JP2013139365A - 磁性ゼオライト粒子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気分離特性に優れ、生産効率が良く、安価な磁性ゼオライト粒子を供給する。
【解決手段】ゼオライト粒子中に平均粒径が1〜50nmの磁性結晶相が分散して存在する磁性ゼオライト粒子。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁性ゼオライト粒子に関する。更に詳しくは、磁気分離に用いるのに適した磁性ゼオライト粒子に関する。
多孔性磁性粒子は、多孔性の表面に様々な物質を保持する性質と、外部磁場により容易に引き付けられる性質を有することから重金属、フッ素化合物、ホウ素化合物、染料、臭気物質、放射性物質等の環境汚染物質やタンパク質、DNA、RNA、細胞等の生体物質等の様々な物質の磁気分離に用いられている。
特開2005−137973号公報(特許文献1)には多孔性粒子の表面に化学反応により磁性粒子を形成することにより多孔性磁性粒子を製造する方法が記載され、特開2010−209314号公報(特許文献2)には多孔性のコアと磁性を有するシェルからなるコアシェル型の多孔性磁性粒子が記載されている。また、特開2007−237097号公報(特許文献3)には、磁性粒子や多孔性粒子をポリマーゲル中に内包することにより多孔性磁性粒子を製造する方法が記載されている。特開2006−307126号公報(特許文献4)にはスチレン/ジビニルベンゼン共重合体粒子のコアと磁性体微粒子を含む多孔質のシェルからなるコアシェル型の多孔性磁性粒子が記載されている。特開2008−221076号公報(特許文献5)には、複数の磁性粒子を酸化物により内包した第1複合粒子と、複数の第1複合粒子を多孔質材料により内包した多孔性磁性粒子が記載されている。しかし、これらの多孔性磁性粒子は、いずれも多孔性粒子と磁性粒子との接合性が低いため磁化率が低下したり、多孔性粒子と磁性粒子を接合させるためのポリマー等の結着材料等により多孔性粒子表面の一部が塞がれる結果、多孔性表面が物質を吸着、保持する能力が低下すること等により磁気分離特性が低下し、且つ、製造工程が複雑で生産性の低いものであった。
特開2005−137973号公報 特開2010−209314号公報 特開2007−237097号公報 特開2006−307126号公報 特開2008−221076号公報
本発明の課題は、磁気分離特性に優れた磁性ゼオライト粒子を提供することである。また、磁気分離特性に優れ、安価な磁性ゼオライト粒子を効率よく生産出来る磁性ゼオライト粒子の製造方法を提供することである。
上記の課題は、ゼオライト粒子中に平均粒径が1〜50nmの磁性結晶相が分散して存在する磁性ゼオライト粒子及び、平均粒径が1〜50nmの磁性微粒子の存在下でゼオライト前駆体を加熱、熟成することを特徴とする磁性ゼオライト粒子の製造方法により達成された。
本発明により磁気分離特性に優れた磁性ゼオライトを供給することが出来る。また、磁気分離特性に優れ、安価な磁性ゼオライト粒子を効率よく生産出来る磁性ゼオライト粒子の製造方法を提供することが出来る。
実施例1の磁性ゼオライト粒子表面の一部を拡大したFeの特性X線反射画像である。 比較例1の磁性ゼオライト粒子表面の一部を拡大したFeの特性X線反射画像である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の磁性ゼオライト粒子は、従来の磁性ゼオライト粒子の様に磁性を有さないゼオライト粒子に磁性粒子を結着させる等の手段によって磁性を付与したものではなく、ゼオライト粒子中に磁性結晶相が分散して存在する磁性ゼオライト粒子であり、より詳細には、ゼオライト粒子中のゼオライト結晶相の間隙に磁性結晶相が分散して存在する磁性ゼオライト粒子である。ゼオライトはアルミノケイ酸質の結晶材料であり、ゼオライトの結晶構造中に固有の3次元的に連結した0.3〜0.9nmの微細な口径の細孔を持つことを特徴としているが、本発明の磁性ゼオライト粒子の磁性結晶相はゼオライトの結晶構造に固有の細孔中とは異なり、ゼオライト結晶相の間隙に磁性結晶相が存在しているものである。従って、本発明の磁性ゼオライト粒子中のゼオライトの結晶構造に固有の細孔は、磁性結晶相によって塞がれることなく磁気分離の際の物質の吸着、保持のサイトとして有効に作用する結果、従来の磁性ゼオライトの様なゼオライト粒子の磁性化に伴うゼオライトの物質吸着、保持能力の低下が生じることがない。
本発明の磁性ゼオライト粒子のゼオライトはアルミノケイ酸化合物であり、代表的なゼオライトとしてNa12(Al12Si1248)・27HOの組成で表されるゼオライトA、Na86(Al86Si106384)・264HOの組成で表されるゼオライトX、Na56(Al56Si136384)・250HOの組成で表されるゼオライトY、K11(Al10Si1040)・8HOで表されるゼオライトF、K(AlSi2772)・22HOの組成で表されるゼオライトL、K11(Al10Si1040)・8HOで表されるゼオライトP、Al181872・42HOの組成で表されるゼオライトVSI−5、K11(Al11Si2572)・40HOで表されるチャバザイト等の合成ゼオライト、KCa1.5Na(AlSi1032)・12HOの組成で表されるフィリップサイト、KNa(AlSi32)・10HOの組成で表されるアミサイト、NaMg0.5Ca(AlSi2772)・27HOの組成で表されるエリオナイト、Na16(Al16Si3296)・16HOの組成で表されるアナルサイム、KCa(AlSi1336)・15HOの組成で表されるオフレタイト、Li(AlSi12)・2HOの組成で表されるビキタイト、Na(AlSi4096)・24HOの組成で表されるモルデナイト、Na1.5Mg(Al5.5Si30.572)・18HOの組成で表されるフェリエライト等の天然ゼオライトが挙げられる。本発明の磁性ゼオライトはこれらのゼオライトの単一または複数のゼオライトを組み合わせて用いることが出来る。
本発明の磁性ゼオライト粒子の形状としては、例えば、多面体状、球状、円柱状、楕円体状等の種々の形状のものが挙げられる。本発明の磁性ゼオライト粒子の平均粒径は粒子の形状が球状であると仮定した時の平均直径で表され、1〜200μmであることが好ましい。磁性ゼオライト粒子の平均粒子径はレーザー回折式粒度分布測定装置、例えば(株)島津製作所製の回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて測定することが出来る。
本発明の磁性ゼオライト粒子中に存在する磁性結晶相の組成は、磁性体である限り特に制限はなく、鉄、コバルト、ニッケル等の希土類元素の塩、酸化物、ホウ化物、硫化物やFePd、FePt、CoPt等の磁性合金等様々な磁性体を用いることが出来るが、マグネタイト、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライト等のフェライト類は、飽和磁化が高く、且つ低保磁力であることから好ましく用いることが出来る。フェライト類の中でも、マグネタイトは、安価で環境負荷が少ないことから、特に好ましく用いることが出来る。本発明の磁性ゼオライト粒子中の磁性結晶相の存在は、X線回折装置、例えば(株)リガク製X線回折装置MiniFlexを用いて、磁性結晶相のX線回折パターンを測定することにより確認することが出来る。
本発明の磁性ゼオライト粒子の磁性結晶相の形状は、磁性結晶の組成等に応じて正方晶、立方晶、六方晶等の単結晶及び多結晶形等種々の形状をとることが出来るが、本発明における磁性結晶相の平均粒径は、これらの結晶形を球状と仮定した時の平均粒径である。本発明の磁性結晶相の平均粒径は1〜50nmであり、好ましくは2〜25nmである。本発明の磁性ゼオライト粒子中の磁性結晶相の平均粒径は、特性X線分析装置(EDX)を備えた走査型電子顕微鏡(SEM)、例えば(株)堀場製作所製のエネルギー分散型X線分析装置EMAX ENERGY EX−250を用いて磁性ゼオライト粒子中の磁性結晶相の磁性成分元素、例えばFe、Pd、Pt、Co等の特性X線反射画像中の磁性結晶相の計測により求めることが出来る。具体的には、画像処理ソフト、例えば、三谷商事(株)製画像処理ソフトWinROOF等を用いて上記X線反射画像中に存在する全ての磁性結晶相の周長を求め、結晶相の形状が2次元画像中で円形であると仮定した時の平均直径として求めることが出来る。
本発明の磁性ゼオライト粒子中に分散して存在する磁性結晶相の割合は、磁性ゼオライト粒子の質量の0.5%〜95%の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜80%の範囲である。
本発明の磁性ゼオライト粒子は平均粒径が1〜50nmの磁性微粒子の存在下でゼオライト前駆体を加熱、熟成することにより製造される。
本発明の磁性ゼオライト粒子の製造に用いられるゼオライト前駆体は、ゼオライトを構成する成分元素を含む珪素やアルミニウムの化合物と塩基性化合物の混合水溶液あるいは分散液であり、加熱、熟成することによりゼオライトを形成する混合物を指す。具体的には珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム等の水溶性珪素化合物、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム等の水溶性アルミニウム化合物、シリカゾル、アルミナゾル、カオリン(AlSiO(OH))、金属アルミニウムワイア等のゼオライトを構成する成分元素を含む化合物と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド等の塩基性化合物との混合物が挙げられる。尚、ゼオライト前駆体の調製は、磁性微粒子分散液の存在下でゼオライト前駆体を加熱、熟成する直前、望ましくは加熱、熟成を開始するまでの3時間以内に行うことが好ましい。
本発明の磁性ゼオライト粒子の製造に用いられる磁性微粒子の製造方法としては、粉砕法、蒸着法、共沈法等種々の方法を用いることが出来るが、好ましくは共沈法により製造した磁性微粒子分散液を用いる方法である。これにより磁性微粒子が凝集することなく磁性結晶相が分散した磁性ゼオライト粒子を簡便に製造することが出来るという利点がある。磁性微粒子分散液の製造方法は公知の方法を用いることが出来、例えばフェライトを含有する微粒子分散液の製造方法については特開平10−4006号公報、特開2002−128523号公報等に記載されている。また、磁性微粒子分散液は、例えば、特開2007−216134号公報に記載の界面活性剤やポリマー等の分散安定剤を含有していても良い。
本発明の磁性ゼオライト粒子の製造方法に用いられる磁性微粒子の平均粒径は1〜50nmの範囲のものを用いることが出来るが、より好ましい磁性微粒子の平均粒径は2〜25nmの範囲であり、磁性微粒子の平均粒径はレーザー散乱粒度分布計、例えば(株)堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−500を用いて求めることが出来る。
本発明の磁性ゼオライト粒子の製造方法における、磁性微粒子の存在下とは、ゼオライト前駆体を加熱、熟成して、ゼオライトが形成されるまでの任意の時期に磁性微粒子をゼオライト前駆体と接触させることを意味するが、ゼオライト前駆体の加熱、熟成前に磁性微粒子をゼオライト前駆体に加えることが好ましい。
ゼオライト前駆体の加熱温度は50℃以上であることが好ましく、より好ましくは60℃以上であり、上限は300℃であることが好ましい。また、本発明における熟成とは、前記した温度で少なくとも1時間以上保つことを意味する。反応終了後、室温まで冷却した後、磁性ゼオライト粒子の沈殿物はフィルター等によりろ過し、蒸留水でろ液のpHが中性になるまで沈殿物の水洗を行うことが好ましい。水洗後、脱水、乾燥することにより本発明の磁性ゼオライト粒子の粉末を得ることが出来る。本発明の磁性ゼオライト粒子の粉末は、更に、反応中に生じた結晶水や有機物等を除く目的で、必要に応じて100〜800℃の温度に加熱することが出来る。
本発明の磁性ゼオライト粒子の製造には、製造方法、製造条件、製造するゼオライトの種類等に応じて適当な反応容器を用いることが出来、例えば、硬質ガラス、磁器、ステンレス、ポリプロピレン等のプラスチック容器、フッ素樹脂コートした金属容器等を用い、恒温槽、オイルバス、マントルヒーター等の適当な加熱装置を用いて加熱、熟成される。また必要に応じて還流器や、オートクレーブ等の装置を用いることも出来る。
本発明の磁性ゼオライト粒子の磁気特性は、磁性ゼオライト粒子の粉末を試料振動型磁力計、例えば東英工業(株)製の試料振動式磁力計VSM−P7−15型を用いて飽和磁化を測定することにより調べることが出来、単位質量あたりの飽和磁化の大きさにより評価することが出来る。
本発明の磁性ゼオライト粒子の環境汚染物質に対する磁気分離特性の評価方法として、例えば、磁性ゼオライト粒子を一定量の重金属、ホウ素化合物、染料等の環境汚染物質を含有したモデル廃液中に分散して磁性ゼオライトに環境汚染物質を吸着させ、この分散液に永久磁石や超伝導磁石等の外部磁界を作用させることにより磁気分離操作を行い、操作前後の環境汚染物質濃度の変化量や、変化速度を測定することにより評価することが出来る。
タンパク質、DNA、RNA、細胞等の生体関連物質の磁気分離についても、環境汚染物質の磁気分離と同様、外部磁界を作用させることにより分離、精製、濃縮等を行うことが出来るが、目的とする生体関連物質の種類や用途に応じて、磁気分離に先立って試料の前処理、後処理等の手段を用いることが一般的である。例えば、DNAの磁気分離の方法とその前処理、後処理方法については、特開2005−118041号公報や特開2008−220260号公報にはDNA抽出キット「MagNA Pure LC DNA Isolation Kit I(登録商標)」(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)等を用いて、血液等の細胞中からDNAを磁気分離により抽出する方法が記載されている。上記キットを用いるDNAの磁気分離方法は概略すると、(1)細胞からのDNA抽出に先立って、細胞のタンパク質をProtenaseの様なタンパク質分解酵素やグアニジウムの様な水の構造秩序を破壊するカオトロピック剤の作用により、水に難溶性なタンパク質を可溶化すると共に、極性物質であるDNAを極性溶媒である水溶液中から排除し、疎水性の磁性ゼオライト表面に吸着させる前処理工程。(2)外部磁場を与えてDNAが吸着した磁性ゼオライトを磁気分離する工程。(3)DNAの洗浄液及び、溶出液を用いてDNAを磁性ゼオライトから分離、溶出する後処理工程の3段階から成り立っており、具体的な操作の一例については後述の実施例で示す。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。尚、%は質量基準である。
実施例1
(磁性微粒子分散液(1)の製造)
蒸留水100mLが50℃に温調され、攪拌羽により1000rpmで攪拌されている、表面をフッ素樹脂で被覆したステンレスの反応容器中に、下記A1液及びB1液をそれぞれ、2mL/分の流速で50分間添加し、磁性微粒子としてマグネタイトを含有する分散液(1)300mLを得た。
A1液
塩化第二鉄水和物Fe(III)Cl・6HO 8.10g
塩化第一鉄Fe(II)Cl・4HO 2.98g
蒸留水を加えて全量 100mL
B1液
25%水酸化アンモニウム水溶液 100mL
上記分散液(1)の粒度分布を(株)堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−500を用いて測定したところ、磁性微粒子の平均粒径は9.7nmであった。
(ゼオライト前駆体(1)の製造)
下記のC1液及びD1液を調製し、両液を室温で混ぜ合わせてゼオライト前駆体(1)を製造した。
C1液
アルミン酸ナトリウム三水和物NaAl・3HO 4.13g
水酸化ナトリウム 0.18g
蒸留水を加えて 20mL
D1液
メタ珪酸ナトリウム五水和物NaSiO・5HO 7.75g
水酸化ナトリウム 0.18g
蒸留水を加えて 20mL
(磁性ゼオライト粒子(1)の製造)
分散液(1)300mLが50℃に温調され、攪拌羽により1000rpmで攪拌されている反応容器内に上記ゼオライト前駆体(1)を添加し、30分間で反応容器内の温度を50℃から90℃まで昇温し、90℃で4時間加熱、熟成し、本発明の磁性ゼオライト粒子の沈殿物(1)を得た。磁性ゼオライト粒子の沈殿物(1)を室温まで冷却した後、沈殿物を東洋濾紙(株)製ペーパーフィルターNo.28(保留粒子径1μm)でろ過し、ろ液のpHが6.0〜8.0になるまで沈殿物を蒸留水で水洗した後、沈殿物を100℃で6時間乾燥し、その後グラインダーで分散し、更に120℃で6時間乾燥して本発明の磁性ゼオライト粒子(1)30.3gを得た。この収量は仕込み量から予想される収量の100%に相当し、且つ、ろ液に含まれる鉄、アルミニウム及びケイ素原子の量を原子吸光分析法により測定したところ、有意な量の原子は検出されなかったことから、本発明の磁性ゼオライト粒子(1)は収率100%で製造されたと考えることが出来る。また、本発明の磁性ゼオライト粒子(1)の磁性成分であるマグネタイトが磁性ゼオライト粒子(1)に占める質量比は34.3%であった。
本発明の磁性ゼオライト粒子(1)の粉末のX線回折を(株)リガク製X線回折装置MiniFlexを用いて測定した。得られた回折パターンはゼオライトA(Na12[(AlO12(SiO12]・27HO)の典型的な回折パターンを示すと同時にマグネタイト(Fe)の回折パターンを示した。また、本発明の磁性ゼオライト粒子(1)の単位質量あたりの飽和磁化を東英工業(株)製の試料振動式磁力計VSM−P7−15型を用いて測定したところ、飽和磁化として37.5emu/gを得た。
(株)堀場製作所製のエネルギー分散型X線分析装置EMAX ENERGY EX−250を用いて本発明の磁性ゼオライト粒子(1)のマグネタイト(Fe)の磁性結晶相から生じるFeの特性X線反射画像を撮影した。結果を図1に示す。図1は磁性ゼオライト粒子表面の一部を拡大したFeの特性X線反射画像である。図1において磁性結晶相に由来するFeの特性X線反射部分が多数の白色画像で示される。三谷商事(株)製画像処理ソフトWinROOFを用いて、図1の画像処理を行い、白色画像が円であると仮定した時の図1中に含まれる全ての白色画像の平均直径として径約10nmを得た。このことから、平均粒径約10nmの磁性結晶相が磁性ゼオライト粒子中に分散して存在していると言える。また、(株)島津製作所製の回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて本発明の磁性ゼオライト粒子(1)の平均粒径を求めたところ、27μmであった。
実施例2
(磁性ゼオライト粒子(2)の製造)
実施例1のゼオライト前駆体(1)の代わりに下記C2液、D2液を調製して製造されたゼオライト前駆体(2)を用いる以外は実施例1と同様にして、磁性ゼオライト粒子(2)16.9gを得た。この収量は仕込み量から予想される収量の100%に相当し、且つ、ろ液に含まれる鉄、アルミニウム及びケイ素原子の量を原子吸光分析法により測定したが、有意な量の原子は検出されなかったことから、本発明の磁性ゼオライト(2)は収率100%で製造されたと考えることが出来る。本発明の磁性ゼオライト粒子(2)の磁性成分であるマグネタイトが磁性ゼオライト粒子(2)に占める質量比は20.6%であった。
C2液
アルミン酸ナトリウム三水和物NaAl・3HO 8.26g
水酸化ナトリウム 0.36g
蒸留水を加えて 40mL
D2液
メタ珪酸ナトリウム五水和物NaSiO・5HO 15.50g
水酸化ナトリウム 0.36g
蒸留水を加えて 40mL
本発明の磁性ゼオライト粒子(2)の粉末のX線回折を(株)リガク製X線回折装置MiniFlexを用いて測定した。得られた回折パターンはゼオライトA(Na12[(AlO12(SiO12]・27HO)の典型的な回折パターンを示すと同時にマグネタイト(Fe)の回折パターンを示した。また、本発明の磁性ゼオライト粒子(1)の単位質量あたりの飽和磁化を東英工業(株)製の試料振動式磁力計VSM−P7−15型を用いて測定したところ、飽和磁化として18.7emu/gを得た。
(株)堀場製作所製のエネルギー分散型X線分析装置EMAX ENERGY EX−250を用いて実施例1と同様に本発明の磁性ゼオライト粒子(2)のFeの特性X線反射を撮影し、三谷商事(株)製画像処理ソフトWinROOFを用いて画像処理することにより、平均径約10nmの磁性結晶相が磁性ゼオライト粒子中に分散して存在していることを確認した。また、(株)島津製作所製の回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて本発明の磁性ゼオライト粒子(2)の平均粒径を求めたところ、29μmであった。
実施例3
(磁性ゼオライト粒子(3)の製造)
実施例1のゼオライト前駆体(1)の代わりに下記C3液、D3液を調製して製造されたゼオライト前駆体(3)を用いる以外は実施例1と同様にして、磁性ゼオライト粒子(3)10.1gを得た。この収量は仕込み量から予想される収量の100%に相当し、且つ、ろ液に含まれる鉄、アルミニウム及びケイ素原子の量を原子吸光分析法により測定したが、有意な量の原子は検出されなかったことから、本発明の磁性ゼオライト(3)は収率100%で製造されたと考えることが出来る。本発明の磁性ゼオライト粒子(3)の磁性成分であるマグネタイトが磁性ゼオライト粒子(3)に占める質量比は11.5%であった。
C3液
アルミン酸ナトリウム三水和物NaAl・3HO 16.52g
水酸化ナトリウム 0.72g
蒸留水を加えて 80mL
D3液
メタ珪酸ナトリウム五水和物NaSiO・5HO 31.00g
水酸化ナトリウム 0.72g
蒸留水を加えて 80mL
本発明の磁性ゼオライト粒子(3)の粉末のX線回折を(株)リガク製X線回折装置MiniFlexを用いて測定した。得られた回折パターンはゼオライトA(Na12[(AlO12(SiO12]・27HO)の典型的な回折パターンを示すと同時にマグネタイト(Fe)の回折パターンを示した。また、本発明の磁性ゼオライト粒子(1)の単位質量あたりの飽和磁化を東英工業(株)製の試料振動式磁力計VSM−P7−15型を用いて測定したところ、飽和磁化として9.3emu/gを得た。
(株)堀場製作所製のエネルギー分散型X線分析装置EMAX ENERGY EX−250を用いて実施例1と同様に本発明の磁性ゼオライト粒子(3)のFeの特性X線反射を撮影し、三谷商事(株)製画像処理ソフトWinROOFを用いて画像処理することにより、平均径約10nmの磁性結晶相が磁性ゼオライト粒子中に分散して存在していることを確認した。また、(株)島津製作所製の回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて本発明の磁性ゼオライト粒子(3)の平均粒径を求めたところ、25μmであった。
実施例4
(磁性微粒子分散液(2)の製造)
蒸留水200mLが30℃に温調され、攪拌羽により1000rpmで攪拌されている、表面をフッ素樹脂で被覆したステンレスの反応容器中に、下記A2液及びB2液をそれぞれ、5mL/分の流速で40分間添加し、磁性微粒子としてマグネタイトを含有する分散液(2)400mLを得た。
A2液
塩化第二鉄水和物Fe(III)Cl・6HO 17.72g
塩化第一鉄Fe(II)Cl・4HO 6.52g
蒸留水を加えて全量 200mL
B2液
25%水酸化アンモニウム水溶液 200mL
上記分散液(2)の粒度分布を(株)堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−500を用いて測定したところ、磁性微粒子の平均粒径は16nmであった。
(ゼオライト前駆体(4)の製造)
攪拌羽と還流装置を備えた三口フラスコに下記C4液を入れ、完全に溶解するまで100℃で還流を行った後、アルミン酸ナトリウム(粉末)5.68gを加えてゼオライト前駆体(4)を得た。
C4液
水酸化カリウム 11.45g
水ガラス(8.9%NaO、28.7%SiO) 103.38g
蒸留水を加えて 200mL
分散液(2)500mLが30℃に温調され、攪拌羽により1000rpmで攪拌されている反応容器内に、上記のゼオライト前駆体(4)を添加し、30分間で反応容器内の温度を30℃から100℃まで昇温し、100℃で8時間加熱、熟成し、本発明の磁性ゼオライト沈殿物(4)を得た。磁性ゼオライトの沈殿物(4)を室温まで冷却した後、沈殿物を東洋濾紙(株)製ペーパーフィルターNo.28(保留粒子径1μm)でろ過し、沈殿物をろ液のpHが8以下になるまで蒸留水で水洗した後、沈殿物を100℃で6時間乾燥後、グラインダーで分散し、更に120℃で6時間乾燥して本発明の磁性ゼオライト粒子(4)33.1gを得た。この収量は仕込み量から予想される収量の100%に相当し、且つ、ろ液に含まれる鉄、アルミニウム及びケイ素原子の量を原子吸光分析法により測定したが、有意な量の原子は検出されなかったことから、本発明の磁性ゼオライト(4)は収率100%で製造されたと考えることが出来る。本発明の磁性ゼオライト粒子(4)の磁性成分であるマグネタイトが磁性ゼオライト粒子(4)に占める質量比は23.0%であった。
本発明の磁性ゼオライト粒子(4)の粉末のX線回折を(株)リガク製X線回折装置MiniFlexを用いて測定した。得られた回折パターンはフィリップサイト(K3.1Na0.9[AlSi1232]・16HO)の典型的な回折パターンを示すと同時にマグネタイト(Fe)の回折パターンを示した。また、本発明の磁性ゼオライト粒子(1)の単位質量あたりの飽和磁化を東英工業(株)製の試料振動式磁力計VSM−P7−15型を用いて測定したところ、飽和磁化として21.6emu/gを得た。
(株)堀場製作所製のエネルギー分散型X線分析装置EMAX ENERGY EX−250を用いて実施例1と同様に本発明の磁性ゼオライト粒子(4)のFeの特性X線反射を撮影し、三谷商事(株)製画像処理ソフトWinROOFを用いて画像処理することにより、平均径約20nmの磁性結晶相が磁性ゼオライト粒子中に分散して存在していることを確認した。また、(株)島津製作所製の回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて本発明の磁性ゼオライト粒子(4)の平均粒径を求めたところ、4.5μmであった。
(比較例1)
蒸留水200mLが50℃に温調され、攪拌羽により1000rpmで攪拌されている、表面をフッ素樹脂で被覆したステンレスの反応容器内に、市販のゼオライト粒子(シグマアルドリッチ(株)製ゼオライトA、平均粒径20μm)20gを添加した後、下記E1液及びF1液をそれぞれ、2mL/分の流速で50分間添加し分散液(5)を得た。上記分散液(5)を室温まで冷却した後、ガラスビーカーに移し、ビーカー下面に永久磁石を当てて磁性沈殿物を凝集させ、上澄みをデカンテーションした後、200mLの蒸留水で3回水洗、デカンテーションした後、200mLの蒸留水を加え、ビーカーから磁石を外して攪拌した沈殿物分散液を、東洋濾紙(株)製ペーパーフィルターNo.28(保留粒子径1μm)でろ過し、沈殿物をろ液のpHが8以下になるまで蒸留水で水洗した後、沈殿物を100℃で6時間乾燥し、その後グラインダーで分散し、更に100℃で12時間乾燥して比較の磁性ゼオライト粒子(5)6.8gを得た。100%収率で製造されたと仮定した時の収量が26.96gであることから、比較の磁性ゼオライト粒子(5)の収率は、24.8%である。また、原子吸光法により求めたデカンテーション後の上澄み液、水洗液、及びフィルターろ過後のろ液の総量中に排出されたFe濃度から、比較の磁性ゼオライト粒子(1)中のマグネタイト(Fe)の比率は8.8%と求められた。
E1液
塩化第二鉄水和物Fe(III)Cl・6HO 16.20g
塩化第一鉄Fe(II)Cl・4HO 3.96g
蒸留水を加えて全量 200mL
F1液
25%水酸化アンモニウム水溶液 200mL
比較の磁性ゼオライト粒子(5)の粉末のX線回折を(株)リガク製X線回折装置MiniFlexを用いて測定した。得られた回折パターンはゼオライトA(Na12[(AlO12(SiO12]・27HO)の典型的な回折パターンを示すと同時にマグネタイト(Fe)の回折パターンを示した。また、比較の磁性ゼオライト粒子(5)の単位質量あたりの飽和磁化を東英工業(株)製の試料振動式磁力計VSM−P7−15型を用いて測定したところ、飽和磁化として4.3emu/gを得た。
(株)堀場製作所製のエネルギー分散型X線分析装置EMAX ENERGY EX−250を用いて実施例1と同様に比較の磁性ゼオライト粒子(5)のFeの特性X線反射を撮影した。結果を図2に示す。図2は比較の磁性ゼオライト粒子表面の一部を拡大したFeの特性X線反射画像である。三谷商事(株)製画像処理ソフトWinROOFを用いて、図2の画像処理を行い、白色画像が円であると仮定した時の図2中に含まれる全ての白色画像の平均直径として約0.25μmを得た。このことから、平均粒径約0.25μmの磁性粒子がゼオライト粒子表面に存在していると言える。また、(株)島津製作所製の回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて比較の磁性ゼオライト粒子(5)の平均粒径を求めたところ、24μmであった。
(比較例2)
比較例1において、磁性ゼオライト粒子20gを10gに変更した以外は比較例1と同様にして磁性ゼオライト粒子を製造し、比較の磁性ゼオライト粒子(6)4.3gを得た。100%収率で製造されたと仮定した時の収量16.96gであることから、比較の磁性ゼオライト粒子(6)の収率は、25.2%であった。また、原子吸光法により求めたデカンテーション後の上澄み液、水洗液、及びフィルターろ過後のろ液の総量中に排出されたFe濃度から、比較の磁性ゼオライト粒子(2)中のマグネタイト(Fe)の比率は16.7%と求められた。
比較の磁性ゼオライト粒子(6)の粉末のX線回折を(株)リガク製X線回折装置MiniFlexを用いて測定した。得られた回折パターンはゼオライトA(Na12[(AlO12(SiO12]・27HO)の典型的な回折パターンを示すと同時にマグネタイト(Fe)の回折パターンを示した。また、比較の磁性ゼオライト粒子(6)の単位質量あたりの飽和磁化を東英工業(株)製の試料振動式磁力計VSM−P7−15型を用いて測定したところ、飽和磁化として7.9emu/gを得た。
(株)堀場製作所製のエネルギー分散型X線分析装置EMAX ENERGY EX−250を用いて実施例1と同様に比較の磁性ゼオライト粒子(6)のFeの特性X線反射を撮影し、三谷商事(株)製画像処理ソフトWinROOFを用いて画像処理することにより、平均粒径約0.3μmの磁性粒子がゼオライト粒子表面に存在していることを確認した。また、(株)島津製作所製の回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて比較の磁性ゼオライト粒子(6)の平均粒径を求めたところ、26μmであった。
(比較例3)
比較例1において、ゼオライト粒子20gを5gに変更した以外は比較例1と同様にして磁性ゼオライト粒子を製造し、比較の磁性ゼオライト粒子(7)4.2gを得た。100%収率で製造されたと仮定した時の収量16.96gであることから、比較の磁性ゼオライト粒子(7)の収率は、35.1%であった。また、原子吸光法により求めたデカンテーション後の上澄み液、水洗液、及びフィルターろ過後のろ液の総量中に排出されたFe濃度から、比較の磁性ゼオライト粒子(7)中のマグネタイト(Fe)の比率は28.6%と求められた。
比較の磁性ゼオライト粒子(7)の粉末のX線回折を(株)リガク製X線回折装置MiniFlexを用いて測定した。得られた回折パターンはゼオライトA(Na12[(AlO12(SiO12]・27HO)の典型的な回折パターンを示すと同時にマグネタイト(Fe)の回折パターンを示した。また、比較の磁性ゼオライト粒子(7)の単位質量あたりの飽和磁化を東英工業(株)製の試料振動式磁力計VSM−P7−15型を用いて測定したところ、飽和磁化として16.3emu/gを得た。
(株)堀場製作所製のエネルギー分散型X線分析装置EMAX ENERGY EX−250を用いて比較例1と同様に比較の磁性ゼオライト粒子(7)のFeの特性X線反射を撮影し、三谷商事(株)製画像処理ソフトWinROOFを用いて画像処理することにより、平均粒径約0.35μmの磁性粒子がゼオライト粒子表面に存在していることを確認した。また、(株)島津製作所製の回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて比較の磁性ゼオライト粒子(7)の平均粒径を求めたところ、28μmであった。
(比較例4)
(磁性微粒子(8)の製造)
蒸留水400mLが30℃に温調され、攪拌羽により1000rpmで攪拌されている表面をフッ素樹脂で被覆したステンレスの反応容器内に、下記E2液及びF2液をそれぞれ、10mL/分の流速で40分間添加した後、G2液添加し、30分間で反応容器内の温度を30℃から80℃まで昇温し、80℃で1時間加熱、熟成した後、室温まで冷却し、内容物をガラスビーカーに移した後、ヘプタン100mLを加えて攪拌し、その後ビーカー下面に永久磁石を当てて磁性微粒子沈殿物を凝集させ、上澄み液を捨ててデカンテーションした。磁性沈殿物にアセトン100mLを加えて洗浄、デカンテーションを6回行った後、得られた沈殿固形物を100℃で6時間乾燥し、その後グラインダーで分散し、更に100℃で12時間乾燥し磁性微粒子(8)の粉末6.8gを得た。
E2液
塩化第二鉄水和物Fe(III)Cl・6HO 35.44g
塩化第一鉄Fe(II)Cl・4HO 13.04g
蒸留水を加えて全量 400mL
F2液
25%水酸化アンモニウム水溶液 400mL
G2液
オレイン酸 2g
25%水酸化アンモニウム水溶液 20mL
上記の磁性微粒子(8)を、下記のH2液を入れた4口フラスコに入れ、200rpmで1時間攪拌した後、I2液を加え、窒素雰囲気下で、70℃16時間重合を行い、磁性粒子を内包した磁性ポリマービーズ分散液を作製した。室温に冷却した後、ポリマービーズ分散液をガラスビーカーに移し、ビーカー下面に永久磁石を当てて磁性ポリマービーズ(8)を凝集させ、上澄み液を捨ててデカンテーションした後、100mLの蒸留水を加えて3回デカンテーションを繰り返し、磁性ポリマービーズ(8)33.4gを得た。
H2液
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5g
花王(株)製ノニオン乳化剤エマルゲン150 0.5g
メタクリル酸シクロヘキシル 15g
tert−ドデカンチオール 0.60g
tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサネート 0.75g
I2液
メタクリル酸 3.75g
エチレングリコールジメタクリレート 7.50g
蒸留水 100mL
(株)堀場製作所製のエネルギー分散型X線分析装置EMAX ENERGY EX−250を用いて実施例1と同様に比較の磁性ポリマービーズ(8)のFeの特性X線反射を撮影し、三谷商事(株)製画像処理ソフトWinROOFを用いて画像処理することにより、平均粒径約2μmの磁性粒子を内包した平均粒径約20nmの磁性ビーズであることが分かった。
上記磁性ポリマービーズ(8)にシグマアルドリッチ(株)製ゼオライトA(平均粒径2μm)10gを加え、(株)奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1を用いて、磁性ポリマービーズ(8)表面にゼオライトを結着させた比較の磁性ゼオライト粒子(8)を得た。上記の比較の磁性ゼオライト粒子(8)の走査顕微鏡画像を観察したところ、磁性ポリマービーズの表面に平均粒径2μmのゼオライト微粒子を有する平均粒径約24nmの粒子であることが分かった。
比較の磁性ゼオライト粒子(8)の単位質量あたりの飽和磁化を東英工業(株)製の試料振動式磁力計VSM−P7−15型を用いて測定したところ、飽和磁化として8.6emu/gを得た。
(磁気分離テスト1)
モデル廃液として色素溶液(メチレンブルー水溶液)を用い、本発明の磁性ゼオライト粒子(1)〜(3)及び比較の磁性ゼオライト粒子(5)〜(7)の色素の磁気分離効率による磁気分離性能の性能を行った。色素(1×10−5モル/Lのメチレンブルー)水溶液100mLを入れたメスフラスコ内に本発明の磁性ゼオライト粒子(1)〜(3)及び比較の磁性ゼオライト粒子(5)〜(7)10mgをそれぞれ加え、室温でメスフラスコを超音波洗浄器中に入れて1分間運転後、磁石をメスフラスコ底部に当てて磁性ゼオライトを集め、1分、10分及び60分の後、上澄み液の一部を石英セルに入れ、紫外、可視分光光度計を用いて、633nmのメチレンブルー吸光度を測定し、ブランクの吸光度との比較から磁性ゼオライトにより回収された色素の回収率を求めた。結果を表1に示す。
表1から、本発明の磁性ゼオライトは比較の磁性ゼオライトと比べ、速やかに色素を分離回収することが出来ることが分かった。
(磁気分離テスト2)
本発明の磁性ゼオライト粒子(4)及び比較の磁性ゼオライト粒子(8)のDNA磁気分離特性を調べるために、Roche社製DNA抽出キット「MagNA Pure LC DNA Isolation Kit I」を用いて馬血液100μLを2mLのマイクロチューブへ入れ、上記キットに付属したタンパク質分解酵素Protenase K溶液100μL及びLysis Binding Buffer(チオシアン化グアニジンとオクチルフェノールポリエチレングリコールエーテルの水溶液)300μLを添加した後、室温にて3分間振盪した。本発明の磁性ゼオライト粒子(4)及び比較の磁性ゼオライト粒子(8)のそれぞれ20mgを99.5%のイソプロピルアルコール150μLへ分散させて磁性ゼオライトの分散液を調製し、上記マイクロチューブへ分散液を分注して、室温にて8分間攪拌混合しDNAを磁性ゼオライト粒子へ吸着させた。その後、上記キット付属のWash Buufer I(エタノール850μL)で洗浄して磁気分離を行い固液分離した。次に、上記キット付属のWash Buufer II(チオシアン化グアニジンとオクチルフェノールポリエチレングリコールエーテルの水溶液)450μLで洗浄して磁気分離を行い固液分離した。Wash Buufer IIによる洗浄は2回繰り返し行った。磁性ゼオライト粒子からDNAを離脱させるためにDNAが吸着した磁性ゼオライト粒子を上記キットに付属のElution Buffer(100μL)に分散させ、室温で8分間攪拌混合した後、固液分離を行うことによりDNAを抽出した溶液を回収した。上記の工程において、固液分離操作を行う際には磁気分離法で行った。DNAを抽出した溶液の波長260nmの吸光度を測定することによりDNA抽出量を測定しDNAの磁気分離性能を評価したところ、比較の磁性ゼオライト粒子(8)が1.68μgであるのに対して本発明の磁性ゼオライト粒子(4)では2.26μgと高い磁気分離性能を示すことが分かった。

Claims (2)

  1. ゼオライト粒子中に平均粒径が1〜50nmの磁性結晶相が分散して存在する磁性ゼオライト粒子。
  2. 平均粒径が1〜50nmの磁性微粒子の存在下で、ゼオライト前駆体を加熱、熟成することを特徴とする磁性ゼオライト粒子の製造方法。
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