JP2013118085A - 光学装置及びそれを備えた光ダクトシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、外部から入射した光を広範囲の波長域に亘って利用することができる光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】光ダクトシステム1は、可視光線VLを反射するとともに可視光線VLとは異なる波長の赤外線IRを透過して入射光である太陽光線SLを分離する光分離部11と、光分離部11の光入射面11α側に配置され、光分離部11で反射した可視光線VLを反射又は透過する光反射透過部13と、光分離部11の光射出面11β側に配置され、光分離部11を透過した赤外線IRを反射又は透過する光反射透過部15とを備えた採光部3を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムに関する。
特許文献1には、屋外から採光した自然光を室内を照明する照明光に変換する光ダクトシステムが開示されている。
特開2011−003534号公報
吉村和記「省エネルギー特性に優れた調光ミラーガラスの創製」応用物理、第79巻、第7号(2010)p.628−632
特許文献1に開示された光ダクトシステムは、採光した自然光のうちの可視光線のみを照明光に利用し、照明光に不要な残余の波長域の光を導光中に吸収するように構成されている。このため、当該光ダクトシステムは、採光した自然光を広範囲の波長域に亘って利用できないという問題を有している。
本発明の目的は、外部から入射した光を広範囲の波長域に亘って利用することができる光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムを提供することにある。
上記目的は、第1波長の光を反射するとともに前記第1波長とは異なる第2波長の光を透過して入射光を分離する第1の光分離部と、前記第1の光分離部の光入射面側に配置され、前記第1の光分離部で反射した前記第1波長の光を反射又は透過する第1の光反射透過部と、前記第1の光分離部の光射出面側(本願では、「光射出」には、光源から光が出力されることに加え、光が所定の素子(例えば光分離部や光散乱部など)を透過して外部に出てくることも含まれる)に配置され、前記第1の光分離部を透過した前記第2波長の光を反射又は透過する第2の光反射透過部とを有することを特徴とする光学装置によって達成される。
上記本発明の光学装置において、前記第1波長の光は可視光線を含み、前記第2波長の光は赤外線を含むことを特徴とする。
上記本発明の光学装置において、前記第1及び/又は第2の光反射透過部は調光ミラー層を有することを特徴とする。
上記本発明の光学装置において、前記第1の光反射透過部の光入射面は、前記第1の光分離部の前記光入射面に対してほぼ直交して配置されていることを特徴とする。
上記本発明の光学装置において、前記第2の光反射透過部の光入射面は、前記第1の光分離部の前記光射出面に対してほぼ45°傾斜して配置されていることを特徴とする。
上記本発明の光学装置において、前記第1の光分離部は、前記第1波長の光を選択的に反射する誘電体多層膜を有することを特徴とする。
上記本発明の光学装置において、前記第1の光分離部は、前記第2波長の光を選択的に反射するコレステリック液晶層を有することを特徴とする。
上記本発明の光学装置において、前記第1の光反射透過部の光入射面側に配置され、前記第1波長の光を透過するとともに前記第2波長の光を反射して前記入射光を分離する第2の光分離部と、前記第1の光分離部を介して前記第2の光分離部の光入射面側に配置され、前記第2の光分離部で反射した前記第2波長の光を反射する光反射部とをさらに有することを特徴とする。
上記本発明の光学装置において、前記第2の光分離部の前記光入射面は、前記第1の光分離部の前記光入射面に対してほぼ直交して配置されており、前記光反射部の光入射面は、前記第2の光分離部の前記光入射面に対してほぼ平行に配置されていることを特徴とする。
上記本発明の光学装置において、前記第1の光反射透過部の光射出面側に配置され、前記第1波長の光を散乱する第1の光散乱部と、前記第2の光反射透過部の光射出面側に配置され、前記第2波長の光を散乱する第2の光散乱部とをさらに有することを特徴とする。
上記本発明の光学装置において、前記第1及び/又は第2の光散乱部は、高分子分散型液晶層を有することを特徴とする。
上記本発明の光学装置において、前記第2の光反射透過部を透過した前記第2波長の光の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子をさらに有することを特徴とする。
上記本発明の光学装置において、前記第1の光分離部の光入射面側に回転自在に配置され、前記入射光を反射する入射光反射部をさらに有することを特徴とする。
また、上記目的は、太陽光線を採光する採光部と、前記採光部が射出した光を導光する導光部と、前記導光部が導光した光を室内空間に放光する放光部とを備えた光ダクトシステムにおいて、前記採光部は、上記本発明の光学装置が用いられていることを特徴とする光ダクトシステムによって達成される。
上記本発明の光ダクトシステムにおいて、前記導光部は、前記第1の光反射透過部を透過した前記第1波長の光と、前記第2の光反射透過部を透過した前記第2波長の光とを反射する反射膜を内壁面に有することを特徴とする。
本発明によれば、外部から入射した光を広範囲の波長域に亘って利用することができる。
本発明の第1の実施の形態による採光部3及び光ダクトシステム1の概略構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態による採光部3に備えられた光分離部11の概略構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態による採光部3に備えられた光分離部11の透過スペクトルの一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態による採光部3に備えられた光反射透過部13の概略構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態による採光部3に備えられた光反射透過部13の動作を説明する図である。 本発明の第1の実施の形態による光ダクトシステム1の導光部5に備えられた反射膜21の反射スペクトルの一例を示す図である。 従来の光ダクトシステム101の概略構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態の変形例1による採光部に備えられた光分離部35の概略構成の断面図である。 本発明の第1の実施の形態の変形例2による採光部に備えられた光分離部35の概略構成の断面図である。 本発明の第1の実施の形態の変形例3による採光部に備えられた光反射透過部37の概略構成の断面図である。 本発明の第2の実施の形態の参考例1による採光部36及び光ダクトシステム63の概略構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態の参考例2による採光部38及び光ダクトシステム65の概略構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態であって、光分離部11の配置高さを変更した場合の有効面積Sef及び非有効面積Sinefを説明する図である。 本発明の第2の実施の形態による採光部39及び光ダクトシステム67の概略構成を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態による採光部43及び光ダクトシステム69の概略構成を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態による採光部43に備えられた光分離部45の透過スペクトルの一例を示す図である。 本発明の第3の実施の形態を説明する図であって、採光部36、38、39、43における光反射透過部への入射光及び透過光の光強度を比較して示す図である。 本発明の第4の実施の形態による採光部49及び光ダクトシステム71の概略構成を示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態による採光部49に備えられた光散乱部51の概略構成及び動作を説明する図である。 本発明の第5の実施の形態による採光部57及び光ダクトシステム73の概略構成を示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態による採光部57に備えられた熱電変換素子59の概略構成を示す図である。 本発明の第6の実施の形態による採光部61及び光ダクトシステム75の概略構成を示す断面図である。 本発明の第7の実施の形態による採光部62及び光ダクトシステム76の概略構成を示す断面図である。 本発明の第8の実施の形態による採光部87及び光ダクトシステム81の概略構成を示す断面図である。
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムについて図1から図10を用いて説明する。まず、本実施の形態による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムの概略構成について図1から図7を用いて説明する。図1は、本実施の形態による光ダクトシステム1の概略構成の断面図である。図1に示すように、光ダクトシステム1は、太陽33から照射された太陽光線SLを採光する採光部3と、採光部3から射出された可視光線VL及び赤外線IRを導光する導光部5と、導光部5を導光した可視光線VLを室内空間31の照明光として放光する放光部7とを有している。光ダクトシステム1は、導光部5を導光した赤外線IRを室内空間31の暖房のために放光部7から放光するようになっている。採光部3、導光部5及び放光部7のそれぞれの外枠は例えば樹脂を基材として形成されている。室内空間31は床板29と天井板4との間に設けられている。光ダクトシステム1は天井板4上に配置されている。
採光部3は本実施の形態による光学装置に相当する。採光部3は、太陽光線SLを透過する窓部9を有しており、窓部9は屋外に向いて配置されている。窓部9は薄板平板形状を有している。窓部9は日中に、太陽光線SLがほぼ直交して入射するように所定の角度に傾斜して採光部3に配置されている。最も効率が良いのは、窓部9の光入射面及び光射出面に対してほぼ0°(垂直)で太陽光線SLが入射された場合である。
採光部3は、第1波長(例えば、380nmから780nm)の光(可視光線VL)を反射するとともに第1波長とは異なる第2波長(例えば、780nmから2100nmの波長)の光(赤外線IR)を透過し、窓部9から入射した太陽光線SLを分離する光分離部(第1の光分離部)11と、光分離部11の光入射面11α側に配置され、光分離部11で反射した可視光線VLを反射又は透過する光反射透過部(第1の光反射透過部)13と、光分離部11の光射出面11β側に配置され、光分離部11を透過した赤外線IRを反射又は透過する光反射透過部(第2の光反射透過部)15とを有している。光反射透過部15は薄板平板形状を有している。光反射透過部15は薄板平板形状を有している。
光分離部11は、窓部9の光入射面及び光射出面に対してほぼ45°傾斜して配置されている。太陽光線SLは窓部9の光入射面に対してほぼ直交して入射する。このため、太陽光線SLは光分離部11の光入射面11αに約45°の入射角で入射する。光反射透過部13は光分離部11を挟んで窓部9の反対側に配置されている。光反射透過部13は光分離部11の一端部側に配置されている。光反射透過部13の一端部は接続部2を介して光分離部11の一端部に接続されている。光反射透過部13の他端部は採光部3の上部内壁面上に固定されている。光反射透過部13は光分離部11に対してほぼ直交して配置されている。光反射透過部13の光入射面13αは、光分離部11の光入射面11αに対してほぼ直交して配置されている。
光反射透過部15は光分離部11を介して窓部9の反対側に配置されている。光反射透過部15は光分離部11の一端部側に配置されている。光反射透過部15の一端部は接続部2を介して光分離部11の一端部に接続されている。光反射透過部15の他端部は採光部3の底部内壁面上に固定されている。光反射透過部13は光分離部11に対してほぼ45°傾斜して配置されている。光反射透過部15の光入射面15αは、光分離部11の光射出面11βに対してほぼ45°傾斜して配置されている。光反射透過部15の光入射面15αは窓部9の光入射面及び光射出面に対してほぼ平行に配置されている。このため、光分離部11を透過した赤外線IRは光反射透過部15の光入射面15αに対してほぼ直交して入射する。赤外線IRは光反射透過部15の光入射面15αに約0°の入射角で入射する。
採光部3は、光分離部11、光反射透過部13及び光反射透過部15を所定位置に保持するための支柱17を有している。支柱17は光反射透過部15の光射出面15β側に配置されている。支柱17は光反射透過部13の下方に配置されている。支柱17は光反射透過部13とほぼ一直線状に配置されている。支柱17の一端部は接続部2に接続されている。支柱17の他端部は採光部3の底部内壁面に固定されている。支柱17は例えばアクリル材で形成されている。支柱17は光反射透過部15を透過した赤外線IRを透過するようになっている。これにより、光反射透過部15を透過した赤外線IRは導光部5に入射できるようになっている。採光部3及び後述の各実施の形態における採光部は、支柱17を備えずに、光分離部11、光反射透過部13及び光反射透過部15を所定位置に保持するために各部が交わる点で採光部3の対向する側壁間に張り渡され、光分離部11、光反射透過部13及び光反射透過部15を支える細い棒状の部材等を有していてもよい。
採光部3は内壁面の一部に形成された反射膜22と保護膜24とを有している。反射膜22は例えば、高光反射率特性を備えた金属を採光部3の内壁面上にメッキ・コーティングして形成されている。保護膜24は反射膜22の表面上に形成されている。保護膜24は錆や腐食から反射膜22を保護するために設けられている。保護膜24は高光透過率特性を有している。反射膜22及び保護膜24は採光部3の側部の内壁面(不図示)にも形成されている。採光部3は、反射膜22を内壁面に備えることにより、反射膜22を形成する金属表面の高い反射率を利用することができる。これにより、採光部3は、光分離部11で反射した可視光線VLや光分離部11を透過した赤外線IRが内壁面で反射しても光強度の減少を極力抑えて、相対的に高い光強度を維持した可視光線VL及び赤外線IRを導光部5に射出することができる。反射膜22は後述する反射膜21と同様の材料で形成されている。保護膜24は後述する保護膜23と同様の材料で形成されている。なお、光反射透過部13、15の他端部は保護膜24に接触して固定されている。
次に、光分離部11の具体的な構成について図2及び図3を用いて説明する。図2は、光分離部11の概略構成の断面図である。図2に示すように、光分離部11は、薄板平板形状の基板11aと、基板11a上に形成された誘電体多層膜11bとを有している。基板11aは例えば耐熱ガラスで形成されている。誘電体多層膜11bは、可視光線VLを選択的に反射するように形成されている。光分離部11は、可視光線VL及び赤外線IRを選択的に切り分けるコールドミラーを構成している。例えば、誘電体多層膜11b側が光入射面αとなり、基板11a側が光射出面βとなっている。
図3は、光分離部11の透過スペクトルの一例を示している。図3において、実線で示す曲線は入射角45°での光分離部11の透過スペクトルを示し、破線で示す曲線は入射角0°での光分離部11の透過スペクトルを示している。横軸は光分離部11に入射する太陽光線SLに含まれる光の波長(nm)を表し、縦軸は光分離部11の透過率(%)を表している。図3に示すように、太陽光線SLの入射角が0°の場合、光分離部11の光の透過率は、約800nmより短い波長の光では85%より小さくなり、約800nm以上の波長の光では85%以上となる。また、太陽光線SLの入射角が45°の場合、光分離部11の光の透過率は、約750nmより短い波長の光では85%より小さくなり、約750nm以上の波長の光では85%以上となる。このように、光分離部11は、入射する太陽光線SLに含まれる可視光線VLを透過せずに反射し、赤外線IRを反射せずに透過することが可能な特性を有している。光分離部11は、650nm以下の波長の光の透過率が10%よりも低いので、可視光線VLに対して90%以上の反射率を有している。光分離部11は、約750nm以上の波長の光の透過率が85%以上であるため、赤外線IRに対して85%以上の透過率を有している。光分離部11は、650nmから780nmの範囲の波長の光の反射率が90%以下となってしまう。しかしながら、光ダクトシステム1が当該範囲の波長の光を室内空間31に放光できなくても実用上問題はない。
次に、光反射透過部13、15の具体的な構成について図4及び図5を用いて説明する。光反射透過部13及び光反射透過部15は同様の構成を有しているため以下、光反射透過部13を例にとって説明する。図4は、光反射透過部13の概略構成の断面図である。図4に示すように、光反射透過部13は、薄板平板形状の基板13aと、基板13a上に形成された透明導電膜13bと、透明導電膜13b上に形成されたイオン貯蔵層13cと、イオン貯蔵層13c上に形成された固体電解質層13dと、固体電解質層13d上に形成されたバッファ層13eと、バッファ層13e上に形成された触媒層13fと、触媒層13f上に形成された調光ミラー層13gとを有している。基板13aは、例えば透明絶縁性材料で形成されている。透明導電膜13bは例えば酸化インジウム(ITO)で形成されている。イオン貯蔵層13cは例えば酸化タングステン(WO)で形成されている。固体電解質層13dは例えば酸化タンタル(Ta)で形成されている。バッファ層13eは例えばアルミニウム(Al)で形成されている。触媒層13fは例えばパラジウム(Pd)で形成されている。調光ミラー層13gは例えばマグネシウム−ニッケル(Mg−Ni)合金水素化物で形成されている。
詳細は後述するが、光反射透過部13は、透明導電膜13bと調光ミラー層13gとの間に所定の電圧を印加することに起因して反射状態と透過状態とを切り替えることができる。光反射透過部13は、電気的に光学的性質を可逆的に可変されるエレクトロクロミックミラーを構成している。例えば、調光ミラー層13g側が光入射面13αとなり、基板13a側が光射出面13βとなる。
次に、光反射透過部13の動作について図5を用いて説明する。図5(a)は、反射状態に駆動された光反射透過部13を示し、図5(b)は、透過状態に駆動された光反射透過部13を示している。図5(a)に示すように、電源回路14を用いて透明導電膜13bに印加する電圧よりも高い電圧を調光ミラー層13gに印加する。本例では、調光ミラー層13gには例えば+5Vの電圧が印加され、透明導電膜13bには例えば0Vの電圧が印加される。そうすると、調光ミラー層13gから水素イオンが抜け出してイオン貯蔵層13cに移動する。これにより、調光ミラー層13gは透明状態から鏡面状態に変化する。調光ミラー層13gが鏡面状態になると、図5(a)に示すように、光反射透過部13は入射する可視光線VLを反射することができる。
一方、図5(b)に示すように、電源回路14を用いて透明導電膜13bに印加する電圧よりも低い電圧を調光ミラー層13gに印加する。本例では、調光ミラー層13gには例えば0Vの電圧が印加され、透明導電膜13bには例えば+5Vの電圧が印加される。そうすると、イオン貯蔵層13c中の水素イオンが調光ミラー層13gに移動する。これにより、調光ミラー層13gは鏡面状態から透過状態に変化する。調光ミラー層13gが透過状態になると、図5(b)に示すように、光反射透過部13は入射する可視光線VLを透過することができる。このように、光反射透過部13は、透明導電膜13bと調光ミラー層13gとの間に印加する電圧の極性に応じて透過状態と反射状態とを可逆的に変更できる。光反射透過部13は、一旦透過状態又は反射状態に変更されると、再度電圧が印加されるまでその状態を維持できる。光反射透過部13は光学的性質を記憶できる記憶素子である。光反射透過部13は、反射/透過状態の切り替え時のみに電圧を印加すればよいので極めて少ない電力で駆動されることができる。
図1に戻って、光ダクトシステム1は、採光部3の光射出側に接続された導光部5を有している。導光部5は、内壁面によって囲まれて空洞構造を備えた導光領域25を有している。導光領域25は、採光部3が射出した可視光線VLや赤外線IRの進行方向に見て、例えば四角形形状の断面を有している。導光部5は内壁面上に形成された反射膜21と保護膜23とを有している。反射膜21は例えば、高光反射率特性を備えた金属を導光部5の内壁面上にメッキ・コーティングして形成されている。反射膜21は例えばアルミニウム又は銀(Ag)を用いて形成されている。保護膜23は反射膜21の表面上に形成されている。保護膜23は錆や腐食から反射膜21を保護するために設けられている。保護膜23は高光透過率特性を有している。反射膜21及び保護膜23は導光部5の側部の内壁面(不図示)にも形成されている。導光部5は、反射膜21を内壁面に備えることにより、反射膜21を形成する金属表面の高い反射率を利用することができる。
図6は、導光部5の内壁面に形成された反射膜21の反射スペクトルを示している。図6において、実線で示す曲線は銀で形成された反射膜21の反射スペクトルを示し、破線で示す曲線はアルミニウムで形成された反射膜21の反射スペクトルを示している。横軸は反射膜21で反射する光の波長(μm)を表し、縦軸は反射膜21の反射率(%)を表している。図6に示すように、銀で形成された反射膜21の反射率は、約0.38μm(380nm)以上の波長の光では90%以上となる。アルミニウムで形成された反射膜21の反射率は、約0.38μm(380nm)以上の波長の光では0.6μmから0.9μmの波長の光を除いて90%以上となる。アルミニウムで形成された反射膜21は、0.6μmから0.9μmの波長の光に対して反射率が90%よりも低くなるものの約85%から90%の高い反射率を有する。
反射膜21は、銀で形成されている場合には可視光線VL及び赤外線IR(波長範囲380nmから2100nm)を90%以上の反射率で反射することができる。また、反射膜21は、アルミニウムで形成されている場合には可視光線VL及び赤外線IRを85%以上の反射率で反射することができる。このように、導光部5は、内壁面に反射膜21を有することにより、採光部3が射出した可視光線VLや赤外線IRを内壁面で反射しても光強度の減少を極力抑えて、相対的に高い光強度を維持したまま放光部7まで可視光線VLや赤外線IRを導光することができる。
図1に戻って、光ダクトシステム1は、導光部5の底部に設けられた放光部7を有している。放光部7は、採光部3が配置されていない側の導光部5の端部近傍に設けられている。放光部7は導光部3の底部から突出して形成されている。放光部7の突出部は天井板4に形成された開口部に嵌め込まれて固定されている。放光部7は、導光部5の導光領域25と室内空間31とを連通するための開口部27を有している。開口部27は例えば円形状に形成されている。放光部7は、開口部27を有することにより、導光部5を導光した可視光線VLや赤外線IRを室内空間31に放光できるようになっている。
放光部7は、開口部27の周囲の内壁面上に形成された反射膜26と保護膜28とを有している。保護膜28は反射膜21の表面上に形成されている。反射膜26は反射膜21と同様の材料で形成されている。保護膜28は保護膜23と同様の材料で形成されている。保護膜28は錆や腐食から反射膜26を保護するために設けられている。放光部7は、反射膜26を内壁面に備えることにより、導光部5から射出されて内壁面に入射した光の光強度をほぼ維持したまま室内空間31に放光することができる。
次に、光ダクトシステム1の動作について従来の光ダクトシステムの動作と比較しつつ説明する。図7は、特許文献1に記載された従来の光ダクトシステム101の概略構成の断面図である。図7に示すように、従来の光ダクトシステム101は、太陽33から照射された太陽光線SLを採光する採光部103と、採光部103が射出した光を導光する導光部105と、導光部105を導光した光を放光する放光部107とを有している。また、光ダクトシステム101は、採光部103に備えられ採光部103に入射した太陽光線SLを反射する主反射板111と、導光部105の内壁面上に形成されて赤外線を吸収する積層膜113とを有している。
次に、光ダクトシステム101の動作を説明する。採光部103に入射した太陽光線SLは主反射板111で反射されて導光部105に入射する。導光部105に入射した太陽光線SLは、導光部105の内壁面での反射を繰り返して放光部107側に進行し、放光部107に入射する。導光部105の内壁面上には赤外線を吸収する積層膜113が形成されている。積層膜113の赤外線の反射率は30%以下である。このため、太陽光線SLが導光部105の内壁面で反射するたびに赤外線の光強度は減少する。このため、太陽光線SLに含まれる赤外線は放光部107にほとんど到達しない。これにより、放光部107から室内空間31に放光される光は可視光線VLとなる。
光ダクトシステム101は、主反射板111を有しているので、屋外から採光した太陽光線SLを効率よく室内空間31の照明光に変換することができる。また、光ダクトシステム101は、導光部105の内壁面上に積層膜113を有しているため、室内空間31の照明に不要な赤外線を吸収して照明に必要な可視光線VLのみを放光することができる。これにより、光ダクトシステム101は、夏場において冷熱照明効果を有しているので、空調設備の低消費電力化に繋げることができる。
しかしながら、光ダクトシステム101は、可視光線VLのみを室内空間31に放光して赤外線を放光しないので冬場においては、赤外線による暖房効果が得られず空調設備の低消費電力化に繋がらないという問題を有している。
次に、本実施の形態による光ダクトシステム1の動作について図1、図2及び図5を用い説明する。図1に示すように、太陽33から照射された太陽光線SLは、窓部9を透過して採光部3に入射する。図2に示すように、採光部3に入射した太陽光線SLは光分離部11に入射して可視光線VLと赤外線IRとに分離される。可視光線VLは光分離部11で反射して光反射透過部13に入射する。一方、赤外線IRは光分離部11を透過して光反射透過部15に入射する。
例えば夏場において、可視光線VLのみを室内空間31に放光し、赤外線IRを室内空間31に放光したくない場合には、図5(b)に示すように、光反射透過部13が透過状態となるように透明導電膜13bに例えば+5Vの電圧を印加し、調光ミラー層13gに例えば0Vの電圧を印加する。また、光反射透過部15が反射状態となるように、光反射透過部15に備えられた調光ミラー層に例えば+5Vの電圧を印加し、透明導電膜13bに0Vの電圧を印加する。これにより、可視光線VLは光反射透過部13を透過して導光部5に入射する。一方、赤外線IRは光反射透過部15で反射して導光部5に入射しない。赤外線IRは、約0°の入射角で光反射透過部15に入射するので、約0°の反射角で反射する。光反射透過部15で反射した赤外線IRは、光分離部11及び窓部9を透過して採光部3の外部に射出する。このように、光反射透過部15で反射した赤外線IRは採光部3に滞留することがないので、本実施の形態による採光部3及び光ダクトシステム1は、赤外線IRに起因する温度上昇を防止することができる。
導光部5に入射した可視光線VLは、導光部5の内壁面上で繰り返し反射して導光領域25を放光部7側に進行し、放光部7から室内空間31に放光される。導光部5の内壁面上には反射膜21が形成されているため、可視光線VLは導光部5の内壁面上で反射しても光強度の減少が抑えられる。これにより、光ダクトシステム1は、室内空間31を暖房せずに室内空間31を相対的に明るい光で照明できる。
また、例えば冬場において、可視光線VL及び赤外線IRの両方を室内空間31に放光したい場合には、図5(b)に示すように、光反射透過部13が透過状態となるように透明導電膜13bに例えば+5Vの電圧を印加し、調光ミラー層13gに例えば0Vの電圧を印加する。また、光反射透過部15が透過状態となるように、光反射透過部15に備えられた透明導電膜に例えば+5Vの電圧を印加し、調光ミラー層に0Vの電圧を印加する。これにより、可視光線VLは光反射透過部13を透過して導光部5に入射する。また、赤外線IRは光反射透過部15を透過して導光部5に入射する。
導光部5に入射した可視光線VL及び赤外線IRは、導光部5の内壁面上で繰り返し反射して導光領域25を放光部7側に進行し、放光部7から室内空間31に放光される。導光部5の内壁面上には反射膜21が形成されているため、可視光線VL及び赤外線IRは導光部5の内壁面上で反射しても光強度の減少が抑えられる。これにより、光ダクトシステム1は、相対的に明るい光で室内空間31を照明でき、かつ相対的に高温の熱で室内空間31を暖房できる。
また、可視光線VLを室内空間31に放光せずに、赤外線IRのみを室内空間31に放光する場合には、図5(a)に示すように、光反射透過部13が反射状態となるように透明導電膜13bに例えば0Vの電圧を印加し、調光ミラー層13gに例えば+5Vの電圧を印加する。また、光反射透過部15が透過状態となるように、光反射透過部15に備えられた透明導電膜に例えば+5Vの電圧を印加し、調光ミラー層に0Vの電圧を印加する。これにより、可視光線VLは光反射透過部13で反射して導光部5に入射しない。一方、赤外線IRは光反射透過部15を透過して導光部5に入射する。可視光線VLは、約45°の入射角で光反射透過部13に入射するので、約45°の反射角で反射する。光反射透過部13で反射した可視光線VLは、約45°の入射角で光分離部11に入射して約45°の反射角で反射して採光部3の外部に射出する。このように、光反射透過部13で反射した可視光線VLは採光部3に滞留しない。
導光部5に入射した赤外線IRは、導光部5の内壁面上で繰り返し反射して導光領域25を放光部7側に進行し、放光部7から室内空間31に放光される。導光部5の内壁面上には反射膜21が形成されているため、可視光線VLは導光部5の内壁面上で反射しても光強度の減少が抑えられる。光ダクトシステム1は、室内空間31を照明せずに相対的に高温の熱で室内空間31を暖房できる。
さらに、可視光線VL及び赤外線IRの両方を室内空間31に放光したくない場合には、図5(a)に示すように、光反射透過部13が反射状態となるように透明導電膜13bに例えば0Vの電圧を印加し、調光ミラー層13gに例えば+5Vの電圧を印加する。また、光反射透過部15が反射状態となるように、光反射透過部15に備えられた透明導電膜13bに0Vの電圧を印加し、印加調光ミラー層に例えば+5Vの電圧を印加する。これにより、可視光線VLは光反射透過部13で反射し、赤外線IRは光反射透過部15で反射して導光部5に入射しない。これにより、可視光線VL及び赤外線IRは放光部7から室内空間31に放光されない。
以上説明したように、本実施の形態による光学装置(光分離部11と光反射透過部13、15とを含む)としての採光部3は、可視光線VLを反射するとともに可視光線VLとは異なる波長の赤外線IRを透過して入射光である太陽光線SLを分離する光分離部11と、光分離部11の光入射面11α側に配置され、光分離部11で反射した可視光線VLを反射又は透過する光反射透過部13と、光分離部11の光射出面11β側に配置され、光分離部11を透過した赤外線IRを反射又は透過する光反射透過部15とを有している。また、本実施の形態による光ダクトシステム1は、太陽光線SLを採光する採光部3と、採光部3が射出した光を導光する導光部5と、導光部5が導光した光を室内空間31に放光する放光部7とを有している。
当該構成を備えた採光部3及び光ダクトシステム1によれば、採光部3において、太陽光線SLを可視光線VL及び赤外線IRに分離し、必要に応じて可視光線VL及び赤外線IRを選択的に導光部3に射出することができる。また、当該構成を備えた光ダクトシステム1によれば、可視光線VL及び/又は赤外線IRを放光部7から室内空間31に放光することができる。このように、本実施の形態によれば、照射された太陽光線SLに含まれる可視光線VLだけでなく赤外線IRも有効に利用することができる。これにより、本実施の形態による光学装置及び光ダクトシステム1は、太陽エネルギーを室内照明として利用するだけではなく、可視光線VLと赤外線IRとに分離することで、季節(気温)や周囲の明るさに応じて必要な可視光線VLや赤外線IRを高効率に室内空間31へ取り込むことができる。
また、本実施の形態による採光部3及び光ダクトシステム1において、光分離部11は、可視光線VLを選択的に反射する誘電体多層膜11bを有している。
当該構成を備えた採光部3及び光ダクトシステム1によれば、光分離部11はコールドミラーを構成する。図3に示すように、コールドミラーは、赤外線IRに対して85%以上の透過率を有し、また可視光線VLに対しては90%以上の反射率を有することができる。
また、本実施の形態による採光部3及び光ダクトシステム1において、光反射透過部13は調光ミラー層13gを有し、光反射透過部15は調光ミラー層13gと同様の構成の調光ミラー層を有している。
当該構成を備えた採光部3及び光ダクトシステム1によれば、光反射透過部13、15はエレクトロクロミックミラーを構成している。これにより、光反射透過部13、15は、調光ミラー層に印加する電圧を変更するだけで反射/透過状態を切り替えることができる。また、光反射透過部13、15は、光学的性質を記憶できる記憶素子であるため、反射/透過状態の切り替え時のみに電圧を印加すればよいので、採光部3及び光ダクトシステム1の低消費電力化を図ることができる。また、光反射透過部13、15は安価に製造されることができる。
また、本実施の形態による採光部3及び光ダクトシステム1において、光反射透過部13の光入射面13αは、光分離部11の光入射面11αに対してほぼ直交して配置されている。さらに、本実施の形態による採光部3において、光反射透過部15の光入射面15αは、光分離部11の光射出面11βに対してほぼ45°傾斜して配置されている。
当該構成を備えた光学装置(光分離部11と光反射透過部13、15とを含む)及び光ダクトシステム1によれば、光学装置(光分離部11と光反射透過部13とを含む)においては、光反射透過部13は入射する可視光線VLを、透過状態においては50%以上透過し、反射状態においては80%以上反射することができる。さらに、当該構成を備えた採光部3及び光ダクトシステム1によれば、光反射透過部13で反射した可視光線VLを採光部3の外部に射出することができる。また、当該構成を備えた光学装置(光分離部11と光反射透過部13、15とを含む)及び光ダクトシステム1によれば、光学装置(光分離部11と光反射透過部15とを含む)においては、光反射透過部15は入射する赤外線IRを、透過状態においては50%以上透過し、反射状態においては70%以上反射することができる。さらに、当該構成を備えた採光部3及び光ダクトシステム1によれば、光反射透過部15で反射した赤外線IRを採光部3の外部に射出することができるので、採光部3の温度上昇を防止することができる。
また、本実施の形態による光ダクトシステム1において、導光部5は、光反射透過部13を透過した可視光線VLと、光反射透過部15を透過した赤外線IRとを反射する反射層21を内壁面に有している。
当該構成を備えた光ダクトシステム1は、導光部5の内壁面上における反射に起因する可視光線VLや赤外線IRの光強度の減少を抑えることができる。これにより、当該構成を備えた光ダクトシステム1は、相対的に明るい光を放光部7から室内空間31に放光することができる。
採光部3がコールドミラーを構成する光分離部11と、エレクトロクロミックミラーを構成する光反射透過部13、15を有することにより、本実施の形態による採光部3及び光ダクトシステム1は、製造プロセスの簡易化及び低コスト化を図ることができる。
次に、本実施の形態の変形例1による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムについて図8を用いて説明する。本変形例による光入出装置及びそれを備えたダクトシステムは、第2波長の光(赤外線IR)を選択的に反射するコレステリック液晶層を備えた光分離部を有する点に特徴を有している。図8は、本変形例における光分離部35の概略構成の断面図である。図8には、光分離部35に入射する太陽光線SLと、光分離部35で反射する赤外線IR(左円偏光の赤外線IRl及び右円偏光の赤外線IRr)と、光分離部35を透過する可視光線VLとが直線矢印で示されている。本変形例による光学装置は、光分離部35で赤外線IRを反射するとともに可視光線VLを透過し、光反射透過部13に赤外線IRを入射し、光反射透過部15に可視光線VLを入射する点を除いて、他の構成は、図1から図6に示す光学装置としての採光部3とそれを備えた光ダクトシステム1と同一であるため説明は省略する。なお、光反射透過部13と光反射透過部15とは同一の材料で形成されて同一の構成を有している。このため、光反射透過部13は赤外線IRに対して、光反射透過部15と同じ透過率及び反射率を有しているので光反射透過部15と同様の機能を発揮する。光反射透過部15は可視光線VLに対して、光反射透過部13と同じ透過率及び反射率を有しているので光反射透過部13と同様の機能を発揮する。
図8に示すように、光分離部35は、薄板平板形状の基板35aと、基板35a上に形成された第1光反射板35bと、第1光反射板35b上に形成された第2光反射板35cとを有している。光分離部35は全体として薄板平板形状を有している。基板35aは、例えば絶縁性透明材料で形成されている。第1及び第2光反射板35b、35cは、赤外線IRを選択的に反射するように形成されたコレステリック液晶層を有している。
コレステリック液晶層中に含まれる液晶分子が、第1及び第2光反射板35b、35cの積層方向に順次回転して螺旋構造を形成し、螺旋構造の螺旋軸が基板面にほぼ垂直に配向すると、コレステリック液晶層はプレーナ状態となって入射光を反射する。プレーナ状態のコレステリック液晶層は、液晶分子の螺旋ピッチに応じた所定波長域の光を選択的に反射する。このとき、反射される光は螺旋ピッチの掌性に応じて左右どちらか一方の円偏光であり、これ以外の光はコレステリック液晶層を透過する。太陽光線SLは左右の円偏光が入り混じった状態であるため、太陽光線SLがプレーナ状態であるコレステリック液晶層に入射すると、所定波長域については、入射光の50%が反射し、50%が透過すると考えることができる。コレステリック液晶層の平均屈折率をnとし、螺旋ピッチをpとすると、反射が最大となる選択反射中心波長λは、平均屈折率nと螺旋ピッチpとの積で表すことができ、λ=n・pのようになる。平均屈折率nは、コレステリック液晶層に含まれる液晶材料や光学活性化合物(キラル性(掌性)の添加剤(カイラル剤ともいう))で決定される。また、螺旋ピッチpは、液晶材料に含有されるカイラル剤の含有率で決定される。
コレステリック液晶層で反射される光の選択反射波長幅Δλは、コレステリック液晶層の屈折率異方性をΔnとすると、屈折率異方性Δnと螺旋ピッチpとの積で表すことができ、Δλ=Δn・pのようになる。選択反射波長幅Δλは、螺旋ピッチpを大きくすると広くなる。
本変形例における第1及び第2光反射板35b、35cは、硬化性の液晶組成物を用いて形成されている。当該液晶組成物は、棒状液晶化合物、光学活性化合物(キラル性の添加剤)及び重合開始剤を少なくとも含有している。当該棒状液晶化合物にキラル性の添加剤を添加すると、コレステリック液晶層を安定的に形成することが可能である。
第1及び第2光反射板35b、35cはそれぞれ、赤外線IRを反射できるように、液晶分子の螺旋ピッチが500nmから1350nmの間となるように形成されている。これにより、第1及び第2光反射板35b、35cの選択反射波長λは、900nmから1050nmの間になる。
第1光反射板35bに備えられたコレステリック液晶層に含まれる液晶分子の螺旋方向は、第2光反射板35cに備えられたコレステリック液晶層に含まれる液晶分子の螺旋方向と逆向きに形成されている。例えば、第1光反射板35bにおける液晶分子は左向きの螺旋構造を有し、第2光反射板35cにおける液晶分子は右向きの螺旋構造を有している。第1光反射板35bは左円偏光の赤外線IRlを反射するとともに、右円偏光の赤外線IRr及び可視光線VLを含み赤外線IRの波長と異なる波長域の光を透過する。第2光反射板35cは右円偏光の赤外線IRrを反射するとともに、左円偏光の赤外線IRl及び可視光線VLを含み赤外線IRの波長と異なる波長域の光を透過する。
本変形例における光分離部35は、隣接して配置された第1及び第2光反射板35b、35cのコレステリック液晶層に含まれる液晶分子を螺旋ピッチが同一であって螺旋方向を互いに逆向きとすることにより、選択反射中心波長λが同一であって左円偏光の赤外線IRl及び右円偏光の赤外線IRrの双方を反射することができるように構成されている。
次に、本変形例による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムの動作について説明する。本変形例による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムの動作は、光分離部35の動作が異なる点を除いて、図1に示す光学装置としての採光部3及びそれを備えた光ダクトシステム1と同様であるため、以下、光分離部35の動作のみを簡述する。図8に示すように、太陽光線SLが光分離部35に入射すると、右円偏光の赤外線IRrは第2光反射板35cで反射し、左円偏光の赤外線IRl及び可視光線VLを含み赤外線IRの波長と異なる波長域の光は第2光反射板35cを透過する。第2光反射板35cを透過した左円偏光の赤外線IRl及び可視光線VL等は第1光反射板35bに入射する。左円偏光の赤外線IRlは第1光反射板35bで反射し、可視光線VLを含み赤外線IRの波長と異なる波長域の光は第1光反射板35bを透過する。第1光反射板35bで反射した左円偏光の赤外線IRlは、第2光反射板35cを透過して太陽光線SLが入射する入射面側に射出する。光分離部35で反射した左円偏光の赤外線IRl及び右円偏光の赤外線IRrは光反射透過部13(図8では不図示)に入射し、光分離部35を透過した可視光線VLは光反射透過部15(図8では不図示)に入射することができる。
以上説明したように、本変形例による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムによれば、光分離部35はコレステリック液晶層を備えた第1及び第2光反射板35b、35cを有しているので、赤外線IRと可視光線VLとを分離して光反射透過部13、15に入射することができる。これにより、本変形例による光学装置及び光ダクトシステムは、図1及び図2に示す光学装置としての採光部3及びそれを備えた光ダクトシステム1と同様の効果が得られる。
次に、本実施の形態の変形例2による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムについて図9を用いて説明する。本変形例による光入出装置及び光ダクトシステムは、第2波長の光(赤外線IR)を選択的に反射する4層のコレステリック液晶層を有する光分離部を備えた点に特徴を有している。図9は、本変形例における光分離部35の概略構成の断面図である。図9には、光分離部35に入射する太陽光線SLと、光分離部35を透過する可視光線VLと、光分離部35で反射する赤外線IR(左円偏光の赤外線IRl及び右円偏光の赤外線IRr)とが直線矢印で示されている。本変形例による光学装置は、光分離部35で赤外線IRを反射し、可視光線VLを透過して光反射透過部13に赤外線IRが入射し、光反射透過部15に可視光線VLが入射する点を除いて、他の構成は、図1から図6に示す光学装置としての採光部3とそれを備えた光ダクトシステム1と同一であるため説明は省略する。なお、光反射透過部13と光反射透過部15とは同一の材料で形成されて同一の構成を有している。このため、光反射透過部13は赤外線IRに対して、光反射透過部15と同じ透過率及び反射率を有しているので光反射透過部15と同様の機能を発揮する。光反射透過部15は可視光線VLに対して、光反射透過部13と同じ透過率及び反射率を有しているので光反射透過部13と同様の機能を発揮する。
図9に示すように、本変形例による光学装置における光分離部35は、上記変形例1における光分離部35の構成に加えてさらに第3及び第4光反射板35d、35eを有している。第4光反射板35eは、第1光反射板35bを形成した基板35aの形成面の裏面上に形成されている。第3光反射板35dは、第4光反射板35e上に形成されている。第3光反射板35dは、第1光反射板35bに備えられたコレステリック液晶層と同一材料で形成されて同一の構成を備えたコレステリック液晶層を有している。第4光反射板35eは、第2光反射板35cに備えられたコレステリック液晶層と同一材料で形成されて同一の構成を備えたコレステリック液晶層を有している。このため、第3光反射板35dは、入射した太陽光線SLのうちの左円偏光の赤外線IRlを反射し、それ以外の光を透過する。第4光反射板35eは、入射した太陽光線SLのうちの右円偏光の赤外線IRrを反射し、それ以外の光を透過する。
次に、本変形例による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムの動作について図9を用いて説明する。本変形例による光学装置及び光ダクトシステムの動作は、光分離部35の動作が異なる点を除いて、図1に示す光学装置としての採光部3及び光ダクトシステム1と同様であるため、以下、光分離部35の動作のみを簡述する、図9に示すように、太陽光線SLが光分離部35に入射すると、右円偏光の赤外線IRrは第2光反射板35cで反射し、左円偏光の赤外線IRl及び可視光線VLを含み赤外線IRの波長と異なる波長域の光は第2光反射板35cを透過する。第2光反射板35cの反射率は100%でないため、右円偏光の赤外線IRrの一部は第2光反射板35cを透過する。
第2光反射板35cを透過した右円偏光の赤外線IRrの当該一部、左円偏光の赤外線IRl及び可視光線VL等は第1光反射板35bに入射する。左円偏光の赤外線IRlは第1光反射板35bで反射し、右円偏光の赤外線IRrの当該一部及び可視光線VLを含み赤外線IRの波長と異なる波長域の光は第1光反射板35bを透過する。第1光反射板35bで反射した左円偏光の赤外線IRlは、第2光反射板35cを透過して太陽光線SLが入射する入射面側に射出する。第1光反射板35bの反射率は100%でないため、左円偏光の赤外線IRlの一部は第1光反射板35bを透過する。
第1光反射板35bを透過した右円偏光の赤外線IRrの当該一部、左円偏光の赤外線IRlの当該一部及び可視光線VL等は、基板35aを透過して第4光反射板35eに入射する。右円偏光の赤外線IRrの当該一部は第4光反射板35eで反射し、左円偏光の赤外線IRlの一部及び可視光線VLを含み赤外線IRの波長と異なる波長域の光は第4光反射板35eを透過する。第4光反射板35eで反射した右円偏光の赤外線IRrは、基板35a、第1光反射板35b及び第2光反射板35cを透過して太陽光線SLが入射する入射面側に射出する。ここで、第4光反射板35eの反射率は100%でないため、右円偏光の赤外線IRrの一部は第4光反射板35eを透過する。
第4光反射板35eを透過した右円偏光の赤外線IRrの当該一部、左円偏光の赤外線IRlの当該一部及び可視光線VL等は第3光反射板35dに入射する。左円偏光の赤外線IRlの当該一部は第3光反射板35dで反射し、右円偏光の赤外線IRrの当該一部及び可視光線VLを含み赤外線IRの波長と異なる波長域の光は第3光反射板35dを透過する。第3光反射板35dで反射した左円偏光の赤外線IRlは、第4光反射板35e、基板35a、第1光反射板35b及び第2光反射板35cを透過して太陽光線SLが入射する入射面側に射出する。ここで、第3光反射板35dの反射率は100%でないため、左円偏光の赤外線IRlの一部は第3光反射板35dを透過する。
光分離部35で反射した左円偏光の赤外線IRl及び右円偏光の赤外線IRrは光反射透過部13(図9では不図示)に入射し、光分離部35を透過した可視光線VLは光反射透過部15(図9では不図示)に入射することができる。
以上説明したように、本変形例による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムは、左円偏光の赤外線IRlを反射する複数の光反射板(本例では、第1及び第3光反射板35b、35d)と、右円偏光の赤外線IRrを反射する複数の光反射板(本例では、第2及び第4光反射板35c、35e)を備えた光分離部35を有している。これにより、本変形例による光学装置及び光ダクトシステムは、同一の波長領域の光の反射率を増大して、光強度の大きい赤外線IRを放光部7から室内空間31に放光できる。
次に、本実施の形態の変形例3による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムについて図10を用いて説明する。本変形例による光入出装置及び光ダクトシステムは、ガスクロミックミラーを構成する光反射透過部を備えた点に特徴を有している。図10は、本変形例における光反射透過部37の概略構成の断面図である。光反射透過部37は、図1に示す光反射透過部13及び/又は光反射透過部15に代えて用いることができる。本変形例による光学装置は、図1に示す光反射透過部13及び/又は光反射透過部15に代えて光反射透過部37が用いられる点を除いて、他の構成は、図1に示す光学装置としての採光部3及びそれを備えた光ダクトシステム1と同一であるため説明は省略する。
図10に示すように、本変形例における光反射透過部37は、薄板平板形状の基板37aと、基板37a上に形成された触媒層37cと、触媒層37c上に形成された調光ミラー層37dと、調光ミラー層37dと所定の間隙を設けて対向配置された基板37bとを有している。調光ミラー層37dと基板37bとの間の間隙は不図示のスペーサを用いて確保されている。当該間隙は後述する所定の気体を導入する気体導入空間37eを構成している。
基板37a及び基板37bは、例えば絶縁性透明材料を用いて形成されている。基板37a及び基板37bは例えばガラス基板である。触媒層37cは例えばPdを用いて形成されている。調光ミラー層37dは例えばMg−Ni合金水素化物を用いて形成されている。
光反射透過部37は、対向配置された基板37a、37bの対向面側に触媒層37c及び調光ミラー層37dとを配置した2重窓ガラス構造を有している。光反射透過部37は全体として薄板平板形状を有している。図10の図中に直線矢印で示すように、光反射透過部37は、約1%に希釈された水素が気体導入空間37e内に導入されると、触媒層37cを形成するPdは、調光ミラー層37dを形成するMg−Ni合金水素化物が室温で水素と反応するようになるための触媒として機能し、Mg−Ni合金水素化物は水素化されて透明状態となる。これにより、光反射透過部37は可視光線や赤外線を透過することができる。また、図10の図中に直線矢印で示すように、約20%に希釈された酸素が気体導入空間37e内に導入されると、Mg−Ni合金水素化物は室温で脱水素化されて鏡面状態となって反射状態となる。これにより、光反射透過部37は可視光線や赤外線を反射することができる。気体導入空間37e内に酸素が導入されている際に導入触媒層37cは、酸化しやすいMg−Ni合金水素化物を酸素から保護する保護層としての機能を発揮する。このように、光反射透過部37はガスクロミックミラーを構成している。
以上説明したように、本変形例による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムによれば、光反射透過部37は、ガスクロミックミラーを構成している。このため、光反射透過部37は、光分離部で反射した可視光線や光分離部を透過した赤外線を反射したり透過したりすることができる。これにより、本変形例による光学装置及び光ダクトシステムは、図1に示す光学装置としての採光部3及びそれを備えた光ダクトシステム1と同様の効果が得られる。
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態による光学装置(光分離部11と光反射透過部13、15とを含む)及びそれを備えた光ダクトシステムについて図11から図14を用いて説明する。図11及び図12は、本実施の形態による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムを説明するための参考例を示す図である。なお、上記第1の実施の形態による光学装置としての採光部3及び光ダクトシステム1と同一の作用及び機能を奏する構成要素には、同一の符号を付してその説明は省略する。図11は、参考例1による光学装置としての採光部36及びそれを備えた光ダクトシステム63の概略構成の断面図である。
図11に示すように、採光部36は、図11に示す断面において、窓部9を底辺とし、光反射透過部13及び支柱17を一辺とする直角二等辺三角形の形状を有している。採光部36の底部内壁面と窓部9の光射出面との成す角θは、45°となる。また、光反射透過部13及び支柱17を合わせた長さは導光部5の高さhと等しくなっている。このため、図11に示す断面において、太陽光線SLが照射される窓部9の照射領域Ss(以下、「照射面積Ss」と称する場合もある)の長さは、三平方の定理より、(√2)hと表すことができる。
図11に示すように、採光部36は、高さah(0<a<1)の位置に光分離部11を有している。光分離部11は採光部36の底部内壁面に対して平行に配置されている。このため、窓部9は光分離部11の光入射面11αに対して45°傾斜して配置されている。図11に示す断面において、窓部9の長さ(√2)ahの有効領域Sef(以下、「有効面積Sef」と称する場合もある)を透過する太陽光線SL(図中に実線太矢印で示されている)が光分離部11の光入射面11αに入射する。有効領域Sefは、光入射面11αに入射可能な太陽光線SLが照射される窓部9の照射領域である。一方、当該断面において、窓部9の長さ(1−a)h/√2の非有効領域Sinef(以下、「非有効面積Sinef」と称する場合もある)を透過する太陽光線SL(図中に破線太矢印で示されている)は光分離部11の光入射面11αに入射しない。非有効領域Sinefは、光入射面11αに入射不可能な太陽光線SLが照射される窓部9の照射領域である。光分離部11に入射する太陽光線SLが最終的に放光部(図11では不図示)から室内空間(図11では不図示)に放光される。このため、光分離部11に入射する太陽光線SLの光強度が強いほど室内空間に放光される可視光線VLや赤外線IRの光強度は強くなる。
本参考例による採光部36及び光ダクトシステム63は、窓部9の照射領域Ssに照射される太陽光線SLを最大限として利用することができる。しかしながら、本参考例による採光部36で実際に利用可能な太陽光線SLは、光分離部11の光入射面11αに入射可能な有効領域Sefに入射した分だけである。本参考例では、窓部9に照射した太陽光線SLの全光強度のうち、有効領域Sefに照射した太陽光線SLの光強度が室内空間の照明や暖房等に利用され、残余の領域である非有効領域Sinefに照射した太陽光線SLの光強度は室内空間の照明や暖房に利用されない。
図11には、aが1/3(=0.33)に設定された状態の採光部36が示されている。照射領域Ssの形状と有効領域Sefの形状とが相似形であると仮定すると、照射領域Ssと有効領域Sefとの面積比は、図11に示す断面の長さの比に置き換えて考えることができる。このため、本参考例による採光部36及び光ダクトシステム63の有効面積Sefは、約33.5%となり、非有効面積Sinefは約66.5%となる。採光部36で採光される太陽光線SLの光強度は照射面積に比例する。したがって、本参考例による採光部36及び光ダクトシステム63は、採光部36で採光された太陽光線SLの全光強度のうちの33.5%の光強度を最大限とする光を室内空間に放光することができる。
図12は、参考例2による光学装置としての採光部38及びそれを備えた光ダクトシステム65の概略構成の断面図である。本参考例による採光部38及び光ダクトシステム65は、高さ2h/3(a=0.67)の位置に光分離部11を有している点を除いて、上記参考例1による採光部36及び光ダクトシステム63と同一の構成を有している。図12に示す断面において、本参考例での有効領域Sefの長さは、光分離部11の光入射領域11αの長さ(h/3)を底辺とする直角二等辺三角形の一辺の長さに等しいので、(√2)h/6となる。本参考例による採光部38及び光ダクトシステム65の有効面積Sefは、約16.5%となり、非有効面積Sinefは約83.5%となる。したがって、本参考例による採光部38及び光ダクトシステム65は、採光部38で採光された太陽光線SLの全光強度のうちの16.5%の光強度を最大限とする光を室内空間に放光することができる。
参考例1及び参考例2において説明したように、室内空間に放光できる光の光強度の最大値は、光分離部11の配置高さを変更すると変化する。図13は、光分離部11の配置高さを変更した場合の有効面積Sef及び非有効面積Sinefを示している。図13に示す表には、左列に「a(0<a<1)」、中列に「有効面積Sef[%]」、右列に「非有効面積Sinef[%]」の項目が示されている。左列の「a(0<a<1)」は、0から1の範囲での図11に示すaの値を示し、中列の「有効面積Sef」は、太陽光線SLが光分離部11の光入射面11αに入射できる窓部9の有効領域Sefを示し、右列の「非有効面積Sinef」は、太陽光線SLが光分離部11の光入射面11αに入射できない窓部9の非有効領域Sinefを示している。
左列の「a(0<a<1)」は、0.01、0.10、0.33、0.67、0.90及び0.99の6つに区分されている。a=0.01では、有効面積Sefは49.5%となり、非有効面積Sinefは50.5%となる。a=0.10では、有効面積Sefは45.0%となり、非有効面積Sinefは55.0%となる。a=0.33では、有効面積Sefは33.5%となり、非有効面積Sinefは66.5%となる。a=0.67では、有効面積Sefは16.5%となり、非有効面積Sinefは83.5%となる。a=0.90では、有効面積Sefは5.0%となり、非有効面積Sinefは95.0%となる。a=0.99では、有効面積Sefは0.5%となり、非有効面積Sinefは99.5%となる。
図11から図13に示すように、光分離部11の配置位置の高さが低いほど、有効面積Sefは広くなる。図13に示すように、光分離部11の配置位置がa=0.01である場合、すなわち図11又は図12に示す断面において、窓部9を底辺とし、光分離部11及び光反射透過部13をそれぞれ一辺とする直角二等辺三角形を光分離部11、光反射透過部13及び窓部9が構成する場合に、有効面積Sefが49.5%となる。したがって、当該断面において、光分離部11、光反射透過部13及び窓部9が当該直角二等辺三角形を構成する光学装置は、窓部9の照射領域Ssのほぼ半分の領域に入射する太陽光線SLの光強度を最大限として利用することができる。
本実施の形態による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムは、49.5%の有効面積Sefを備えている点に特徴を有している。図14は、本実施の形態による光学装置としての採光部39及びそれを備えた光ダクトシステム67の概略構成の断面図である。以下、上記第1の実施の形態による光学装置としての採光部3及び光ダクトシステム1と同一の作用及び機能を奏する構成要素には、同一の符号を付してその説明は省略し、異なる構成のみを簡述する。
図14に示すように、本実施の形態による採光部39は、接続部2に一端部が接続されて採光部39の底部内壁面にほぼ平行に配置された光分離部11を有している。光分離部11の他端部は窓部9の一端部に接続されている。光反射透過部13の光入射面13αは、光分離部11の光入射面11αにほぼ直交して配置されている。光反射透過部13の一端部は接続部2に接続され、他端部は窓部9の他端部に接続されている。図14に示す断面において、光反射透過部13の長さはhである。当該断面において、光分離部11の長さは光反射透過部13の長さhと同じ長さである。このため、当該断面において、光分離部11、光反射透過部13及び窓部9は、窓部9を底辺とし光分離部11及び光反射透過部13をそれぞれ一辺とする直角二等辺三角形を構成する。したがって、光分離部11の光入射面11αと窓部9の光射出面との成す角θは45°となる。窓部9に入射する太陽光線SLの入射角は0°であるので、光分離部11の光入射面11αに入射する太陽光線SLの入射角は45°となり、三平方の定理より、有効領域Sefの長さは(√2)h/2となる。このため、有効面積Sefは約50%となり、非有効面積Sinefも約50%となる。
本実施の形態による採光部39は、光分離部11を透過する赤外線IRの入射角がほぼ0°となるように光分離部11の光射出面11β側に配置された光反射透過部15を有している。光反射透過部15の一端部は接続部2に接続されている。光反射透過部15の光入射面15αと、光分離部11の光射出面11βとの成す角は約45°である。採光部39は、光反射透過部15の他端部に接続された一端部と、光分離部11の他端部及び窓部9の一端部に接続された他端部とを備えた保持部材41を有している。保持部税41は薄板平板形状を有している。保持部材41は、光反射透過部15に入射する赤外線IRの入射角がほぼ0°となるように、光反射透過部15を保持するために設けられている。
本実施の形態による採光部39及び光ダクトシステム67の動作は、上記第1の実施の形態による採光部3及び光ダクトシステム1と同様であるため、説明は省略する。
以上説明したように、本実施の形態による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムは、太陽光線SLの利用効率の向上を図ることができる。
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムについて図15から図17を用いて説明する。本実施の形態による光学装置及び光ダクトシステムは、照射領域Ssと有効領域Sefとがほぼ等しい点に特徴を有している。図15は、本実施の形態による光学装置としての採光部43及び光ダクトシステム69の概略構成の断面図である。以下、上記第1及び第2の実施の形態による光学装置としての採光部及び光ダクトシステムと同一の作用及び機能を奏する構成要素には、同一の符号を付してその説明は省略し、異なる構成のみを簡述する。
図15に示すように、本実施の形態による採光部43は、上記第2の実施の形態による採光部39と同様に図15に示す断面において、窓部9を底辺とし光分離部11及び光反射透過部13をそれぞれ一辺とする直角二等辺三角形を構成する光分離部11、光反射透過部13及び窓部9を有している。採光部43は、光反射透過部13の光入射面13α側に配置され、可視光線VLを透過するとともに赤外線IRを反射して太陽光線SLを分離する光分離部(第2の光分離部)45を有している。光分離部45は薄板平板形状を有している。光分離部45の光入射面45αは光分離部11の光入射面11αに対してほぼ直交して配置されている。光分離部45の光射出面45βは光反射透過部13の光入射面13αと対面して配置されている。
図16は、光分離部45の透過スペクトルの一例を示している。図16において、実線で示す曲線は入射角45°での光分離部45の透過スペクトルを示し、破線で示す曲線は入射角0°での光分離部45の透過スペクトルを示している。横軸は光分離部45に入射する太陽光線SLに含まれる光の波長(nm)を表し、縦軸は光分離部45の透過率(%)を表している。図16に示すように、光分離部45は、太陽光線SLの入射角によらず、450nmから675nmの波長範囲で平均85%の透過率を有している。また、光分離部45は、太陽光線SLの入射角によらず、750nmから1200nmの波長範囲で平均10%の透過率を有し、特に750nmから1050nmの波長範囲ではほぼ0%の透過率を有している。光分離部45は、太陽光線SLの入射角によらず、750nmから1200nmの波長範囲で平均90%の反射率を有し、特に750nmから1050nmの波長範囲ではほぼ100%の反射率を有している。このように、光分離部45は、入射する太陽光線SLに含まれる可視光線VLを反射せずに透過し、赤外線IRを透過せずに反射することが可能な特性を有している。光分離部11がコールドミラーを構成しているのに対し、光分離部45はホットミラーを構成している。図示は省略するが、光分離部45は例えば、光分離部11と同一の材料で形成された基板と、当該基板上に形成されて赤外線IRを選択的に反射する誘電体多層膜とを有している。また、光分離部45は、図8又は図9に示す光分離部35と同様の構成を有していてもよい。
図15に戻って、採光部43は、光分離部11を介して光分離部45の光入射面45α側に配置され、光分離部45で反射した赤外線IRを反射する赤外線反射部(光反射部)47を有している。赤外線反射部47は例えば薄板平板形状を有している。赤外線反射部47は例えば銀で形成された反射膜を光反射面47γ側に有している。赤外線反射部47の光反射面47γは、光分離部45の光入射面45αに対してほぼ平行に配置されている。赤外線反射部47の両端の一方は光分離部11の他端部及び窓部9の一端部に接続され、他方は光反射透過部15の他端部に接続されている。光反射透過部15の一端部は接続部2に接続されている。光反射透過部15の光射出面15βと採光部43の底部内壁面との成す角θは45°になっている。
次に、本実施の形態による採光部43及び光ダクトシステム69の動作について図15を用いて説明する。図15に示すように、太陽33(図15では不図示)から照射された太陽光線SLは、窓部9を透過して採光部43に入射する。窓部9の照射領域Ssのうちの相対的に下方に位置する照射領域Ssbを介して採光部43に入射した太陽光線SLbは、光分離部11に入射して可視光線VLbと赤外線IRbとに分離される。可視光線VLbは光分離部11で反射して光分離部45に入射する。光分離部45は可視光線VLbを透過する。このため、光分離部45に入射した可視光線VLbは光反射透過部13に入射する。可視光線に対する光分離部45の平均透過率は約85%であるため、光反射透過部13に入射する可視光線VLbの光強度は、光分離部45に入射する可視光線VLbの光強度の約85%となる。一方、光分離部11を透過した赤外線IRbは光反射透過部15に入射する。
窓部9の照射領域Ssのうちの相対的に上方に位置する照射領域Sstを介して採光部43に入射した太陽光線SLtは、光分離部45に入射して可視光線VLtと赤外線IRtとに分離される。可視光線VLtは光分離部45を透過して光反射透過部13に入射する。可視光線に対する光分離部45の平均透過率は約85%であるため、光反射透過部13に入射する可視光線VLtの光強度は、光分離部45に入射する可視光線VLtの光強度の約85%となる。
太陽光線SLtの入射角は45°であるため、光分離部45で反射した赤外線IRtの反射角は45°となる。光分離部45の光入射面45αに対して光分離部11の光入射面11αは直交して配置されている。このため、赤外線IRtは入射角45°で光分離部11に入射する。光分離部11は赤外線IRtを透過する。このため、光分離部11に入射した赤外線IRtは光分離部11を透過して赤外線反射部47に入射する。赤外線反射部47の光反射面47γは、光分離部45の光入射面45αと平行に配置されているので、光分離部11の光射出面11βと直交して配置されている。このため、赤外線IRtは入射角45°で赤外線反射部47に入射する。赤外線に対する光分離部11の透過率は約85%であるため、赤外線反射部47に入射する赤外線IRtの光強度は、光分離部11に入射する赤外線IRtの光強度の約85%となる。
赤外線IRtは入射角45°で赤外線反射部47に入射するので、反射角45°反射する。赤外線反射部47の光反射面47γと光反射透過部15の光入射面15αとの成す角は45°である。このため、赤外線IRtは入射角0°で光反射透過部15に入射する。
光反射透過部13の反射状態及び透過状態が切り替えられて、可視光線VLt、VLbは必要に応じて導光部5に射出される。また、光反射透過部15の反射状態及び透過状態が切り替えられて、赤外線IRt、IRbは必要に応じて導光部5に射出される。光反射透過部15で反射した赤外線IRbは、光分離部11及び窓部9を透過して採光部43の外部に射出する。また、光反射透過部15で反射した赤外線IRtは、赤外線反射部47で反射し、次いで光分離部11を透過し、次いで光分離部45で反射し、次いで窓部9を透過して採光部43の外部に射出する。このように、光反射透過部15で反射した赤外線IRt、IRbは採光部43に滞留することがないので、採光部43の温度上昇は防止される。
以上説明したように、本実施の形態による採光部43及び光ダクトシステム69は、窓部9から入射した太陽光線SLt、SLbに含まれる可視光線VLt、VLbを光反射透過部13に入射し、可視光線VLt、VLbを室内空間の照明に利用することができる。また、本実施の形態による採光部43及び光ダクトシステム69は、窓部9から入射した太陽光線SLt、SLbに含まれる赤外線IRt、IRbを光反射透過部15に入射し、赤外線IRt、IRbを室内空間の暖房に利用することができる。このように、本実施の形態による採光部43及び光ダクトシステム69は、照射領域Ssと有効領域Sefとをほぼ等しくできるので、太陽光線SLの利用効率の向上を図ることができる。
図17は、図11、図12、図14及び図15に示す採光部36、38、39、43における光反射透過部への入射光及び透過光の光強度を比較して示している。図17に示す表には、左列に「採光部」、中列に「光反射透過部通過前の光強度」、右列に「光反射透過部通過後の光強度」の項目が示されている。左列の「採光部」は、採光部36、38、39、43を示し、中列の「光反射透過部通過前の光強度」は、光反射透過部13、15に入射する光の光強度を示し、右列の「光反射透過部通過後の光強度」は、光反射透過部13、15を透過した光の光強度を示している。図17に示す各数値は、光分離部11の可視光線の反射率を90%とし、赤外線の透過率を85%とし、光分離部45の可視光線の透過率を85%とし、赤外線の反射率を90%とし、光反射透過部13、15の可視光線及び赤外線の透過率を50%とし、反射率を80%とし、赤外線反射部47の反射率を100%として算出されている。また、当該各数値は、照射領域Ssに照射された太陽光線SLの光強度を「1」として規格化されている。
図17に示すように、採光部38では、光反射透過部15に入射する赤外線IRの光強度は0.14となり、光反射透過部15を透過した赤外線IRの光強度は0.07となり、光反射透過部13に入射する可視光線VLの光強度は0.15となり、光反射透過部13を透過した可視光線VLの光強度は0.07となる。採光部36では、光反射透過部15に入射する赤外線IRの光強度は0.28となり、光反射透過部15を透過した赤外線IRの光強度は0.14となり、光反射透過部13に入射する可視光線VLの光強度は0.30となり、光反射透過部13を透過した可視光線VLの光強度は0.15となる。採光部39では、光反射透過部15に入射する赤外線IRの光強度は0.42となり、光反射透過部15を透過した赤外線IRの光強度は0.21となり、光反射透過部13に入射する可視光線VLの光強度は0.45となり、光反射透過部13を透過した可視光線VLの光強度は0.22となる。採光部43では、光反射透過部15に入射する赤外線IRの光強度は0.81となり、光反射透過部15を透過した赤外線IRの光強度は0.40となり、光反射透過部13に入射する可視光線VLの光強度は0.81となり、光反射透過部13を透過した可視光線VLの光強度は0.40となる。
図17に示すように、有効領域Sefが広くなるほど光反射透過部13、15から射出された可視光線VLの光強度及び赤外線IRの光強度は強くなり、太陽光線SLの利用効率が向上する。したがって、本実施の形態による採光部43は、上記第2の実施の形態による採光部39及び参考例による採光部36、38よりも太陽光線SLの利用効率の向上を図ることができる。
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムについて図18及び図19を用いて説明する。本実施の形態による光学装置及び光ダクトシステムは、光反射透過部から射出した光を散乱する光散乱部を備えた点に特徴を有している。図18は、本実施の形態による光学装置としての採光部49及び光ダクトシステム71の概略構成の断面図である。以下、上記第1から第3の実施の形態による光学装置としての採光部及び光ダクトシステムと同一の作用及び機能を奏する構成要素には、同一の符号を付してその説明は省略し、異なる構成のみを簡述する。
図18に示すように、本実施の形態による採光部49は、例えば上記参考例による採光部36とほぼ同様の構成を有している。採光部49は、光反射透過部13の光射出面13β側に配置され、可視光線VLを散乱する光散乱部(第1の光散乱部)51と、光反射透過部15の光射出面15β側に配置され、赤外線IRを散乱する光散乱部(第2の光散乱部)53と有している。光散乱部51は、光反射透過部13の光射出面13βに対面して設けられている。光散乱部53は、支柱17の光射出面に対面して設けられている。
次に、光散乱部51、53の具体的な構成について図19を用いて説明する。光散乱部51及び光散乱部53は同様の構成を有しているため以下、光散乱部51を例にとって説明する。図19は、光散乱部51の概略構成の断面図である。図19(a)は、可視光線VLを散乱する光散乱状態の光散乱部51を示し、図19(b)は、可視光線VLを散乱せずに透過する非光散乱状態の光散乱部51を示している。
図19に示すように、光散乱部51は、対向配置された一対の基板51a、51bを有している。基板51a、51bは薄板平板形状を有している。基板51a、51bは例えば絶縁性材料で形成されている。基板51a、51bは例えばガラス基板である。光散乱部51は、一対の基板51a、51b間に封止された高分子分散型液晶層52を有している。高分子分散型液晶層52は、高分子層51cと、高分子層51cに設けられた複数の液晶ドロップレット51dと、液晶ドロップレット51bに包まれた複数の液晶分子51eとを有している。光散乱部51は全体として薄板平板形状を有している。
次に、本実施の形態による採光部49及び光ダクトシステム71の動作について説明する。可視光線VLが光反射透過部13に入射し、赤外線IRが光反射透過部15に入射するまでの動作は、上記第1の実施の形態による採光部3と同様であるため、説明は省略する。例えば可視光線VLの散乱光VLsを導光部5の導光領域25に射出する場合には、図19(a)に示すように、スイッチ回路55をオフ状態として電源回路54から光散乱部51を切り離すと、光散乱部51の高分子分散型液晶層52には電圧が印加されない。これにより、複数の液晶分子51eは液晶ドロップレット51d内でランダムな方向に向く。液晶分子51eが無作為な方向に向くと、高分子層51cの屈折率と液晶ドロップレット51dの屈折率とが異なる。これにより、例えば基板51b側から入射した可視光線VLは高分子分散型液晶層52で散乱され、光散乱部51から可視光線の散乱光VLsが射出される。
例えば散乱していない可視光線VLを導光部5の導光領域25に射出する場合には、図19(b)に示すように、スイッチ回路55をオン状態として電源回路54と光散乱部51とを接続すると、例えば基板51bには基板51aよりも高い電圧が印加される。これにより、光散乱部51の高分子分散型液晶層52には、基板51bから基板51aに向かう電界が発生する。複数の液晶分子51eの長軸は、当該電界の方向に向いて液晶ドロップレット51d内で一定方向に揃う。液晶分子51eの長軸が同一方向に向くと、高分子層51cの屈折率と液晶ドロップレット51dの屈折率とが等しくなる。これにより、例えば基板51b側から入射した可視光線VLは高分子分散型液晶層52で散乱されずにそのまま透過して光散乱部51から射出される。採光部49は、光散乱部53も光散乱部51と同様に駆動することにより、赤外線IRの散乱光IRsを導光部5に射出したり、散乱させずに赤外線IRを導光部5に射出したりすることができる。
以上説明したように、本実施の形態による採光部49及び光ダクトシステム71は、散乱光を導光部5に射出して放光部から室内空間に散乱光を放光できる。これにより、本実施の形態による採光部49及び光ダクトシステム71は、室内空間の明るさのむらや温度むらを軽減できる。また、採光部49は、可視光線VLを散乱するための光散乱部51と、赤外線IRを散乱するための光散乱部53とを別個独立に有している。このため、採光部49及び光ダクトシステム71は、可視光線VLのみを散乱させたり赤外線IRのみを散乱させたりというように、散乱させる光を選択することができる。
〔第5の実施の形態〕
次に、本発明の第5の実施の形態による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムについて図20及び図21を用いて説明する。本実施の形態による光学装置及び光ダクトシステムは、光反射透過部から射出した赤外線の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子を備えた点に特徴を有している。図20は、本実施の形態による光学装置としての採光部57及び光ダクトシステム73の概略構成の断面図である。以下、上記第1から第4の実施の形態による光学装置としての採光部及び光ダクトシステムと同一の作用及び機能を奏する構成要素には、同一の符号を付してその説明は省略し、異なる構成のみを簡述する。
図20に示すように、本実施の形態による採光部57は、例えば上記参考例による採光部36とほぼ同様の構成を有している。採光部57は、光反射透過部15の光射出面15β側に配置され、光反射透過部15から射出された赤外線IRの熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子59を有している。熱電変換素子59は、例えば支柱17の導光部5側の一部に配置されている。これにより、採光部57は、光反射透過部15を透過した赤外線IRの一部を熱電変換素子59に入射し、残余の赤外線IRを導光部5に入射することができる。また、熱電変換素子59は、採光部57に移動可能に取り付けられており、光反射透過部15を透過した赤外線IRを遮断したり遮断しなかったりできるようになっていてもよい。これにより、光ダクトシステム73は、例えば夏場などの時季に赤外線IRを室内空間に放光する必要のない場合には、熱電変換素子59に赤外線IRを吸収させ、冬場などの時季に赤外線IRを室内空間に放光する必要のある場合には、熱電変換素子59に赤外線IRを吸収させずに室内空間に放光することができる。
次に、熱電変換素子59の具体的な構成の一例について図21を用いて説明する。図21は、熱電変換素子59の概略構成を示している。図21に示すように、熱電変換素子59は、光反射透過部15を透過した赤外線IRを吸収する赤外線吸収部59aを有している。赤外線吸収部59aは、赤外線IRを吸収することに起因して高温状態になる。赤外線吸収部59aは熱電変換素子59の高温側熱源として機能するようになっている。赤外線吸収部59aは、光反射透過部15の光射出面15βに向けられて配置されている。赤外線吸収部59aは電気的に絶縁性を有している。
熱電変換素子59は、赤外線吸収部59aに接触して形成された電極59eを有している。熱電変換素子59は、電極59eに一端部が接触して形成されたN型半導体素子59cと、電極59eに一端部が接触して形成されたP型半導体素子59dとを有している。赤外線吸収部59a及び電極59eは、N型半導体素子59cとP型半導体素子59dとの間に跨って配置されている。熱電変換素子59は、N型半導体素子59cの他端部に接触して形成された電極59fと、P型半導体素子59dの他端部に接触して形成された電極59gとを有している。熱電変換素子59は、電極59f及び電極59gに接触して設けられた低温側放熱部59bを有している。低温側放熱部59bは、N型半導体素子59c及び電極59fと、P型半導体素子59d及び電極59gとの間に跨って配置されている。低温側放熱部59bの温度は赤外線吸収部59aの温度よりも低くなるように設定されている。低温側放熱部59bは電気的に絶縁性を有している。
熱電変換素子59は、物質の温度差が電圧に直接変換される現象であるゼーベック効果を利用して熱起電力を発生するようになっている。熱電変換素子59は、N型半導体素子59c及びP型半導体素子59dのそれぞれの両端に温度差を生じさせて熱起電力を発生するようになっている。
熱電変換素子59の電極59f及び電極59gには、熱電変換素子59で発生した熱起電力を用いて駆動される所定の電気回路が接続される。本例では、所定の電気回路として蓄電池60が熱電変換素子59に接続されている。蓄電池60の一方の電極は電極59gに接続され、他方の電極は電極59fに接続されている。
次に、本実施の形態による採光部57及び光ダクトシステム73の動作について説明する。可視光線VLが光反射透過部13に入射し、赤外線IRが光反射透過部15に入射するまでの動作は、上記第1の実施の形態による採光部3と同様であるため、説明は省略する。例えば光反射透過部15を透過した赤外線IRは、熱電変換素子59に備えられた赤外線吸収部59aに入射する。赤外線吸収部59aは、赤外線IRを吸収すると温度が上昇する。N型半導体素子59cの一端部は赤外線吸収部59aに接触し、他端部は低温側放熱部59bに接触している。このため、赤外線吸収部59aの温度が上昇すると、N型半導体素子59cの一端部と他端部との間には温度差が生じる。当該温度差に基づいて、N型半導体素子59cには、高温側(赤外線吸収部59a側)から低温側(低温側放熱部59b側)に向かってキャリア(電子)が移動するように熱起電力が発生する。また、P型半導体素子59dの一端部は赤外線吸収部59aに接触し、他端部は低温側放熱部59bに接触している。このため、赤外線吸収部59aの温度が上昇すると、P型半導体素子59dの一端部と他端部との間には温度差が生じる。当該温度差に基づいて、P型半導体素子59dには、高温側(赤外線吸収部59a側)から低温側(低温側放熱部59b側)に向かってキャリア(正孔)が移動するように熱起電力が発生する。
N型半導体素子59c及びP型半導体素子59dに当該熱起電力が発生すると、「N型半導体素子59c→電極59e→P型半導体素子59d→蓄電池60の一方の電極」の向きに電流が流れるので、蓄電池60は充電される。
以上説明したように、本実施の形態による採光部57及び光ダクトシステム73は、熱電変換素子59を有している。これにより、採光部57及び光ダクトシステム73は、採光部57で採光した太陽光線SLに含まれる赤外線IRの熱エネルギーを電気エネルギーに変換して、当該電気エネルギーを室内の家電製品(例えば、空調機や冷蔵庫等)の電源として用いることができる。
〔第6の実施の形態〕
次に、本発明の第6の実施の形態による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムについて図22を用いて説明する。本実施の形態による光学装置及び光ダクトシステムは、入射光を反射する入射光反射部を備えた点に特徴を有している。また、本実施の形態による光学装置及び光ダクトシステムは、光学装置の正面側から入射する太陽光線を効率的に利用できる点に特徴を有している。図22は、本実施の形態による光学装置としての採光部61及び光ダクトシステム75の概略構成の断面図である。以下、上記第1から第5の実施の形態による光学装置としての採光部及び光ダクトシステムと同一の作用及び機能を奏する構成要素には、同一の符号を付してその説明は省略し、異なる構成のみを簡述する。
図22に示すように、本実施の形態による採光部61は、例えば上記参考例による採光部36とほぼ同様の構成を有している。採光部61は、光分離部11の光入射面11α側に回転自在に配置され、太陽光線SLを反射する太陽光線反射部(入射光反射部)77を有している。太陽光線反射部77と光分離部11の光入射面11αとの間には、窓部9が配置されている。太陽光線反射部77は薄板平板形状を有している。採光部61は、光反射透過部13の他端部及び窓部9の他端部に設けられた回転機構79を有している。太陽光線反射部77の一端部は回転機構79に回転自在に取り付けられている。図中に曲線の双方向矢印で示すように、太陽光線反射部77は、光反射面77γと光分離部11の光入射面11αとがほぼ平行となる位置から光反射面77γと光入射面11αとがほぼ直交する位置まで回転できるように回転機構79に取り付けられている。太陽光線反射部77は採光部61の前方に配置され、太陽33の動きを追尾しながら回転するように制御される。
次に、本実施の形態による採光部61及び光ダクトシステム75の動作について説明する。例えば窓部9が東から南の間の範囲内に向けられて採光部61が家屋に取り付けられている場合、朝方などの太陽33の高度が低い時間帯では、太陽光線反射部77は、光反射面77γが光入射面11αに対してほぼ平行な状態から45°の傾斜状態となる範囲内で回転するように制御される。これにより、太陽光線反射部77は、0°の入射角で太陽光線SLが窓部9に入光するように太陽光線SLを反射できる。また、例えば昼時の太陽33の高度が高い時間帯では、太陽光線反射部77は、光反射面77γが光入射面11αに対して45°の傾斜状態からほぼ直交する状態となる範囲内で回転するように制御される。これにより、採光部61は、太陽光線反射部77を介さずに太陽光線SLを窓部9に直接入光することができる。
また、例えば、窓部9が南から西の間の範囲内に向けられて採光部61が家屋に取り付けられている場合、昼時の太陽33の高度が高い時間帯では、太陽光線反射部77は、光反射面77γが光入射面11αに対してほぼ直交する状態から45°の傾斜状態となる範囲内で回転するように制御される。これにより、採光部61は、太陽光線反射部77を介さずに太陽光線SLを窓部9に直接入光することができる。また、夕方などの太陽33の高度が低い時間帯では、太陽光線反射部77は、光反射面77γが光入射面11αに対して45°の傾斜状態からほぼ平行な状態となる範囲内で回転するように制御される。これにより、太陽光線反射部77は、0°の入射角で太陽光線SLが窓部9に入光するように太陽光線SLを反射できる。
このように、採光部61は、窓部9の光入射面側(正面側)に位置する太陽33から照射された太陽光線SLを効率的に採光できる。採光部61は時間帯によらずに太陽光反射部77を用いることによって太陽光線SLを約45°の入射角で光分離部11に入射できる。採光部61及び光ダクトシステム75は、太陽光線SLが光分離部11に入射した後は、上記第1の実施の形態による採光部3及び光ダクトシステム1と同様に動作するので、説明は省略する。
以上説明したように、本実施の形態による採光部61及び光ダクトシステム75は、太陽光線反射部77を有している。これにより、採光部61及び光ダクトシステム75は、採光部61が東側に向けて家屋に取り付けられている場合には、朝方の太陽光線SLであっても効率的に採光することができる。採光部61及び光ダクトシステム75は、採光部61が西側に向けて家屋に取り付けられている場合には、夕方の太陽光線SLであっても効率的に採光することができる。このため、採光部61及び光ダクトシステム75は、太陽光線SLの角度依存性をなくし、日の出から日の入りまでの時間帯を問わず太陽光線SLを導光部5に送り込んで室内空間を照明したり暖房できたりするので、照明設備や暖房設備の低消費電力化を図ることができる。
〔第7の実施の形態〕
次に、本発明の第7の実施の形態による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムについて図23を用いて説明する。本実施の形態による光学装置及び光ダクトシステムは、上記第6の実施の形態と同様に、入射光を反射する入射光反射部を備えた点に特徴を有している。また、本実施の形態による光学装置及び光ダクトシステムは、光学装置の背面側から入射する太陽光線を効率的に利用できる点に特徴を有している。図23は、本実施の形態による光学装置としての採光部62及び光ダクトシステム76の概略構成の断面図である。以下、上記第1から第6の実施の形態による光学装置としての採光部及び光ダクトシステムと同一の作用及び機能を奏する構成要素には、同一の符号を付してその説明は省略し、異なる構成のみを簡述する。
図23に示すように、本実施の形態による採光部62は、例えば上記参考例による採光部36とほぼ同様の構成を有している。採光部62は、光分離部11の光入射面11α側に回転自在に配置され、太陽光線SLを反射する太陽光線反射部(入射光反射部)78を有している。太陽光線反射部78と光分離部11の光入射面11αとの間には、窓部9が配置されている。太陽光線反射部78は薄板平板形状を有している。採光部62は、採光部62の底部及び窓部9の一端部に設けられた回転機構79を有している。太陽光線反射部78の一端部は回転機構79に回転自在に取り付けられている。図中に曲線の双方向矢印で示すように、太陽光線反射部78は、光反射面78γと窓部9の光入射面との成す角が45°となる位置から光反射面78γと窓部9の光入射面との成す角が225°となる位置まで回転できるように回転機構79に取り付けられている。太陽光線反射部78は採光部62の前方に配置され、太陽33の動きを追尾しながら回転するように制御される。
次に、本実施の形態による採光部62及び光ダクトシステム76の動作について説明する。例えば窓部9が東から南の間の範囲内に向けられて採光部62が家屋に取り付けられている場合、昼時の太陽33の高度が高い時間帯では、太陽光線反射部78は、光反射面78γと窓部9の光入射面との成す角が67.5°となる状態から45°となる状態の範囲内で回転するように制御される。これにより、採光部62は、太陽光線SLを太陽光線反射部78で反射させて窓部9の光入射面に対して垂直に入光することができる。
また、例えば、窓部9が南から西の間の範囲内に向けられて採光部62が家屋に取り付けられている場合、例えば昼時の太陽33の高度が高い時間帯では、太陽光線反射部78は、光反射面78γと窓部9の光入射面との成す角が45°となる状態から67.5°となる状態の範囲内で回転するように制御される。これにより、採光部62は、太陽光線SLを太陽光線反射部78で反射させて窓部9の光入射面に対して垂直に入光することができる。
このように、採光部62は、窓部9の背面側に位置する太陽33から照射された太陽光線SLを効率的に採光できる。採光部62は時間帯によらずに太陽光線SLを約45°の入射角で光分離部11に入射できる。採光部62及び光ダクトシステム76は、太陽光線SLが光分離部11に入射した後は、上記第1の実施の形態による採光部3及び光ダクトシステム1と同様に動作するので、説明は省略する。
以上説明したように、本実施の形態による採光部62及び光ダクトシステム76は、太陽光線反射部78を有している。これにより、採光部62及び光ダクトシステム76は、採光部62が東側に向けて家屋に取り付けられている場合には、例えば昼時の太陽33の高度が高い時間帯(太陽が採光部と反対側を向く時も含む)のときに効率的に採光することができる。また、採光部62及び光ダクトシステム76は、採光部62が西側に向けて家屋に取り付けられている場合でも例えば昼時の太陽33の高度が高い時間帯(太陽が採光部と反対側を向く時も含む)のときに効率的に採光することができる。このため、採光部62及び光ダクトシステム76は、太陽光線SLの角度依存性を小さくし、特に、太陽の高度が高い昼間時には効率的に太陽光線SLを導光部5に送り込んで室内空間を照明したり暖房できたりするので、照明設備や暖房設備の低消費電力化を図ることができる。
採光部62及び光ダクトシステム76は、太陽光線反射部78に加えて、上記第6の実施の形態における太陽光線反射部77を有していてもよい。太陽の高度が高い昼間時(太陽が採光部と反対側を向く時も含む)には太陽光線反射部78が効率的に用いられ、太陽の高度が低い朝方時には太陽光線反射部77が効率的に用いられる。それゆえ、昼間時の効率を上げる目的に限定した場合、太陽光線反射部78だけでよく、一方、朝方時の効率を上げる目的に限定した場合、太陽光線反射部77だけで良い。当該構成を備えた採光部62及び光ダクトシステム76は、採光部62の窓部9の向けられる方角によらず、太陽光線SLの角度依存性をなくし、日の出から日の入りまでの時間帯を問わず太陽光線SLを導光部5に送り込んで室内空間を照明したり暖房できたりするので、照明設備や暖房設備の低消費電力化を図ることができる。
〔第8の実施の形態〕
次に、本発明の第8の実施の形態による光学装置及びそれを備えた光ダクトシステムについて図24を用いて説明する。本実施の形態による光学装置及び光ダクトシステムは、電気泳動装置で構成され、可視光線や赤外線を吸収又は透過する光吸収透過部を備えた点に特徴を有している。図24は、本実施の形態による光学装置としての採光部87及び光ダクトシステム81の概略構成の断面図である。以下、上記第1から第6の実施の形態による光学装置としての採光部及び光ダクトシステムと同一の作用及び機能を奏する構成要素には、同一の符号を付してその説明は省略し、異なる構成のみを簡述する。
図24に示すように、本実施の形態による採光部87は、例えば上記参考例による採光部36とほぼ同様の構成を有している。採光部87は、電気泳動装置で構成された光吸収透過部83と、電気泳動装置で構成された光吸収透過部85とを有している。電気泳動装置は透明状態と着色状態(例えば、黒色)とを電気的に切り替えることができる。光吸収透過部83は、電気泳動装置の当該特性を利用して可視光線VLを吸収したり透過したりするように構成されている。光吸収透過部85は、電気泳動装置の当該特性を利用して赤外線IRを吸収したり透過したりするように構成されている。
光吸収透過部83は、複数の集積電極(不図示)と、当該集積電極で画定された画素(不図示)と、帯電着色粒子(不図示)とを有している。集積電極は細長い形状を有している。複数の集積電極に所定の電圧を印加して画素内に所定の電界を発生させると、画素内の帯電着色粒子は集積電極上に集塵したり画素内に均一に分散したりする。このため、帯電着色粒子が集積電極上に集塵すると画素内にほとんど存在しなくなるため、画素内の透過率は向上する。これにより、光吸収透過部83は透明状態となって光分離部11で反射して光入射面83αに入射した可視光線VLを透過することができる。また、画素内に均一に分散した帯電着色粒子は画素内の透過率を低下させる。これにより、光吸収透過部83は、着色状態となって光分離部11で反射した可視光線VLを吸収し、光射出面83β側に可視光線VLを透過しなくなる。光吸収透過部85は、光吸収透過部83と同様の構成を有し、同様の機能を発揮して、光入射面85αに入射した赤外線IRを吸収したり、光射出面85β側に透過したりすることができる。光吸収透過部83、85の透過率は、透過状態では例えば74%となり、着色状態では例えば14%となる。電気泳動装置は、透明状態の透過率と着色状態の透過率との比が高く、高コントラストを実現できる。このため、光吸収透過部83、85を備えた採光部87は、エレクトロクロミックミラーで構成された光反射透過部13、15を備えた採光部3と比較して、高効率なシャッター機能を発揮する。
このように、光吸収透過部83は可視光線VLを選択的に吸収又は透過することができる。また、光吸収透過部85は赤外線IRを選択的に吸収又は透過することができる。これにより、本実施の形態による採光部87は、気温や外部環境に応じて、選択的に可視光線VL及び赤外線IRを導光部5に伝搬したり伝搬しなかったりすることができる。このため、本実施の形態による採光部87及び光ダクトシステム81は、上記実施の形態による採光部及び光ダクトシステムと同様の効果が得られる。
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
上記第1から第6の実施の形態では、光分離部11は誘電体多層膜11bを用いて選択的に可視光線VLを反射するように構成されているが、本発明はこれに限られない。例えば光分離部11は、誘電体多層膜11bに代えて微細周期構造を備えた金属薄膜を有し、当該金属薄膜を用いて可視光線VLを反射するように構成されていてもよい。また、光分離部11は、誘電体多層膜11bに代えてコレステリック液晶層を有し、当該コレステリック液晶層を用いて可視光線VLを反射するように構成されていてもよい。
また、光分離部11は、可視光線と赤外線とを分離する機能を発揮できれば、コールドミラーを構成していなくてもよい。
上記第1から第6の実施の形態では、導光部5は、四角形形状の断面を有しているが本発明はこれに限られない。導光部5は、四角形以外の多角形、円形及び楕円などの断面形状を有していてもよい。導光部5は、導光する可視光線VLや赤外線IRの光強度の減衰を少なくする観点において、円形の断面形状を有しているのが好ましい。
上記第4の実施の形態では、光散乱部51、53は採光部49に設けられているが、本発明はこれに限られない。例えば、光散乱部は放光部に設けられていてもよい。当該構成を備えた光ダクトシステムは、エネルギーの有効的利用を図ることができる。
上記第1から第6の実施の形態では、光学装置として光ダクトシステムに用いられる採光部を例にとって説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、光学装置は、携帯可能な大きさ及び重量を有し、例えば太陽光線を採光して暗所を照明できたり指先や足元を温めることができたりする小型の装置であってもよい。また、例えば、光学装置は、太陽光線又はその他の照明光等の入射光を入射して、当該入射光を所定波長の光(例えば、赤色、緑色及び青色の光)に分離して、当該所定波長の光の射出の有無を必要に応じて切り替えることが可能な構成を有していてもよい。
光反射透過部又は光吸収透過部は、上記第1から第8の実施の形態における構成に限られない。光反射透過部は、光を透過又は反射できる機能を有していれば、例えば光を透過する部材と光を反射する部材とを機械的に切り替える構成を有していてもよい。また、光吸収透過部は、光を吸収又は反射できる機能を有していれば、例えば光を吸収する部材と光を反射する部材とを機械的に切り替える構成を有していてもよい。
上記第6及び第7の実施の形態を除いて上記実施の形態では、光分離部11に対する太陽光線SLの入射角は45°に固定されている。例えば図11においてa=1/3の採光部36では、太陽光線SLの利用効率が最も高いのは有効面積Sefが33.5%の場合である。しかしながら、採光部36において、太陽光線SLの入射角が45°からずれてしまうと、有効面積Sefが33.5%であっても、太陽光線SLの利用効率が低下してしまう場合がある。太陽光線SLの入射角が例えば30°となると、光分離部11で反射した可視光線VLの一部は光反射透過部13に入射せずに窓部9に抜け出てしまい効率的でない。また、光分離部11及び光反射透過部15を透過した赤外線IRの一部は、採光部36の底部に設けられた反射膜22で反射し、直接導光部5に入射せずに光反射透過部13を介して導光部5へと入射してしまう。これにより、採光部36は、入射する太陽光線SLの選択的な入射ができず、太陽光線SLの利用効率の低下を招いてしまう。
また、例えば、太陽光線SLの入射角が60°となると、光分離部11で分離した可視光線VL及び赤外線IRの全てを光反射透過部13及び光反射透過部15にそれぞれ入射できるが、有効面積Sefが33.5%よりも小さくなってしまう。これにより、採光部36に入射する太陽光線SLの利用効率が低下してしまう。このように、採光部3は太陽光線SLの入射角度依存性を有している。なお、当該入射角依存性は、0<a<1の範囲で同様に成立する。
また、上記実施の形態では、光反射透過部15の光入射面15αは、光分離部11の光射出面11βに対してほぼ45°傾斜して配置されている。また、上記実施の形態では、採光部の底部内壁面と光反射透過部15との成す角度θは45°に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限られない。
例えば図11においてa=1/3の採光部36では、採光部36の底部内壁面と光反射透過部15との成す角度θが45°の場合、有効面積Sefが33.5%であると太陽光線SLの利用効率が最も高くなる。しかしながら、当該角度θが45°からずれてしまうと、有効面積Sefが33.5%であっても、太陽光線SLの利用効率が低下してしまう場合がある。図11に示す断面において、光反射透過部15の長さを固定したままθ=30°とすると、光分離部11を透過した赤外線IRの一部は、光反射透過部15に入射できない。これにより、採光部36に入射する太陽光線SLの利用効率が低下してしまう。
また、図11に示す断面において、光反射透過部15の長さを固定したままθ=60°とすると、光分離部11を透過した赤外線IRは全て光反射透過部15に入射するが、有効面積Sefが33.5%よりも小さくなってしまう。これにより、採光部36に入射する太陽光線SLの利用効率が低下してしまう。
そこで、当該角度θは、光分離部11に対する太陽光線SLの入射角と当該角度θとの和が90°となるように設定されると、採光部36は、入射する太陽光線SLの利用効率の低下を防止できる。この場合、当該角度θは、採光部36の底部内壁面と窓部9との成す角度と等しくなる。すなわち、光反射透過部15と窓部9とは平行な状態で採光部36に設置される。当該構成を備えた採光部36は、当該角度θ(0<θ<90°)によらず、33.5%の有効面積Sefを確保しつつ、有効面積Sefに入射して光分離部11を透過した赤外線IR(あるいは可視光線VL)の全てを光反射透過部15(あるいは光反射透過部13)に入射できる。これにより、当該構成を備えた採光部36は、入射する太陽光線SLの利用効率の低下を防止できる。例えば、密集して建設されて急峻な屋根の家屋に採光部36が設置される場合、窓部9の傾斜角度は急峻となってしまう場合がある。この場合、光反射分離部15が窓部9とほぼ平行に採光部36に設置されることにより、採光部36及びそれを備えた光ダクトシステムは、太陽光線SLの利用効率の向上を図ることができる。
なお、上記詳細な説明で説明した事項は組み合わせることが可能である。
1、63、65、67、69、71、73、75、81 光ダクトシステム
2 接続部
3、36、38、39、43、49、57、61、87 採光部
4 天井板
5 導光部
7 放光部
9 窓部
11、35、45 光分離部
11a、11b、13a、35a、37a、37b、51a、51b 基板
13、15、37 光反射透過部
13b 透明導電膜
13c イオン貯蔵層
13d 固体電解質層
13e バッファ層
13f、37c 触媒層
13g、37d 調光ミラー層
14 電源回路
17 支柱
21、22 反射膜
23、24、28 保護膜
25 導光領域
26 反射膜
27 開口部
29 床板
31 室内空間
33 太陽
35b 第1光反射板
35c 第2光反射板
35d 第3光反射板
35e 第4光反射板
37e 気体導入空間
41 保持部材
47 赤外線反射部
47γ、77γ、78γ 光反射面
51、53 光散乱部
51c 高分子層
51d 液晶ドロップレット
51e 液晶分子
52 高分子分散型液晶層
54 電源回路
55 スイッチ回路
59 熱電変換素子
59a 赤外線吸収部
59b 低温側放熱部
59c N型半導体素子
59d P型半導体素子
59e、59f、59g 電極
60 蓄電池
77、78 太陽光線反射部
79 回転機構
83、85 光吸収反射部
IR、IRb、IRt 赤外線
SL、SLb、SLt 太陽光線
VL、VLb、VLt 可視光線
Sef 有効領域(有効面積)
Sinef 非有効領域(非有効面積)
Ss、Sst、Ssb 照射領域

Claims (15)

  1. 第1波長の光を反射するとともに前記第1波長とは異なる第2波長の光を透過して入射光を分離する第1の光分離部と、
    前記第1の光分離部の光入射面側に配置され、前記第1の光分離部で反射した前記第1波長の光を反射又は透過する第1の光反射透過部と、
    前記第1の光分離部の光射出面側に配置され、前記第1の光分離部を透過した前記第2波長の光を反射又は透過する第2の光反射透過部と
    を有することを特徴とする光学装置。
  2. 請求項1記載の光学装置において、
    前記第1波長の光は可視光線を含み、前記第2波長の光は赤外線を含むこと
    を特徴とする光学装置。
  3. 請求項1又は2に記載の光学装置において、
    前記第1及び/又は第2の光反射透過部は調光ミラー層を有すること
    を特徴とする光学装置。
  4. 請求項1から3までのいずれか一項に記載の光学装置において、
    前記第1の光反射透過部の光入射面は、前記第1の光分離部の前記光入射面に対してほぼ直交して配置されていること
    を特徴とする光学装置。
  5. 請求項1から4までのいずれか一項に記載の光学装置において、
    前記第2の光反射透過部の光入射面は、前記第1の光分離部の前記光射出面に対してほぼ45°傾斜して配置されていること
    を特徴とする光学装置。
  6. 請求項1から5までのいずれか一項に記載の光学装置において、
    前記第1の光分離部は、前記第1波長の光を選択的に反射する誘電体多層膜を有すること
    を特徴とする光学装置。
  7. 請求項1から5までのいずれか一項に記載の光学装置において、
    前記第1の光分離部は、前記第2波長の光を選択的に反射するコレステリック液晶層を有すること
    を特徴とする光学装置。
  8. 請求項1から7までのいずれか一項に記載の光学装置において、
    前記第1の光反射透過部の光入射面側に配置され、前記第1波長の光を透過するとともに前記第2波長の光を反射して前記入射光を分離する第2の光分離部と、
    前記第1の光分離部を介して前記第2の光分離部の光入射面側に配置され、前記第2の光分離部で反射した前記第2波長の光を反射する光反射部と
    をさらに有することを特徴とする光学装置。
  9. 請求項8記載の光学装置において、
    前記第2の光分離部の前記光入射面は、前記第1の光分離部の前記光入射面に対してほぼ直交して配置されており、
    前記光反射部の光入射面は、前記第2の光分離部の前記光入射面に対してほぼ平行に配置されていること
    を特徴とする光学装置。
  10. 請求項1から9までのいずれか一項に記載の光学装置において、
    前記第1の光反射透過部の光射出面側に配置され、前記第1波長の光を散乱する第1の光散乱部と、
    前記第2の光反射透過部の光射出面側に配置され、前記第2波長の光を散乱する第2の光散乱部と
    をさらに有することを特徴とする光学装置。
  11. 請求項10記載の光学装置において、
    前記第1及び/又は第2の光散乱部は、高分子分散型液晶層を有すること
    を特徴とする光学装置。
  12. 請求項1から11までのいずれか一項に記載の光学装置において、
    前記第2の光反射透過部を透過した前記第2波長の光の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子をさらに有すること
    を特徴とする光学装置。
  13. 請求項1から12までのいずれか一項に記載の光学装置において、
    前記第1の光分離部の光入射面側に回転自在に配置され、前記入射光を反射する入射光反射部をさらに有すること
    を特徴とする光学装置。
  14. 太陽光線を採光する採光部と、前記採光部が射出した光を導光する導光部と、前記導光部が導光した光を室内空間に放光する放光部とを備えた光ダクトシステムにおいて、
    前記採光部は、請求項1から13までのいずれか一項に記載の光学装置が用いられていること
    を特徴とする光ダクトシステム。
  15. 請求項14記載の光ダクトシステムにおいて、
    前記導光部は、前記第1の光反射透過部を透過した前記第1波長の光と、前記第2の光反射透過部を透過した前記第2波長の光とを反射する反射膜を内壁面に有すること
    を特徴とする光ダクトシステム。
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