遅くし、成形性を容易にさせる観点から、本発明のポリアミド樹脂(A)中の芳香族ジカルボン酸単位は、イソフタル酸単位、テレフタル酸単位、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも1つを、芳香族ジカルボン酸単位中に合計で50モル%以上含むことが好ましく、当該含有量は、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。また、これらの中でもイソフタル酸単位及び/又はテレフタル酸単位を芳香族ジカルボン酸単位中に含むことが好ましい。イソフタル酸単位とテレフタル酸単位との含有比(イソフタル酸単位/テレフタル酸単位)は、特に制限はなく、用途に応じて適宜決定される。例えば、適度なガラス転移温度や結晶性を下げる観点からは、両単位の合計を100としたとき好ましくは0/100〜100/0、より好ましくは0/100〜60/40、更に好ましくは0/100〜40/60、更に好ましくは0/100〜30/70である。
三級水素含有カルボン酸単位の含有量が0.1モル%以上であれば、十分な酸素吸収性能を発現することができる。また、49.9モル%以下であれば、ポリマーのバリア性や機械物性などの物性が低下することなく、特に三級水素含有カルボン酸がアミノ酸である場合は、ペプチド結合が連続するために起こる耐熱性の過度の低下を防ぐことができる。
好ましいRの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、メルカプトメチル、メチルスルファニルエチル、フェニル、ナフチル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらはD体、L体、ラセミ体のいずれであってもよく、アロ体であってもよい。また、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアミド樹脂(A)の重合度については、相対粘度が使われる。ポリアミド樹脂(A)の好ましい相対粘度は、成形品の強度や外観、成形加工性の観点から、好ましくは1.8〜4.2、より好ましくは1.9〜4.0、更に好ましくは2.0〜3.8である。
なお、ここでいう相対粘度は、ポリアミド樹脂(A)1gを96%硫酸100mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
ポリアミド樹脂(A)の酸素吸収速度、及び酸素吸収によるポリアミド樹脂(A)の酸化劣化は、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度を変えることで制御することが可能である。本発明では、酸素吸収速度と酸化劣化のバランスの観点から、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度は5〜150μeq/gの範囲が好ましく、より好ましくは10〜100μeq/g、更に好ましくは15〜80μeq/gである。
ポリアミド樹脂(A)は、前記ジアミン単位を構成しうるジアミン成分と、前記ジカルボン酸単位を構成しうるジカルボン酸成分と、必要により、前記三級水素含有カルボン酸単位を構成しうる三級水素含有カルボン酸成分及び、その他のモノマー成分とを重縮合させることで製造することができ、重縮合条件等を調整することで重合度を制御することができる。重縮合時に分子量調整剤として少量のモノアミンやモノカルボン酸を加えてもよい。また、重縮合反応を抑制して所望の重合度とするために、ポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン成分とカルボン酸成分との比率(モル比)を1からずらして調整してもよい。
加圧塩法では、ナイロン塩を原料として加圧下にて溶融重縮合を行う方法である。具体的には、ジアミン成分と、ジカルボン酸成分と、必要に応じて三級水素含有カルボン酸成分とからなるナイロン塩水溶液を調製した後、該水溶液を濃縮し、次いで加圧下にて昇温し、縮合水を除去しながら重縮合させる。缶内を徐々に常圧に戻しながら、ポリアミド樹脂(A)の融点+10℃程度まで昇温し、保持した後、更に、−0.02MPaGまで徐々に減圧しつつ、そのままの温度で保持し、重縮合を継続する。一定の撹拌トルクに達したら、缶内を窒素で0.3MPaG程度に加圧してポリアミド樹脂(A)を回収する。
加圧塩法は、揮発性成分をモノマーとして使用する場合に有用であり、三級水素含有カルボン酸成分の共重合率が高い場合には好ましい重縮合方法である。特に、三級水素含有カルボン酸成分がポリアミド樹脂(A)を構成する全成分中に15モル%以上含まれる場合に、好適である。加圧塩法を用いることで、三級水素含有カルボン酸成分の蒸散を防ぎ、更には、三級水素含有カルボン酸成分同士の重縮合を抑制でき、重縮合反応をスムーズに進めることが可能であるため、性状に優れたポリアミド樹脂(A)が得られる。
常圧滴下法では、常圧下にて、ジカルボン酸成分と、必要に応じて三級水素含有カルボン酸成分とを加熱溶融した混合物に、ジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる。なお、生成するポリアミド樹脂(A)の融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行う。
常圧滴下法は、前記加圧塩法と比較すると、塩を溶解するための水を使用しないため、バッチ当たりの収量が大きく、また、原料成分の気化・凝縮を必要としないため、反応速度の低下が少なく、工程時間を短縮できる。
加圧滴下法では、まず、重縮合缶にジカルボン酸成分と、必要に応じて三級水素含有カルボン酸成分とを仕込み、各成分を撹拌して溶融混合し混合物を調製する。次いで、缶内を好ましくは0.3〜0.4MPaG程度に加圧しながら混合物にジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる。この際、生成するポリアミド樹脂(A)の融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行う。設定モル比に達したらジアミン成分の滴下を終了し、缶内を徐々に常圧に戻しながら、ポリアミド樹脂(A)の融点+10℃程度まで昇温し、保持した後、更に、−0.02MPaGまで徐々に減圧しつつ、そのままの温度で保持し、重縮合を継続する。一定の撹拌トルクに達したら、缶内を窒素で0.3MPaG程度に加圧してポリアミド樹脂(A)を回収する。
加圧滴下法は、加圧塩法と同様に、揮発性成分をモノマーとして使用する場合に有用であり、三級水素含有カルボン酸成分の共重合率が高い場合には好ましい重縮合方法である。特に、三級水素含有カルボン酸成分がポリアミド樹脂(A)を構成する全成分中に15モル%以上含まれる場合に、好適である。加圧滴下法を用いることで三級水素含有カルボン酸成分の蒸散を防ぎ、更には、三級水素含有カルボン酸成分同士の重縮合を抑制でき、重縮合反応をスムーズに進めることが可能であるため、性状に優れたポリアミド樹脂(A)が得られる。更に、加圧滴下法は、加圧塩法に比べて、塩を溶解するための水を使用しないため、バッチ当たりの収量が大きく、常圧滴下法と同様に反応時間を短くできることから、ゲル化等を抑制し、黄色度が低いポリアミド樹脂(A)を得ることができる。
その他に、三級水素含有カルボン酸成分共重合させたポリアミド樹脂(A)を製造する方法として、反応押出法がある。この方法は、ジアミン成分及びジカルボン酸成分からなるポリアミド(ポリアミド樹脂(A)の前駆体に相当するポリアミド)を上述のいずれの方法によりあらかじめ製造しておき、その後に三級水素含有カルボン酸成分を押出機で溶融混練して反応させる方法である。三級水素含有カルボン酸成分をアミド交換反応により、ポリアミドの骨格中に組み込む方法であり、十分に反応させるためには、反応押出に適したスクリューを用い、L/Dの大きい2軸押出機を用いるのが好ましい。少量の三級水素含有カルボン酸成分を含むポリアミド樹脂(A)を製造する場合に、簡便な方法であり好適である。
上記重縮合方法で製造されたポリアミド樹脂(A)は、そのまま使用することもできるが、更に重合度を高めるための工程を経てもよい。更に重合度を高める工程としては、押出機内での反応押出や固相重合等が挙げられる。固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置およびナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。特にポリアミド樹脂(A)の固相重合を行う場合は、上述の装置の中で回転ドラム式の加熱装置が、系内を密閉化でき、着色の原因となる酸素を除去した状態で重縮合を進めやすいことから好ましく用いられる。
ポリアミド樹脂(A)の重縮合においては、アミド化反応を促進する観点から、リン原子含有化合物を添加することが好ましい。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸等のホスフィン酸化合物;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル等のジ亜リン酸化合物;ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等のホスホン酸化合物;亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル等の亜ホスホン酸化合物;亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が、アミド化反応を促進する効果が高くかつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
リン原子含有化合物の添加量は、ポリアミド樹脂(A)中のリン原子濃度換算で0.1〜1000ppmであることが好ましく、より好ましくは1〜600ppmであり、更に好ましくは5〜400ppmである。0.1ppm以上であれば、重合中にポリアミド樹脂(A)が着色しにくく透明性が高くなる。1000ppm以下であれば、ポリアミド樹脂(A)がゲル化しにくく、また、リン原子含有化合物に起因すると考えられるフィッシュアイの成形品中への混入も低減でき、成形品の外観が良好となる。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。なお、リン原子含有化合物とアルカリ金属化合物の比率(モル比)は、重合速度制御の観点や、黄色度を低減する観点から、リン原子含有化合物/アルカリ金属化合物=1.0/0.05〜1.0/1.5の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0/0.1〜1.0/1.2、更に好ましくは、1.0/0.2〜1.0/1.1である。
本発明に用いられるスルホンアミド化合物の金属塩におけるスルホンアミド化合物とは、スルホンアミド骨格を有する化合物を表し、例えば、スルホンアミド、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、トルエン−4−スルホンアミド、4−クロロベンゼンスルホンアミド、4−アミノベンゼンスルホンアミド、N−ブチル−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド、N−フェニルベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−ピリジン−2−イルベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−(5−メチル−チアゾール−2−イル)−ベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−(5−メチル−イソキサゾール−3−イル)−ベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−(2,6−ジメトキシ−ピリミジン−4−イル)−ベンゼンスルホンアミド、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシド、4−アミノ−6−クロロ−ベンゼン−1,3−ジスルホン酸ジアミド、6−エトキシ−ベンゾチアゾール−2−スルホン酸アミド、5−ジメチルアミノ−ナフタレン−1−スルホン酸アミド、4−ナトリウムオキシ−ベンゼンスルホンアミド、N−(4−ベンゼンスルホンアミド−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド等が挙げられ、好ましくは、4−アミノベンゼンスルホンアミド、N−フェニル−ベンゼンスルホンアミド、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシド等が挙げられる。特に、1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシドが好ましい。
0.1%よりも少ない水分量は、スルホンアミド化合物の金属塩は吸湿性があるため、その水分量まで乾燥させるのは不経済である。20%を超える水分量は、ポリアミド樹脂(A)の加水分解に伴う着色や、成形加工時の発泡問題を起こす可能性があり、ポリアミド樹脂組成物の成形品の外観を損なう場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、前述したポリアミド樹脂(A)、スルホンアミド化合物の金属塩(B)以外に、必要に応じて更に添加剤(C)を含有してもよい。添加剤(C)は1種であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。ポリアミド樹脂組成物中における添加剤(C)の含有量は、添加剤の種類にもよるが、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
本発明においては、熱水処理後や長時間の経時後の白化抑制をさらに高める手段として、ジアミド化合物及び/又はジエステル化合物をポリアミド樹脂(A)に添加することが好ましい。ジアミド化合物及び/又はジエステル化合物は、オリゴマーの析出による白化の抑制に効果がある。ジアミド化合物とジエステル化合物を単独で用いてもよいし、併用してもよい。
炭素数8〜30の脂肪族ジカルボン酸と主としてエチレンジアミンから成るジアミンから得られるジアミド化合物、または、主としてモンタン酸から成る脂肪族ジカルボン酸と炭素数2〜10のジアミンから得られるジアミド化合物が好ましく、特に好ましくは主としてステアリン酸から成る脂肪族ジカルボン酸と主としてエチレンジアミンから成るジアミンから得られるジアミド化合物である。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、ステアリン酸(C18)、エイコサン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、モンタン酸(C28)、トリアコンタン酸(C30)等が例示できる。前記ジオールとしては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、キシリレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が例示できる。これらを組み合わせて得られるジエステル化合物が好ましい。
特に好ましくは主としてモンタン酸から成る脂肪族ジカルボン酸と主としてエチレングリコール及び/又は1,3−ブタンジオールから成るジオールから得られるジエステル化合物である。
本発明においては、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウムおよびそれらの誘導体から選択される1種以上のカルボン酸塩類を添加することが好ましい。ここで該誘導体としては、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム等の12−ヒドロキシステアリン酸金属塩等が挙げられる。前記カルボン酸塩類を添加することで、成形加工中に起こるポリアミド樹脂(A)のゲル化防止や成形体中のフィッシュアイを低減することができ、成形加工の適性が向上する。
なお、前述のカルボン酸塩類はハンドリング性に優れ、この中でもステアリン酸金属塩は安価である上、滑剤としての効果を有しており、成形加工をより安定化することができるため好ましい。更に、カルボン酸塩類の形状に特に制限はないが、粉体でかつその粒径が小さい方が乾式混合する場合、ポリアミド樹脂(A)中に均一に分散させることが容易であるため、その粒径は0.2mm以下が好ましい。
さらに、より効果的なゲル化防止、フィッシュアイ低減、更にはコゲ防止処方として、1g当たりの金属塩濃度が高い酢酸ナトリウムを用いることが好ましい。酢酸ナトリウムを用いる場合、ポリアミド樹脂(A)と乾式混合して成形加工してもよいが、ハンドリング性や酢酸臭の低減等の観点から、ポリアミド樹脂(A)と酢酸ナトリウムとからなるマスターバッチを、ポリアミド樹脂(A)と乾式混合して成形加工することが好ましい。マスターバッチに用いる酢酸ナトリウムは、ポリアミド樹脂(A)に均一に分散させることが容易であるため、その粒系は、0.2mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましい。
本発明においては、酸素吸収性能を制御する観点や機械物性低下を抑える観点から酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤としては、銅系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤等を例示することができ、中でもヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましい。
ポリアミド樹脂(A)には、要求される用途や性能に応じて、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、結晶化核剤等の添加剤を添加させてもよい。これらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、耐衝撃性、フィルムの耐ピンホール性、柔軟性を改善するため耐衝撃性改良材を加えてもよい。耐衝撃性改良材としては、ポリオレフィン、ポリアミドエラストマー、スチレン−ブタジエン共重合樹脂の水素添加処理物、アイオノマー、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂の無水マレイン酸変性品、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ナイロン6,66,12、ナイロン12、ナイロン12エラストマー、エチレン−プロピレン共重合エラストマー、ポリエステルエラストマー等を添加することができる。耐衝撃性改良材の添加量は1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%が更に好ましく、2〜3質量%が特に好ましい。添加量が多いと、透明性、ガスバリア性が低下する。添加量が少ないと、耐衝撃性、フィルムの耐ピンホール性、柔軟性があまり改善されない。
本発明のポリアミド樹脂組成物を、要求される用途や性能に応じて、種々の樹脂と混合してポリアミド樹脂組成物としてもよい。本発明のポリアミド樹脂組成物と混合しうる樹脂としては、特に限定されないが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール及び植物由来樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中でも、酸素吸収効果を効果的に発揮するためには、ポリエステル、ポリアミド及びポリビニルアルコールのような酸素バリア性の高い樹脂とのブレンドが好ましい。
ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のオレフィン単独重合体;エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ポリブテン−1共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体;エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分又は完全鹸化物等のその他のエチレン共重合体;これらのポリオレフィンを無水マレイン酸等の酸無水物等でグラフト変性したグラフト変性ポリオレフィン等を挙げることができる。
前記ポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種又は二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種又は二種以上とから成るもの、又はヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から成るもの、又は環状エステルから成るものをいう。
本発明で使用しうるポリアミド(ポリアミド樹脂(A)以外)は、ラクタムもしくはアミノカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とするポリアミドや脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とする脂肪族ポリアミド、脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミド、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミドなどが挙げられ、必要に応じて、主構成単位以外のモノマー単位を共重合してもよい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びその部分若しくは完全鹸化物等を挙げることができる。さらに、その変性品を用いても構わない。
植物由来樹脂の具体例としては、上記樹脂と重複する部分もあるが、特に限定されることなく公知の種々の石油以外を原料とする脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂が挙げられる。脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂としては、例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)等のポリ(α−ヒドロキシ酸);ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート(PES)等のポリアルキレンアルカノエート等が挙げられる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物において、酸素吸収効果に加えて更なる酸素吸収性能が必要とされる場合には、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属;銅、銀等の第I族金属;スズ、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属;バナジウム等の第V族金属;クロム等の第VI族金属;マンガン等の第VII族金属から選択された一種以上の金属原子を、重縮合反応開始前、反応中、又は押出成形時に化合物又は金属錯体として添加することができる。これらの金属原子の中でも、酸素吸収能力の観点から第VIII族金属原子が好ましく、コバルト原子がより好ましい。
無機酸塩としては、塩化物や臭化物等のハロゲン化物、硫酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩等の窒素のオキシ酸塩、リン酸塩等のリンオキシ酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。一方、有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等が挙げられるが、カルボン酸塩が本発明の目的に好適であり、その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩が挙げられる。
上記金属触媒化合物は、一種以上を添加することができるが、金属原子としてコバルトを含むものが特に酸素吸収機能に優れており、好ましく用いられる。固体または粉末状で溶融混合時の取り扱い性に優れる点から、ステアリン酸コバルト(II)又は酢酸コバルト(II)が特に好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、更に酸化性有機化合物を含有してもよい。
酸化性有機化合物としては、酸素が存在する雰囲気下において、自動的に、または触媒や、熱、光、水分等のいずれか一つの共存下において酸化される有機化合物であり、水素の引き抜きが容易に行えるような活性な炭素原子を有するものが好ましい。このような活性炭素原子の具体例としては、炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子、炭素側鎖の結合した第三級炭素原子、活性メチレン基を含むものが挙げられる。
例えば、ビタミンCやビタミンEも酸化性有機化合物の一例として挙げられる。また、ポリプロピレン等のように分子に酸化されやすい3級水素を持つようなポリマーや、ブタジエンやイソプレン、シクロヘキサノンのように分子内に炭素−炭素二重結合をもつ化合物やそれらからなる、もしくは含むポリマーも酸化性有機化合物の一例として挙げられる。その中でも、酸素吸収能力や加工性の観点から、炭素−炭素二重結合を有する化合物やポリマーが好ましく、炭素原子数4〜20の炭素−炭素二重結合を含む化合物やそれらから誘導された単位を含むオリゴマー乃至ポリマーがより好ましい。
組み合わせで用いられる単量体としては、炭素原子数2〜20のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンが挙げられ、他にスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、エチルアクリレートなどの単量体も使用可能である。
これらの単量体としては、不飽和カルボン酸またはこれらの誘導体を用いるのが好ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等のα,β−不飽和カルボン酸無水物、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸の無水物が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、透明性や、酸素バリア性や酸素吸収性能が要求されるあらゆる用途に利用できる。例えば 本発明のポリアミド樹脂組成物の代表的な利用例としては包装材料や包装容器等の成形体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のポリアミド樹脂組成物を、それら成形体の少なくとも一部として加工して使用することができる。例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物をフィルム状又はシート状の包装材料の少なくとも一部として使用することができ、また、ボトル、トレイ、カップ、チューブ、平袋やスタンディングパウチ等の各種パウチ等の包装容器の少なくとも一部として使用することができる。なお、これら包装材料や包装容器の成形体の構造は、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層の単層構造であってもよく、当該層と他の熱可塑性樹脂からなる層を組み合わせた多層構造であってもよい。該熱可塑性樹脂としては、前述のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、接着性樹脂等を使用できる。本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層の厚みは、特に制限は無いが、1μm以上の厚みを有することが好ましい。
また、トレイやカップ等の容器は射出成形機から金型中に溶融したポリアミド樹脂組成物を射出して製造する方法や、シート状の包装材料を真空成形や圧空成形等の成形法によって成形して得ることができる。包装材料や包装容器は上述の製造方法によらず、様々な方法を経て製造することが可能である。
ペレット状サンプル0.2gを精秤し、96%硫酸100mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)を用い、昇温速度10℃/分で窒素気流下にDSC測定(示差走査熱量測定)を行い、ガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)を求めた。
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したアジピン酸(AA)(旭化成ケミカルズ(株)製)13755g(94.15mol)、次亜リン酸ナトリウム11.7g(0.11mol)、酢酸ナトリウム6.06g(0.074mol)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。170℃に到達した後、反応容器内の溶融した原料へ滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学(株)製)12721.1g(93.39mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を連続的に240℃まで昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻し、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化した。次にこのペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で1torr以下まで減圧を行い、更に系内温度を110分間で180℃まで昇温した。系内温度が180℃に達した時点から、同温度にて180分間、固相重合反応を継続した。反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出すことにより、MXDA/AA(N−MXD6)を得た。なお、各モノマーの仕込み組成比はメタキシリレンジアミン:アジピン酸=49.8:50.2(mol%)であった。
ジカルボン酸成分をイソフタル酸(IPA)(エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル(株)製)とアジピン酸の混合物に変更し、各モノマーの仕込み組成比を、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:イソフタル酸=50.0:44.0:6.0(mol%)としたこと以外は製造例1と同様にしてMXDA/AA/IPA共重合体(ポリアミド樹脂2)を得た。
コモノマーとして、L−アラニン(L−Ala)((株)武蔵野化学研究所製)を使用し、メタキシリレンジアミン:アジピン酸:L−アラニン=44.4:44.5:11.1(mol%)としたこと以外は製造例1と同様にしてMXDA/AA/L−Ala共重合体(ポリアミド樹脂3)を得た。
得られたフィルムに関しては、90℃30分ボイル前後のHazeを評価した。またフィルムのHazeは、100μmに換算した。
一方、容器に関しては、40℃80%RHの恒温恒湿室に1ヶ月間保存し、容器壁面を切り出したシート切片にて、保存前後のHazeを評価した。
半結晶化時間測定装置MK701(コタキ製作所)を用い、脱偏光強度法によって100μmのフィルムを5枚重ねたものを260℃の熱風環境で3分間溶融した後、160℃のオイルバスにて結晶化させたときの半結晶化時間を求めた。
酸素透過率測定装置(MOCON社製、型式:OX−TRAN2/21)を使用し、ASTM D3985に準じて、23℃、相対湿度60%及び23℃相対湿度85%の雰囲気下にて測定した。安定した時点の値を酸素透過率とした。
23℃、容器外部の相対湿度50%、内部の相対湿度100%の雰囲気下にてASTM D3985に準じて、成形後ボトル又はカップの酸素透過率を測定し、安定した時点の値を酸素透過率とした。測定は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、商品名:OX−TRAN 2−61)を使用した。測定値が低いほど酸素バリア性が良好であることを示す。多層カップは、ボイル後、1カ月後のOTRを示す。
実施例1
30mmφ2軸押出機により、製造例1のポリアミド樹脂1、100質量部に対しスルホンアミド化合物の金属塩である1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシドナトリウム塩を0.3質量部ドライブレンドし、押出機に投入後、押出温度260℃〜270℃、スクリュー回転数70rpm、フィードスクリュー回転数14rpm、引き取り速度1.2m/minで製膜し、巾300mm、厚み95〜105μmの無延伸フィルムを作製した。
製造例2のポリアミド樹脂2を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で単層フィルムを得た。
製造例3のポリアミド樹脂3を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で単層フィルムを得た。
スルホンアミド化合物の金属塩を添加しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で単層フィルムを得た。
スルホンアミド化合物の金属塩を添加しなかったこと以外は実施例2と同様の方法で単層フィルムを得た。
スルホンアミド化合物の金属塩を添加しなかったこと以外は実施例3と同様の方法で単層フィルムを得た。
スルホンアミド化合物の金属塩の代わりにポリアミド樹脂1、100質量部に対して、0.3質量部のビス(N−プロピルベンジリデン)ソルビトール(商品名:Millad NX8000 Milliken製)を添加以外は実施例1と同様の方法で単層フィルムを得た。
スルホンアミド化合物の金属塩の代わりにポリアミド樹脂1、100質量部に対して、0.3質量部の粉状タルク(商品名:DG−5000 松村産業製)を添加したこと以外は実施例1と同様の方法で単層フィルムを得た。
実施例4
3台の押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、巻き取り機等を備えた多層フィルム製造装置を用い、1台目及び3台目の押出機からナイロン6(N6)(宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロン6、グレード:1022B)を250℃で、2台目の押出機からポリアミド樹脂組成物1(ポリアミド樹脂1、100質量部対して、スルホンアミド化合物の金属塩である1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシドナトリウム塩を0.3質量部ドライブレンドしたもの)を250℃でそれぞれ押し出し、フィードブロックを介してナイロン6層/ポリアミド樹脂組成物1層/ナイロン6層の2種3層構造の多層フィルム(A1)を製造した。なお、各層の厚みは、80/80/80(μm)とした。
次いで、バッチ式の2軸延伸機(東洋精機(株)製、センターストレッチ式二軸延伸機)を用いて、加熱温度120℃、延伸速度3000mm/min、熱固定温度190℃、熱固定時間30秒にて、縦4倍、横4倍に同時2軸延伸した多層二軸延伸フィルムを得た。なお、延伸後の各層の厚みは、5/5/5(μm)となった。
スルホンアミド化合物の金属塩を添加しなかったこと以外は、実施例4と同様の方法で、多層二軸延伸フィルムを得た。
実施例5
3台の押出機、フィードブロック、Tダイを備えた多層押出装置を用い、1台目の押出機からポリアミド樹脂組成物2(ポリアミド樹脂2、100質量部対して、スルホンアミド化合物の金属塩である1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシドナトリウム塩を0.3質量部ドライブレンドしたもの)を250℃で、2台目の押出機からポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテック、グレード:FY6)を230℃で、3台目の押出機から接着性樹脂(三井化学(株)製、商品名:アドマー、グレード:QB515)を220℃で、それぞれ、30℃の冷却ロールに押出し、巻き取りした。ここで得られた多層シートは、外層からポリプロピレン層/接着性樹脂層/ポリアミド樹脂組成物2層/接着性樹脂層/ポリプロピレン層の順に3種5層構造である。なお、各層の厚みは、300/10/60/10/300(μm)とした。
次いで、プラグアシストを備えた圧空真空成形機((株)浅野研究所製)を使用して、シート表面温度が170℃に達した時点で熱成形を行い、開口部79mm角×底部63mm×深さ25mm、表面積110cm2、容積100mlのポリプロピレン(PP)多層カップを作製した。
スルホンアミド化合物の金属塩を添加しなかったこと以外は、実施例5と同様の方法で、PP多層カップを得た。
実施例6
下記の条件により、層(B)を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層(A)を構成する材料を別の射出シリンダーから、層(B)を構成する樹脂と同時に射出し、次に層(B)を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより、(B)/(A)/(B)の3層構成のインジェクション成形体(パリソン)(22.5g)を得た。なお、層(B)を構成する樹脂としては、固有粘度(フェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒を使用、測定温度:30℃)が0.83のポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製、商品名:BK−2180)を使用した。層(A)を構成する樹脂としては、事前に、押出機にて260℃で、ポリアミド樹脂1、100質量部に対して、スルホンアミド化合物の金属塩である1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシドナトリウム塩を0.3質量部ドライブレンドし、溶融混合した後、ペレタイズしたポリアミド樹脂組成物3を使用した。
得られたパリソンを冷却後、二次加工として、パリソンを加熱し2軸延伸ブロー成形を行うことでポリエチレン(PET)多層ボトルを製造した。得られたボトルの総質量に対する層(A)の質量は5質量%であった。
全長95mm、外径22mm、肉厚2.7mm、外側層(B)胴部厚み1520μm、層(A)胴部厚み140μm、内側層(B)胴部厚み1040μmとした。なお、パリソンの製造には、射出成形機(名機製作所(株)製、型式:M200、4個取り)を使用した。
(パリソンの成形条件)
層(A)用の射出シリンダー温度:250℃
層(B)用の射出シリンダー温度:280℃
金型内樹脂流路温度:280℃
金型冷却水温度:15℃
全長160mm、外径60mm、内容積370ml、肉厚0.28mm、外側層(B)胴部厚み152μm、層(A)胴部厚み14μm、内側層(B)胴部厚み114μmとした。延伸倍率は縦1.9倍、横2.7倍とした。底部形状はシャンパンタイプである。胴部にディンプルを有する。なお、二次加工には、ブロー成形機((株)フロンティア製、型式:EFB1000ET)を使用した。
(二次加工条件)
インジェクション成形体の加熱温度:100℃
延伸ロッド用圧力:0.5MPa
一次ブロー圧力:0.5MPa
二次ブロー圧力:2.4MPa
一次ブロー遅延時間:0.32sec
一次ブロー時間:0.30sec
二次ブロー時間:2.0sec
ブロー排気時間:0.6sec
金型温度:30℃
層(A)を構成する樹脂にスルホンアミド化合物の金属塩を添加しなかったこと以外は、実施例6と同様の方法でパリソン及びPET多層ボトルを製造した。
実施例7
下記の条件により、ポリアミド樹脂(A)と樹脂(B)とを混合した樹脂組成物を射出シリンダーから必要量射出してキャビティーを満たすことにより、インジェクション成形体(パリソン)(22.5g)を得た。なお、樹脂(B)としては、固有粘度(フェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒を使用、測定温度:30℃)が0.83のポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製、商品名:BK−2180)を使用した。ポリアミド樹脂(A)としては、実施例6で用いたポリアミド樹脂組成物3を使用した。ポリアミド樹脂(A)の混合割合は5質量%であった。
得られたパリソンを冷却後、二次加工として、パリソンを加熱し2軸延伸ブロー成形を行うことでPETブレンドボトルを製造した。
全長95mm、外径22mm、肉厚2.7mmとした。なお、パリソンの製造には、射出成形機(名機製作所(株)製、型式:M200、4個取り)を使用した。
(パリソンの成形条件)
射出シリンダー温度:280℃
金型内樹脂流路温度:280℃
金型冷却水温度:15℃
全長160mm、外径60mm、内容積370ml、肉厚0.28mmとした。延伸倍率は縦1.9倍、横2.7倍とした。底部形状はシャンパンタイプである。胴部にディンプルを有する。なお、二次加工には、ブロー成形機((株)フロンティア製、型式:EFB1000ET)を使用した。
(二次加工条件)
インジェクション成形体の加熱温度:100℃
延伸ロッド用圧力:0.5MPa
一次ブロー圧力:0.5MPa
二次ブロー圧力:2.4MPa
一次ブロー遅延時間:0.32sec
一次ブロー時間:0.30sec
二次ブロー時間:2.0sec
ブロー排気時間:0.6sec
金型温度:30℃
層(A)を構成する樹脂にスルホンアミド化合物の金属塩を添加しなかったこと以外は、実施例7と同様の方法でパリソン及びPETブレンドボトルを製造した。
Claims (4)
- 更にポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリビニルアルコール及び植物由来樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む請求項1に記載の樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の樹脂組成物からなる成形体。
- 請求項1または2に記載の樹脂組成物からなる層、並びにポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリビニルアルコール及び植物由来樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種からなる層を含む多層成形体。
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