JP2013123454A - 生体情報計測用パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】被験者の生体情報の計測精度が高い生体情報計測用パネルを提供する。
【解決手段】パネル1Aは、被験者Hの下側に配置される敷き板2と、一端部が敷き板2に固定されるとともに、敷き板2の下面側に、敷き板2の撓曲変形によって引張力が作用して他端部の位置が一端部側へ変位し且つ敷き板2の撓曲変形量の変動に伴い他端部の位置の変位量が変動するように配置された引張部材と、引張部材の他端部が連結されるとともに、引張部材5の他端部の位置の変位量の変動に伴い変形量が変動するように配置された弾性変形部材と、弾性変形部材の変形量の変動に対応する弾性変形部材の歪み量の変動を検出し、被験者Hの生体情報の計測に用いられる信号を出力する歪み検出センサと、を備える。弾性変形部材の変形時のばね定数は、引張部材の引張ばね定数よりも小さい。
【選択図】図1

Description

本発明は、被験者の生体情報の計測に用いられる生体情報計測用パネル、生体情報計測装置、及び、生体情報計測方法に関する。
医療施設(例:病院)、老人施設、一般家庭等では、病人、乳幼児、高齢者等の被験者の健康状態を把握するために、被験者の呼吸情報、脈拍情報、体動(寝返り)情報等の生体情報を計測することが行われている。この測定に用いられる装置として、例えば特開2008−253714号公報(特許文献1)に開示されたものが知られている。
同公報の装置は、伸縮性部材を備えたベルトを被験者の胸部や腹部に装着し、被験者の呼吸動作に伴い発生した伸縮性部材の伸縮をセンサで計測することで、睡眠時の被験者の呼吸情報を計測するように構成されている。この装置では、被験者の胸部や腹部にベルトを装着するので、被験者は拘束された感じになって被験者の寝心地を悪化させるという難点があった。さらに、センサから信号線や給電線が延びて演算器や電源に接続されている場合には、被験者がベッド等の就寝場所から離れる際にベルトを取り外さなければならないという難点もあった。
そこで、このような難点を解消し得る装置として、例えば特開2006−43445号公報(特許文献2)に開示されたものが知られている。
同公報の装置は、被験者の下側に弾性的に撓曲変形可能な敷き板を配置し、被験者の生体活動に伴い発生する敷き板の撓曲歪み量の変動を敷き板に装着された歪み検出センサで検出することにより、被験者の生体情報を計測するように構成されている。この装置では、上述したような装置の難点はない。
特開2008−253714号公報 特開2006−43445号公報
しかしながら、この装置は、敷き板の撓曲歪み量の変動を歪み検出センサで検出することで被験者の生体情報を計測するものなので、敷き板の撓曲歪み量の変動が小さい場合には、歪み検出センサによる撓曲歪み量の検出が困難になり、その結果、被験者の生体情報の計測精度が低下するという難点があった。
本発明は上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、被験者の生体情報の計測精度が高い生体情報計測用パネル、生体情報計測装置、及び、生体情報計測方法を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
[1] 被験者の下側に配置されるとともに、弾性的に撓曲変形可能で且つ被験者の生体活動に伴い撓曲変形量が変動する敷き板と、
一端部が前記敷き板に固定されるとともに、前記敷き板の下面側に、前記敷き板の撓曲変形によって引張力が作用して他端部の位置が一端部側へ変位し且つ前記敷き板の撓曲変形量の変動に伴い他端部の位置の変位量が変動するように配置された引張部材と、
前記引張部材の他端部が連結されるとともに、前記引張部材の他端部の位置の変位量の変動に伴い変形量が変動するように配置された弾性変形部材と、
前記弾性変形部材の変形量の変動に対応する弾性変形部材の歪み量の変動を検出し、被験者の生体情報の計測に用いられる信号を出力する歪み検出センサと、を備え、
前記弾性変形部材の変形時のばね定数が前記引張部材の引張ばね定数よりも小さいことを特徴とする生体情報計測用パネル。
[2] 更に、案内部を備えており、
前記引張部材は、前記案内部によって、引張部材の一端部が他端部側へ引っ張られる際に引張方向に案内されるものとなされている前項1記載の生体情報用パネル。
[3] 前記引張部材は、前記敷き板の下面側に配置された、前記案内部としてのチューブ内に挿通されている前項2記載の生体情報計測用パネル。
[4] 前記案内部における少なくとも前記引張部材との接触部は樹脂で形成されている前項2又は3記載の生体情報計測用パネル。
[5] 前記敷き板の下面と前記引張部材との間に、前記引張部材を前記敷き板の下面から離すスペーサが配置されている前項1〜4のいずれかに記載の生体情報計測用パネル。
[6] 前記弾性変形部材は、その一端部が前記敷き板に固定されるとともに他端部が固定されておらず、
前記弾性変形部材の他端部に前記引張部材の他端部が連結されている前項1〜5のいずれかに記載の生体情報計測用パネル。
[7] 前記弾性変形部材の一端部と他端部との間に、弾性変形部材の変形によって歪みが集中して発生する部位が形成されており、当該部位に前記歪み検出センサが装着されるとともに、当該部位の歪み量の変動を弾性変形部材の歪み量の変動として前記歪み検出センサで検出するものとなされている前項6記載の生体情報計測用パネル。
[8] 前記敷き板は樹脂製である前項1〜7のいずれかに記載の生体情報計測用パネル。
[9] 前項1〜8のいずれかに記載の生体情報計測用パネルと、
前記パネルの歪み検出センサから出力された信号を用いて被験者の生体情報を演算する演算手段と、を具備することを特徴とする生体情報計測装置。
[10] 前項1〜8のいずれかに記載の生体情報計測用パネルの歪み検出センサから出力された信号を用いて被験者の生体情報を計測することを特徴とする生体情報計測方法。
本発明は以下の効果を奏する。
前項[1]の生体情報計測用パネルでは、被験者の下側に配置された敷き板の撓曲変形量が被験者の生体活動に伴い変動する。この撓曲変形量の変動に伴い、敷き板の下面側に配置された引張部材における他端部の位置の変位量が変動する。この変位量の変動に伴い弾性変形部材の変形量が変動する。この変形量の変動に対応する弾性変形部材の歪み量の変動が歪み検出センサにより検出される。ここで、弾性変形部材の変形時のばね定数は引張部材の引張ばね定数よりも小さいことから、敷き板が撓曲変形した場合、引張部材の伸張量よりも弾性変形部材の変形量の方が大きくなり、即ち弾性変形部材の歪み量が大きくなる。このように大きくなっている歪み量の変動を歪み検出センサで検出することにより、敷き板の撓曲変形量の変動が小さい場合であっても歪み検出センサで被験者の生体活動に起因する歪み量の変動を検出することができ、その結果、被験者の生体情報の計測精度を高めることができる。
さらに、敷き板の歪み量の変動ではなく弾性変形部材の歪み量の変動を歪み検出センサで検出するので、敷き板を大きくしても歪み検出センサによる歪み検出箇所を増やす必要がない。そのため、パネルの構造を簡素化することができるし、歪み検出センサの個数を増やすことによるパネルの製造コストの増加を防止することができる。
もとより、このパネルは、被験者に対して無拘束な状態で歪み量を検出することができるので、被験者の寝心地を悪化させることはない。
前項[2]のパネルでは、引張部材を、案内部によって、引張部材の一端部が他端部側へ引っ張られる際に引張方向に案内することができる。これにより、引張部材の他端部の位置の変位量の変動を弾性変形部材に確実に伝達することができ、その結果、被験者の生体情報の計測精度を確実に高めることができる。
前項[3]のパネルでは、引張部材が、敷き板の下面側に配置された、案内部としてのチューブ内に挿通されているから、引張部材の他端部が一端部側へ引っ張られる際において引張部材を引張方向に確実に案内することができる。これにより、引張部材の他端部の位置の変位量の変動を弾性変形部材に更に確実に伝達することができ、その結果、被験者の生体情報の計測精度を更に確実に高めることができる。
前項[4]のパネルでは、案内部における少なくとも引張部材との接触部が樹脂で形成されていることにより、案内部に対する引張部材の滑りが良くなり、これにより、引張部材の他端部が一端部側へ引っ張られる際において引張部材が敷き板の下面、スペーサ、敷き布団等の他の部材に対して摺動することによる擦れノイズを軽減することができ、その結果、被験者の生体情報の計測精度を更に高めることができる。
前項[5]のパネルでは、敷き板の下面と引張部材との間に、引張部材を敷き板の下面から離すスペーサが配置されているので、スペーサによって引張部材の敷き板下面からの距離を大きくすることができる。これにより、敷き板の撓曲変形量が変動した際における引張部材の他端部の位置の変位量の変動が大きくなり、これに伴い、弾性変形部材の歪み量の変動が大きくなるので、被験者の生体情報の計測精度を更に高めることができる。
前項[6]のパネルでは、弾性変形部材の固定されていない他端部に引張部材の他端部が連結されているので、弾性変形部材に大きな歪みを確実に生じさせることができる。そのため、歪み検出センサで弾性変形部材の歪み量の変動を確実に検出することができ、その結果、被験者の生体情報の計測精度を確実に高めることができる。
前項[7]のパネルでは、弾性変形部材の変形によって歪みが集中して発生する部位に歪み検出センサが装着され、当該部位の歪み量の変動を弾性変形部材の歪み量の変動として歪み検出センサで検出するものとなされているので、歪み検出センサで弾性変形部材の歪み量の変動を確実に検出することができ、その結果、被験者の生体情報の計測精度を確実に高めることができる。
前項[8]のパネルでは、敷き板が樹脂製であることにより、被験者の下側に配置された敷き板に対してその撓曲変形量を確実に変動させることができる。その結果、被験者の生体情報の計測精度を確実に高めることができる。更には、パネルの軽量化を図ることができる。
前項[9]の生体情報計測装置では、前記[1]〜[8]のいずれかのパネルによる効果と同様の効果を奏する。
前項[10]の生体情報計測方法では、精度の高い被験者の生体情報を得ることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る生体情報計測用パネル及び生体情報計測装置をその使用時の状態で示す概略平面図である。 図2は、同パネルの斜視図である。 図3は、同パネルの平面図である。 図4は、同パネルの底面図である。 図5は、同パネルの正面図である。 図6は、図3中のX−X線断面図である。 図7は、図3中のY−Y線断面図である。 図8は、図3中のZ−Z線断面図である。 図9は、同パネルの弾性変形部材及びその周辺の斜視図である。 図10は、同パネルの弾性変形部材及びその近傍の平面図である。 図11は、本発明の第2実施形態に係る生体情報計測用パネルの平面図である。 図12は、同パネルの底面図である。 図13は、同パネルの正面図である。 図14は、同パネルの弾性変形部材及びその周辺の斜視図である。
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1〜10は、本発明の第1実施形態に係る生体情報計測用パネル1A及び生体情報計測装置20を説明する図である。
本第1実施形態の生体情報計測装置20は、図1に示すように、被験者Hの主に就寝中の生体情報を計測するものであり、医療施設、老人施設、一般家庭等で用いられるものである。被験者Hとしては、病人、高齢者、乳幼児、健康人等が挙げられる。被験者Hの生体情報としては、呼吸情報、脈拍情報、体動(寝返り)情報等が挙げられる。
この計測装置20は、本第1実施形態の生体情報計測用パネル1Aと、演算手段としての演算器21とを具備している。
本第1実施形態のパネル1Aは、敷き板2、引張部材5、弾性変形部材7、歪み検出センサ8、案内部(案内部材)としてのチューブ10、スペーサ12等を備えている。
敷き板2は、弾性的に撓曲変形可能なものであり、図1及び3に示すように平面視略長方形の帯状に形成されている。そして、この敷き板2は、被験者Hが臥床するベッド等の寝床部30上であって仰向け姿勢の被験者Hの被験部位としての胸部又は腹部の下側に被験者Hの幅方向に延びる態様にして略水平状に配置されるものである。寝床部30は弾性を有しており、例えば、マットレス、敷き布団等の弾性マットからなる。なお、パネル1Aの使用時には、被験者Hに対して柔らか感を与えて寝心地を良くするため、敷き板2の上に弾性シート(図示せず)等が配置されるのが望ましい。
この敷き板2は被験者Hの被験部位の下側に配置された状態では、敷き板2の長さ方向の中間部2cが被験者Hの被験部位の重量を受けて弾性的に下方向に円弧状に若干撓曲変形する。さらに、被験者Hの生体活動(例:呼吸、脈拍、体動)に伴い敷き板2の撓曲変形量が変動する。
敷き板2は、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、PET樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等の樹脂製である。図2において、敷き板2の長さLは例えば400〜1200mm、敷き板2の幅Wは例えば30〜300mm、敷き板2の厚さTは例えば1〜3mmである。また、敷き板2の曲げこわさは例えば5×10〜4000×10Nmmである。
ここで本実施形態では、敷き板2の長さLとは、被験者Hの幅方向(左右方向)に沿う敷き板2の長さであり、敷き板2の幅Wとは、被験者Hの身長方向に沿う敷き板2の長さである。
引張部材5は、一方向に延びたものであり、後述するように弾性変形部材7の他端部7bを引っ張るものである。本第1実施形態では、引張部材5は敷き板2の撓曲変形に追従して弾性的に撓曲変形可能なものであり、具体的には引張部材5は条体からなるものであり詳述するとワイヤーからなるものであり、その材質はステンレス鋼、鉄等の金属である。引張部材5の直径は例えば0.3〜0.6mm、引張部材5のより線数は例えば2〜10本である。なお本発明では、引張部材5は、その他に、ナイロン繊維、カーボン繊維等からなるものであっても良い。
図2〜4に示すように、引張部材5の一端部5aは、敷き板2の長さ方向の一端部2aに設けられた複数の引張部材挿通用小孔3に挿通されて巻き止められることにより、敷き板2の長さ方向の一端部2aにおける幅方向の中間位置に固定されている。そして、引張部材5が敷き板2の下面2d側に配置されるとともに、引張部材5の他端部5bは敷き板2の下面2d側における敷き板2の長さ方向の中間部よりも他端部側に配置されており、更に、引張部材5の他端部5bは後述する弾性変形部材7の他端部7bに引張部材5が緊張状態になるように連結される。
チューブ10は、敷き板2の撓曲変形に追従して弾性的に撓曲変形可能なものであって、断面円環状のものであり(図8参照)、図4及び5に示すように、敷き板2の幅方向の中間部の下面2d側に、敷き板2の長さ方向に延びる態様に配置されている。チューブ10の内径は例えば0.5〜1.5mmであり、チューブ10の肉厚は例えば0.5〜1mmである。
そして、図6に示すように、チューブ10の一端部10aが敷き板2の長さ方向の一端部2aに設けられた前記小孔3内に固定状態に配置されており、一方、図7に示すように、チューブ10の他端部10bが敷き板2の長さ方向の他端部2bに設けられた小孔4内に固定状態に配置されている。
さらに、このチューブ10内に引張部材5が緊張状態に挿通されている。このチューブ10は、引張部材5の他端部5bが一端部5a側へ引っ張られる際において引張部材5を引張方向に案内するものである。さらに、チューブ10はビニル樹脂等の樹脂製であり、これにより、当該チューブ10における少なくとも引張部材5との接触部である内周面は引張部材5の滑りを良くする作用を有するものとなされている。
スペーサ12は、敷き板2の撓曲変形に追従して弾性的に撓曲変形可能なものであり、例えばゴム製であり、引張部材5を敷き板2の下面2dから離す役割を有している。このスペーサ12によって引張部材5を敷き板2の下面2dから離す距離は例えば1〜3mmである。そして、このスペーサ12は、敷き板2の下面2dと引張部材5が挿通されたチューブ10との間に敷き板2の長さ方向に延びる態様にして配置されるとともに、敷き板2の下面2dにおける幅方向の中間部に固着されている。
さらに、図8に示すように、スペーサ12の下面には、断面略円弧状乃至略U字状の溝条12aが敷き板2の長さ方向に延びて形成されるとともに、この溝条12a内にチューブ10が当該溝条12aに沿って配置されており、これによりチューブ10が不慮に動かないように保持されている。
弾性変形部材7は、パネル1Aにおける起歪体として機能するものであり、略L字状に屈曲した帯板から形成されている。弾性変形部材7の材質は、鋼(例:バネ鋼)、アルミニウム(その合金を含む)等の金属、あるいは樹脂等である。
そして、図9及び10に示すように、この弾性変形部材7の長さ方向の一端部7aは、敷き板2の長さ方向の他端部2bの上面に固着された複数の支持ピン13に係止されることにより、敷き板2の上面側において敷き板2の長さ方向の他端部2bに固定状態に支持されており、すなわち弾性変形部材7の一端部7aは固定端部になっている。一方、弾性変形部材7の長さ方向の中間部から他端部7bまでの領域は、敷き板2の幅方向に延びて配置されている。さらに、弾性変形部材7の他端部7bは固定されておらず、すなわち自由端部になっている。
そして、この弾性変形部材7の自由端部としての他端部7bに引張部材5の他端部5bが、チューブ10内に挿通された引張部材5が緊張状態になるように連結されている。その連結構造は次のとおりである。すなわち、図7、9及び10に示すように、弾性変形部材7の他端部7bに設けられた連結孔7dに引張部材5の他端部5bが挿通されて当該他端部5bに抜止め金具14が取り付けられることにより、引張部材5の他端部5bの連結孔7dからの抜け止めが図られており、これにより、引張部材5の他端部5bが弾性変形部材7の他端部7bに連結されている。
こうして、引張部材5の他端部5bが弾性変形部材7の他端部7bに連結されることにより、敷き板2の長さ方向の中間部2cの下方向への撓曲変形によって引張部材5に引張力が作用してこの引張力により引張部材5の他端部5bの位置が引張部材5の一端部5a側へ変位するとともに、敷き板2の撓曲変形量の変動に伴い引張部材5の他端部5bの位置の変位量が変動するものとなされている。さらに、引張部材5の他端部5bの位置が引張部材5の一端部5a側へ変位すると、これに伴い弾性変形部材7の他端部7bが引張部材5の一端部5a側へ引っ張られて弾性変形部材7の他端部7bの位置が引張部材5の一端部5a側へ変位し、これにより弾性変形部材7が曲げ変形する。さらに、引張部材5の他端部5bの位置の変位量の変動に伴い弾性変形部材7の曲げ変形量は変動する。
さらに、弾性変形部材7の一端部7aと他端部7bとの間、即ち弾性変形部材7の長さ方向の中間部には、引張部材5の一端部5a側に向けて円弧状に屈曲した円弧状部7cが形成されている。これにより、弾性変形部材7の他端部7bが引張部材5の一端部5a側へ変位した際、即ち弾性変形部材7が曲げ変形した際に、当該円弧状部7cに弾性変形部材7の曲げ変形に伴う曲げ歪みが集中して発生するものとなされている。つまり、円弧状部7cは、弾性変形部材7における曲げ歪み集中発生部位(歪み集中発生部位)になっている。
ここで、引張部材5はワイヤーからなるものであるから、引張部材5に引張力が作用しても引張部材5は殆ど伸張せず、すなわち引張部材5の引張ばね定数は非常に大きい。一方、弾性変形部材7はその他端部7bが引張部材5の一端部5a側へ引っ張られると容易に曲げ変形する。したがって、弾性変形部材7の曲げ変形時のばね定数は、引張部材5の引張ばね定数よりも格段に小さくなっている。
歪み検出センサ8は、圧電センサ、歪みゲージ等からなるものであり、弾性変形部材7の曲げ変形量の変動に対応する弾性変形部材7の曲げ歪み量の変動を検出するものである。そして、この歪み検出センサ8は、弾性変形部材7の円弧状部7cの外側面に接着剤等によって一個だけ貼着されることで、歪み検出センサ8が円弧状部7cに装着されている。したがって、本第1実施形態では、歪み検出センサ8は弾性変形部材7の各部位のうち円弧状部7cの曲げ歪み量の変動を検出するものとなっている。
この歪み検出センサ8からは信号線9が延びて演算器21に接続されている(図1参照)。そして、歪み検出センサ8が検出した弾性変形部材7の円弧状部7cの曲げ歪み量の変動に対応する電圧信号が、被験者Hの生体情報の計測に用いられる信号として歪み検出センサ8から出力されて信号線9を介して演算器21に送信される。ここで説明の便宜上、図1にのみ信号線9を図示しており、その他の図面では信号線9を図示省略している。
演算器21は、歪み検出センサ8から出力された信号を用いて被験者Hの生体情報を演算するものであり、ROM、RAM、CPU等を有するコンピュータを搭載している。コンピュータには、被験者Hの生体情報を演算するための所定のプログラムが予めインストールされている。さらに、演算器21には、演算された被験者Hの生体情報を表示する表示部、生体情報を記録する記録部、生体情報を送信する通信部等、歪み検出センサ8にその動作電圧(又は動作電力)を信号線9を介して付与する給電部などが付設されている。
図1及び2において、15は弾性変形部材7を覆うカバーである。このカバー15は下面が開口した箱状に形成されており、弾性変形部材7にその上側から被せることで、弾性変形部材7の適正な変形が妨げられないよう弾性変形部材7を覆うためものである。本第1実施形態のパネル1Aは、このカバー15で弾性変形部材7を覆った状態にして被験者Hの生体情報の計測に使用される。ここで説明の便宜上、図1及び2にのみカバー15を図示しており、その他の図面ではカバー15を図示省略している。
次に、上記第1実施形態のパネル1Aを用いた被験者Hの生体情報計測方法について以下に説明する。
まず、図1に示すように、ベッド等の寝床部30上であって被験者Hの被験部位としての胸部又は腹部の下側に、パネル1Aの敷き板2を被験者Hの幅方向(左右方向)に延びる態様にして略水平状に配置する。このとき、被験者Hは敷き板2の長さ方向の中間部2cの上側に位置している。
この状態では、敷き板2の長さ方向の中間部2cには被験者Hの被験部位の重量からなる荷重が下方向に作用して敷き板2の長さ方向の中間部2cが弾性的に下方向に円弧状に若干撓曲変形する。これにより、引張部材5に引張力が作用して引張部材5の他端部5bの位置が一端部5a側へ変位する。すると、弾性変形部材7の他端部7bが引張部材5の一端部5a側へ引っ張られて弾性変形部材7の他端部7bの位置が引張部材5の一端部5a側へ変位し、これにより弾性変形部材7が曲げ変形して弾性変形部材7の円弧状部7cに曲げ歪みが集中して発生する。この曲げ歪み量が歪み検出センサ8で検出される。そして、歪み検出センサ8から曲げ歪み量に対応する電圧信号が被験者Hの生体情報の計測に用いられる信号として出力されて信号線9を介して演算器21に送信される。この送信された信号に基づいて演算器21は被験者Hが寝床部30上に臥床していると演算する。
この状態から、被験者Hの生体活動(呼吸、脈拍、体動等)によって敷き板2の中間部2cに作用する荷重が変動すると、これに伴い敷き板2の撓曲変形量が変動する。これにより、引張部材5に作用する引張力が変動し、これに伴い引張部材5の他端部5bの位置の変位量が変動する。すると、弾性変形部材7の他端部7bの位置の変位量が変動し、これにより弾性変形部材7の円弧状部7cの曲げ変形量が変動し、すなわち当該円弧状部7cに発生した曲げ歪み量が変動する。この曲げ歪み量の変動が歪み検出センサ8で検出される。そして、歪み検出センサ8から曲げ歪み量の変動に対応する電圧信号が被験者Hの生体情報の計測に用いられる信号として出力されて信号線9を介して演算器21に送信される。この送信された信号に基づいて演算器21は被験者Hの生体情報を演算する。
而して、上記第1実施形態のパネル1Aには次の利点がある。
このパネル1Aでは、弾性変形部材7の曲げ変形時のばね定数が引張部材5の引張ばね定数よりも小さいことから、敷き板2が撓曲変形した場合、引張部材5の伸張量よりも弾性変形部材7の曲げ変形量の方が大きくなり、即ち弾性変形部材7の曲げ歪み量が大きくなる。このように大きくなっている曲げ歪み量の変動を歪み検出センサ8で検出することにより、敷き板2の撓曲変形量の変動が小さい場合であっても歪み検出センサ8で被験者Hの生体活動に起因する曲げ歪み量の変動を検出することができ、その結果、被験者Hの生体情報の計測精度を高めることができる。
さらに、敷き板2の撓曲歪み量の変動ではなく弾性変形部材7の曲げ歪み量の変動を歪み検出センサ8で検出するので、敷き板2を大きくしても歪み検出センサ8による歪み検出箇所を増やす必要がない。そのため、パネル1Aの構造を簡素化することができるし、歪み検出センサ8の個数を増やすことによるパネル1Aの製造コストの増加を防止することができる。
もとより、このパネル1Aは、被験者Hに対して無拘束な状態で歪み量を検出することができるので、被験者Hの寝心地を悪化させることはない。
さらに、引張部材5が案内部としてのチューブ10内に挿通されているから、引張部材5の他端部5bが一端部5a側へ引っ張られる際において引張部材5を引張方向に確実に案内することができる。これにより、引張部材5の他端部5bの位置の変位量の変動を弾性変形部材7に確実に伝達することができ、その結果、被験者Hの生体情報の計測精度を確実に高めることができる。
さらに、チューブ10が樹脂製であることにより、チューブ10内に挿通された引張部材5の滑りが良くなり、これにより、引張部材5の他端部5bが一端部5a側へ引っ張られる際において引張部材5が敷き板2の下面2d、スペーサ12、敷き布団等の他の部材に対して摺動することによる擦れノイズを軽減することができ、その結果、被験者Hの生体情報の計測精度を更に高めることができる。すなわち、引張部材5の他端部5bが一端部5a側へ引っ張られる際において引張部材5が敷き板2の下面2d、スペーサ12、敷き布団等の摩擦係数の大きな部材に対して摺動すると、引張部材5が大きく振動してその振動が擦れノイズとして弾性変形部材7に伝達されてしまい、歪み検出センサ8による曲げ歪み量の変動の検出に悪影響を及ぼす。これに対して、このパネル1Aでは、引張部材5の滑りが良くなっているので、擦れノイズを軽減することができ、その結果、被験者Hの生体情報の計測精度を更に高めることができる。
さらに、敷き板2の下面2dと引張部材5との間に、引張部材5を敷き板2の下面2dから離すスペーサ12が配置されているので、スペーサ12によって引張部材5の敷き板下面2dからの距離を大きくすることができる。これにより、敷き板2の撓曲変形量が変動した際における引張部材5の他端部5bの位置の変位量の変動が大きくなり、これに伴い、弾性変形部材7の曲げ歪み量の変動が大きくなるので、被験者Hの生体情報の計測精度を更に高めることができる。
さらに、弾性変形部材7の固定されていない他端部7bに引張部材5の他端部5bが連結されているので、弾性変形部材7に大きな曲げ歪みを確実に生じさせることができる。そのため、歪み検出センサ8で弾性変形部材7の曲げ歪み量の変動を確実に検出することができ、その結果、被験者Hの生体情報の計測精度を確実に高めることができる。
さらに、弾性変形部材7の曲げ変形によって歪みが集中して発生する円弧状部7cに歪み検出センサ8が装着され、当該円弧状部7cの曲げ歪み量の変動を弾性変形部材7の歪み量の変動として歪み検出センサ8で検出するので、歪み検出センサ8で弾性変形部材7の歪み量の変動を確実に検出することができ、その結果、被験者Hの生体情報の計測精度を確実に高めることができる。
さらに、敷き板2が樹脂製であることにより、被験者Hの下側に配置された敷き板2に対してその撓曲変形量を確実に変動させることができる。その結果、被験者Hの生体情報の計測精度を確実に高めることができる。更には、パネル1Aの軽量化を図ることができる。
図11〜14は、本発明の第2実施形態に係る生体情報計測用パネル1Bを説明する図である。これらの図において、上記第1実施形態のパネル1Aと同じ要素には同一の符号が付されている。以下に本第2実施形態のパネル1Bについて上記第1実施形態のパネル1Aと異なる点を中心に説明する。
本第2実施形態のパネル1Bでは、引張部材5は、一方向に延びるとともに、敷き板2の撓曲変形に追従して弾性的に撓曲変形可能な帯板(詳述すると薄帯板)からなるものであり、その材質はステンレス鋼等の金属である。引張部材5の一端部5aにはフック部5dが一体的に設けられるとともに、当該フック部5dが敷き板2の長さ方向の一端に敷き板2の下面2d側から係止されており、これにより、引張部材5の一端部5aが敷き板2の一端部2aに固定されている。
弾性変形部材7の長さ方向の一端部7aはフック状に屈曲形成されるとともに、当該一端部7aが敷き板2の長さ方向の他端に敷き板2の下面側から係止されている。これにより、弾性変形部材7は敷き板2の長さ方向の他端部2bの下面2d側に配置されるとともに、弾性変形部材7の一端部7aが敷き板2の他端部2bに固定されており、すなわち弾性変形部材7の一端部7aは固定端部になっている。一方、この弾性変形部材7の長さ方向の中間部から他端部7bまでの領域は、敷き板2の下面2d側において敷き板2の長さに延びて配置されるとともに、弾性変形部材7の他端部7bは固定されておらず、すなわち自由端部になっている。
そして、この弾性変形部材7の自由端部としての他端部7bに引張部材5の他端部5bが、引張部材5が緊張状態になるように溶接等によって固着されており、これにより、弾性変形部材7の他端部7bに引張部材5の他端部5bが連結されている。
さらに、弾性変形部材7の一端部7aと他端部7bとの間、即ち弾性変形部材7の長さ方向の中間部には、下側に向けて円弧状に屈曲した円弧状部7cが形成されている。これにより、弾性変形部材7の他端部7bが引張部材5の一端部5a側へ変位した際、即ち弾性変形部材7が引っ張られた際に、当該円弧状部7cに弾性変形部材7の引張変形に伴う曲げ歪みが集中して発生するものとなされている。この円弧状部7cの外側面に歪み検出センサ8が装着されており、これにより、この円弧状部7cの曲げ歪み量の変動を歪み検出センサ8で検出するものとなされている。
なお、本第2実施形態のパネルは、スペーサ、案内部としてのチューブを備えていない。
以上で本発明の幾つかの実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、様々に変更可能である。
また本発明では、敷き板が平面視で円形状、楕円形状、扇形状であるものを排除するものではない。
また本発明では、引張部材は、互いに並列状に離間して配列された複数本の引張部材構成部材から構成されていても良い。
また上記第1及び第2実施形態では、弾性変形部材7は、引張部材5の他端部5bの位置の変位量の変動に伴い曲げ変形量が変動するように配置されたものであるが、本発明では、その他に例えば、引張部材5の他端部5bの位置の変位量の変動に伴い引張変形量が変動するように配置されたものであっても良い。この場合、歪み検出センサ8は弾性変形部材7の引張歪み量の変動を検出する。
また、本発明に係るパネルは、上記第1実施形態のパネル1Aに適用された技術的思想と上記第2実施形態のパネル1Bに適用された技術的思想とを組み合わせて構成されたものであっても良い。
本発明は、被験者の生体情報を計測する際に用いられる生体情報計測用パネル、生体情報計測装置、及び、生体情報計測方法に利用可能である。
1A、1B:生体情報計測用パネル
2:敷き板
2a:敷き板の一端部
2b:敷き板の他端部
2c:敷き板の中間部
2d:敷き板の下面
5:引張部材
5a:引張部材の一端部
5b:引張部材の他端部
7:弾性変形部材
7a:弾性変形部材の一端部
7b:弾性変形部材の他端部
7c:弾性変形部材の円弧状部(歪み集中発生部位)
8:歪み検出センサ
10:チューブ(案内部)
12:スペーサ
20:生体情報計測装置
21:演算器(演算手段)
H:被験者

Claims (10)

  1. 被験者の下側に配置されるとともに、弾性的に撓曲変形可能で且つ被験者の生体活動に伴い撓曲変形量が変動する敷き板と、
    一端部が前記敷き板に固定されるとともに、前記敷き板の下面側に、前記敷き板の撓曲変形によって引張力が作用して他端部の位置が一端部側へ変位し且つ前記敷き板の撓曲変形量の変動に伴い他端部の位置の変位量が変動するように配置された引張部材と、
    前記引張部材の他端部が連結されるとともに、前記引張部材の他端部の位置の変位量の変動に伴い変形量が変動するように配置された弾性変形部材と、
    前記弾性変形部材の変形量の変動に対応する弾性変形部材の歪み量の変動を検出し、被験者の生体情報の計測に用いられる信号を出力する歪み検出センサと、を備え、
    前記弾性変形部材の変形時のばね定数が前記引張部材の引張ばね定数よりも小さいことを特徴とする生体情報計測用パネル。
  2. 更に、案内部を備えており、
    前記引張部材は、前記案内部によって、引張部材の一端部が他端部側へ引っ張られる際に引張方向に案内されるものとなされている請求項1記載の生体情報用パネル。
  3. 前記引張部材は、前記敷き板の下面側に配置された、前記案内部としてのチューブ内に挿通されている請求項2記載の生体情報計測用パネル。
  4. 前記案内部における少なくとも前記引張部材との接触部は樹脂で形成されている請求項2又は3記載の生体情報計測用パネル。
  5. 前記敷き板の下面と前記引張部材との間に、前記引張部材を前記敷き板の下面から離すスペーサが配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の生体情報計測用パネル。
  6. 前記弾性変形部材は、その一端部が前記敷き板に固定されるとともに他端部が固定されておらず、
    前記弾性変形部材の他端部に前記引張部材の他端部が連結されている請求項1〜5のいずれかに記載の生体情報計測用パネル。
  7. 前記弾性変形部材の一端部と他端部との間に、弾性変形部材の変形によって歪みが集中して発生する部位が形成されており、当該部位に前記歪み検出センサが装着されるとともに、当該部位の歪み量の変動を弾性変形部材の歪み量の変動として前記歪み検出センサで検出するものとなされている請求項6記載の生体情報計測用パネル。
  8. 前記敷き板は樹脂製である請求項1〜7のいずれかに記載の生体情報計測用パネル。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の生体情報計測用パネルと、
    前記パネルの歪み検出センサから出力された信号を用いて被験者の生体情報を演算する演算手段と、を具備することを特徴とする生体情報計測装置。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の生体情報計測用パネルの歪み検出センサから出力された信号を用いて被験者の生体情報を計測することを特徴とする生体情報計測方法。
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