請求項1記載の発明は、コアと、このコアの周囲に設けられる導体配置部と、を備え、前記導体配置部は、コイルパターンと、そのコイルパターンに接続される調整パターンと、により構成され、前記コイルパターンは前記コアの外形周囲を巻回すように配置され、前記調整パターンは前記コアの外形周囲より離れて配置される調整部を有したことを特徴とするアンテナであって、簡易な構成により組み立てが可能で、かつアンテナ単体のインダクタンスの調整を行うことが可能なので、アンテナ単体が有するインダクタンスのバラツキが抑えられ、安定した特性が得られる。その結果、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。そして、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。
請求項2記載の発明は、前記導体配置部が、前記コアを挟んで、第1の配置部と、第2の配置部と、により構成され、前記コイルパターンは前記第1の配置部と前記第2の配置部とに分割されて設けられ、前記調整パターンは前記第1の配置部または前記第2の配置部のいずれか一方に設けられたことを特徴とする請求項1記載のアンテナであって、簡易な構成により組み立てが可能で、かつアンテナ単体のインダクタンスの調整を行うことが可能なので、アンテナ単体が有するインダクタンスのバラツキが抑えられ、安定した特性が得られる。その結果、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。そして、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。
請求項3記載の発明は、前記コアが、接着層を介して前記第1の配置部または前記第2の配置部と接したことを特徴とする請求項2記載のアンテナであって、これにより、アンテナが組み込まれる通信装置(例えば携帯端末)内にその破片や残渣が飛散し、通信装置に悪影響を与えないようにすることができる。
請求項4記載の発明は、前記コアが複数の小片により構成されたことを特徴とする請求項3記載のアンテナであって、これにより、当該アンテナの通信装置(例えば携帯端末)における貼付箇所がたとえ曲面を有していても、その曲面に沿って貼付され配置されることが可能となる。また、コアがバラバラになることを防ぎ、分割された各小片の一部が脱落し、アンテナが組み込まれる通信装置内に、コアから脱落したその小片や残渣が飛散するのを防ぐことができる。その結果、通信装置に悪影響を与えないようにすることができる。
請求項5記載の発明は、前記第1の配置部および第2の配置部にはそれぞれ、前記コイルパターンを構成する複数の分割パターンが設けられ、前記複数の分割パターンの各両端には相互接続端子が配置されたことを特徴とする請求項2記載のアンテナであって、これによりアンテナ単体のインダクタンスの調整を行うことが可能となるので、アンテナ単体が有するインダクタンスのバラツキが抑えられ、安定した特性が得られる。その結果、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。そして、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。
請求項6記載の発明は、前記コイルパターンの両端に外部接続端子を有し、前記外部接続端子が前記調整パターンと同じ側の配置部に設けられたことを特徴とする請求項5記載のアンテナであって、これにより、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置への組み込みが可能となる。
請求項7記載の発明は、前記外部接続端子が、前記第1の配置部および前記第2の配置部のうちいずれか一方の配置部に設けられ、他方の配置部の外形よりも外側に配置されたことを特徴とする請求項6記載のアンテナであって、これにより、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置への組み込みが可能となる。
請求項8記載の発明は、前記コイルパターンが、さらに、前記コアの外形周囲より離れて配置される突出部を有し、前記突出部が、前記第1の配置部または前記第2の配置部のうち、前記調整パターンと同じ配置部に設けられたことを特徴とする請求項6記載のアンテナであって、これにより、その突出部の一部を構成する突出部引き出しパターンもコイルパターンのインダクタンスの調整に寄与する。その結果、アンテナが小型であっても、コイルパターンのインダクタンスの調整マージンを十分に確保することができる。
請求項9記載の発明は、前記調整パターンが、前記コイルパターンより引き出されて配置される引き出しパターンと、前記引き出しパターンと接続される接続パターンと、により構成され、少なくとも前記接続パターンが前記調整部に配置され、前記引き出しパターンは、その一端が前記コイルパターンと接続され、他端が前記接続パターンに接続されたことを特徴とする請求項1記載のアンテナであって、これにより、アンテナが小型であっても、コイルパターンのインダクタンスの調整マージンを十分に確保することができる。
請求項10記載の発明は、前記引き出しパターンのいずれかに断線部を有したことを特徴とする請求項9記載のアンテナであって、これにより、アンテナ単体が有するインダクタンスのバラツキが抑えられ、安定した特性が得られる。その結果、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。そして、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。
請求項11記載の発明は、前記引き出しパターンと前記接続パターンとがなす交点のいずれかに断線部を有したことを特徴とする請求項9記載のアンテナであって、これにより、アンテナ単体が有するインダクタンスのバラツキが抑えられ、安定した特性が得られる。その結果、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。そして、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。
請求項12記載の発明は、前記コイルパターンが、さらに、前記コアの外形周囲より離れて配置される突出部を有し、前記接続パターンの一端が前記突出部と接続されたことを特徴とする請求項9記載のアンテナであって、これにより、その突出部の一部を構成する突出部引き出しパターンもコイルパターンのインダクタンスの調整に寄与する。その結果、アンテナが小型であっても、コイルパターンのインダクタンスの調整マージンを十分に確保することができる。
請求項13記載の発明は、前記引き出しパターンまたは前記突出部のいずれかに断線部を有したことを特徴とする請求項12記載のアンテナであって、これにより、アンテナ単体が有するインダクタンスのバラツキが抑えられ、安定した特性が得られる。その結果、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。そして、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。
請求項14記載の発明は、前記引き出しパターン又は前記突出部と前記接続パターンとがなす交点のいずれかに断線部を有したことを特徴とする請求項12記載のアンテナであって、これにより、アンテナ単体が有するインダクタンスのバラツキが抑えられ、安定した特性が得られる。その結果、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。そして、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。
請求項15記載の発明は、請求項1記載のアンテナと、金属体と、を備えたことを特徴とするアンテナ装置であって、これにより、アンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。そして、そのアンテナを搭載するアンテナ装置及び通信装置の共振周波数のバラツキを抑えることができる。
請求項16記載の発明は、前記アンテナが、前記金属体の一端部およびその一端部を含む面に近接または接触して配置され、前記金属体の一端部から前記コアの前記コイルパターンにおけるコイル軸方向の幅の範囲内で、前記コアの一端部を前記金属体の一端部の内外に配置することにより、少なくとも前記アンテナの一部が前記金属体の一端部およびその一端部を含む面に近接または接触して配置され、通信時の前記アンテナから離れる方向の磁力線と前記アンテナへ向う方向の磁力線との境界軸を前記金属体から離れる方向へ傾かせることを特徴とする請求項15記載のアンテナ装置であって、これにより、アンテナから発生する磁力線に傾きが生じるので、RF−IDやNFCなどのICカードやICタグなどの無線通信媒体との通信を、特に通信主面において幅広い範囲で良好におこなうことができる。
請求項17記載の発明は、前記コイルパターンの開口面を前記金属体の前記配置面に対して垂直としたことを特徴とする請求項16記載のアンテナ装置であって、RF−IDやNFCなどのICカードやICタグなどの無線通信媒体との通信を、特に通信主面において幅広い範囲で良好におこなうことができる。
請求項18記載の発明は、請求項15または請求項16記載のアンテナ装置を備え、前記金属体が前記アンテナに接続された回路基板であることを特徴とする通信装置であって、RF−IDやNFCなどのICカードやICタグなどの無線通信媒体との通信を、特に通信主面において幅広い範囲で良好におこなうことができる。それに加え、金属体を別途設ける必要が無いので、通信装置を小型化することができる。
図1は、本発明のアンテナが搭載された携帯端末の分解斜視図である。携帯端末1は、液晶パネル2、操作用のボタン3、筐体4および5(以後、便宜上、4を前面筐体、5を後面筐体と称する)、その中に収められる電子回路基板6、バッテリー7などにより構成されている。後面筐体5には、本発明の一実施例であるアンテナ8が粘着テープによる貼り付けやビスによる固定などにより搭載されている。なお、本実施例においてアンテナ8は、後面筐体5の上部周縁部に近接して配置されている。なお、本実施例では後面筐体5の平坦な部分に配置しているが、後面筐体5の曲面に沿って配置することも可能である。
アンテナ8の電子回路基板6との対向面には、電子回路基板6との接続を行うことによりアンテナ装置を形成するための外部接続端子8aおよび8bが設けられている。電子回路基板6とアンテナ8との接続は、ピンによる接触やコネクタ接続、導線のはんだ付けなどが考えられる。本実施例においては、電子回路基板6にアンテナ入出力用ピン9a、9bを備えている。一般的に知られているように、アンテナ入出力用ピン9aおよび9bは、整合回路および制御ICなどが配置された電子回路基板6上のアンテナ制御部10に接続されるものとする。そして、このアンテナ入出力用ピン9a、9bが、アンテナ8に設けられた外部接続端子8aおよび8bを両端部とするコイル部と接続されることにより、アンテナ装置が形成される。なお、後面筐体5と電子回路基板6の間にできる空間には、RF−ID用ICや整合回路の他、周波用アンテナ、カメラユニット、スピーカー、RFモジュールなどの部品が配置される。
図2は、本発明の実施例におけるアンテナの斜視図である。また、図3は、本発明の実施例におけるアンテナの分解斜視図である。さらに、図4は、本発明の実施例におけるアンテナの導体配置部およびそこに設けられたコイルパターンおよび調整パターンを示す図である。
図2に示すように、本実施例のアンテナ8は、フェライトなどにより形成されたコア11と、その周囲を包み込むように配置され、主に樹脂からなる支持体上にコイルパターンなどが形成された、導体配置部としてのフレキシブル基板12と、を備える。ここで言うコイルパターンとは、図示しないICカードやICタグなどの無線通信媒体と通信を行うための磁力線を発生させるものである。図2および図3において、コイルパターンの具体的な形状は図示されていないが、矢印を有する直線Sをコイル軸としたコイルパターンが形成されている。コイルパターンと、後ほど説明する調整パターンは、例えばフレキシブル基板12が有する、ポリイミドフィルムとカバーレイあるいはレジストという2つの樹脂層の間に形成される銅箔によって形成されるのが通常である。このコイルパターンを含む、フレキシブル基板12上に形成された導体パターンについては、後ほど図4において詳しく説明する。
実際には図3に示すように、フレキシブル基板12は、コア11を挟んで2つに分割された形となっている。本実施例においては便宜上、これら2つに分割されたフレキシブル基板12のうち、外部接続端子8a、8bを有する側を下側フレキシブル基板(第1の配置部)12aとし、そうでない側を上側フレキシブル基板(第2の配置部)12bとする。後により詳しく述べるが、これら下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとは半田により接合されている。本実施例においては、コイル軸Sと略平行なフレキシブル基板12の二辺において接合されている。また、「下側」「上側」は、図3において理解し易くするために便宜上付与しているもので、アンテナ8として機器に搭載する際には上下が逆になっても構わない。
なお、本実施例において、上側フレキシブル基板12bがコイル軸S方向に有する幅は、コア11がはみ出さないように設定されている。これは、特にコア11が割れやすいフェライトで構成されている場合、アンテナ8が組み込まれる通信装置(例えば図1における携帯端末1)内にその破片や残渣が飛散し、通信装置に悪影響を与えないようにするためである。
これら下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとの間にコア11を固定するために、本実施例においては接着層としての両面接着テープ13および14が用いられる。すなわち、両面接着テープ13はコア11と下側フレキシブル基板12aとの間に貼付され、両面接着テープ14はコア11と上側フレキシブル基板12bとの間に貼付される。
また、本実施例のコア11の下側フレキシブル基板12aまたは上側フレキシブル基板12bとの対向面のうち少なくとも一方の面には、図示していないが、あらかじめ数mmピッチのスリットが入っている。そして、先に述べたように、本実施例のコア11の下側フレキシブル基板12aまたは上側フレキシブル基板12bとの対向面には、両面接着テープ13または14が貼付されている。さらに、下側フレキシブル基板12aおよび上側フレキシブル基板12bは、最初から可とう性を有している。
よってアンテナ8は、図1に示す携帯端末1の後面筐体5に貼付される箇所がたとえ曲面を有していても、その曲面に沿って貼付され配置されることが可能となる。その結果、コア11は、先に述べたスリットにより少なくともその一部が分割され、複数の小片により構成された状態となる場合がある。もしコア11が単体のままであれば、この時点でコア11がバラバラになってしまう。それを防いでいるのが、コア11の下側フレキシブル基板12aまたは上側フレキシブル基板12bとの対向面に貼付される両面接着テープ13および14である。従って以上の構成により、図2および図3において、先に述べたスリットにより分割されたコア11の各小片の一部が脱落し、アンテナ8が組み込まれる通信装置(例えば図1における携帯端末1)内に脱落したその小片や残渣が飛散するのを防ぐことができる。その結果、通信装置に悪影響を与えないようにすることができる。
コア11のフレキシブル基板12への固定方法については、本実施例に示すように、コア11の両面への両面接着テープ13および14の貼付である必要は、必ずしもない。例えば上記の両面接着テープ13、14のいずれかのみによる固定方法が考えられる。また、コア11と各フレキシブル基板との間に両面接着テープを貼る代わりに、コイル軸Sと略直交し半田付けにより接合されていないフレキシブル基板12の二辺において、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12b同士を接着する方法も考えられる。この時、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとは、コア11の外縁よりもコイル軸S方向の外側に延ばす必要がある。そして、この部分の接着については、先ほどと同様に両面接着テープによるものの他に、接着剤を直接塗布する方法などがある。
なお、本実施例においては、下側フレキシブル基板12aの、コア11と対向しない面にも、両面接着テープ15が貼付されているが、これは先の図1において、アンテナ8本体を携帯端末1の後面筐体5に添付し固定するためのものである。
再び図3を用いて、本実施例の説明を行う。先ほど、フレキシブル基板12を構成する下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとは、コイル軸Sと略平行なフレキシブル基板12の二辺において、半田付けにより接合されている、と述べた。図3において、下側フレキシブル基板12aには、後ほど図4において図示する、コイルパターンが複数に分割された分割パターンの各両端の銅箔16aおよび16bを露出させ、半田付けによる接着を可能とするためのパターン露出部17aおよび17bが設けられている。これと同様に、上側フレキシブル基板12bにも、後ほど図4において図示する、コイルパターンが複数に分割された分割パターンの各両端の銅箔18aおよび18bを露出させ、半田付けによる接着を可能とするためのパターン露出部19aおよび19bが設けられている。
なお、本実施例ではさらに、フレキシブル基板12が組み立てられる前の状態において、上側フレキシブル基板12bのパターン露出部19aおよび19bにより露出された分割パターンの各両端の銅箔には、あらかじめ半田メッキ処理が施されている。また、下側フレキシブル基板12aに設けられるパターン露出部17a、17bにより露出された分割パターンの各両端の銅箔と、外部接続端子8a、8bの銅箔には、あらかじめ金メッキ処理が施されている。この金メッキ処理は、外部接続端子8a、8bが電子回路基板6上に設けられたアンテナ入出力用ピン9a、9bと接触する際の信頼性確保および腐食防止のため、必須のものである。このように、金メッキ処理や半田メッキ処理が施された状態であっても、本実施例においては、当該部分の銅箔が「露出している」と表現する。
このような構成を有するフレキシブル基板12は、位置合わせを行えば、銅箔16aと銅箔18a、銅箔16bと銅箔18bの各銅箔同士の位置がそれぞれ一致するよう設計されている。そしてその結果、ひとつのコイルパターンが形成されるようになっている。フレキシブル基板12に形成されたコイルパターンその他の導体パターンは、より具体的には図4に示すように形成されている。
図4(a)は、下側フレキシブル基板12aをコア11との当接面より見た図であり、図4(b)は、上側フレキシブル基板12bのいずれもコア11との当接面より見た図である。これらの図において、コイル軸Sの矢印方向は、図2および図3に示すフレキシブル基板12の斜視図において手前側となる。さらに、下側フレキシブル基板12aは、分割パターン21aの他に、外部接続端子8aおよび8bを有しているが、本実施例においては、これらの銅箔も、いわゆる「露出して」おり、半田メッキ処理が施されている。
下側フレキシブル基板12aには、ICカードやICタグなどの無線通信媒体と通信を行うためのコイルパターンの一部となる複数の分割パターン21aが、互いに平行に、かつコイル軸Sと交わるように形成されている。そして、上側フレキシブル基板12bには、やはりコイルパターンの一部となる複数の分割パターン21bが、互いに平行に、かつコイル軸Sと交わるように形成されている。これら複数の分割パターン21aおよび21bの各両端が、それぞれパターン露出部17aと17bおよびパターン露出部19aと19bにより、銅箔が「露出された」状態になっていることは、先ほどの図3において説明した通りである。
このように、下側フレキシブル基板12aおよび上側フレキシブル基板12bに形成された複数の分割パターンにより、どのようにコイルパターンが形成されるかについて、これより説明する。
コイルパターンはまず、下側フレキシブル基板12a上にある外部接続端子8aから、パターン露出部17aにより銅箔が露出されたランドjへと引き回される。フレキシブル基板12の組み立て前において、上側フレキシブル基板12b上を横断する複数の導体パターンと、下側フレキシブル基板12a上を横断する複数の導体パターンとは、それらの両端部の銅箔がパターン露出部17a、17b、19a、19bにより露出されている。従って、図2に示すフレキシブル基板12の組み立て後の状態において、図4のランドjは、上側フレキシブル基板12b上のパターン露出部19aにより銅箔が露出されたランドkと、半田により接合されている。
このランドkは、上側フレキシブル基板12b上において、パターン露出部17aとは反対側にあるパターン露出部19bにより銅箔が露出されたランドmと、導体パターンnによって接続されている。導体パターンnは、複数の分割パターン21bのうちの一本である。図2に示すフレキシブル基板12の組み立て時において、図3の分解斜視図を見ればわかるように、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとは、コア11を挟んで配置されている。従って、図4に示す導体パターンnは、コア11の上側フレキシブル基板12a側を横断する形となる。
ランドmは、下側フレキシブル基板12a上のパターン露出部17bにより銅箔が露出されたランドpと、半田により接合されている。そして、このランドpは、下側フレキシブル基板12a上のパターン露出部17aにより銅箔が露出されたランドqと、導体パターンrによって接続されている。導体パターンrは、複数の分割パターン21aのうちの一本である。先ほどの導体パターンnと同じ理由により、導体パターンrは、コア11の下側フレキシブル基板12a側を横断する形となる。
以上のような、コア11を挟んで分割された複数の導体パターン21aと21bとの半田接合が繰り返されることにより、下側フレキシブル基板12a上にある外部接続端子8aを出発した導体パターンは、コア11を周回した後、外部接続端子8bへと接続される。そして、コア11のコイル軸Sの周囲には、らせん状の導体パターンが形成される。このらせん状の導体パターンが、いわゆるコイルパターンであり、ICカードやICタグなどの無線通信媒体と通信を行うための磁力線を発生可能とする。コイルパターンにより発生される磁力線の様子については、後ほど図6以降において詳しく説明する。
ちなみに、本実施例のフレキシブル基板12に形成されている導体パターンは、らせん状のコイルパターンのみではない。図4(a)に示すように、最外縁部の片側に位置する分割パターンtに接続された、これより詳細に説明する調整パターンuが設けられている。この調整パターンuは、分割パターンtと片側端部が接続されている複数の引き出しパターンvを有する。そしてさらに、これら引き出しパターンvの、分割パターンtと接続していないもう片側の各端部と、分割パターンtの突出部yの一部を構成する突出部引き出しパターンzの突出側端部(点線で示されるコア11の外形の外側に位置する端部)とを結んで接続される接続パターンwと、を有する。
なお、本実施例において、この調整パターンuは、下側フレキシブル基板12a側にのみ設けられている。これに対して、図4(a)および(b)に示すコイルパターンを形成する複数の分割パターン21aおよび21bは、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bの両方に、分割されて設けられている。下側フレキシブル基板12aには、調整パターンuの他に、外部接続端子8aおよび8bも設けられており、上側フレキシブル基板12bよりも大きな外形を有する。そして、これらの調整パターンuの一部(すなわち、接続パターンw全てと引き出しパターンvの一部)と、分割パターンtの突出部yの一部と、外部接続端子8aおよび8bとは、点線で示すコア11および上側フレキシブル基板12bの外形よりも外側に配置されている。言い替えれば、これら調整パターンuの一部は、コア11および上側フレキシブル基板12bの外形周囲よりも離れて配置している、とも言える。
これにより、図2に示すアンテナ8の組み立て完了時において、外部接続端子8aおよび8bは、コア11および上側フレキシブル基板12bに覆い隠されることがないので、図1に示すように、その対向面に配置される電子回路基板6と接続可能となり、接続することによりアンテナ装置を構成することができる。
また、コア11および上側フレキシブル基板12bに覆われない調整パターンは、少なくとも接続パターンwを有している。そして、調整パターンを構成する複数の引き出しパターンvか、または分割パターンtの突出部yの一部を構成する突出部引き出しパターンzのいずれかを、トリミングなどにより断線させると、図2に示すアンテナ8の組み立て完了時において、そのインダクタンスを調整することができる。
アンテナ8のインダクタンスは、図1においてアンテナ8が整合回路その他のアンテナ制御部10を搭載する電子回路基板6と接続されてアンテナ装置となった時に、そのアンテナ装置の共振周波数を決める一因となるものである。そして、本実施例の構造を有するアンテナ8のインダクタンスは、図2〜図4に示すコア11のサイズのバラツキに大きく影響される。これは、コア11のサイズが異なると、アンテナ8の見かけの透磁率も異なるためである。
このように、アンテナ8のインダクタンスには個体差があるので、このアンテナ8を搭載したアンテナ装置の共振周波数にもバラツキが出る。この共振周波数を、通信規格で定められた中心周波数(例えばRF−IDであれば、13.56MHz)から所定の範囲内に調整することにより、高い確率と品質で無線通信を行うことができる。この時、アンテナ8単体でのインダクタンスのバラツキを小さくすれば(例えば±2%以内に抑えれば)、そのアンテナ8が搭載されたアンテナ装置の共振周波数の調整に必要な調整範囲を小さくすることができる。従って、アンテナ8のコア11のサイズのバラツキに起因するアンテナ8のインダクタンスのバラツキを抑えるために、コイルパターンの線路長を調整する。
アンテナ8のインダクタンスを調整するためのコイルパターンのトリミングは、図4における引き出しパターンvまたは突出部引き出しパターンzのうち、点線で示すコア11の外形よりも外側の部分で行われる。これらの部分は、コア11および上側フレキシブル基板12に覆い隠されることがないため、トリミング作業を容易に行うことができる。
例えば、図4の突出部引き出しパターンzのみ残し、引き出しパターンvは全て切断した場合と、突出部引き出しパターンzに隣接する引き出しパターンvのみ残し、他は全て切断した場合との、コア11の周囲に巻かれるコイルパターンの巻数の差分はcである。そして、その差分に相当する分だけアンテナ8のインダクタンスが変化する。
なお、図4において、コイルパターンを構成する分割パターンtには、コア11の外形よりも外側に位置する突出部yを必ずしも設ける必要はない。しかしながら、この突出部yがあれば、先にも説明したように、その突出部yの一部を構成する突出部引き出しパターンzもコイルパターンのインダクタンスの調整に寄与する。コイルパターンを構成する分割パターンtが、このコア11の外形よりも外側に位置する突出部yを有することで、図2に示すアンテナ8が小型であっても、コイルパターンのインダクタンスの調整マージンを十分に確保することができる。そして図4の突出部yは、調整パターンuと共にコイルパターンのインダクタンスの調整に寄与する部分であるので、調整パターンuと同じ側のフレキシブル基板になくてはならない。本実施例の場合、突出部yは、調整パターンuと共に、下側フレキシブル基板12aに設けられている。
図5は、本発明の実施例におけるアンテナの製造工程の例を示す図である。この製造工程については、図3に示す分解斜視図を併用して説明を行う。
既に述べたように、図3に示すコア11の下側フレキシブル基板12aまたは上側フレキシブル基板12bとの対向面のうち少なくとも一方の面には、図示していないが、あらかじめ数mmピッチのスリットが入っている。このスリットは、コア11の作成時において、焼成工程の前に入れられたものである。この焼成工程の前段階においては、焼成後もコア11がスリットの部分で容易に割れない程度にスリットを入れる。
このように焼成工程が終了しスリットが設けられたコア11に対して、その下側フレキシブル基板12aまたは上側フレキシブル基板12bと対向することになる面に、両面接着テープ13または14を貼付する(図5のステップS1)。本実施例においてはコア11の両面に両面接着テープ13または14を貼付する。
周知の通り、両面接着テープ13および14は、取扱いを容易にするために、それらの片面が支持フィルムに支持された状態となっている。当然のことながら、図5のステップS1において、図3に示すコア11の両面に両面接着テープを貼った状態においては、これらの支持フィルムはいずれも残されている。この状態において、コア11の、両面接着テープ13または14が貼付された面のいずれかを、例えばローラなどにより押圧する(図5のステップS2)。
するとコア11は、スリットにより少なくともその一部が分割され、複数の小片により構成された状態となる。それでも、コア11の両面には両面接着テープ13および14が貼付されているので、コア11がバラバラになることはない。そして、このような状態となったコア11は、図1に示す携帯端末1の後面筐体5において、アンテナ8の貼付される箇所がたとえ曲面を有していても、その曲面に沿って貼付され配置されることを可能にする。
また、アンテナ8の組み立て時や、携帯端末1(図1参照)などへの実装時においても、作業者が意図しない応力がコア11に加わることがある。この時にも、スリットにより分割されたコア11の各小片の一部が脱落し、アンテナ8が組み込まれる通信装置(例えば図1における携帯端末1)内に脱落したその小片や残渣が飛散するのを防ぐことができる。そして、通信装置に悪影響を与えないようにすることができる。
さらに、先に述べた図3に示す両面接着テープ13および14の支持フィルムは、ローラの押圧時において、両面接着テープ13および14が、ローラや、それと対向する作業台に貼り付くことを防ぐ。
なお、下側フレキシブル基板12aの、コア11を配置しない側に貼付される両面接着テープ15は、この後に述べる上側フレキシブル基板12bの配置と位置合わせおよび下側フレキシブル基板12aとの半田接合が完了した後に行う。これは、両面接着テープ15が半田接合時にかかる熱に耐えられないからである。
以上のように、ある程度の折り曲げが可能となったコア11を、下側フレキシブル基板12aに配置する(図5のステップS3)。その際、コア11の下側フレキシブル基板12aとの対向面に貼付された両面接着テープ13の支持フィルムを剥がしてから、下側フレキシブル基板12aに配置する。コア11を配置する箇所は、図4(a)において点線により示す部分の内側である。
こうして図3に示すコア11を下側フレキシブル基板12aに配置した後、今度は上側フレキシブル基板12bを、コア11の上側から配置する。この時も、コア11の上側フレキシブル基板12bとの対向面に貼付された両面接着テープ14の支持フィルムを剥がしてから、上側フレキシブル基板12bを配置する。上側フレキシブル基板12bは、コア11が図4(b)に示す点線の内側に配置されるよう、位置合わせを行う(図5のステップS4)。
この、コア11が配置された下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとの位置合わせについては、いくつかの方法がある。例えば、本実施例の図面には図示していないが、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bの外縁にあらかじめ位置合わせ用ピンの穴やマーカーを設けておき、その穴やマーカーを用いて位置合わせを行う。そして、後ほど述べる下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとの半田接合を行ってから、不要となった穴部分やマーカー部分を切除してもよい。これにより、パターン露出部17aと19aおよびパターン露出部17bと19bとの位置合わせが容易となり、ICカードやICタグなどの無線通信媒体と通信を行うためのコイルパターンが形成されたフレキシブル基板12をより確実に組み立てることができる。
このように位置合わせを行った後、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとの半田接合を行う(図5のステップS5)。ここで、上側フレキシブル基板12bのパターン露出部19aおよび19bにより露出された分割パターンの各両端の銅箔と、下側フレキシブル基板12aのパターン露出部17a、17bにより露出された分割パターンの各両端の銅箔との位置は一致している。すなわち、図3において、銅箔16aと銅箔18a、銅箔16bと銅箔18bの各銅箔同士の位置がそれぞれ一致し、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとの半田接合を行えば、ひとつのコイルパターンが形成されるようになっている。
半田接合は、パターン露出部17aと19aとが重なった部分およびパターン露出部17bと19bとが重なった部分を加熱することにより行う。先ほど述べたように、上側フレキシブル基板12bのパターン露出部19aおよび19bにより露出された分割パターンの各両端の銅箔18aおよび18bには、あらかじめ半田メッキ処理が施されている。また、下側フレキシブル基板12aに設けられるパターン露出部17a、17bにより露出された分割パターンの各両端の銅箔16aおよび16bには、あらかじめ金メッキ処理が施されている。従って、当該部分を加熱すれば、上側フレキシブル基板12bの銅箔18aおよび18bにメッキされた半田が溶融し、下側フレキシブル基板12aの銅箔16aおよび16bとの接合が行われる。
なお、両面接着テープ13および14は熱に弱いので、これらに熱が加わらないよう、パターン露出部17aと19aとが重なった部分およびパターン露出部17bと19bとが重なった部分のみを加熱する。そして、この半田接合のための加熱装置は、半田が溶融し、上側フレキシブル基板12bの銅箔18aおよび18bと下側フレキシブル基板12aの銅箔16aおよび16bとの接合が行われ、半田が冷却し固化した後に、フレキシブル基板12から引き上げるとよい。このように、局所的かつ迅速で細かい温度制御を要する加熱方法としては、例えばパルスヒート接合などが好適である。
ただし、上側フレキシブル基板12bのパターン露出部19aおよび19bに施された半田メッキ処理による半田のみでは、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとの接合を行うには不足することがある。その場合には、下側フレキシブル基板12aのパターン露出部17aおよび17bの分割パターン21aの各両端部か、上側フレキシブル基板12b上の分割パターン21bの各両端部のいずれかに半田クリーム層を形成してもよい。
なお、以上に述べた半田接合の代わりに、ACF(異方性導電フィルム)を用いてもよい。すなわち、上記図5のステップS4の前に、図3に示す下側フレキシブル基板12aのパターン露出部17aおよび17bか、上側フレキシブル基板12bのパターン露出部19aおよび19bのいずれかにACFを貼付しておく。この場合には、上記図5のステップS5、すなわち半田接合の工程は不要となる。
最後に、両面接着テープ15を、下側フレキシブル基板12aの、コア11を配置しない側に貼付する(図5のステップS6)。これは、先ほども述べたように、両面接着テープ15が半田接合時にかかる熱に耐えられないためである。周知の通り、両面接着テープ15は、取扱いを容易にするために、それらの片面が支持フィルムに支持された状態となっている。当然のことながら、図5のステップS6において、図3に示すアンテナ8の下側フレキシブル基板12aに両面接着テープ15を貼った状態においては、その支持フィルムは残されている。この支持フィルムは、例えば図1に示すように、上記の工程を経て完成したアンテナ8を携帯端末1に実装する前に剥がされる。
以上に述べたような工程を用いることにより、図2に示すアンテナ8が、極めて簡易かつ高精度に組み立てられる。図3および図5を用いて示したように、コア11の両平面にあらかじめ両面接着テープを貼付し、フレキシブル基板12との位置合わせを行ってから半田付けを行う構成としているため、万一、コアの位置合わせが失敗しても、半田付けを行う前に位置合わせをやり直すことが可能である。このことにより、図2に示すアンテナ8の組み立て不良率を低減することができる。
また、図2においてフレキシブル基板12に形成されるコイルパターンが、その両端に有する外部接続端子8aおよび8bは、図4(a)に示すように、調整パターンuと同じ下側フレキシブル基板12aに設けられている。これにより、上側フレキシブル基板12bのコイル軸S方向の幅は、コア11と略同一またはそれよりも若干長く設定され、上側フレキシブル基板12bの大きさを、下側フレキシブル基板12aよりも確実に小さくすることができる。このことにより、図2に示すアンテナ8を組み立てる際に、上側フレキシブル基板12bの位置合わせを容易に行うことが可能となる。
図6は、図1に示す携帯端末1に搭載された電子回路基板6およびアンテナ8により形成されるアンテナ装置、およびそのアンテナ装置から発生する磁力線を示す概念図である。また、図7は、従来例におけるアンテナ装置、およびそのアンテナ装置から発生する磁力線を示す概念図であり、図6の本実施例におけるアンテナ装置との比較のために示すものである。図示していないが、図7のアンテナ101は、先の特許文献1に示すように、電子回路基板6との対向面とは反対側の面上に、渦巻状に形成されたアンテナコイルを備える。
図6に示すように、本実施例におけるアンテナ装置は、コイル部を備えるアンテナ8と、アンテナ8に近接して配置された電子回路基板6とを備える。一般に知られているように、電子回路基板6の表面または内部には、そこに実装される各回路部品の端子同士を接続する配線パターンが設けられている。今日の回路の集積化による小型化に伴い、電子回路基板6は複数の配線層を有することが殆どである。従って、各回路部品に供給される電源ラインやGND(接地)ラインは、先に述べた配線パターンとは別の配線層として設けられることが多い。当然のことながら、これらの配線パターン、電源ラインおよびGNDラインは銅などの導体である。つまり、電子回路基板6は、金属体としてみなすことができる。先に述べたように、電源ラインやGNDラインが別の配線層として設けられる場合、これらは、割り当てられた配線層の殆ど全面にわたって形成されるので、特に良質な金属体となる。
このように、アンテナ8と、殆ど金属体としてみなすことのできる電子回路基板6とを備えたアンテナ装置において、アンテナ8のコイル部の開口部は電子回路基板6に対して垂直であり、アンテナ8は電子回路基板6の端部に配置される。なお、電子回路基板6の端部とは、アンテナ8の端部が電子回路基板6の最外端部よりも突出する場合および、アンテナ8の端部が電子回路基板6の最外端部よりも内側に位置する場合の双方を含む。
これに対して、図7に示す従来のアンテナ装置は、電子回路基板6との対向面とは反対側の面上に、渦巻状に形成されたアンテナコイルを備えているため、アンテナ101の開口部が電子回路基板6に対して平行である。アンテナ101に信号が入力され電流が流れると、領域Pにおいて、アンテナ101から発生する磁力線は全てアンテナ101から離れる方向であり、一方向にのみ磁力線M2が通過する。その結果、領域Pに位置する例えば非接触型ICカードには電流が流れ、電子回路基板6とアンテナ101とからなる従来のアンテナ装置を搭載した携帯端末と、非接触型ICカードとは通信を行うことができる。しかしながら、領域Qにおいては、アンテナ101から離れる方向とアンテナ101へ向かう方向という、2つの逆向きの方向に磁力線M2が伸びている。従って、領域Q、すなわちアンテナのほぼ直横に、かつ電子回路基板6に対してほぼ垂直に非接触型ICカードを位置させると、非接触型ICカードに対して両方向の磁力線M2が働いて打ち消しあう。その結果、非接触型ICカードには電流が流れず、電子回路基板6とアンテナ101とからなる従来のアンテナ装置を搭載した携帯端末と、非接触型ICカードとの通信は行われない。
しかしながら、図6の本実施例におけるアンテナ装置では、アンテナ8のコイル部2の開口部が電子回路基板6に対して垂直であり、アンテナ8のコイル部の長手方向が電子回路基板6の最端部と平行となるように、アンテナ8が配置される。このため、例えば非接触型ICカードを、領域Pだけでなく領域Qに位置させても、良好な通信を行うことができる。
すなわち、アンテナ8の開口部は電子回路基板6に対して垂直であるため、アンテナ8に信号が入力され電流が流れると、領域Qではアンテナ8から発生する磁力線Mが全てアンテナ8から離れる方向であり、一方向にのみ磁力線Mが通過する。その結果、領域Qに位置する例えば非接触型ICカードには電流が流れ、電子回路基板6とアンテナ8とからなる本実施例のアンテナ装置を搭載した携帯端末と非接触型ICカードとは通信を行うことができる。
また、領域Pにおいても、アンテナ8に信号が入力され電流が流れると、領域Pでは磁力線Mがアンテナ8から離れる方向もしくはアンテナ8に向かう方向のいずれか一方向となっている。それは、アンテナ8から発生する磁力線Mが、電子回路基板6付近において減衰することにより、磁力線Mの軸Xが電子回路基板6に対して垂直ではなくなり、傾いているからである。その結果、領域Pに位置する例えば非接触型ICカードには電流が流れ、電子回路基板6とアンテナ8とからなる本実施例のアンテナ装置を搭載した携帯端末と非接触型ICカードとは通信を行うことができる。
なお、図6に示す磁力線Mには、アンテナ8から離れる方向の磁力線とアンテナ8へ向かう方向の磁力線の境を結んだ軸Xが存在する。この、磁力線Mの軸X付近に、例えば非接触型ICカードを位置させると、従来の図7における領域Qのように、アンテナから離れる方向とアンテナへ向かう方向の磁力線の双方が非接触型ICカードに働いて打ち消しあう。その結果、非接触型ICカードには電流が流れず、本実施例のアンテナ装置を搭載した携帯端末と、非接触型ICカードとの通信は行われない。
次に、なぜ磁力線Mの軸Xが電子回路基板6に対して傾くかについて説明する。アンテナ8により発生した磁力線によって、電子回路基板6のアンテナ8との対向面に誘起された渦電流は、この電子回路基板6のアンテナ8との対向面に垂直な方向の磁力線を生み出す。そのため、アンテナ8より発生する磁力線Mと、電子回路基板6のアンテナ8との対向面に誘起された渦電流から発生する磁力線とが合成され、アンテナ8から発生する磁力線Mは電子回路基板6付近において垂直方向に変化する。その結果、磁力線Mの軸Xが電子回路基板6とは離れる側に傾く。
また、アンテナ8は電子回路基板6の端部に配置されるため、アンテナ8の電子回路基板6側(図6における右側)の磁力線Mを減衰し、アンテナ8の電子回路基板6から離れる側(図6における左側)の磁力線Mを相対的に強める。その結果、磁力線Mの軸Xが電子回路基板6に対して傾くことになる。本実施例の構成では、磁力線Mの軸Xの角度αは、電子回路基板6に対して40°〜85°程度となり傾いている。もし、アンテナ8が電子回路基板6の端部に配置されなければ、電子回路基板6面上の渦電流による電子回路基板6面に垂直な方向の磁力線が小さくなり、磁力線Mの軸Xは電子回路基板6に対してほぼ垂直のままとなる。その場合、領域Qでは通信可能であっても、領域Pでは通信することができない。
アンテナ8の端部と電子回路基板6とは、その端部を揃えて配置されてもよいし、アンテナ8の端部が電子回路基板6の端部よりも突出してもよい。また、アンテナ8の端部が電子回路基板6の端部よりも内側に位置してもよい。
以上のことから、アンテナ8を電子回路基板6の端部に位置することにより、電子回路基板6に流れる電流を最大限活用することができる。また、角度αが85°程度であれば本発明の効果は得られ、好ましくは80°以下であるとよい。
なお、図6に示すアンテナ装置と電子回路基板6とはある程度の隙間を持って配置されているが、携帯端末などに配置する場合、その隙間が確保できない場合がある。その場合、アンテナ装置と電子回路基板6とは接触配置され、図8のようになる。
図8は、本発明の他の実施例におけるアンテナ装置、およびそのアンテナ装置から発生する磁力線を示す概念図である。図8に示すように、電子回路基板6とアンテナ8とが接触配置されていても、図6に示すアンテナ装置と同様のメカニズムにより、磁力線の傾きが発生する。
以上のように、電子回路基板6とアンテナ8との間に隙間があってもなくても、電子回路基板6の一端部からコアのコイル部におけるコイル軸方向Aの幅の範囲内で、コアの一端部を電子回路基板6の一端部の内外に配置することにより、少なくともアンテナ8の一部が電子回路基板6の一端部およびその一端部を含む面に近接または接触して配置されれば、本発明の効果が十分に得られる。なお、当該コアの幅が少なくとも4mm〜15mmであれば、本発明の効果が得られる角度α≦85°は、上記に述べたアンテナ8と電子回路基板6との関係において成り立つことが確認されている。そしてこの関係は、コアがコイル部のコイル軸方向Aに有する幅よりも、それと同方向に有する電子回路基板6の幅が大きいことが前提であることは言うまでも無い。
以上のように、本発明の実施例のアンテナ8は、携帯端末1の電子回路基板6の端部に設けると磁力線の傾きが発生し、送受信可能な範囲が拡がる。しかしながら、本発明の実施例のアンテナ8を搭載すべき位置は、特にこれに限られるわけではない。
図9は、図1とは異なる位置に本発明のアンテナが搭載された携帯端末の分解斜視図である。図9において、アンテナ8は携帯端末1の後面筐体5のほぼ中央に搭載される。このような状態においては、例えば図6に示すような、アンテナ8より発生する磁力線の傾きは生じない。この時、図9に示す後面筐体5のアンテナ8が配置された位置とほぼ直交する方向に、図示しないICカードやICタグなどの無線通信媒体が配置されても、通信することは出来ない。その代わり、そこから無線通信媒体が携帯端末1の長手方向(すなわち、図2に示すアンテナ8のコイル軸S方向)に少し離れれば、通信は可能となる。例えば、バッテリー7と対向する位置に無線通信媒体を近づけるとよい。
このような、本発明の実施例におけるアンテナ8のインダクタンス調整を行うための調整パターンについて、これより詳細に説明する。
図10は、本発明の実施例のアンテナを模式的に示した斜視図である。図10(a)は、本発明の実施例のアンテナを模式的に示した外観斜視図であり、図10(b)は、図10(a)に示す本発明の実施例のアンテナのアンテナコイルと調整パターンの巻回しの様子を模式的にわかるようにした透過斜視図である。そして、図11は、図10に示す本発明の実施例のアンテナとの比較例を示す図である。
これまでにも図4において説明したように、特に図10(b)において、調整パターンuの一部と、コイルパターンfの突出部yの一部と、外部接続端子8aおよび8bとは、点線で示すコア11の外形よりも外側に配置されている。言い替えれば、これら調整パターンuの一部は、コア11の外形周囲よりも離れて配置されている、とも言える。なお、図10におけるコイルパターンfは、図4における分割パターン21aおよび21bにより構成されるものである。但し、これらの分割パターン21aおよび21bにより実際に構成されるコイルパターンの巻数は10ターンであるが、図10のコイルパターンfは、巻数を略して表現されている。また、図10に示す調整パターンuについても、そのコア11の下に位置するコイルパターンfからの引き出し本数が、図4における調整パターンuとは異なっているが、これについても略して表現されている。
これに対して、図11に示すアンテナ8cに設けられた調整パターンdは、従来から用いられているように、アンテナコイル全体の線路長そのものを変化させて、アンテナ8cのインダクタンスを調整するためのものである。この調整パターンの相違を除けば、図11に示す比較例のアンテナ8cと図10に示す本発明の実施例のアンテナ8との間に違いはない。しかしながら、このような構成を有する図10のアンテナ8および図11のアンテナ8cにおいては、アンテナコイルのコア11に巻回されている部分の線路長が、アンテナ全体のインダクタンスを支配的に決めている。従って、本実施例のように、コイルパターンfの巻数が10ターン程度に多くなると、図11に示す従来のような調整パターンdでは、アンテナ8cが全体として有するインダクタンスの調整に殆ど寄与することが出来ない。
しかしながら、図10に示すアンテナ8に設けられた調整パターンuであれば、アンテナ8のインダクタンスを調整した結果発生するトリミングの位置がどこになっても、アンテナコイル全体の線路長はほぼ一定であり、かつコア11に巻回されている部分の線路長だけが変えられるためインダクタンスの調整が可能である。すなわち、図10において、一方の外部接続端子8aから、他方の外部接続端子8bまでの線路長がほぼ一定である。このように、アンテナコイル全体の線路長をほぼ一定に保ちながら、アンテナ8全体のインダクタンスを調整できることが、本発明の実施例におけるアンテナ8の特徴となっている。
次に、図10に示すアンテナ8に設けられた調整パターンuのトリミング方法について述べる。
図12は、図10に示すアンテナ8に設けられた調整パターンuのトリミング例を示す図である。図12(a)は、図10に示すアンテナ8のインダクタンスを最も大きくした場合における調整パターンuのトリミング例を示す図であり、図12(b)は、図10に示すアンテナ8のインダクタンスを最も小さくした場合における調整パターンuのトリミング例を示す図である。そして、図13は、図12において模式的に示すアンテナ8に対応して、図4(a)に示すアンテナ8の下側フレキシブル基板12aにおける調整パターンuのトリミング位置の例を示す図である。
図13に示すように、本発明の実施例におけるアンテナ8の下側フレキシブル基板12aにおける調整パターンuのトリミング位置は、A〜Gの7点存在する。このトリミング位置は、引き出しパターンv上と、突出部yにおいて分割パターンtとの交点および接続パターンwとの交点を結ぶ突出部引き出しパターンz上にある。
このようなトリミング位置を有する図13の調整パターンuにおいて、図12(a)に示す模式図のように、アンテナ8全体のインダクタンスを最大にする場合、図13のトリミング位置B〜Gをトリミングし、トリミング位置Aだけを接続させたまま残せばよい。これと同様に、図12(b)に示す模式図のように、アンテナ8全体のインダクタンスを最小にする場合、図13のトリミング位置A〜Fをトリミングし、トリミング位置Gだけをトリミングせずに、接続させたまま残せばよい。
このように、コイルパターンfと調整パターンuとを接続させたまま残す位置を、トリミング位置A〜Gのいずれか1箇所にすれば、本発明の実施例のアンテナ8において、そのインダクタンスを調整することができる。すなわち、図10および図12に示すコイルパターンfは、図13においてその一部を構成する分割パターンtと調整パターンuとの接続を残したトリミング位置から先が、コア11の外に出て行く。そして、その位置から外部接続端子8b側に残された部分は、図10および図12に示すアンテナ8のインダクタンスの形成に寄与しなくなる。
(表1)は、図13に示す各トリミング位置A〜Gのうちいずれか1箇所のみをトリミングしなかった場合におけるアンテナ8のインダクタンスの測定結果の例について示したものである。この測定結果におけるアンテナは、図10および図12に示すコア11が14.5×38×0.3厚mmのフェライトにより構成され、その周りに巻回されるコイルパターンfの巻数を10ターンとしている。なお、図13に示すトリミング位置A〜Gのいずれもトリミングしなかった場合におけるアンテナ8の初期インダクタンスは3.74μHであった。すなわち表1は、初期インダクタンスが3.74μHのアンテナであれば、3.85±0.07μH(すなわち±2%)の範囲に調整できることを示している。従って、逆に調整のターゲットとするインダクタンスを3.85μHとした場合、初期インダクタンスが3.74μH±2%の範囲で分布していれば、ほぼ3.85μHに合わせることができる。
このように、本実施例のアンテナ8が有するインダクタンスの調整は、トリミング位置A〜Gのうち1箇所のみを残して、その他の全てのトリミング位置を切断することにより行われる。この切断は、当該部分のトリミング位置をパンチングで打ち抜くことによって行われてもよいし、レーザなどで当該部分のトリミング位置にある導体パターンを焼き飛ばすことにより行われてもよい。但し、レーザの方が迅速にトリミングでき、かつパンチングには必要な台や押さえのスペースが不要なため、調整パターンuをコンパクトにすることができる。
このようなトリミングによるインダクタンスの調整は、一度トリミングを実施してしまうとやり直しが利かない一発勝負である。そのため、まず、トリミングを全く行わない状態でアンテナ8が有する初期インダクタンスの個体差がどれ位あるのか、あらかじめまとまった数のアンテナ8を計測し分布を取っておくとよい。そして、トリミング位置A〜Gのいずれを残せば、トリミング位置を全く行わない状態からインダクタンスがどれ位変化するのか、データを蓄積しておくとよい。そうすれば、まずトリミングを全く行わない状態でアンテナ8が有する初期インダクタンスを測定し、トリミング位置A〜Gのどこを残せばよいか、高い精度で判断することができる。このことは結果的に、アンテナ8の歩留まりを向上させることができる。なお、例えトリミングに失敗したとしても、そのデータを蓄積している計測データにフィードバックすれば、トリミングの精度をさらに向上することが可能である。
このように、図10および図12に示すコイルパターンfの一部を構成する図13の分割パターンtと調整パターンuとの接続を残す位置を、トリミング位置A〜Gのどこにしても、図10および図12に示すコイルパターンfの線路長はほぼ一定である。それでいながら、コイルパターンfの、コア11に巻回されている部分の線路長は、図13に示すトリミング位置A〜Gのどこを残すかによって変化する。従って、図10および図12に示すコイルパターンf全体の線路長を一定に保ったまま、アンテナ8のインダクタンスを調整することができる。それに加えて、本発明の実施例のアンテナ8は、調整パターンuが、コイルパターンの開口内部には設けられていないため、どのようなトリミングを行っても、その開口面積が変わることは無い。その結果、アンテナ8全体のQ値などの特性も変化しにくいため、インダクタンス調整後のアンテナ8が有する性能のバラツキは小さい。
図14および図15は、図10のアンテナ8に設けられた調整パターンuのトリミング例を示す図であって、図12とは別の例について示すものである。
図14(a)は、図12(a)と同様に、図10に示すアンテナ8のインダクタンスを最も大きくした場合における調整パターンuのトリミング例を示す図であるが、図12(a)よりもトリミング位置gが1箇所増えている。この、増えた1箇所のトリミング位置gにより、アンテナ8の周辺より混入するノイズの影響を予防することができる。アンテナ8は、例えば図1に示すように、携帯端末1などの他の装置に実装されるものである。従って、その周辺に存在するノイズとしては、例えば携帯端末1が主な通信手段として用いる周波数(2.4GHz)の通信信号や、電子回路基板6自体が動作するために必要なクロック信号などが考えられる。
図14(b)も、図10に示すアンテナ8のインダクタンスを最も大きくした場合における調整パターンuのトリミング例を示す図であるが、トリミングは1箇所のみとしている。すなわち、これと対応する図13において、コイルパターンtの突出部にある突出部引き出しパターンzまたは調整パターンuの引き出しパターンvと、接続パターンwとの交点の間をトリミングする。そのため、アンテナ8のインダクタンス調整にかかる時間が少なくなり、製造が行いやすいという利点がある。しかしながらこのトリミング例では、一方の外部接続端子8aから他方の外部接続端子8bへと流れる電流の経路が、複数存在することになる。その結果、先ほども述べたアンテナ8の周辺より混入するノイズなどの予期しない影響を受ける可能性はある。もし、そのような影響を受けないのであれば、このようなトリミングによる調整方法を採用してもよい。
このようなトリミングによる調整方法において、アンテナ8のインダクタンスを他の値に設定する場合は、調整パターンuの引き出しパターンvと接続パターンwとの交点のうち、隣接する2つの交点間において接続パターンwをトリミングすればよい。例えば図14(b)の調整パターンuの右側、すなわち最小インダクタンスとなる交点間から順にトリミングをしていき、インダクタンスがスペックの範囲内に入ったところでトリミングを止める、という調整方法を採用できる。
図15(a)は、そのような調整方法を採用した時に、結果として最大インダクタンスとなった場合のトリミング例を示したものである。また、図15(b)は、これまで説明したものとは異なるトリミング例であり、調整パターンuの引き出しパターンvと接続パターンwとの交点をトリミングして、アンテナ8のインダクタンスを最大にした場合を示している。
図16は、コアの両サイドに調整パターンを設けた本発明の実施例のアンテナを示す斜視図である。このように、調整パターンを増やせば、アンテナ8dのインダクタンスの調整範囲も増やすことができる。図16に示すアンテナ8dのインダクタンスの調整範囲は、図10に示すアンテナ8の約2倍となる。
図17は、図10に示すアンテナ8とは異なる位置に外部接続端子8fおよび8gを配置したアンテナ8eの斜視図である。このように、外部接続端子は、コア11の外形から離れた位置であれば、いずれに配置されてもよい。当然のことながら、引き出しパターンを追加して、コア11よりも離れた位置に外部接続端子を設けてもよい。
なお、本実施例におけるフレキシブル基板12は、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとからなる2枚構成としたが、これら上側と下側とを繋げて一体化し、折り曲げて組み立てるようにしてもよい。例えば図4に示すフレキシブル基板12において、下側フレキシブル基板12aのパターン露出部17b側と、上側フレキシブル基板12bのパターン露出部19b側とを接続させ、その部分において、分割パターン21aと分割パターン21bとを接続させる。そうすれば、下側フレキシブル基板12aのパターン露出部17bと、上側フレキシブル基板12bのパターン露出部19bは、いずれも不要となる。すなわち、このような構成を取ることにより、 半田接合箇所を半分に減らすことができる。また、これとは別に、調整パターンuが設けられた側とは反対側の側面において、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとを繋げて一体化し、折り曲げて組み立てるようにしてもよい。この場合、半田接合箇所は減らないが、組み立て性は向上する。
以上の実施例は、ある特定のサイズを有するコア11と決められたターン数を有するアンテナ8について述べたが、本発明の適用範囲は本実施例に限らず、あらゆるサイズのコアとターン数を有するアンテナに適用可能である。但し、このような調整機構で調整できるインダクタンスの調整幅は、コイルの巻き数によって変化する。すなわち、巻き数が多い場合、調整幅は小さくなるが微調整に適しており、逆に巻き数が少ない場合、調整幅が大きくなり初期インダクタンスのばらつきが大きくても安定したインダクタンスのアンテナが製造できる。
以上のように本発明によれば、フェライトなどにより形成されたコアの周囲にアンテナコイルが巻回された形状を有する、簡易な構成により組み立てが可能で、かつ安定した特性を有するアンテナであって、そのアンテナが搭載されたアンテナ装置および通信装置の共振周波数を決める一因となる、アンテナ単体のインダクタンスの調整を、アンテナが有する調整パターンの切断箇所を選択することにより行うことができる。その結果、そのアンテナを搭載するアンテナ装置および通信装置の、組み立て時における共振周波数の調整不良を大幅に低減することができる。