JP2013131971A - 補正値の決定方法並びに補正値決定装置、無線通信装置及び通信装置 - Google Patents

補正値の決定方法並びに補正値決定装置、無線通信装置及び通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】送信信号に設定されるウェイトを求めるために使用される適切な補正値を簡単に決定することが可能な技術を提供する。
【解決手段】受信信号に基づいて求められたウェイトに対して補正値を設定して得られるウェイトが設定された、基準アンテナ及び決定対象アンテナからの送信信号の干渉波方向送信電力が測定される。決定対象アンテナについての補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を変化させながら干渉波方向送信電力が測定される。少なくとも3つの測定値において極小値が存在すると判定されると、当該極小値に対応する、補正値の位相成分あるいは振幅成分の値が適切値として採用される。極小値が存在しないと判定されると、補正値の位相成分あるいは振幅成分の新たな値についての干渉波方向送信電力が測定され、その測定値を含む少なくとも3つの測定値において極小値が存在するか否かが判定される。
【選択図】図7

Description

本発明は、無線通信技術に関する。
従来から無線通信に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、複数のアンテナでの指向性を制御して無線通信を行う無線通信装置に関する技術が開示されている。
特開2001−223516号公報
さて、複数のアンテナでの指向性を制御して無線通信を行う無線通信装置においては、受信信号に基づいて、複数のアンテナでの受信指向性を制御するための受信ウェイトが求められる。そして、複数のアンテナでの送信指向性を制御するための送信ウェイトが、受信ウェイトから求められることがある。
受信ウェイトを送信ウェイトとしてそのまま使用することは可能であるものの、受信回路と送信回路との間には特性の相違(例えば、受信回路と送信回路の増幅部の特性の相違)があるため、受信ウェイトを補正したものを、送信信号に設定する送信ウェイトとして使用することがある。この場合には、受信ウェイトに設定する適切な補正値を決定する必要がある。
また、上記のような無線通信装置においては、受信ウェイトから送信ウェイトが求められるのではなく、受信信号から直接送信ウェイトが求められることもある。この送信ウェイトをそのまま送信信号に設定することは可能であるものの、送信ウェイトを求める際に使用した受信信号の受信回路と、送信ウェイトが設定された送信信号が送信される送信回路との間には特性の相違があることから、最終的に使用する送信ウェイトとして、受信信号に基づいて求めた送信ウェイトを補正したものを採用することがある。この場合においても、適切な補正値を決定する必要がある。
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、複数のアンテナから送信される送信信号に設定されるウェイトを求めるために使用される適切な補正値を簡単に決定することが可能な技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る補正値の決定方法は、複数のアンテナを備える無線通信装置が、当該複数のアンテナで受信された受信信号に基づいて求めた、当該複数のアンテナでの指向性を制御するためのウェイトを補正することによって、当該複数のアンテナから送信する送信信号に設定する設定ウェイトを求める際に使用する補正値の決定方法であって、(a)前記複数のアンテナから決定される基準アンテナ及び決定対象アンテナから成る2つのアンテナを用いて干渉波を受信する工程と、(b)前記工程(a)での受信信号に基づいて、前記2つのアンテナでの指向性に関するヌルを、前記工程(a)で受信される干渉波の到来方向に向けるためのウェイトを求める工程と、(c)前記工程(b)で求められたウェイトに対して前記補正値を設定して得られる設定ウェイトが設定された、前記2つのアンテナから送信される送信信号に関して、前記干渉波の到来方向での送信電力を測定する工程とを備え、前記工程(c)においては、前記決定対象アンテナから送信される送信信号に設定される設定ウェイトを求める際に使用される前記補正値である対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を変化させながら各値についての前記送信電力が測定され、(d)前記工程(c)での少なくとも3つの測定値において極小値が存在するか否かを判定する工程と、(e)前記工程(d)において極小値が存在すると判定されると、当該極小値に対応する、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値として採用する工程とをさらに備え、前記工程(c)においては、前記工程(d)において極小値が存在しないと判定されると、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の新たな値についての前記送信電力が測定され、前記工程(d)においては、前記工程(c)において前記新たな値についての前記送信電力が測定されると、その測定値を含む前記工程(c)での少なくとも3つの測定値において極小値が存在するか否かが判定される。
また、本発明に係る補正値の決定方法の一態様では、前記工程(c)〜(e)の工程群が、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の値の変化ステップを小さくしながら複数回実行され、前後で実行される2つの前記工程群に関して、後に実行される前記工程群での前記工程(d)において極小値が存在するか否かについて最初に判定される際に使用される前記工程(c)での少なくとも3つの測定値が求められるときに使用される、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分についての少なくとも3つの値の一つには、先に実行された前記工程群での前記工程(e)で求められた前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値が採用される。
また、本発明に係る補正値の決定方法の一態様では、前記工程(d)においては、前記工程(c)で得られた、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の第1乃至第3設定値(第1設定値<第2設定値<第3設定値)についての前記送信電力の測定値において極小値が存在するか否かと、当該第1乃至第3設定値についての前記送信電力の測定値が右上がり傾向にあるか右下がり傾向にあるかが判定され、前記工程(c)は、(c−1)前記工程(d)において、極小値が存在しないと判定され、かつ前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の第1乃至第3設定値についての前記送信電力の測定値が右上がり傾向にあると判定されると、当該第1及び第2設定値をそれぞれ新たな第2及び第3設定値とし、かつ当該第1設定値よりも小さい値を新たな第1設定値とし、当該新たな第1設定値についての前記送信電力を測定する工程と、(c−2)前記工程(d)において、極小値が存在しないと判定され、かつ前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の第1乃至第3設定値についての前記送信電力の測定値が右下がり傾向にあると判定されると、当該第2及び第3設定値をそれぞれ新たな第1及び第2設定値とし、かつ当該第3設定値よりも大きい値を新たな第3設定値とし、当該新たな第3設定値についての前記送信電力を測定する工程とを有し、前記工程(d)は、(d−1)前記工程(c−1)が実行されると、新たな第1乃至第3設定値についての前記送信電力の測定値において極小値が存在するか否かを判定する工程と、(d−2)前記工程(c−2)が実行されると、新たな第1乃至第3設定値についての前記送信電力の測定値において極小値が存在するか否かを判定する工程とを有する。
また、本発明に係る補正値の決定方法の一態様では、周波数方向に並ぶ複数の周波数のそれぞれにおける設定ウェイトを求めるための前記補正値を決定するために、当該複数の周波数のそれぞれについて前記工程(a)〜(e)が実行され、前記複数の周波数におけるある周波数についての前記工程(d)において極小値が存在するか否かについて最初に判定される際に使用される前記工程(c)での少なくとも3つの測定値が求められるときに使用される、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分についての少なくとも3つの値の一つに、前記複数の周波数において当該ある周波数の隣に位置する周波数について前記工程(e)で求められた前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値が採用される。
また、本発明に係る補正値決定装置は、複数のアンテナを備える無線通信装置が、当該複数のアンテナで受信された受信信号に基づいて求めた、当該複数のアンテナでの指向性を制御するためのウェイトを補正することによって、当該複数のアンテナから送信する送信信号に設定する設定ウェイトを求める際に使用する補正値を決定する補正値決定装置であって、前記無線通信装置に設けられ、前記複数のアンテナから決定される基準アンテナ及び決定対象アンテナから成る2つのアンテナを用いて干渉波を受信する受信部と、前記無線通信装置に設けられ、前記受信部で受信された受信信号に基づいて、前記2つのアンテナでの指向性に関するヌルを前記受信部で受信される干渉波の到来方向に向けるためのウェイトを求める第1ウェイト算出部と、前記無線通信装置に設けられ、前記第1ウェイト算出部で求められたウェイトに対して前記補正値を設定して、前記2つのアンテナから送信される送信信号に設定する設定ウェイトを求める第2ウェイト算出部と、前記無線通信装置に設けられ、前記第2ウェイト算出部で求められた設定ウェイトが設定された送信信号を前記2つのアンテナから送信する送信部と、前記送信部から送信される送信信号に関して、前記干渉波の到来方向での送信電力を測定する測定部とを備え、前記決定対象アンテナから送信される送信信号に設定される設定ウェイトを求める際に使用される前記補正値である対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の値が変化させられて、前記測定部では、当該対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の各値についての前記送信電力が測定され、前記測定部での少なくとも3つの測定値において極小値が存在するか否かを判定する判定部と、前記判定部において極小値が存在すると判定されると、当該極小値に対応する、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値として採用する補正値決定部とをさらに備え、前記判定部において極小値が存在しないと判定されると、前記測定部では、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の新たな値についての前記送信電力が測定され、前記判定部は、前記測定部において前記新たな値についての前記送信電力が測定されると、その測定値を含む前記測定部での少なくとも3つの測定値において極小値が存在するか否かを判定する。
また、本発明に係る無線通信装置は、複数のアンテナを備え、当該複数のアンテナで受信された受信信号に基づいて求めた、当該複数のアンテナでの指向性を制御するためのウェイトを補正することによって当該複数のアンテナから送信する送信信号に設定する設定ウェイトを求める無線通信装置であって、上記の補正値決定装置に設けられた前記受信部、前記第1ウェイト算出部、前記第2ウェイト算出部及び前記送信部を備える。
また、本発明に係る無線通信装置の一態様では、上記の補正値決定装置に設けられた前記補正値決定部をさらに備える。
また、本発明に係る無線通信装置の一態様では、上記の補正値決定装置に設けられた前記判定部をさらに備える。
また、本発明に係る通信装置は、上記の無線通信装置と通信する通信装置であって、上記の補正値決定装置に設けられた前記測定部及び前記判定部を備える。
また、本発明に係る通信装置の一態様では、上記の補正値決定装置に設けられた前記補正値決定部をさらに備える。
本発明によれば、複数のアンテナから送信される送信信号に設定されるウェイトを求めるために使用される適切な補正値を簡単に決定することができる。
無線通信装置の構成を示す図である。 補正値決定装置の構成を示す図である。 補正値決定装置の動作を示すフローチャートである。 ウェイト補正値の位相成分を変化させた際の干渉波方向送信電力を示すグラフである。 補正値決定装置の動作を示すフローチャートである。 補正値決定装置の動作を示すフローチャートである。 補正値決定装置の動作を示すフローチャートである。 補正値決定装置の動作を示すフローチャートである。 比較対象装置の動作を示すフローチャートである。 比較対象装置の動作を示すフローチャートである。
図1は実施の形態に係る無線通信装置1の構成を示す図である。無線通信装置1は、送受信アンテナとしてアレイアンテナを有し、アダプティブアレイアンテナ方式を用いてアレイアンテナの指向性を制御することが可能である。無線通信装置1は、例えば、携帯電話機等の通信端末と通信する基地局である。
図1に示されるように、無線通信装置1は、複数のアンテナ20から成るアレイアンテナ2と、アンテナ選択部3と、無線通信部4と、有線通信部5と、アンテナ選択部3、無線通信部4及び有線通信部5を制御する制御部6とを備えている。アレイアンテナ2は、例えば4つのアンテナ20で構成されている。
有線通信部5は、無線通信装置1の外部の通信装置と有線通信を行う。有線通信部5は、制御部6で生成されたデータを、当該有線通信部5に有線で接続された外部の通信装置に送信する。また、有線通信部5は、当該有線通信部5に有線で接続された外部の通信装置から送信されるデータを受信して制御部6に入力する。
アンテナ選択部3は、複数のアンテナ20のそれぞれについての無線通信部4への接続を個別に制御する。アンテナ選択部3は、複数のアンテナ20のうち、制御部6によって指示されたアンテナ20だけを無線通信部4に接続する。本実施の形態に係る無線通信装置1では、無線通信部4に対して、後述する通常動作モードでは、アレイアンテナ2を構成する4つのアンテナ20のすべてが接続され、後述する補正値決定モードでは、当該4つのアンテナ20のうちの2つだけが接続されるようになっている。
無線通信部4は、送信部40と受信部41とを備えている。送信部40は、制御部6で生成されるベースバンドの複数の送信信号のそれぞれに対して、D/A変換処理、アップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の複数の送信信号を生成する。そして、送信部40は、生成した搬送帯域の複数の送信信号を、無線通信部4に接続されている複数のアンテナ20にそれぞれ入力する。これにより、無線通信部4に接続されている各アンテナ20から送信信号が無線送信される。
受信部41は、無線通信部4に接続されている複数のアンテナ20でそれぞれ受信される複数の受信信号のそれぞれに対して増幅処理、ダウンコンバート及びA/D変換処理等を行って、ベースバンドの複数の受信信号を生成して制御部6に出力する。
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)及びメモリなどで構成されている。制御部6では、CPU及びDSPがメモリ内の各種プログラムを実行することによって、送信信号生成部60、受信データ取得部61、送信ウェイト処理部62、受信ウェイト処理部63及び補正値記憶部64などの機能ブロックが形成される。
受信ウェイト処理部63は、受信ウェイト設定部630及び受信ウェイト算出部631を備えている。受信ウェイト算出部631は、無線通信部4に接続された複数のアンテナ20全体での受信指向性を制御するための複数の受信ウェイトを算出する。受信ウェイト設定部630は、無線通信部4の受信部41から入力される複数の受信信号に対して、受信ウェイト算出部631で算出された複数の受信ウェイトをそれぞれ設定する。そして、受信ウェイト設定部630は、複数の受信ウェイトがそれぞれ設定された複数の受信信号を合成して新たな受信信号を生成する。受信ウェイトは、複素数で表されていることから、位相成分と振幅成分を有している。
受信データ取得部61は、受信ウェイト設定部630で生成された新たな受信信号に対して復調処理等を行って、当該受信信号に含まれるデータを取得する。
送信信号生成部60はベースバンドの送信信号を生成する。この送信信号は、無線通信部4に接続されているアンテナ20の数だけ生成される。
送信ウェイト処理部62は、送信ウェイト設定部620及び送信ウェイト算出部621を備えている。送信ウェイト算出部621は、無線通信部4に接続されている複数のアンテナ20全体での送信指向性を制御するための複数の送信ウェイトを求める。送信ウェイトは、受信ウェイト算出部631で求められた受信ウェイトから求められる。
送信ウェイト設定部620は、送信信号生成部60で生成された複数の送信信号に対して、送信ウェイト算出部621で求められた複数の送信ウェイトをそれぞれ設定する。そして、送信ウェイト設定部620は、複数の送信ウェイトがそれぞれ設定された複数の送信信号を無線通信部4の送信部40に出力する。これにより、送信部40からは、送信ウェイト算出部で求められた送信ウェイトが用いられて、送信信号生成部60で生成された送信信号がアンテナ20から送信される。送信ウェイトは、複素数で表されていることから、位相成分と振幅成分を有している。
ここで、補正値記憶部64には、後述する通常動作モードにおいて、受信ウェイトから送信ウェイトを求めるために使用される、当該受信ウェイトに設定される補正値(以後、「ウェイト補正値」と呼ぶ)が記憶されている。このウェイト補正値は各アンテナ20に固有の値である。つまり、ウェイト補正値はアンテナ20ごとに用意されている。通常動作モードにおいては、送信ウェイト算出部621は、受信ウェイト算出部631で算出された複数の受信ウェイトのそれぞれに対して、当該受信ウェイトが設定される受信信号を受信したアンテナ20に対応する、補正値記憶部64内のウェイト補正値を設定する。そして、送信ウェイト算出部621は、複数のウェイト補正値がそれぞれ設定された複数の受信ウェイトのそれぞれを、当該受信ウェイトが設定される受信信号を受信したアンテナ20から送信される送信信号に設定する送信ウェイトとする。このようにして、通常動作モードで使用される送信ウェイトが、受信ウェイトとウェイト補正値によって求められる。ウェイト補正値は、複素数で表され、位相成分と振幅成分を有している。
以上のような本実施の形態に係る無線通信装置1では、受信信号に乗算する受信ウェイトを調整することより、無線通信部4に接続された複数のアンテナ20での受信指向性のビーム及びヌルを様々な方向に設定することができる。また、無線通信装置1では、送信信号に乗算する送信ウェイトを調整することより、無線通信部4に接続された複数のアンテナ20での送信指向性のビーム及びヌルを様々な方向に設定することができる。
通常動作モードの無線通信装置1では、受信ウェイトの算出に、例えば、LMS(Least Mean Square)アルゴリズム及びRLS(Recursive Least-Squares)アルゴリズムなどのMMSE(Minimum Mean Squared. Error、最小二乗誤差法)が使用される。受信ウェイトの算出にLMSアルゴリズムあるいはRLSアルゴリズムが使用される場合には、ヌルステアリング及びビームフォーミングの両方が行われる。受信ウェイト算出部631は、LMSアルゴリズムあるいはRLSアルゴリズムを用いて、受信部41で受信された既知信号に基づいて受信ウェイトを算出する。
<通常動作モードと補正値決定モードについて>
本実施の形態に係る無線通信装置1は、動作モードとして、通常動作モードと補正値決定モードとを備えている。通常動作モードとは、無線通信装置1が本来の動作を行う動作モードであって、通常動作モードにおいて、無線通信装置1は、通信相手となる無線通信装置と双方向の無線通信を行う。本実施の形態では、無線通信装置1は、例えば基地局であることから、通常動作モードでは、携帯電話機等の通信端末と双方向の無線通信を行う。
これに対して、補正値決定モードとは、ウェイト補正値の適切値、つまり、無線通信装置1が通常動作モードにおいて使用するウェイト補正値を決定するための動作モードである。ウェイト補正値の適切値は、補正値記憶部64内に記憶される。
本実施の形態に係る無線通信装置1は、有線通信部5に接続された外部通信装置からの指示によって動作モードを切り替える。以下に、ウェイト補正値の決定方法について詳細に説明する。
<補正値決定装置の構成>
本実施の形態では、無線通信装置1と、その有線通信部5に接続された通信装置300とによって、無線通信装置1でのウェイト補正値を決定する補正値決定装置500が構成される。図2は補正値決定装置500の構成を示す図である。無線通信装置1が通常動作モードで使用するウェイト補正値の決定処理については、例えば、当該無線通信装置1の出荷検査段階において行われる。図2に示されるような補正値決定装置500は、無線通信装置1の出荷検査段階において、当該無線通信装置1に通信装置300が接続されることによって構成される。
図2に示されるように、補正値決定装置500は、無線通信装置1と、測定器100及びパーソナルコンピュータ200(以後、単に「コンピュータ200」と呼ぶ)から成る通信装置300とで構成されている。
コンピュータ200は、無線通信装置1の有線通信部5と有線で接続され、当該有線通信部5と通信を行う。測定器100は、例えばスペクトラムアナライザであって、コンピュータ200に接続される。測定器100は、アンテナ101を有しており、そのアンテナ101は無線通信装置1のアレイアンテナ2と対向するように配置されている。測定器100は、アンテナ101から信号を無線送信するとともに、アンテナ101で受信した受信信号の受信電力を測定する。コンピュータ200は、測定器100を制御するとともに、無線通信装置1の有線通信部5に信号を送信することによって当該無線通信装置1を制御する。
測定器100は、CPU及びメモリなどを有している。測定器100では、CPUがメモリ内のプログラムを実行することによって、測定部102及び信号生成部103等の機能ブロックが形成される。測定部102は、アンテナ101で受信される受信信号の受信電力を測定する。信号生成部103はアンテナ101から送信する送信信号を生成する。
コンピュータ200は、CPU及びメモリなどを有している。コンピュータ200には、CPUがメモリ内のプログラムを実行することによって、判定部201及び補正値決定部202等の機能ブロックが形成される。判定部201は、測定部102での複数の測定値において極小値が存在するか否かを判定する。補正値決定部202は、判定部201での判定結果に基づいてウェイト補正値の適切値を決定する。判定部201及び補正値決定部202の動作については後で詳細に説明する。
<補正値決定装置でのウェイト補正値の決定動作>
次に補正値決定装置500でのウェイト補正値の決定動作について説明する。図3はその動作を示すフローチャートである。
図3に示されるように、ステップs1において、コンピュータ200の判定部201は、無線通信装置1の有線通信部5に対して、補正値決定モードで動作することを命令するコマンドを送信する。このコマンドは、無線通信装置1の制御部6に入力される。制御部6は、無線通信装置1の動作モードを補正値決定モードに設定する。
次にステップs2において、判定部201は、アレイアンテナ2において、基準アンテナ20を除く複数のアンテナ20のすべてについてのウェイト補正値が決定された否かを判定する。本実施の形態では、アレイアンテナ2を構成する複数のアンテナ20から基準アンテナ20が選択される。そして、この基準アンテナ20に対応するウェイト補正値を基準として、それに対する相対的な値として、他のアンテナ20に対応するウェイト補正値が決定される。基準アンテナ20についてのウェイト補正値の位相成分及び振幅成分の値、つまりウェイト補正値の基準値の位相成分及び振幅成分の値は、例えば、0°及び1.0にそれぞれに設定される。
ステップs2において、基準アンテナ20を除く複数のアンテナ20のすべてについてのウェイト補正値が決定されたと判定されると、ステップs8において、判定部201は、基準アンテナ20を除く複数のアンテナ20についてのウェイト補正値を無線通信装置1の有線通信部5に通知する。有線通信部5は、通信されたウェイト補正値を制御部6に出力し、制御部6は入力されたウェイト補正値を補正値記憶部64内に記憶する。なお、基準アンテナ20に対応するウェイト補正値(基準値)は、基準アンテナ20を除く複数のアンテナ20についてのウェイト補正値が決定される前に、補正値記憶部64に記憶されている。
ステップs8が実行されると、ステップs9において、判定部201は、無線通信装置1の有線通信部5に対して、通常動作モードで動作することを命令するコマンドを送信する。このコマンドは、無線通信装置1の制御部6に入力される。制御部6は、無線通信装置1の動作モードを通常動作モードに設定する。その後、無線通信装置1は出荷される。通常動作モードで動作する無線通信装置1は、補正値記憶部64内の複数のウェイト補正値を使用して、複数のアンテナ20にそれぞれ対応する複数の送信ウェイトを求める。
ステップs2において、基準アンテナ20を除く複数のアンテナ20のすべてについてのウェイト補正値が決定されていないと判定されると、ステップs3において、判定部201は、基準アンテナ20を除く複数のアンテナ20のうち、ウェイト補正値が決定されていないアンテナ20から、ウェイト補正値を決定する対象のアンテナ20(以後、「決定対象アンテナ20」と呼ぶ)を選択する。そして、判定部201は、選択した決定対象アンテナ20を無線通信装置1の有線通信部5に通知する。有線通信部5は、通知された決定対象アンテナ20を制御部6に通知する。制御部6は、決定対象アンテナ20が通知されると、アンテナ選択部3を制御して、通知された決定対象アンテナ20と基準アンテナ20だけを無線通信部4に接続する。
次にステップs4において、判定部201は、測定器100に対して、干渉波を送信することを指示するコマンドを送信する。このコマンドを受信した測定器100では、信号生成部103が干渉波を生成する。この干渉波はアンテナ101から送信される。測定器100から送信された干渉波は、無線通信装置1において、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から成るアレイアンテナで受信される。
次にステップs5において、無線通信装置1の受信ウェイト算出部631が、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から成るアレイアンテナの受信指向性に関するヌルを、当該アレイアンテナで受信された干渉波の到来方向に向けるための受信ウェイトを求める。ステップs5において、受信ウェイト算出部631は、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20で受信された干渉波と、当該干渉波の理想的な信号である参照信号との相関を求めることによって当該干渉波のアレイ応答ベクトル(チャネル行列とも呼ばれる)を求める。測定器100から送信される干渉波は既知の信号であって、無線通信装置1には予め参照信号が記憶されている。受信ウェイト算出部631で求められるアレイ応答ベクトルは、無線通信装置1と測定器100との間の伝送路の特性を示している。そして、受信ウェイト算出部631は、求めたアレイ応答ベクトル(無線通信装置1と測定器100との間の伝送路の特性)に基づいて、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20での受信指向性に関するヌルを、無線通信装置1で受信された干渉波の到来方向に向けるための受信ウェイトを求める。具体的には、アレイ応答ベクトルをLとし、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20にそれぞれ対応する2つの受信ウェイトから成る受信ウェイトベクトルをWとすると、以下の式(1)を満足するようなWを求めることによって、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20での受信指向性に関するヌルを、無線通信装置1で受信された干渉波の到来方向に向けるための受信ウェイトを求めることができる。
T×W*=0 ・・・(1)
ここで、LTは、アレイ応答ベクトルLの転置ベクトルであって、W*は、受信ウェイトベクトルWの複素共役ベクトルである。
次にステップs6,s7において、補正値決定装置500では、決定対象アンテナ20についてのウェイト補正値が決定される。ステップs6では、決定対象アンテナ20についてのウェイト補正値の位相成分が決定され、ステップs7では、当該ウェイト補正値の振幅成分が決定される。ステップs6,s7については後で詳細に説明する。
ステップs6,s7が実行されて、決定対象アンテナ20についてのウェイト補正値が決定されると、ステップs2が実行されて、基準アンテナ20を除く複数のアンテナ20のすべてについてのウェイト補正値が決定された否かが判定される。その後、同様の処理が実行される。
<ウェイト補正値の決定方法の詳細>
本実施の形態では、ステップs5で求められた受信ウェイトに対してウェイト補正値が設定されて送信ウェイトが求められる。そして、当該送信ウェイトが用いられて基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から送信される送信信号に関して、ステップs4での干渉波の到来方向での送信電力(以後、「干渉波方向送信電力」と呼ぶことがある)が測定される。干渉波方向送信電力は、決定対象アンテナ20についてのウェイト補正値(以後、「対象ウェイト補正値」と呼ぶことがある)の位相成分あるいは振幅成分の値が変化させられながら各値について測定される。そして、干渉波方向送信電力の測定結果に基づいて、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値が求められる。
図4は、対象ウェイト補正値の位相成分の値を変化させた際の干渉波方向送信電力の一例を示す図である。図4では、縦軸及び横軸に干渉波方向送信電力及び位相成分がそれぞれ示されている。
図4に示されるように、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20の2つのアンテナ20だけを用いて送信信号を送信する場合において、決定対象アンテナ20についてのウェイト補正値の位相成分の値を変化させた際には、当該送信信号についての干渉波方向送信電力は一箇所において極小値を示す。干渉波方向送信電力は小さければ小さいほど好ましいことから、この極小値に対応する位相成分の値が、決定対象アンテナ20についてのウェイト補正値の位相成分の適切値となる。
対象ウェイト補正値の振幅成分についても同様であって、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20の2つのアンテナ20だけを用いて送信信号を送信する場合において、決定対象アンテナ20についてのウェイト補正値の振幅成分の値を変化させた際には、当該送信信号についての干渉波方向送信電力は一箇所において極小値を示す。干渉波方向送信電力は小さければ小さいほど好ましいことから、この極小値に対応する振幅成分の値が、決定対象アンテナ20についてのウェイト補正値の振幅成分の適切値となる。
そこで、本実施の形態では、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の値が変化させられながら取得される、干渉波方向送信電力の複数の測定値において極小値を特定し、この極小値に対応する位相成分あるいは振幅成分の値を適切値として採用する。
図5は上述のステップs6での処理を示すフローチャートであって、図6は上述のステップs7での処理を示すフローチャートである。
ステップs6においては、対象ウェイト補正値の位相成分の適切値が段階的に求められる。図5に示されるように、ステップs6では、ステップs60において1次適切値が求められ、ステップs61において1次適切値に基づいてそれよりも適切な2次適切値が求められ、ステップs62において2次適切値に基づいてそれよりも適切な3次適切値が求められる。この3次適切値が、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の位相成分の値として採用される。
同様に、上述のステップs7においては、対象ウェイト補正値の振幅成分の適切値が段階的に求められる。図6に示されるように、ステップs7では、ステップs70において1次適切値が求められ、ステップs71において1次適切値に基づいてそれよりも適切な2次適切値が求められ、ステップs72において2次適切値に基づいてそれよりも適切な3次適切値が求められる。この3次適切値が、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の振幅成分の値として採用される。
図7はステップs60での処理を示すフローチャートであって、図8はステップs70での処理を示すフローチャートである。まずステップs60での処理について詳細に説明する。
ステップs60においては、対象ウェイト補正値の位相成分に対して、中位相値が設定された場合の干渉波方向送信電力の測定値(以後、「第2測定値」と呼ぶ)と、当該中位相値よりも小さい小位相値が設定された場合の干渉波方向送信電力の測定値(以後、「第1測定値」と呼ぶ)と、当該中位相値よりも大きい大位相値が設定された場合の干渉波方向送信電力の測定値(以後、「第3測定値」と呼ぶ)とが比較される。そして、第1〜第3測定値において極小値が存在すれば、その極小値に対応する位相値が対象ウェイト補正値の位相成分の適切値として採用される。一方で、第1〜第3測定値において極小値が存在しない場合には、小位相値、中位相値及び大位相値のそれぞれが変化ステップ(1回の変化量)だけ変更されて、新たな小位相値、中位相値及び大位相値での第1〜第3測定値が比較される。対象ウェイト補正値の位相成分の適切値が求められる際には、対象ウェイト補正値の振幅成分の値は、固定値であって、基準アンテナ20に対応するウェイト補正値(基準値)の振幅成分の値と同じ値、つまり1.0に設定される。
図7に示されるように、ステップs600において、コンピュータ200の判定部201が、中位相値に初期値を設定し、小位相値に(初期値−変化ステップ)を設定し、大位相値に(初期値+変化ステップ)を設定する。初期値としては、基準アンテナ20に対応するウェイト補正値(基準値)の位相成分の値と同じ値、つまり0°が設定される。また、変化ステップとしては例えば40°が設定される。したがって、ステップs600では、小位相値が−40°、中位相値が0°、大位相値が+40°となる。
次にステップs601において、小位相値、中位相値及び大位相値のうち、干渉波方向送信電力が測定されていない位相値についての干渉波方向送信電力が測定される。ステップs600の直後に実行されるステップs601では、小位相値、中位相値及び大位相値のそれぞれについて干渉波方向送信電力が測定されていないことから、小位相値、中位相値及び大位相値のそれぞれについて干渉波方向送信電力が測定される。
ステップs601においては、まず、コンピュータ200の判定部201が、小位相値、中位相値及び大位相値のうち、干渉波方向送信電力が測定されていない位相値(以後、「電力未測定位相値」と呼ぶ)を無線通信装置1に通知する。電力未測定位相値が通知された無線通信装置1では、送信ウェイト算出部621が、上述のステップs5で得られた基準アンテナ20についての受信ウェイトに対してウェイト補正値の基準値を設定(乗算)し、当該ステップs5で得られた決定対象アンテナ20の受信ウェイトに対して、位相成分に電力未測定位相値を設定し、振幅成分に1.0を設定した対象ウェイト補正値を設定(乗算)し、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20のそれぞれについての送信ウェイトを求める。送信ウェイト算出部621において基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20についての送信ウェイトが求められると、送信ウェイト設定部620は、当該送信ウェイトを、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から送信する送信信号に設定して、当該送信信号を送信部40に出力する。これにより、当該送信ウェイトに基づいて基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20での送信指向性が制御されて、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から送信信号が送信される。
基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から送信信号が送信されると、測定器100では、当該送信信号がアンテナ101で受信される。測定器100の測定部102は、アンテナ101の受信信号の受信電力を測定してコンピュータ200に送信する。この受信電力の測定値が、電力未測定位相値についての干渉波方向送信電力の測定値となる。これにより、電力未測定位相値についての干渉波方向送信電力の測定値がコンピュータ200に入力される。ステップs601では、小位相値、中位相値及び大位相値のうちの電力未測定位相値のすべてについて干渉波方向送信電力が測定される。
ステップs601において、電力未測定位相値についての干渉波方向送信電力の測定値が得られて、第1〜第3測定値のすべてが得られると、ステップs602において、コンピュータ200の判定部201は、第1〜第3測定値の関係を判定する。判定部201が、第1〜第3測定値が右上がり傾向にあると判定すると、ステップs603が実行される。また判定部201が、第1〜第3測定値が右下がり傾向にあると判定すると、ステップs604が実行される。そして、判定部201が第1〜第3測定値のうち第2測定値が最小であると判定すると、つまり、第1〜第3測定値において極小値が存在すると判定すると、ステップs605が実行される。
本実施の形態では、判定部201は、第1〜第3測定値の関係が、第1測定値≧第2測定値≦第3測定値の場合に、第2測定値が最小であると判定する。つまり、本実施の形態では、第2測定値が第1及び第3測定値よりも小さい場合だけではなく、第2測定値が第1測定値と同じであってそれらが第3測定値よりも小さい場合、第2測定値が第3測定値と同じであってそれらが第1測定値よりも小さい場合及び第1〜第3測定値が同じである場合にも、第2測定値が最小であると判定され、第1〜第3測定値において極小値が存在すると判定される。
また本実施の形態では、判定部201は、第1〜第3測定値の関係が、第1測定値<第2測定値≦第3測定値の場合と、第1測定値<第2測定値>第3測定値かつ第1測定値≦第3測定値の場合には、第1〜第3測定値が右上がり傾向にあると判定する。一方で、判定部201は、第1〜第3測定値の関係が、第1測定値≧第2測定値>第3測定値の場合と、第1測定値<第2測定値>第3測定値かつ第1測定値>第3測定値の場合には、第1〜第3測定値が右下がり傾向にあると判定する。
このように、ステップs602においては、第1〜第3測定値において極小値が存在するか否かと、第1〜第3測定値が右上がり傾向にあるか右下がり傾向になるかが判定される。
ステップs602において、第1〜第3測定値において極小値が存在すると判定されると、ステップs605において、補正値決定部202が、当該極小値(第2測定値)に対応する位相値(中位相値)を、対象ウェイト補正値の位相成分の適切値として採用する。これにより、対象ウェイト補正値の位相成分の1次適切値が求められる。
また、第1〜第3測定値が右上がり傾向にあるときに実行されるステップs603においては、判定部201が、現在の小位相値から変化ステップを差し引いて得られる値を新たな小位相値とし、現在の小位相値を新たな中位相値とし、現在の中位相値を新たな大位相値とする。これにより、小位相値、中位相値及び大位相値のそれぞれが変化ステップ分だけ小さくなる。第1〜第3測定値が右上がり傾向にあるときには、対象ウェイト補正値の位相成分と干渉波方向送信電力との関係において(図4参照)、対象ウェイト補正値の位相成分を小さくする方向に、干渉波方向送信電力の極小値が存在すると推定することができることから、本実施の形態では、第1〜第3測定値が右上がり傾向にあるときには、小位相値、中位相値及び大位相値のそれぞれを小さくしている。
一方で、第1〜第3測定値が右下がり傾向にあるときに実行されるステップs604においては、判定部201が、現在の中位相値を新たな小位相値とし、現在の大位相値を新たな中位相値とし、現在の大位相値に対して変化ステップを足し合わせたものを新たな大位相値とする。これにより、小位相値、中位相値及び大位相値のそれぞれが変化ステップ分だけ大きくなる。第1〜第3測定値が右下がり傾向にあるときには、ウェイト補正値の位相成分と干渉波方向送信電力との関係において、ウェイト補正値の位相成分を大きくする方向に、干渉波方向送信電力の極小値が存在すると推定することができることから、本実施の形態では、第1〜第3測定値が右下がり傾向にあるときには、小位相値、中位相値及び大位相値のそれぞれを大きくしている。
ステップs603が実行されると、上述のステップs601が再度実行される。ステップs603が実行されると、新たな中位相値は前の小位相値であり、新たな大位相値は前の中位相値であることから、新たな中位相値及び新たな大位相値のそれぞれについては、すでに干渉波方向送信電力の測定値が得られていることになる。つまり、新たな第2測定値は前の第1測定値であり、新たな第3測定値は前の第2測定値である。一方で、新たな小位相値は、前の小位相値から変化ステップを差し引いて得られた値であることから、当該新たな小位相値についての干渉波方向送信電力の測定値は得られていないことになる。したがって、ステップs603に続くステップs601においては、小位相値だけが電力未測定位相値となり、小位相値についての干渉波方向送信電力だけが測定部102で測定され、その測定値がコンピュータ200に入力される。その後、ステップs602が実行されて、以後、同様の処理が行われる。
また、ステップs604が実行されると、上述のステップs601が再度実行される。ステップs604が実行されると、新たな小位相値は前の中位相値であり、新たな中位相値は前の大位相値であることから、新たな小位相値及び新たな中位相値のそれぞれについては、すでに干渉波方向送信電力の測定値が得られていることになる。つまり、新たな第1測定値は前の第2測定値であり、新たな第2測定値は前の第3測定値である。一方で、新たな大位相値は、前の大位相値に対して変化ステップを足し合わせた値であることから、当該新たな大位相値についての干渉波方向送信電力の測定値は得られていないことになる。したがって、ステップs604に続くステップs601においては、大位相値だけが電力未測定位相値となり、大位相値についての干渉波方向送信電力だけが測定部102で測定され、その測定値がコンピュータ200に入力される。その後、ステップs602が実行されて、以後、同様の処理が行われる。
このように、本実施の形態では、対象ウェイト補正値の位相成分の値を変化させて、各値についての干渉波方向送信電力が測定される。そして、複数の測定値(第1〜第3測定値)において極小値が存在すると判定されると、当該極小値に対応する位相成分の値が適切値とされている。一方で、当該複数の測定値において極小値が存在しないと判定されると、位相成分についての新たな値について干渉波方向送信電力が測定される。そして、その測定値を含む複数の測定値(新たな第1〜第3測定値)において干渉波方向送信電力の極小値が存在するか否かが判定される。
ステップs60が実行されて、対象ウェイト補正値の位相成分の1次適切値が求められると、ステップs61が実行される。ステップs61での処理は、ステップs60での処理において、ステップs600での中位相値に設定される初期値と変化ステップが異なるだけである。ステップs60では中位相値の初期値として0°が採用されていたが、ステップs61では中位相値の初期値としてステップs60で求められた1次適切値が採用される。またステップs61での変化ステップは、ステップs60での変化ステップよりも小さくなっている。ステップs61での変化ステップとしては、例えば10°が採用される。ステップs60においては、対象ウェイト補正値の位相成分の値が0°(ウェイト補正値の基準値の位相成分の値)から40°刻みで変化させられていたが、ステップs61においては1次適切値から10°刻みで変化させられることになる。ステップs61でのステップs605で求められた対象ウェイト補正値の位相成分の適切値が2次適切値となる。
このように、ステップs61においては、対象ウェイト補正値の位相成分の初期値が1次適切値に設定されるとともに、変化ステップが、1次適切値を求めたときよりも小さく設定されている。したがって、ステップs61においては、ウェイト補正値の位相成分に関して、1次適切値の近傍に存在する、それよりも適切な値が、2次適切値として求められる。
ステップs61が実行されて、対象ウェイト補正値の位相成分の2次適切値が求められると、ステップs62が実行される。ステップs62での処理は、ステップs61での処理において、ステップs600での中位相値に設定される初期値と変化ステップが異なるだけである。ステップs62では中位相値の初期値としてステップs61で求められた2次適切値が採用される。またステップs62での変化ステップは、ステップs61での変化ステップよりも小さくなっている。ステップs62での変化ステップとしては、例えば2°が採用される。ステップs62においては、対象ウェイト補正値の位相成分の値が、2次適切値から2°刻みで変化させられることになる。ステップs62でのステップs606で求められた対象ウェイト補正値の位相成分の適切値が3次適切値となる。
このように、ステップs62においては、対象ウェイト補正値の位相成分の初期値が2次適切値に設定されるとともに、変化ステップが、2次適切値を求めたときよりも小さく設定されている。したがって、ステップs62においては、ウェイト補正値の位相成分に関して、2次適切値の近傍に存在する、それよりも適切な値が、3次適切値として求められる。
以上のように、本実施の形態に係るステップs6においては、まず、対象ウェイト補正値の位相成分の値が粗く変化させられて(40°刻み)、干渉波方向送信電力がある程度小さくなるような値が1次適切値として求められる。その後、1次適切値を基準として、対象ウェイト補正値の位相成分の値が少し細かく変化させられて(10°刻み)、干渉波方向送信電力がより小さくなるような値が2次適切値として求められる。そして、2次適切値を基準として、対象ウェイト補正値の位相成分の値がさらに細かく変化させられて(2°刻み)、干渉波方向送信電力が十分に小さくなるような値が3次適切値として求められる。この3次適切値が、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の位相成分の値として使用される。
なお、上記の例では、対象ウェイト補正値の位相成分について3次適切値まで求めていたが、2次適切値まで求めて、当該2次適切値を、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の位相成分の値として使用しても良い。また、対象ウェイト補正値の位相成分について4次以上の適切値まで求めて、最終次の適切値を、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の位相成分の値として使用しても良い。第N(N≧2)次の適切値が求められる際には、中振幅値の初期値には第(N−1)次の適切値が採用されるとともに、変化ステップが第(N−1)次の適切値が求められる際よりも小さく設定される。
また、対象ウェイト補正値の位相成分の適切値を段階的に求めるのではなく、ステップs6においてステップs60だけを行い、対象ウェイト補正値の位相成分の1次適切値を、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の位相成分の値として使用しても良い。
次に図8を参照してステップs70での処理について詳細に説明する。ステップs70での処理は、上述のステップs60と比較して、対象ウェイト補正値の位相成分の値を変化させるか、対象ウェイト補正値の振幅成分の値を変化させるかの相違はあるものの、ステップs60での処理と同様である。ステップs70においては、対象ウェイト補正値の振幅成分に対して、中振幅値が設定された場合の干渉波方向送信電力の測定値(以後、「第5測定値」と呼ぶ)と、当該中振幅値よりも小さい小振幅値が設定された場合の干渉波方向送信電力の測定値(以後、「第4測定値」と呼ぶ)と、当該中振幅値よりも大きい大振幅値が設定された場合の干渉波方向送信電力の測定値(以後、「第6測定値」と呼ぶ)とが比較される。そして、第4〜第6測定値において極小値が存在すれば、その極小値に対応する振幅値が対象ウェイト補正値の振幅成分の適切値として採用される。一方で、第4〜第6測定値において極小値が存在しない場合には、小振幅値、中振幅値及び大振幅値のそれぞれが変化ステップだけ変更されて、新たな小振幅値、中振幅値及び大振幅値での第4〜第6測定値が比較される。対象ウェイト補正値の振幅成分の適切値が求められる際には、対象ウェイト補正値の位相成分には上記のステップs62で求められた3次適切値が設定される。
図8に示されるように、ステップs700において、判定部201が、中振幅値に初期値を設定し、小振幅値に(初期値−変化ステップ)を設定し、大振幅値に(初期値+変化ステップ)を設定する。初期値としては、基準アンテナ20に対応するウェイト補正値(基準値)の振幅成分の値と同じ値、つまり1.0が設定される。また、変化ステップとしては例えば0.5が設定される。
ステップs700が実行されると、ステップs701〜s705が実行される。ステップs701〜s705での処理は、上述のステップs601〜s605での処理と同様である。ステップs701〜s705については、ステップs601〜s605の上記説明において、位相成分を振幅成分に置き換え、小位相値、中位相値及び大位相値を小振幅値、中振幅値及び大振幅値にそれぞれ置き換え、第1〜第3測定値を第4〜第6測定値にそれぞれ置き換えることによって説明される。
ステップs702において、第4〜第6測定値において極小値が存在すると判定されると、ステップs705において、補正値決定部202が、当該極小値(第5測定値)に対応する振幅値(中振幅値)を、対象ウェイト補正値の振幅成分の適切値として採用する。これにより、対象ウェイト補正値の振幅成分の1次適切値が求められる。
ステップs703が実行されると、上述のステップs701が再度実行される。ステップs703が実行されると、新たな中振幅値は前の小振幅値であり、新たな大振幅値は前の中振幅値であることから、新たな中振幅値及び新たな大振幅値のそれぞれについては、すでに干渉波方向送信電力の測定値が得られていることになる。つまり、新たな第5測定値は前の第4測定値であり、新たな第6測定値は前の第5測定値である。一方で、新たな小振幅値は、前の小振幅値から変化ステップを差し引いて得られた値であることから、当該新たな小振幅値についての干渉波方向送信電力の測定値は得られていないことになる。したがって、ステップs703に続くステップs701においては、小振幅値だけについて干渉波方向送信電力が測定部102で測定され、その測定値がコンピュータ200に入力される。その後、ステップs702が実行されて、以後、同様の処理が行われる。
また、ステップs704が実行されると、上述のステップs701が再度実行される。ステップs704が実行されると、新たな小振幅値は前の中振幅値であり、新たな中振幅値は前の大振幅値であることから、新たな小振幅値及び新たな中振幅値のそれぞれについては、すでに干渉波方向送信電力の測定値が得られていることになる。つまり、新たな第4測定値は前の第5測定値であり、新たな第5測定値は前の第6測定値である。一方で、新たな大振幅値は、前の大振幅値に対して変化ステップを足し合わせた値であることから、当該新たな大振幅値についての干渉波方向送信電力の測定値は得られていないことになる。したがって、ステップs704に続くステップs701においては、大振幅値だけについて干渉波方向送信電力が測定部102で測定され、その測定値がコンピュータ200に入力される。その後、ステップs702が実行されて、以後、同様の処理が行われる。
このように、本実施の形態では、対象ウェイト補正値の振幅成分の値を変化させて、各値についての干渉波方向送信電力が測定される。そして、複数の測定値(第4〜第6測定値)において極小値が存在すると判定される場合には、当該極小値に対応する振幅成分の値が適切値とされている。一方で、当該複数の測定値において極小値が存在しないと判定される場合には、振幅成分についての新たな値について干渉波方向送信電力が測定される。そして、その測定値を含む複数の測定値(新たな第4〜第6測定値)において干渉波方向送信電力の極小値が存在するか否かが判定される。
ステップs70が実行されて、対象ウェイト補正値の振幅成分の1次適切値が求められると、ステップs71が実行される。ステップs71での処理は、ステップs70での処理において、ステップs700での中振幅値に設定される初期値と変化ステップが異なるだけである。ステップs70では中振幅値の初期値として1.0が採用されていたが、ステップs71では中振幅値の初期値としてステップs70で求められた1次適切値が採用される。またステップs71での変化ステップは、ステップs70での変化ステップよりも小さくなっている。ステップs71での変化ステップとしては、例えば0.1が採用される。ステップs70においては、対象ウェイト補正値の振幅成分の値が1.0から0.5刻みで変化させられていたが、ステップs71においては1次適切値から0.1刻みで変化させられることになる。ステップs71でのステップs705で求められた対象ウェイト補正値の振幅成分の適切値が2次適切値となる。
このように、ステップs71においては、対象ウェイト補正値の振幅成分の初期値が1次適切値に設定されるとともに、変化ステップが、1次適切値を求めたときよりも小さく設定されている。したがって、ステップs71においては、対象ウェイト補正値の振幅成分に関して、1次適切値の近傍に存在する、それよりも適切な値が、2次適切値として求められる。
ステップs71が実行されて、対象ウェイト補正値の振幅成分の2次適切値が求められると、ステップs72が実行される。ステップs72での処理は、ステップs71での処理において、ステップs700での中振幅値に設定される初期値と変化ステップが異なるだけである。ステップs72では中振幅値の初期値としてステップs71で求められた2次適切値が採用される。またステップs72での変化ステップは、ステップs71での変化ステップよりも小さくなっている。ステップs72での変化ステップとしては、例えば0.02が採用される。ステップs72においては、対象ウェイト補正値の振幅成分の値が、2次適切値から0.02刻みで変化させられることになる。ステップs72でのステップs705で求められた対象ウェイト補正値の振幅成分の適切値が3次適切値となる。
このように、ステップs72においては、対象ウェイト補正値の振幅成分の初期値が2次適切値に設定されるとともに、変化ステップが、2次適切値を求めたときよりも小さく設定されている。したがって、ステップs72においては、対象ウェイト補正値の振幅成分に関して、2次適切値の近傍に存在する、それよりも適切な値が、3次適切値として求められる。
以上のように、本実施の形態に係るステップs7においては、まず、対象ウェイト補正値の振幅成分の値が粗く変化させられて(0.5刻み)、干渉波方向送信電力がある程度小さくなるような値が1次適切値として求められる。その後、1次適切値を基準として、対象ウェイト補正値の振幅成分の値が少し細かく変化させられて(0.1刻み)、干渉波方向送信電力がより小さくなるような値が2次適切値として求められる。そして、2次適切値を基準として、対象ウェイト補正値の振幅成分の値がさらに細かく変化させられて(0.02刻み)、干渉波方向送信電力が十分に小さくなるような値が3次適切値として求められる。この3次適切値が、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の振幅成分の値として使用される。
なお、対象ウェイト補正値の位相成分と同様に、対象ウェイト補正値の振幅成分について、2次適切値まで求めて、当該2次適切値を、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の振幅成分の値として使用しても良い。また、対象ウェイト補正値の振幅成分について4次以上の適切値まで求めて、最終次の適切値を、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の振幅成分の値として使用しても良い。第N次の適切値が求められる際には、中振幅値の初期値には第(N−1)次の適切値が採用されるとともに、変化ステップが第(N−1)次の適切値が求められる際よりも小さく設定される。
また、対象ウェイト補正値の振幅成分の適切値を段階的に求めるのではなく、ステップs7においてステップs70だけを行い、対象ウェイト補正値の振幅成分の1次適切値を、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の振幅成分の値として使用しても良い。
以上のように、本実施の形態に係る補正値決定装置500では、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を変化させながら干渉波方向送信電力を測定し、それによって得られた複数の測定値において極小値が存在するか否かを判定している。そして、当該複数の測定値において極小値が存在すると判定される場合には、その極小値に対応する、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を、当該位相成分あるいは当該振幅成分の適切値としている。一方で、当該複数の測定値において極小値が存在しないと判定される場合には、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分についての新たな値での干渉波方向送信電力を測定し、その測定値を含む複数の測定値において極小値が存在するか否かを判定している。これにより、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分についての適切値を求めるまでの干渉波方向送信電力の測定回数を低減することができる。以下に、この点について詳細に説明する。
図9は、本実施の形態に係る補正値決定装置500と比較される装置(以後、「比較対象装置」と呼ぶ)での動作を示すフローチャートである。比較対象装置の構成は、補正値決定装置500の構成と同様である。図9においては、図7に示される、本実施の形態に係る対象ウェイト補正値の位相成分の決定方法に対応する方法が示されている。
比較対象装置は、対象ウェイト補正値の位相成分の値を、位相変化下限値から位相変化上限値まで変化させて、干渉方向送信電力が最小となる位相値を特定する。そして、比較対象装置は、特定した位相値を、対象ウェイト補正値の位相成分の適切値とする。比較対象装置において、対象ウェイト補正値の位相成分の適切値が求められる際には、対象ウェイト補正値の振幅成分の値は、基準アンテナ20に対応するウェイト補正値(基準値)の振幅成分の値と同じ値、つまり1.0が採用される。
図9に示されるように、比較対象装置では、ステップs800において、コンピュータ200が、位相変化下限値に(初期値−180°)を設定し、位相変化上限値に(初期値+180°)を設定する。初期値は、基準アンテナ20に対応するウェイト補正値の位相成分の値と同じ値、つまり0°が設定される。
次にステップs801において、コンピュータ200は、対象ウェイト補正値の位相成分の値として設定する位相値(以後、「設定位相値」と呼ぶ)を位相変化下限値とする。そしてコンピュータ200は、ステップs802において、設定位相値が位相変化上限値以下であるかを判定する。ステップs802において、設定位相値が位相変化上限値以下であると判定されると、ステップs803において、対象ウェイト補正値の位相成分の値が設定位相値とされた場合の干渉波方向送信電力が測定される。
ステップs803においては、まずコンピュータ200が、設定位相値を無線通信装置1に通知する。設定位相値が通知された無線通信装置1では、送信ウェイト算出部621が、上述のステップs5で得られた基準アンテナ20についての受信ウェイトに対してウェイト補正値の基準値を設定(乗算)し、当該ステップs5で得られた決定対象アンテナ20の受信ウェイトに対して、位相成分に設定位相値を設定し、振幅成分に1.0を設定したウェイト補正値を設定(乗算)し、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20についての送信ウェイトを求める。送信ウェイト算出部621において基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20についての送信ウェイトが求められると、送信ウェイト設定部620は、当該送信ウェイトを、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から送信する送信信号に設定して、当該送信信号を送信部40に出力する。これにより、当該送信ウェイトに基づいて基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20での送信指向性が制御されて、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から送信信号が送信される。
基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から送信信号が送信されると、測定器100では、当該送信信号がアンテナ101で受信される。測定器100の測定部102は、アンテナ101の受信信号の受信電力を測定してコンピュータ200に送信する。この受信電力の測定値が、設定位相値についての干渉波方向送信電力の測定値となる。これにより、設定位相値についての干渉波方向送信電力の測定値がコンピュータ200に入力される。
ステップs803において設定位相値についての干渉波方向送信電力が測定されると、ステップs804において、コンピュータ200は、現在の設定位相値に対して変化ステップを加算して得られる値を新たな設定位相値とする。そして、コンピュータ200は再度ステップs802を実行して、新たな設定位相値が位相変化上限値以下であるかを判定する。以後、同様の処理が行われる。変化ステップは例えば40°に設定される。
ステップs802において、設定位相値が位相変化上限値よりも大きいと判定されると、つまり、位相変化下限値から位相変化上限値までの各値について干渉波方向送信電力が測定されると、ステップs805において、コンピュータ200は、位相変化下限値から位相変化上限値までの各値について取得された、干渉波方向送信電力の測定値における最小値を特定する。そして、ステップs806において、コンピュータ200は、特定した最小値に対応する設定位相値を、対象ウェイト補正値の位相成分の適切値とする。この適切値は1次適切値とされる。
比較対象装置は、対象ウェイト補正値の位相成分に関して、1次適切値を求めると、当該1次適切値に基づいて2次適切値を求める。比較対象装置は、初期値を1次適切値に変更し、位相変化下限値を(初期値−30°)に変更し、位相変化上限値を(初期値+30°)に変更し、変化ステップを10°に変更して、図9に示されるステップs800〜s806を実行する。このとき、ステップs806で得られる適切値が2次適切値となる。
比較対象装置は、対象ウェイト補正値の位相成分に関して、2次適切値を求めると、当該2次適切値に基づいて3次適切値を求める。比較対象装置は、初期値を2次適切値に変更し、位相変化下限値を(初期値−8°)に変更し、位相変化上限値を(初期値+8°)に変更し、変化ステップを2°に変更して、図9に示されるステップs800〜s806を実行する。このとき、ステップs806で得られる適切値が3次適切値となる。この3次適切値が、無線通信装置1の通常動作モードにおいて使用される対象ウェイト補正値の位相成分の値となる。
このように、比較対象装置では、まず、対象ウェイト補正値の位相成分の値が、位相変化下限値から位相変化上限値までの変化範囲内において粗く変化させられて(40°刻み)、干渉波方向送信電力がある程度小さくなるような値が1次適切値として求められる。その後、対象ウェイト補正値の位相成分の値の変化範囲が狭くされつつ、1次適切値を基準として、対象ウェイト補正値の位相成分の値が少し細かく変化させられて(10°刻み)、干渉波方向送信電力がより小さくなるような値が2次適切値として求められる。そして、対象ウェイト補正値の位相成分の値の変化範囲がさらに狭くされつつ、2次適切値を基準として、対象ウェイト補正値の位相成分の値がさらに細かく変化させられて(2°刻み)、干渉波方向送信電力が十分に小さくなるような値が3次適切値として求められる。この3次適切値が、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の位相成分の値として使用される。
図10は比較対象装置の動作を示すフローチャートである。図10においては、図8に示される、本実施の形態に係る対象ウェイト補正値の振幅成分の決定方法に対応する方法が示されている。
比較対象装置は、対象ウェイト補正値の振幅成分の値を、振幅変化下限値から振幅変化上限値まで変化させて、干渉方向送信電力が最小となる振幅値を特定する。そして、比較対象装置は、特定した振幅値を、対象ウェイト補正値の振幅成分の適切値とする。比較対象装置において、対象ウェイト補正値の振幅成分の適切値が求められる際には、対象ウェイト補正値の位相成分の値は3次適切値とされる。
図10に示されるように、比較対象装置では、ステップs900において、コンピュータ200が、振幅変化下限値に(初期値−1.0)を設定し、振幅変化上限値に(初期値+1.0)を設定する。初期値は、基準アンテナ20に対応するウェイト補正値の振幅成分の値と同じ値、つまり1.0に設定される。また、コンピュータ200は、対象ウェイト補正値の振幅成分の値の変化ステップを0.5に設定する。次にステップs901において、コンピュータ200は、対象ウェイト補正値の振幅成分の値として設定する振幅値(以後、「設定振幅値」と呼ぶ)を振幅変化下限値とする。
ステップs901が実行されると、ステップs902〜s906が実行される。ステップs902〜s906での処理は、上述のステップs802〜s806での処理と同様である。ステップs902〜s906については、ステップs802〜s806の上記説明において、位相成分を振幅成分に置き換え、設定位相値を設定振幅値に置き換え、位相変化下限値及び位相変化上限値を振幅変化下限値及び振幅変化上限値にそれぞれ置き換えることによって説明される。
ステップs905において、振幅変化下限値から振幅変化上限値までの各値について取得された、干渉波方向送信電力の測定値における最小値が特定されると、ステップs906において、コンピュータ200は、当該最小値に対応する設定振幅値を、対象ウェイト補正値の振幅成分の適切値とする。この適切値は1次適切値とされる。
比較対象装置は、対象ウェイト補正値の振幅成分に関して、1次適切値を求めると、当該1次適切値に基づいて2次適切値を求める。比較対象装置は、初期値を1次適切値に変更し、振幅変化下限値を(初期値−0.4)に変更し、位相変化上限値を(初期値+0.4)に変更し、変化ステップを0.1に変更して、図10に示されるステップs900〜s906を実行する。このとき、ステップs906で得られる適切値が2次適切値となる。
比較対象装置は、対象ウェイト補正値の振幅成分に関して、2次適切値を求めると、当該2次適切値に基づいて3次適切値を求める。比較対象装置は、初期値を2次適切値に変更し、振幅変化下限値を(初期値−0.08)に変更し、位相変化上限値を(初期値+0.08)に変更し、変化ステップを0.02に変更して、図10に示されるステップs900〜s906を実行する。このとき、ステップs906で得られる適切値が3次適切値となる。この3次適切値が、無線通信装置1の通常動作モードにおいて使用される対象ウェイト補正値の振幅成分の値となる。
このように、比較対象装置では、まず、対象ウェイト補正値の振幅成分の値が、振幅変化下限値から振幅変化上限値までの変化範囲内において粗く変化させられて(0.5刻み)、干渉波方向送信電力がある程度小さくなるような値が1次適切値として求められる。その後、対象ウェイト補正値の振幅成分の値の変化範囲が狭くされつつ、1次適切値を基準として、対象ウェイト補正値の振幅成分の値が少し細かく変化させられて(0.1刻み)、干渉波方向送信電力がより小さくなるような値が2次適切値として求められる。そして、対象ウェイト補正値の振幅成分の値の変化範囲がさらに狭くされつつ、2次適切値を基準として、対象ウェイト補正値の振幅成分の値がさらに細かく変化させられて(0.02刻み)、干渉波方向送信電力が十分に小さくなるような値が3次適切値として求められる。この3次適切値が、無線通信装置1が通常動作モードで使用する対象ウェイト補正値の振幅成分の値として使用される。
以上のような比較対象装置は、干渉方向送信電力が最小となる、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を適切値として求めるために、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を、変化範囲の下限から上限まで変化ステップごとに変化させている。したがって、比較対象装置においては、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値を求めるための干渉波方向送信電力の測定回数は、変化範囲と変化ステップによって決定されることになる。よって、比較対象装置において、変化ステップが小さくされると、干渉波方向送信電力の測定回数が多くなる。
これに対して、本実施の形態に係る補正値決定装置500では、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から成る2つのアンテナ20を用いて通信する場合においては、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を変化させたときの干渉波方向送信電力の値を示すグラフ(図4)では一箇所において極小値を示すことに着目して、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値を求めるために、干渉波方向送信電力についての複数の測定値において極小値が存在するか否かを判定している。極小値が存在するか否かを判定するためには、干渉波方向送信電力について少なくとも3つの測定値があれば良いことから、変化ステップに関係無く、干渉波方向送信電力についてより少ない測定回数で、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値を求めることが可能となる。よって、適切なウェイト補正値を簡単に決定することができる。
<各種変形例>
<第1変形例>
上記の例では、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値を求める際には、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分についての互いに異なる3つの設定値(小位相値、中位相値及び大位相値、あるいは小振幅値、中振幅値及び大振幅値)における、干渉波方向送信電力についての3つの測定値(第1〜第3測定値あるいは第4〜第6測定値)において極小値が存在するか否かを判定していたが、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分についての互いに異なる4つ以上の設定値における、干渉波方向送信電力についての4つ以上の測定値において極小値が存在するか否かを判定しても良い。一般化すると、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分についての互いに異なるM(≧3)個の設定値における、干渉波方向送信電力についてのM個の測定値において極小値が存在するか否かを判定しても良い。そして、当該M個の測定値において極小値が存在しないと判定される場合には、当該M個の設定値のそれぞれを変化ステップだけ変化させて得られる新たなM個の設定値における、干渉波方向送信電力についてのM個の測定値において極小値が存在するか否かを判定する。これにより、干渉波方向送信電力についてのより少ない測定回数で、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値を求めることが可能となる。
<第2変形例>
上記のステップs600では、中位相値を基準としてそれに初期値を設定していたが、小位相値を基準にしてそれに初期値を設定しても良い。この場合には、中位相値は(初期値+変化ステップ)となり、大位相値は(初期値+2×変化ステップ)となる。また、2次適切値が求められるときには小位相値に対して1次適切値が設定され、3適切値が求められるときには小位相値に対して2次適切値が設定される。
また、上記のステップs600では、大位相値を基準としてそれに初期値を設定しても良い。この場合には、小位相値は(初期値−2×変化ステップ)となり、中位相値は(初期値−変化ステップ)となる。また、2適切値が求められるときには大位相値に対して1次適切値が設定され、3適切値が求められるときには大位相値に対して2次適切値が設定される。
対象ウェイト補正値の振幅成分についても同様であって、上記のステップs700では、小振幅値に初期値を設定しても良いし、大振幅値に初期値を設定しても良い。
<第3変形例>
無線通信装置1が通常動作モードで使用するウェイト補正値については、無線通信装置1でのシステム帯域に含まれる周波数ごとに決定しても良い。つまり、ウェイト補正値の位相成分及び振幅成分のそれぞれの適切値については周波数ごとに求めても良い。以下に、上述の図3を参照しながら、システム帯域に含まれるL(≧2)個の周波数のそれぞれについてのウェイト補正値を決定する際の補正値決定装置500の動作について説明する。なお、L個の周波数については、周波数方向において、連続していても良いし、互いに離れていても良い。また、L個の周波数の一部の複数の周波数だけが周波数方向において連続していても良い。
補正値決定装置500は、L個の周波数において小さいものから順に、対象ウェイト補正値の位相成分及び振幅成分の適切値を求める。以後、対象ウェイト補正値の位相成分及び振幅成分の適切値を求める対象の周波数を「決定対象周波数」と呼ぶ。なお、補正値決定装置500は、L個の周波数において大きいものから順に、対象ウェイト補正値の位相成分及び振幅成分の適切値を求めても良い。
補正値決定装置500では、上述のステップs1において、判定部201が無線通信装置1の有線通信部5に対して、補正値決定モードで動作することを命令するコマンドを送信して、無線通信装置1の動作モードを補正値決定モードに設定する。
次に、判定部201は無線通信装置1に対して決定対象周波数を通知する。この処理を「ステップs1’」と呼ぶ。
次にステップs2,s3が順次実行されると、ステップs4において、判定部201は、測定器100に対して、決定対象周波数の干渉波を送信することを指示するコマンドを送信する。このコマンドを受信した測定器100では、信号生成部103が決定対象周波数の干渉波を生成する。この干渉波はアンテナ101から送信される。測定器100から送信された干渉波は、無線通信装置1において、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から成るアレイアンテナで受信される。
次にステップs5が実行されて、基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20から成るアレイアンテナの受信指向性に関するヌルを、当該アレイアンテナで受信された決定対象周波数の干渉波の到来方向に向けるための受信ウェイトが求められると、ステップs6が実行されて、決定対象周波数での対象ウェイト補正値の位相成分の1次適切値、2次適切値及び3次適切値が順次求められる。その後、ステップs7が実行されて、決定対象周波数での対象ウェイト補正値の振幅成分の1次適切値、2次適切値及び3次適切値が順次求められる。
決定対象周波数がL個の周波数のうちの最も小さい周波数である場合には、上述のステップs60〜s62と同様にして、対象ウェイト補正値の位相成分の1次適切値、2次適切値及び3次適切値が順次求められる。これに対して、決定対象周波数がそれ以外の場合には、対象ウェイト補正値の位相成分の1次適切値が求められる際の初期値に対して、L個の周波数のうち、決定対象周波数の隣に位置する周波数、より具体的には、決定対象周波数よりも小さくかつ決定対象周波数の隣に位置する周波数での対象ウェイト補正値の位相成分の3次適切値が設定される。周波数方向において近い位置に存在する複数の周波数においては、干渉波方向送信電力が極小となる、対象ウェイト補正値の位相成分の値にそれほど差が生じないことから、決定対象周波数での対象ウェイト補正値の位相成分の1次適切値が求められる際の初期値に対して、決定対象周波数の隣に位置する周波数での対象ウェイト補正値の位相成分の3次適切値が設定されることによって、当該初期値と、干渉波方向送信電力が極小となる、決定対象周波数での対象ウェイト補正値の位相成分の値とが近くなる。したがって、対象ウェイト補正値の位相成分の適切値を求める際に、対象ウェイト補正値の位相成分の値を、干渉波方向送信電力が極小となる値に近い状態から変化させることができる。よって、干渉波方向送信電力の測定回数を低減することができる。
対象ウェイト補正値の振幅成分についても同様であって、決定対象周波数がL個の周波数のうちの最も小さい周波数である場合には、上述のステップs70〜s72と同様にして、対象ウェイト補正値の振幅成分の1次適切値、2次適切値及び3次適切値が順次求められる。これに対して、決定対象周波数がそれ以外の場合には、対象ウェイト補正値の振幅成分の1次適切値が求められる際の初期値に対して、L個の周波数のうち、決定対象周波数の隣に位置する周波数、より具体的には、決定対象周波数よりも小さくかつ決定対象周波数の隣に位置する周波数での対象ウェイト補正値の位相成分の3次適切値が設定される。周波数方向において近い位置に存在する複数の周波数においては、干渉波方向送信電力が極小となる、対象ウェイト補正値の振幅成分の値にそれほど差が生じないことから、決定対象周波数での対象ウェイト補正値の振幅成分の1次適切値が求められる際の初期値に対して、決定対象周波数の隣に位置する周波数での対象ウェイト補正値の振幅成分の3次適切値が設定されることによって、当該初期値と、干渉波方向送信電力が極小となる、決定対象周波数での対象ウェイト補正値の振幅成分の値とが近くなる。したがって、対象ウェイト補正値の振幅成分の適切値を求める際に、対象ウェイト補正値の振幅成分の値を、干渉波方向送信電力が極小となる値に近い状態から変化させることができる。よって、干渉波方向送信電力の測定回数を低減することができる。
ステップs7が実行されると、ステップs2が再度実行される。ステップs2において、基準アンテナ20を除く複数のアンテナ20のすべてについての決定対象周波数でのウェイト補正値が決定されたと判定されると、判定部201が決定対象周波数を変更し、補正値決定装置500ではステップs1’〜ステップs7までの処理が再度実行される。
L個の周波数のそれぞれについて、基準アンテナ20を除く複数のアンテナ20のすべてについての当該周波数でのウェイト補正値が決定されると、ステップs8が実行される。このステップs8においては、判定部201は、基準アンテナ20を除く複数のアンテナ20についてのL個の周波数でのウェイト補正値を、無線通信装置1の有線通信部5に送信する。有線通信部5は受信したウェイト補正値を制御部6に出力し、制御部6は入力されたウェイト補正値を補正値記憶部64内に記憶する。その後、ステップs9が実行される。
通常動作モードで動作する無線通信装置1では、送信ウェイト算出部621は、ある周波数の送信信号を送信する場合には、当該ある周波数でのウェイト補正値が補正値記憶部64に記憶されているときには、当該ウェイト補正値を用いて送信ウェイトを求める。一方で、送信ウェイト算出部621は、当該ある周波数でのウェイト補正値が補正値記憶部64に記憶されていない場合には、補正値記憶部64に記憶されている、当該ある周波数にできるだけ近い複数の周波数でのウェイト補正値を補間して、当該ある周波数でのウェイト補正値を生成する。そして、送信ウェイト算出部621は、生成したウェイト補正値を用いて送信ウェイトを求める。
このように、L個の周波数のうちのある周波数での対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値を求める場合において、当該L個の周波数のうち当該ある周波数の隣に位置する周波数での対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値を、当該ある周波数での対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値が求められる際の初期値に採用している。つまり、L個の周波数のうちのある周波数での対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値を求める場合において、当該L個の周波数のうち当該ある周波数の隣に位置する周波数での対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値を、極小値が存在するか否かを最初に判定する際に使用する干渉波方向送信電力の複数の測定値(第1〜第3測定値あるいは第4〜第6測定値)を求めるときに使用される、当該ある周波数での対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分についての複数の値のいずれか一つに採用している。そのため、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値を求める際に、対象ウェイト補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を、干渉波方向送信電力が極小となる値に近い状態から変化させることができる。よって、ある周波数での対象ウェイト補正値を決定するために必要な干渉波方向送信電力の測定回数を低減することができる。
<第4変形例>
上記の例では、ウェイト補正値の位相成分及び振幅成分の適切値を決定する補正値決定部202を、無線通信装置1と通信する通信装置300に設けていたが、無線通信装置1の制御部6に設けても良い。この場合には、コンピュータ200の判定部201での判定結果が、コンピュータ200から無線通信装置1に入力される。また、補正値決定部202とともに、干渉波方向送信電力の複数の測定値において極小値が存在するか否かを判定する判定部201を、無線通信装置1の制御部6に設けても良い。この場合には、コンピュータ200は不要となることから、通信装置300を測定器100だけで構成し、測定器100と無線通信装置1とを直接通信できるようにする。そして、測定器100の測定部102での測定値が、測定器100から直接無線通信装置1に入力される。
また上記の例では、無線通信装置1の出荷検査段階において、当該無線通信装置1が通常動作モードに使用するウェイト補正値を決定していたが、通常動作モードの無線通信装置1が通信する通信装置を利用して、本例では無線通信装置1が基地局であることから携帯電話機等の通信端末を利用して、当該無線通信装置1の運用中に当該無線通信装置1が通常動作モードに使用するウェイト補正値を決定しても良い。この場合には、通信端末に対して、測定部102及び信号生成部103を設けることになる。判定部201及び補正値決定部202のそれぞれについては、通信端末に設けても良いし、無線通信装置1の制御部6に設けても良い。
<第5変形例>
上記の通常動作モード及び補正値決定モードでは、複数のアンテナ20(通常動作モードでは4つのアンテナ20、補正値決定モードでは基準アンテナ20及び決定対象アンテナ20)での受信信号に基づいて求められた受信ウェイトから送信ウェイトを求めていたが、複数のアンテナ20での受信信号に基づいて直接送信ウェイトを求めても良い。この場合には、受信信号に基づいて求められた送信ウェイトに対してウェイト補正値を設定し、それによって得られた補正後の送信ウェイトを、複数のアンテナ20から送信される送信信号に設定する。
上述のステップs5において受信ウェイトを求める場合と同様にして、受信信号から直接送信ウェイトを求めることができる。複数のアンテナ20にそれぞれ対応する複数の送信ウェイトから成る送信ウェイトベクトルSWは、以下の式(2)を用いて求めることができる。
T×SW*=0 ・・・(2)
ここで、LTは、複数のアンテナ20で受信される干渉波のアレイ応答ベクトルLについての転置ベクトルであって、SW*は、送信ウェイトベクトルSWの複素共役ベクトルである。アレイ応答ベクトルLは、複数のアンテナ20での受信信号に基づいて求めることができる。
式(2)を用いて求められた送信ウェイトに対してウェイト補正値を設定することによって、最終的に使用される送信ウェイト、つまり複数のアンテナ20からの送信信号に設定される送信ウェイトが得られる。
このように、複数のアンテナ20での受信信号に基づいて求められた、当該複数のアンテナ20での指向性を制御するためのウェイト(受信ウェイトあるいは送信ウェイト)をウェイト補正値で補正することによって、当該複数のアンテナ20から送信される送信信号に設定される設定ウェイトが求められる。
<その他の変形例>
上記の例では、基地局でのウェイト補正値を決定する際に本願発明を使用する場合について説明したが、本願発明は、基地局以外の他の無線通信装置でのウェイト補正値を決定する際に使用することができる。例えば、携帯電話機等の通信端末が、複数のアンテナでの指向性を制御して無線通信を行う場合には、当該通信端末が送信ウェイトを求める際に使用するウェイト補正値を決定する際に本願発明を使用することができる。
1 無線通信装置
20 アンテナ
40 送信部
41 受信部
102 測定部
201 判定部
202 補正値決定部
300 通信装置
500 補正値決定装置
621 送信ウェイト算出部
630 受信ウェイト算出部

Claims (10)

  1. 複数のアンテナを備える無線通信装置が、当該複数のアンテナで受信された受信信号に基づいて求めた、当該複数のアンテナでの指向性を制御するためのウェイトを補正することによって、当該複数のアンテナから送信する送信信号に設定する設定ウェイトを求める際に使用する補正値の決定方法であって、
    (a)前記複数のアンテナから決定される基準アンテナ及び決定対象アンテナから成る2つのアンテナを用いて干渉波を受信する工程と、
    (b)前記工程(a)での受信信号に基づいて、前記2つのアンテナでの指向性に関するヌルを、前記工程(a)で受信される干渉波の到来方向に向けるためのウェイトを求める工程と、
    (c)前記工程(b)で求められたウェイトに対して前記補正値を設定して得られる設定ウェイトが設定された、前記2つのアンテナから送信される送信信号に関して、前記干渉波の到来方向での送信電力を測定する工程と
    を備え、
    前記工程(c)においては、前記決定対象アンテナから送信される送信信号に設定される設定ウェイトを求める際に使用される前記補正値である対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を変化させながら各値についての前記送信電力が測定され、
    (d)前記工程(c)での少なくとも3つの測定値において極小値が存在するか否かを判定する工程と、
    (e)前記工程(d)において極小値が存在すると判定されると、当該極小値に対応する、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値として採用する工程と
    をさらに備え、
    前記工程(c)においては、前記工程(d)において極小値が存在しないと判定されると、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の新たな値についての前記送信電力が測定され、
    前記工程(d)においては、前記工程(c)において前記新たな値についての前記送信電力が測定されると、その測定値を含む前記工程(c)での少なくとも3つの測定値において極小値が存在するか否かが判定される、補正値の決定方法。
  2. 請求項1に記載の補正値の決定方法であって、
    前記工程(c)〜(e)の工程群が、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の値の変化ステップを小さくしながら複数回実行され、
    前後で実行される2つの前記工程群に関して、後に実行される前記工程群での前記工程(d)において極小値が存在するか否かについて最初に判定される際に使用される前記工程(c)での少なくとも3つの測定値が求められるときに使用される、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分についての少なくとも3つの値の一つには、先に実行された前記工程群での前記工程(e)で求められた前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値が採用される、補正値の決定方法。
  3. 請求項1に記載の補正値の決定方法であって、
    前記工程(d)においては、前記工程(c)で得られた、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の第1乃至第3設定値(第1設定値<第2設定値<第3設定値)についての前記送信電力の測定値において極小値が存在するか否かと、当該第1乃至第3設定値についての前記送信電力の測定値が右上がり傾向にあるか右下がり傾向にあるかが判定され、
    前記工程(c)は、
    (c−1)前記工程(d)において、極小値が存在しないと判定され、かつ前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の第1乃至第3設定値についての前記送信電力の測定値が右上がり傾向にあると判定されると、当該第1及び第2設定値をそれぞれ新たな第2及び第3設定値とし、かつ当該第1設定値よりも小さい値を新たな第1設定値とし、当該新たな第1設定値についての前記送信電力を測定する工程と、
    (c−2)前記工程(d)において、極小値が存在しないと判定され、かつ前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の第1乃至第3設定値についての前記送信電力の測定値が右下がり傾向にあると判定されると、当該第2及び第3設定値をそれぞれ新たな第1及び第2設定値とし、かつ当該第3設定値よりも大きい値を新たな第3設定値とし、当該新たな第3設定値についての前記送信電力を測定する工程と
    を有し、
    前記工程(d)は、
    (d−1)前記工程(c−1)が実行されると、新たな第1乃至第3設定値についての前記送信電力の測定値において極小値が存在するか否かを判定する工程と、
    (d−2)前記工程(c−2)が実行されると、新たな第1乃至第3設定値についての前記送信電力の測定値において極小値が存在するか否かを判定する工程と
    を有する、補正値の決定方法。
  4. 請求項1に記載の補正値の決定方法であって、
    周波数方向に並ぶ複数の周波数のそれぞれにおける設定ウェイトを求めるための前記補正値を決定するために、当該複数の周波数のそれぞれについて前記工程(a)〜(e)が実行され、
    前記複数の周波数におけるある周波数についての前記工程(d)において極小値が存在するか否かについて最初に判定される際に使用される前記工程(c)での少なくとも3つの測定値が求められるときに使用される、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分についての少なくとも3つの値の一つに、前記複数の周波数において当該ある周波数の隣に位置する周波数について前記工程(e)で求められた前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値が採用される、補正値の決定方法。
  5. 複数のアンテナを備える無線通信装置が、当該複数のアンテナで受信された受信信号に基づいて求めた、当該複数のアンテナでの指向性を制御するためのウェイトを補正することによって、当該複数のアンテナから送信する送信信号に設定する設定ウェイトを求める際に使用する補正値を決定する補正値決定装置であって、
    前記無線通信装置に設けられ、前記複数のアンテナから決定される基準アンテナ及び決定対象アンテナから成る2つのアンテナを用いて干渉波を受信する受信部と、
    前記無線通信装置に設けられ、前記受信部で受信された受信信号に基づいて、前記2つのアンテナでの指向性に関するヌルを前記受信部で受信される干渉波の到来方向に向けるためのウェイトを求める第1ウェイト算出部と、
    前記無線通信装置に設けられ、前記第1ウェイト算出部で求められたウェイトに対して前記補正値を設定して、前記2つのアンテナから送信される送信信号に設定する設定ウェイトを求める第2ウェイト算出部と、
    前記無線通信装置に設けられ、前記第2ウェイト算出部で求められた設定ウェイトが設定された送信信号を前記2つのアンテナから送信する送信部と、
    前記送信部から送信される送信信号に関して、前記干渉波の到来方向での送信電力を測定する測定部と
    を備え、
    前記決定対象アンテナから送信される送信信号に設定される設定ウェイトを求める際に使用される前記補正値である対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の値が変化させられて、前記測定部では、当該対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の各値についての前記送信電力が測定され、
    前記測定部での少なくとも3つの測定値において極小値が存在するか否かを判定する判定部と、
    前記判定部において極小値が存在すると判定されると、当該極小値に対応する、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の値を、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の適切値として採用する補正値決定部と
    をさらに備え、
    前記判定部において極小値が存在しないと判定されると、前記測定部では、前記対象補正値の位相成分あるいは振幅成分の新たな値についての前記送信電力が測定され、
    前記判定部は、前記測定部において前記新たな値についての前記送信電力が測定されると、その測定値を含む前記測定部での少なくとも3つの測定値において極小値が存在するか否かを判定する、補正値決定装置。
  6. 複数のアンテナを備え、当該複数のアンテナで受信された受信信号に基づいて求めた、当該複数のアンテナでの指向性を制御するためのウェイトを補正することによって当該複数のアンテナから送信する送信信号に設定する設定ウェイトを求める無線通信装置であって、
    請求項5に記載の補正値決定装置に設けられた前記受信部、前記第1ウェイト算出部、前記第2ウェイト算出部及び前記送信部を備える、無線通信装置。
  7. 請求項6に記載の無線通信装置であって、
    請求項5に記載の補正値決定装置に設けられた前記補正値決定部をさらに備える、無線通信装置。
  8. 請求項7に記載の無線通信装置であって、
    請求項5に記載の補正値決定装置に設けられた前記判定部をさらに備える、無線通信装置。
  9. 請求項6に記載の無線通信装置と通信する通信装置であって、
    請求項5に記載の補正値決定装置に設けられた前記測定部及び前記判定部を備える、通信装置。
  10. 請求項9に記載の通信装置であって、
    請求項5に記載の補正値決定装置に設けられた前記補正値決定部をさらに備える、通信装置。
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