JP2013129783A - 石炭の乾留物の熱履歴推定方法 - Google Patents

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【課題】種々の乾留プロセスで石炭や石炭の乾留物が受けた熱履歴を炉内温度全域に対して短時間に簡便に推定する方法を提供する。
【解決手段】熱履歴が不明の製法で作製された石炭の乾留物中が製造時に受けた該石炭の乾留物の熱履歴のうち、昇温速度一定における最高温度、又は最高温度一定での昇温速度を、該石炭の乾留物中の窒素のX線光電子分光法により求めた変化した窒素化学構造の比率と、熱履歴推定のための検量線を用いて推定する方法であって、上記熱履歴の推定のための検量線は、あらかじめ石炭の乾留物を2水準以上の異なる熱履歴を規定した製法によって作製し、次いで、石炭の乾留物中の窒素をX線光電子分光法によって測定し、熱履歴に対して変化した窒素化学構造の比率を決定して求めた、昇温速度一定における最高温度、又は最高温度一定での昇温速度と、変化した窒素化学構造の比率との関係を示す検量線である石炭の乾留物の熱履歴推定方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、石炭の乾留物がその製造プロセスにおいて受けた熱履歴について、昇温速度と最高温度を、X線光電子分光法による乾留物中の窒素のスペクトルに基づいて推定する方法に関する。
石炭は、未処理のまま燃料や炭素原料として利用されることはもちろん、コークス炉やロータリーキルン等の種々の乾留プロセス等を用いて乾留し、チャーやコークスと呼ばれる乾留物とすることで、未処理の石炭より高い機能や異なる特性を持つ燃料、炭素原料等として、広く工業的に利用されている。
石炭乾留物の利用法として代表的な例は、高炉での利用である。高炉による鉄の製造においては、石炭乾留物であるコークスが、鉄鉱石を還元するための熱源としての燃料、及び炭素還元剤として、さらに、高炉炉内への熱風吹き込みにおけるガススペーサーとして、非常に有効に機能することが知られている。
コークスの性能や生産に最も影響を及ぼす工業的因子は、原料となる石炭の炭種(特許文献1、2、非特許文献1、2)と、乾留時の熱履歴、特に昇温速度と最高温度(特許文献3、4、非特許文献3、4)であることが多数報告されている。
一方、大規模な工業炉において、内部の原料が受けた熱履歴を完全に把握することは容易ではない。炉内温度の測定は一般的に行われているが、得られた測定値は、内部の原料が受けた温度を正確には示さない。例として、コークス炉内部の温度は、操業管理上、測定される場合があるが、炉内の熱分布は比較的大きいことが知られており(非特許文献5)、炉高方向や、炉壁からの距離によっても大きく異なる。
これまで石炭の乾留時の熱履歴推定方法として、炉内で受けた最高到達温度について、X線回折法(以下「XRD」という)、ラマン分光法(以下「ラマン」という)、核磁気共鳴法(以下「NMR」という)が提案されている。いずれも石炭中の炭素の結晶構造や分子構造に基づく温度推定方法であり、測定方法又は炭素の化学的な構造に由来する温度推定の限界がある。
XRDによる推定方法としては、石炭の乾留に伴う結晶構造の成長度合いを基に、石炭乾留物が受けた炉内の最高温度を推定する方法が示されている(非特許文献6)。しかしながら、このような炉内最高温度と結晶成長度の明確な相関が見られるのは、炉内温度が1000℃超の場合である。これは、一般的な工業乾留炉であるコークス炉の温度域(300〜1000℃)や最高温度(1000℃)をはるかに超えており、実用には向いていない。
ラマンによる推定方法では、結晶構造の成長度合いをピーク比率から計算するが、この方法は、1400℃超でのみ有効とされている。さらに、XRDとラマンによる推定方法は、石炭の乾留による結晶成長を前提としているが、石炭種によっては結晶化せずチャーと呼ばれる非晶質の石炭乾留物となるものも多く、それらの石炭種の乾留物には適用が困難である。
一方、NMRによる最高温度の推定は、同じく炭素に注目しているものの、より低温、非晶質での変化についても捕らえることが可能である。特許文献5では、NMRによる300〜600℃の石炭乾留物の温度推定方法が提案されている。ただし、NMRでは、600℃を超えた場合にはスペクトルの取得ができないことが知られている。これは、構造解析法の前提となるH−13C交差緩和法が、乾留物では含有するHの減少により適用が困難となるためである。
上述のとおり、一般的な工業乾留炉であるコークス炉の実用的な温度域全域において、汎用的に温度推定を可能にする評価方法は、これまでなかった。
特開平09−241649号公報 特開平09−255966号公報 特開2001−316674号公報 特開平09−118883号公報 特開2010−271256号公報
木村英雄 鉄と鋼 第64巻(1978),p2257 奥山泰男ら 鉄と鋼 第70巻(1984),pS731 岩切治久 鉄と鋼 第78巻(1992),p1314 鷹觜利公ら 鉄と鋼 第90巻(2004),p739
本発明は、前記の事情に鑑みなされたものであって、石炭を乾留して得られるコークスやチャー等の石炭乾留物の性能を決定する重要な因子である熱履歴の推定方法として、コークスの工業生産上最も重要な300〜1000℃の炉温に対応し、かつ、簡便迅速に解析する手法を提供することを目的とする。
本発明者らは、石炭の乾留物の熱履歴の推定方法について種々の検討を行った。従来、石炭の乾留物の熱履歴推定方法としては、炭素原子を中心とした分子構造や局所構造、結晶構造(以下「化学構造」と総称する)の解析が行われていた。
本発明者らは、注目する300〜1000℃の温度範囲で、窒素が、連続的に化学構造変化を示すことを見出し、石炭中に約1質量%含まれる窒素に着目した。その結果、石炭中の窒素化学構造と石炭の乾留物の温度履歴に相関があることを見出し、石炭中の窒素化学構造と熱履歴の検量線を作成することによって、石炭の乾留物の熱履歴を推定する手法の発明に至った。その要旨は、以下のとおりである。
(1)熱履歴が不明の製造方法において作製された石炭の乾留物中が製造時に受けた該石炭の乾留物の熱履歴のうち、昇温速度一定における最高温度、又は最高温度一定での昇温速度を、該石炭の乾留物中の窒素のX線光電子分光法により求めた変化した窒素化学構造の比率と、熱履歴推定のための検量線を用いて推定する方法であって、
上記熱履歴の推定のための検量線は、あらかじめ石炭の乾留物を2水準以上の異なる熱履歴を規定した製造方法によって作製し、次いで、石炭の乾留物中の窒素をX線光電子分光法によって測定し、熱履歴に対して変化した窒素化学構造の比率を決定して求めた、昇温速度一定における最高温度、又は最高温度一定での昇温速度と、変化した窒素化学構造の比率との関係を示す検量線であることを特徴とする石炭の乾留物の熱履歴推定方法。
(2)前記検量線は、前記最高温度又は前記昇温速度の変化に応じて、変化した窒素化学構造の比率が、単調に変化するものであることを特徴とする前記(1)の石炭の乾留物の熱履歴推定方法。
(3)前記最高温度が、300〜1000℃であることを特徴とする前記(1)又は(2)の石炭の乾留物の熱履歴推定方法。
本発明によれば、石炭乾留物が種々の乾留プロセス炉内で受けた熱履歴について、コークスの工業生産上最も重要な300〜1000℃の範囲で推定することが可能となる。
窒素化学構造種のXPSスペクトルとそのピーク分割の一例を示す図であり、上図は石炭、下図は石炭乾留物の例である。 石炭乾留温度による窒素化学構造比率の変化の一例を示す図である。 本発明によって作成される検量線の一例を示す図である。 石炭乾留時の昇温速度の違いによる窒素化学構造比率の変化の一例を示す図である。 石炭乾留物のXPSスペクトルの一例を示す図であり、上から最高温度600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃のスペクトルである。
以下に本発明を実施するための形態について説明する。
本発明において、石炭中の窒素の化学構造解析方法は限定するものではないが、元素種別に化学構造解析が可能な手法が好ましく、X線光電子分光法(以下「XPS」という)が好ましい。NMRも実用できるが、現状の装置の感度、測定手法の科学的限界では、すべての温度範囲の石炭乾留物の迅速な解析には有効ではない。
以下の実施形態では、石炭中の窒素の化学構造解析方法としてXPSを用いた手順を説明するが、本特許は以下の手法のみに限定されるものではない。
はじめに、検量線を作成するためのサンプルとなる石炭乾留物を、2水準以上の異なる熱履歴で複数作製する。石炭乾留物の作製方法は限定されるものではないが、好ましくは乾留操作時の温度履歴の管理及び把握が正確かつ容易に可能な小型炉、より好ましくは熱電対等の温度計による温度の連続モニタリングが可能な電気環状炉による作製が有効である。
たとえば、石炭を不活性ガスで満たされた電気環状炉内において定めた熱履歴で加熱乾留し、サンプルを作製することができる。石炭中の窒素化学構造は炭種によって異なるので、サンプル作製に供する石炭は、解析する乾留プロセスに用いられる石炭種と同種のものを用いることが重要である。乾留プロセスに投入される石炭種が複数混合されている場合には、サンプルに供する石炭もできる限り同様の比率で混合し用いることが有効である。
次に、作製した複数のサンプルについて、XPSで1sNスペクトルを測定し、構造解析を行う。一般的に窒素化合物のXPSスペクトルは、395〜405eVにスペクトルを示す。石炭や石炭乾留物のような複合物の場合には、含まれる複数の窒素化学構造に由来する複数のピークの重なり合いにより、スペクトルが広幅となる。
そこで、特定の化学構造について分類する目的で、ピーク分割を実施する。ピーク分割は、たとえば、398.8±0.4eVのType A、400.2±0.4eVのType B、401.4±0.4eVのType C、402.8eV±0.4eVのType Dとそれ以外のピークとして分類することができる。
それぞれのピーク分割に用いるピーク幅、ピーク形状は、測定するサンプルが同質のものであれば、測定装置の特性に由来する。したがって、ピーク分割に用いるピーク幅、ピーク形状を標準的な含窒素有機化合物の測定によってあらかじめ定めておくことが、より正確な構造比率の決定に有効である。
含窒素有機物としては、ポリビニルピリジンやポリビニルカルバゾールを用いて、測定装置起因のピーク幅、ピーク形状を見出すことが有効である。
続いて、ピーク分割されたType A、B、C、Dの比率と熱処理条件について検量線を作成する。検量線の作成方法は限定されるものではなく、たとえば、一般的な表計算ソフト等を利用してグラフ化し、近似曲線を作成することができる。
また、温度条件と各構造比率を線形結合した、以下の式(1)を用いて最適化することも有効である。ここで、温度条件は、最高温度又は昇温速度の値、A〜Dは各構造の比率、a〜dは任意の係数を示し、データ解析を行い、係数a〜dを最適化して、実験値による温度条件を最も再現する係数を求めることができる。
温度条件=aA+bB+cC+dD (1)
そして、熱履歴推定を実施したい熱履歴が不明の製造方法において作製された石炭の乾留物について、同様のXPS測定を行い、構造比率を決定する。この際のピーク分割については、前段と同等の方式で行うことが好ましい。構造比率が決定された石炭の乾留物について、前段で作成した検量線又は推定式から熱履歴を推定することができる。
[実施例1]
石炭の乾留時の最高温度と、X線光電子分光法による窒素のスペクトルのピーク強度比との相関関係を求めた一例を示す。
はじめに、検量線を作成するための標準試料を作製した。石炭A、Bを、それぞれ粒径125μm以下に粉砕し、不活性ガスで満たした電気環状炉内で昇温速度6℃/minで、最高温度100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1050、1100℃まで加熱した石炭乾留物を得た。
次に、これらの石炭及び石炭乾留物を、アルバックファイ社製XPS装置ESCA5500を用いて、X線源をAlモノクロメーター出力550Wとして測定した。良好なS/N比のスペクトルを得るため、1回/sの積算を6時間行い測定し、窒素のスペクトルを、石炭A及びBの各々の石炭、及び石炭乾留物について得た。
得られたスペクトルをピーク分離し、Type A(ピーク位置398.8eV)、Type B(ピーク位置400.2eV)、Type C(ピーク位置401.8eV)、Type D(ピーク位置402.8eV)とその他に分けた。ピークの半値幅及びピーク形状には、あらかじめ含窒素化合物の標準試料として用いたポリエチルカルバゾールを測定して得られた半値幅1.5eVと、Gaussian/Lorentian比0.75を用いた。
図1に、上記条件で測定、解析された、石炭(上図)と石炭乾留物(下図)のXPSの1sNスペクトルとピーク分割の例を示す。
続いて、得られた石炭乾留物の乾留時の最高温度とXPSによって求めた窒素構造のうちType A比率との相関を確認した。その結果、図2a、bに示すとおり、石炭A、石炭BともにType A比率は、乾留時の最高温度が300℃以上の領域において、最高温度の上昇に伴い単調に減少し、温度と高い相関を示すことが分かった。
Type Bも同様の傾向を示したことから、温度推定に用いることが可能であることを確認した。
一方、Type Dは増加したことから、増加の度合いによって最高温度の推定が可能であると思われる。
一方、Type Cは最高温度の変化に対し、比率が増加する局面と減少する局面があった。そのため、Type Cの比率のみでは最高温度が一意には定まらないことから、単独では温度推定に適しないことが分かった。
続いて検量線を作成するにあたって、最も簡易な方法として、各比率の単調な増減によるものを作成した。それぞれ、石炭AはType Dの比率と最高温度から、石炭BはType Bの比率と最高温度から求めた。
作成した石炭Aと石炭Bの検量線をそれぞれ図3a,図3bに示す。また、石炭Bは各構造比率と係数の乗算による線形結合式である、以下の式(2)を用いて、(A,B,C,D,最高温度)の最高温度の違いによる8組のデータから係数を最適化して係数a,b,c,dを求めた。得られた係数a〜dは、a=−55.13、b=−79.48、c=984.2、d=1374であった。
最高温度=aA+bB+cC+dD (2)
[実施例2]
模擬コークス炉で作製した炉内最高温度不明の石炭Aの乾留物について、温度推定を試みた。XPS測定を実施したところ、石炭AのType Dの比率が25%であった。実施例1の図3aの検量線の結果から、最高温度は965℃と推定可能であった。
一方、石炭BのType Bの比率は2%であった。実施例1の図3bの検量線より最高温度は902℃と見積もられた。
一方、窒素構造全比率ではType A=13%、Type B=2%、Type C=49%、Type D=36%で、実施例1で最適化した係数a〜dを用いて計算したところ、最高温度は968℃程度と見積もられた。石炭A、Bとも同じ炉による処理であり、最高温度は968℃がより妥当であると考えられ、最適化を行ったa〜d係数として用いた式(2)を用いた方が、より推定温度の精度が向上することを確認した。
[実施例3]
石炭の乾留時の昇温速度と、X線光電子分光法による窒素のスペクトルのピーク強度比との相関関係を求めた一例を示す。
はじめに、検量線を作成するための標準試料を作製した。石炭Cを粒径125μm以下に粉砕し、不活性ガスで満たした電気環状炉内で昇温速度を3℃/min、6℃/min、15℃/min、30℃/minの3水準で最高温度1000℃まで加熱した石炭乾留物を得た。
次に、これらの石炭及び石炭乾留物を、アルバックファイ社製XPS装置ESCA5500を用いて、X線源をAlモノクロメーター出力550Wとして測定した。良好なS/N比のスペクトルを得るため、1回/sの積算を6時間行い測定し、石炭Cの石炭乾留物の窒素のスペクトルを得た。
得られたスペクトルをピーク分離し、Type A(ピーク位置398.8eV)、Type B(ピーク位置400.2eV)、Type C(ピーク位置401.8eV)、Type D(ピーク位置402.8eV)とその他に分けた。ピークの半値幅及びピーク形状には、あらかじめ含窒素化合物の標準試料として用いたポリエチルカルバゾールを測定して得られた半値幅1.5eVと、Gaussian/Lorentian比0.75を用いた。
続いて、得られた石炭乾留物の乾留時の昇温速度とXPSによって求めた窒素構造の比率との相関を確認した。
その結果、図4に示すとおり、石炭Cは昇温速度を変更することで、Type B比率は単調に増加、Type C比率は単調に減少することが分かった。
一方、Type AとType Dは変化が明確ではなく、Type Dのみでは最高温度が一意には定まらないことが分かった。
続いて石炭Cは、各構造比率と係数の乗算による線形結合式で昇温速度を推定する以下の式(2)を用いて、(A,B,C,D,昇温速度)の昇温温度の違いによる8組のデータから係数を最適化して係数a,b,c,dを求めた。得られた係数a〜dは、a=3.03、b=−0.53、c=−0.83、d=−1.16であった。
昇温速度=aA+bB+cC+dD (2)
[実施例4]
他のコークス実験炉で作製した最高温度1000℃、炉内昇温速度不明の石炭Cの乾留物について、昇温速度推定を試みた。XPS測定を実施したところ、窒素構造全比率ではType A=14%、Type B=8%、Type C=60%、Type D=21%で、実施例3で最適化した係数a〜dを用いて計算したところ、昇温速度は9.4℃/min程度と見積もられた。
[比較例1]
石炭Dを粒径125μm以下に粉砕し、不活性ガスで満たした電気環状炉内で昇温速度6℃/minで、最高温度600、700、800、900、1000℃まで加熱した石炭乾留物を得た。
得られた石炭乾留物のX線光電子分光法による窒素のスペクトルを、アルバックファイ社製XPS装置ESCA5500を用いて、X線源をAlモノクロメーター出力550Wとして測定した。良好なS/N比のスペクトルを得るため、1回/sの積算を6時間行い測定した。
得られたスペクトルをピーク分離し、Type A(ピーク位置398.8eV)、Type B(ピーク位置400.2eV)、Type C(ピーク位置401.8eV)、Type D(ピーク位置402.8eV)とその他に分けた。なお、ピークの半値幅及びピーク形状は、あらかじめ含窒素化合物の標準試料として用いたポリエチルカルバゾールを測定して得られた半値幅1.5eVと、Gaussian/Lorentian比0.75を用いた。
図5に、各最高温度600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃で作製した石炭乾留物の測定結果及び、ピーク分割の例を上から順に示す。
図5に示すように、600〜1000℃の各温度に対し、Type A〜Dのピーク分割ができることから、Type A〜Dの各ピークの面積を求め、熱履歴の最高温度と昇温速度を推定することができる。
一方、同じ石炭乾留物を核磁気共鳴装置を用いて、H−15N CPMAS法で測定したところ、乾留による炭化の進行に伴い石炭中に含まれるHが減少したためにCPMAS法による感度の減少に加え、乾留によって発生したラジカル等や石炭中に元来含まれる無機成分中の鉄などの常磁性不純物と思われるピークのブロードニングの影響により、いずれの試料においても明瞭なスペクトルを得ることができなかった。

Claims (3)

  1. 熱履歴が不明の製造方法において作製された石炭の乾留物中が製造時に受けた該石炭の乾留物の熱履歴のうち、昇温速度一定における最高温度、又は最高温度一定での昇温速度を、該石炭の乾留物中の窒素のX線光電子分光法により求めた変化した窒素化学構造の比率と、熱履歴推定のための検量線を用いて推定する方法であって、
    上記熱履歴の推定のための検量線は、あらかじめ石炭の乾留物を2水準以上の異なる熱履歴を規定した製造方法によって作製し、次いで、石炭の乾留物中の窒素をX線光電子分光法によって測定し、熱履歴に対して変化した窒素化学構造の比率を決定して求めた、昇温速度一定における最高温度、又は最高温度一定での昇温速度と、変化した窒素化学構造の比率との関係を示す検量線であることを特徴とする石炭の乾留物の熱履歴推定方法。
  2. 前記検量線は、前記最高温度又は前記昇温速度の変化に応じて、変化した窒素化学構造の比率が、単調に変化するものであることを特徴とする請求項1に記載の石炭の乾留物の熱履歴推定方法。
  3. 前記最高温度が、300〜1000℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の石炭の乾留物の熱履歴推定方法。
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