本発明の一実施形態に係る電池を、図1〜4を用いて説明する。図1は、本実施形態の電池10を示す斜視図である。電池10は、一例として充電可能な二次電池であって、その一例としてリチウムイオン電池である。図2は、電池10を分解して示す斜視図である。
図1〜3に示すように、電池10は、ケース20と、電極部30と、正極端子40と、負極端子50と、正極用集電部材60と、負極用集電部材70とを備えている。
図1に示すように、ケース20は、開口21を有する有底箱型の本体部材22と、開口21を覆う蓋部材23とを備えている。なお、図2では、蓋部材23は、省略されている。
図2に示すように、電極部30は、本実施形態では、一例として1つの電極束31を有している。電極束31は、シート状の正極32と、シート状の負極33と、シート状のセパレータ34とを備えている。正極32と負極33とは、正極32の一端部32aと負極33の一端部33aとが重ならないように、互いにずれた状態でセパレータ34を間に挟んだ状態で互いに重ねられている。
正極32と負極33とセパレータ34とが重ねられたものは、扁平状に捲回されている。このため、図2に示すように、電極束31の一端部では、正極32が露出しており、他端部では負極33が露出している。
また、電極束31は、上記したように捲回されることによって形成されるために、外観形状は、略直方体形状となる。このため、電極束31は、外観形状として、一端35と、他端36と、一端35と他端36とをつなぐ周面37とを備える。
一端35と周面37との境となる部分は、角部38となり、一端35から周面37に向かって折れ曲がる部分となる。同様に、他端36と周面37との境となる部分は、角部39となり、他端36から周面37に向かって折れ曲がる部分となる。
電極部30とは、電池10において、積層された正極32と負極33とを有する部分である。このため、本実施形態では、電極部30は、一例として、1つの電極束31を備えている。他の例としては、例えば3つや4つなどの複数の電極束31を備える構造であってもよい。
または、電極部30の他の例としては、一枚のシート状の正極と、一枚のシート状の負極とが重ねられて扁平形状に捲回されるのではなく、複数のシート状の正極と、複数のシート状の負極とが積層される構造であってもよい。
図4は、電池10の内部を示す斜視図である。図4では、ケース20は、2点鎖線で示されている。図4に示すように、正極用集電部材60は、電極束31の正極32と、後述される正極端子40とに電気的に接続されており、つまり、正極32と正極端子40とを電気的に接続している。負極用集電部材70は、電極束31の負極33と、後述される負極端子50とに電気的に接続されており、つまり、負極33と負極端子50とを電気的に接続している。
正極用集電部材60は、導電性を有する材料で形成されている。導電性を有する材料は、一例として金属である。図4に示すように、正極用集電部材60は、2つの電極束31において、角部38を挟んで一端側から周面側にわたって延びている。
正極用集電部材60は、第1の電極部側接続部61と、第2の電極部側接続部62と、本体部63とを備えている。第1の電極部側接続部61は、電極束31において、開口21の縁において正極32と対向する部分の延びる方向Aに沿って一端部の近傍に配置されている。また、第1の電極部側接続部61は、方向Aに対して垂直な方向のうち、正極32に沿う方向Bに沿って延びている。
第1の電極部側接続部61は、電極束31の正極32に電気的に接続されている。本実施形態では、一例として、例えばクリップ64を介して電気的に接続されている。
第2の電極部側接続部62は、電極束31において方向Aに沿って他端部の近傍に配置されており、方向Bに沿って延びている。第2の電極部側接続部62は、電極束31の正極32に電気的に接続されている。本実施形態では一例として、クリップ64と同様のクリップを用いて電気的に接続されている。
本体部63は、電極束31の一端側から角部38を挟んで電極束31の周面側まで延びており、角部38に対応して曲がる角部65を有している。本体部63において、角部65を挟んで電極束31の一端側の部分を第1の部分66とし、角部65を挟んで電極束31の周面側の部分を第2の部分67とする。
第1の電極部側接続部61は、第1の部分66において方向Aの一端に接続されている。第2の電極部側接続部62は、第1の部分66において方向Aの他端に接続されている。なお、本実施形態では、正極用集電部材60は、1つの板状部材から形成されており、第1,2の電極部側接続部61,62と本体部63とは同一部材で形成されている。このため、言い換えると、第1,2の電極部側接続部61,62は、第1の部分66の一端から突出している。なお、他の例としては、第1,2の電極部側接続部61,62は、本体部63とは別部材であって、本体部63に接続される構造であってもよい。
第1の部分66は、角部65に向かって、第1,2の電極部側接続部61,62が並ぶ方向、本実施形態では、方向Aの幅が次第に狭まる形状である。第2の部分67において第1,2の電極部側接続部61,62が並ぶ方向、本実施形態では方向Aに沿う幅は、角部65の方向Aに沿う幅を維持している。
正極用集電部材60は、蓋部材23が本体部材22の開口21を覆っている状態では、蓋部材23よりもケース20の内側に位置している。正極端子40は、正極用集電部材60の第2の部分67に電気的に接続されている。
図2に示すように、負極用集電部材70は、導電性を有する材料で形成されている。導電性を有する材料は、一例として金属である。図4に示すように、負極用集電部材70は、電極束31において、角部39を挟んで他端側から周面側にわたって延びている。なお、本実施形態では、負極用集電部材70の形状は、正極用集電部材60の形状と同じである。
負極用集電部材70は、第1の電極部側接続部71と、第2の電極部側接続部72と、本体部73とを備えている。第1の電極部側接続部71は、開口21の縁において負極33と対向する部分の延びる方向Cに沿って一端部の近傍に配置されている。方向Cは、方向Aと平行である。また、第1の電極部側接続部71は、方向Dに沿って延びている。方向Dは、方向Cに対して垂直な方向のうち、正極32に沿う方向である。方向Dは、方向Bに対して平行である。
第1の電極部側接続部71は、電極束31の負極33に電気的に接続されている。本実施形態では、一例として、例えばクリップ64と同様のクリップを介して電気的に接続されている。
第2の電極部側接続部72は、電極束31において、方向Cに沿って他端部の近傍に配置されており、方向Dに沿って帯びている。第2の電極部側接続部72は、電極束31の負極33に電気的に接続されている。本実施形態では一例として、クリップ64と同様のクリップを用いて電気的に接続されている。
本体部73は、電極束31の他端側から角部39を挟んで電極束31の周面側まで延びており、角部39に対応して曲がる角部75を有している。本体部73において、角部75を挟んで電極束31の他端側の部分を第1の部分76とし、角部75を挟んで電極束31の周面側の部分を第2の部分77とする。
第1の電極部側接続部71は、第1の部分76において方向Aの一端に接続されている。第2の電極部側接続部72は、第1の部分76において方向Aの他端に接続されている。なお、本実施形態では、負極用集電部材70は、1つの板状部材から形成されており、第1,2の電極部側接続部71,72と本体部73とは同一部材で形成されている。このため、言い換えると、第1,2の電極部側接続部71,72は、第1の部分76の一端から突出している。
なお、他の例としては、第1,2の電極部側接続部71,72は、本体部73とは別部材であって、本体部73に接続される構造であってもよい。
第1の部分76は、角部75に向かって、第1,2の電極部側接続部71,72が並ぶ方向、本実施形態では方向Cの幅が次第に狭まる形状である。第2の部分77において第1,2の電極部側接続部71,72が並ぶ方向、本実施形態では、方向Cに沿う幅は、角部75の方向Cに沿う幅を維持している。
負極用集電部材70は、蓋部材23が本体部材22の開口21を覆っている状態では、蓋部材23よりもケース20の内側に位置している。負極端子50は、負極用集電部材70の第2の部分77に電気的に接続されている。
このように構成される電池10では、正極用集電部材60と負極用集電部材70とは、第1の部分66,76において第1,2の電極部側接続部61,62,71,72の方向A,Cに沿う幅は、角部65,75に向かって次第に狭まるので、正極用集電部材60と負極用集電部材70との、方向A,Cに沿う幅を小さくすることができる。
このことについて、図3を用いて具体的に説明する。図3は、正極用集電部材60と負極用集電部材70との方向A,Cに沿う幅が小さくなることを説明する図である。なお、正極用集電部材60と負極用集電部材70は、同じ形状である。このため、正極用集電部材60を代表して説明する。
図3の右側は、本実施形態の正極用集電部材60を示す斜視図が示されている。図3の左側には、正極用集電部材60とは異なる集電部材100を示している。集電部材100は、正極用集電部材60と略同様の形状を有しており、第1,2の電極部側接続部101,102と、本体部103とを有している。本体部103は、角部75と同様の角部104を有しており、角部104で曲がっている。
集電部材100において正極用集電部材60に対して異なる点は、本体部103において、第1,2の電極部側接続部101,102の並ぶ方向の長さが一定である点である。つまり、本体部103において、第1,2の電極部側接続部101,102の並ぶ方向の長さは、角部104に向かうにつれて狭まることなく、一定である。
図3中左側の集電部材100中において、本実施形態の正極用集電部材60を点線で示している。このように、本実施形態の正極用集電部材60は、全体的に、集電部材100に対して、第1,2の電極部側接続部61,62の並ぶ方向に沿う幅を狭くすることができる。
正極用集電部材60は、図3の左側に示すように、方向Aに沿う幅が一定である板部材を、点線で示す箇所で切断するとともに、角部65で折り曲げることによって作成することができる。このことは、負極用集電部材70であっても同じである。なお、正極用集電部材60と、負極用集電部材70とは、集電部材100を点線で切り欠くことによって形成されることに限定されるものではない。正極用集電部材60と負極用集電部材7との本体部63,73の外形を有する板材を角部65,75で折り曲げることによって形成されてもよい。
正極用集電部材60の方向Aに沿う幅が狭まるとともに、負極用集電部材70の方向Cに沿う幅が狭まることによって、電池10が短絡することを抑制することができる。この点について、具体的に説明する。正極用集電部材60と負極用集電部材70とが、第1の部分66,76において方向Aに沿う幅が角部65,75に向かって狭くならない形状の場合、方向A,Cに沿う幅は、広い状態が維持される。
電池10に外部から荷重が入力されると、この荷重は、電極部30に伝達される。正極用集電部材60と負極用集電部材70が上記したように方向A,Cに沿う幅が広い形状であると、正極用集電部材60と負極用集電部材70とに荷重が伝達されやすくなる。
正極用集電部材60と負極用集電部材70とに伝達された荷重が、正極用集電部材60と負極用集電部材70とを変形するに十分な大きさを有していると、正極用集電部材60と負極用集電部材70とは変形する。
正極用集電部材60と負極用集電部材70との変形例として、その縁部が電極束31内めり込むような変形をすることが生じえる。このように変形すると、シート状の正極32とシート状の負極33とが破れることにより、電池10が短絡することが考えられる。
しかしながら、本実施形態の電池10は、正極用集電部材60と負極用集電部材70とは、第1の部分66,76の方向Aに沿う幅は、角部65,75に向かって次第に狭まる。さらに、第2の部分67,77の方向A,Cに沿う幅は、角部65,75の方向Aに沿う幅が維持されている。つまり、第2の部分67,77において方向A,Cに沿う幅は、狭まった状態が維持される。
このため、電池10に外部から荷重が伝達されても、この荷重が正極用集電部材60と負極用集電部材70とに伝達されにくくなる。つまり、正極用集電部材60と負極用集電部材70とが変形しにくくなるので、正極用集電部材60と負極用集電部材70との変形に起因して電池10が短絡することが抑制される。
このように、正極用集電部材60と負極用集電部材70との幅を狭めることにより正極用集電部材60と負極用集電部材70とが変形することを抑制できるので、正極用集電部材60と負極用集電部材70とが変形することを防止するべくケース20の剛性や強度を向上するために補強構造が不要となり、または、補強構造を強固にする必要がないので、電池10のコストが高くなることを抑制できる。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。