JP2013115119A - 化合物太陽電池セルおよびその製法ならびにそれを用いた化合物太陽電池モジュールおよびその製法 - Google Patents

化合物太陽電池セルおよびその製法ならびにそれを用いた化合物太陽電池モジュールおよびその製法 Download PDF

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Seiki Terachi
誠喜 寺地
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Abstract

【課題】高い変換効率を有する低コストの化合物太陽電池セルおよびその製法、ならびにこれを複数組み合わせてなる化合物太陽モジュールおよびその製法を提供する。
【解決手段】導電性を有する長尺基材1の一方の面に、裏面電極層2と、CIGS光吸収層3と、酸化物半導体からなるバッファ層4と、導電性酸化物からなる表面電極層5とを形成し、上記長尺基材1の他方の面の長手方向に沿う両側縁部に、導電性を有する金属層パターン6を形成するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、化合物太陽電池セルおよびその製法ならびにそれを用いた化合物太陽電池モジュールおよびその製法に関するものである。
アモルファスシリコン太陽電池や化合物太陽電池に代表される薄膜型太陽電池は、従来から汎用されている結晶型シリコン太陽電池と比較すると、材料コストや製造コストの大幅な削減が可能であるだけでなく、優れた太陽光変換効率(以下「変換効率」とする)を有する。このため、近年、これらの研究開発が急速に進められている。なかでも、化合物太陽電池はシリコンを用いずに製造できるため、特に注目されている。
このような化合物太陽電池としては、III−V族化合物太陽電池、CdTe太陽電池、CIGS太陽電池等がある。以下、光吸収層が銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)合金からなるCIGS太陽電池を例にあげて説明する。なお、CIGS太陽電池は、優れた太陽光変換効率を有し、非真空プロセスでも製造できるという特徴を有している。
図5は、CIGS太陽電池セルの一般的な構造を示している。すなわち、このCIGS太陽電池セルは、ソーダ石灰ガラス(SLG)やステンレス(SUS)等の耐熱性を有する基材1上に、モリブデン(Mo)等からなる裏面電極層2と、CIGS光吸収層(化合物半導体層)3と、n型のバッファ層4と、表面電極層5とを備えた多層積層構造で構成されている。
このようなCIGS太陽電池セルは、例えば、以下に示す工程を経由して製造することができる。すなわち、まず、洗浄等の前処理を行った基材1上に、所定のスパッタ装置を用い、スパッタリングにより裏面電極層2を形成する。そして、この裏面電極層2の上に、CIGS光吸収層3を形成する。なお、CIGS光吸収層3の形成には、セレン化法、非真空プロセス(ナノ粒子)法、真空蒸着法と呼ばれる複数の形成方法が存在しており、これらを適宜に選択し、真空下・非真空下において実施する。つぎに、裏面電極層2およびCIGS光吸収層3が形成された基材1を溶液成長槽に移し、スパッタ法もしくは浸漬浴堆積法(CBD法)等を用いて、硫化カドミウム(CdS)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化インジウム(InS)等からなる層を成膜し、n型のバッファ層4を形成する。そして、最後にスパッタ法を用いてインジウム・スズ酸化物(ITO)、アルミニウム・亜鉛酸化物(AZO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等からなる表面電極層5を形成することにより、CIGS太陽電池セルが完成される。
ここで、上記CIGS光吸収層3の形成方法のうち、真空蒸着法は、Cu,In,Ga,Seをそれぞれ別の蒸着源にて加熱し、蒸着により成膜する手法であり、各元素の吐出量を制御しながら成膜するため、各元素を厚み方向に最適な組成とすることができる。このため、真空蒸着法により成膜したCIGS光吸収層3を有するCIGS太陽電池は、高い変換効率を示すことが知られている。
しかしながら、上記真空蒸着法では、基材1として大面積のものを用いると、蒸着による成膜が不均一となり、得られるCIGS光吸収層3において、各元素の組成むら等に起因する電気的特性の低下が起こり、その歩留まりが低下するという問題が生じる。このため、基材1として、大面積ではなく、長さ方向に延びる長尺状のものを用い、これにCIGS光吸収層3を成膜して、低コストかつ高品質なCIGS太陽電池セルを製造し、複数のCIGS太陽電池セルを組み合わせて電気的に接続することで、大面積のCIGS太陽電池モジュールを製造することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
また、生産性向上を目的として、このような長尺状の基材1を用い、基材1の巻き取りと巻き出し機能を具備する連続装置(図3参照)においてCIGS光吸収層3の成膜等を行うロールトゥロールプロセスの研究開発も進められている(同特許文献1参照)。
特開2011−176148号公報
しかし、このような連続装置を用いるロールトゥロールプロセスでは、図3に示すように、基材1の搬送工程の途中に存在するアイドリングロール7に基材1が接触するため、基材1に傷が生じる、基材1に堆積物が付着する、という問題が発生する。基材1に傷が生じたり、堆積物が付着したり等すると、表面電極層5まで形成された基材1を巻き取りロール8で巻き取る際に、傷や堆積物等のある基材1が、上記表面電極層5に重ねられて巻き取られるため、上記表面電極層5に擦り傷等が発生し、得られるCIGS太陽電池セルに欠陥(非発電領域)が生じるという問題が少なからず発生している。
本発明は、上記の課題に鑑み、CIGS太陽電池セルに代表される化合物太陽電池セルを、ロールトゥロールプロセスによって製造する際、層形成された基材1の巻き取り時に、基材1と表面電極層5との接触が抑制されるとともに、上記化合物太陽電池セルを複数組み合わせて化合物太陽電池モジュールを得る際に、各化合物太陽電池セルの電気的接続を効率よく行うことのできる化合物太陽電池セルおよびその製法ならびに化合物太陽電池セルを複数組み合わせてなる化合物太陽電池モジュールおよびその製法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、導電性を有する長尺基材の一方の面に、裏面電極層と、化合物半導体層と、酸化物半導体からなるバッファ層と、導電性酸化物からなる表面電極層とが形成され、上記長尺基材の他方の面の長手方向に沿う両側縁部に、導電性を有する金属層パターンが形成されている化合物太陽電池セルを第1の要旨とする。
また、本発明は、第1の要旨の化合物太陽電池セルの製法であって、下記の(a)〜(f)の工程を経由し、少なくとも(d)〜(f)の工程が連続して行われる化合物太陽電池セルの製法を第2の要旨とする。
(a)導電性を有する長尺基材を準備する工程。
(b)上記長尺基材の一方の面の長手方向に沿う両側縁部に金属層パターンを形成する工程。
(c)金属層パターンが形成された上記長尺基材の他方の面に裏面電極層を形成する工程。
(d)上記裏面電極層の上に化合物半導体層を形成する工程。
(e)上記化合物半導体層の上に酸化物半導体からなるバッファ層を形成する工程。
(f)上記バッファ層の上に導電性酸化物からなる表面電極層を形成する工程。
さらに、本発明は、第1の要旨の化合物太陽電池セルを複数組み合わせてなる化合物太陽電池モジュールであって、各化合物太陽電池セルがその金属層パターンと他の化合物太陽電池セルの表面電極層とを電気的に接続した状態で組み合わせられている化合物太陽電池モジュールを第3の要旨とする。
そして、本発明は、第3の要旨の化合物太陽電池モジュールの製法であって、第1の要旨の化合物太陽電池セルを複数準備し、それらに形成された金属層パターンの表面に、半田からなる接続部をそれぞれ形成し、各化合物太陽電池セルの上記接続部と他の化合物太陽電池セルの表面電極層とを互いに重ね合わせて加熱することにより、複数の化合物太陽電池セルを、半田を介して電気的に接続する化合物太陽電池モジュールの製法を第4の要旨とする。
本発明の化合物太陽電池セルは、導電性を有する長尺基材の一方の面に、裏面電極層、化合物半導体層、バッファ層、表面電極層とが形成され、他方の面の、基材の長手方向に沿う両側縁部に、導電性を有する金属層パターンが形成されている。このため、化合物太陽電池セルを複数組み合わせてなる化合物太陽電池モジュールを製造する際の、各化合物太陽電池セル同士の電気的な接続を、この金属層パターンと他の化合物太陽電池セルの表面電極層とを接合させて容易に行うことができる。
なかでも、上記導電性を有する長尺基材が、鉄、鉄系合金、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)からなる群から選ばれた少なくとも一つからなる場合は、長尺基材が高い導電率を有するため、発電効率をより高くできるとともに、化合物太陽電池の強度を一定に保つことができ、その耐久性を高めることができる。
そして、上記金属層パターンが、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、Cu、金(Au)、銀(Ag)からなる群から選ばれた少なくとも一つを含有する場合は、基材に対する密着性が高まるとともに、それ自身が高い導電率を有するため、化合物太陽電池セルを複数組み合わせてなる化合物太陽電池モジュールを製造する際の、各化合物太陽電池セル同士の電気的な接続を、優位に行うことができる。
また、上記金属層パターンが、真空蒸着、スパッタ法、めっき法、エアロゾルデポジション法からなる群から選ばれた少なくとも一つにより形成されたものである場合は、基材に対する密着性が高くなっており、とりわけ、これらの組み合わせにより複数層に形成された場合は、基材に対する密着性がより高まる。
そして、上記金属層パターンが、目的とするパターンと逆のパターンを有するレジストを形成し、その上から金属層を形成したのちに、レジスト上に形成された金属層をレジストごと除去して形成されたものである場合は、不必要な部位に金属層が形成されず、より精度の高いパターンを形成できる。
さらに、上記化合物半導体層が、少なくともI族、III族、VI族の元素を含むカルコパイライト結晶構造を有する場合は、より変換効率が向上するとともに、材料の組成を変更するだけで、バンドギャップを容易に制御できる。
そして、前記の(a)〜(f)の工程を経由し、少なくとも(d)〜(f)の工程が連続して行われる化合物太陽電池セルの製法によると、初めに基材の一方の面の所定部位に金属パターンを形成するため、この金属パターンが、巻き取り時に、巻き取られた基材と表面電極層との間において、いわばスペーサとなり、表面電極層の上に基材が直接重ね合わせられることがない。よって、表面電極層に、基材との擦り合わせによる傷等が発生せず、得られる化合物太陽電池セルに非発電領域が生じない。
なかでも、さらに、下記(g)の工程を有する化合物太陽電池セルの製法によると、表面電極層と長尺基材との接触による短絡(ショート)を生じさせることなく、ユーザーのニーズに合わせて任意のサイズの化合物太陽電池セルを得ることができる。
(g)表面電極層が形成された長尺基材を、表面電極層と長尺基材とを接触させることなく、長手方向に所定間隔で切断し、所定寸法の化合物太陽電池セルとする工程。
また、上記化合物太陽電池セルを複数組み合わせてなる化合物太陽電池モジュールであって、各化合物太陽電池セルがその金属層パターンと他の化合物太陽電池セルの表面電極層とを電気的に接続した状態で組み合わせられている場合には、上記化合物太陽電池セルの金属層パターンが、化合物太陽電池モジュール形成時の接続部位になっているため、低コストとなり、しかも、上記化合物太陽電池セルの変換効率が高いため、一層変換効率が高くなる。
そして、上記化合物太陽電池モジュールの製法であって、上記化合物太陽電池セルを複数準備し、それらに形成された金属層パターンの表面に、半田からなる接続部をそれぞれ形成し、各化合物太陽電池セルの上記接続部と他の化合物太陽電池セルの表面電極層とを互いに重ね合わせて加熱することにより、複数の化合物太陽電池セルを、半田を介して電気的に接続する化合物太陽電池モジュールの製法によると、化合物太陽電池セルの金属層パターンを電気的な接続部位として用いることができ、プロセス的に優位であるとともに、これらの電気的な接続部位を半田で固定するため、より耐久性に優れた化合物太陽電池モジュールを製造することができる。
本実施の形態におけるCIGS太陽電池セルの断面図である。 (A),(B)はともに上記CIGS太陽電池セルにおける基材の両端縁部を示す平面図である。 上記CIGS太陽電池セルの製造装置の概略構成を示す図である。 (A)は本実施の形態におけるCIGS太陽電池モジュールの平面図であり、(B)はそのS−S断面図である。 一般的なCIGS太陽電池セルの断面図である。
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施例であるCIGS太陽電池セルの断面図である。このCIGS太陽電池セルは、長尺状(幅15mm、長さ1000m)のSUS(厚み50μm、SUS430)からなる基材1の一方の面(図1において上面)に、Moからなる裏面電極層2と、CIGS光吸収層3と、n型のバッファ層4と、表面電極層5とを備え、上記基材1のもう一方の面(図1において下面)の、基材1の長手方向に沿う両側縁部に、Cuからなる金属層パターン6を備えたものである。以下に、このCIGS太陽電池セルを、詳細に説明する。なお、図1において、厚み、大きさ、外観等は模式的に示したものであり、実際のものとは異なっている(以下の図においても同じ)。
上記基材1は、基材1を介したモジュール形成を容易とするため、導電性を有する材料からなり、とりわけ10〜100μΩcmの範囲の比抵抗を有する良導電性の金属を用いることが好ましい。このような良導電性金属としては、例えば、上記SUSの他、各種合金、Ti、Al等があげられる。さらに、上記基材1は、化合物半導体層を形成する際の熱履歴に耐えうる必要がある。また、ロールトゥロールプロセスで成膜が可能な可撓性とヤング率、靭性、更に引っ張りにより破断しにくい等の特性を有することも必要とされ、これらを考慮して適宜選択される。そして、その厚みは、上記15μmの他、任意の厚みを選択することが可能であるが、ロールトゥロールプロセスに適用させるための可撓性の点から、10〜100μmの範囲であることが好ましい。
上記基材1の一方の面に形成される金属層パターン6は、本発明における最大の特徴である。この金属層パターン6は、上記基材1のCIGS光吸収層3等の形成面と異なる面の、その長手方向に沿う両側縁部に、それぞれ幅1mm、厚み10μmでその全長に渡って形成されている(図2(A)参照)。そして、この金属層パターン6は、単層ではなく複層で形成してもよい。複層にすると、基材1側に形成された第1の層をいわば接着層とすることができ、基材1と金属層パターン6とをより強固に密着させることができる。なお、上記金属層パターン6は、基材1の表裏両面のうち、表面粗さが粗い方の面に形成することが、密着性の点で好ましい。基材1の表裏両面が同一の表面粗さである場合は、いずれか一方の任意の面に形成することができる。
また、上記金属層パターン6の幅は、上記1mmの他、基材1の幅より狭い任意の幅とすることができる。なかでも、上記金属層パターン6の幅を1〜5mmの範囲とすることが好ましい。幅が狭すぎると、スペーサとしての役割を充分に発揮できず、巻き取りロール8において巻き取る際に、基材1と接触して、表面電極層5に傷等が入るおそれがあり、逆に広すぎると、表面電極層5が基材1と接触することはなくなるものの、金属層パターン6自体が表面電極層5と広い面積において接触し、表面電極層5に傷等が入るおそれがあるからである。そして、上記金属層パターン6の厚みは、上記10μmに限らず、任意の厚みとすることができる。とりわけ、上記金属層パターン6の厚みを0.5〜500μmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは5〜100μmの範囲である。厚みが薄すぎると、スペーサとしての役割を充分に発揮できず、巻き取り時に、基材1と接触し、表面電極層5に傷等が入るおそれがあり、逆に、厚すぎると、基材1からの剥離が生じやすくなるおそれがあるためである。
さらに、上記金属層パターン6は、複数のCIGS太陽電池セルを組み合わせたモジュールを形成する際、金属層パターン6を介した電気的な接続を容易とするため、導電性の高い材料からなることが好ましく、導電率6×10-6Ω・cm以下の金属材料からなることがさらに好ましい。このような金属材料としては、上記Cuの他に、Ni、Cr、Au、Agがあげられ、これらを単独でもしくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
このような金属層パターン6は、真空蒸着、スパッタ法、メッキ法、エアロゾルデポジション法等により形成することができる。金属層パターン6を複層とする場合には、これらの方法を組み合わせて形成してもよい。また、そのパターンの形成は、真空蒸着、スパッタ法、メッキ法、エアロゾルデポジション法等を行う際に、レジストを用いて形成することができる。あるいは、これらの方法に代えて、基材1の所定個所に導電性を有するテープを貼りつけることによっても形成することができる。
なお、本発明において、基材1の長手方向に沿う両側縁部とは、基材1の長手方向に沿って延びる両側縁部分をいい、図2(A)に示すように、基材1の長手方向に沿う両端部を含む場合だけでなく、図2(B)に示すように、両端部からやや内側に入った部分に延びる場合をも含むことを意味する。
一方、上記裏面電極層2(図1に戻る)は、上記金属層パターン6が形成された上記基材1の他方の面に、スパッタ法により形成されたものであり、Moの他に、タングステン、Cr、Ti等が単層もしくは複層に形成される。また、その厚みは、10〜1000μmの範囲にあることが好ましい。
そして、その上に設けられたCIGS光吸収層(化合物半導体層)3は、Cu、In、Ga、Seの4元素を含む化合物半導体からなり、その厚みは2.0μmに形成されている。しかし、これに限らず任意の厚みとすることができ、なかでもその厚みが、1.0〜3.0μmの範囲にあることが好ましく、1.5〜2.5μmの範囲にあることがより好ましい。厚みが薄すぎると、光吸収層として用いた際の光吸収量が少なくなり、セルの性能が低下する傾向がみられ、逆に、厚すぎると、層の形成にかかる時間が増加し、生産性に劣る傾向がみられるためである。
また、上記CIGS光吸収層3における、Cu、In、Gaの組成比は、Cu/(Ga+In)≒0.85(モル比)、Ga/(Ga+In)≒0.3(モル比)となっている。しかし、これに限らず任意の組成比とすることができ、なかでも上記CIGS光吸収層3の組成比が、0.7<Cu/(Ga+In)<0.95(モル比)、の式を満たすようになっていると、上記CIGS光吸収層3内にCu(2-x)Seが過剰に取り込まれることをより阻止でき、しかも層全体としてわずかにCu不足にできる点で好ましい。また、同属元素であるGaとInとの比は、0.10<Ga/(Ga+In)<0.40(モル比)の範囲にあることが好ましい。
さらに、上記CIGS光吸収層3の上に設けられるバッファ層4は、DCスパッタ法により、厚み100μmのZnOにより形成されている。このバッファ層4は、上記CIGS光吸収層3とpn接合できるよう、高抵抗のn型半導体であることが好ましく、単層の他、複数の層を積層したものであってもよい。バッファ層4として、複数の層を用いると、上記CIGS光吸収層3とのpn接合をより良好にできる。このようなバッファ層4は、上記ZnOの他、CdS、ZnMgO、Zn(O,S)等を用いることができる。また、その厚みは、上記100μmの他に、任意の厚みに形成することができ、とりわけ50〜200nmの範囲にあることが好ましい。
また、バッファ層4の上に設けられた表面電極層5は、スパッタ法により、厚み200nmのITOにより形成されている。この表面電極層5は、高透過率を有する材料により形成されることが好ましく、上記ITOの他、IZO、酸化亜鉛アルミニウム(Al:ZnO)等を用いて形成することができる。また、その厚みは、上記200nmに限らず、任意の厚みに形成することができ、とりわけ50〜300nmの範囲にあることが好ましい。そして、この表面電極層5の光透過率が、80%を超えるものであることがさらに好ましい。
この構成によれば、CIGS太陽電池セルの基材1がSUSからなるため、変換効率がより高くなるとともに、強度を一定に保つことができ、その耐久性が高められている。そして、上記金属層パターン6がスパッタ法により形成されているため、基材1に対する密着性が高められている。また、上記金属層パターン6がレジストを用いて形成されたものであるため、不必要な部位に金属層が形成されずより精度の高いパターンになっている。さらに、化合物半導体層として、CIGS光吸収層3を形成しているため、少なくともI族、III族、VI族の元素を含むカルコパイライト結晶構造を有しており、より変換効率が高められているとともに、材料の組成を変更するだけで、バンドギャップを容易に制御できる。
このようなCIGS太陽電池セルは、例えば、図3に示す連続装置を用いて、ロールトゥロールプロセスにより製造することができる。図3において、7はアイドリングロール、8は巻き取りロール、9は巻き出しロール、10は裏面電極層成膜室、11は化合物半導体層成膜室、12はバッファ層成膜室、13は表面電極層成膜室である。
まず、前記のとおり、(a)導電性を有する長尺状の基材1を準備し、(b)上記長尺状の基材1の一方の面の長手方向に沿う両側縁部に金属層パターン6を形成する(図2(A)参照)。この金属層パターン6が形成された長尺状の基材1を、巻き出しロール9にセットし、以下の各工程を経由させ、巻き取りロール8まで連続的に送り出すことで、CIGS太陽電池セルを製造することができる。なお、各工程は、圧力差を緩和するための差動排気機構によって連結されており、異なる圧力の工程間においても基材1を連続的に移動させることができるようになっている。以下に、上記各工程を順に説明する。
(c)裏面電極層形成工程
裏面電極層形成工程は、裏面電極層成膜室10において、上記巻き出しロール9から供給された金属層パターン6が形成された長尺状の基材1の他方の面(図3では下面)に、スパッタリングにより裏面電極層2を形成する工程である。上記裏面電極層成膜室10には、裏面電極層形成用の材料を保持する第1スパッタリング装置14と、長尺状の基材1との距離を一定に維持するためのガイドロール等の基材位置安定手段(図示せず)とが配置されている。
(d)CIGS光吸収層形成工程
CIGS光吸収層(化合物半導体層)形成工程は、化合物半導体層成膜室11において、先の工程で形成された裏面電極層2の上に、真空蒸着により複数の材料を順次積層し、CIGS光吸収層3を形成する工程である。上記化合物半導体層成膜室11には、CIGS光吸収層3形成用の複数の蒸着源(15,16,17,18)と、長尺状の基材1の走行位置を案内するガイドロール等の基材位置安定手段(図示せず)とが配置されており、基材1がその蒸着対象面を上記蒸着源(15,16,17,18)に対向させた状態(図3では下向き)で、所定の距離を保った状態で走行できるように構成されている。
上記CIGS光吸収層3を形成するための蒸着は、基材1の温度を550℃以上に保った状態で行われる。蒸着源(15,16,17,18)により基材1が過度に加熱される場合には、上記基材位置安定手段に基材冷却機能を持たせるようにしてもよい。そして、各蒸着源(15,16,17,18)から吐出された材料は、基材1へ供給されてCIGS光吸収層3が形成される。例えば、別々に設置されたCu、In、Ga、Seの蒸着源(15,16,17,18)を、それぞれ1150℃、950℃、1000℃、200℃に加熱することで上記CIGS光吸収層3を形成することができる。これにより、CIGS光吸収層3がカルコパイライト結晶構造を有するようになる。この他にも、複数の蒸着源をユニットとして配置する3段階法やバイレイヤー法といった成膜法を用いることもできる。
(e)バッファ層形成工程
バッファ層形成工程は、バッファ層成膜室12において、上記で形成されたCIGS光吸収層3の上に、前記裏面電極層形成工程で用いたのと同様のスパッタリングにより酸化物半導体からなるバッファ層4を形成する工程である。上記バッファ層成膜室12には、バッファ層形成用の材料を保持する第2スパッタリング装置19と、基材1に対する距離を一定に維持するためのガイドロール等の基材位置安定手段(図示せず)が配置されている。
(f)表面電極層形成工程
表面電極層形成工程は、表面電極層成膜室13において、上記で形成されたバッファ層4の上に、上記バッファ層形成工程で用いたのと同様のスパッタリングにより導電性酸化物からなる表面電極層を5を形成する工程である。上記表面電極層成膜室13には、表面電極層形成用の材料を保持する第3スパッタリング装置20と、基材1に対する距離を一定に維持するためのガイドロール等の基材位置安定手段(図示せず)が配置されている。
上記表面電極層5まで形成された長尺状の基材1は、巻き取りロール8に巻き回すことにより回収する。このような上記各工程を経由することにより、幅15mm(基材幅)、長さ1000mの長尺状のCIGS太陽電池セルを得ることができる。
なお、この長尺状のCIGS太陽電池セルは、(g)表面電極層5と長尺状の基材1とを接触させることなく、長手方向に所定間隔で切断し、所定寸法のCIGS太陽電池セルとして用いることができる。
上記CIGS太陽電池セルの切断は、例えば、レーザー等の熱的手段や、カッター等の物理的手段を用いて行うことができる。なお、その切断長さは、通常、1cm〜10m、好ましくは2cm〜2m(基材長手方向)であるが、CIGS太陽電池モジュールのハウジングサイズにより適宜に変更される。
このCIGS太陽電池の製法によれば、はじめに、基材1の一方の面の所定部位に金属層パターン6を形成するため、この金属層パターン6がいわばスペーサとなり、巻き取りロール8において、表面電極層5の上に基材1が重ね合わせられることがない。よって、巻き取り時に、表面電極層5に基材1が擦り合わせられることによる傷が発生せず、得られるCIGS太陽電池セルに非発電領域が生じないため、良好な変換効率を有する。また、長尺状のCIGS太陽電池を、表面電極層と長尺基材とを接触させることなく所定間隔で切断し、所定寸法の化合物太陽電池セルとしているため、ユーザーのニーズに合わせた使い勝手のよいサイズのCIGS化合物太陽電池セルとすることができる。
つぎに、本発明の化合物太陽電池モジュールについて、上記CIGS太陽電池セルを用いたCIGS太陽電池モジュールを例にあげて説明する。図4(A)は、上記CIGS太陽電池セルCが複数個(この例では3個)、電気的に接続されたCIGS太陽電池モジュールMの平面図であり、図4(B)は、このCIGS太陽電池モジュールMのS−S断面図である。なお、図4(A),(B)において、CIGS太陽電池セルCを構成する基材1、裏面電極層2、CIGS光吸収層3、バッファ層4、表面電極層5は省略し、金属層パターン6のみを示している。また、21はフレーム、22は裏面支持材、23は表面保護材、24は封止樹脂を示しており、上記フレーム21、裏面支持材22、表面保護材23により、CIGS太陽電池モジュールMのハウジング(ケース)が形成されている。
上記CIGS太陽電池モジュールMをより詳しく説明すると、3個の上記CIGS太陽電池セルCが、長手方向に揃えられ、図4(B)に示すように、その幅方向をハウジングの裏面支持材22に対して所定の角度傾けた状態で、それぞれの一部(長手方向に沿う両側縁部)が互いに重なり合うように収容されている。そして、これらのCIGS太陽電池セルCの片側の金属層パターン6の表面に、半田からなる接続部(図示せず)が形成され、この金属層パターン6が半田を介して他のCIGS太陽電池セルCの表面電極層5(図1参照)と電気的に接続され、CIGS太陽電池セルC同士が電気的に接続されている。
また、上記CIGS太陽電池モジュールMのハウジング内には、各CIGS太陽電池セルCで発生する電力(電流)を外部に取り出すための端子盤等(図示せず)が配設されるとともに、ハウジングの外部には、他のCIGS太陽電池モジュールM等と電気的に接続するための外部端子(図示せず)等が取り付けられている。
この構成によれば、CIGS太陽電池セル同士の電気的な接続を、この金属層パターン6と他のCIGS太陽電池セルの表面電極層5とを接合させるだけで、簡単に行うことができる。また、上記CIGS太陽電池セルCの金属層パターン6が、CIGS太陽電池セルC同士の接続部位になっているため、この他に電気的な接続部位を設けることが不要で低コストとすることができる。しかも、上記CIGS太陽電池セルC自身の変換効率が高いことも相俟って、一層変換効率が高められている。そして、上記CIGS太陽電池セルC同士の電気的接続が、半田を介して行われているため、CIGS太陽電池セルC同士の接続がより強固となり、CIGS太陽電池モジュールMの耐久性の向上が図られている。また、ハウジングの内の隙間に充填された封止樹脂24によって、上記CIGS太陽電池セルCが湿気や汚れ、紫外線、物理的な衝撃等から保護され、より一層CIGS太陽電池モジュールMの長寿命化が図られている。
上記CIGS太陽電池モジュールMは、例えば、以下に示すようにして製造することができる。まず、図4(A)に示すように、複数個(この例では3個)の上記CIGS太陽電池セルCを長手方向に揃え、図4(B)に示すように、その幅方向をハウジングの裏面支持材22に対して所定の角度傾けた状態で、それぞれの一部(長手方向に沿う両側縁部)が互いに重なり合うように収容する。つぎに、CIGS太陽電池セルCの長手方向に沿う両側縁部に形成された金属層パターン6のうち、一方の側縁部の金属層パターン6の表面に、半田からなる接続部を形成し、この接続部と、他のCIGS太陽電池セルCの表面電極層5(図1参照)とを互いに重ね合わせた状態で加熱することにより、この金属層パターン6が半田を介して他のCIGS太陽電池セルCの表面電極層5と電気的に接続され、これらの金属層パターン6および半田を介してCIGS太陽電池セルC同士が電気的に接続される。そして、上記ハウジング内を、透明な封止樹脂24によって封止する。これによって、CIGS太陽電池モジュールMを得ることができる。
このCIGS太陽電池モジュールMの製法によれば、CIGS太陽電池セルCの金属層パターン6を電気的な接続部位として用いることができるため、プロセス的に優位である。また、その電気的な接続部位を半田で固定するため、より耐久性に優れたCIGS太陽電池モジュールMを製造することができる。さらに、上記CIGS太陽電池セルC自身が高変換効率を有するため、低コストで高変換効率を有するCIGS太陽電池モジュールMを製造することができる。
上記CIGS太陽電池セルC同士の電気的な接続は、半田を用いなくても容易に行うことができるが、半田を用いると、その接続状態をより強固に保つことができるため好適である。また、半田に代えて、導電性を有するテープ材,接着剤を用いても同様の効果を奏する。さらに、金属層パターン6と表面電極層5との電気抵抗を減少させることを目的として、上記金属層パターン6と同一材料からなる金属層パターンを、上記表面電極層5の表面に設けてもよい。
また、上記CIGS太陽電池モジュールMの大きさは、用途に応じて適宜設定され、例えば、その幅は10cm〜1m、長さは50cm〜2m程度であり、上記フレーム21は、太陽電池の用途や使用環境によっては省略,変更されることがある。
上記フレーム21を構成する材料としては、例えば、金属や樹脂等を用いることができる。上記裏面支持材22としては、金属板、樹脂板、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を好適に使用することができる。また、表面保護材23および封止樹脂24は、透明あるいは半透明であることが必須であり、上記表面保護材23の好適な例としては、強化白板ガラス等があげられ、上記封止樹脂24の好適な例としては、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等があげられる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(金属層パターンの形成)
幅15mm、厚み50μmのSUS(SUS430:JFEスチール社製)基材の表面に、厚み30nmのCr層および100nmのCu層をスパッタリングにより形成した。ついで、このCu層の上にドライフィルムをラミネートし、露光および現像を行うことにより、上記基材の長手方向に沿う両側縁部以外の大部分が残るパターン(目的とする金属層パターンと逆のパターン)のレジストを作製した。そして、その上から硫酸銅めっき液を用いて、厚み10μmの銅めっきからなる金属層を作製し、最後にレジストの上に形成されたこの金属層ごとメッキレジストを剥離することで、上記基材の長手方向に沿う両側縁部に幅1mmで基材の全長にわたる金属層パターンを形成した。
つづいて、上記金属層パターンが形成された長尺状基材の他方の面に、裏面電極層、CIGS光吸収層、バッファ層、表面電極層をこの順で連続して形成し、最後に所定寸法(長さ100mm)に切断して目的のCIGS太陽電池セルを得た。なお、これらの層の形成は、上述のとおり、ロールトゥロールプロセスにより、真空一貫で行い、その工程(形成過程)中に一度も装置から出さずに行った。また、これら一連の工程は、加工速度(ラインスピード)1m/分で実施した。各工程の詳細は以下のとおりである。
(c)裏面電極層の形成
上記金属層パターンが形成された長尺状基材の他方の面に、0.8Paに減圧された裏面電極層成膜室10においてスパッタリングにより、まず、厚み300nmのCr層を形成し、ついで同じく厚み300nmのMo層を連続的に形成した。
(d)CIGS光吸収層の形成
上記裏面電極層の上に、室内圧力1×10-3Pa、室内温度550℃に設定された化合物半導体層成膜室11において、Cu、In、Ga、Seを蒸着源とし、Cu、In、Ga、Seのモル構成比が、Cu/(Ga+In)≒0.85、Ga/(Ga+In)≒0.3になるように、厚み2.2μmのCIGS光吸収層を形成した。
(e)バッファ層の形成
上記CIGS光吸収層の上に、室内圧力0.2Paに設定されたバッファ層成膜室12において、Zn(O,S)(ZnO 80wt%、ZnS 20wt%)を材料として、スパッタリングにより、厚み100nmのバッファ層を形成した。
(f)表面電極層の形成
上記バッファ層の上に、室内圧力0.4Paに設定された表面電極層成膜室13において、ITOを材料として、スパッタリングにより、厚み200nmの表面電極層を形成した。
〔比較例1〕
実施例1の金属層パターンに代えて、基材の長手方向に沿う片側縁部にのみ金属層を形成する金属層パターンを形成した他は、実施例1と同様にして、比較例1のCIGS太陽電池セルを得た。
〔比較例2〕
実施例1の金属層パターンを一切形成しない他は、実施例1と同様にして、比較例2のCIGS太陽電池セルを得た。
<変換効率>
上記実施例1品、比較例1および2品のCIGS太陽電池セルをそれぞれ20個準備し、ソーラーシミュレーター(セルテスター、山下電装社製、YSS−150)を用いて、擬似太陽光(AM1.5)を100mm角以上の照射面積になるように調整して照射し、それぞれの変換効率を測定した。
上記の変換効率の測定の結果、実施例1品の平均変換効率は12.3%であり、歩留まり(変換効率11%を超える化合物太陽電池セルの製造率)は95%であった。一方、比較例1品の歩留まりは80%であり、比較例2品の歩留まりは50%であった。これは、比較例1および2品には、基材1のCIGS光吸収層等が形成されていない面に、細かいすり傷が形成されており、巻き取りロールに巻き取られる際に、この細かいすり傷が入った基材の面が、表面電極形成層の上に重ねて巻かれることにより、表面電極形成層にまで細かいすり傷が形成され、これにより、欠陥部(非発電領域)が生じたためであると考えられる。
〔CIGS太陽電池モジュールの製造〕
つぎに、上記実施例1品および比較例1,2品のCIGS太陽電池セルをそれぞれ7個接続して、100mm角のCIGS太陽電池モジュールを製造し、得られたCIGS太陽電池モジュールについて、それぞれ変換効率を測定した。なお、CIGS太陽電池モジュールの製造は、以下の通りに行った。まず、上記実施例1品および比較例1,2品のCIGS太陽電池セルのそれぞれの表面電極層表面の長手方向に沿う両端縁部に、真空蒸着法により、Cr層およびCu層(それぞれ幅1mm、厚み100nm)をこの順で形成した。つぎに、表面電極層が形成されている面の反対面において、金属層パターンの表面(あるいは、金属層パターンが形成されていない個所については、基材の側縁部)に、半田による接続部を形成した。そして、上記実施例1品および比較例1,2品のCIGS太陽電池セルをそれぞれ、重なり幅が1mmとなるよう長手方向に揃えて配置し、一方のCIGS太陽電池セルの表面電極層表面のCu層と、他方のCIGS太陽電池セルの接続部とを当接させ、その状態で接続部を230℃で30秒間加熱して、CIGS太陽電池セル同士の電気的接続を行った。すなわち、上記実施例1品のCIGS太陽電池セル同士の電気的な接続は、前記の実施の形態に示したとおり、金属層パターンおよび半田を介して接続した。また、比較例1品および比較例2品については、金属層パターンが形成されている個所については金属層パターンおよび半田を介して接続し、金属層パターンが形成されていない個所では、半田を介して接続した。
<変換効率>
上記実施例1品および比較例1,2品からなるCIGS太陽電池モジュールを、それぞれ20個準備し、ソーラーシミュレーター(セルテスター、山下電装社製、YSS−150)を用いて、擬似太陽光(AM1.5)を100mm角以上の照射面積になるように調整して照射し、それぞれの変換効率を測定した。
上記の変換効率の測定の結果、実施例1品からなるCIGS太陽電池モジュールの平均変換効率は11.2%であり、歩留まり(変換効率11%を超える化合物太陽電池モジュールの製造率)は95%であった。一方、比較例1品からなるCIGS太陽電池モジュールの平均変換効率は8.7%であり、歩留まりは80%であった。また、比較例2品からなるCIGS太陽電池モジュールの平均変換効率は5.4%であり、歩留まりは50%であった。この結果は、CIGS太陽電池セルの平均変換効率および歩留まりの測定結果と大差ないものであり、CIGS太陽電池モジュールは、CIGS太陽電池セルの性能に依存していることが示された。
本発明の化合物太陽電池セルおよびその製法によれば、高品質の化合物太陽電池セルを短時間で効率よく製造することができる。これにより、化合物太陽電池セルの単位面積当たりのコストを低減することができる。また、これを用いた化合物太陽電池モジュールおよびその製法によれば、プロセス的に優位で、より耐久性に優れた化合物太陽電池モジュールを短時間で効率よく製造することができる。
1 基材
2 裏面電極層
3 CIGS光吸収層
4 バッファ層
5 表面電極層
6 金属層パターン

Claims (10)

  1. 導電性を有する長尺基材の一方の面に、裏面電極層と、化合物半導体層と、酸化物半導体からなるバッファ層と、導電性酸化物からなる表面電極層とが形成され、上記長尺基材の他方の面の長手方向に沿う両側縁部に、導電性を有する金属層パターンが形成されていることを特徴とする化合物太陽電池セル。
  2. 上記導電性を有する長尺基材が、鉄、鉄系合金、アルミニウム、チタンからなる群から選ばれた少なくとも一つからなる請求項1記載の化合物太陽電池セル。
  3. 上記金属層パターンが、ニッケル、クロム、銅、金、銀からなる群から選ばれた少なくとも一つを含有する請求項1または2記載の化合物太陽電池セル。
  4. 上記金属層パターンが、真空蒸着、スパッタ法、めっき法、エアロゾルデポジション法からなる群から選ばれた少なくとも一つにより形成されたものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物太陽電池セル。
  5. 上記金属層パターンが、目的とするパターンと逆のパターンを有するレジストを形成し、その上から金属層を形成したのちに、レジスト上に形成された金属層をレジストごと除去して形成されたものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物太陽電池セル。
  6. 上記化合物半導体層が、少なくともI族、III族、VI族の元素を含むカルコパイライト結晶構造を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物太陽電池セル。
  7. 請求項1に記載の化合物太陽電池セルの製法であって、下記の(a)〜(f)の工程を経由し、少なくとも(d)〜(f)の工程が連続して行われることを特徴とする化合物太陽電池セルの製法。
    (a)導電性を有する長尺基材を準備する工程。
    (b)上記長尺基材の一方の面の長手方向に沿う両側縁部に金属層パターンを形成する工程。
    (c)金属層パターンが形成された上記長尺基材の他方の面に裏面電極層を形成する工程。
    (d)上記裏面電極層の上に化合物半導体層を形成する工程。
    (e)上記化合物半導体層の上に酸化物半導体からなるバッファ層を形成する工程。
    (f)上記バッファ層の上に導電性酸化物からなる表面電極層を形成する工程。
  8. さらに、下記(g)の工程を有する請求項7記載の化合物太陽電池セルの製法。
    (g)表面電極層が形成された長尺基材を、表面電極層と長尺基材とを接触させることなく、長手方向に所定間隔で切断し、所定寸法の化合物太陽電池セルとする工程。
  9. 請求項1記載の化合物太陽電池セルを複数組み合わせてなる化合物太陽電池モジュールであって、各化合物太陽電池セルがその金属層パターンと他の化合物太陽電池セルの表面電極層とを電気的に接続した状態で組み合わせられていることを特徴とする化合物太陽電池モジュール。
  10. 請求項9記載の化合物太陽電池モジュールの製法であって、請求項1記載の化合物太陽電池セルを複数準備し、それらに形成された金属層パターンの表面に、半田からなる接続部をそれぞれ形成し、各化合物太陽電池セルの上記接続部と他の化合物太陽電池セルの表面電極層とを互いに重ね合わせて加熱することにより、複数の化合物太陽電池セルを、半田を介して電気的に接続することを特徴とする化合物太陽電池モジュールの製法。
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