JP2013140135A - 周期的駆動系の異常検知装置、周期的駆動系を有する処理装置、周期的駆動系の異常検知方法、およびコンピュータプログラム - Google Patents

周期的駆動系の異常検知装置、周期的駆動系を有する処理装置、周期的駆動系の異常検知方法、およびコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】周期的駆動系の異常を高精度で検知すること。
【解決手段】周期的駆動系である回転駆動系の異常検出装置100は、処理装置200における処理に用いる回転駆動系300からの音を検出する検出手段1と、検出された音から時間とともに変動する時系列データを取得するデータ取得手段31と、データ取得手段31で取得した時系列データから、その時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値を所定時間毎に複数算出する決定論性値算出手段33と、複数算出した決定論性を表す値の確率分布を算出する確率分布算出手段34と、決定論性を表す値の確率分布に基づいて回転駆動系300が異常であるか否かを判定する判定手段36とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体製造装置などの処理装置に用いる周期的駆動系の異常検知装置、周期的駆動系を有する処理装置、周期的駆動系の異常検知方法、およびコンピュータプログラムに関する。
半導体製造装置などの処理装置には、種々の周期的駆動を行う周期的駆動系が用いられており、代表的なものとしては回転駆動系、例えば半導体ウエハに対してエッチング処理を行うマグネトロンエッチング装置におけるダイポールリングマグネット(DRM)や、半導体ウエハにレジストを塗布するためのスピナーの回転駆動系や、バッチ式縦型炉において複数の半導体ウエハを搭載するウエハボートを回転させる回転駆動系等を挙げることができる。
このような回転駆動系に代表される周期的駆動系はグリスアップが必須であり、グリスが不足するとトルク負荷増大によりエラーとなり即座に装置が稼働不可となってしまう。
そのため、このような事態を招く前に異常を検知する必要があり、回転駆動系においては、従来、定期的に回転時の音を人の耳で聞き分けることにより異常を検知していた。あるいは回転駆動系の下の鉄粉の有無により異常を検知していた。人の耳での聞き分けについては、具体的には、1分程度で粗い聞き分け判定を実施し、疑わしい装置に関しては、さらに5分程度の聞き分け判定を実施していた。
しかし、人の耳で聞き分ける手法では、異常の際の音を聞き分けられるのは、特定の熟練した作業者のみであり、また、半導体製造工場には数十個から数百個の処理装置が存在し、これら全ての処理装置について定期的にこのような音の聞き分け判定を行う必要があるので、作業者の負担が極めて高いものとなる。また、鉄粉による判定では精度の高い判定は困難である。
これに対して、例えば、空調用のファンやポンプ等の回転駆動系を含む設備の異常を的確に検知し故障による停止を未然に防止する方法として音響法による非接触の設備診断法が提案されている(特許文献1)。この技術は、予め測定しておいた正常時の音圧信号と測定時の音圧信号とを比較して異常信号を検出するにあたり、信号を回転周波数に対応した低周波数域と部材の固有振動数に対応した高周波数域とに分離した後、線形予測法を適用した自己回帰モデルによるフィルタを用い、測定時の音圧信号から正常時の音圧信号の特性を除去した値によってファンおよびポンプの異常を検知するものである。
また、回転駆動系等からの音響信号を時系列データとして取得し、この時系列データから時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値、例えば並進誤差を算出し、算出された決定論性を表す値が、所定のしきい値を超えて変化した場合に、駆動系の異常を検知する技術が提案されている(特許文献2)。
特開平10−133740号公報 特開2008−14679号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、設備ごとの特性の違いに応じて、異常音の周波数と検出レベルを調整する必要がある。また、正常時の音と異常時の音のスペクトル分布に特徴的な違いが見られない場合には、異常音を検出することが困難である。
また、特許文献2の技術では、設備が正常な状態における時系列データが決定論的である場合には、決定論性を表す値が所定のしきい値を超えて小さい値となったときに異常ありと判断し、逆に設備が正常な状態における時系列データが確率論的である場合には、決定論性を表す値が所定のしきい値を超えて大きい値になったときに異常ありと判断するが、時系列データが正常時および異常時の両方とも確率論的であるまたは決定論的である場合には、正常時と異常時の区別が困難になってしまう。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、回転駆動系等の周期的駆動系の異常を高精度で検知することができる周期的駆動系の異常検知装置、周期的駆動系を有する処理装置、周期的駆動系の異常検知方法、およびコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
本発明の第1の観点では、処理装置における処理に用いる周期的駆動系からの音を検出する検出手段と、検出された音から時間とともに変動する時系列データを取得するデータ取得手段と、前記データ取得手段で取得した時系列データから、その時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量を所定時間毎に複数算出する決定論性値算出手段と、前記複数算出した決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布を算出する確率分布算出手段と、前記決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布に基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定する判定手段とを具備することを特徴とする周期的駆動系の異常検知装置を提供する。
この場合に、前記確率分布算出手段で算出した確率分布から図形情報を作成する図形情報作成手段をさらに具備し、前記判定手段は、前記確率分布から作成された前記図形情報を、予め求めた正常音モデルの決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布から作成した正常音図形情報、および/または、1または2以上の異常音モデルの決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布から作成した1または2以上の異常音図形情報と比較し、前記図形情報の、正常音図形情報からの乖離率、および/または、異常音図形情報との類似率を求め、これらに基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定するように構成することができる。
前記図形情報、前記正常音図形情報、前記異常音図形情報として、決定論性を表す値の確率分布から求めたヒストグラムを好適に用いることができる。そして、前記判定手段は、前記図形情報としてのヒストグラムと、前記正常音図形情報としてのヒストグラム、および/または、前記異常音図形情報としてのヒストグラムとを、平均、分散、尖度、歪度の4つの特徴ベクトルにより比較し、前記正常音図形情報からの乖離率、および/または、前記異常音図形情報との類似率を求めることができる。また、前記判定手段は、前記図形情報としてのヒストグラムと、前記正常音図形情報としてのヒストグラム、および/または、前記異常音図形情報としてのヒストグラムとを比較するための特徴ベクトルとして、さらに、音の時間的連続性、音の周期依存性を用いることができる。
前記正常音図形情報からの乖離率、および/または、前記異常音図形情報との類似率は、前記特徴ベクトルを教師データの初期値に採用し、サポートベクターマシンを用いて2クラス分離を実施し、それによって得られた値により把握し、その値が所定の閾値を超えたか否かにより異常であるか否かを判定することができる。
前記決定論性を表す値として前記時系列データから算出される並進誤差を用い、前記決定論性値算出手段は、前記時系列データを所定時間毎に複数に分割し、それぞれからある次元の埋め込みベクトルを算出する埋め込み手段と、所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記埋め込み手段で算出された埋め込みベクトルのうち、ある埋め込みベクトルについて所定の数の最も近接するベクトルを抽出する最近接ベクトル抽出手段と、所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記最近接ベクトル抽出手段で抽出した所定の数の最も近接するベクトルの分散である並進誤差を算出する並進誤差算出手段とを有するものとすることができる。
あるいは、前記決定論性を表す値として、前記時系列データから算出される順列エントロピーを用い、前記決定論性値算出手段は、前記時系列データを時間的に所定時間毎に複数に分割し、それぞれからある次元の埋め込みベクトルを算出する埋め込み手段と、所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記埋め込み手段で算出される前記所定時間における前記時系列データから算出される全ての前記埋め込みベクトルについて、前記埋め込みベクトルの要素の大小関係で前記要素に順序をつけ、同じ順序を有する埋め込みベクトルの個数を順列実現度数として累計し、前記順列実現度数から、前記順列エントロピー算出過程における中間変量である、前記所定時間における前記時系列データから算出されるすべての前記埋め込みベクトルの数に対する相対実現度数を算出する相対実現度数算出手段とを有し、前記確率分布算出手段は、前記相対実現度数の確率分布を算出するものとすることができる。
また、前記異常判定手段により異常と判定された際に、その旨を表示する表示手段をさらに具備してもよい。
本発明の第2の観点では、所定の処理を行う処理装置本体と、前記処理装置本体での処理に用いる周期的駆動系と、前記周期的駆動系の異常を検知する異常検知装置とを具備する、周期的駆動系を有する処理装置であって、前記異常検知装置は、前記周期的駆動系からの音を検出する検出手段と、検出された音から時間とともに変動する時系列データを取得するデータ取得手段と、前記データ取得手段で取得した時系列データから、その時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量を所定時間毎に複数算出する決定論性値算出手段と、前記複数算出した決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布を算出する確率分布算出手段と、前記決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布に基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする周期的駆動系を有する処理装置を提供する。
前記異常検知装置は、前記判定手段で前記周期的駆動系が異常であると判定された場合に、前記装置本体に装置イベントを発行して警報を発生させる装置イベント発行手段をさらに有することが好ましい。
本発明の第3の観点では、処理装置における処理に用いる周期的駆動系から検出された音から時間とともに変動する時系列データを取得するデータ取得ステップと、前記データ取得ステップで取得した時系列データから、その時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量を所定時間毎に複数算出する決定論性値算出ステップと、前記複数算出した決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布を算出する確率分布算出ステップと、前記決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布に基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定する判定ステップとを具備することを特徴とする周期的駆動系の異常検知方法を提供する。
この場合に、前記確率分布算出ステップで算出した確率分布から図形情報を作成する図形情報作成ステップをさらに具備し、前記判定ステップは、前記確率分布から作成された前記図形情報を、予め求めた正常音モデルの決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布から作成した正常音図形情報、および/または、1または2以上の異常音モデルの決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布から作成した1または2以上の異常音図形情報と比較し、前記図形情報の、正常音図形情報からの乖離率、および/または、異常音図形情報との類似率を求め、これらに基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定するようにすることができる。
前記図形情報、前記正常音図形情報、前記異常音図形情報として、決定論性を表す値の確率分布から求めたヒストグラムを好適に用いることができる。そして、前記判定ステップは、前記図形情報としてのヒストグラムと、前記正常音図形情報としてのヒストグラム、および/または、前記異常音図形情報としてのヒストグラムとを、平均、分散、尖度、歪度の4つの特徴ベクトルにより比較し、前記正常音図形情報からの乖離率、および/または、前記異常音図形情報との類似率を求めることができる。また、前記判定ステップは、前記図形情報としてのヒストグラムと、前記正常音図形情報としてのヒストグラム、および/または、前記異常音図形情報としてのヒストグラムとを比較するための特徴ベクトルとして、さらに、音の時間的連続性、音の周期依存性を用いることができる。
前記正常音図形情報からの乖離率、および/または、前記異常音図形情報との類似率は、前記特徴ベクトルを教師データの初期値に採用し、サポートベクターマシンを用いて2クラス分離を実施し、それによって得られた値により把握し、その値が所定の閾値を超えたか否かにより異常であるか否かを判定することができる。
前記決定論性を表す値として前記時系列データから算出される並進誤差を用い、前記決定論性値算出ステップは、前記時系列データを所定時間毎に複数に分割し、それぞれからある次元の埋め込みベクトルを算出し、所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記算出された埋め込みベクトルのうち、ある埋め込みベクトルについて所定の数の最も近接するベクトルを抽出し、所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記抽出された所定の数の最も近接するベクトルの分散である並進誤差を算出するものとすることができる。
あるいは、前記決定論性を表す値として前記時系列データから算出される順列エントロピーを用い、前記決定論性値算出ステップは、前記時系列データを時間的に所定時間毎に複数に分割し、それぞれからある次元の埋め込みベクトルを算出し、所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、算出された前記所定時間における前記時系列データから算出される全ての前記埋め込みベクトルについて、前記埋め込みベクトルの要素の大小関係で前記要素に順序をつけ、同じ順序を有する埋め込みベクトルの個数を実現度数として累計し、この実現度数から、前記順列エントロピー算出過程における中間変量である、前記所定時間における前記時系列データから算出されるすべての前記埋め込みベクトルの数に対する相対実現度数を算出し、前記確率分布算出ステップは、前記相対実現度数の確率分布を算出するものとすることができる。前記異常判定ステップにより異常と判定された際に、その旨を表示する表示ステップをさらに具備してもよい。
本発明の第4の観点では、処理装置における処理に用いる周期的駆動系の異常を検知するために、コンピュータに、処理装置における処理に用いる周期的駆動系から検出された音から時間とともに変動する時系列データを取得するデータ取得ステップと、前記データ取得ステップで取得した時系列データから、その時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量を所定時間毎に複数算出する決定論性値算出ステップと、前記複数算出した決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布を算出する確率分布算出ステップと、前記決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布に基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定する判定ステップとを実行させることを特徴とするコンピュータプログラムを提供する。
本発明において、前記周期的駆動系として、回転駆動、直線駆動、振動、または膨張・収縮駆動を行うものを挙げることができる。
本発明によれば、回転駆動系等の周期的駆動系からの音を検出して時系列データを取得し、時系列データから、その時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量を所定時間毎に複数算出し、これら複数の決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量から確率分布を算出し、この確率分布に基づいて周期的駆動系が異常であるか否かを判定するので、異常時と正常時の決定論性を表す値の差がわずかであっても、大きな違いとして把握することができる。このため、決定論性を表す値が決定論的か確率論的かにかかわらず、異常時と正常時の違いを十分に把握することができ、極めて高精度で周期的駆動系の異常を検知することができる。
本発明の第1の実施形態に係る周期的駆動系としての回転駆動系の異常検知装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る周期的駆動系としての回転駆動系の異常検知装置を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態における周期的駆動系としての回転駆動系の異常検知動作の一例を示すフローチャートである。 正常音の時系列データの例と異常音の時系列データの例を示す図である。 横軸に埋め込み次元を取り、縦軸に並進誤差の値をとって、正常時と異常時とにおけるこれらの関係を示すグラフである。 並進誤差の確率分布を示す図である。 正常時(正常音)の並進誤差の確率分布p1(x1(t))から作成したヒストグラムの例を示す図である。 異常時(異常音)の並進誤差の確率分布p2(x2(t))から作成したヒストグラムの例を示す図である。 図7の正常音のヒストグラムと図8の異常音のヒストグラムについての4つの特徴ベクトル(平均(average)、分散(variance)、尖度(kurtosis)、歪度(skewness))を示す図である。 並進誤差の算出単位である150msecの回転角度を示す図である。 図7の正常音のヒストグラムと図8の異常音のヒストグラムについて、並進誤差の計算結果を3sec(1周期)毎に分割して回転周期依存判定を可視化した図であり、(a)が正常音に対応するもの、(b)が異常音に対応するものである。 180〜216°の位置に異音の問題があった状態を示す図である。 図12のときの回転周期依存判定を可視化した図である。 WEルール(ウエスタン・エレクトリック・ルール)を適用したときの異常判定の例を示す図である。 第1の実施形態に係る異常検知装置を組み込んだ処理装置の例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る周期的駆動系としての回転駆動系の異常検知装置を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態における周期的駆動系としての回転駆動系の異常検知動作の一例を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態では、周期的駆動系の例として回転駆動系について説明する。
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係る周期的駆動系としての回転駆動系の異常検知装置の概略構成を示す模式図、図2はそのブロック図である。
回転駆動系の異常検知装置100は、処理装置200における処理に用いる回転駆動系300の異常を回転駆動系300の音により検知するものであり、回転駆動系300の音を音圧信号として検出する非接触型マイクロホンセンサ1(検出手段)と、検出された音圧信号を増幅するプリアンプ2と、プリアンプ2で増幅された音圧信号に基づいて回転駆動系の異常を検知し、その結果を出力する検知部10とを有している。検知部10には、操作部(キーボード、マウス等)21、表示部(ディスプレイ)22、印字部(プリンタ)23が接続されている。処理装置200としては、マグネトロンエッチング装置が例示され、回転駆動系300としてはダイポールリングマグネット(DRM)が例示される。
検知部10は例えばパーソナルコンピュータ(PC)で構成され、データロガー11と、制御部12と、主記憶部13と、外部記憶部14とを有している。
データロガー11は、プリアンプ2で増幅された音圧信号をデジタル変換して時系列データとするものである。
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)を有し、データロガー11からの時系列データを時系列信号処理して、回転駆動系300の異常の有無を判定し、その判定結果を出力するためのものである。
主記憶部13は、例えばRAMにより構成され、制御部12の作業領域として用いられ、データロガー11から収集した収集時系列データ41、および時系列信号処理の演算の過程で得られるデータ、具体的には、埋め込みベクトルデータ42、最近接ベクトルデータ43、一次並進誤差データ44、二次並進誤差データ45、並進誤差の確率分布データ46、ヒストグラムデータ47等が記憶される。
外部記憶部14は、ハードディスク、フラッシュメモリ、CD−ROM等の不揮発性メモリにより構成され、その中には制御部12に所定の信号処理を行わせるプログラム群51が予め記憶される。また、この外部記憶部14には、正常音モデルデータ52、1または2以上の異常音モデルデータ53、1または2以上の外乱ノイズモデルデータ54、制御部12から供給された異常音判定データ55、検知条件データ56等が記憶される。
上述した操作部(キーボード、マウス等)21、表示部(ディスプレイ)22、印字部(プリンタ)23は検知部10の制御部12に接続されている。操作部21によりオペレータが制御部に指令を与え、表示部22に制御部12から出力される判定結果や制御部12による処理過程での必要なデータが表示され、印字部23により制御部12から出力される判定結果や制御部12による処理過程での必要なデータを印字する。また、制御部12には定常ノイズのスクリーニングを行う定常ノイズスクリーニング部24が接続されている。
次に、制御部12による信号処理について説明する。
制御部12では、データロガー11からデジタルデータとされた時系列データを時系列信号処理して周期性信号に変換する。そして、この周期性信号に変換された時系列データから、この時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値として所定時間毎の並進誤差を算出し、並進誤差の確率分布を図形化したヒストグラムを作成して、このヒストグラムを正常音モデル(ヒストグラム)、および、1または2以上の異常音モデル(ヒストグラム)と比較することにより、回転駆動系の異常の有無を判定する。
時系列データの並進誤差は、Waylandらの時系列解析アルゴリズム(R. Wayland, D. Pickett, and A. Passamante, Physical Review Letters, Vol. 70 pp. 580-582, 1993)に説明されている。Waylandらの時系列解析アルゴリズムを用いると、複雑な変動においてどの程度決定論的側面が認められるか定量的に評価することができる。
すなわち、時系列データ{r(ti)}(i=0,・・・,N−1)が与えられたとき、ある時刻tiにおける埋込ベクトル
r(ti)={r(ti),r(ti−Δt),・・・,r(ti−(n−1)Δt}
を生成する。右肩の添字Tは転置行列を表す。nは適当な埋め込み次元であり、Δtは、例えば、相互情報量から選択された適当な時差である。
埋め込みベクトルの集合から、ある埋込ベクトルr(t)のK個の最近接ベクトルを抽出する。ベクトル間距離はユークリッド距離で測る。K個の最近接ベクトルをr(tj)(j=0,・・・,K)と表すと、r(tj)の各々について、TΔtだけ時間が経過した後のベクトルはr(tj+TΔt)である。このとき、時間の経過にともなう埋め込みベクトルの軌道の変化は、以下の(1)式によって近似的に与えられる。
v(tj)=r(tj+TΔt)−r(tj) ・・・(1)
時間発展の様子が決定論的に見えるならば、近接ベクトルの各軌道群の近接した部分は、TΔt後には近接した部分に移されるであろう。したがって、v(tj)の方向の分散は、観測された時間発展がどの程度決定論的に見えるかを定量的に評価する指標となる。このv(tj)の方向の分散は並進誤差(Etrans)と呼ばれ、次式で与えられる。
r(t)の選択から生じるEtransの誤差を抑えるために、無作為に選択したM個のr(t)に関するEtransの中央値を求める操作をQ回繰り返し、Q個の中央値の平均値でEtransを評価する。時系列データの決定論性が増加するにつれてEtrans→0となる。時系列データが白色ノイズならば、差分ベクトルv(tj)は一様等方に分布するから、中央値としてのEtransは1に近い値となる。時系列データが強い線形相関をもつ確率過程ならば、自己相関のために近接軌道群の方向がある程度揃うので、Etransは1よりも小さい値をとる。この場合、数値実験によると、Etrans>0.5である。0.1<Etrans<0.5の範囲では、確率過程である場合もあるし、また、観測ノイズに汚染された決定論的時系列であることもあり得る。Etrans<0.1ならば、確率過程では説明できず、決定論的側面が十分に認められる。したがって、並進誤差は決定論性を表す値として用いることができる。
本実施形態では、上記機能を果たすために、制御部12は、データロガー11からの時系列データを取得するデータ取得部31、異常検知のための条件設定を行う条件設定部32、データ取得部31で取得した時系列データから並進誤差Etransを算出する並進誤差演算部33、並進誤差の確率分布を計算する確率分布算出部34、確率分布のヒストグラムを作成するヒストグラム作成部35、および作成したヒストグラムと正常音モデルのヒストグラムおよび異常音モデルのヒストグラムとを比較して回転駆動系の異常の有無を判定する異常判定部36を有している。また、その他、回転駆動系の回転の有無を判定する回転判定部37、外乱ノイズの有無を判定する外乱ノイズ判定部38、および表示処理部39を有している。
データ取得部31は、データロガー11から時系列データを収集し、主記憶部13に収集時系列データ41として記憶する。時系列データは、所定周波数の音を所定のサンプリング周期で所定時間サンプリングされる。
条件設定部32は、時系列データのサンプリング周期やサンプリング時間等の異常検知のための条件を設定する。条件設定部32では、外部記憶部14に記憶された検知条件データ56から適宜の条件を呼び出して条件設定を行う。
並進誤差演算部33は、埋め込みベクトルの生成と、最近接ベクトルの抽出と、並進誤差の演算と、並進誤差の中央値演算および平均処理とを行う。
埋め込みベクトルは、上述したように、収集時系列データ41から生成される。埋め込み次元nと時差Δtは、時系列データの特性に合わせて予め設定しておく。そして生成した埋め込みベクトルの集合を主記憶部13に埋め込みベクトルデータ42として記憶する。
この埋め込みベクトルデータ42から任意の埋め込みベクトルr(t0)を選択し、埋め込みベクトルの集合から選択された埋め込みベクトルr(t0)に最も近接するK個の埋め込みベクトル、すなわち最近接ベクトル(r(tj)(j=0,1,・・・,K))を抽出する。無作為に選択したM個の埋め込みベクトルについて、最近接ベクトルを抽出し、主記憶部13に最近接ベクトルデータ43として記憶する。近接ベクトルの数Kと選択数Mは、並進誤差演算の統計誤差を抑えるために時系列データの性質に合わせて予め設定する。さらに、M個の埋め込みベクトルの無作為選択と、それらの最近接ベクトル抽出をQ回繰り返す。
上記最近接ベクトルの組からそれらの方向の分散である並進誤差Etransを計算する。このとき、無作為に選択されたM個の埋め込みベクトルの最近接ベクトルについて並進誤差Etransを計算する。さらにQ回のM個の埋め込みベクトルの最近接ベクトルの組について、並進誤差Etransを計算し、それらの値を主記憶部13に一次並進誤差データ44として記憶する。そして、一次並進誤差データ44から1回ごとのM個の並進誤差の中央値を求め、Q回の繰り返しそれぞれの中央値の平均を算出し、それらの値を主記憶部13に二次並進誤差データ45として記憶し、確率分布を算出するために、この二次並進誤差データ45を並進誤差として使用する。この平均値としての並進誤差を所定時間毎、例えば150msec単位毎に求める。
確率分布算出部34は、例えば150msec毎に求めた上記二次並進誤差データから、並進誤差の確率分布を算出する。並進誤差の確率分布は、時刻tにおける並進誤差の確率過程x(t)を用いてp(x(t))と表される。算出された並進誤差の確率分布は、主記憶部13に並進誤差の確率分布データ46として記憶される。確率分布算出にあたっては、測定時間を所定時間毎に分割し、その時間内の並進誤差について計算を行う。例えば、5minの時系列データを1min毎に分割して、その分割した1minを確率分布計算の規定時間と定義し、その1minの間に150msec毎に算出された並進誤差について確率分布を求める。
ヒストグラム作成部35は、確率分布データに基づいて、図形情報として並進誤差の値毎の頻度を示すヒストグラムを作成する。作成されたヒストグラムは、主記憶部13にヒストグラムデータ47として記憶される。
異常判定部36は、このようにして作成されたヒストグラムデータと、予め外部記憶部14に記憶してある正常音モデルデータ52、および、1または2以上の異常音モデルデータ53とを比較して、回転駆動系の異常の有無を判定する。
具体的には、外部記憶部14の正常音モデルデータ52は、正常音モデルの時系列データについて上記信号処理と同様に並進誤差の確率分布から作成したヒストグラムデータであり、異常音モデルデータ53は、1または2以上の異常音モデルの時系列データについて上記信号処理と同様に並進誤差の確率分布から作成したヒストグラムデータであり、検知対象データのヒストグラムと正常音モデルのヒストグラムとを比較して正常音モデルからの乖離率を求め、また検知対象データのヒストグラムと1または2以上の異常音モデルのヒストグラムとを比較して異常音モデルとの類似率を求めて、これらから異常の有無を判定する。
回転判定部37は、時系列信号が所定の音圧レベル以上か否かを判定し、所定の音圧レベル以上の場合に回転駆動系が回転しているとして異常検知シーケンスを行うようにする。
外乱ノイズ判定部38は、上述のようにして時系列データの並進誤差から求めた確率分布のヒストグラムと、外部記憶部14に記憶してある1または2以上の外乱ノイズモデルデータ54と比較して、外乱ノイズの有無を判定する。
外部記憶部14の外乱ノイズモデルデータ54は、外乱ノイズの時系列データについて上記信号処理と同様に並進誤差の確率分布から作成したヒストグラムデータであり、検知対象データのヒストグラムと外乱ノイズモデルと比較して外乱ノイズモデルとの類似性を把握し、一定の類似性があると判断した際に外乱ノイズありと判定し、異常判定部36による判定を行わないようにする。
表示処理部39は、並進誤差の平均値の推移、並進誤差の確率分布、ヒストグラム、異常検知結果を表示部22に表示させるとともに、印字部23に印字出力させる。異常を検知した際に、ライトを点滅させる等の警報表示を行ってもよい。また、このような警報表示とともにブザー等の警報音を鳴らすようにしてもよい。
次に、このように構成される第1の実施形態に係る回転駆動系の異常検知装置における異常検知動作について説明する。なお、以下の動作は、制御部12の指令に基づいて行われる。
図3は、第1の実施形態における回転駆動系の異常検知動作の一例を示すフローチャートである。まず、検知対象である回転駆動系、例えばダイポールリングマグネット(DRM)の回転駆動系300の音を非接触型マイクロホンセンサ1にて音圧信号として検出し、プリアンプ2で増幅し、検知部10のデータロガー11を経て時系列データとして入力する(ステップS1)。具体的には、プリアンプ2で増幅された音圧信号をデータロガー11でデジタル変換して時系列データとし、データ取得部31で収集された後、収集時系列データ41として主記憶部13に記憶される。時系列データは、所定周波数の音を所定のサンプリング周期で所定時間サンプリングされる。測定条件の具体例としては以下のものを挙げることができる。
・センサ周波数帯域:20Hz〜10kHz
・サンプリング周波数:100μs(10kHz)
・異常判定の規定時間:5min
・加速度分解能:±1.00m/s以上
正常音の時系列データの例と異常音の時系列データの例を図4に示すが、連続的な生波形では、明確に差異を把握することは極めて困難である。
次に、回転判定部37にて回転駆動系300が回転中か否かを判定する(ステップS2)。具体的には、時系列信号が所定の音圧レベル以上か否かを判定し、所定の音圧レベル以上の場合に回転駆動系が回転していると判定し、爾後の異常検知シーケンスを続行し、回転していないと判定した場合にはシーケンスを終了する。ここでは、検出漏れを防ぐ観点から、できるだけ簡単な信号処理が望ましく、例えば、規定時間の時系列データに対してエンブェロープフィルタなどをかけた後、平均、分散が規定範囲内にあれば回転駆動系が回転しているとする。
回転駆動系の回転が確認された後、定常ノイズスクリーニング部24にて、環境起因の強定常波形である定常ノイズのスクリーニングを行う(ステップS3)。これは、定常ノイズが存在する周波数帯域におけるS/N比の著しい低下を解消するためであり、バンドパスフィルタを用いて定常ノイズをスクリーニングする。スクリーニングに際しては、外乱ノイズがなく回転駆動系が停止した状態で音の測定を行い、得られた時系列データの周波数成分を分析し、それに基づいて定常ノイズスクリーニング部24でスクリーニングを行う。
次に、時系列データから並進誤差の演算を行う(ステップS4)。ここでは、並進誤差演算部33にて、埋め込みベクトルの生成と、最近接ベクトルの抽出と、並進誤差の演算と、並進誤差の中央値演算および平均処理とを行う。
具体的には、最初に、収集時系列データ41から、その特性に合わせて予め設定されている埋め込み次元nと時差Δtで埋め込みベクトルr(ti)を生成する。そして、埋め込みベクトルの集合から無作為にM個の埋め込みベクトルを選択し、これらM個の埋め込みベクトルについて、最近接ベクトルを抽出し、このようなM個の埋め込みベクトルの無作為選択と、それらの最近接ベクトル抽出をQ回繰り返し、これら最近接ベクトルの組からそれらの方向の分散である並進誤差Etransを計算し、一次並進誤差データ44とする。そして、一次並進誤差データ44から1回ごとのM個の並進誤差の中央値を求め、Q回繰り返しそれぞれの中央値の平均を算出し、それらの値を二次並進誤差データ45とし、この二次並進誤差データ45を確率分布を算出するための並進誤差として使用する。
時差Δtが6msのときの正常時と異常時の並進誤差の例を図5に示す。図5は横軸に埋め込み次元を取り、縦軸に並進誤差の値をとって、正常時と異常時とにおけるこれらの関係を示すグラフである。図において、x1が正常時のものであり、x2が異常時のものである。埋め込み次元が3以上では両者の並進誤差に大きな差はみられない。
次に、確率分布算出部34により所定時間行った並進誤差の演算により得られた複数の二次並進誤差データを用いて並進誤差の確率分布を算出する(ステップS5)。この確率分布算出は、例えば5minの時系列データを1min毎に分割し、その分割した1minの間の並進誤差を用いて行われる。
x(t)についての確率分布p(x(t))を求めると図6に示すようになる。なお、図6は正常時の例を示したものである。また、確率分布の算出に使用するサンプル数は、定常性やエルゴート性の評価を踏まえて決定することが好ましい。
次に、ヒストグラム作成部35により、確率分布データに基づいて、並進誤差の値毎の頻度を示すヒストグラムを作成する(ステップS6)。図7は正常時(正常音)の並進誤差の確率分布p1(x1(t))から作成したヒストグラムの例であり、図8は異常時(異常音)の並進誤差の確率分布p2(x2(t))から作成したヒストグラムの例である。図7、8に示すように、両者には明らかな差が認められる。
次に、外乱ノイズ判定部38により以上のように作成したヒストグラムと、外乱ノイズモデルのヒストグラムと1または2以上の外乱ノイズモデルデータ54と比較して、外乱ノイズの有無を判定する(ステップS7)。
半導体製造装置などの処理装置が設置される現場では、様々な装置の作動音発生が想定され、これらの外乱要素が誤検知の原因となり得るため、このような誤検知となり得る所定時間(例えば1min)以上連続する作動音の存在が明らかである場合に、予め外乱ノイズモデルを作成しておき、この外乱ノイズモデルと比較して外乱ノイズの有無を判定するのである。
外乱ノイズのモデリングは、以下の手順で行われる。
(a)モデリング対象となる外乱ノイズを異常判定の規定時間分測定する。連続1min以上の測定が不可能な場合は、分割測定後に時系列データを結合して構わない。
(b)測定されたノイズの特徴的周波数を抽出する。
(c)ノイズの数端数が解析条件と重ならない場合は、定常ノイズの扱いと同じとする。
(d)ノイズの周波数が解析条件と重なる場合は、外乱ノイズの解析条件として登録し、上で説明した検知対象の時系列データの信号処理と同様に処理して並進誤差の確率分布からヒストグラムを作成し、外乱ノイズモデル54として外部記憶部14に記憶させる。想定される外乱ノイズが2以上ある場合には同様の外乱ノイズモデルをその数分作成する。
外乱ノイズの有無の判定にあたっては、作成された1または2以上の外乱ノイズモデルデータ54のヒストグラムに対する検知対象データのヒストグラムの類似性を把握し、一定の類似性があると判断した際に外乱ノイズありと判定して、シーケンスを終了し、類似性が認められない場合のみシーケンスを続行する。
外乱ノイズが発生していないと判断された場合には、次に、異常判定部36により検知対象の異常判定を行う(ステップS8)。
異常判定は、検知対象の時系列データの並進誤差から作成されたヒストグラムデータと、予め外部記憶部14に記憶してある正常音モデルデータ52、および、1または2以上の異常音モデルデータ53とを比較することにより行う。
正常音モデルデータ52は、正常音モデルの時系列データについて上記信号処理と同様に並進誤差の確率分布から作成したヒストグラムデータであり、異常音モデルデータ53は、1または2以上の異常音モデルの時系列データについて上記信号処理と同様に並進誤差の確率分布から作成したヒストグラムデータである。そして、検知対象データのヒストグラムと正常音モデルのヒストグラムとを比較して正常音モデルからの乖離率を求め、また検知対象データのヒストグラムと1または2以上の異常音モデルのヒストグラムとを比較して異常音モデルとの類似率を求めて、これらから異常の有無を判定する。
異常音モデルは一つでもよいが、駆動部分の擦れ方により異常音の出方にも違いが見られることから複数の異常音サンプルから複数の異常音モデルを用いることが好ましい。
異常音のモデリングは、以下の手順で行われる。
(a)モデリング対象となる異常音を異常判定の規定時間分測定する。
(b)定常ノイズのスクリーニングを実施する。
(c)測定された異常音から特徴的周波数を抽出する。複数の異常音サンプルがある場合には、これらの共通の周波数を抽出する。
(d)(c)で得られた周波数からWayland Testのサンプリング周期を求めて異常音の解析条件とし、上で説明した検知対象の時系列データの信号処理と同様に処理して並進誤差の確率分布からヒストグラムを作成し、異常音モデルデータ53として外部記憶部14に記憶させる。想定される異常音が2以上ある場合には同様の異常音モデルをその数分作成する。
正常音の時系列データから求めた並進誤差からの乖離率を異常判定に用いるが、異常判定条件の一つは、回転駆動部の回転共振周波数とすることができる。
正常音のモデリングは、以下の手順で行われる。
(a)正常音を異常判定の規定時間分測定し、正常音サンプルとする。
(b)定常ノイズのスクリーニングを実施する。
(c)正常音サンプルの特徴的周波数を抽出する。
(d)(c)で得られた周波数からWayland Testのサンプリング周期を求めて正常音の解析条件とし、上で説明した検知対象の時系列データの信号処理と同様に処理して並進誤差の確率分布からヒストグラムを作成し、正常音モデルデータ52として外部記憶部14に記憶させる。
正常音からの乖離率および異常音との類似率を把握するためには、例えば、ステップS6で作成したヒストグラム、ならびに正常音モデル(ヒストグラム)および異常音モデル(ヒストグラム)について、これらのヒストグラムの傾向を4つの特徴ベクトル(平均(average)、分散(variance)、尖度(kurtosis)、歪度(skewness))に集約し、これらの特徴ベクトルを比較することが挙げられる。
図9は、図7の正常音のヒストグラムと図8の異常音のヒストグラムについての上記4つの特徴ベクトルを示すものであり、正常音と異常音のこれら4つの特徴ベクトルに大きな違いがあることがわかる。
また、ベアリングの偏摩耗や駆動ギアへの異物の噛み込みなど、ベアリングの特定箇所に問題があった場合、回転駆動系の回転周期に依存した一定間隔の異音が発生する可能性があるが、これについては並進誤差のヒストグラムデータから特徴ベクトルとして音の時間的連続性(continuity)と回転周期依存性(angle)を求めることで把握することができる。したがって、特徴ベクトルとして時間的連続性(continuity)と回転周期依存性(angle)を加えてもよい。
回転駆動系、例えばDRMマグネット回転速度20rpmとすると回転周期が3secであり、並進誤差の算出単位である150msecは図10に示すように回転角度にすると18°に相当する。図11は図7の正常音のヒストグラムと図8の異常音のヒストグラムについて、並進誤差の計算結果を3sec(1周期)毎に分割して回転周期依存判定を可視化したものであり、(a)が正常音に対応するもの、(b)が異常音に対応するものである。これらは、横軸が角度、縦軸が測定時間を表しており、並進誤差の違いを明度の差で表したものであり、横方向の明度のつながりは、音の時間的連続性を意味し、縦方向の明度のつながりは、音の特定角度における再現性を意味する。図11に示すように、正常音のp1では分散が小さく明度の近いモザイクで表されているが、異常音p2では並進誤差の起伏が激しい時間帯を確認することができる。
また、例えば図12に示すように、180〜216°の位置に異音の問題があった場合、図13に示すように縦方向の線が確認されるはずである。これらの特徴は、列の平均を求め、それらの分散を求めることにより得られる並進誤差の偏りから認知することができる。
特徴ベクトルでは、図11の横方向の時間的連続性をcontinuity、縦方向の角度依存再現性をangleとして評価する。Continuityは、3sec間20サンプルの並進誤差の平均値をそれぞれ計算し、その分散をみたもの、angleは、3sec間隔1min間20サンプルの並進誤差の平均値をそれぞれ計算し、その分散をみたものである。
ヒストグラムにより得られた正常時(正常音)の特徴ベクトル群と、異常時(異常音)の特徴ベクトル群は、以下のように表される。
f(p1)=[average(p1), variance(p1), Kurtosis(p1), skewness(p1), continuity(p1), angle(p1)]
f(p2)=[average(p2), variance(p2), Kurtosis(p2), skewness(p2), continuity(p2), angle(p2)]
検知対象データのヒストグラムと、正常音モデルおよび異常音モデルとの比較は、これらの特徴ベクトルを比較することにより行うことができる。この場合に、異常判定の規定時間を確率分布計算の規定時間で割った数分の特徴ベクトル群が存在するはずである。例えば、異常判定の測定時間が5min、確率分布計算の規定時間が1minの場合、1つのモデル(ヒストグラム)につき、以下のように5つの特徴ベクトル群が生成される。
Model1=[f1(p), f2(p), f3(p), f4(p), f5(p)]
正常音からの乖離率および異常音の類似率は、これらの特徴ベクトル群を教師データの初期値に採用し、サポートベクターマシン(SVM)を用いて2クラス分類を実施することにより求めることができる。教師データの定義は次のように行う。
・異常音類似率判定:異常モデル=1、正常モデル=−1
・正常音乖離率判定:正常モデル=1、異常モデル=−1
乖離率、類似率は線形的に変化するとはいえないため、サポートベクター回帰(SVR)の回帰係数を利用した推定値を出力させて変動の推移を追跡する必要がある。異常パターンの追加、閾値の最適化など、複数回の運用経験を経て、異常判定の条件を決定する際には、WEルール(ウエスタン・エレクトリック・ルール)を適用するのが望ましい。例えば、3回連続閾値を上回ったときに異常ありと判定するというルールの場合、図14に示すように、閾値である0.6を2回連続して超えた領域aでは異常と判定せず、領域bのように3つ連続して閾値を超えた場合に異常と判定する。また、同一判定において、連続的に高い数値を記録した場合は、装置の状態が変化したと判断して装置ワーニングを発報させることができる。
なお、外乱ノイズ判定においても同様に、外乱モデル=1、正常モデル=−1としてサポートベクターマシン(SVM)により判定を行うことができる。
異常判定の結果、異常と判定された場合は(ステップS9;Yes)、回転駆動系が異常であることを表示部22に表示する(ステップS10)。また、同時に印字部23に印字出力してもよい。一方、異常と判定されなかった場合は(ステップS9;No)、異常表示しない。この場合に、「異常なし」と表示してもよい。なお、異常表示した際に、ライトを点滅させる等の警報表示を行ってもよい。また、このような警報表示とともにブザー等の警報音を鳴らすようにしてもよい。
このように、本実施形態の回転駆動系の異常検知装置100により回転駆動系の異常の有無を検知することができる。この異常検知装置100は、持ち運び可能であり、複数の回転駆動系を診断することが可能である。
DRM等の回転駆動系は、処理の有無に拘わらず長時間回転しているため、ある程度の時間幅をもって音をサンプリングすることができる。このため、本実施形態では、所定時間の時系列データから決定論性を表す値である並進誤差の確率分布を求め、これにより異常判定を行うので、異常時と正常時の並進誤差の差がわずかであっても、大きな違いとして把握することができ、並進誤差が決定論的か確率論的かにかかわらず、異常時と正常時の違いを十分に把握することができ、極めて高精度で回転駆動系の異常を検知することができる。また、このように瞬時的ではなくある程度の長い時間の確率分布で異常判定を行うので、短期的な外乱ノイズ等による誤判定を回避することができる。また、確率分布を図形化(ヒストグラム化)して、正常音モデルおよび異常音モデルと比較するので、特徴ベクトル等を利用することにより正常音と異常音との差を一層高精度に把握することができ、さらに一層高精度で回転駆動系の異常を検知することができる。
時系列データ自体では、図4に示すように正常音と異常音とを区別することは極めて困難である。高速フーリエ変換(FFT)による周波数分析によりピークを検出することは可能だが、時間経過によるピークの絶対値の変動やピーク周波数の分散を定量的に扱うには課題が多い。本実施形態では、絶対値の変動や周波数の分散による並進誤差を確率に置き換えて議論することが可能となるため、大がかりなチューニングを必要とせず高効率である。
また、回転駆動系の回転周期の情報を用い、発生した音の特徴を、時間的連続性、回転周期の依存性の観点からも評価することにより、回転駆動系の回転音が不均一な状態にあることを検知しやすくなるという利点が得られる。
以上の例は、異常検知装置100を持ち運び可能に構成した例を示したが、図15に示すように、組み込み型のものでもよい。図15の例では、処理装置200′に異常検知装置100′が組み込まれている。すなわち、処理装置200′は、装置本体201と、回転駆動系300と、異常検知装置100′とを有している。
異常検知装置100′は、異常検知装置100とほぼ同様の構成であるが、制御部12に装置イベント発行部61を有している点のみが異常検知装置100と異なっている。また、装置本体201には、警報発生部202が設けられている。
装置イベント発行部61は、異常判定部36により回転駆動系が異常と判定された際に、装置イベントを発行し、装置本体201の警報発生部202に警報発生信号を出力する機能を有している。警報発生部202は装置イベント発行部61からの信号により、警報として装置メンテナンスを促す通知を行う機能を有している。
このような組み込み式の場合には、回転駆動系をリアルタイムで監視することができ、異常を検知した際に装置イベントを発行して警報を発生させるので、トルク変動が起こるような致命的なエラーとなる前に、その兆候を事前に検出することが可能となり、その結果、グリスアップを計画的に実施することができる。
また、上述のような異常検知シーケンスを実行する間隔を適宜設定して定期的に行う機能、前回のグリスアップからの経過時間と異常判定結果の履歴を記憶させる機能をもたせることにより、メンテナンス性をより高めることができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図16は本発明の第2の実施形態に係る回転駆動系の異常検知装置を示すブロック図である。
上述した第1の実施形態では、決定論性を表す値として時系列データの並進誤差を用いたが、本実施形態では、決定論性を表す値として順列エントロピーを用いており、それ以外の部分は第1の実施形態と同様である。したがって、図16において図2と同じものには同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態の異常検知装置100″では、制御部12において、データロガー11からデジタルデータとされた時系列データを時系列信号処理して周期性信号に変換する。そして、この周期性信号に変換された時系列データから、この時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値である順列エントロピー算出過程における中間変量に相当する相対実現度数m(π)の確率分布を算出し、この確率分布を図形化したヒストグラムを作成して、このヒストグラムを正常音モデル(ヒストグラム)、および、1または2以上の異常音モデル(ヒストグラム)と比較することにより、回転駆動系の異常の有無を判定する。
BandtとPompeによって導入された順列エントロピー(C. Bandt and B. Pompe, Physical Review Letters, Vol.88, pp. 174102-1 - 174102-4, 2002.)は、無限長の時系列におけるKolmogorov-Sinai エントロピーと漸近的に等価な量であるが、順列エントロピーは次のように定義される。
所定の時間における時系列データから、ある次元nの埋め込みベクトルr(ti)をすべて生成する。各埋め込みベクトルについて、埋め込みベクトルの要素の大小関係で昇順又は降順で要素に番号をつける。要素の昇順又は降順の番号の配列は、要素数の番号の順列である。所定の時間の全ての埋め込みベクトルについて、同じ昇順または降順の順列を有する埋め込みベクトルの個数を集計する。集計された個数は、その順序を有する順列の実現度数である。全ての埋め込みベクトルの数に対する実現度数を相対実現度数とする。相対実現度数の和は1である。なお、埋め込みベクトルの時差Δtは1であってもよい。Δt=1の場合は、埋め込みベクトルr(ti)は時系列データの連続するn個の要素から構成される。
埋め込みベクトルの要素の大小関係の順序は、埋め込みベクトルの次元の数の順序からなる順列である。埋め込みベクトルの次元の数nについて、1からnまでのn個の数の順列の集合をΠ、順列の集合の要素(ある順列)をπとする。所定の時間の時系列データの個数をN、埋め込み次元をn、時差をΔtとすると、所定の時間の時系列データから生成される埋め込みベクトルの数はN−(n−1)Δtである。ある順列の実現度数をm(π)と書くと、ある順列πの相対実現度数p(π)は次の(4)式で表される。
相対実現度数p(π)は、時間変動の複雑さを粗視化してパターンに分類していることに等しい。相対実現度数p(π)を順列πの実現確率とみなし、情報エントロピーを計算すると、元の時系列の複雑さ(決定論性)を定量的に評価できる。埋め込みベクトルの次元の数の順列πを確率変数とし、相対実現度数p(π)を確率分布とするエントロピーを順列エントロピーという。順列エントロピーは次の(5)式で定義される。
ただし、p(π)=0の項は算入しない。
順列エントロピーによって元の時系列データの複雑さ(決定論性)を定量的に評価することができる。最も単純な挙動は単調過程である。単調増加過程または単調減少過程では、順列エントロピーは最小となる。一方、最も複雑な挙動は完全ランダム過程である。この場合、可能なすべてのパターンが実現されるから、順列エントロピーは最大となる。
πは埋め込み次元nの順列であり、順列の集合Πはn!個の要素(順列)を含むから、(5)式の定義によって、0≦H(n)≦logn!である。下限は単調増加過程あるいは単調減少過程に対応する。上限は完全ランダム過程を表す。
BandtとPompeは、H(n)がnに対して線形に増加することに着目し、次の(6)式で定義される量を導入した。
h(n)をlogn!で正規化し、次の式(7)で定義されるエントロピーを利用することもできる。
0≦h*(n)≦1が成り立つ。時系列データの決定論的側面が増加するにつれてh*(n)→0となる。時系列データが白色ノイズならば、h*(n)は1に近い値となる。したがって、順列エントロピーH(n)あるいはH(n)を正規化したh*(n)は決定論性を表す値として用いることができる。このため、本実施形態においては、順列エントロピーH(n)あるいはH(n)を正規化したh*(n)が診断対象の設備の状態を示す時系列データの決定論性を表す指標となることに着目し、順列エントロピー算出過程における中間変量である相対実現度数を用いて回転駆動系の異常を検知する。
本実施形態では、上記機能を果たすために、制御部12において、第1の実施形態における並進誤差演算部33の代わりに、相対実現度数m(π)を算出する相対実現度数演算部71を有している。また、確率分布算出部34では相対実現度数m(π)の確率分布を求める。さらに、ヒストグラム作成部35では、相対実現度数m(π)の確率分布データに基づいて、図形情報として実現度数m(π)の値毎の頻度を示すヒストグラムを作成する。
主記憶部13は、最近接ベクトルデータ43の代わりに順列実現度数データ81が記憶され、一次並進誤差データ44および二次並進誤差データ45の代わりに相対実現度数データ82が記憶される。
相対実現度数演算部71は、埋め込みベクトルの生成と、順列実現度数の集計と、相対実現度数m(π)の算出とを行う。
埋込ベクトルは、時系列データから前述の埋め込みベクトルr(ti)を生成する。埋め込みベクトルの次元nと時差Δtは、時系列データの特性に合わせて予め設定しておく。そして生成した埋め込みベクトルの集合を主記憶部13に埋め込みベクトルデータ42として記憶する。
実現度数の演算は、埋め込みベクトルの要素の大小関係で要素に順序をつけ、所定の時間の全ての埋め込みベクトルについて、同じ順序を有する埋め込みベクトルの個数を順列実現度数として集計する。集計された順列実現度数を主記憶部に順列実現度数データ81として記憶する。
そして、順列実現度数データ81から、所定時間における時系列データから算出される全ての埋め込みベクトルの数に対する相対実現度数m(π)を算出し、主記憶部13に相対実現度数データ82として記憶する。
次に、このように構成される第2の実施形態に係る回転駆動系の異常検知装置における異常検知動作について説明する。なお、以下の動作は、制御部12の指令に基づいて行われる。
図17は、第2の実施形態における回転駆動系の異常検知動作の一例を示すフローチャートである。第2の実施形態において、ステップS11の時系列データの入力からステップS13の定常ノイズのスクリーニングは、第1の実施形態のステップS1〜S3と全く同様に行われる。
ステップS13の定常ノイズのスクリーニング後、時系列データから相対実現度数の演算を行う(ステップS14)。ここでは、相対実現度数演算部にて、埋め込みベクトルの生成と、順列実現度数の集計と、相対実現度数m(π)の演算とを行う。
具体的には、収集された時系列データ41から、設定されている埋め込み次元nと時差Δtで、埋め込みベクトルr(ti)を生成する。そして、所定時間において時系列データ41から算出される全ての埋め込みベクトルについて、埋め込みベクトルの要素の大小関係で要素に順序をつけ、同じ順序を有する埋め込みベクトルの個数を順列実現度数として集計する。次いで、順列実現度数から、順列エントロピー算出過程における中間変量である、所定時間における時系列データから算出される全ての埋め込みベクトルの数に対する相対実現度数m(π)を算出する。
次に、確率分布算出部34により相対実現度数m(π)の確率分布を算出する(ステップS15)。この確率分布算出は、例えば5minの時系列データを1min毎に分割し、その分割した1minの間の相対実現度数m(π)を用いて行われる。このステップS15は、第1の実施形態のステップS5の並進誤差が順列エントロピー算出過程における中間変量である相対実現度数に代わっただけであり、基本的にはステップS5と同様に行われる。
次に、ヒストグラム作成部35により、確率分布データに基づいて、相対実現度数m(π)の値毎の頻度を示すヒストグラムを作成する(ステップS16)。
次に、外乱ノイズ判定部38により以上のように作成したヒストグラムと、外乱ノイズモデルのヒストグラムと1または2以上の外乱ノイズモデルデータ54と比較して、外乱ノイズの有無を判定する(ステップS17)。この工程は第1の実施形態のステップS7と同様に行われる。
外乱ノイズが発生していないと判断された場合には、次に、異常判定部36により検知対象の異常判定を行う(ステップS18)。
異常判定は、検知対象の時系列データについて相対実現度数m(π)の確率分布から作成されたヒストグラムデータと、予め外部記憶部14に記憶してある正常音モデルデータ52、および、1または2以上の異常音モデルデータ53とを比較することにより行う。本実施形態では、正常音モデルの時系列データについて相対実現度数m(π)の確率分布から作成したヒストグラムデータであり、異常音モデルデータ53は、1または2以上の異常音モデルの時系列データについて相対実現度数m(π)の確率分布から作成したヒストグラムデータである。そして、検知対象データのヒストグラムと正常音モデルのヒストグラムとを比較して正常音モデルからの乖離率を求め、また検知対象データのヒストグラムと1または2以上の異常音モデルのヒストグラムとを比較して異常音モデルとの類似率を求めて、これらから異常の有無を判定する。これらの処理は第1の実施形態と同様に行われる。
異常判定の結果、異常と判定された場合は(ステップS19;Yes)、回転駆動系が異常であることを表示部22に表示する(ステップS20)。また、同時に印字部23に印字出力してもよい。一方、異常と判定されなかった場合は(ステップS19;No)、異常表示しない。この場合に、「異常なし」と表示してもよい。なお、異常表示した際に、ライトを点滅させる等の警報表示を行ってもよい。また、このような警報表示とともにブザー等の警報音を鳴らすようにしてもよい。
本実施形態においても、所定時間の時系列データから決定論性を表す値である順列エントロピー算出過程における中間変量に相当する相対実現度数の確率分布を求め、これにより異常判定を行うので、異常時と正常時の相対実現度数の差がわずかであっても、十分に違いを把握することができ、極めて高精度で回転駆動系の異常を検知することができる。また、このように瞬時的ではなくある程度の長い時間の確率分布で異常判定を行うので、短期的な外乱ノイズ等による誤判定を回避することができる。また、確率分布を図形化(ヒストグラム化)して、正常音モデルおよび異常音モデルと比較するので、特徴ベクトル等を利用することにより正常音と異常音との差を一層高精度に把握することができ、さらに一層高精度で回転駆動系の異常を検知することができる。
<他の適用>
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では周期的駆動系として回転駆動系を用いた場合について示したが、本発明の原理上、回転駆動系に限定されないことは明らかであり、周期的駆動系として、回転駆動系に限らず直線駆動、振動、または膨張・収縮駆動を行うもの等が適用可能である。このような周期的駆動系としては、具体的には、半導体ウエハ等の基板を搬送するための搬送アーム、基板を載置台に載置するときに用いられる基板を昇降するためのピン、基板のステージを昇降させる昇降機構等を挙げることができる。また、このような周期的駆動系としては、一般的には、エンジンのピストン、ミシン、ジグソーなどの工作機械等を挙げることができる。
また、上記実施形態では、決定論性を表す値として並進誤差、順列エントロピーを例示したが、これに限るものではない。また、決定論性を表す値の確率分布をヒストグラム化(図形化)したが、ヒストグラムによらない図形であってもよく、また必ずしも図形化しなくてもよい。さらに、正常音モデルからの乖離率と異常音モデルとの類似率の両方を用いて周期的駆動系の異常を判定する例を示したが、どちらか一方のみで判定してもよい。
また、本発明の周期的駆動系の異常検知装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、上記動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納しておき、当該記憶媒体のコンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、本発明の周期的駆動系の異常検知装置を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、例えば通常のコンピュータシステムがダウンロードすることで本発明の回転駆動系の異常検知装置を構成してもよい。
また、異常検知装置の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記憶媒体や記憶装置に格納してもよい。
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して上記コンピュータプログラムを配信することも可能である。そして、配信されたコンピュータプログラムを起動し、前記の処理を実行できるように構成することもできる。
1…非接触型マイクロホンセンサ
2…プリアンプ
10…検知部
11…データロガー
12…制御部
13…主記憶部
14…外部記憶部
21…操作部
22…表示部
23…印字部
24…定常ノイズスクリーニング部
31…データ取得部
33…並進誤差演算部
34…確率分布算出部
35…ヒストグラム作成部
36…異常判定部
38…外乱ノイズ判定部
41…収集時系列データ
42…埋め込みベクトルデータ
43…最近接ベクトルデータ
44…一次並進誤差データ
45…二次並進誤差データ
46…確率分布データ
47…ヒストグラムデータ
52…正常音モデルデータ
53…異常音モデルデータ
54…外乱ノイズモデルデータ
100,100′…回転駆動系の異常検知装置
200,200′…処理装置
201…装置本体
202…警報発生部
300…回転駆動系

Claims (31)

  1. 処理装置における処理に用いる周期的駆動系からの音を検出する検出手段と、
    検出された音から時間とともに変動する時系列データを取得するデータ取得手段と、
    前記データ取得手段で取得した時系列データから、その時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量を所定時間毎に複数算出する決定論性値算出手段と、
    前記複数算出した決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布を算出する確率分布算出手段と、
    前記決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布に基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定する判定手段と
    を具備することを特徴とする周期的駆動系の異常検知装置。
  2. 前記確率分布算出手段で算出した確率分布から図形情報を作成する図形情報作成手段をさらに具備し、
    前記判定手段は、前記確率分布から作成された前記図形情報を、予め求めた正常音モデルの決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布から作成した正常音図形情報、および/または、1または2以上の異常音モデルの決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布から作成した1または2以上の異常音図形情報と比較し、前記図形情報の、正常音図形情報からの乖離率、および/または、異常音図形情報との類似率を求め、これらに基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の周期的駆動系の異常検知装置。
  3. 前記図形情報、前記正常音図形情報、前記異常音図形情報は、いずれも決定論性を表す値の確率分布から求めたヒストグラムであることを特徴とする請求項2に記載の周期的駆動系の異常検知装置。
  4. 前記判定手段は、前記図形情報としてのヒストグラムと、前記正常音図形情報としてのヒストグラム、および/または、前記異常音図形情報としてのヒストグラムとを、平均、分散、尖度、歪度の4つの特徴ベクトルにより比較し、前記正常音図形情報からの乖離率、および/または、前記異常音図形情報との類似率を求めることを特徴とする請求項3に記載の周期的駆動系の異常検知装置。
  5. 前記判定手段は、前記図形情報としてのヒストグラムと、前記正常音図形情報としてのヒストグラム、および/または、前記異常音図形情報としてのヒストグラムとを比較するための特徴ベクトルとして、さらに、音の時間的連続性、音の周期依存性を用いることを特徴とする請求項4に記載の周期的駆動系の異常検知装置。
  6. 前記正常音図形情報からの乖離率、および/または、前記異常音図形情報との類似率は、前記特徴ベクトルを教師データの初期値に採用し、サポートベクターマシンを用いて2クラス分離を実施し、それによって得られた値により把握し、その値が所定の閾値を超えたか否かにより異常であるか否かを判定することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の周期的駆動系の異常検知装置。
  7. 前記決定論性を表す値は、前記時系列データから算出される並進誤差であり、
    前記決定論性値算出手段は、
    前記時系列データを所定時間毎に複数に分割し、それぞれからある次元の埋め込みベクトルを算出する埋め込み手段と、
    所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記埋め込み手段で算出された埋め込みベクトルのうち、ある埋め込みベクトルについて所定の数の最も近接するベクトルを抽出する最近接ベクトル抽出手段と、
    所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記最近接ベクトル抽出手段で抽出した所定の数の最も近接するベクトルの分散である並進誤差を算出する並進誤差算出手段と
    を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の周期的駆動系の異常検知装置。
  8. 前記決定論性を表す値は、前記時系列データから算出される順列エントロピーであり、
    前記決定論性値算出手段は、
    前記時系列データを時間的に所定時間毎に複数に分割し、それぞれからある次元の埋め込みベクトルを算出する埋め込み手段と、
    所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記埋め込み手段で算出される前記所定時間における前記時系列データから算出される全ての前記埋め込みベクトルについて、前記埋め込みベクトルの要素の大小関係で前記要素に順序をつけ、同じ順序を有する埋め込みベクトルの個数を順列実現度数として累計し、前記順列実現度数から、前記順列エントロピー算出過程における中間変量である、前記所定時間における前記時系列データから算出される全ての前記埋め込みベクトルの数に対する相対実現度数を算出する相対実現度数算出手段と
    を有し、
    前記確率分布算出手段は、前記相対実現度数の確率分布を算出することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の周期的駆動系の異常検知装置。
  9. 前記異常判定手段により異常と判定された際に、その旨を表示する表示手段をさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の周期的駆動系の異常検知装置。
  10. 前記周期的駆動系は、回転駆動、直線駆動、振動、または膨張・収縮駆動を行うものであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の周期的駆動系の異常検知装置。
  11. 所定の処理を行う処理装置本体と、前記処理装置本体での処理に用いる周期的駆動系と、前記周期的駆動系の異常を検知する異常検知装置とを具備する、周期的駆動系を有する処理装置であって、
    前記異常検知装置は、
    前記周期的駆動系からの音を検出する検出手段と、
    検出された音から時間とともに変動する時系列データを取得するデータ取得手段と、
    前記データ取得手段で取得した時系列データから、その時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量を所定時間毎に複数算出する決定論性値算出手段と、
    前記複数算出した決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布を算出する確率分布算出手段と、
    前記決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布に基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定する判定手段と
    を備えることを特徴とする周期的駆動系を有する処理装置。
  12. 前記確率分布算出手段で算出した確率分布から図形情報を作成する図形情報作成手段をさらに備え、
    前記判定手段は、前記確率分布から作成された前記図形情報を、予め求めた正常音モデルの決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布から作成した正常音図形情報、および/または、1または2以上の異常音モデルの決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布から作成した1または2以上の異常音図形情報と比較し、前記図形情報の、正常音図形情報からの乖離率、および/または、異常音図形情報との類似率を求め、これらに基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定することを特徴とする請求項11に記載の周期的駆動系を有する処理装置。
  13. 前記図形情報、前記正常音図形情報、前記異常音図形情報は、いずれも決定論性を表す値の確率分布から求めたヒストグラムであることを特徴とする請求項12に記載の周期的駆動系を有する処理装置。
  14. 前記判定手段は、前記図形情報としてのヒストグラムと、前記正常音図形情報としてのヒストグラム、および/または、前記異常音図形情報としてのヒストグラムとを、平均、分散、尖度、歪度の4つの特徴ベクトルにより比較し、前記正常音図形情報からの乖離率、および/または、前記異常音図形情報との類似率を求めることを特徴とする請求項13に記載の周期的駆動系を有する処理装置。
  15. 前記判定手段は、前記図形情報としてのヒストグラムと、前記正常音図形情報としてのヒストグラム、および/または、前記異常音図形情報としてのヒストグラムとを比較するための特徴ベクトルとして、さらに、音の時間的連続性、音の周期依存性を用いることを特徴とする請求項14に記載の周期的駆動系を有する処理装置。
  16. 前記正常音図形情報からの乖離率、および/または、前記異常音図形情報との類似率は、前記特徴ベクトルを教師データの初期値に採用し、サポートベクターマシンを用いて2クラス分離を実施し、それによって得られた値により把握し、その値が所定の閾値を超えたか否かにより異常であるか否かを判定することを特徴とする請求項14または請求項15に記載の周期的駆動系を有する処理装置。
  17. 前記決定論性を表す値は、前記時系列データから算出される並進誤差であり、
    前記決定論性値算出手段は、
    前記時系列データを所定時間毎に複数に分割し、それぞれからある次元の埋め込みベクトルを算出する埋め込み手段と、
    所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記埋め込み手段で算出された埋め込みベクトルのうち、ある埋め込みベクトルについて所定の数の最も近接するベクトルを抽出する最近接ベクトル抽出手段と、
    所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記最近接ベクトル抽出手段で抽出した所定の数の最も近接するベクトルの分散である並進誤差を算出する並進誤差算出手段と
    を有することを特徴とする請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の周期的駆動系を有する処理装置。
  18. 前記決定論性を表す値は、前記時系列データから算出される順列エントロピーであり、
    前記決定論性値算出手段は、
    前記時系列データを時間的に所定時間毎に複数に分割し、それぞれからある次元の埋め込みベクトルを算出する埋め込み手段と、
    所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記埋め込み手段で算出される前記所定時間における前記時系列データから算出される全ての前記埋め込みベクトルについて、前記埋め込みベクトルの要素の大小関係で前記要素に順序をつけ、同じ順序を有する埋め込みベクトルの個数を順列実現度数として累計し、前記順列実現度数から、前記順列エントロピー算出過程における中間変量である、前記所定時間における前記時系列データから算出される全ての前記埋め込みベクトルの数に対する相対実現度数を算出する相対実現度数算出手段と
    を有し、
    前記確率分布算出手段は、前記相対実現度数の確率分布を算出することを特徴とする請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の周期的駆動系を有する処理装置。
  19. 前記異常検知装置は、前記判定手段で前記周期的駆動系が異常であると判定された場合に、前記装置本体に装置イベントを発行して警報を発生させる装置イベント発行手段をさらに有することを特徴とする請求項11から請求項18のいずれか1項に記載の周期的駆動系を有する処理装置。
  20. 前記周期的駆動系は、回転駆動、直線駆動、振動、または膨張・収縮駆動を行うものであることを特徴とする請求項11から請求項19のいずれか1項に記載の周期的駆動系を有する処理装置。
  21. 処理装置における処理に用いる周期的駆動系から検出された音から時間とともに変動する時系列データを取得するデータ取得ステップと、
    前記データ取得ステップで取得した時系列データから、その時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量を所定時間毎に複数算出する決定論性値算出ステップと、
    前記複数算出した決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布を算出する確率分布算出ステップと、
    前記決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布に基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定する判定ステップと
    を具備することを特徴とする周期的駆動系の異常検知方法。
  22. 前記確率分布算出ステップで算出した確率分布から図形情報を作成する図形情報作成ステップをさらに具備し、
    前記判定ステップは、前記確率分布から作成された前記図形情報を、予め求めた正常音モデルの決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布から作成した正常音図形情報、および/または、1または2以上の異常音モデルの決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布から作成した1または2以上の異常音図形情報と比較し、前記図形情報の、正常音図形情報からの乖離率、および/または、異常音図形情報との類似率を求め、これらに基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定することを特徴とする請求項21に記載の周期的駆動系の異常検知方法。
  23. 前記図形情報、前記正常音図形情報、前記異常音図形情報は、いずれも決定論性を表す値の確率分布から求めたヒストグラムであることを特徴とする請求項22に記載の周期的駆動系の異常検知方法。
  24. 前記判定ステップは、前記図形情報としてのヒストグラムと、前記正常音図形情報としてのヒストグラム、および/または、前記異常音図形情報としてのヒストグラムとを、平均、分散、尖度、歪度の4つの特徴ベクトルにより比較し、前記正常音図形情報からの乖離率、および/または、前記異常音図形情報との類似率を求めることを特徴とする請求項23に記載の周期的駆動系の異常検知方法。
  25. 前記判定ステップは、前記図形情報としてのヒストグラムと、前記正常音図形情報としてのヒストグラム、および/または、前記異常音図形情報としてのヒストグラムとを比較するための特徴ベクトルとして、さらに、音の時間的連続性、音の周期依存性を用いることを特徴とする請求項24に記載の周期的駆動系の異常検知方法。
  26. 前記正常音図形情報からの乖離率、および/または、前記異常音図形情報との類似率は、前記特徴ベクトルを教師データの初期値に採用し、サポートベクターマシンを用いて2クラス分離を実施し、それによって得られた値により把握し、その値が所定の閾値を超えたか否かにより異常であるか否かを判定することを特徴とする請求項22または請求項23に記載の周期的駆動系の異常検知方法。
  27. 前記決定論性を表す値は、前記時系列データから算出される並進誤差であり、
    前記決定論性値算出ステップは、
    前記時系列データを所定時間毎に複数に分割し、それぞれからある次元の埋め込みベクトルを算出し、
    所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記算出された埋め込みベクトルのうち、ある埋め込みベクトルについて所定の数の最も近接するベクトルを抽出し、
    所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、前記抽出された所定の数の最も近接するベクトルの分散である並進誤差を算出することを特徴とする請求項21から請求項26のいずれか1項に記載の周期的駆動系の異常検知方法。
  28. 前記決定論性を表す値は、前記時系列データから算出される順列エントロピーであり、
    前記決定論性値算出ステップは、
    前記時系列データを時間的に所定時間毎に複数に分割し、それぞれからある次元の埋め込みベクトルを算出し、
    所定時間毎に分割された時系列データのそれぞれについて、算出された前記所定時間における前記時系列データから算出される全ての前記埋め込みベクトルについて、前記埋め込みベクトルの要素の大小関係で前記要素に順序をつけ、同じ順序を有する埋め込みベクトルの個数を実現度数として累計し、この実現度数から、前記順列エントロピー算出過程における中間変量である、前記所定時間における前記時系列データから算出されるすべての前記埋め込みベクトルの数に対する相対実現度数を算出し、
    前記確率分布算出ステップは、前記相対実現度数の確率分布を算出することを特徴とする請求項21から請求項26のいずれか1項に記載の周期的駆動系の異常検知方法。
  29. 前記異常判定ステップにより異常と判定された際に、その旨を表示する表示ステップをさらに具備することを特徴とする請求項21から請求項28のいずれか1項に記載の周期的駆動系の異常検知方法。
  30. 前記周期的駆動系は、回転駆動、直線駆動、振動、または膨張・収縮駆動を行うものであることを特徴とする請求項21から請求項29のいずれか1項に記載の周期的駆動系の異常検知方法。
  31. 処理装置における処理に用いる周期的駆動系の異常を検知するために、コンピュータに、
    処理装置における処理に用いる周期的駆動系から検出された音から時間とともに変動する時系列データを取得するデータ取得ステップと、
    前記データ取得ステップで取得した時系列データから、その時系列データが決定論的であるか確率論的であるかの指標となる決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量を所定時間毎に複数算出する決定論性値算出ステップと、
    前記複数算出した決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布を算出する確率分布算出ステップと、
    前記決定論性を表す値またはその値の算出過程における中間変量の確率分布に基づいて前記周期的駆動系が異常であるか否かを判定する判定ステップとを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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