JP2013134796A - 磁性粒子およびその製造方法、ならびにその利用 - Google Patents

磁性粒子およびその製造方法、ならびにその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】磁性粒子が高度に分散された状態で存在する磁性層を容易に形成するための手段を提供すること。
【解決手段】表面改質された磁性粒子の製造方法。酸性水系溶媒中に磁性粒子が分散してなる水系磁性液に、水酸基およびそのアルカリ金属塩基からなる群から選択される極性基を有する芳香族化合物(但し、複数の芳香族環が連結基を介して結合している芳香族化合物については、連結する2つの環のうちの一方にのみ上記極性基を含む。)を添加し、次いで上記水系磁性液から磁性粒子を捕集することにより、上記化合物が被着することで表面改質された磁性粒子を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁性粒子およびその製造方法、ならびにその利用に関するものであり、詳しくは、有機溶媒系の磁性塗料における分散性が向上するように表面改質された磁性粒子およびその製造方法、ならびにその利用に関するものである。
近年、情報を高速に伝達するための手段が著しく発達し、莫大な情報をもつ画像およびデータ転送が可能となった。このデータ転送技術の向上とともに、情報を記録、再生および保存するための記録再生装置および記録媒体には更なる高密度記録化が要求されている。高密度記録領域において良好な電磁変換特性を得るためには、微粒子磁性体を使用するとともに、微粒子磁性体を高度に分散させ、磁性層表面の平滑性を高めることでスペーシングロスを低減することが有効であることが知られている。
磁性体の分散性を高める手段としては、例えば特許文献1に記載されているように、SONa基のような極性基を結合剤に含有させる方法、特許文献2に記載されているように磁性層形成用塗布液調製時に添加剤として分散剤を使用する方法が広く用いられている。
特開2003−132531号公報 特開平1−232530号公報
特許文献1に記載されているように結合剤へ極性基を導入することは、分散性改良のための有効な手段であるが、結合剤へ導入される極性基量が過剰になると、逆に分散性が低下するおそれがある。一方、特許文献2に記載されているような分散剤は、磁性粒子表面に吸着し磁性粒子と結合剤や溶媒の親和性を高めることで磁性層形成用塗布液における磁性粒子の分散性を改良するものである。しかし仮に一次粒子径が小さな微粒子磁性体を使用したとしても、微粒子磁性体同士が強固に凝集し粗大な凝集体として磁性層形成用塗布液に添加されてしまうと、強い分散負荷を掛けて磁性体の凝集状態を解砕しない限り、分散剤は凝集体表面を被覆するに過ぎず、結果的に形成される磁性層には磁性体は粗大な凝集体として存在してしまい高い表面平滑性を実現することはできない。他方、微粒子磁性体同士が強固に凝集した凝集体を解砕するために分散条件を強化することも考えられるが、これでは分散工程が長期化することとなり、また分散メディアの磨耗による媒体への異物混入や磁性体の破壊により磁気特性低下を引き起こす可能性があるため、好ましくない。
そこで本発明の目的は、磁性粒子が高度に分散された状態で存在する磁性層を容易に形成するための手段を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために検討を重ねる中で、塗布型磁気記録媒体の製造において磁性層形成用塗布液のためには主に有機溶媒が使用されるのに対し、磁性粒子は酸性水系溶媒中ではプロトンが吸着することで表面に正電荷を帯びるため、正電荷同士の反発力によって高度な分散状態で存在することができる点に着目した。したがって、有機溶媒系の塗布液において分散剤として作用し得る化合物を、該塗布液の調製前に酸性水系溶媒中で磁性粒子表面に被着させれば(表面改質すれば)、粗大な凝集体ではなく微粒子磁性体の状態で分散剤が被着した磁性粒子を得ることができる。そして、こうして得られた磁性粒子を使用することで、微粒子磁性体が高度な分散状態で存在する磁性層を形成可能な、磁性層形成用塗布液を得ることが可能となる。
以上の点に基づき本発明者らは更に鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]表面改質された磁性粒子の製造方法であって、
酸性水系溶媒中に磁性粒子が分散してなる水系磁性液に、水酸基およびそのアルカリ金属塩基からなる群から選択される極性基を有する芳香族化合物(但し、複数の芳香族環が連結基を介して結合している芳香族化合物については、連結する2つの環のうちの一方にのみ上記極性基を含む。)を添加し、次いで上記水系磁性液から磁性粒子を捕集することにより、上記化合物が被着することで表面改質された磁性粒子を得ることを特徴とする、前記製造方法。
[2]前記化合物は、前記極性基を1つまたは2つ有する芳香族化合物である[1]に記載の製造方法。
[3]前記芳香族化合物に含まれる芳香族環はベンゼン環またはナフタレン環である[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]前記磁性粒子は六方晶フェライト磁性粒子である[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法によって得られた磁性粒子。
[6]磁気記録用磁性粉として使用される、[5]に記載の磁性粒子。
[7][5]または[6]に記載の磁性粒子と有機溶媒とを含む磁性塗料。
[8]結合剤を更に含む、[7]に記載の磁性塗料。
[9]磁気記録媒体の磁性層形成のために使用される、[7]または[8]に記載の磁性塗料。
[10][8]または[9]に記載の磁性粒子を有機溶媒および結合剤とともに分散処理して磁性塗料を作製し、作製した磁性塗料を用いて磁性層を形成することを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
[11][10]に記載の方法により得られた磁気記録媒体。
本発明によれば、微粒子磁性体が高度に分散された、優れた電磁変換特性を発揮し得る磁気記録媒体を提供することができる。
更に、微粒子磁性体の分散が容易となるため、製造工程における磁性粒子の分散負荷を大きく軽減することもできる。
本発明は、表面改質された磁性粒子の製造方法に関する。本発明の磁性粒子の製造方法は、酸性水系溶媒中に磁性粒子が分散してなる水系磁性液に、水酸基およびそのアルカリ金属塩基からなる群から選択される極性基を有する芳香族化合物(以下、「表面改質剤」ともいう。但し、複数の芳香族環が連結基を介して結合している芳香族化合物については、連結する2つの環のうちの一方にのみ上記極性基を含む。)を添加し、次いで上記水系磁性液から磁性粒子を捕集することにより、上記化合物が被着することで表面改質された磁性粒子を得る。また本発明によれば、前記製造方法によって得られた磁性粒子も提供される。本発明の磁性粒子は、磁気記録媒体の磁性層形成用塗布液中で高度に分散可能なものであって、磁気記録用磁性粉として好適である。
磁気記録媒体では、磁性層中で磁性粒子を微粒子状態で存在させることが、電磁変換特性の向上につながる。したがって、電磁変換特性向上のためには微粒子の磁性粒子を高度に分散させた状態で磁性層に存在させることが好ましい。そのためには、磁性層形成用塗布液において、微粒子磁性体を高度に分散させるべきである。ここで前記の本発明の製造方法によって得られた磁性粒子は、以下に詳述する表面改質剤が表面に被着することで表面改質されており、表面改質されることで有機溶媒系の磁性塗料中で高度な分散状態で存在し得るものとなっている。即ち、本発明によれば、微粒子磁性体が高度に分散した磁性層を形成可能な磁性粒子を得ることができる。なお後述する実施例で示すように下記の表面改質処理の有無により分散性が改善されることによって、表面改質剤が磁性粒子表面に被着することで、磁性粒子表面を改質していることを確認することができる。また、分散性を高めようと分散条件を強化すると、分散した粒子が再凝集を起こす現象(これを過分散という)が発生することが知られているが、上記表面改質剤は磁性粒子表面を改質することで過分散の発生を抑制することもできる。
以下、本発明の磁性粒子の製造方法について、更に詳細に説明する。
水系磁性液の調製
上記水系磁性液とは、固相と液相との分離が目視で確認されない程度に、磁性粒子が沈降凝集せず分散した状態にあるものをいい、一態様(以下、「第一の態様」という)では水系溶媒、磁性粒子(以下、「原料磁性粒子」ともいう)、酸成分を同時または順次添加し混合することで得ることができる。上記原料磁性粒子としては、高密度記録用磁気記録媒体形成に適するとの観点から、平均一次粒子サイズが35nm以下のものが好ましい。ここで、磁性粒子の平均一次粒子サイズとは、以下の方法により測定される値とする。
磁性粒子を、日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粒子写真を得る。粒子写真から目的の磁性粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースしカールツァイス製画像解析ソフトKS−400で粒子のサイズを測定する。500個の一次粒子のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。上記方法により測定される粒子サイズの算術平均値を磁性粒子の平均一次粒子サイズとする。
上記平均一次粒子サイズは熱揺らぎがなく安定な磁化を得る観点から10nm以上であることが好ましい。磁化の安定性と高密度記録化を両立する観点から、上記平均粒子サイズは10〜35nmの範囲であることが好ましく、20〜35nmの範囲であることがより好ましい。ただし、原料磁性粒子が微粒子であっても、磁性層中で凝集体として存在するのであれば、凝集体が一つの粗大粒子様に振舞うため、電磁変換特性を向上することは困難となる。そこで本発明では、磁性粒子が高度に分散した磁性層を形成可能とするために、後述するように水系溶媒中で表面改質剤によって磁性粒子表面を改質するための処理(表面改質処理)を行う。該処理については後述する。
なお、本発明において、磁性粒子等の粒子ないし粉体のサイズ(以下、「粒子サイズ」と言う)は、(1)粒子の形状が針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、(2)粒子の形状が板状乃至柱状(ただし、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より小さい)場合は、その板面乃至底面の最大長径で表され、(3)粒子の形状が球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、該粒子の平均粒子サイズは、上記粒子サイズの算術平均であり、500個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。
第一の態様において使用可能な原料磁性粒子としては、一般に磁気記録媒体の磁性層に使用される六方晶フェライト磁性粒子、強磁性金属磁性粒子等の各種強磁性粒子を用いることができる。
前記水系溶媒とは、水を主成分とする溶媒であり、水、または水と水溶性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン等との混合溶媒を挙げることができる。
前記酸成分は無機酸であっても有機酸であってもよい。使用可能な無機酸の例としては、例えば、塩酸、硝酸などが挙げられる。有機酸の例としては、蟻酸、酢酸などが挙げられる。これらの中では、取り扱いの容易性の点からは酢酸を用いることが好ましく、少量でpH調整が可能である点からは強酸である塩酸を用いることが好ましい。磁性粒子の表面を十分プラスに帯電させることで水系磁性液中で磁性粒子を高度に分散することができ、この点から酸の使用量は、水系磁性液のpHを5以下に調整し得る量とすることが好ましく、4以下に調整し得る量とすることがより好ましい。また、強酸性条件下では磁性粒子表面が溶解する場合があるため、上記pHは3以上とすることが好ましい。
前記水系磁性液は、水系溶媒、原料磁性粒子、酸成分を同時または順次添加し混合し、好ましくは攪拌することで得ることができる。また、磁性粒子の磁気特性を高めるためには、酸性水系溶媒中で磁性粒子に分散処理を施す工程(酸性水系溶媒中での分散処理と固液分離による固形分の回収)を複数回行うことが好ましい。酸による処理によって、磁気特性低下の原因となる異物を粒子表面から除去できるからである。この点について更に説明すると、例えば、後述するガラス結晶化法により得られる六方晶フェライト磁性粒子には、酸処理で除去しきれなかったガラス成分が残留している場合がある。このような残留ガラス成分は磁性粒子の磁気特性を低下させることがあるが、酸性水系溶媒中での分散処理を繰り返すことで、粒子表面から溶解除去することができる。なお帯電した粒子を含有する水スラリーでは電解質濃度(イオン濃度)が分散/凝集状態に影響を及ぼすことが知られている。電解質濃度が低い場合、帯電した粒子の周りに電気二重層が広がり、この電気二重層の重なり合いを避けるように反発力が働き、帯電した粒子は分散し容易に沈降しない。他方、上記水スラリー中に多量のイオン性成分が存在すると、系内のイオンバランスが崩れるため、電気二重層による分散安定化が阻害される結果、磁性粒子は比較的短時間で沈降する。したがって、酸性水系溶媒中での分散処理により溶解し電離した異物が多いほど、系内のイオン性成分は多くなるため磁性粒子の分散安定性は低下し、異物が少なくなるほど磁性粒子は分散安定化し容易に沈降しなくなる。この点から、酸性水系溶媒中での分散処理を磁性粒子が容易に沈降しないほど繰り返すことは、磁性粒子表面から異物を除去し磁性粒子の磁気特性を向上させるために好ましい対応である。また、高度に分散した磁性粒子の表面に表面改質剤を被覆させるためにも、酸性水系溶媒中での分散処理を繰り返すことは好ましい。
一方、磁気記録媒体用磁性粉として広く使用されている六方晶フェライト磁性粒子の製造方法としてガラス結晶化法が知られている。一般的なガラス結晶化法は、(1)ガラス形成成分および六方晶フェライト形成成分を含む原料混合物を溶解→(2)急冷固化→(3)固化物の加熱処理(六方晶フェライト磁性粒子が析出)→(4)固化物を酸処理(ガラス成分を溶解除去)→(5)水系溶媒による洗浄、という工程を含む。上記工程(4)は通常、酸性水系溶媒中で行われるため必然的に磁性粒子(六方晶フェライト磁性粒子)を含む水系磁性液が得られることとなる。ここで得られる水系磁性液は、通常そのままでは六方晶フェライト磁性粒子が沈降せず分散した状態にある。本発明ではこの分散状態を利用し、酸処理工程(4)において得られる水系磁性液に対して、後述する表面改質処理を行うこともできる。即ち、本発明には、前記水系磁性液をガラス結晶化法により六方晶フェライト磁性粒子を得る工程中、具体的にはガラス結晶化法の酸処理工程中に得る態様(以下、「第二の態様」ともいう。)も包含される。第二の態様におけるガラス結晶化法の上記工程は、ガラス結晶化法については、特開2010−282671号公報、特開2010−235411号公報、特開2010−080608号公報等に記載の公知技術を適用することができる。
表面改質処理
本発明では、上記第一または第二の態様により得られた水系磁性液に、下記の表面改質剤を添加する。上記水系磁性液においては、前述のように正電荷同士の反発力により磁性粒子が高度に分散した状態で存在し得るため、粗大な凝集体ではなく微粒子磁性体の状態の磁性粒子表面に表面改質剤を被着させる(表面改質する)ことが可能になる。なお表面が表面改質剤によって被着されることで磁性粒子同士の正電荷による反発力が低下し磁性粒子が凝集する場合があるが、ここで形成された凝集体は有機溶媒において容易に解砕可能である。なぜなら、磁性粒子表面には、有機溶媒中での分散性向上を達成し得る表面改質剤が被着しているからである。
本発明において表面改質剤として使用される化合物は、水酸基およびそのアルカリ金属塩基からなる群から選択される極性基を有する芳香族化合物である。ここで水酸基(−OH)のアルカリ金属塩基とは、−OM(Mはアルカリ金属原子を表す。)で表される一価の置換基である。但し、複数の芳香族環が連結基を介して結合している芳香族化合物の中で、連結する2つの環の両方に上記極性基が含まれると分散性向上を達成することは困難である。したがって、複数の芳香族環が連結基を介して結合している芳香族化合物としては、連結する2つの環のうちの一方にのみ上記極性基を含むものを使用するものとする。
上記化合物は、有機溶媒中ないし結合剤を含む有機溶媒中(即ち磁気記録媒体形成用塗布液中)で磁性粒子の分散性向上を達成し得るものであるが、その理由は吸着官能基である上記極性基が含まれることで、磁性粒子表面に吸着し、磁性粒子表面を有機溶媒および/または結合剤が濡れ広がりやすいように改質できる点にあると、本発明者らは推察している。
以下、上記化合物について、更に詳細に説明する。
前記極性基を有する芳香族化合物に含まれる芳香族環としては、芳香族炭化水素環であっても芳香族複素環であってもよく、また縮合環であってもよい。入手容易性等の観点からは芳香族炭化水素環が好ましい。上記芳香族化合物に含まれる芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等を挙げることができる。また、2つ以上の芳香族環がアルキレン基等の二価の連結基を介して結合していてもよい。但しこの場合は上記の通り、連結する2つの環のうちの一方にのみ上記極性基を含むものを使用するものとする。
前記芳香族化合物において、前記極性基は、芳香族基に直接置換してもよく、アルキレン基等の二価の連結基を介して置換してもよい。また、上記芳香族基は、前記極性基以外の置換基を有さないものであってもよく、有するものであってもよい。置換基の具体例としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、アルコキシル基(例えば炭素数1〜6のアルコキシル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基等を挙げることができる。以下、特記しない限り、本発明における「置換基」については、上記置換基の説明を参照することができる。
なお本発明において、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。また、本発明において、「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
前述の通り、前記表面改質剤は、前記極性基が含まれることにより磁性粒子表面に吸着し表面を改質することができる。分子中で前記極性基以外の部分が占める割合が多いほど、磁性粒子表面に吸着する表面改質剤の分子数が少なくなるため、良好な表面改質効果を得る観点からは、分子中で前記極性基以外の部分が占める割合が大きくないことが好ましい。この点から、前記表面改質剤は、前記極性基を除く部分の分子数が400以下であることが好ましく、例えば200以下程度であってもよい。また、前記極性基を除く部分の分子数は50以上であることが表面改質効果の点からは好ましい。
以上説明した表面改質剤は、いずれも公知の方法で合成可能であり、また市販品として入手可能である。酸性水系溶媒中に磁性粒子が分散してなる水系磁性液への表面改質剤の添加量は、磁性粒子100質量部に対して0.1〜10質量部、水系磁性液総質量100質量部に対して0.0001〜5質量部とすることが、有機溶媒中で容易に高度な分散状態となり得る磁性粒子を得るうえで好ましい。ここで使用する表面改質剤は、一種単独でもよく二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、上記水系磁性液に表面改質剤を添加する際や添加後に攪拌処理を行うことが、表面改質剤を磁性粒子表面に均一に被着させるために好ましい。
表面改質剤を添加し必要に応じて攪拌処理を行うことで、表面改質剤を磁性粒子表面に被着させることができる。こうして表面改質されることで磁性粒子が凝集し沈降した場合には、上澄みを除去することで水系溶媒中から表面改質された磁性粒子を取り出すことができる。なお、取り出した磁性粒子が凝集していたとしても、この凝集体を構成する磁性粒子はそれぞれ表面に表面改質剤が被着しているため有機溶媒中で容易に凝集状態を解砕可能である。したがって、分散負荷を高めることなく有機溶媒系の磁性塗料において高度な分散状態を実現することができる。または、表面改質処理後も水系磁性液中で磁性粒子が分散している場合には、遠心分離、濾過等の公知の固液分離手段によって水系溶媒中から表面改質された磁性粒子を取り出すことができる。取り出した磁性粒子は、必要に応じて塩基を添加し弱酸性〜中性付近のpHに調整した水溶液中でデカンテーション等により洗浄した後に、乾燥処理を施し乾燥粉として得ることができる。なお第二の態様においては、表面改質処理後に磁性粒子を得る工程は、通常のガラス結晶化法における洗浄工程と同様に、またはこれに準じて行うことができる。第一、第二の態様のいずれにおいても、こうして表面改質された磁性粒子を得ることができる。
更に本発明は、本発明の磁性粒子と有機溶媒とを含む磁性塗料に関する。先に説明したように、磁気記録媒体の磁性層形成用塗布液には、優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体を得るために磁性粒子が高度に分散していることが求められるところ、本発明の磁性粒子は有機溶媒中に高度に分散可能である。したがって本発明の磁性塗料は、磁気記録媒体の磁性層形成のために好適に使用することができる。なお本発明の磁性塗料は、本発明の磁性粒子および有機溶媒とともに、結合剤(樹脂成分)を含んでいてもよい。それらの詳細については、後述する。
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法について説明する。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、本発明の磁性粒子を有機溶媒および結合剤とともに分散処理して磁性塗料を作製し、作製した磁性塗料を用いて磁性層を形成することを含む。また本発明によれば、前記方法により得られた磁気記録媒体も提供される。
本発明の磁性粒子の製造方法は水系溶媒中で行われるが、水系溶媒を含む磁性塗料を用いて磁性層を形成すると、形成された磁性層は親水性となるため吸湿による可塑化等の弊害が発生することが懸念される。これに対し本発明の磁気記録媒体の製造方法では、磁性層を形成するために有機溶媒系の磁性塗料を使用する。ここで有機溶媒とは非水系の有機溶媒をいうものとするが、磁性塗料中に可塑化等の弊害を生じない程度に微量の水分が残留していることは許容するものとする。
磁性塗料調製に使用する有機溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される有機溶媒を挙げることができる。具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。中でも、磁気記録媒体に通常使用される結合剤の溶解性および磁性粒子表面への結合剤の吸着の点からはケトン類を含有する有機溶媒(ケトン系有機溶媒)を用いることが好ましい。
上記有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以上の溶剤が50質量%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。
上記有機溶媒との分散処理に付される磁性粒子は、先に説明したように前記の表面改質剤系化合物によって表面改質されたものであって、仮に乾燥粉の状態で凝集していたとしても、磁性層形成のために行われる通常の分散処理によって凝集体を解砕することができ、高度に分散された磁性粒子を含む磁性塗料を高い分散負荷を掛けることなく容易に得ることができる。
以下、本発明の磁気記録媒体の製造方法の具体的態様について説明する。
磁性層
本発明における磁性層は、前記の表面処理が施された磁性粒子と結合剤を含む層である。磁性層を形成するための磁性塗料に使用される結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落[0029]〜[0031]を参照できる。また、上記樹脂とともにポリイソシアネート系硬化剤を使用することも可能である。
磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができる。なお添加剤として、前記表面改質剤を使用することは分散性の更なる改善に有効である。有機溶媒中で高度に分散した磁性粒子に分散性改善作用を示す上記表面改質剤が付着することで、より一層分散性を高めることができるからである。
非磁性層
次に非磁性層に関する詳細な内容について説明する。本発明では、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を形成することができる。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2010−24113号公報段落[0036]〜[0039]を参照できる。
非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。また、非磁性層にはカーボンブラックや有機質粉末を添加することも可能である。それらについては、例えば特開2010−24113号公報段落[0040]〜[0042]を参照できる。
非磁性支持体
前記方法で調製された磁性塗料は、非磁性層上に直接、または非磁性層等の他の層を介して非磁性支持体上に塗布される。これにより、非磁性支持体上に、必要に応じて非磁性層等の他の層を介して磁性層を有する磁気記録媒体を得ることができる。
非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。また、本発明に用いることのできる非磁性支持体の表面粗さはカットオフ値0.25mmにおいて中心平均粗さRa3〜10nmが好ましい。
層構成
本発明により得られる磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが、好ましくは3〜80μmである。磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には0.01〜0.15μmであり、好ましくは0.02〜0.12μmであり、さらに好ましくは0.03〜0.10μmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.1〜3.0μmであり、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることが更に好ましい。なお、本発明における磁気記録媒体の非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明における磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。なお、実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT以下または抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。
バックコート層
本発明では、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を設けることもできる。バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バックコート層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。バックコート層の厚みは、0.9μm以下が好ましく、0.1〜0.7μmが更に好ましい。
製造工程
磁性層形成のための塗布液(磁性塗料)は、本発明の磁性粒子の製造方法により得られた表面改質された磁性粒子を使用する点以外、通常の磁性層形成用塗布液の調製方法と同様の方法で作製することができる。
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための塗布液を製造する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる磁性粒子、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層塗布液、非磁性層塗布液またはバックコート層塗布液を分散させるには、ガラスビーズやその他のビーズを用いることができる。このような分散メディアとしては、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。磁気記録媒体の製造方法の詳細については、例えば特開2010−24113号公報段落[0051]〜[0057]を参照できる。
本発明によれば、磁性粒子が高度に分散された磁性層を形成することができる。これにより本発明によれば、優れた電磁変換特性を発揮し得る高密度記録用磁気記録媒体を提供することができる。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、ここに示す成分、割合、操作、順序等は本発明の精神から逸脱しない範囲で変更し得るものであり、下記の実施例に制限されるべきものではない。以下に記載の「部」、「%」は、「質量部」、「質量%」を示す。
[調製例1]
下記バリウムフェライト磁性粒子1.0部に、水3.0部、30%酢酸水0.24部、0.1mmφジルコニアビーズ(ニッカトー社製)13部を加えた後ビーズミルによって6時間分散し、バリウムフェライト磁性粒子が分散した水系磁性液を調製した。調製した水系磁性液中のバリウムフェライト磁性粒子の液中粒径(分散粒子径)を測定したところ30nmであり、酸性水溶液中でバリウムフェライト磁性粒子が一次粒子径に近い状態に分散可能であることが確認された。
バリウムフェライト磁性粒子
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
Hc:176kA/m(2200Oe)、平均板径(一次粒子径):25nm、平均板状比:3
BET比表面積:65m/g
σs:49A・m/kg(49emu/g)
pH:7
(分散粒子径の測定方法)
調製例1で得た水系磁性液を、水で固形分濃度0.2質量%となるように希釈した。
HORRIBA社製動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500を用いて測定した上記希釈液中の平均粒子径を、分散粒子径とした。
[実施例1]
(1)表面改質された磁性粒子の調製
表面改質剤として4−tert−ブチルフェノール 0.20部、水3.9部、水酸化ナトリウム0.05部からなる水溶液を、調製例1で作製した水系磁性液42部に添加した。得られた混合物水溶液を、Himac社製超遠心分離機CS150GXLを用い、10万回転×100分(60万G)の条件で遠心分離し、固形物1を得た。
固形物1を140℃/36時間にて乾燥させた後、乳鉢で粉砕し、磁性体1を得た。後述の方法にて磁性体1に表面改質剤が吸着していることを確認した。
(2)磁性塗料の調製
上記で得られた磁性体1 1.0部をポリエステルポリウレタン0.14部、メチルエチルケトン(2−ブタノン)1.6部、シクロヘキサノン1.1部からなる溶液に懸濁させた。0.1mmφジルコニアビーズ10部を添加し、超音波照射にて10分間分散させ、磁性塗料1を得た。得られた磁性塗料1中のバリウムフェライト磁性粒子の液中粒径(分散粒子径)を以下の方法で測定したところ52nmであった。また、分散時間を延長することで、分散粒子径を更に小さくすることができた。
(分散粒子径の測定方法)
磁性塗料1を、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンを体積比でシクロヘキサノン6.0:メチルエチルケトン9.0の割合で含む混合液で固形分濃度0.2質量%となるように希釈した(固形分とは磁性粒子およびポリウレタン樹脂の合計質量を表す)。
HORRIBA社製動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500を用いて測定した上記希釈液中の平均粒子径を分散粒子径とした。分散粒子径が小さいほど、磁性粒子が凝集せず分散性が良好であることを意味する。
(表面改質剤被覆の確認)
磁性体1を5mg秤量し示差熱分析装置(セイコーインスツルメンツ社製TG/DTA6300)を用いて、10℃/1分の昇温速度で30℃から500℃まで昇温させた。本実施例で使用した表面改質剤が揮発する温度域である250℃から500℃までで質量減少が確認されたことから、磁性粒子表面に表面改質剤が吸着していることが確認された。
[実施例2]
(1)表面改質された磁性粒子の調製
調製例1で作製した水系磁性液に添加する水溶液を、表面改質剤としてカテコール0.15部、水2.8部、水酸化ナトリウム0.05部からなる水溶液に変更した点以外は実施例1と同様の方法で磁性体2を作製した。実施例1と同様の方法で示差熱分析を行ったところ、本実施例で使用した表面改質剤が揮発する温度域である250℃から500℃までで質量減少が確認されたことから、磁性粒子表面に表面改質剤が吸着していることが確認された。
(2)磁性塗料の調製
使用する磁性体を、上記で得られた磁性体2 1.0部に変更した点以外は実施例1と同様の方法で磁性塗料2を作製した。得られた磁性塗料中の分散粒子径を実施例1と同様の方法で測定したところ、55nmであった。また、分散時間を22分に延長したところ、分散粒子径は41nmになった。
[実施例3]
(1)表面改質された磁性粒子の調製
調製例1で作製した水系磁性液に添加する水溶液を、表面改質剤として2,3−ジヒドロキシナフタレン0.22部、水4.1部、水酸化ナトリウム0.05部からなる水溶液に変更した点以外は実施例1と同様の方法で磁性体3を作製した。実施例1と同様の方法で示差熱分析を行ったところ、本実施例で使用した表面改質剤が揮発する温度域である250℃から500℃までで質量減少が確認されたことから、磁性粒子表面に表面改質剤が吸着していることが確認された。
(2)磁性塗料の調製
使用する磁性体を、上記で得られた磁性体3 1.0部に変更した点以外は実施例1と同様の方法で磁性塗料3を作製した。得られた磁性塗料中の分散粒子径を実施例1と同様の方法で測定したところ、55nmであった。また、分散時間を延長することで、分散粒子径を更に小さくすることができた。
[比較例1]
使用する磁性体を、磁性体1から調製例1で原料磁性体として使用したバリウムフェライト磁性粒子1.0部に変更した点以外は実施例1と同様の方法で比較磁性塗料1を作製した。得られた磁性塗料中の分散粒子径を実施例1と同様の方法で測定したところ、78nmであった。また、分散時間を10分から延長したところ、分散時間20分で分散粒子径は60nmになり、その直後、過分散により再凝集が起こり分散粒子径は100nm以上になり、以降は分散粒子径60nm以下の磁性塗料は得られなかった。
これに対し上記のように実施例では長期の分散を行うほど分散粒子径を小さくできたことから、表面改質剤が過分散の発生を抑制する効果を発揮したことも確認できる。
比較例1で使用した原料磁性体について、実施例1と同様の方法で示差熱分析を行ったところ、250℃から500℃の温度域に質量減少は見られなかったことから、実施例で観察された質量減少は磁性粒子に吸着していた表面改質剤が揮発したことによるものであることが確認された。
[比較例2]
(1)表面改質された磁性粒子の調製
調製例1で作製した水系磁性液に添加する水溶液を、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン0.27部、水5.1部、水酸化ナトリウム0.05部からなる水溶液に変更した点以外は実施例1と同様の方法で比較磁性体2を作製した。実施例1と同様の方法で示差熱分析を行ったところ、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタンが揮発する温度域である250℃から500℃までで質量減少が確認されたことから、磁性粒子表面に2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタンが吸着していることが確認された。
(2)磁性塗料の調製
使用する磁性体を、上記で得られた比較磁性体2 1.0部に変更した点以外は実施例1と同様の方法で比較磁性塗料2を作製した。得られた磁性塗料中の分散粒子径を実施例1と同様の方法で測定したところ、65nmであった。分散時間を20分に延長したところ過分散により最凝集が起こり分散粒子径は100nm以上になり、以降は分散粒子径65nm以下の磁性塗料は得られなかった。
実施例は比較例と比較して同じ分散時間での分散粒子径が小さかったことから、本発明によれば、高度な分散状態で磁性粒子を含む磁性塗料を高い分散負荷を掛けることなく容易に得ることができることが確認された。こうして得られた磁性塗料を用いることで、磁性粒子が高度に分散された磁性層を形成することができ、これにより優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体を得ることが可能となる。
本発明は、バックアップテープ等の高密度記録用磁気記録媒体の製造分野に有用である。

Claims (11)

  1. 表面改質された磁性粒子の製造方法であって、
    酸性水系溶媒中に磁性粒子が分散してなる水系磁性液に、水酸基およびそのアルカリ金属塩基からなる群から選択される極性基を有する芳香族化合物(但し、複数の芳香族環が連結基を介して結合している芳香族化合物については、連結する2つの環のうちの一方にのみ上記極性基を含む。)を添加し、次いで上記水系磁性液から磁性粒子を捕集することにより、上記化合物が被着することで表面改質された磁性粒子を得ることを特徴とする、前記製造方法。
  2. 前記化合物は、前記極性基を1つまたは2つ有する芳香族化合物である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記芳香族化合物に含まれる芳香族環はベンゼン環またはナフタレン環である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記磁性粒子は六方晶フェライト磁性粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって得られた磁性粒子。
  6. 磁気記録用磁性粉として使用される、請求項5に記載の磁性粒子。
  7. 請求項5または6に記載の磁性粒子と有機溶媒とを含む磁性塗料。
  8. 結合剤を更に含む、請求項7に記載の磁性塗料。
  9. 磁気記録媒体の磁性層形成のために使用される、請求項7または8に記載の磁性塗料。
  10. 請求項8または9に記載の磁性粒子を有機溶媒および結合剤とともに分散処理して磁性塗料を作製し、作製した磁性塗料を用いて磁性層を形成することを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  11. 請求項10に記載の方法により得られた磁気記録媒体。
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