JP2013140754A - 導電布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電糸と非導電糸とを含む導電布帛において、一部の通電を行う導電糸に導電性の接続部材を接続する際に、導電布帛の端縁に導電布帛とは別体である絶縁部材を設けることなく、通電を行わない導電糸の端部を接続部材から絶縁できる導電布帛を提供すること。
【解決手段】導電糸と非導電糸とを含む導電布帛において、少なくとも一部の導電糸の端末が布帛端縁から布帛面の内側の布帛端縁寄りの位置に形成され、その端末と布帛端縁との間に絶縁部材を有する。特に、その絶縁部材は、導電糸の端末と布帛端縁との間に配置された非導電糸よりなる導電布帛の布帛組織であるとよい。
【選択図】図1
【解決手段】導電糸と非導電糸とを含む導電布帛において、少なくとも一部の導電糸の端末が布帛端縁から布帛面の内側の布帛端縁寄りの位置に形成され、その端末と布帛端縁との間に絶縁部材を有する。特に、その絶縁部材は、導電糸の端末と布帛端縁との間に配置された非導電糸よりなる導電布帛の布帛組織であるとよい。
【選択図】図1
Description
本発明は、導電布帛に関し、さらに詳しくは、導電糸と非導電糸とを含み、一部の導電糸が他の導電糸及び外部の部材に対して電気的に絶縁された導電布帛に関するものである。
導電糸を含む導電布帛が公知であり、導電性を利用してヒータや各種センサ等の用途に使用される。例えば、車両用シートのシート表皮(シートカバー)としてこの種の導電布帛が用いられ、シートヒータや静電容量式の着座センサを備えたシート表皮として使用される。
導電糸を含む導電布帛に通電を行うに際し、導電布帛の端部において導電糸を別の導電性の接続部材に接続することが多い。接続部材はさらに電源や制御機器等に接続される。導電布帛端部で導電糸を接続部材に接続する方法として、特許文献1に開示される方法が公知である。つまり、布材を構成する絶縁繊維(非導電糸)の一部を除去して、布材本体と布材片に分割し、その分断部から複数の導電線材(導電糸)を露出させた後、その分断部から露出した導電線材を接続部材で包み込んで縫着することで、導電線材を接続部材に電気的につなげるという方法である。
上記のような方法は、導電布帛中のある領域内に配置された導電糸を全て接続部材に電気的に接続する方法としては好適である。しかし、例えば導電布帛をヒータとして使用する際に、ヒータの出力を通電する導電糸の本数(密度)によって調節する場合や、単一の導電布帛中の隣接した領域に、加熱する箇所と加熱しない箇所を設ける場合のように、接続部材に電気的に接続したい導電糸と、接続部材に接続せず、接続部材に対して電気的に絶縁したい導電糸が、ある領域中に混在又は隣接する場合には、上記方法をそのまま用いることはできない。
例えば、図6に示すように、上記特許文献1に開示された方法で分断部44から導電糸42を露出させた後、接続部材に電気的に接続したくない導電糸、つまり不使用導電糸42bを導電布帛41の布帛端縁41aの箇所で切断すれば、上記方法を利用しつつ接続部材に電気的に接続しない導電糸を設定することが可能である。もし、導電布帛41の布帛端縁41aに導電性を有するシート状の接続部材を取り付けた際に、不使用導電糸42bの切断面が接続部材と接触することがないのならば、不使用導電糸42bと接続部材との間の電気的絶縁が確保される。しかし、実際には、不使用導電糸42bを導電布帛41の布帛端縁41aの箇所で切断したのみでは、切断された不使用導電糸42bの断面に露出した導電材料が容易に接続部材と接触し、接続部材との間に電気的接続が形成されてしまう。
接続部材の接続工程で不使用導電糸42bの切断面が接続部材と接触することがなかったとしても、接続部材に接続された通電用導電糸42aへの通電中に導電布帛41や接続部材に例えば屈曲変形されるような力が加えられたり場合には、不使用導電糸42bの切断面と接続部材が接触したり、不使用導電糸42bとそれに近接する通電用導電糸41aとが接触したりということが容易に起こる虞がある。すると、不使用導電糸42bに接続部材を介して電流が供給されたり、不使用導電糸42bとそれに近接する通電用導電糸42aとの間でショートが起こったりする。
そこで、導電布帛41の布帛端縁41aの箇所で不使用導電糸42aを切断した部分を、絶縁性のテープ状布材などの絶縁部材で被覆してから接続部材を取り付けるという方法を採用することができる。すると、不使用導電糸の端部の接続部材に対する絶縁を確保することはできるが、取り付けた絶縁部材によって布帛端縁の部分の厚みが大きくなったり、絶縁部材を取り付けた部分と取り付けていない部分の間に凹凸構造が生じたりということが起こる。すると、布帛端縁が導電布帛の近傍に設けられた他の部材と空間的に干渉したり、使用者に異物感を与えたりする可能性がある。また、導電布帛の意匠性に影響を与える可能性もある。
さらに、上記のような方法で絶縁加工を行う場合には、導電布帛41と別部材である絶縁部材が必要となるうえ、縫製等によって絶縁部材を取り付ける必要があるため、工程数が増加してしまう。特に、ヒータの出力を通電する導電糸の本数(密度)で調節する場合などのように、通電用導電糸と不使用導電糸が数本単位で隣接して多数設けられるような場合には、小面積の絶縁部材で被覆しなければならない箇所が導電糸数本ごとに多数箇所存在することになり、絶縁箇所の数だけ部品点数及び工程数が増加するとともに、絶縁部材の取り付け作業が著しく煩雑になる。絶縁部材の取り付け忘れや不完全な取り付けなどの不備が発生する確率も高くなる。
本発明が解決しようとする課題は、導電糸と非導電糸とを含む導電布帛において、一部の通電を行う導電糸に導電性の接続部材等外部の部材を接続する際に、導電布帛の端縁に導電布帛とは別体である絶縁部材を設けることなく、通電を行わない導電糸の端部を接続部材及び近隣の通電を行う導電糸から絶縁できる導電布帛を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる導電布帛は、導電糸と非導電糸とを含み、少なくとも一部の導電糸の端末は、布帛面の内側の布帛端縁寄りの部位に形成され、前記端末と前記布帛端縁との間に、前記一部の導電糸を電気的に絶縁する絶縁部材を有することを要旨とする。
ここで、前記絶縁部材は、前記布帛面の内側の布帛端縁寄りの部位に形成された導電糸の端末と前記布帛端縁との間に配置された非導電糸よりなる前記導電布帛の布帛組織であり、前記導電布帛の他の領域の布帛組織と一体に連続しているとよい。
上記発明にかかる導電布帛において、端末が布帛面の内側の布帛端縁寄りの部位に形成された導電糸を通電に使用しない導電糸として設定すれば、それらの導電糸の端末が布帛面の内側の布帛端縁寄りの部位に形成されていること及びその端末と布帛端縁との間に絶縁部材を有することにより、布帛端縁にシート状の導電性接続部材等の部材を配置したとしても、通電に使用しない導電糸は、導電性部材及び近傍の通電を行う導電糸に接触することがなく、これらの部材に対して電気的に絶縁される。よって、通電に使用しない導電糸の近傍に配置された通電を行う導電糸を接続部材に接続して通電しても、通電に使用しない導電糸に通電されてしまう虞や、近傍の通電された導電糸と接触してショートを起こす虞がない。さらに、通電に使用しない導電糸の電気的絶縁を目的として、テープ状の布材のような、導電布帛とは別部材の絶縁部材を導電布帛の端縁に取り付ける必要がなく、従来の導電布帛に接続部材を接続する際に、一部の導電糸を切断して端部を絶縁部材で被覆する場合に比べて、布帛端縁の構造が簡素となる。これにより、布帛端縁が周囲の部材と空間的に干渉することや、使用者に異物感を与えること、意匠性を低下させることが防止される。
ここで、絶縁部材が布帛端縁から布帛面の内側に離れた位置に形成された導電糸の端末と布帛端縁との間に配置された非導電糸よりなる導電布帛の布帛組織であると、布帛本体と別部材である絶縁部材を使用する必要がなく、部品点数が削減される。また、絶縁部材の取り付けの工程を省くことができる。それに伴って、一部の箇所の絶縁加工を行い忘れるなど絶縁加工についての不備の発生も防止される。さらに、絶縁部材として機能する非導電糸よりなる布帛組織が導電布帛の他の領域の布帛組織と一体に連続しているので、導電糸の端末を布帛面の内側に離れた位置に形成し、絶縁部材を設けた状態でも、導電布帛の強度が維持される。
以下、本発明の第一の実施形態にかかる導電布帛の詳細を図1及び図2に基づいて説明する。図1に本発明の第一の実施形態にかかる導電布帛の正面図を示す。本実施形態にかかる導電布帛は、それ自体が発熱してヒータ装置となる車両用シートの表皮や、シートカバーの裏側に配されるヒータ装置として好適に利用できるものである。
導電布帛1は導電糸2および非導電糸を有する。導電糸2としては、金属細線などの導電材料のみよりなる導電線材、又はそれらの導電線材とその他の繊維の複合材料よりなる導電糸など、種々の導電性を有する繊維状の材料を使用することができる。導電線材としては、引張強度及び耐腐食性が高いステンレス細線を用いることが好適である。導電線材は、外周を樹脂被覆等されていてもよい。非導電糸としては、種々の絶縁性の高い繊維材料を使用することが可能である。
導電布帛1は、導電糸2と非導電糸を含んでいれば、編物、織物、不織布等、どのように構成されていてもよい。本実施形態においては、織物によって形成され、経糸又は緯糸の一部として導電糸2が略直線状に等間隔に配置されている。導電糸2に通電することで導電糸2が発熱し、この導電布帛1が面状のヒータ装置として機能する。なお、各図面には、導電布帛1中において非導電糸が顕に描かれてはいないが、導電糸2が配置されている箇所以外の箇所は、非導電糸によって構成されている。他の部材や使用者の体などが導電糸2に接触しないように、導電糸2は導電布帛1の表面に現れていない方が望ましい。
導電布帛1を長尺状の織物から種々の用途に必要な形状に裁断して形成する場合、用途によって、所望される加熱量が異なる場合もある。例えば車両用シートヒータとして使用する場合、シートの部位に応じて所望される加熱量が異なる。この場合、全ての導電糸2に通電を行うのではなく、通電を行う通電用導電糸2aと通電を行わない不使用導電糸2bを周期的に設け、通電用導電糸2aの割合(密度)を適宜設定することで、用途に応じて所望される加熱量が発揮されるようにすればよい。本実施形態においては、例として、通電用導電糸2aと不使用導電糸2bが2本ずつ交互に配置されている。
通電用導電糸2aの端末は、導電布帛1の布帛端縁1aから外側に延出し、非導電糸に覆われず露出している。さらに、通電用導電糸2aの外周が樹脂材料等によって被覆されている場合は、この延出部2a1の外周の被覆材が除去され、導電材料が露出している。この導電材料が露出された延出部2a1が、後述するように導電性の接続部材6に接続される。
一方、不使用導電糸2bの端末は、布帛端縁1aの外に露出しておらず、布帛面の内側の布帛端縁1a寄りの位置に形成されている。この端末2b1と布帛端縁1aの間には、非導電糸よりなる導電布帛1の組織が、絶縁部材3として配置されている。絶縁部材3は導電布帛1の他の領域の布帛組織と一体に連続している。不使用導電糸2bを構成する導電材料が布帛端縁1aの外側に露出していないうえ、その端末2b1と布帛端縁1aとの間に絶縁部材3が介在することにより、不使用導電糸2bは、後述する導電性の接続部材6など導電布帛1以外の部材及び近隣の通電用導電糸2aの延出部2a1と接触することがなく、これらの部材に対して電気的に絶縁されている。
図1においては、通電用導電糸2aの延出部2a1の先端には別の導電布帛等が何もつながっていないが、図3(b)に示すように、布帛片5が通電用導電糸2aを介して導電布帛1とつながった状態としておくこともできる。このような状態にしておくと、通電用導電糸2aの延出部2a1が互いに相対位置を維持してまっすぐに伸びた状態が保たれ、不使用導電糸2bの端末2b1及び絶縁部材3を形成する際や接続部材6を縫製等によって接続する際の作業性が高められる。
図2に、図1の導電布帛1の通電用導電糸2aに接続部材6を取り付けた状態を示す。接続部材6は、少なくとも一方の面に導電性を有する導電面6aが形成されたシート部材である。この導電性のシート部材としては、導電性材料(例えば銅)がシート状に形成された部材や、導電性材料で形成された糸を含む導電性織物が例示できる。接続部材6は、導電面6aを内側にして通電用導電糸2aの延出部2a1を挟み込むように断面略「U」字状にされて、縫い付けられるなどして導電布帛1の布帛端縁1aに取り付けられている。この接続部材6は電線7を介して、電源に接続されている。
図2(b)に通電用導電糸2aが配置された位置の断面図を示す。延出部2a1が接続部材6によって包み込まれ、接続部材6の導電面6aに接触している。これにより、通電用導電糸2aと接続部材6の間に導通が形成され、通電用導電糸2aに通電することで導電布帛1の加熱が行われる。なお、図2(b)では延出部2a1は直線状に延びているが、途中箇所で曲げられた状態で接続部材6に包まれていてもよい。
一方、図2(c)に不使用導電糸2bが配置された位置の断面図を示す。接続部材6が複数の導電糸2の端部に跨る長細いシート状であるため、不使用導電糸2bの延長線上も含めた布帛端縁1a全体を包み込んでいる。しかしながら、不使用導電糸2bの端末2b1が、接続部材6の導電面6aが存在する位置から導電布帛1の布帛面の内側に離れた位置に配置されているうえ、導電部材の導電面6aと不使用導電糸2bの端末2b1の間に絶縁部材3が存在するため、不使用導電糸2bの端末2b1と接続部材6の間には導通が形成されず、電源から接続部材6に電流が供給されて通電用導電糸2aに通電が行われても、不使用導電糸2bには通電が行われることはない。隣接する通電用導電糸2aの延出部2a1と不使用導電糸2bの端末2b1が接触することもないので、これらの間でショートが起こることもない。
接続部材6や導電布帛1が例えば屈曲されるような変形を受けた場合にも、絶縁部材3が不使用導電糸2bの端末2b1を保護しているので、不使用導電糸2bの端末2b1に接続部材6や隣接する通電用導電糸2aの延出部2a1が物理的に接触することはなく、不使用導電糸2bとそれらの部材の間に電気的接続が形成されることはない。導電布帛1が車両用シートのシートヒータとして使用される場合には、乗員の乗降や着座状態での運動に伴い、導電布帛1は屈曲等の変形を頻繁に受けるので、本実施形態のように不使用導電糸2bの端末2b1に絶縁部材3を設けることは特に有効である。
次に、図3を参照しながら、本発明にかかる導電布帛1の製造方法及び製造された導電布帛1への接続部材6の接続方法の一例について説明する。まず、図3(a)のように、矩形の導電布帛(布帛本体)1を、非導電糸が除去された除去部4を介して導電糸2によって布帛片5とつながった状態として形成する。このような状態の導電布帛1を形成するには、導電布帛1の領域から除去部4及び布帛片5の領域に亘る矩形の原反を準備し、除去部4となるべき領域から非導電糸のみを除去すればよい。除去部4を形成する方法としては、レーザー光を除去部4となる領域全体に走査しながら照射して非導電糸を溶融又は燃焼させる方法が挙げられる。又は、刃物やレーザー等で導電布帛1の端縁1aとなる箇所の非導電糸を直線状に切断してから、布帛片5となる部分を抜き取るように導電布帛1から引き離すことでも除去部4を形成することができる。この場合には、図3(a)などに示した状態とは異なり、布帛片5中の通電用導電糸2aは、除去部4の幅の分だけ除去部4に引き出された状態になっている。いずれの方法を採用する場合でも、レーザーを使用する場合には、レーザーの出力及び波長を、非導電糸を溶融又は燃焼する一方で、導電糸2を構成する導電材料を溶融も燃焼もしない範囲に設定する必要がある。また、通電用導電糸2aが、外周に樹脂等の被覆を有する場合は、これも除去しておく必要がある。なお、布帛片5を形成しない場合には、端縁1aより外側の非導電糸を上記いずれかの方法で完全に除去しておけばよい。
次に、どの導電糸2を不使用導電糸2bとするかを選択し、図3(b)のように、カッター等の切断手段を用いて、選択した不使用導電糸2bを布帛端縁1aから布帛面の内側に離れた切断線2b2で切断する。この後、切断されて生じた布帛端縁1a側の不使用導電糸切断片2b3を布帛端縁1aから引き出し、導電布帛1の側に残った不使用導電糸2bと離間させる。この際、導電布帛1の側に残った不使用導電糸2bの端末2b1と不使用導電糸切断片2b3の端部が接触する虞がない程度に十分これらを離間させておけばよいが、不使用導電糸切断片2b3を完全に導電布帛1から抜き取っておいた方が、導電布帛1の側に残った不使用導電糸2bと接続部材6や隣接する通電用導電糸2aとの間の電気的絶縁が保証されるので望ましい。
このように、不使用導電糸切断片2b3を布帛端縁1aから引き出すと、不使用導電糸2bの端末2b1と布帛端縁1aとの間の非導電糸よりなる導電布帛1の布帛組織が自動的に絶縁部材3となる。
上記で不使用導電糸2bを切断する際、導電糸2のみを切断することは一般には困難であり、付近の非導電糸の一部も共に切断されてしまう。切断される非導電糸の量が多いと、導電布帛1の強度が低下したり、意匠性が悪くなったりする。よって、図3(b)では見やすいように切断線2b2を長く描いているが、実際には、なるべく切断線2b2が目立たないように、狭い範囲を選択的に切断することができる切断手段を選択する必要がある。例えば、切断手段がカッター等の刃物である場合、刃の面積が狭いものを使用すればよい。また、切断線2b2を形成する際に、導電布帛1の使用時に裏側になる方から刃物等の切断手段を挿入して不使用導電糸2bの切断を行い、導電布帛1の使用時に表側になる方の面の非導電糸を切断しないようにしておけば、意匠性の低下が軽減される。
また、切断線2b2をどの程度布帛端縁1aから布帛面の内側に離れた位置に設けるかについては、不使用導電糸2bの端末2b1と次の工程で取り付ける接続部材6の導電面6aとの間に電気的絶縁性が十分に確保できるように決定すればよい。ただし、切断線2b2を形成する位置が布帛端縁1aから布帛面の内側に離れすぎていると、不使用導電糸2bが抜き取られた部分の長さが長くなり、導電布帛1の強度が低下するうえ、切断線2b2が使用者に見える位置に配置される可能性もあり、好ましくない。
不使用導電糸2bが切断線2b2で切断され、不使用導電糸切断片2b3が布帛端縁1aから引き出された状態においては、導電布帛1が通電用導電糸2aによって布帛片5とつながっており、除去部4の幅が一定に保たれている。この状態で、図3(c)のように接続部材6を除去部4に配置する。このとき、接続部材6の導電面6aが確実に通電用導電糸2aの延出部2a1に接触する位置に接続部材6を配置する必要がある。不使用導電糸2bと接続部材6の位置関係については、不使用導電糸2bの端末2b1が布帛端縁1aから十分に離れていれば、接続部材6を配置する段階で特に規定する必要はない、
最後に、図3(d)のように、導電布帛1の布帛端縁1aを包むようにして接続部材6を折り曲げ、縫合するなどして導電布帛1に接続部材6を固定すればよい。このとき、布帛片5は切除しておいても、接続部材6とともに導電布帛1側に折り曲げた状態で残しておいてもよい。
以上の方法によれば、絶縁部材3は独立した工程を設けて形成する必要がなく、不使用導電糸2bを布帛面の内側に離れた布帛端縁1a寄りの位置の切断線2b2で切断して、不使用導電糸切断片2b3を布帛端縁1aから引き出すことで、不使用導電糸2bの端末2b1と布帛端縁1aとの間の非導電糸よりなる布帛組織が必然的に絶縁部材3となって、不使用導電糸2bの端末2b1を絶縁保護する構成となる。通電用導電糸2aと不使用導電糸2bが隣接している場合にも、簡便にそれぞれの不使用導電糸2bの絶縁を確保することが可能である。このように、不使用導電糸2bの絶縁保護の確立を容易に行うことができる。
上記第一の実施形態においては、不使用導電糸を布帛面の内側の位置に設けるために切断線を形成する際に、切断線が意匠性に与える影響を極力抑制するために、切断線がなるべく目立たないように形成された。逆に、不使用導電糸を切断するための構造を積極的に意匠の一部として兼用する構成とすることも可能である。以下にそのような導電布帛の例を、第二の実施形態及び第三の実施形態として挙げる。
第二の実施形態においては、不使用導電糸の端末を布帛面の内側の位置に形成するための手段として、第一の実施形態における切断線の代わりに、穿孔が形成される。車両用シートの表皮などにおいて、意匠の一部として、あるいは通気性を高めることを目的として、導電布帛の表面に多数の穿孔が形成されることがあり、パーフォレーション加工と称される。本実施形態においては、不使用導電糸の端末を形成するための穿孔が、パーフォレーション加工の一部として形成される。
図4に第二の実施形態にかかる導電布帛21を示す。不使用導電糸22bの端末は、布帛端縁21aから布帛面の内側に離れた位置に設けられている。その端末22b1の布帛端縁21a側には、非導電糸及び不使用導電糸22bが除去された貫通孔である端末用穿孔23aが形成されている。さらに、導電布帛21には、端末用穿孔23aが形成された位置を含んで布帛端縁21aと平行に、端末用穿孔23aと同形状の装飾用穿孔23bが形成されている。装飾用穿孔23bは、通電用導電糸を切断してしまうことがないように、通電用導電糸22aの配置された位置を外した位置に形成されている。導電糸22が導電布帛21に等間隔に配置されており、導電糸22が配置された位置に形成される端末用穿孔23aと導電糸22が配置された位置を避けて形成される装飾用穿孔23bとを等間隔に配置することは不可能であるが、これらを等間隔に近くなるように配置することや、等間隔でなくても一定の規則性をもって配置することで、一群の穿孔23が、あたかもパーフォレーション加工のような装飾性のある意匠の一部となる。本実施形態にかかる導電布帛21のそれ以外の構成は、上記第一の実施形態にかかる導電布帛1と同様である。
不使用導電糸22bの端末を端末用穿孔23aの位置に形成するためには、図3(b)の工程において、切断線2b2を形成する代わりに、パンチ状の刃物などの穿孔手段を使用して端末用穿孔23aを形成し、不使用導電糸22bの一部と周囲の非導電糸を略円形に除去すればよい。その後、切断されて生じた布帛端縁21a側の不使用導電糸片を布帛端縁21a側から引き出せばよい。このとき、同じ穿孔手段を用いて、通電用導電糸22aを切断しないように、非導電糸からなる箇所に装飾用穿孔23bを形成すればよい。
なお、図4においては、端末用穿孔23aと並んで布帛端縁21aに平行な位置にのみ装飾用穿孔23bが形成されているが、導電布帛21全体に装飾用穿孔23bを形成してもよい。この場合も、装飾用穿孔23bによって、通電用導電糸22aを切断してしまわないように留意する必要がある。また、穿孔23を多数設けすぎると、導電布帛21の強度が低下してしまうので、必要な強度を考慮して穿孔23の数と配置を設計する必要がある、
第三の実施形態においては、穿孔の代わりに、ステッチ(刺繍)が形成される。車両用シートの表皮などにおいて、意匠性を高めるためにステッチもしばしば利用される。本実施形態においては、ステッチを形成する針孔の位置に、不使用導電糸の端末が形成されている。
図5に第三の実施形態にかかる導電布帛31を示す。不使用導電糸32bの端末は、布帛端縁31aから布帛面の内側に離れた位置に形成されており、その端末32b1の位置にはステッチの針孔が形成されている。つまり不使用導電糸32bの端末32b1が配置された箇所の非導電糸よりなる布帛組織に、微小な貫通孔がステッチを形成するための針によって形成され、ステッチ用の糸がその中を貫通し、ステッチを形成している。この不使用導電糸32bの端末32b1の配置された位置に形成されたステッチの縫い目を端末用ステッチ33aと称する。さらに、導電布帛31には、端末用ステッチ33aを形成している糸と共通の糸が使用され、端末用ステッチ33aと連続した装飾用ステッチ33bが布帛端縁31aと平行に形成されている。装飾用ステッチ33bの針孔は、針が貫通することで通電用導電糸32aを切断してしまうことがないように、通電用導電糸32aが配置された位置から外れた位置に形成されている。上記第二の実施形態における穿孔の場合と同様に、端末用ステッチ33aと装飾用ステッチ33bとを等間隔に配置することはできないが、これらを等間隔に近くなるように配置することや、等間隔でなくても一定の規則性をもって配置することで、ひとつながりのステッチ33が装飾性を有するようになる。本実施形態にかかる導電布帛31のそれ以外の構成は、上記第一の実施形態及び第二の実施形態にかかる導電布帛1、21と同様である。
不使用導電糸32bの端末32b1の位置に端末用ステッチ33aを形成するとともに、それ以外の箇所に装飾用ステッチ33bを形成するためには、図3(b)の工程において切断線2b2を形成する代わりに、導電糸32を断ち切ることができるような太い針などのステッチ手段を使用して、ステッチ33を形成すればよい。このとき、布帛端縁31aと平行に、連続的にステッチ33を形成すればよいが、端末用ステッチ33aを形成する際には、ステッチ手段を不使用導電糸32bの端末32b1となる位置に不使用導電糸32bの上から貫通させ、不使用導電糸32bを断ち切る。一方、通電用導電糸32aを断ち切ることがないように、装飾用ステッチ33bを形成する際には、通電用導電糸32aの配置された箇所を避けてステッチ手段を非導電糸よりなる布帛組織に貫通させる。このようにステッチ33を形成した後、ステッチ手段によって断ち切られて生じた布帛端縁31a側の不使用導電糸片を布帛端縁31aから引き出せばよい。
上記のように、不使用導電糸の端末に切断線、穿孔、ステッチがそれぞれ形成される三つの実施形態について説明したが、いずれを選択するかは、導電布帛の種類や用途などにより、導電布帛に必要とされる強度や所望される意匠性、それぞれの構造の形成しやすさなどを勘案して決定すればよい。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態においては、通電用導電糸と不使用導電糸が等間隔に周期的に配置されているが、これらをどのように配置してもよい。例えば、導電布帛をシートヒータとして使用する場合、接触する人体の部位に応じて加熱量を変更したければ、ある位置を境に通電用導電糸の密度が高い領域と低い領域を設ければよい。さらに、このような領域の境界を確実に設定するため、領域の境界に不使用導電糸が集中して設けられた箇所を形成してもよい。また、導電布帛を矩形に形成する必要はなく、種々の用途に応じた形状に形成すればよい。最後に、上記除去部及び布帛片を必ずしも設ける必要はない。
1、21、31 導電布帛
1a、21a、31a 布帛端縁
2、22、32 導電糸
2a、22a、32a 通電用導電糸
2a1、22a1、32a1 通電用導電糸延出部
2b、12b、22b 不使用導電糸
2b1、12b1、22b1 不使用導電糸端末
3 絶縁部材
4 除去部
5 布帛片
6 接続部材
6a 導電面
23 穿孔
23a 端末用穿孔
23b 装飾用穿孔
33 ステッチ
33a 端末用ステッチ
33b 装飾用ステッチ
1a、21a、31a 布帛端縁
2、22、32 導電糸
2a、22a、32a 通電用導電糸
2a1、22a1、32a1 通電用導電糸延出部
2b、12b、22b 不使用導電糸
2b1、12b1、22b1 不使用導電糸端末
3 絶縁部材
4 除去部
5 布帛片
6 接続部材
6a 導電面
23 穿孔
23a 端末用穿孔
23b 装飾用穿孔
33 ステッチ
33a 端末用ステッチ
33b 装飾用ステッチ
Claims (2)
- 導電糸と非導電糸とを含み、少なくとも一部の導電糸の端末は、布帛面の内側の布帛端縁寄りの部位に形成され、前記端末と前記布帛端縁との間に、前記一部の導電糸を電気的に絶縁する絶縁部材を有することを特徴とする導電布帛。
- 前記絶縁部材は、前記布帛面の内側の布帛端縁寄りの部位に形成された導電糸の端末と前記布帛端縁との間に配置された非導電糸よりなる前記導電布帛の布帛組織であり、前記導電布帛の他の領域の布帛組織と一体に連続していることを特徴とする請求項1に記載の導電布帛。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012001098A JP2013140754A (ja) | 2012-01-06 | 2012-01-06 | 導電布帛 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012001098A JP2013140754A (ja) | 2012-01-06 | 2012-01-06 | 導電布帛 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013140754A true JP2013140754A (ja) | 2013-07-18 |
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ID=49038020
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2013140754A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2015217879A (ja) * | 2014-05-20 | 2015-12-07 | トヨタ紡織株式会社 | シートベルト |
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US10328893B2 (en) | 2016-03-31 | 2019-06-25 | Takata Corporation | Webbing for passenger restraint belt, seat belt and seat belt apparatus |
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-
2012
- 2012-01-06 JP JP2012001098A patent/JP2013140754A/ja active Pending
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