JP2013129676A - 癌の画像化および処置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ケモカイン受容体CXCR4に対するリガンドと検出可能な標識とを含む化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルであり、当該リガンドは、125I−CPCR4の存在下でIC50として測定した場合、CXCR4受容体に対して250nM以下の結合親和性を有し、当該リガンドは、その環状部分内にモチーフB−ArgまたはモチーフB−(Me)Argを有する環状オリゴペプチド部分を含み、かつBは、塩基性アミノ酸、その誘導体、またはフェニルアラニンであり、ただし、Bが塩基性アミノ酸のNα−メチル誘導体である場合には、当該モチーフはB−Argである。当該化合物は、診断用画像化および/または治療の目的に有用である。
【選択図】図3
Description
式中、
Bは、上記で規定され;
Zは、側鎖中に芳香族基を含有するアミノ酸であり;
nは、1または0であり、ただし、環状部分配列中の先行する4個のアミノ酸が、D−Tyr/(Me)D−Tyr−Arg−Arg−Nalであり、Nalが、L−3−(2−ナフチル)アラニンである場合にのみ、nは1であり;かつ
Xは、Gly、(Me)Gly、Ala、Dap、Dap(FP)((N−フルオロプロピオニル)−ジアミノプロピオン酸)、Dab、Dab(FP)((N−フルオロプロピオニル)−ジアミノ酪酸)、Dab(FB)((N−フルオロベンゾイル)−ジアミノ酪酸)、およびDap(FB)((N−フルオロベンゾイル)−ジアミノプロピオン酸)から選択される。
式中、
Bは、上記で規定され;
Zは、側鎖中に芳香族基を含有するアミノ酸であり;
nは、1または0であり;かつ
Xは、Gly、(Me)Gly、Ala、Dap、Dap(FP)、Dab、Dab(FP)、Dab(FB)、およびDap(FB)から選択され、当該化合物は、所望により、検出可能な標識を含み、ただし、当該化合物が検出可能な標識を含まない場合には、環状オリゴペプチド部分は、配列
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
ケモカイン受容体CXCR4に対するリガンドと検出可能な標識とを含む化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルであって、該リガンドは、 125 I−CPCR4の存在下でIC50として測定した場合、該CXCR4受容体に対して250nM以下の結合親和性を有し、該リガンドは、その環状部分内にモチーフB−ArgまたはモチーフB−(Me)Argを有する環状オリゴペプチド部分を含み、かつBは、塩基性アミノ酸、その誘導体、またはフェニルアラニンであり、ただし、Bが塩基性アミノ酸のN α −メチル誘導体である場合には、該モチーフはB−Argである、化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル。
(項目2)
前記環状オリゴペプチド部分が、配列:
を有し、
式中、
Bは、項目1において規定され;
Zは、側鎖中に芳香族基を含有するアミノ酸であり;
nは、1または0であり、ただし、該環状部分配列中の先行する4個のアミノ酸が、D−Tyr/(Me)D−Tyr−Arg−Arg−Nalであり、Nalは、L−3−(2−ナフチル)アラニンである場合にのみ、nは1であり;かつ
Xは、Gly、(Me)Gly、Ala、Dap(ジアミノプロピオン酸)、Dap(FP)((N−フルオロプロピオニル)−ジアミノプロピオン酸)、Dab(ジアミノ酪酸)、Dab(FP)((N−フルオロプロピオニル)−ジアミノ酪酸)、Dab(FB)((N−フルオロベンゾイル)−ジアミノ酪酸)、およびDap(FB)((N−フルオロベンゾイル)−ジアミノプロピオン酸)から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目3)
Zが、Nal、Dap(FB)、またはAMS(FB)(アミノオキシセリンと4−フルオロベンズアルデヒドとのオキシム)から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目4)
Bが、Arg、Orn、D−Orn、CitおよびHis、またはそれらのN−置換誘導体から選択される、項目1から3のいずれかに記載の化合物。
(項目5)
Bが、Me基でN α −置換されている、項目1から4のいずれかに記載の化合物。
(項目6)
Bが、OrnまたはD−Ornであり、前記オルニチン残基は、N δ において、フルオロベンゾイル(FB)スペーサー部分、フルオロプロピオニル(FP)スペーサー部分、アセチル(Ac)スペーサー部分、アミド(Am)スペーサー部分、Meスペーサー部分、1−ナフチルメチル(N1)スペーサー部分、2−ナフチルメチル(N2)スペーサー部分、ベンジル(Bz)スペーサー部分、およびアシルスペーサー部分から選択された、1個または2個の基で置換されており、該アシルスペーサー部分は、1〜14個の炭素の鎖を含有し、所望によりヘテロ原子によって中断され、該オルニチンのN δ より遠位の末端に求核性の官能基を有するアシル基である、項目2から5のいずれかに記載の化合物。
(項目7)
前記アシルスペーサー部分が、アミノヘキサノイル(Ahx)、トリエチレングリコールアミノアシル(TGAS)、(Ahx) 2 、(Ahx) 3 、(TGAS) 2 、および(TGAS) 3 から選択される、項目6に記載の化合物。
(項目8)
Bが、N α においてMe基で置換されたD−Ornである、項目6に記載の化合物。
(項目9)
Bが、N δ において、FB、FP、Ac、Am、N1、N2、MeおよびN1、MeおよびN2、Bz、BzおよびFB、BzおよびFP、MeおよびFB、MeおよびFP、またはMeで置換されたOrnである、項目6に記載の化合物。
(項目10)
Bが、N δ において、FB、FP、MeおよびFB、またはMeおよびFPで置換され、かつ所望によりN α においてMe基で置換されたD−Ornである、項目6に記載の化合物。
(項目11)
前記環状オリゴペプチド部分が、配列:
を有し、
式中、B、ZおよびXは、項目2で規定され、ただし、該配列中の1個の残基のみが、N α −メチル化され得る、項目1から5のいずれかに記載の化合物。
(項目12)
BがArgである、項目11に記載の化合物。
(項目13)
前記環状オリゴペプチド部分が、配列:
を有し、
式中、ZおよびXは、項目2で規定され、Bは、Arg、(Me)Arg、Orn、Cit、Orn(FB)、Orn(FP)、Orn(Ac)、Orn(Am)、Orn(N1)、Orn(N2)、Orn(Me,N1)、Orn(Me、N2)、Orn(Me)、Orn(Bz)、Orn(Bz,FB)、Orn(Ahx)、Orn(Ahx 2 )、Orn(Ahx 3 )、Orn(TGAS)、Orn(TGAS 2 )、Orn(TGAS 3 )、Orn(Me,FB)、D−Orn(FB)、(Me)D−Orn(FB)、(Me)D−Orn(Me,FB)、His、およびPheから選択され、ただし、該配列中の1個の残基のみが、N α −メチル化され得る、項目1から4のいずれかに記載の化合物。
(項目14)
前記第1残基がD−Tyrである、項目13に記載の化合物。
(項目15)
前記第3残基がArgである、項目13または14に記載の化合物。
(項目16)
ZがNalである、項目11から14のいずれかに記載の化合物。
(項目17)
XがGlyである、項目11から15のいずれかに記載の化合物。
(項目18)
前記環状オリゴペプチド部分が、
から選択された配列を有する、項目1から4のいずれかに記載の化合物。
(項目19)
前記環状オリゴペプチド部分が、
から選択された配列を有する、項目18に記載の化合物。
(項目20)
前記環状オリゴペプチド部分が、
から選択された配列を有する、項目19に記載の化合物。
(項目21)
前記リガンドが、前記環状オリゴペプチド部分からなる、項目1〜20のいずれかに記載の化合物。
(項目22)
前記標識が、放射性標識である、項目1〜21のいずれかに記載の化合物。
(項目23)
前記化合物が、1個以上のDap(FB)基、Dap(FP)基、FB基またはFP基を含有し、かつ該フッ素置換基のうちの1個が 18 Fである、項目22に記載の化合物。
(項目24)
前記 18 Fが、OrnまたはD−OrnのN δ におけるFB置換基またはFP置換基上に存在する、項目23に記載の化合物。
(項目25)
18F 、 47 Sc、 51 Cr、 52 Fe、 52m Mn、 56 Ni、 57 Ni、 62 Cu、 64 Cu、 67 Ga、 68 Ga、 72 As、 75 Br、 76 Br、 77 Br、 82 Br、 89 Zr、 94m Tc、 97 Ru、 99m Tc、 111 In、 123 I、 124 I、 125 I、 131 I、 191 Pt、 197 Hg、 201 Tl、 203 Pb、 110m In、 120 Iから選択された放射性標識を有する、項目22に記載の化合物。
(項目26)
有機錯体形成剤と放射性核種との間の錯体によって、前記リガンドに結合している放射性標識を有し、該錯体は、該リガンドの前記CXCR4受容体に対する結合特性を損なうことがない様式で、該リガンドに結合している、項目22に記載の化合物。
(項目27)
前記錯体形成剤が、前記リガンドに、スペーサー基によって結合している、項目26に記載の化合物。
(項目28)
前記放射性標識が、 32 P、 67 Cu、 77 As、 90 Y、 99 Mo、 103 Ru、 105 Rh、 109 Pd、 111 Ag、 114m In、 117m Sn、 121 Sn、 127 Te、 131 I、 140 La、 140 Nd、 142 Pr、 143 Pr、 149 Tb、 149 Pm、 151 Pm、 153 Sm、 159 Gd、 161 Tb、 166 Ho、 166 Dy、 169 Er、 169 Yb、 172 Tm、 175 Yb、 177 Lu、 186 Re、 188 Re、 198 Au、 199 Au、 211 At、 211 Bi、 212 Bi、 213 Bi、 225 Acから選択される、項目22に記載の化合物。
(項目29)
前記放射性標識が、 90 Y、 188 Reおよび 131 Iから選択される、項目22に記載の化合物。
(項目30)
細胞障害性部分とケモカイン受容体CXCR4に対するリガンドとを含む化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルであって、該リガンドは、 125 I−CPCR4の存在下でIC50として測定した場合、該CXCR4受容体に対して250nM以下の結合親和性を有し、該リガンドは、その環状部分内にモチーフB−ArgまたはモチーフB−(Me)Argを有する環状オリゴペプチド部分を含み、かつBは、塩基性アミノ酸、その誘導体、またはフェニルアラニンであり、ただし、Bが塩基性アミノ酸のN α −メチル誘導体である場合には、該モチーフはB−Argである、化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル。
(項目31)
前記環状オリゴペプチド部分が、配列:
を有し、
式中、
Bは、塩基性アミノ酸、その誘導体、またはフェニルアラニンであり、ただし、Bが塩基性アミノ酸のN α −メチル誘導体、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである場合には、前記モチーフはB−Argであり;
Zは、側鎖中に芳香族基を含有するアミノ酸であり;
nは、1または0であり、ただし、該環状部分配列中の先行する4個のアミノ酸が、D−Tyr/(Me)D−Tyr−Arg−Arg−Nalである場合にのみ、nは1であり;かつ
Xは、Gly、(Me)Gly、Ala、Dap(ジアミノプロピオン酸)、Dap(FP)((N−フルオロプロピオニル)−ジアミノプロピオン酸)、Dab(ジアミノ酪酸)、Dab(FP)((N−フルオロプロピオニル)−ジアミノ酪酸)、Dab(FB)((N−フルオロベンゾイル)−ジアミノ酪酸)、およびDap(FB)((N−フルオロベンゾイル)−ジアミノプロピオン酸)から選択される、項目30に記載の化合物。
(項目32)
Zが、Nal(L−3−(2−ナフチル)アラニン)、Dap(FB)、またはAMS(FB)から選択される、項目31に記載の化合物。
(項目33)
ケモカイン受容体CXCR4に対するリガンドを含む化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルであって、該リガンドは、 125 I−CPCR4の存在下でIC50として測定した場合、該CXCR4受容体に対して250nM以下の結合親和性を有し、該リガンドは、その環状部分内にモチーフB−ArgまたはモチーフB−(Me)Argを有する環状オリゴペプチド部分を含み、かつBは、塩基性アミノ酸、その誘導体、またはフェニルアラニンであり、ただし、Bが塩基性アミノ酸のN α −メチル誘導体である場合には、該モチーフはB−Argであり、ただし、該オリゴペプチド部分は、配列
も、配列
も有さない、化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル。
(項目34)
前記リガンドが、配列:
を有する環状オリゴペプチド部分を含み、
式中、
Bは、項目33で規定され;
Zは、側鎖中に芳香族基を含有するアミノ酸であり;
nは、1または0であり、ただし、該環状部分配列中の先行する4個のアミノ酸が、D−Tyr/(Me)D−Tyr−Arg−Arg−Nalである場合にのみ、nは1であり;かつ
Xは、Gly、(Me)Gly、Ala、Dap(ジアミノプロピオン酸)、Dap(FP)((N−フルオロプロピオニル)−ジアミノプロピオン酸)、Dab(ジアミノ酪酸)、Dab(FP)((N−フルオロプロピオニル)−ジアミノ酪酸)、Dab(FB)((N−フルオロベンゾイル)−ジアミノ酪酸)、およびDap(FB)((N−フルオロベンゾイル)−ジアミノプロピオン酸)から選択される、項目33に記載の化合物。
(項目35)
Zが、Nal(L−3−(2−ナフチル)アラニン)、Dap(FB)、またはAMS(FB)から選択される、項目34に記載の化合物。
(項目36)
1個以上の親水性部分を結合させることによって改変されている、項目1から35のいずれかに記載の化合物。
(項目37)
1種または複数の薬学的に許容される賦形剤と一緒に、項目1から36のいずれかに記載の化合物を含む薬学的組成物。
(項目38)
注射に適した、項目37に記載の組成物。
(項目39)
項目1に記載の化合物を合成する方法であって、放射性核種または有機錯体形成剤と該放射性核種との間の錯体がリガンドに結合するような条件下で、該リガンドを、該放射性核種の供給源で処理する工程を含む、方法。
(項目40)
治療または診断における使用のための、項目1から36のいずれかに記載の化合物。
(項目41)
新生物性状態の治療のための医薬品の調製における、項目1から36のいずれかに記載の化合物の使用。
(項目42)
新生物性状態の診断用画像化のための医薬品の調製における、項目1から29のいずれかに記載の化合物の使用。
(項目43)
前記新生物が、転移の可能性を有するかまたは有することが疑われる、項目41または42に記載の使用。
(項目44)
前記新生物性状態が、乳癌または前立腺癌である、項目41から43のいずれかに記載の使用。
(項目45)
新生物の組織を画像化する方法であって、新生物を有するかまたは有することが疑われる対象に、項目1から29のいずれかに記載の化合物を投与する工程と、in vivoにおいて該化合物が分布した後に該化合物を検出する工程とを含む、方法。
(項目46)
前記検出工程に続いて、前記検出した化合物の画像を生成するさらなる工程を含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
新生物の細胞の転移の可能性を決定する方法であって、項目1から29のいずれかに記載の化合物に、該細胞を暴露させて、該化合物を該細胞の表面上のCXCR4受容体に結合させる工程と、未結合の化合物を該細胞の近傍から除去する工程と、該細胞に結合した化合物の存在および/または量を決定する工程とを含む、方法。
(項目48)
前記細胞は、前記新生物から取り出され、in vitroにおいて前記化合物に暴露される、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記標識が放射性核種を含む場合、結合した化合物の存在および/または量を画像化するまたは決定する工程が、PETまたはSPECTを使用して行われる、項目45から47のいずれかに記載の方法。
(項目50)
対象における新生物性状態を治療する方法であって、該新生物が、転移の可能性を有するかまたは有することが疑われ、該対象に項目1から36のいずれかに記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
(項目51)
前記新生物性状態が、乳癌または前立腺癌である、項目45から50のいずれかに記載の方法。
(項目52)
項目1から29のいずれかに記載の化合物を合成する方法であって、前記検出可能な標識または有機錯体形成剤と該標識との間の錯体が前記リガンドに結合するような条件下で、該リガンドを該検出可能な標識の供給源で処理する工程を含む、方法。
(項目53)
項目30から32のいずれかに記載の化合物を合成する方法であって、前記細胞障害性部分が前記リガンドに直接的または間接的に結合するような条件下で、該リガンドを該細胞障害性部分の供給源で処理する工程を含む、方法。
(項目54)
ケモカイン受容体CXCR4に対するリガンドを含む化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルであって、該リガンドが、配列:
を有する環状オリゴペプチド部分を含み、
式中、
Bは、項目1で規定され;
Zは、側鎖中に芳香族基を含有するアミノ酸であり;
nは、1または0であり;かつ
Xは、Gly、(Me)Gly、Ala、Dap(ジアミノプロピオン酸)、Dap(FP)((N−フルオロプロピオニル)−ジアミノプロピオン酸)、Dab(ジアミノ酪酸)、Dab(FP)((N−フルオロプロピオニル)−ジアミノ酪酸)、Dab(FB)((N−フルオロベンゾイル)−ジアミノ酪酸)、およびDap(FB)((N−フルオロベンゾイル)−ジアミノプロピオン酸)から選択され、該化合物は、所望により、検出可能な標識を含み、ただし、該化合物が検出可能な標識を含まない場合には、該環状オリゴペプチド部分は、配列
も、配列
も有さない、化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル。
放射性標識CPCR4のSPECT/PETによる画像化
1.1 概要
1.1.1 材料および方法:
腫瘍の転移の可能性を早期に評価するための方法は、治療法を予想および制御するために役立つ道具となるであろう。最近、ケモカイン受容体であるCXCR4が、転移における1つの重要な役割を担っているとされた。乳癌および前立腺癌等の多様な腫瘍において、CXCR4が、腫瘍細胞のホーミングの間に優勢な役割を担うことが見出されており、原発性腫瘍および転移の両方において発現することが示された。本研究の目的は、SPECTおよびPETによる画像化によって、in vivoにおける腫瘍上および転移上のCXCR4を画像化するための新規放射性標識プローブを開発することにあった。
放射性標識CPCR4は、高い親和性(KD:0.4±0.1mM)および特異性(>90%)で、アンタゴニスト的に、CXCR4を内因性に発現するジャーカット細胞およびCXCR4/GFPを発現するように形質導入したCMS5細胞に結合する。オートラジオグラフィー、免疫組織化学(IHC)、およびGFPの蛍光によって確認されたように、CMS5/CXCR4+線維肉腫は、マウスにおける信頼できるCXCR4腫瘍モデルであることが見出された。i.v.注射した放射性標識CPCR4の体内分布研究は、注射1h後に、CMS5/CXCR4+腫瘍中では5.5±1.5%ID/g(注射用量/g)、およびCMS5/CXCR4−対照中では0.6±0.2%ID/gを示した。急速な血中クリアランスおよび低いバックグランドの蓄積(<1.0%ID/g)の他に、より高いトレーサーの取込みが認められ、これらは、肝臓19.5±2.8%ID/g、腸17.2±2.9%ID/g、および腎臓12.2±2.3%ID/gであった。マウスのCPCR4−SPECTおよび動物PET画像化を使用すると、CXCR4+腫瘍の明確な描写が可能であったが、同一動物のCXCR4−対照の場合、活性の蓄積は認められなかった。
1.2.1 材料および方法
1.2.1.1 ペプチドの合成および放射性標識
ペプチドを、Fmoc戦略に従って、標準的な固相ペプチド合成のプロトコールを使用することによって合成した。Fmocアミノ酸であるFmoc−Arg(Pbf)、Fmoc−D−Tyr(tBu)、およびFmoc−Glyは、Novabiochem(Bad Soden、ドイツ)から購入し、Fmoc−2−ナフチルアラニンは、Bachem(Bubendorf、スイス)から得た。ペプチド合成は、TCP(塩化トリチルポリスチレン)樹脂上で、手作業で行った。O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸(TBTU)、およびジフェニルホスホリルアジド(DPPA)はそれぞれ、AlexisおよびAldrich(Steinheim、ドイツ)から購入した。IodoGen(1,3,4,6−テトラクロロ−3R,6R−ジフェニルグリコールウリル)は、Pierce(Rockford、イリノイ州、米国)から得、ヨウ化ナトリウム−125は、Hartmann−Analytic GmbH(Braunschweig、ドイツ)から購入し、ヨウ化ナトリウム−123は、Amersham Health(Eindhoven、オランダ)から得た。ヨウ化ナトリウム−124は、W.Brandau教授(Essen、ドイツ)から、御厚意による提供を受けた。すべてのその他の試薬は、Merck(Darmstadt、ドイツ)またはSigma−Aldrich(Taufkirchen、ドイツ)から購入した。別段の指定がない限り、溶媒は、さらなる精製なしに使用した。
一般論
すべての市販の化学試薬は、さらなる精製なしに使用した。工業用の溶媒は、蒸留してから使用した。
System Gold上で行った。
1.3ソフトウエアを使用するPCワークステーション上で処理した。
ペプチド合成は、標準的なFmoc戦略後に、TCP樹脂(1mmol/g)を使用して実施した[13]。Fmoc−Xaa−OH(1.2当量)を、TCP樹脂に、無水DCM(2mL)中のDIEA(ジイソプロピルエチルアミン)(2.5当量)を用いて、室温で1時間結合させた。残存している塩化トリチル基は、MeOH、DIEAの溶液(5:1、v:v)を15分間添加することによってキャップした。樹脂を、ろ過し、DCM(5×)およびMeOH(3×)で十分に洗浄した。負荷容量を、樹脂を真空下で乾燥させた後の重量によって決定したところ、0.4〜0.9mmol/gの範囲であった。
樹脂結合Fmocペプチドを、NMP中の20%ピペリジン(v/v)で、10分間、および2回目は5分間処理した。樹脂を、NMP(5×)で洗浄した。
NMP中のFmoc−Xaa−OH(2当量)、TBTU(2当量)、HOBt(ヒドロキシベンゾトリアゾール)(2当量)、DIEA(5.2当量)の溶液を、樹脂結合遊離アミンペプチドに添加し、室温で60分間振とうした後、NMP(5×)で洗浄した。
N−アルキル化を、最適化プロトコールを使用して実施した[14]。NMP中の塩化o−ニトロベンゼンスルホニル(o−Ns−Cl)(5当量)およびコリジン(10当量)の溶液を、樹脂結合遊離アミンペプチドに添加し、室温で15分間振とうした。樹脂を、NMP(3×)および乾燥THF(3×)で洗浄した。
乾燥THF中のトリフェニルホスフィン(5当量)、DIAD(アゾジカルボン酸ジイソプロピル)(5当量)およびアルコール(10当量)の溶液を、樹脂結合o−Ns保護ペプチドに添加し、室温で10分間振とうした。樹脂をろ取し、乾燥THF(3×)およびNMP(3×)で洗浄した。
o−Ns脱保護のために、樹脂結合N−アルキル−N−o−Ns−ペプチドを、NMP中のメルカプトエタノール(10当量)およびDBU(5当量)の溶液で、5分間処理した。脱保護の手順を、さらに1回繰り返した後、樹脂を、NMP(5×)で洗浄した。
NMP中のFmoc−Xaa−OH(2当量)、HATU(2当量)、HOAt(ヒドロキシアゾベンゾトリアゾール)(2当量)、DIEA(4当量)の溶液を、樹脂結合Nα−メチルアミン遊離ペプチドに添加し、室温で3時間振とうした後、NMP(5×)で洗浄した。
乾燥DCM中のPd(PPh3)4(0.125当量)(0.5ml/g樹脂)を、樹脂結合Alloc(アリルオキシカルボニル)ペプチドに添加し、その後、乾燥DCM中のフェニルシラン(0.5ml/g樹脂)を添加し、1時間振とうした。樹脂を、DCMで5回洗浄した。
樹脂から完全に切断するために、ペプチドを、DCMおよびHFIPの溶液(4:1;v:v)で、室温で30分間3回処理した後、溶媒を減圧下で蒸発させた。
ペプチドの1mM溶液およびNaHCO3(5当量)に、DPPA(ジフェニルホスホリルアジド)(3当量)を、室温で添加し、一晩または線状ペプチドがESI−MSによって観察されなくなるまで攪拌した。溶媒を、減圧下で蒸発させ、体積を減少させた後、ペプチドを、飽和NaCl溶液中に沈殿させ、HPLCグレードの水で2回洗浄した。
環化ペプチドを、TFA、水およびTIPS(トリイソプロピルシラン)(95:2.5:2.5)の溶液中、室温で、1時間または保護されているペプチドがESI−MSによって観察されなくなるまで攪拌し、ジエチルエーテル中に沈殿させ、2回洗浄した。
オルニチン側鎖のアシル化のために、環化されかつ完全に保護されているペプチドを、DMF中のTBTU(1当量)および対応する酸(1当量)と共に、15分間攪拌した。溶液は、精製のために、HPLC内に直接注入した。
Nα−Alloc−Nε−Boc−L−オルニチン
Nε−Boc−L−オルニチン(1.00g、4.3mmol)を、水およびTHF(50ml、1:1、v/v)中のNa2CO3(1.14g、10.75mmol)の溶液に溶解させた。クロロギ酸アリル(0.46ml、4.3mmol)の添加後、溶液を1.5h攪拌した。THFを、減圧下で蒸発させた後、水相をジエチルエーテルで洗浄し(1×50mL)、conc.HClでpH1まで酸性化し、生成物をEtOAcで抽出した(3×50mL)。有機層を合わせて乾燥させ(Na2SO4)、ろ過、濃縮した後、真空中で乾燥させて、無色、粘着性の油を、十分に純粋な生成物として得た(1.20g、90%)。
Nα−Alloc−Nε−Boc−L−オルニチン(1.20g、3.87mmol)を、DCM(10mL)中に溶解させ、TFA(5mL)をゆっくり添加した。45分間攪拌した後、液体を蒸発させた。
CPCR4を、Iodogenの方法を使用して、123I−ヨウ化物、124I−ヨウ化物、または125I−ヨウ化物で標識した[2]。0.2mgのペプチドを、250μlのリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)中に溶解させた。この溶液を、150μgのIodogenでコートしたEppendorf製のカップに添加し、放射性ヨウ化物の溶液と組み合わせた。室温での15分後、溶液を、固体の酸化試薬から取り出した。精製を、勾配RP−HPLCを使用して行った。放射化学純度は、通常、>95%であった。動物実験のために、放射性標識ペプチドを含有する画分を、水で希釈し、Sep−Pak C18カラムに結合させた。その後、カラムを、水で洗浄し、放射性標識ペプチドを、メタノールで溶出させた。メタノールを真空中で除去した後、残渣を、PBS(pH7.4)中に溶解させて、希釈した。4℃で保存するために、溶液を、20%エタノールを含有するH2O中の0.1%トリフルオロ酢酸で酸性化した。
親油性を決定するために、500μlのPBS(pH7.4)中の0.4〜2.7μCiの125I−CPCR4を、500μlのオクタノールと混合し、激しくボルテックスした。定量的な相分離のために遠心分離した後、各相から100μlを取り出し、放射活性をガンマカウンター中で決定した。実験は、三つ組みで行い、独立に2回繰り返した。
マウス線維肉腫細胞系CMS5[3]およびヒト293T細胞系[4](R.Willemsen、Department of Clinical and Tumour Immunology、Daniel den Hoed Cancer Center、Rotterdam、オランダから、御厚意による提供を受けた)の両方を、10%(v/v)ウシ胎仔血清(PAA,Linz、オーストリア)および1%(v/v)L−グルタミンを補ったダルベッコ変法イーグル培地中で培養した。Tリンパ球ジャーカット細胞系(ATCC)を、10%(v/v)ウシ胎仔血清(FCS)および1%(v/v)L−グルタミンを補ったRPMI1640培地中に維持した。別段の言及がない限り、培地および補助剤は、Biochrom(Berlin、ドイツ)から得た。
高感度蛍光タンパク質をコードするcDNAを、pEGFP(BD Biosciences Clontech、ドイツ)から、NcoI StuI消化によって切り取り、クレノウ酵素を使用して平滑末端化した後、pIRESneo3(BD Biosciences Clontech、ドイツ)の特有のSmaI部位に挿入して、pIRESeGFPneo3を得た。次の工程で、IRES−eGFPを運ぶNotI断片を、pBulletのNotI部位内にクローン化して(Shaftら、2003年)、pBulletIRESeGFPを得た。(B.Moser、Bernから、御厚意により提供を受けた)ヒトケモカイン受容体4型(CXCR4)のcDNAを運ぶpcDNA3CXCR4[5]の1292bpのHindIII XbaI断片を単離し、すべての部位をクレノウ酵素を用いて平滑末端化した後、レトロウイルスベクターpBulletIRESeGFPのBamHI部位内にクローン化した。得られたベクターは、pBulletCXCR4−IRES−eGFPと名付けた。293T細胞の一過性の形質移入およびCMS5細胞の形質導入によるレトロウイルスの産生は、他所に記載されている[6]。
トリプシン処理した細胞のEGFPおよびCXCR4の発現を、488nmでの40mWの励起エネルギーのArgon Laserビーム(Spectra−Physics)を使用する蛍光活性化セルソーター(Becton Dickinson FACS Vantage、Heidelberg、ドイツ)およびCellQuest Softwareを用いて分析した。EGFPの発現は、FL1(530/30nm)フィルターを使用して、直接測定した。死滅細胞は、ヨウ化プロピジウムを細胞に添加することによって決定し、蛍光は、FL2 585/42nmフィルターを使用して決定した。死滅細胞の割合は、常時、≦0.2%であった。CXCR4を発現するCMS5細胞の集団を、CXCR4−EGFP同時発現細胞を、FL1を用いて、20の最小蛍光でえり分けることによって濃縮した。
受容体結合アッセイのために、細胞を、PBS/0.2%BSA中に再懸濁した。400,000個の細胞(ジャーカット、CMS5)または200,000個の細胞(CMS5/CXCR4)を含有する全量200μlの懸濁液を、25μlのトレーサー溶液(3.1kBq、約0.1nMを含有する)、および25μlの希釈液または異なる濃度の競合相手と共にインキュベートした。IC50値を決定するために、125I−CPCR4を、トレーサーとして使用した。SDF−1αは、R&D Systems(Wiesbaden、ドイツ)から得、125I−SDF−1αは、Perkin−Elmer(Boston、マサチューセッツ州、米国)から購入した。飽和曲線のために、トレーサー濃度を、5から500pMまで変化させ、一方非特異的結合は、1μMの冷CPCR4の存在下で決定した。室温で2時間振とうした後、インキュベーションを、700×gおよび4℃で4分間遠心分離することによって終了させた。細胞ペレットを、冷PBSで1回洗浄した後、第2の遠心分離の工程、または内在化研究のためには酸性の洗浄緩衝液(20mM NaOAc、pH5.0)での2回の洗浄を行った。細胞結合放射活性を、ガンマカウンターを使用することによって決定した。実験は、二つ組みまたは三つ組みで2〜3回繰り返した。結合曲線のIC50値は、Prism3.0(Graph Pad Software,Inc、San Diego)を使用して、一部位または二部位の競合に基づくモデル上での非線形回帰によって計算した。KDおよびBmaxの値は、Prism3.0を用いてメーカーのプロトコールに従って、非線形回帰によって決定した。
動物実験のために、CMS5親細胞およびCMS5/CXCR4形質導入細胞を、雌のSwiss nu/nuマウス(Charles River、フランス)中に皮下注射した。したがって、各マウスのために、1.5×106個のCMS5細胞および2×106個のCMS5/CXCR4細胞のそれぞれを、75μlのPBS中に再懸濁させて、同一容量のMatrigel−Matrix HC(BD Biosciences、Heidelberg、ドイツ)と、メーカーのプロトコールに従って混合した。その後、細胞懸濁液をそれぞれ、各肩部に接種した。腫瘍増殖14〜16日後、マウスを、画像化および体内分布のために使用した。すべての動物実験は、地方自治体により承認されており、機関のガイドラインに従っている。
370kBq(10μCi)の125I標識CPCR4を、腫瘍を有するマウスの尾部の静脈内に静脈注射した。トレーサー注射の30、60および120分後に、マウスを堵殺して、解剖した。対象の臓器を取り出し、重量測定した組織試料中の放射活性を、Wallac製(Turku、フィンランド)製の1480 Wizard3ガンマカウンターを使用して測定した。結果は、組織重量1グラムあたりの注射用量のパーセント(%ID/g)として表す。各値は、4匹から6匹の動物の平均値を示す。
1.2.2.1 CPCR4の合成および放射性標識
CXCR4受容体に対して高い親和性および選択性を示すCPCR4、すなわち、環状ペンタペプチド
マウス線維肉腫細胞系CMS5に、CXCR4−IRES−eGFPを、レトロウイルスによって形質導入した。細胞プールにおいて、FACS分析によって130の平均蛍光強度で決定した場合、CXCR4をレトロウイルスによって形質導入したCMS5細胞のうちの70〜80%が、eGFP発現陽性であった。増殖曲線および生存アッセイ(XTT)から、両方の細胞系が、in virtoにおいては、類似の増殖の動態を有することが実証された(データを表示せず)。CMS5細胞およびCMS5/CXCR4細胞を、ヒトCXCR4について染色すると、CMSは、2.2%のバックグランド染色を示したが、CMS5/CXCR4細胞の61.6%が、ヒトCXCR4に対して陽性に染色され、66の平均蛍光強度を示し、それらの細胞の57.9%が、CXCR4およびeGFPの両方に対して陽性であった。(図1)反復FACS分析によって示されたように、細胞系は、時間が経過しても安定であった(データを表示せず)。
125I−CPCR4の新規CXCR4放射性リガンドとしての適切性を、最初に、CXCR4受容体を内因性に発現するジャーカット細胞[9、10]において、次に、CXCR4を発現するようにレトロウイルスによって形質導入したCMS5/CXCR4細胞において試験した。両方の細胞系で、再現性のある特異性の高い結合が、125I−SDF−1α(50〜70%)および125I−CPCR4(>90%)を使用することによって見出された。CMS5親細胞においては、両方のトレーサーは、ジャーカット細胞および形質導入CMS5/CXCR4細胞の非特異的結合の範囲のごくわずかな結合しか示さなかった。飽和曲線からは、サブナノモルの範囲のほぼ同一のKD値(0.3から0.4nM)が、両方の細胞系から得られ、これは、125I−CPCR4のCXCR4受容体に対する高い親和性を示している。(図2および関連する表A)さらに、高い数の125I−CPCR4結合部位(Bmax)が決定された。ジャーカット細胞の場合、Bmax値は、起源により依存性であり、培養条件によって強く変動したが、CMS5/CXCR4細胞上の結合部位の数(Bmax)は一定であり、再現性がより良好であった(23±6fmol受容体タンパク質)。
ヒトCXCR4が、マウス細胞において機能性であるか否かを決定するために、細胞を、ヒトSDF−1αと共にプレインキュベートし、表面CXCR4について染色した後、FACS分析を行った。対照処置細胞の79.2%に対して、ヒトSDF−1αと共にプレインキュベートした後、CMS5/CXCR4細胞の54.7%がCXCR4に対して陽性に染色され、これは、ヒト受容体がマウスCMS5細胞において機能性であることを示している。CMS5細胞におけるCXCR4バックグランド染色は、SDF−1αの存在下で、7.9から2.7%に減少した。ジャーカット細胞は、陽性の対照としての役目を果たし、陽性細胞パーセントの減少は示さなかったが、平均蛍光強度が385.4から155.4に低下した。CMS5/CXCR4細胞においては、平均蛍光強度は、偽処置した細胞の209.0からSDF−1αで処置した細胞の80.5へ低下した。これは、ジャーカット細胞は、CMS5/CXCR4細胞よりも、より多くのCXCR4受容体を含有することを示している。
125I−CPCR4の体内分布および腫瘍における蓄積を、CMS5腫瘍およびCMS5/CXCR4腫瘍を有するヌードマウス中に注射30、60および120分後に決定した。CMS5/CXCR4腫瘍においては、125I−CPCR4の腫瘍における最も高い腫瘍蓄積を、60分後に達成し、1グラムあたりの注射用量の5.5(±1.5)パーセント(%ID/g)であったが、CMS5親腫瘍においては、この時点で、わずかに0.6(±0.2)%ID/gを観察したにすぎない。125I−CPCR4は、CMS5/CXCR4腫瘍においては、30分後では、4.7(±1.3)%ID/g、および120分後では、3.8(±1.4)%ID/gの蓄積を示す。すべての時点において、より高いトレーサーの蓄積を、肝臓、腸および腎臓に関してのみ観察した。その他の臓器は、非常に低いバックグランドの蓄積を示したにすぎない。肝臓では、125I−CPCR4の蓄積は、時間の経過と共に、30分後の27.7(±4.9)%ID/gから120分後の15.0(±1.8)%ID/gに減少したが、腸では、トレーサーの蓄積は、30分後の16.0(±4.7)%ID/gから120分後の19.2(±4.5)%ID/gにわずかに増加し、これは、これらの臓器における代謝過程を示している。腎臓では、トレーサーの蓄積は、60分後に12.2(±2.3)%ID/gのピークを示し、120分後には8.2(±1.1)%ID/gまで減少した(図3および表)。
CXCR4ケモカイン受容体の発現を標的にする環状ペプチドの開発
HIV−1感染、癌の転移、関節リューマチおよび慢性リンパ球性B細胞白血病のような、いくつかの疾患が、CXCR4ケモカイン受容体の天然リガンドとの相互作用に結び付けられている。この天然リガンドは、68個のアミノ酸を含有するタンパク質である、ストロマ細胞由来因子1α(SDF−1α)である[11]。これらの疾患を治療するための1つの戦略として、小型のCXCR4アンタゴニストを用いて、CXCR4とSDF−1αとの間の相互作用を遮断することができるであろう。さらに、適切な化合物を適切な放射性アイソトープで放射性標識することによって、PETによってin vivoにおけるCXCR4の発現を画像化するための薬剤を提供することができるであろう。
CXCR4ケモカイン受容体発現の、ペプチドに基づいたPETプローブおよびバイオルミネセンスを用いた多様式分子画像化
腫瘍細胞の転移および臓器特異的なホーミングにおける1つの重要な役割を、ケモカイン受容体CXCR4およびその内因性リガンドSDF−1αが担っている。in vivoにおいてCXCR4の発現を標的とするために、我々は、放射性標識環状ペプチドであるCPCR4を開発した。125I−CPCR4は、最初のPET画像化のプローブであり、これは、CXCR4に高い親和性で結合し(KD=0.4nM)、in vivoにおいてCXCR4を発現する腫瘍中での高い蓄積を示し(5.5%ID/g、注射1h後)、CXCR4陽性腫瘍の明確な描写を可能にする。
CXCR4結合環状オリゴペプチドとキレート化剤との間の複合体の調製
当業者であれば、本発明の環状オリゴペプチド、適切なスペーサー部分(好ましくは、本明細書に記載するリンカー部分のうちの1つ)、およびキレート化剤または放射性金属の錯体形成に適したその他の部分からなる構築物または複合体を容易に調製することができるであろう。典型的には、近年、多数の刊行物に記載されているように、DOTAを、例えば、リンカーを有する、完全に保護されているオリゴペプチドに、標準的な活性化の手順を使用するトリ−保護(例えば、トリ−tert−ブチル保護)DOTAを使用して、あるいはDOTAのあらかじめ活性化されている種、例えば、DOTAのモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラN−スクシンイミジルエステルまたは4−ニトロフェニルエステルを使用してのいずれかで結合させる。別法として、標準的なペプチド結合条件を使用して、この目標を達成することもできる。
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