JP2013113169A - 内燃機関の動弁構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
本発明は、カムシャフト3に圧入されて、カムシャフト3の端部に取り付けられるシグナルロータ4を備える内燃機関の動弁構造であって、カムシャフト3は、端部側に、カムシャフト3の軸方向に沿って形成された被圧入部11を有し、シグナルロータ4は、被圧入部に圧入される穴部21を有する圧入部20と、圧入部20に対して穴部21の開口方向Aと反対側に併設され、外周面に突出部31を有する信号部30と、を備え、圧入部20の穴部21に圧入されてシグナルロータ4が取り付けられたカムシャフト3の被圧入部11は、圧入部20と信号部30との境界Dよりも開口方向に位置することを特徴とする。
【選択図】図3
Description
そして、圧入部の変形は、外周面に設けられた突出部が傾倒するなど、突出部の変形を引き起し、センサのセンシングに影響を与える可能性があった。
また、圧入部を径方向に大型化すると、慣性モーメントが増加して、スリップトルクも増加してしまう。さらには、増加したスリップトルクに対応するために、シグナルロータとカムシャフトとの締め代を増加しなければならないという非効率な結果を招いてしまう。
一方で、シグナルロータの信号部は、カムシャフトの被圧入部が圧入部と信号部との境界よりも開口方向に位置しているため、被圧入部に圧入されない。
そのため、カムシャフトの圧入により生じる荷重が、信号部に作用することを低減でき、突出部の変形が抑制される。したがって、本発明によれば、突出部を読み取るセンサは、精度の高いセンシングを行うことができる。
また、本願発明に係る動弁構造によれば、シグナルロータの信号部は、穴部の開口方向と反対側に併設され、圧入部を径方向に大型化する構成でないため、慣性モーメントの増加や、エンジン全体のレイアウトに制限を与える等の不利益を回避できる。
また、圧入部は、カムシャフトに圧入されているため、剛性が強化されている。よって、圧入部と固定具との間で負荷が生じたとしても、圧入部の変形、つまり固定面の変形を防止でき、より確実にカムシャフトを係止させることができる。
よって、固定面を周方向に複数形成することによって、外周面の一部が他の部分と異なる信号をカムセンサに与えることを回避し、シグナルロータのセンシング特性に影響を及ぼすことを抑制できる。
図1は、実施形態に係るエンジンの動弁構造の一部を上方から見た平面図である。
実施形態のエンジン1は、ロッカアームの一端にバルブが当接し、ロッカアームの傾動に対応してバルブが開閉する動弁構造の内燃機関である。
また、エンジン1は、図1に示すように、ロッカアーム等を支持するシリンダヘッド2と、ロッカアームの他端を押圧して傾動させるカムシャフト3と、カムシャフト3ともに回転するシグナルロータ4とを備える。そして、エンジン1は、シグナルロータ4の信号を基に、カムシャフト3の回転角を算出し、カムシャフト3の位相を変化させて、バルブが開閉するタイミングを変化させている。なお、以下において、カムシャフト3が延在している方向を単に「軸方向」を称する。
シリンダヘッド2は、シリンダブロックと組み合わせて、エンジン本体を構成する部品である。また、シリンダヘッド2は、図1に示すように、固定具6が差し込まれる凹部2aを備える。なお、凹部2aについては後述する。
図2は、図1に示すエンジンの動弁構造の一部をカムシャフト3の軸方向の一方方向である矢印A方向から見た側面図である。
図3は、図2のB―B矢視断面図である。
カムシャフト3は、図1及び図2に示すように、略円筒状に形成された吸気用のカムシャフトであり、カムホルダ5に軸支されて、シリンダヘッド2上で回転可能となっている。
また、カムシャフト3には、図1及び図3に示すように、シグナルロータ4が取り付けられる一端側に、被圧入部11と、工具係合部12とが形成されている。
また、工具係合部12は、図3に示すように、被圧入部11に対して、軸方向他端側に隣接して設けられている。そのため、カムシャフト3の被圧入部11がシグナルロータ4に圧入された場合、図1に示すように、工具係合部12がシグナルロータ4の圧入部20と軸方向に隣接することとなる。
また、工具係合部12は、被圧入部11に比べて大径となっている。そのため、カムシャフト3において、被圧入部11と工具係合部12との間には、段付きが形成される。これは、工具係合部12が鋳肌で形成される一方で、被圧入部11が加工により形成されるためである。
シグナルロータ4は、図1に示すように、カムシャフト3に取り付けられてカムシャフト3と一体となって回転するとともに、カムセンサ(不図示)に対して、カムシャフト3の回転角度となる信号を与える部品である。
また、シグナルロータ4は、図3に示すように、有底筒状になっており、穴部21が設けられた圧入部20と、外周面に突出部31が設けられた信号部30とが一体に形成されている。
そして、圧入部20は、図3に示すように、穴部21の開口方向からカムシャフト3に圧入されて、カムシャフト3の被圧入部11が圧入部20の内周面を径方向外向きに押圧し、カムシャフト3とシグナルロータ4とが強固に結合している。
凹部32は、図示しない圧入治具に対してシグナルロータ4のセンタリングをとるための位置決め用の部位であって、図3に示すように、信号部30の軸方向の端面であって、圧入部20が設けられた反対側の端面上に形成されており、また、その端面の中心、つまり、圧入部20に圧入されたカムシャフト3の回転軸線上に位置している。
また、固定面22は、図2に示すように、圧入部20と信号部30の外周面に4つ形成されており、また、カムシャフト3の回転軸を中心として90度間隔で周方向にずらして形成されている。
そして、固定面22は、図2に示すように、複数の突出部31の間に介在するように、信号部30の突出部31に対しては、45度周方向にずらして形成されている。
また、カムシャフト3の被圧入部11が圧入部20と信号部30との境界Dよりも開口方向に位置しているため、圧入部20の開口方向の反対側に併設されたシグナルロータ4の信号部30は、被圧入部11に圧入されない。
そのため、実施形態に係るシグナルロータ4によれば、カムシャフト3の圧入により生じる荷重が、信号部30に作用することを低減でき、突出部31の変形が抑制される。したがって、突出部31を読み取るカムセンサ(不図示)は、精度の高いセンシングを行うことができる。
さらに、実施形態の信号部30は、図3に示すように、中実となっているため、筒状に形成された場合に比べて、剛性が強く、変形が生じ難い。
シグナルロータ4が径方向に拡大することにより生じる、慣性モーメントの増加やエンジン全体のレイアウトが制限される等の不利益を回避できる。
また、シグナルロータ4の圧入部20は、カムシャフト3が圧入されて剛性が強化されているため、固定具6とシグナルロータ4の固定面22とがより確実に当接できる。
そのため、カムシャフト3が回転し、シグナルロータ4の固定面22の開口方向寄りに、当接する固定具6から荷重を受けたとしても、信号部30はその荷重がかかる部分から離れているため、信号部30に作用する荷重が低減される。そのため、突出部31の変形が抑制され、良好なセンシングを行うことが可能となる。
また、固定具6と、信号部30の突出部31とが離れているため、固定具6を凹部2aに挿入する際に、作業者が誤って突出部31に接触させて変形させる可能性を低減できる。
よって、4つの固定面22を、信号部30の突出部31同士の間に介在するように、複数形成することによって、突出部31が形成されていない外周面の一部が他の部分と異なる信号をカムセンサに与える可能性を低減でき、センシング特性に影響を及ぼすことが抑制される。
なお、図4は、(a)が変形例のカムシャフトとシグナルロータとの断面を示す断面図であり、(b)が(a)の破線Cで囲まれた範囲を拡大した拡大図である。
また、変形例に係るシグナルロータ4aは、シグナルロータ4の構成要素である信号部30のほかに、穴部21aを有する圧入部20aを備えている。
以下、変形例に係るカムシャフト3aとシグナルロータ4aについて説明するが、前記した実施形態に係るカムシャフト3及びシグナルロータ4と同一の構成についての説明は省略する。
縮径部10は、カムシャフト3aの軸方向に沿って平ら(カムシャフト3aの軸方向に平行)となるように形成されている。
そして、縮径部10の軸方向の長さは、カムシャフト3aが圧入部20aの穴部21の底面に付き当てられるように圧入された場合に、穴部21の底面から境界Dを超えて、圧入部20aの略中間部分に到達するように、所定の長さを有するように形成されている。
また、カムシャフト3aの被圧入部11aが径方向外向に押圧する部分は、圧入部20aの略中間部分から開口部分までであって、信号部30と離間している。そのため、カムシャフト3aの圧入により圧入部20aに生じた荷重が、信号部30に作用することが低減される。
そのため、変形例に係るカムシャフト3aとシグナルロータ4aによれば、信号部30に作用する荷重がより低減されるため、突出部が変形する可能性が極めて低く、突出部31を読み取るセンサは、より精度の高いセンシングを行うことができる。
縮径部10は、穴部21aの底面から境界Dを超えて、圧入部20aの略中間部分に到達しなくてもよく、例えば、境界Dに到達するように形成されてもよい。このような変形例であれば、縮径部10に隣接する被圧入部11aが、信号部30を径方向外向に押圧しないため、突出部31の変形を抑制できるからである。
また、シリンダヘッド2の凹部2aは、複数形成されていてもよい。複数の凹部2aが形成されれば、シグナルロータ4を固定できる角度が増えるため、カムシャフト3に形成されたカムの固定角度も増えて、作業性の向上が図れる。
また、実施形態において、吸気用のカムシャフト3を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、排気用のカムシャフト、又は、吸排気用のカムシャフトであってもよい。
2 シリンダヘッド
2a 凹部
3、3a カムシャフト
4、4a シグナルロータ
6 固定具
10 縮径部
11 押圧部
12 工具係合部
20、20a 圧入部
21、21a 穴部
22 固定面
30 信号部
31 突出部
32 凹部
Claims (5)
- カムシャフトに圧入されて、前記カムシャフトの端部に取り付けられるシグナルロータを備える内燃機関の動弁構造であって、
前記カムシャフトは、
前記端部側に、前記カムシャフトの軸方向に沿って形成された被圧入部を有し、
前記シグナルロータは、
前記被圧入部に圧入される穴部を有する圧入部と、
前記圧入部に対して前記穴部の開口方向と反対側に併設され、外周面に突出部を有する信号部と、を備え、
前記圧入部の穴部に圧入されて前記シグナルロータが取り付けられた前記カムシャフトの被圧入部は、前記圧入部と前記信号部との境界よりも前記開口方向に位置していることを特徴とする内燃機関の動弁構造。 - 前記圧入部の外周面には、平面状の固定面が形成され、
前記内燃機関には、前記固定面に当接して前記カムシャフトの回転を係止する固定具を挿入するための凹部が設けられ、
前記凹部は、前記固定面の延長線上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の動弁構造。 - 前記固定面は、前記圧入部の外周面から前記信号部の外周面に亘って形成されているとともに、前記シグナルロータの周方向に複数形成されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の動弁構造。
- 前記凹部は、前記圧入部の固定面に対して、前記開口方向寄りに設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の内燃機関の動弁構造。
- 前記カムシャフトは、前記被圧入部に隣接する工具係合部を有することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関の動弁構造。
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