JP2013116866A - 血液がん治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、リンパ芽球性リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、成人T細胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などの中高悪性度の血液がんをはじめとする血液がんの新たな予防、改善または治療用薬剤を提供することにある。
【解決手段】抗CD81抗体が、急性リンパ性白血病患者由来の癌細胞株やバーキットリンパ腫患者由来の癌細胞株に対して、補体依存性細胞障害活性により殺作用効果を示したことから、抗CD81抗体を有効成分とする薬剤は、血液がんの予防、改善、治療用薬剤として有効である。
【選択図】なし

Description

本発明は抗CD81抗体を有効成分とする血液がんの予防、改善または治療薬に関する。
血液がんはWHO分類で、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群に分類される。さらに白血病は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病に分類されている。悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類されている。
急性骨髄性白血病は、成人の白血病で最も多いタイプである。急性リンパ性白血病は、子どもに多いが、大人でもある一定の割合で発生する。慢性骨髄性白血病は近年目覚しく治療成績が改善された疾患である。慢性リンパ性白血病は欧米で多いタイプの白血病であるが、日本人では少ない。悪性リンパ腫のうち非ホジキンリンパ腫には、成人T細胞リンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫やバーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、MALT(Mucosa-Associated Lymphoid Tissue)リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫などが含まれる。MALTリンパ腫や濾胞性リンパ腫は進行が遅くて何年もの間あまり進行しない悪性度の低い腫瘍である。これに対して、バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫や成人T細胞型リンパ腫は週単位で悪化していく極めて悪性度の高い腫瘍である。その中間にあたるのが、末梢性T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫やマントル細胞リンパ腫である。これらの腫瘍は、月単位で進行していく。多発性骨髄腫は、リンパ球中のB細胞が成熟して、免疫グロブリンを産生する形質細胞の段階の腫瘍である。骨髄異形成症候群は、骨髄幹細胞の形と機能の異常を伴う病気の総称である。
血液がんの治療は、化学療法、放射線療法、分子標的治療、造血肝細胞移植を併用した大量化学療法がある。小児急性リンパ性白血病は80%の長期生存が得られているが、成人の急性リンパ性白血病は60-80%は完全寛解するものの、長期生存率は15-35%と低い。慢性リンパ性白血病は、グリベック(メシル酸イマチニブ)の登場により治療成績が向上してきている。ホジキンリンパ腫や低中悪性度の非ホジキンリンパ腫で治療成績の向上が認められている。一方で、成人T細胞型リンパ腫では種々の療法でも治療成績が向上せず、生存期間中央値は1年間程度である(非特許文献1)。リンパ芽球性リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫の中でも悪性度の高いリンパ腫に分類される疾患群である。バーキットリンパ腫は、短期大量化学療法で予後が改善されてきており、2年生存率は約70%程度以上と治療成績の向上が認められるが(非特許文献2、3)、3年生存率は49%と治療成績の更なる改善が望まれている(非特許文献4)。また、びまん性大細胞型リンパ腫では若年者進行期の低リスク症例においては、抗CD20抗体(リツキシマブ)とCHOP療法(シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)の併用療法で治療成績が向上し標準治療となってきているが、若年者進行期の高リスク症例では、CHOP療法を上回る治療法はない状況である。多発性骨髄腫の治療としては、抗がん剤がある程度の効果を示すものの、白血病やリンパ腫ほどには効果を示さない悪性度の高い病気である。骨髄異形成症候群の5〜10年生存率は、30-40%程度である。今後、さらに治療効果の改善が期待される血液がんとしては、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、リンパ芽球性リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、成人T細胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などがある。
このように中高悪性度の血液がんでは、治療効果に満足できる治療法や治療薬がなく、新規な治療法・治療薬が望まれている。
CD81は、広範な細胞に発現している26kDaの膜表面タンパク質である。B細胞上ではCD21、CD19、Leu13と複合体を形成してB細胞活性化の閾値を下げる作用がある。またT細胞上ではCD4、CD8と会合し細胞内に刺激情報を伝達する。これらのことからCD81は、異種抗原に対する免疫応答に重要な働きをしていると考えられる。また、各種インテグリン類と生理的かつ機能的に関与しており、B細胞上のVLA-4(α4β1インテグリン)や、胸腺細胞上のLFA-1(αLβ2インテグリン)を活性化させる。
CD81と関連のある疾患としては、C型肝炎が知られている(非特許文献5)。また、抗CD81抗体が炎症性腸疾患の治療に有用であることが報告されている(特許文献1)。
国際公開第2005/021792号パンフレット
医学のあゆみ 212巻No.5 p461-466, 2005 Magrath, I. et al. J. Clin. Oncol., 14: 925-943, 1996 Mead, G. M. et al. Ann. Oncol., 13: 1264-1274, 2002 Thomas, D. A. et al. J. Clin. Oncol., 17: 2461-2470, 1999 Pileri, P. et al. Science, 282: 938-941, 1998
中高悪性度の血液がんでは、治療効果に満足できる治療法や治療薬がなく、新規な治療法・治療薬が望まれている。従って、本発明の課題は、血液がんの予防、改善または治療用薬剤を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行っていたところ、従来は血液がんに対する治療薬としてのポテンシャルが明らかではなかった抗CD81抗体が、治療効果が不足している血液がんである、急性リンパ性白血病患者由来の癌細胞株とバーキットリンパ腫患者由来の癌細胞株に対して、補体依存性細胞障害活性により殺作用効果を示すことを見出した。今まで、抗CD81抗体が癌細胞に対する殺作用を示す知見は知られていなかった。以上のように、本発明者らは、抗CD81抗体の血液がん患者由来の癌細胞に対する殺作用を明らかにし、抗CD81抗体が血液がんの予防、改善または治療剤として有用であるとの知見を得た。本発明はかかる知見を基礎にして完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、
[1]抗CD81抗体を有効成分とする血液がんの予防、改善または治療剤、
[2]血液がんが中高悪性度の血液がんである[1]に記載の予防、改善または治療剤、
[3]血液がんが白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫および骨髄異形成症候群からなる群より選ばれる[1]または[2]に記載の予防、改善または治療剤、
[4]白血病が急性骨髄性白血病または急性リンパ性白血病である[3]に記載の予防、改善または治療剤、
[5]悪性リンパ腫が非ホジキンリンパ腫である[3]に記載の予防、改善または治療剤、
[6]非ホジキンリンパ腫が成人T細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選ばれる[5]に記載の予防、改善または治療剤、
[7]抗CD81抗体が哺乳類のCD81に対する抗体である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の予防、改善または治療剤、
[8]抗CD81抗体がモノクローナル抗体である[1]〜[7]のいずれか1項に記載の予防、改善または治療剤、
を提供する。
抗CD81抗体を有効成分とする薬剤は、血液がんの予防、改善または治療用薬剤として利用することができる。
本発明は、抗CD81抗体を有効成分として含有する血液がんの予防、改善または治療用薬剤を提供する。
以下、本明細書において、アミノ酸、(ポリ)ペプチド、(ポリ)ヌクレオチドなどの略号による表示は、IUPAC−IUBの規定〔IUPAC-IUB Communication on Biological Nomenclature, Eur. J. Biochem., 138: 9 (1984)〕、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(日本国特許庁編)、および当該分野における慣用記号に従う。
本明細書において「遺伝子」または「DNA」とは、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖といった各1本鎖DNAを包含する趣旨で用いられる。またその長さによって特に制限されるものではない。従って、本明細書において遺伝子(DNA)とは、特に言及しない限り、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNAおよびcDNAを含む1本鎖DNA(正鎖)並びに該正鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(相補鎖)、およびこれらの断片のいずれもが含まれる。また当該「遺伝子」または「DNA」には、特定の塩基配列(配列番号:1)で示される「遺伝子」または「DNA」だけでなく、これらによりコードされるタンパク質と生物学的機能が同等であるタンパク質(例えば同族体(ホモログやスプライスバリアントなど)、変異体及び誘導体)をコードする「遺伝子」または「DNA」が包含される。
例えばヒト由来のタンパク質のホモログをコードする遺伝子としては、当該タンパク質をコードするヒト遺伝子に対応するマウスやラットなど他生物種の遺伝子が例示でき、これらの遺伝子(ホモログ)は、HomoloGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/HomoloGene/)により同定することができる。具体的には、特定ヒト塩基配列をBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877, 1993、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)にかけて一致する(Scoreが最も高く、E-valueが0でかつIdentityが100%を示す)配列のアクセッション番号を取得する。そのアクセッション番号をUniGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/)に入力して得られたUniGene Cluster ID(Hs.で示す番号)をHomoloGeneに入力する。結果として得られた他生物種遺伝子とヒト遺伝子との遺伝子ホモログの相関を示したリストから、特定の塩基配列で示されるヒト遺伝子に対応する遺伝子(ホモログ)としてマウスやラットなど他生物種の遺伝子を選抜することができる。
なお、遺伝子またはDNAは、機能領域の別を問うものではなく、例えば発現制御領域、コード領域、エキソン、またはイントロンを含むことができる。
本明細書において「CD81遺伝子」または「CD81のDNA」といった用語を用いる場合も、特に言及しない限り、特定塩基配列(配列番号1)で示されるヒトCD81遺伝子(DNA)や、その同族体、変異体及び誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する趣旨で用いられる。具体的には、配列番号:1に記載のヒトCD81遺伝子(NCBIデータベースAccession No. NM_004356)や、そのマウスホモログおよびラットホモログなどが包含される。
本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、RNAおよびDNAのいずれもを包含する趣旨で用いられる。なお、上記DNAには、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAのいずれもが含まれる。また上記RNAには、total RNA、mRNA、rRNA、及び合成のRNAのいずれもが含まれる。
本明細書において「タンパク質」または「(ポリ)ペプチド」には、特定のアミノ酸配列(配列番号:2)で示される「タンパク質」または「(ポリ)ペプチド」だけでなく、これらと生物学的機能が同等であることを限度として、その同族体(ホモログやスプライスバリアント)、変異体、誘導体、成熟体及びアミノ酸修飾体などが包含される。ここでホモログとしては、ヒトのタンパク質に対応するマウスやラットなど他生物種のタンパク質が例示でき、これらはHomoloGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/HomoloGene/)により同定された遺伝子の塩基配列から演繹的に同定することができる。また変異体には、天然に存在するアレル変異体、天然に存在しない変異体、及び人為的に欠失、置換、付加または挿入されることによって改変されたアミノ酸配列を有する変異体が包含される。なお、上記変異体としては、変異のないタンパク質または(ポリ)ペプチドと、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは97%相同なものを挙げることができる。またアミノ酸修飾体には、天然に存在するアミノ酸修飾体、天然に存在しないアミノ酸修飾体が包含され、具体的にはアミノ酸のリン酸化体が挙げられる。
本明細書において「CD81タンパク質」または単に「CD81」といった用語を用いる場合、特に言及しない限り、特定アミノ酸配列(配列番号2)で示されるヒトCD81やその同族体、変異体、誘導体、成熟体及びアミノ酸修飾体などを包含する趣旨で用いられる。具体的には、配列番号:2(NCBIデータベースAccession No. NP_004347)に記載のアミノ酸配列を有するヒトCD81や、そのマウスホモログおよびラットホモログなどが包含される。
本明細書でいう「抗体」には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、 などのように抗原結合性を有する上記抗体の一部が包含される。
本明細書において「抗CD81抗体」とは、CD81を特異的に認識する抗体であればよく、具体的には、CD81遺伝子の発現産物(タンパク質)(これを本明細書においては「CD81」ともいう)を特異的に認識することのできる抗体であればよい。抗CD81抗体は、例えば、R&Dシステムズ社、BD Bioscience社等から購入することが可能である。
本明細書において「血液がん」とは、病態から、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異型性症候群を含む疾患である。白血病には、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病に分類されるが、これらに限定されない。悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類され、非ホジキンリンパ腫には、成人T細胞リンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫やバーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫など様々なリンパ腫があるが、これらに限定されない。「悪性度が高い」とは、病態の進行が早く、週単位で悪化していく腫瘍を表し、「悪性度が低い」とは、病態の進行が遅くて何年もの間あまり進行しない腫瘍を表す。また、病態の進行がそれらの中間で、月単位で悪化していく腫瘍の悪性度は中程度である。悪性度が低いものを除き、悪性度が中程度以上の血液がんを中高悪性度の血液がんと表し、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、成人T細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異型性症候群などを含む。
血液がんの改善・治療剤
本発明は血液がんの予防、改善または治療に有効である抗CD81抗体を提供する。本発明で使用される抗CD81抗体は、血液がんの予防、改善または治療効果を示すものであればよく、何ら限定はされない。
本発明で使用される抗CD81抗体は、公知の手段を用いてポリクローナル又はモノクローナル抗体として得ることができる。本発明で使用される抗CD81抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体としては、ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるものがある。この抗体はCD81と結合することにより、CD81発現細胞の除去をする。
抗CD81抗体産生ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、CD81を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。
具体的には、抗CD81抗体を作製するには次のようにすればよい。例えば、抗体取得の感作抗原として使用されるヒトCD81は、公知の方法によって得られる。
CD81の遺伝子配列を公知の発現ベクター系に挿入して適当な宿主細胞を形質転換させた後、その宿主細胞表面のCD81を感作抗原として用いればよい。また、CD81発現細胞、例えば全てのリンパ系細胞を感作抗原として用いてもよい。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター等が使用される。
感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内又は、皮下に注射することにより行われる。具体的には、感作抗原をPBSや生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものを所望により通常のアジュバント、例えば、フロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4−21日毎に数回投与するのが好ましい。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することができる。
このように免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞が取り出され、細胞融合に付される。細胞融合に付される好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞としての哺乳動物のミエローマ細胞は、すでに、公知の種々の細胞株、例えば、P3X63Ag8.653 (Kearney, J.F. et al. J. Immunol. (1979) 123, 1548-1550)、P3X63Ag8U.1 (Current Topics in Microbiology and Immunology (1978) 81, 1-7)、NS-1 (Kohler, G. and Milstein, C. Eur. J. Immunol. (1976) 6, 511-519)、MPC-11 (Margulies, D.H. et al., Cell (1976) 8, 405-415)、SP2/0 (Shulman, M. et al., Nature (1978) 276, 269-270)、F0 (de St. Groth, S.F. et al., J. Immunol. Methods (1980) 35, 1-21)、S194 (Trowbridge, I.S. J. Exp. Med. (1978) 148, 313-323)、R210 (Galfre, G. et al., Nature (1979) 277, 131-133)等が適宜使用される。
前記免疫細胞とミエローマ細胞の細胞融合は基本的には公知の方法、たとえば、ミルステインらの方法(Kohler, G. and Milstein, C., Methods Enzymol. (1981) 73, 3-46)等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は例えば、細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等が使用され、更に所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は、例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1−10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め、37℃程度に加温したPEG溶液、例えば、平均分子量1000-6000程度のPEG溶液を通常、30−60%(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)が形成される。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去できる。
当該ハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えば、HAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。当該HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、通常数日〜数週間継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよびクローニングが行われる。
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原蛋白質又は抗原発現細胞で感作し、感作Bリンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、所望の抗原又は抗原発現細胞への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1−59878参照)。さらに、ヒト抗体遺伝子のレパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原又は抗原発現細胞を投与し、前述の方法に従い所望のヒト抗体を取得してもよい(国際特許出願公開番号WO 93/12227、WO 92/03918、WO 94/02602、WO 94/25585、WO 96/34096、WO 96/33735参照)。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法にしたがい培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
本発明には、モノクローナル抗体として、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型抗体を用いることができる(例えば、Borrebaeck, C.A.K. and Larrick, J.W. THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES, Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD, 1990参照)。
具体的には、目的とする抗体を産生する細胞、例えばハイブリドーマから、抗体の可変(V)領域をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin, J.M. et al., Biochemistry (1979) 18, 5294-5299)、AGPC法(Chomczynski, P. et al., Anal. Biochem. (1987) 162, 156-159)等により全RNAを調製し、mRNA Purification Kit(Pharmacia製)等を使用してmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia製)を用いることによりmRNAを直接調製することができる。
得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit等を用いて行うことができる。また、cDNAの合成および増幅を行うには5’-Ampli FINDER RACE Kit(Clontech製)およびPCRを用いた5’−RACE法(Frohman, M.A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1988) 85, 8998-9002、Belyavsky, A. et al., Nucleic Acids Res. (1989) 17, 2919-2932)を使用することができる。得られたPCR産物から目的とするDNA断片を精製し、ベクターDNAと連結する。さらに、これより組換えベクターを作成し、大腸菌等に導入してコロニーを選択して所望の組換えベクターを調製する。目的とするDNAの塩基配列を公知の方法、例えば、デオキシ法により確認する。
目的とする抗体のV領域をコードするDNAが得られれば、これを所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターへ組み込む。又は、抗体のV領域をコードするDNAを、抗体C領域のDNAを含む発現ベクターへ組み込んでもよい。
本発明で使用される抗体を製造するには、後述のように抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させることができる。
本発明では、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ抗体、ヒト型化抗体を使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ抗体は、前記のようにして得た抗体V領域をコードするDNAをヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 125023、国際特許出願公開番号WO 92-19759参照)。この既知の方法を用いて、本発明に有用なキメラ抗体を得ることができる。
ヒト型化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(欧州特許出願公開番号EP 125023、国際特許出願公開番号WO 92-19759参照)。
具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(FR;framework region)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAとヒト抗体C領域をコードするDNAとを連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 239400、国際特許出願公開番号WO 92-19759参照)。
CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するように選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato, K. et al., Cancer Res. (1993) 53, 851-856)。
キメラ抗体、ヒト型化抗体には、ヒト抗体C領域が使用される。ヒト抗体C領域としては、Cγが挙げられ、例えば、Cγ1、Cγ2、Cγ3又はCγ4を、好ましくはCγ1又はCγ3を、より好ましくはCγ1を使用することができる。また、抗体又はその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体C領域を修飾してもよい。
キメラ抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来のC領域からなり、ヒト型化抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域とヒト抗体由来のフレームワーク領域およびC領域からなり、ヒト体内における抗原性が低下しているため、本発明に使用される抗体として有用である。
前記のように構築した抗体遺伝子は、公知の方法により発現させ、取得することができる。哺乳類細胞の場合、常用される有用なプロモーター、発現される抗体遺伝子、その3’側下流にポリAシグナルを機能的に結合させたDNAあるいはそれを含むベクターにより発現させることができる。例えばプロモーター/エンハンサーとしては、ヒトサイトメガロウイルス前期プロモーター/エンハンサー(human cytomegalovirus immediate early promoter/enhancer)を挙げることができる。
また、その他に本発明で使用される抗体発現に使用できるプロモーター/エンハンサーとして、レトロウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、シミアンウイルス40(SV40)等のウイルスプロモーター/エンハンサーやヒトエロンゲーションファクター1α(HEF1α)などの哺乳類細胞由来のプロモーター/エンハンサーを用いればよい。
例えば、SV40プロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mulliganらの方法(Mulligan, R.C. et al., Nature (1979) 277, 108-114)、また、HEF1αプロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mizushimaらの方法(Mizushima, S. and Nagata, S. Nucleic Acids Res. (1990) 18, 5322)に従えば容易に実施することができる。
大腸菌の場合、常用される有用なプロモーター、抗体分泌のためのシグナル配列、発現させる抗体遺伝子を機能的に結合させて発現させることができる。例えばプロモーターとしては、lacZプロモーター、araBプロモーターを挙げることができる。lacZプロモーターを使用する場合、Wardらの方法(Ward, E.S. et al., Nature (1989) 341, 544-546、Ward, E.S. et al. FASEB J. (1992) 6, 2422-2427)、araBプロモーターを使用する場合、Betterらの方法(Better, M.et al. Science (1988) 240, 1041-1043)に従えばよい。
抗体分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル配列(Lei, S.P. et al J. Bacteriol. (1987) 169, 4379-4383)を使用すればよい。ペリプラズムに産生された抗体を分離した後、抗体の構造を適切にリフォールド(refold)して使用する(例えば、WO96/30394を参照)。
複製起源としては、SV40、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス(BPV)等の由来のものを用いることができ、さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは選択マーカーとして、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
本発明で使用される抗体の製造のために、任意の産生系を使用することができる。抗体製造のための産生系は、in vitroおよびin vivoの産生系がある。in vitroの産生系としては、真核細胞を使用する産生系や原核細胞を使用する産生系が挙げられる。
真核細胞を使用する場合、動物細胞、植物細胞、又は真菌細胞を用いる産生系がある。動物細胞としては、(1)哺乳類細胞、例えば、CHO、COS、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、HeLa、Veroなど、(2)両生類細胞、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、あるいは(3)昆虫細胞、例えば、sf9、sf21、Tn5などが知られている。植物細胞としては、ニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌、例えばアスペルギルス属(Aspergillus)属、例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)などが知られている。
原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E.coli)、枯草菌が知られている。
これらの細胞に、目的とする抗体遺伝子を形質転換により導入し、形質転換された細胞をin vitroで培養することにより抗体が得られる。培養は、公知の方法に従い行う。例えば、培養液として、DMEM、MEM、RPMI1640、IMDMを使用することができ、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。また、抗体遺伝子を導入した細胞を動物の腹腔等へ移すことにより、in vivoにて抗体を産生してもよい。
一方、in vivoの産生系としては、動物を使用する産生系や植物を使用する産生系が挙げられる。動物を使用する場合、哺乳類動物、昆虫を用いる産生系などがある。
哺乳類動物としては、ヤギ、ブタ、ヒツジ、マウス、ウシなどを用いることができる(Vicki Glaser, SPECTRUM Biotechnology Applications, 1993)。また、昆虫としては、カイコを用いることができる。植物を使用する場合、例えばタバコを用いることができる。
これらの動物又は植物に抗体遺伝子を導入し、動物又は植物の体内で抗体を産生させ、回収する。例えば、抗体遺伝子をヤギβカゼインのような乳汁中に固有に産生される蛋白質をコードする遺伝子の途中に挿入して融合遺伝子として調製する。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ導入する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ又はその子孫が産生する乳汁から所望の抗体を得る。トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに使用してもよい。(Ebert, K.M. et al., Bio/Technology (1994) 12, 699-702)。
また、カイコを用いる場合、目的の抗体遺伝子を挿入したバキュロウイルスをカイコに感染させ、このカイコの体液より所望の抗体を得る(Maeda, S. et al., Nature (1985) 315, 592-594)。さらに、タバコを用いる場合、目的の抗体遺伝子を植物発現用ベクター、例えばpMON 530に挿入し、このベクターをAgrobacterium tumefaciensのようなバクテリアに導入する。このバクテリアをタバコ、例えばNicotiana tabacumに感染させ、本タバコの葉より所望の抗体を得る(Julian, K.-C. Ma et al., Eur. J. Immunol. (1994) 24, 131-138)。
上述のようにin vitro又はin vivoの産生系にて抗体を産生する場合、抗体重鎖(H鎖)又は軽鎖(L鎖)をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主を同時形質転換させてもよいし、あるいはH鎖およびL鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで、宿主を形質転換させてもよい(国際特許出願公開番号WO 94-11523参照)。
抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。本願特許請求の範囲でいう「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。これらの方法はこの分野においてすでに確立されている。
前記のように産生、発現された抗体は、細胞内外、宿主から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製はアフィニティークロマトグラフィーにより行うことができる。アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えば、プロテインAカラム、プロテインGカラムが挙げられる。プロテインAカラムに用いる担体として、例えば、Hyper D、POROS、Sepharose F.F.等が挙げられる。その他、通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。
例えば、上記アフィニティークロマトグラフィー以外のクロマトグラフィー、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせれば、本発明で使用される抗体を分離、精製することができる。クロマトグラフィーとしては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過等が挙げられる。これらのクロマトグラフィーはHPLC(High performance liquid chromatography)に適用し得る。また、逆相HPLCを用いてもよい。
上記で得られた抗体の濃度測定は吸光度の測定又はELISA等により行うことができる。すなわち、吸光度の測定による場合には、PBS(−)で適当に希釈した後、280nmの吸光度を測定し、1mg/mlを1.35 ODとして算出する。また、ELISAによる場合は以下のように測定することができる。すなわち、0.1M重炭酸緩衝液(pH9.6)で1μg/mlに希釈したヤギ抗ヒトIgG(TAGO製)100μlを96穴プレート(Nunc製)に加え、4℃で一晩インキュベーションし、抗体を固相化する。ブロッキングの後、適宜希釈した本発明で使用される抗体又は抗体を含むサンプル、あるいは標品としてヒトIgG(CAPPEL製)100μlを添加し、室温にて1時間インキュベーションする。洗浄後、5000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgG(BIO SOURCE製)100μlを加え、室温にて1時間インキュベートする。洗浄後、基質溶液を加えインキュベーションの後、MICROPLATE READER Model 3550(Bio-Rad製)を用いて405nmでの吸光度を測定し、目的の抗体の濃度を算出する。
抗CD81抗体を有効成分として含有する薬剤自体は、公知の製剤学的方法により製剤化した薬剤として投与を行う。例えば、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で使用できる。また、例えば、薬理学上許容される担体もしくは媒体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、ベヒクル、防腐剤などと適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノール、ポリアルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80TM、HCO−50と併用してもよい。
油性液としてはゴマ油、大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールと併用してもよい。また、緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、無痛化剤、例えば、塩酸プロカイン、安定剤、例えばベンジルアルコール、フェノール、酸化防止剤と配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填させる。
本発明の抗体を有効成分として含有する薬剤は、経口、非経口投与のいずれでも可能であるが、好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型などが挙げられる。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などにより全身又は局部的に投与することができる。
また、患者の年齢、症状により適宜投与量を選択することができる。例えば、一回につき体重1kgあたり0.0001mg〜1000mgの範囲で選ぶことが可能である。あるいは、例えば、患者あたり0.001〜100000mg/bodyの範囲で投与量を選ぶことができる。しかしながら、本発明の治療薬はこれらの投与量に制限されるものではない。
本発明は、血液がんに限定されず、CD81を発現しているがん細胞であれば、いかなる種類のがん細胞にも適用することができる。すなわち、抗CD81抗体を有効成分とする薬剤は、CD81を発現しているがん細胞によるがんの治療剤として有効である。CD81を発現しているがん細胞として悪性メラノーマ、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、精巣癌、肝臓癌などのがん細胞が知られていることから、抗CD81抗体を有効成分とする薬剤は、悪性メラノーマ、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、精巣癌、肝臓癌などの治療剤としても有効である。
以下において、実施例により本発明をより具体的にするが、この発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 抗CD81抗体の癌細胞に対する結合作用
(1)細胞の準備
ヒト急性リンパ性白血病患者由来Jurkat E6.1 細胞(Cat No.88042803)とヒトバーキットリンパ腫患者由来Ramos(RA1)細胞(Cat No.EC85030802)は、ECACC社より購入して実験に使用した。各々の細胞は遠心(4,000rpm、3分、4℃)し回収後、FACS染色buffer (0.09%アジ化ナトリウム、1%胎児牛血清(Hyclone社製)含有リン酸buffer) に懸濁した。トリパンブルー(GIBCO社製)で生細胞数を計測し、細胞106個/100μLをエッペンドルフチューブに入れた。
(2)細胞の染色
(1)によって調製した細胞に対して表1記載の濃度でマウス抗ヒトCD81抗体(クローン454720, R&D, Cat. No. MAB4615)またはコントロール抗体(マウスIgG2b, BECKMAN COULTER, Cat. No. 731597)を添加し、4℃、20分間インキュベーションした。FACS染色bufferにて細胞を洗浄後、PE(フィコエリトリン)標識抗マウスIg抗体(Beckman Coulter社製、Cat. No. 731764)を1μg/細胞106個の濃度で細胞に添加し、4℃、20分間インキュベーションした。2回FACS染色bufferで洗浄した後に上清を捨て、遠心分離(4,000rpm、3分、4℃)で沈殿した細胞に、BD Cytefix/Cytepermバッファー(BD Biosciences社製)50μLを添加後、室温、20分間インキュベーションし固定した。固定した細胞懸濁液を遠心分離(4,000rpm、3分、4℃)した後に上清を除き、細胞をリン酸バッファー(nacalai社製)に置換後にFACS Calibur(BD Biosciences社製)で解析した。
(3)細胞結合解析
FACS Calibur(BD Biosciences社製)で解析した結果を表1に示す。表中の数値はFACS CaliburのFL2におけるGeo.Meanの値を示している。その結果、Jurkat細胞、Ramos細胞に対する抗ヒトCD81抗体の結合が確認された。
Figure 2013116866
実施例2 抗CD81抗体の癌細胞に対する殺作用効果(CDC:補体依存性細胞障害活性)
Jurkat E6.1 細胞と Ramos (RA1)細胞を遠心(4,000rpm 3分、4℃)し回収後、CDC assay buffer (20 mM Hepes、0.1%牛血清アルブミン含有RPMI1640培地) に懸濁した。トリパンブルー (GIBCO社製) で生細胞数を計測し、細胞密度が106個/mLになるように細胞をCDC assay bufferで懸濁した。懸濁した細胞を96穴細胞培養用プレートに50 μLずつ分注し、表2に記載した濃度のマウス抗ヒトCD81抗体(クローン454720, R&D, Cat. No. MAB4615)ならびにコントロール抗体(マウスIgG2b, BECKMAN COULTER, Cat. No. 731597)を50 μLずつ加えて37℃、30分間インキュベーションした。乾燥ウサギ補体(CEDARRLANE)を滅菌した蒸留水で戻し、CDC assay bufferで10倍希釈した後、各ウェルに50 μLずつ加えてさらに2時間、37℃でインキュベーションした。培養上清100 μLをLDH測定キット(Roche, Cat. No. 744934001)の反応液100 μLと混合し、室温で30分反応後、プレートリーダーで490 nmの吸光度を測定した。CDC活性は、Triton X-100処理で完全に細胞を死滅させたときのLDH活性値との比率(%)で算出した。その結果、Jurkat細胞、Ramos細胞に対するCD81抗体の補体依存性細胞障害活性が確認された。
Figure 2013116866
本発明によって、抗CD81抗体が血液がんの治療に有効であることが明らかとなった。抗CD81抗体を有効成分とする薬剤は、血液がん患者に該疾患の治療剤として利用することができる。

Claims (8)

  1. 抗CD81抗体を有効成分とする血液がんの予防、改善または治療剤
  2. 血液がんが中高悪性度の血液がんである請求項1に記載の予防、改善または治療剤
  3. 血液がんが白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫および骨髄異形成症候群からなる群より選ばれる請求項1または請求項2に記載の予防、改善または治療剤
  4. 白血病が急性骨髄性白血病または急性リンパ性白血病である請求項3に記載の予防、改善または治療剤
  5. 悪性リンパ腫が非ホジキンリンパ腫である請求項3に記載の予防、改善または治療剤
  6. 非ホジキンリンパ腫が成人T細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選ばれる請求項5に記載の予防、改善または治療剤
  7. 抗CD81抗体が哺乳類のCD81に対する抗体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の予防、改善または治療剤
  8. 抗CD81抗体がモノクローナル抗体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の予防、改善または治療剤
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016189118A1 (en) * 2015-05-28 2016-12-01 INSERM (Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale) Methods of prognosis and treatment of patients suffering from acute myeloid leukemia

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