JP2013136206A - スクリーン印刷枠および電子装置の製造方法 - Google Patents

スクリーン印刷枠および電子装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な構造でスクリーンの補正を行い正確なパターン形成を行うと共にスクリーンの寿命を延ばす。
【解決手段】スクリーン印刷装置に装着され、印刷対象物にペーストを配置するスクリーンを保持するスクリーン印刷枠で、スクリーンを支持する内枠と、内枠を支持する外枠と、内枠を変形させる調整手段を有する。印刷時のスキージの進行方向を前方向とした場合に、内枠は、左右方向に延びる前枠部及び後枠部と、前後方向に延びる左枠部及び右枠部とを有して方形の平面形状を有し、当該前後左右枠部で囲まれた開口にスクリーンを支持し、調整手段は、後方向に進行可能に備えられ且つ前枠部を後方向へ押圧して前枠部を後方向へ撓ませる1以上の係合ピンと、後方向に後退可能に備えられ且つ後枠部を後方向へ牽引して後枠部を後方向へ撓ませる1以上の係合ピンを備え、これらの係合ピンにより前枠部と後枠部を撓ませてスクリーン上のパターンを調整可能とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、スクリーン印刷枠および電子装置の製造方法に係り、特にスクリーン印刷装置に備えられるスクリーンの変形を補正する技術に関する。
電子部品を搭載して電子回路や電子モジュールを形成する配線基板(プリント基板)やチップ状電子部品を集合状態で一括して製造するセラミック基板などの基板に対し、導体を配置する手段としてスクリーン印刷装置が従来から使用されている。
かかるスクリーン印刷装置は、印刷対象物である基板に転写すべきパターンを描いたスクリーンを備えており、印刷時にはこのスクリーンを通してペースト状の材料(例えば導体ペースト)をスキージによって押し出すことにより基板表面に当該材料を所定のパターン形状で配置することが出来る。
また、このようなスクリーン印刷装置を開示するものとして下記特許文献がある。
特開平11−240129号公報
ところで、スクリーン印刷装置に現在使用されているスクリーンは、図13に示すように細い素線を網目状に織ったシートからなるスクリーン62をスクリーン枠61に張り渡すようにして固定した構造を有しており、印刷時にはスキージ(図示せず)をスクリーン62に当接させながら一定の方向(矢印S参照)へ摺動させることにより印刷を行う。
このため、スキージによってスクリーン62を伸ばす力が印刷を行う度に働くこととなり、繰り返し印刷を行っていると、図14に示すようにスクリーン62が次第にスキージの進行方向Sに延びてしまう問題が生じる。
そしてこのスクリーン62の伸びは、スクリーン62上に描かれたパターン63を変形させ、パターン63と基板との正確な位置合わせを妨げ、印刷不良を引き起こす原因となる。特に近年、電子部品の小型化や高密度実装の進展が著しく、これに伴い、印刷パターンの変形や位置ずれは当該電子部品や電子装置の製造歩留りの低下を招くことから、印刷精度のより一層の向上が求められている。
また一方で、スクリーンの寿命を延ばすこと、すなわち、上記のようにたとえスクリーンが伸びてパターンが多少変形したとしてもスクリーンを交換せずに1枚のスクリーンでより長期間多数回の印刷を行うことが出来れば、電子部品や電子装置の製造コストの低減ならびに製造効率の点からも好ましい。
他方、前記特許文献1記載の装置は、スクリーンを引っ張るアクチュエータをスクリーンの周縁全周に亘って備え、これらのアクチュエータによりスクリーンの補正を行うものである。しかしながらこの装置では、スクリーン全周に配置した多数のアクチュエータを制御する大掛かりな制御装置が必要になるうえ、アクチュエータのフックを掛けるためにスクリーン自体にも加工が必要となる難がある。
したがって、本発明の目的は、簡易な構造で効果的にスクリーンの補正を行って印刷対象物に正確なパターン形成を行うとともに、スクリーンの寿命を延ばすことにある。
前記課題を解決し目的を達成するため、本発明に係るスクリーン印刷枠は、スクリーン印刷装置に装着され、印刷対象物にペーストを配置するスクリーンを保持するスクリーン印刷枠であって、スクリーンを支持可能な内枠と、当該内枠の周囲に備えられて当該内枠を支持する外枠と、当該外枠に備えられて前記内枠を変形させるスクリーン調整手段とを有する。
そして、平面から見て互いに直交する2つの方向をそれぞれ前後方向および左右方向とし且つ上記スクリーン印刷装置に備えられるスキージの印刷時の進行方向を前方向とした場合に、上記内枠は、互いに平行に且つ左右方向に延在する前枠部および後枠部からなる一対の横枠と、互いに平行に且つ前後方向に延在する左枠部および右枠部からなる一対の縦枠とを有して略方形の平面形状を有し、当該一対の横枠と一対の縦枠とにより囲まれた内側開口にスクリーンを張り渡すように支持することが可能である。なお、内枠へのスクリーンの固定方法は特に問わない。例えば機械的な部材により固定しても良いし、真空吸着その他の方法によっても構わない。
また、本発明のスクリーン印刷枠は、従来のスクリーン枠と同様にスクリーンを枠状の部材(横枠と縦枠を備える内枠)で支持するものであるが、スクリーンを支持する内枠を外枠によってさらに支持し、この外枠にスクリーン調整手段を備えた。
このスクリーン調整手段は、1以上の前枠係合ピンと1以上の後枠係合ピンとを備え、当該前枠係合ピンは、後方向に進行可能に備えられ且つ上記内枠の前枠部に係合して当該前枠部を後方向へ押圧することにより当該前枠部を後方向へ撓ませることが可能なものであり、後枠係合ピンは、後方向に後退可能に備えられ且つ上記内枠の後枠部に係合して当該後枠部を後方向へ牽引することにより当該後枠部を後方向へ撓ませることが可能なものである。なお、これらの係合ピンは、後の実施形態の説明で述べるように例えばネジにより構成することが出来る。
本発明によれば、上記前枠係合ピンと後枠係合ピンにより、スクリーンを支持する前枠部と後枠部をそれぞれ後方向、つまり、スキージの進行方向(前方向)とは逆方向へ撓ませることが出来る。スクリーンは、繰り返しの使用によりスキージの進行方向へ変形するから、本発明によれば、変形したスクリーン(したがってこれに描かれた印刷パターン)を元の状態・形状に引き戻すことができ、印刷パターンの変形を是正することが出来る。このように本発明によれば、経年使用したスクリーンでも上記のような補正を行うことで正確な印刷を行うことができ、また、スクリーンの寿命を延ばすことも可能となる。
さらに、本発明のスクリーン印刷枠では、左枠部を横断するように左右方向に延在する1本以上の切欠溝を当該左枠部に形成するとともに、右枠部を横断するように左右方向に延在する1本以上の切欠溝を当該右枠部に形成することが好ましい。このような枠構造によれば、内枠を変形しやすくすること、すなわち、スクリーンを支持する前枠部と後枠部とを撓みやすくすることができ、上記のようなスクリーンの補正(パターンの調整)をより一層容易に行うことが出来るからである。なお、切欠溝の配設本数は特に問わないが、左右で(左枠部と右枠部とで)同じ本数でかつ同位置に形成することが、内枠(左枠部と右枠部)をバランス良く前後方向に変形させて均等に(左右対称に)スクリーンを補正する点で好ましい。
本発明に言う「印刷対象物」としては、例えば、チップ状電子部品を集合状態で作製するためのセラミック基板(セラミックグリーンシート)が挙げられるがこれに限定されるものではなく、このほかにも例えば、配線基板(プリント基板)や、ガラス基板(フラットディスプレイ用のガラス基板等)など各種の基板が含まれる。
また、本発明における「ペースト」には、スクリーン印刷により印刷可能な各種のペースト状の材料が含まれる。典型的には、導体線路、電極、素子を構成する導体(例えばインダクタ導体やコンデンサ電極等)、外部接続用パッド、端子電極、フィルドビア(導体が充填されたビアホール)などを形成するための導体ペーストを言うが、これら以外にも、はんだペーストやエッチングレジスト、めっきレジストなど様々なペースト状の材料であって良い。
また、本発明に基づいて、印刷対象物に転写すべきパターンを描いたスクリーンを前記内枠に備えたスクリーン印刷枠を提供することが出来る。さらに、上記本発明に係るスクリーン印刷枠を備えたスクリーン印刷装置を構成することも可能である。
また、本発明に係る電子装置の製造方法は、前記本発明に係るスクリーン印刷枠を使用して材料ペーストを印刷対象物(基板)に所定のパターンで印刷するものである。
具体的には、本発明に係る電子装置の製造方法は、印刷パターンが描かれたスクリーンを介してスキージによりペーストを印刷対象物に配置することにより前記印刷パターンを前記印刷対象物に印刷するスクリーン印刷工程を含む電子装置の製造方法である。この製造方法においてスクリーン印刷工程は、(1)前記本発明に係るスクリーン印刷枠、すなわち、スクリーンを支持可能な内枠と、当該内枠の周囲に備えられて当該内枠を支持する外枠と、当該外枠に備えられて前記内枠を変形させるスクリーン調整手段とを有し、平面から見て互いに直交する2つの方向をそれぞれ前後方向および左右方向とし且つ前記スクリーン印刷装置に備えられるスキージの印刷時の進行方向を前方向とした場合に、前記内枠が、互いに平行に且つ左右方向に延在する前枠部および後枠部からなる一対の横枠と、互いに平行に且つ前後方向に延在する左枠部および右枠部からなる一対の縦枠とを有して略方形の平面形状を有し、前記一対の横枠と前記一対の縦枠とにより囲まれた内側開口に前記スクリーンを張り渡すように支持可能であり、前記スクリーン調整手段が、後方向に進行可能に備えられ且つ前記内枠の前枠部に係合して当該前枠部を後方向へ押圧することにより当該前枠部を後方向へ撓ませることが可能な1以上の前枠係合ピンと、後方向に後退可能に備えられ且つ前記内枠の後枠部に係合して当該後枠部を後方向へ牽引することにより当該後枠部を後方向へ撓ませることが可能な1以上の後枠係合ピンとを備えたスクリーン印刷枠、に前記スクリーンを設置する工程と、(2)前記スクリーン印刷枠の前枠係合ピンと後枠係合ピンにより前記前枠部および前記後枠部をそれぞれ後方向へ撓ませることによりスクリーンに描かれた印刷パターンを調整する工程と、を含む。
また、この製造方法においても、スクリーンの補正(パターンの調整)を容易に行えるようにするため、左枠部を横断するように左右方向に延在する1本以上の切欠溝を前記左枠部に備えるとともに、右枠部を横断するように左右方向に延在する1本以上の切欠溝を前記右枠部に備えることが好ましい。
なお、上記製造方法に係る電子装置は、典型的には、電子部品や、配線基板に電子部品を搭載し電子回路を形成した電子モジュールを言うが、このほかにも、スクリーン印刷によりペースト材料を印刷する工程を経て製造される各種の電子装置が含まれる。
本発明によれば、簡易な構造で効果的にスクリーンの補正を行って印刷対象物に対して正確なパターン形成を行うことが出来るとともに、スクリーンの寿命を延ばすことが可能となる。
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面に基づいて述べる以下の本発明の実施の形態の説明により明らかにする。なお、各図中、同一の符号は、同一又は相当部分を示す。
図1は、本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷枠を模式的に示す平面図である。 図2は、前記実施形態に係るスクリーン印刷枠によるスクリーン(パターン)の補正状態を模式的に示す平面図である。 図3は、前記実施形態に係るスクリーン印刷枠を示す平面図である。 図4は、前記実施形態に係るスクリーン印刷枠を示す正面図である。 図5は、前記実施形態に係るスクリーン印刷枠を示す側面図である。 図6は、前記実施形態に係るスクリーン印刷枠の外枠を示す平面図である。 図7は、前記実施形態に係るスクリーン印刷枠の外枠を示す側面図である。 図8は、前記実施形態に係るスクリーン印刷枠の内枠を示す平面図である。 図9は、前記実施形態に係るスクリーン印刷枠の内枠を示す側面図である。 図10は、前記実施形態のスクリーン印刷枠におけるスクリーン後段部(図3のY1位置)の変位を示す線図である。 図11は、前記実施形態のスクリーン印刷枠におけるスクリーン中段部(図3のY2位置)の変位を示す線図である。 図12は、前記実施形態のスクリーン印刷枠におけるスクリーン前段部(図3のY3位置)の変位を示す線図である。 図13は、従来のスクリーン印刷枠を模式的に示す平面図である。 図14は、従来のスクリーン印刷枠におけるスクリーンの変形を模式的に示す平面図である。
図1から図2に示すように、本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷枠11は、平面略正方形の額縁状の全体形状を有し、中央部にスクリーン13を設置するための略正方形の開口12を有するもので、この開口12を取り囲む内枠31(図1において一点鎖線で囲った内側部分)と、内枠31の周囲を取り囲む外枠21とを備えている。
内枠31は、左右方向に延びて開口12の前縁を形成する前枠部32と、同じく左右方向に延びて開口12の後縁を形成する後枠部33と、前後方向に延びて開口12の左縁を形成する左枠部34と、同じく前後方向に延びて開口12の右縁を形成する右枠部35とからなる。また、左枠部34と右枠部35には、それぞれ2本ずつ切欠溝36を形成してある。これらの切欠溝36は、後に述べる調整ネジ41,42による内枠31の変形を容易にするもので、左右各枠部34,35を横断するように左右方向に延び、一定の深さ(当該左右枠部の肉厚の例えば2分の1程度の深さ)を有するものとする。
開口12には、前枠部32、後枠部33、左枠部34および右枠部35の間に張り渡すようにスクリーン13を備え、これら前後左右の枠部32,33,34,35にスクリーン13の周縁部を固定する。スクリーン13には、印刷対象物に形成すべきパターン14を描いておく。なお、印刷時にスキージ(図示せず)は、スクリーン13上を後側から前側へ進行される(図中の矢印S参照)。
外枠21は、内枠31の前枠部32と後枠部33を撓ませてスクリーン13上のパターン14を調整するための複数の調整ネジ41,42(前枠係合ピン及び後枠係合ピン)を備える。これらの調整ネジ41,42は前後方向に延在するように外枠21に固定され、回転操作により前後方向へ進退動する。そして、これらのネジ41,42のうち外枠21の前側に設けた前側調整ネジ41(前枠係合ピン)は、その先端部が内枠31の前枠部32に係合し、当該前枠部32に対して前後方向への荷重を加えて前枠部32を前後方向に撓ませることが出来る。一方、外枠21の後側に設けた後側調整ネジ42(後枠係合ピン)は、その先端部が内枠31の後枠部33に係合し、当該後枠部33に対して前後方向への荷重を加えて後枠部33を前後方向に撓ませることが可能である。なお、図1〜図2の例では、調整ネジ41,42を前後にそれぞれ5本ずつ示したが、調整ネジの本数はこれより少なくても(4本以下)良いし、多くしても(6本以上)構わない。
繰り返しの使用によりスクリーン13は、スキージの進行方向Sに伸び、スクリーン13上のパターン14は図1に示すようにスキージの進行方向Sに引っ張られたような形状に変形する。このような変形に対し本実施形態によれば、図2に示すように、前側調整ネジ41を後方へ進行させるとともに後側調整ネジ42を後方へ後退させ、これらの操作によって前枠部32と後枠部33とをそれぞれ後方へ撓ませることにより、スクリーン13上のパターン14を元の形状に戻すことが出来る。したがって、本実施形態によれば、パターン14による正確な印刷を行うことが出来るとともに、スクリーン13の寿命を延ばすことが可能となる。
図3から図9は、本実施形態に係るスクリーン印刷枠11のより具体的な構成例を示すものである。これらの図に示すようにこの構成例では、外枠21と内枠31を別体の部材として形成し、内枠31を外枠21の内側開口21aの四隅に当接させると共に内枠31と外枠21とをそれらの四隅角部でそれぞれL字状の金具51によって接続し内枠31と外枠21とを一体化したものである。
具体的には、外枠21と内枠31は共に略正方形の平面形状を有し、その内側に略正方形の開口21a,12をそれぞれ備えた枠体であり、内枠31は外枠内側の開口21aに収まる大きさとしてある。また、内枠31は外枠21の4つの内側角部(外枠内側の開口21aに面する外枠内縁の角部)によって把持されるように支持される一方、外枠21の内縁は内枠31を支持する角部を除いて4つの内縁(外枠内側の開口21aの各辺)を外方へ後退させてあり、これにより内枠31の各枠部(前枠部32、後枠部33、左枠部34および右枠部35)と外枠21の内縁との間には隙間(スリット)52が形成される。これらのスリット52は、調整ネジ41,42によって内枠31を変形させることを可能とするものである。
外枠21の前側および後側には、内枠31を変形させる調整ネジ41,42をそれぞれ設ける。この例では、図3及び図6に示すように、内枠31の前枠部32と後枠部33の各中央位置(縦中心線X1の位置)に係合するように外枠21の前側と後側にそれぞれ1本ずつ調整ネジ41,42を設けているが、さらに多くの調整ネジを設けても良いことは既に述べたとおりである。これらの調整ネジ41,42は、先端部が内枠31の前枠部32と後枠部33とにそれぞれ係合して回転操作することにより前後方向に進行又は後退し、内枠31の前枠部32および後枠部33にそれぞれ前後方向の荷重を加えることが可能である。
また、かかる調整ネジ41,42による内枠31の変形を容易にするため、内枠31の左枠部34と右枠部35には切欠溝36を2本ずつそれぞれ形成してある。切欠溝36の形成位置は、内枠31の内側開口12を略3等分する位置(当該開口12の前縁から後縁に向け略3分の1の位置と略3分の2の位置)である。また、各切欠溝36の深さは、各枠部中央部の肉厚の約2分の1の深さとした。
さらに、外枠21と内枠31の各角部(四隅)には、天面の高さが低くなるように肉厚を薄くした段差部22,37を形成し、これらの段差部22,37に前述のL字状金具51を設置してボルト(当該ボルト用の穴23,38のみ図示)で連結することにより内外両枠21,31を一体化する。なお、スクリーン(図3〜図9では図示せず)は、内枠31の開口12に張り渡すように内枠31下面に備えられる。また、外枠21の周囲には、スクリーン印刷枠11をスクリーン印刷装置に設置するための固定用のネジ穴24を設けてある。
以下のように、本実施形態(図3の印刷枠)によるスクリーン補正の効果を確認した。前側調整ネジ41と後側調整ネジ42をそれぞれ一定距離前方へ移動させ、スクリーン上の複数の測定点の変位を測定した。測定点としては、スクリーンの後段位置(開口12の後縁位置)Y1と、スクリーンの中段位置(開口12の前後方向の中央位置となる横中心線)Y2と、スクリーンの前段位置(開口12の前縁位置)Y3に左右方向の測定ラインを想定し、これらの測定ライン上で10mm間隔毎の点を測定点としてこれら測定点の変位を測定した。なお、測定は横中心線Y2を基準とし、後に述べる各測定点の変位の数値(図10〜図12)は当該横中心線Y2からの距離を示している。
調整ネジ41,42の操作としては下記(1)〜(7)を順に行い、各操作後の測定点の横中心線Y2からの距離を測定した。
(1)初期状態として調整ネジ41,42を操作しない(前枠部32および後枠部33に力を加えない)状態で横中心線Y2から各測定点の位置を測定する。
(2)0.5mm前方向へ前側調整ネジ41と後側調整ネジ42を移動させて前枠部32および後枠部33を撓ませる。
(3)0.1mm後方向へ両調整ネジ41,42を戻す(両調整ネジ41,42は初期位置から0.4mm前方向へ移動した状態となる)。
(4)さらに0.1mm後方向へ両調整ネジ41,42を戻す(両調整ネジ41,42は初期位置から0.3mm前方向へ移動した状態となる)。
(5)さらに0.1mm後方向へ両調整ネジ41,42を戻す(両調整ネジ41,42は初期位置から0.2mm前方向へ移動した状態となる)。
(6)さらに0.1mm後方向へ両調整ネジ41,42を戻す(両調整ネジ41,42は初期位置から0.1mm前方向へ移動した状態となる)。
(7)さらに0.1mm後方向へ両調整ネジ41,42を戻すことにより両調整ネジ41,42を初期位置に復帰させる。
測定の結果は、図10〜図12に示すとおりである。これらの線図から明らかなように、調整ネジ41,42を操作して内枠31を変形させる(前枠部32と後枠部33の中央を0.5mm撓ませる)ことにより、パターンを0.05〜0.06mm移動させることが出来ることが分かる。なお、上記調整ネジ41,42の操作に伴う左右方向の変位も確認したが、変位は殆ど見られなかった。したがって、スクリーンが伸びてパターン変形を起こした場合には、上記測定とは逆の操作(調整ネジ41,42をスキージの進行方向Sとは逆方向である後方向へ移動)を行えば、スクリーン上のパターンを本来の位置に戻し、正確な印刷を行うことが可能となる。
このように本実施形態によれば、前記特許文献1の装置ではスクリーン周囲の多数のアクチュエータを制御する必要があるのに対し、前枠部32と後枠部33の各中央に1本ずつ調整ネジ41,42を設けた簡易な構造で、然もこれら2本の調整ネジ41,42を操作するだけの簡便な調整によって上記測定結果から分かるように安定した弧状の変位をスクリーンに与えることができ、スクリーン上のパターンを良好に修正することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことができることは当業者に明らかである。
11 スクリーン印刷枠
12 スクリーン設置用開口
13,62 スクリーン
14,63 パターン
21 外枠
22,37 段差部
23,38 固定ボルト用穴
24 スクリーン印刷枠固定用ネジ穴
31 内枠
32 前枠部
33 後枠部
34 左枠部
35 右枠部
36 切欠溝
41,42 調整ネジ
51 L字状金具
61 スクリーン枠

Claims (6)

  1. スクリーン印刷装置に装着され、印刷対象物にペーストを配置するスクリーンを保持するスクリーン印刷枠であって、
    スクリーンを支持可能な内枠と、
    当該内枠の周囲に備えられて当該内枠を支持する外枠と、
    当該外枠に備えられて前記内枠を変形させるスクリーン調整手段と
    を有し、
    平面から見て互いに直交する2つの方向をそれぞれ前後方向および左右方向とし且つ前記スクリーン印刷装置に備えられるスキージの印刷時の進行方向を前方向とした場合に、
    前記内枠は、
    互いに平行に且つ左右方向に延在する前枠部および後枠部からなる一対の横枠と、
    互いに平行に且つ前後方向に延在する左枠部および右枠部からなる一対の縦枠と、
    を有して
    略方形の平面形状を有し、
    前記一対の横枠と前記一対の縦枠とにより囲まれた内側開口に前記スクリーンを張り渡すように支持可能であり、
    前記スクリーン調整手段は、
    後方向に進行可能に備えられ且つ前記内枠の前枠部に係合して当該前枠部を後方向へ押圧することにより当該前枠部を後方向へ撓ませることが可能な1以上の前枠係合ピンと、
    後方向に後退可能に備えられ且つ前記内枠の後枠部に係合して当該後枠部を後方向へ牽引することにより当該後枠部を後方向へ撓ませることが可能な1以上の後枠係合ピンと、
    を備え、
    これらの前枠係合ピンと後枠係合ピンにより前記前枠部および前記後枠部をそれぞれ撓ませることにより前記スクリーンに描かれた印刷パターンを調整可能とした
    ことを特徴とするスクリーン印刷枠。
  2. 前記左枠部に、当該左枠部を横断するように左右方向に延在する1本以上の切欠溝を形成するとともに、
    前記右枠部に、当該右枠部を横断するように左右方向に延在する1本以上の切欠溝を形成した
    請求項1に記載のスクリーン印刷枠。
  3. 印刷対象物に転写すべきパターンを描いたスクリーンを前記内枠に備えた
    請求項1または2に記載のスクリーン印刷枠。
  4. 前記請求項1から3のいずれか一項に記載のスクリーン印刷枠を備えたスクリーン印刷装置。
  5. 印刷パターンが描かれたスクリーンを介してスキージによりペーストを印刷対象物に配置することにより前記印刷パターンを前記印刷対象物に印刷するスクリーン印刷工程を含む電子装置の製造方法であって、
    前記スクリーン印刷工程は、
    スクリーンを支持可能な内枠と、当該内枠の周囲に備えられて当該内枠を支持する外枠と、当該外枠に備えられて前記内枠を変形させるスクリーン調整手段とを有し、平面から見て互いに直交する2つの方向をそれぞれ前後方向および左右方向とし且つ前記スクリーン印刷装置に備えられるスキージの印刷時の進行方向を前方向とした場合に、前記内枠が、互いに平行に且つ左右方向に延在する前枠部および後枠部からなる一対の横枠と、互いに平行に且つ前後方向に延在する左枠部および右枠部からなる一対の縦枠とを有して略方形の平面形状を有し、前記一対の横枠と前記一対の縦枠とにより囲まれた内側開口に前記スクリーンを張り渡すように支持可能であり、前記スクリーン調整手段が、後方向に進行可能に備えられ且つ前記内枠の前枠部に係合して当該前枠部を後方向へ押圧することにより当該前枠部を後方向へ撓ませることが可能な1以上の前枠係合ピンと、後方向に後退可能に備えられ且つ前記内枠の後枠部に係合して当該後枠部を後方向へ牽引することにより当該後枠部を後方向へ撓ませることが可能な1以上の後枠係合ピンとを備えたスクリーン印刷枠
    に前記スクリーンを設置する工程と、
    前記スクリーン印刷枠の前記前枠係合ピンと後枠係合ピンを使用して前記前枠部および前記後枠部をそれぞれ後方向へ撓ませることにより前記スクリーンに描かれた印刷パターンを調整する工程と
    を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
  6. 前記左枠部は、当該左枠部を横断するように左右方向に延在する1本以上の切欠溝を備え、
    前記右枠部は、当該右枠部を横断するように左右方向に延在する1本以上の切欠溝を備えている
    請求項5に記載の電子装置の製造方法。
JP2011288782A 2011-12-28 2011-12-28 スクリーン印刷枠および電子装置の製造方法 Active JP5360442B2 (ja)

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