JP2013110771A - 子局装置、光通信システムの通信方法、光通信システムおよび制御装置 - Google Patents

子局装置、光通信システムの通信方法、光通信システムおよび制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】断続的な通信によるパワーセーブ動作において通信効率を向上させる子局装置を得ること。
【解決手段】本発明は、送信器、受信器、並びにこれら送信器および受信器のうち少なくとも一つの電力消費を所定のスリープ期間に停止または低下させるスリープモードを制御する制御装置を備えた子局装置であって、制御装置は、親局装置から受信したタイムスタンプと自装置で計測したローカルタイムとの差異を検出し、この差異が予め定められた値を超えた場合にタイムスタンプ・ドリフト・エラーを検出し親局装置による論理リンクの再設定を待つ非登録状態に移行し、タイムスタンプ・ドリフト・エラーを検出した場合に、スリープモードの種類に応じて異なる処理を行う。
【選択図】図11

Description

本発明は、複数の端末が共通の回線で接続された光通信システムの子局装置、光通信システムの通信方法、光通信システムおよび制御装置に関するものである。
PON(Passive Optical Network)システムでは、ONU(Optical Network Unit:利用者側光回線終端装置)から送信される上り方向のデータが衝突しないようにOLT(Optical Line Terminal:局側光回線終端装置)とONUとが同期をとりながら通信を行う。OLTは、上り方向のデータが衝突しないように各ONUに対する送信許可を与えるように計画する。この際、各ONUとの間の距離による遅延を考慮する。そのため、OLTは、各ONUとの間のラウンドトリップタイムを計測するが、光ファイバによる伝送ではジッタやワンダなどの伝送路の変動があるため、周期的に計測を行う必要がある。
一方、データ通信は常時行われているわけではなく、例えば夜間などは全くデータ通信が行われない。しかし、ラウンドトリップタイムの計測は、上記のようにデータ通信の有無に関わらず周期的に行われている。データ通信が行われない場合にも、ラウンドトリップタイムの計測のためにONUを常時通信可能な状態としておくことは電力を浪費することになる。そのため、ONUから省電力状態への移行を要求することにより、ONUを間欠的に省電力状態に遷移させる技術が検討されている。
また、ONUからの上りデータがない場合に、そのようなONUに無駄な送信帯域を割当てず、スループットを向上するPONシステムが検討されている(特許文献1)。このPONシステムでは、予め設定された一定期間、ユーザデータがない状態をOLTが検知した時に、OLTはONUの登録を抹消し、当該ONUに対して光リンクを一時的に停止する旨を通知する。その後、ONUには送信帯域が割り当てられず、リンクを維持するためのフレームの送信も抑制されるため、ONUはフレームの送信回数を減らすことができる。
特開2007−274534号公報
特許文献1に記載されたPONシステムでは、一定時間データを送信しないONUに対してリンクを切断するため、OLTの負荷を低減できる。しかし、ONUが上りデータの送信を再開する場合には、OLTは未接続のONUを発見するディスカバリー処理を再度行う必要があり、リンクを新らたに確立してONUを再登録する。そのため、例えば低ビットレートでの通信が継続している場合には、この通信方法は使用できないという課題があった。
この発明の子局装置は、送信器、受信器、並びにこれら送信器および受信器のうち少なくとも一つの電力消費を所定のスリープ期間に停止または低下させるスリープモードを制御する制御装置を備えた子局装置であって、前記制御装置は、親局装置から受信したタイムスタンプと自装置で計測したローカルタイムとの差異を検出し、この差異が予め定められた値を超えた場合にタイムスタンプ・ドリフト・エラーを検出し前記親局装置による論理リンクの再設定を待つ非登録状態に移行し、前記タイムスタンプ・ドリフト・エラーを検出した場合に、前記スリープモードの種類に応じて異なる処理を行うものである。
この発明の光通信システムの通信方法は、複数の子局装置を共通の光ファイバを用いて親局装置に接続する光通信システムの通信方法であって、非登録状態の前記子局装置が前記親局装置に登録されるまで待機するステップと、前記親局装置が前記光ファイバを介して接続された前記非登録状態の子局装置を発見し登録状態の前記子局装置として登録するディスカバリステップと、同期信号を受信した前記子局装置が、前記同期信号と自装置の時刻とを比較することにより同期ずれを監視し、前記同期ずれを検出した場合には前記非登録状態に戻って送信を停止する通信ステップと、前記子局装置が前記通信ステップ中に通信リンクを維持しながら送信器または受信器への電力供給を所定の休止期間、停止または低減させる省電力制御を断続的に実行する省電力ステップと、を備え、前記省電力ステップにおいて、前記同期ずれを検出した場合の処理が前記省電力制御の種類に応じて異なるものである。
この発明の光通信システムは、複数の子局装置を共通の光ファイバを用いて親局装置に接続する光通信システムであって、前記親局装置は、登録状態の前記子局装置に同期信号を送信するとともに、前記子局装置は、送信器、受信器、前記子局装置が通信リンクを維持しながら前記送信器または前記受信器への電力供給を所定の休止期間、停止または低減させる省電力制御を断続的に繰り返す省電力制御部、受信した前記同期信号と自装置の時刻とを比較することにより同期ずれを監視する監視部、および前記監視部が前記同期ずれを検出した場合には前記登録状態から非登録状態へ移行し、前記同期ずれを検出した場合に、前記省電力制御の種類に応じて異なる処理を行う制御部を備えたものである。
この発明の制御装置は、光ファイバを用いて親局装置に接続する子局装置の制御装置であって、前記子局装置が通信リンクを維持しながら送信器または受信器への電力供給を所定の休止期間、停止または低減させる省電力制御を断続的に繰り返す省電力制御部、前記親局装置から受信した同期信号と自装置の時刻とを比較することにより同期ずれを監視する監視部、および前記監視部が前記同期ずれを検出した場合には登録状態から非登録状態へ移行し、前記同期ずれを検出した場合に、前記省電力制御の種類に応じて異なる処理を行う制御部を備えたものである。
本発明にかかる子局装置、光通信システムの通信方法、光通信システムおよび制御装置は、断続的な通信によるパワーセーブ動作において通信効率を向上させることができる。
図1は、本発明の実施の形態における通信システムの構成を示す構成図である。 図2は、本発明の実施の形態1における通信方法を示すシーケンス図である。 図3は、本発明の実施の形態1における通信方法を示すシーケンス図である。 図4は、本発明の実施の形態1における信号フォーマットを示す図である。 図5は、本発明の実施の形態1における子局装置の通信制御を示すフローチャートである。 図6は、本発明の実施の形態2における通信方法を示すシーケンス図である。 図7は、本発明の実施の形態2における帯域割当信号のフォーマットを示す図である。 図8は、本発明の実施の形態2におけるスリープ許可信号のフォーマットを示す図である。 図9は、本発明の実施の形態2における肯定応答信号のフォーマットを示す図である。 図10は、本発明の実施の形態における制御装置を示す構成図である。 図11は、本発明の実施の形態2における子局装置の通信制御を示すフローチャートである。 図12は、本発明の実施の形態3における通信方法を示すシーケンス図である。 図13は、本発明の実施の形態3におけるスリープ許可信号のフォーマットを示す図である。 図14は、本発明の実施の形態3における子局装置の通信制御を示すフローチャートである。 図15は、本発明の実施の形態4における通信方法を示すシーケンス図である。 図16は、本発明の実施の形態4における通信方法を示すシーケンス図である。 図17は、本発明の実施の形態4における子局装置の通信制御を示すフローチャートである。
以下に、本発明にかかる子局装置、光通信システムの通信方法、光通信システムおよび制御装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
・ハードウェア構成
図1は、本発明の通信システムの実施の形態を示しており、通信システムの一例としてPONシステムを示している。図1に示すように、この通信システムは、親局装置であるOLT1と、子局装置であるONU10-1〜10-3と、を備える。OLT1とONU10-1〜10-3はスプリッタ40を介して加入者線30で接続されている。スプリッタ40は、OLT1に接続される加入者線30をONU10-1〜10-3の個数に分岐する。なお、ここではONUを3台とした例を示しているが、ONUの台数はこれに限らず何台でもよい。
OLT1は、PONプロトコルに基づいてOLT側の処理を実施するPON制御部(制御装置)2と、ONU10-1〜10-3から受信する上りデータを格納するためのバッファである受信バッファ3と、ONU10-1〜10-3へ送信する下りデータを格納するためのバッファである送信バッファ4と、光信号の送受信処理を行う光送受信器5と、上りデータと下りデータを波長多重するWDM(Wavelength Division Multiplexing)カプラ(WDM)6と、ネットワークとの間でNNI(Network Node Interface)の物理インタフェース機能を実現する物理層処理部(PHY)7と、を備える。光送受信器5は、受信処理を行う光受信器(Rx:Receiver)51と、送信処理を行う光送信器(Tx:Transmitter)52と、を備える。
ONU10-1は、PONプロトコルに基づいてONU側の処理を実施するPON制御部11と、OLT1への送信データ(上りデータ)を格納するためのバッファである送信バッファ(上りバッファ)12と、OLT1からの受信データ(下りデータ)を格納するためのバッファである受信バッファ(下りバッファ)13と、光送受信器14と、上りデータと下りデータを波長多重するWDM15と、端末20-1,20-2との間で、それぞれUNI(User Network Interface)の物理インタフェース機能を実現する物理層処理部(PHY)16-1,16-2と、を備える。
光送受信器14は、送信処理を行う光送信器(Tx:Transmitter)141と、受信処理を行う光受信器(Rx:Receiver)142と、を有する。PHY16-1は、受信処理を行う受信部(Rx:Receiver)161-1と、送信処理を行う送信部(Tx:Transmitter)162-1と、で構成され、PHY16-2は、受信処理を行う受信部(Rx:Receiver)161-2と、送信処理を行う送信部(Tx:Transmitter)162-2と、を有する。
なお、図1においてONU10-1に接続される端末は2台であるが、端末の数はこれに限らず、何台でもよい。そして、ONU10-1は端末の数に応じた物理層処理部(PHY)を備える。また、図1では代表としてONU10-1の構成例を示したが、ONU10-2,10-3もONU10-1と同様の構成である。
OLT1のPON制御部2は、従来のPONシステムと同様に、ONU10-1〜10-3に対して送信時間帯が重ならないようにそれぞれ送信許可を与えるように上りデータの帯域割り当てを行い、ONU10-1〜10-3の送信データの衝突を防いでいる。この帯域割り当ては、どのような方法を用いてもよいが、例えば、「Su-il Choi and Jae-doo著,“HuhDynamic Bandwidth Allocation Algorithm for Multimedia Services over Ethernet(登録商標) PONs”,ETRI Journal,Volume 24,Number 6,December 2002 p.465〜p.466」に記載されているDynamic Bandwidth Allocation Algorithm等を用いることができる。
つぎに、本実施の形態のOLT1とONU10-1〜10-3の全体動作を説明する。PON制御部2は、PHY7経由でネットワークから受信した下りデータ(下り通信データ)を送信バッファ4に格納する。OLT1からデータを送信する際には、PON制御部2が、送信バッファ4に格納されている下りデータを読み出して光送受信器5に出力し、光送受信器5のTx52が送信データを光信号としてWDM6へ出力し、WDM6が光送受信器5から出力される光信号に対して波長多重を行う。そして光信号は、加入者線30経由でONU10-1〜10-3へ送信される。また、PON制御部2が、送信許可の指示を送信する送信帯域割当等の制御メッセージを送信する場合には、PON制御部2が生成した制御メッセージは光送受信器5へ出力される。この制御メッセージは下りデータと同様にONU10-1〜10-3へ送信される。なお、図1のPONシステムでは、波長多重を行うためWDM6,15を用いているが、単一波長で通信する場合には、WDM6、15は必須ではない。
ONU10-1〜10-3では、OLT1から下り信号を受信すると、WDM15が下り信号を分離して光送受信器14へ出力し、光送受信器14のRx142が下り信号を電気信号の下りデータに変換してPON制御部11へ出力する。PON制御部11は、光送受信器14のRx142から出力された下りデータを受信バッファ13に格納する。PON制御部2は、受信バッファ13に格納された下りデータを読み出してそのデータの宛先に応じてPHY16-1,16-2の両方または片方に出力する。下りデータを受け取ったPHY16-1,16-2は、下りデータに対して所定の処理を実施して、接続された端末20-1,20-2へこの下りデータを送信する。
一方、ONU10-1〜10-3が上りデータを送信する場合には、PON制御部11は、端末20-1,20-2からPHY16-1,16-2経由で取得した上りデータを送信バッファ12に格納する。そして、OLT1から与えられた送信帯域に基づいて送信バッファに格納した上りデータを読み出して光送受信器14へ出力する。光送受信器14のTx141は、上りデータを光信号に変換し、WDM15,加入者線30経由でOLT1に送信する。
OLT1のPON制御部2は、ONU10-1〜10-3から加入者線30,WDM6,光送受信器5のRx51経由で受信した上りデータを受信バッファ3に格納する。また、PON制御部2は、受信バッファ3に格納した上りデータを読み出して、PHY7経由でネットワークへ出力する。
一方、OLT1が制御メッセージを送信すると、ONU10-1〜10-3のPON制御部11は、このメッセージをWDM15および光送受信器14のRx142経由で受信し、制御メッセージの指示に基づいた動作の実施、制御メッセージに対する応答の生成などを行う。
・パワーセーブ動作
次に、図2を参照して、起動したONU10-1〜10-3(以下1つのONUを特定しないときはONU10と記す)の通信開始処理、パワーセーブ動作、及びエラー検出処理を説明する。
(S1-2)非登録状態
新たにONU10が加入者線30に接続された場合、あるいは、本体電源が供給されONU10が新たに起動した場合(ステップS1)、そのONU10は光送受信器14による受信を行い、OLT1から送信許可が得られるまで送信を行わずに待機する(ステップS2)。このとき、ONU10はOLT1に通信相手として登録されておらず、LLID(Logical Link Identification)などの通信に必要な通信パラメータを保有していない。また、未登録状態であるため、ONU10には論理リンクが設定されておらず、上り通信における時分割多重アクセスの送信帯域が割当てられない。
(S3-4)初期化状態(Discovery)
未登録状態のONU10が通常のデータ通信を開始するためには、ディスカバリー処理によって、OLT1に発見、登録されなければならない。OLT1は、未登録状態のONU10を発見するため、定期或いは不定期にこのディスカバリー処理を実行する。まず、OLT1はディスカバリーゲート(Discovery GATE)をマルチキャスト送信する。このディスカバリーゲートには、上りリンクの共通送信帯域(ディスカバリウィンドウと呼ばれる)が記載されており、ONU10はこの共通送信帯域を使用して、自装置の識別情報(送信元アドレス)を記録した登録要求(REGISTER_REQ)を送信する。登録要求を受け取るとOLT1は、送信元のONU10に論理リンクを割当て、LLID等の通信パラメータを登録信号(REGISTER)に挿入して送信する。さらに、OLT1はONU10に個別の送信帯域を割当てるために帯域割当信号(GATE)を送信する。登録信号を受信したONU10は、通信パラメータを記憶し、割当てられた帯域とLLIDを用いて肯定応答信号(REGISTER_ACK)をOLT1へ送信するとともに登録状態に移行する(ステップS4)。
(S5-6)登録状態
OLT1は肯定応答信号(REGISTER_ACK)を受け取ると、当該ONU10を登録状態のONU10のリストに追加する。OLT1は、帯域更新周期と呼ばれる短い周期ごとに登録状態のONU10-1〜10-3に送信帯域を割当て、この送信帯域を帯域割当信号(GATEあるいはNormal GATE)を用いて各ONU10に通知する。送信帯域の割当ては、各ONU10からの送信帯域要求(REPORT)から得た、上りトラヒックの状態あるいは要求に基づいて決められる。OLT1は、宛先情報とLLIDを指定して下り信号(data)を送信するとともに、先に各ONU10に割当てた帯域で上り信号を受信して、データの送受信を行う。このようなGATE,REPORT,及びdataの送受信は帯域更新周期で繰り返される。
ONU10との通信量が減少した場合や、深夜等の特定の時間帯、停電や電力需要のひっ迫など消費電力を低減させたい場合(この発明において、省電力移行理由についてはこれらに限定されない)、OLT1は省電力状態への移行を全ONU10あるいは個別のONU10に対して決定し(ステップS6)、省電力状態での通信を開始する。なお、省電力状態での通信については図3を参照して後述する。省電力状態では、ONU10は一時的に送信または受信を制限することによって、送信器または受信器で消費される電力を低減させる。一方で、ONU10は非登録状態に移行せず、間欠的な通信を継続することによってOLT1との通信リンクを維持することができ、また、低送信レートでの送受信を継続することができる。
登録状態においては、OLT1及びONU10の双方は送受信中の通信障害を常に監視している(ステップS7)。エラーを検出した場合、ONU10は論理リンクの再設定を行うために登録状態から非登録状態に移行し、設定された通信パラメータを用いた送信を停止する(ステップS8)。非登録状態に移行したONU10は、上述ステップS2で説明したようにOLT1による登録待ち状態に戻る(ステップS9)。
エラーにはウォッチドッグタイマーによるLOS(Loss of Signal)や、同期ずれエラーなどがある。時分割多重接続を行う場合、各ONU10が送信する信号の送信タイミングが正確に守られていないと、上り信号同士が衝突し、OLT1は正常に信号を受信することができなくなる。そのため、OLT1は、各ONU10と時刻を共有し、同期信号を頻繁に送信することにより、ONU10が保有するローカルタイムを自装置の時刻に同期させる。同期ずれエラーは、ONU10が受信した受信した時刻情報とONU10が計測しているローカルタイムとの差が所定のしきい値以上になった場合、出力されるエラーである。同期ずれエラーを検出し非登録状態に戻ることにより、ONU10は上り信号の衝突等の問題を未然に防止し、通信システム全体の安定性を確保する。
以上、通信プロトコルの概要について説明したが、次に省電力状態における通信と同期ずれ検出の詳細について図3を用いて説明する。
・省電力状態の通信(スリープモード)
図3は登録状態のONU10とOLT1との間の下り通信のシーケンスを示している(図3において上り通信のシーケンスは省略されている)。通常の通信状態において、OLT1は、割当てた送信帯域および同期のための時刻情報t1(同期情報に相当する)を帯域割当信号(GATE)に挿入し、これをONU10に送信する(d1)。ONU10は、GATEを受信すると受信信号から時刻情報t1を抽出し、自装置が計測している時刻との差異を検出する(C1)。この差異が予め定められたしきい値以上である場合、ONU10は前述の同期ずれエラーを検出して、非登録状態に移行する。差異が予め定められたしきい値未満である場合には、ONU10は時刻情報t1に自装置の時刻を同期させる(Sy1)。この同期により、ONU10はより正確な時刻で上り信号の送信を行うことができる。OLT1とONU10は帯域更新周期ごとに同様の処理を繰り返し(d2,C2,Sy2)、常に同期を取りながら送受信を行う。なお、この図3においてCnは同期ずれ監視を表わし、Synは同期処理を表わしている(nは正整数)。
OLT1は帯域更新周期毎、または、所定のタイミングでONU10に省電力状態への移行を許可するかを判断する(ステップS6)。許可する場合、OLT1は省電力許可信号をONU10へ送信する(d3)。このとき、GATEも送信される。省電力許可信号を受信したONU10は、無条件であるいは省電力状態移行についての自己の判断に基づき、省電力状態に移行する。例えば、ONU10は、伝送レートの低減や遅延の発生が許容できるかをトラヒックの状態や、リンクのサービス内容、端末20-1,20-2の運転状態に基づいて、判断することができる。
図4に省電力許可信号のフォーマットの一例を示す。この信号は、宛先情報等の制御情報が記載されたヘッダーと、省電力許可信号を示す命令コード、ONU10に許容するスリープ期間等の情報を持っている。Pad/Reservedは、信号の長さを調整するためにフレームの余った領域に記載されるダミーデータであり、FCS(Frame Check Sequence)は信号の誤りを検出するためのデータである。省電力許可信号は、例えば、IEEE 802.3avの拡張OAM(Operation Administration and Maintenance)メッセージが使われ、MAC(Media Access Control)フレームに格納されて伝送される。また、拡張OAMの代わりに、拡張MPCP(Multi-Point Control Protocol)メッセージを用いて省電力許可信号を作成することもでき、省電力許可信号の形式、種類は特定のものに限定されない。
省電力状態に移行すると、ONU10は、送信処理および/または受信処理の消費電力を零にまたは低減する制御を行う。消費電力の制御には、下記の例示のような制御がある。
[1]消費電力の制御(省電力制御)の例示
(a)光送信器141および/または光受信器142の供給電力を遮断あるいは低減する
(b)送信バッファ12および/または受信バッファ13への電力供給停止や動作周波数の低減
(c)PON制御部11の動作周波数の低減、
(d)発光素子などのONU10が保有する一部の電子部品の機能停止
これらの制御はそれぞれが一例である。この発明において、消費電力を低減することができる制御や手段であればどのような手段等を用いてもよく、具体的な手段は、上述の例示に限定されるものではない。
図3の符号D2は、光送信器141および/または光受信器142の供給電力のオン(ON)とオフ(OFF)を示している。オン(ON)は通常制御の時間、オフ(OFF)は省電力制御が行われている時間を表している。ONU10が省電力状態に移行すると、所定の休止期間(スリープ期間)省電力制御を行って消費電力を低減させる。スリープ期間はタイマー等で計測され、ONU10はスリープ期間の満了前に再び、電力供給の再開等を始めスリープ期間経過後に通常状態の送受信ができるように、機能を回復させる。スリープ期間中は、OLT1はONU10にGATEを送信しなくともよい(d4,d5)。なお、下り方向の通信を継続する目的で、OLT1はスリープ期間中のONU10に対してもデータやGATEを送信してもよい。
スリープ期間が終了すると、ONU10は再び送受信ができる状態になる。OLT1は省電力状態の許可を継続するかどうかを決定し(ステップS6d)、継続する場合には、省電力許可信号を再びONU10へ送信する。ONU10は、省電力許可信号を受信すると、再び省電力制御を行い、スリープ期間において省電力状態となる。なお、図示していないが、リンクの維持をOLT1へ伝えることを目的として、ONU10はREPORTを送信することができる。
このような処理を、例えば1秒間に何回も、繰り返すことにより、OLT1とONU10は通信リンクを維持しながら消費電力を低減することが可能となる。スリープ期間とスリープ期間の間には一次起動時間があり、このスリープモード中の一時起動時間に、上り/下り信号を送信し、低ビットレートで通信を継続することが可能である。
OLT1がONU10を完全な起動状態にするため省電力許可を与えないことを決定した場合(ステップS6f)、OLT1はスリープ期間明けのONU10に省電力許可信号を送信せず、通常どおりGATEを送信する。ONU10は、一次起動時間に省電力許可信号を受信しなかった場合には、省電力状態に移行せず通常時の電力制御を行う。そのため、送信機能、および受信機能は、共に活性状態に維持される。
・省電力制御使用時の同期ずれ検出
次に、省電力制御において、通信リンクを維持する効果の高い同期ずれ検出制御を説明する。この制御によれば、省電力制御使用時に通信リンクが切断され、ONU10の再登録が必要になる確率を低減できる。再登録は、登録処理(ディスカバリー処理)の周期、共有帯域内での信号衝突を防ぐために長く設定されたディスカバリーウィンドウ、登録までに必要な複数回のメッセージによって決まる時間等、長い時間を浪費してしまう。本通信システムはこの再登録の発生確率を低減することにより、伝送遅延、伝送レートの低下を抑制することができる。
ONU10は自装置の時計でローカルタイムを計測しており、このローカルタイムに基づいて送信処理が行われる。このローカルタイムはGATE等の時刻情報により頻繁に修正され、ONU10はOLT1および他のONU10と同期した動作を行うことができる。スリープ期間において、この同期を行わないとローカルタイムが徐々にOLT1の時刻からずれていくことがある。例えば、図3のSy3のタイミングで同期を行った後、スリープ期間中にGATEの時刻情報を用いた同期処理を行わないと、スリープ期間明けの一時起動時間ではローカルタイムとGATEの時刻情報t6との差異が大きくなる。
さらに、ONU10で計測しているローカルタイムは、通常時、OLT1が送信する信号に含まれるクロック信号の位相等に同調しているため、ONU10が受信を休止した場合には自律的に計測しているローカルタイムの誤差が大きくなっていく可能性がある。そのため、このタイミングで通常モードと同様に同期ずれ検出を行うと非登録状態に移行してしまう確率が高くなる。
そこで、ONU10はスリープ期間明けの同期ずれエラーによる非登録状態への移行を抑制する制御を行う。図3の符号D1は、同期ずれエラー検出(より本質的には非登録状態への移行)の有無とそのタイミングを示している。ONU10は、通常時は同期ずれエラーの検出(あるいは、この検出による非登録状態への移行処理)を行う一方で、スリープ期間明けのタイミングでは、同期ずれエラーの検出(あるいは、この検出による非登録状態への移行処理)を一時的に抑制し、エラー検出しないか、或いは、検出しても非登録状態へ移行しない制御を行う。同期ずれエラーの抑制は検出自体をしない処理だけでなく、同期ずれエラー検出のしきい値を、大きくすることによっても実現できる。すなわち、ONU10は、エラー検出処理として、スリープ期間明けに使用されるしきい値を通常時のしきい値より大きい値に設定し、同期ずれの許容範囲を広げる処理を使用することも可能である。
同期ずれ検出の抑制処理とは対照的に、ONU10はスリープ期間明けの一時起動時間にローカルタイムの同期処理を行う(Sy6,Sy9)。この同期処理により、一時起動時間のREPORTの送信や上りデータの送信は正確に行われる。Sy9のタイミングで、同期処理が行われた後、ONU10は同期ずれ検出の抑制を解除する。そのため、これ以降の処理については通常通りに同期ずれ検出が行われるため、システム全体の同期は良好に保たれる。
・制御装置(子局)の処理詳細
次に、ONU10のPON制御部11の処理について図5を用いて説明する。図5は上述の通信シーケンスを実行するための制御を示すフローチャートである。このフローチャートの制御はコンピュータが実行可能なプログラムとして、制御装置としてのPON制御部11に組み込むことが可能である。
非登録状態のPON制御部11は、まず、OLT1に登録されなければ上位サービスの通信を開始することができない。そこで、上述のようにディスカバリー処理を行って、OLT1に自装置の情報を登録する(ステップS21)。次に、PON制御部11は光送受信器14で受信されたデータの受信処理を行う(ステップS22)。なお、自装置宛てのデータは何時到着するか分からないので、スリープ期間を除いてはデータの受信漏れがないように受信処理が行われる。受信処理では、GATEや省電力許可信号等の制御信号、一般データなどが受信される。
次に、PON制御部11は現在実行中の処理がスリープ期間明けの処理であるかどうかを判別する(ステップS23)。PON制御部11はスリープ期間明けの判定をタイマーで行ってもよいが、ここでは、PON制御部11はステップS26とステップS34で記憶される同期ずれエラーの出力抑制/解除情報によって判定を行う。スリープ期間明けでないと判定した場合、PON制御部11は受信信号に含まれる時刻情報に基づき同期ずれエラーが発生していないかを調べる(ステップS24)。例えば、GATEにはタイムスタンプと呼ばれる時刻情報が含まれており、PON制御部11はタイムスタンプとローカルタイムとの差を計算し、この差がしきい値(guardThresholdONU)を超えた場合に、エラー(time stamp drift error)を出力する。エラーを検出した場合、PON制御部11はステップS43の処理に移り、非登録状態に移行する。
エラーが検出されなかった場合、PON制御部11は時刻情報に記載された時刻にローカルタイムをセットし同期させる(ステップS25)。なお、同期とエラーの検出順序は、この順番である必要はない。同期後にエラー検出を行えるのであれば、PON制御部11は先に同期を行うこともできる。ただし、時刻情報との比較基準は修正前のローカルタイムである。
次に、PON制御部11は同期ずれエラーの出力抑制の終了処理(或いは解除)を行う(ステップS26)。この処理は、後述するステップS34で記憶された出力抑制情報をリセットするために行う処理である。同期処理が済んだ後は、スリープ期間明けの大きな同期ずれを許容する必要がない。そのため、PON制御部11は出力抑制情報をリセットして通常通り同期ずれエラーが検出されるように制御を変更する。
同期処理が完了した後に、PON制御部11はOLT1から割当てられた送信帯域を用いて、上り信号を送信する(ステップS27)。送信帯域が複数割当てられたときは、PON制御部11はそれぞれの帯域分の送信処理を実行する。
次に、PON制御部11は省電力許可信号(スリープ許可)を受信したかを調べる(ステップS28)。受信した信号が省電力許可信号であるか否かは、例えば、図4の信号フォーマットの場合、命令コードに"SLEEP_ALLOW"が記載されているかどうかで判別される。"SLEEP_ALLOW"は通常文字データがそのまま記載されているのではなく、短いコードに符号化された値である。省電力許可を受信した場合でも、PON制御部11は自らの判断で省電力状態に移行しないこともできる。従って、省電力許可信号を受信しており、かつ、省電力状態に移行すると判断したとき、PON制御部11はステップS32から始まる省電力制御を実行する。省電力許可がない場合、或いは、予め与えられた条件で自ら省電力に移行しないと判断した場合には、PON制御部11はシャットダウン等の通信終了事由があるかを判断する(ステップS29)。終了しない場合には、ステップS22に戻り、次の周期の送受信処理を実行する。
次に、省電力制御について説明する。
ステップS28で省電力状態に移行すると判断したPON制御部11は、送信および受信を停止し、光送受信器14への電力供給を停止するなどの省電力制御を行う。ここで、送信および受信機能を停止したが、PON制御部11は送信のみを停止させるなど、どちらか一方の機能について省電力制御を行うこともできる。
PON制御部11は、また、スリープタイマーを初期化しスリープ期間の計測を開始する(ステップS33)。続いて、PON制御部11は同期ずれエラーの出力抑制処理を行う(ステップS34)。この出力抑制処理は、例えば、メモリーやレジスターに記憶された出力抑制情報を"抑制"を示すコードに書き換える等により実行される。次に、PON制御部11は、スリープタイマーを監視し、スリープ期間が満了するまで待機する(ステップS35)。このとき、端末20-1,20-2との通信は継続することができ、データを受信した場合には、次の送信帯域が割当てられるまで受信バッファ13にデータを蓄積しておく。受信バッファ13が停止/低電力状態にあるときは、これを起動して受信バッファ13にデータを蓄積する。
スリープ期間が満了する直前のタイミングで、PON制御部11はステップS32の省電力制御を解除し、送受信器14等に通常通りの電力を供給する制御を行う(ステップS36)。この処理が終了するとPON制御部11は、ステップS29に移行し、通常モードで次の周期の送受信等を行う。
ステップS43は、ONU10が登録状態から非登録状態に移行する処理である。PON制御部11は、同期ずれエラーの出力抑制が行われてない状態で、同期ずれエラーを検出すると、リンクに関する設定情報を無効化し、送信を停止して非登録状態に移行する。非登録状態のONU10は、上述のようにディスカバリー処理によってOLT1に再登録されるまで待機状態となる。なお、図示されていないが、他のエラーや他の与えられた条件でONU10が自ら非登録状態に遷移する場合もある。
以上のように、この実施の形態によれば、省電力中の同期ずれによるリンク切れや、子局の非登録状態への移行を減らすことができるので、省電力機能を使った通信の効率を高めることができる。また、この実施の形態の通信システムは、再登録によるデータ伝送の遅延を抑制することができるという利点がある。
広帯域通信が許容する同期ずれの許容値は、極めて小さい値である。Ethernet(登録商標)では、周波数偏差の許容値は+/-100[ppm]であるため、諸条件により変わるが、例えば、10[ms]のような短い時間でも受信処理や同期処理を休止させると、省電力状態から復帰後に同期エラーが生じてしまい、ONU10の再登録が必要になる可能性がある。この実施の形態では、このような通信システムでも、より安定的な通信を実現することができる。
実施の形態2
次に、子局が省電力モードを選択できる通信システムを説明する。図6はこの実施の形態2の通信シーケンスを示している。図6において、図3と同一の符号は同一または相当の部分を表わしている。
図6では省電力許可信号としてSLEEP_ALLOWメッセージが使用され(d3参照)、SLEEP_ALLOWには、OLT1が許可する省電力モードのパラメータが指定されている。この省電力モードは、例えば、下記のようなものである。
[2]省電力モード
(Tx):Tx Sleep
送信の停止など、送信に係る機能を制限することにより、送信に使用される電力を低減する。
(TRx):TRx Sleep
送受信の停止など、送信および受信機能を制限することにより、送受信に使用される電力を低減する。
(Rx):Rx Sleep
受信の停止など、受信機能を制限することにより、受信に使用される電力を低減する。
OLT1は、上りまたは/および下りのトラヒックの状況などに基づいて、許可モードを決定する(ステップS6、S6d)。この許可する省電力モードは、予め与えられた条件に基づき決められるものであれば、どのような判断基準で決定されてもよい。そのため、この実施形態において判断基準は特定の基準に限定されるものではない。以下に許可モードの選択基準を例示する。
[3]許可モードの選択基準例
(a)当該ONU10の上り/下りトラヒックの量:しきい値未満のとき省電力へ移行
送信/受信バッファのデータ蓄積量
過去の統計情報
(b)ONU10に提供しているサービスやユーザとの契約の内容
ビジネス/パーソナル(ビジネスはTRx、Rx禁止、パーソナルは全モード許可)
低遅延サービス/遅延許容サービス(低遅延サービスはTxのみ許可)
保証帯域の大きさ
(c)ディスカバリー処理によってONU10から取得した省電力(パワーセーブ)機能の対応情報
(d)時間帯(時間帯ごとに許可モードを設定)
SLEEP_ALLOWメッセージには、単数または複数の省電力モードを指定することが可能である。図6の例では、OLT1は、Tx SleepとTRx Sleepの2つの省電力モードを許可モードとして指定し、SLEEP_ALLOWメッセージに許可モード情報を挿入して、ONU10へ送信している。SLEEP_ALLOWメッセージを受信したONU10は、許可モードから使用する省電力モードを選択し、電力制御を行う(ステップS6c、S6e)。また、ONU10は、選択した省電力モードを指定した肯定応答信号(SLEEP_ACK)をOLT1へ送信する。
ONU10は、許可されたモードの中から使用する省電力モードを下記の条件等に基づき選択する。ONU10が選択する省電力モードは、予め与えられた条件に基づき決められるものであれば、どのような判断基準で決定されてもよい。そのため、この実施形態において判断基準は特定の基準に限定されるものではない。
[4]省電力モードの選択条件例
(a)端末20-1,20-2の種類/起動状態/運転状態
低遅延が要求される端末に対してはTxを選択。
端末が起動しているときはTx,停止中はTRxを選択。
一定時間アクセスがない端末に対してはTRxを選択。
ある程度のアクセスがある場合にはTxを選択。
(b)上下のトラヒックの状況、
上りトラヒックがしきい値未満のとき、Txを選択等。
(c)送信または受信バッファの占有状態、
バッファのデータ占有量がしきい値未満のとき、当該方向の機能を省電力に遷移させる。
(d)自装置が対応する省電力モードの情報、
(e)停電などのONU10の動作環境変化(電池搭載のONUは、停電が発生した場合に電池の電力を使用して運転を続けることが可能)
OLT1は、SLEEP_ACKメッセージを受信すると、ONU10が省電力モードに移行したことが分かるので、この省電力モードに応じてそのONU10に上り、下りの帯域を割当てることができる。例えば、Tx Sleepの場合、ONU10は受信が可能であるので、下りデータの送信を通常通り続けることができる。また、スリープ期間中に発生した上りデータをONU10が送信可能なように、予め送信帯域を割当てGATEを用いて通知することができる。
TRx Sleepの場合には、OLT1は下りのデータ送信を行わず、他のONU10に送信帯域を多く割り当てることによって、帯域の無駄を削減することができる。また、そのONU10は、GATEも受信しないことが想定できるので、OLT1はスリープ期間中のONU10に送信帯域を割当てないこともできる(スリープ期間の途中で、ONU10が受信を開始したときのために、送信帯域を割当てることも可能)。
上述のような通信プロトコルを使用した場合でも、同期ずれ検出、すなわちタイムスタンプ・ドリフト・エラーの制御は有効に機能する。ONU10は、スリープモード中の一時起動時間にタイムスタンプ・ドリフト・エラーによる非登録状態への移行を抑制し、通信の中断を予防する。省電力モードの選択結果は、同期処理されたローカルタイムによって正しい送信タイミングで送信されるため、省電力中の通信は正常に継続される。
・メッセージフォーマット
図7は、GATEのメッセージフォーマットの一例であり、MPCPDU(Multi-Point Control Protocol Data Unit)のGATEフレームを示している。GATEメッセージは、opcodeとしてGATEを示すコードを持ち、タイムスタンプとして32ビットの送信時刻データをONU10へ届ける。また、OLT1は、GATEメッセージに複数の送信帯域(grant)を指定し、ONU10に複数の送信帯域を許可することが可能である。
図8は、SLEEP_ALLOWのメッセージフォーマットの一例を示している。スリープ期間の記載はオプションである。各SLEEP_ALLOWメッセージにスリープ期間を記入せずに、ディスカバリーのとき等にOLT1とONU10はスリープ期間を交渉し、この交渉により予め決定されたスリープ期間を両者が使用するようにすることもできる。
許可される省電力モードは、Tx Sleep許可欄、TRx Sleep許可欄に指定される。図示していないがメッセージにRx Sleep許可欄を設けることも可能であるし、モードごとに欄を分けずに1つの欄としてもよい。この場合、複数の許可モードの組み合わせが識別できるコードがその1つの欄に記入される。
図9は、SLEEP_ACKのメッセージフォーマットの一例を示している。ONU10はスリープモード欄に選択したスリープモードを記載してOLT1へ送信する。なお、省電力状態に移行しない場合、省電力状態を解除する場合、ONU10はこのスリープモード欄に"awake"を示すコードを記入して、OLT1へ通知する。
なお、信号名として、GATE、SLEEP_ALLOW、SLEEP_ACK以外の名称も使用できることは言うまでもない。スリープ許可信号、肯定応答信号は、IEEE 802.3av等の拡張OAMメッセージを使用することもできるし、拡張MPCPメッセージや他の制御信号を使用することもできる。
・制御装置
図10はONUのPON制御部11の一例を示した図である。PON制御部11は例えば、IEEE 802.3,IEEE 802.3avまたはその後継の通信プロトコルによる通信を制御することができる制御装置である。なお、PON制御部11が取り扱う通信プロトコルは、IEEE 802.3av等に限定されるものではない。コントローラー11aは、メモリー11fに記憶されたプログラムの命令を読み込み、この命令に従い信号の入出力を行うとともに各構成を制御する。メモリー11fは、プログラム、通信パラメータ、および自装置の能力情報(例えば、送信器の起動にかかる時間、実行可能なスリープモード)などを記憶する。
PONクロック11bは受信信号に含まれるクロックに追従しながら(例えば、周期的に変化するクロック信号の位相変化に同調して)ローカルタイムを計測し、コントローラー11aに送受信タイミングを判別するための時刻情報(ローカルタイム)を供給する。PONクロック11bのローカルタイムは厳密にOLT1と同期している必要があるため、コントローラー11aは定期または不定期にOLT1から受信したタイムスタンプを用いてPONクロック11bのローカルタイムを修正する。この処理が同期処理である。同期ずれ監視部11cは、ローカルタイムと受信信号のタイムスタンプを比較して同期ずれエラー(タイム・スタンプ・ドリフトエラー)の有無を監視し、警報をコントローラー11aに通知する。
スリープタイマー11eはスリープ期間を計測するタイマーである。スリープ期間はONU10が受信した省電力許可信号に含まれる情報、予めOLT1と交渉した値、または予め定められたデフォルト値等によって指定される。スリープタイマー11eは、省電力許可信号を受信すると、スリープ期間の経過を計測し、スリープ期間の満了を通知する信号を出力する。省電力制御部11dは、送受信器14のTx141、Rx142、送信バッファ12、および/または受信バッファ13の消費電力を制御する。省電力制御部11dは、コントローラー11aの指示とスリープタイマー11eの計測時間に従って省電力の制御を行う。なお、同期ずれ監視部11c、省電力制御部11dおよびスリープタイマー11eの機能はコントローラー11aに内蔵することもできる。
同期ずれ監視部11cは、同期ずれエラーを検出したときコントローラー11cに警報を出力する。この警報は非登録状態への遷移に利用される。コントローラー11cは、省電力動作に連動して警報の出力を抑制するように同期ずれ監視部11cを制御する。なお、コントローラー11aが警報抑制の信号を同期ずれ監視部11cに出力せず、警報を受信しても所定の条件では非登録状態に移行しないようにしても、同様の目的を達成することができる。
・制御装置の動作
次に、図11を参照し制御装置の一例としてのPON制御部11の動作を説明する。PON制御部11は、PONインタフェースに組み込まれる制御装置であり、ICチップ化されたプロセッサである(PON制御部2も同様)。図11に記載された処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとしてメモリーに記憶されている。なお、図11において図5と同一の符号は同一または相当の処理を表わしている。
この実施形態のONU10は、OLT1が許可した省電力モードから使用する省電力モードを選択することができる。省電力状態への移行をステップS28で決定すると、PON制御部11は、省電力許可信号(SLEEP_ALLOWメッセージ)から許可モードを抽出し、使用するモードを上述[4]省電力モードの選択条件等に基づいて選択する(ステップS30)。次に、PON制御部11は選択した省電力モードに対応するコードを肯定応答(SLEEP_ACKメッセージ)に記入し、OLT1へ送信する。
続いて、選択した省電力モードに基づいて、下記のような制御を行う。送信機能および受信機能の両者に関する省電力制御を行う場合(ステップS32)には、例えば、Tx141およびRx142の発光素子、受信素子の電力供給を停止する制御信号を送受信器14へ出力する。送受信器14はこの制御信号を受信すると、各素子に接続された電源ラインへの給電を停止する。なお、実施の形態1において説明したとおり、他の制御もONU10の省電力化に有効である。他の制御の例は、受信バッファ13など他の素子について消費電力を低減する制御や、給電を停止するだけでなく動作周波数を低下させるなどである。
また、PON制御部11はスリープタイマー11eによるスリープ期間の計測を開始する。なお、SLEEP_ALLOWメッセージにスリープ期間の開始時刻と長さが記載されている場合には、スリープタイマー11eは計測開始のタイミングを開始時刻に合わせてスリープ期間を計測することができる。
以降、図5を参照して説明したようにPON制御部11はスリープ期間が満了するまで、省電力状態で待機する。
省電力モードとしてTx Sleep、すなわち、送信機能のみを省電力状態にして、受信機能は維持する省電力モードを選択した場合には、PON制御部11は送信機能に関する回路、部品を選択して省電力制御を行う(ステップS37)。PON制御部11は、さらに、ステップS33と同様にスリープタイマー11eによるスリープ期間の計測を開始する(ステップS38)。
このモードでは、スリープ期間中、Rx142および受信バッファ13が動作しているため、PON制御部11は下り信号の受信処理を行うことができる(ステップS39)。続いて、PON制御部11は同期ずれ検出と受信信号に基づいて同期処理を行う(ステップS40、S41)。なお、スリープ期間中は送信が抑制されるため、この同期ずれ検出は必ず実施しなければならない制御ではない。すなわち、この検出は設計に応じて選択的に採用される制御である。そのため、このステップにおいて、PON制御部11が、ステップS34と同様に同期ずれエラーの抑制処理を行うこともできる。
同期処理が終了すると、PON制御部11はスリープ期間が満了するかを判断し(ステップS42)、満了するまでステップS39〜S41の受信処理を継続する。スリープ期間が満了すると判断した場合は、PON制御部11は省電力制御を中止し、送信機能および受信機能への給電を通常通りに行う(ステップS36)。そして、PON制御部11はステップS22〜S29の送受信処理に移行する。
実施の形態3
次に、子局が省電力状態への移行を要求する実施の形態を説明する。
図6の通信シーケンスでは、省電力状態に移行するシーケンスの開始点は親局(OLT1)側にある。一方、この実施の形態の通信システムは、図12に示す通り省電力シーケンスを子局(ONU10)が開始する通信シーケンスを実行する。
ONU10の使用状態によって、ONU10が省電力状態への移行を積極的に要求したい場合がある。それらは、例えばONU10のユーザからの休止指示、ONU10に接続された端末20-1,20-2が停止しているなどの端末の動作状態、ONU10が設置されている地域で停電が発生したなどである。ONU10が省電力状態に移行する条件は、例えば、上述[4]省電力状態の選択条件例(a)〜(e)と同様の多種多様なものがあり、特定の条件には限定されない。
図12のステップS6aにおいて、ONU10は省電力状態への移行を決定し、OLT1から与えられた送信帯域を用いて要求信号(SLEEP_indication_notificationメッセージ)を送信する。図13は、この要求信号のフォーマットの一例を示す。なお、要求する省電力モードのコードを1つまたは複数指定できるように、この要求信号のフォーマットを変更してもよい。この場合、ONU10はOLT1が許可する省電力モードを予め指定することができる。
図14は要求信号を送信する場合のONU10の制御装置の処理を示している。登録状態のONU10は、ステップS6aに示す処理において、上述のように要求信号を出力するかどうかを決定し、上りの送信帯域を用いて要求信号を送信する。
OLT1は、この要求信号を受信するとステップS6bで、そのONU10に省電力許可を与えるかを決定する。省電力許可を与えると判断した場合には、OLT1は省電力許可信号(SLEEP_ALLOW)を送信する。例えば、要求信号を受け取った場合の移行許可条件を通常時に比べて省電力状態に移行しやすいように緩和すると、この通信システムは実需に適応的な省電力制御を実行することができる。また、OLT1による省電力許可の決定が定期的に行われる場合、要求信号を受け取ったONU10に対して早期に省電力許可を出すようにすることも可能である。
なお、要求信号の信号名として、SLEEP_indication_notification以外の名称を使用することもできる。また、要求信号として、拡張OAMメッセージ、拡張MPCPメッセージ、または他の制御信号を使用できる。
実施の形態4
次に、同期ずれエラーの抑制制御をスリープ期間から所定の期間まで行う実施の形態について説明する。実施の形態1では、ONU10は、スリープ期間明けに同期処理を行った後、同期ずれエラーの抑制解除処理を行った(図5のステップS25、S26参照)。このような制御以外でも、スリープ期間明けの同期問題によりONU10が非登録状態になることを抑制できるような制御であれば、どのような方法も使うことができる。
図15および図16は、抑制制御の終了タイミングがスリープ期間終了直後の一定時間T経過時である制御方法を示している。図15において図3と同一の符号は同一又は相当の部分を表わし、図16において図6と同一の符号は同一又は相当の部分を表わしている。また、図12の通信シーケンスでも同様の処理を適用できることは言うまでもない。
スリープ期間終了直後の抑制時間Tは、同期ずれエラーによる非登録状態への移行を抑制できる時間であって、非省電力状態での通信に大きな同期上の支障がない時間が設定される。
抑制制御の計測は、例えば、スリープ期間の開始時にタイマーによる計時を開始し、この計時の開始からスリープ期間の長さ+抑制時間Tが経過した場合に、タイマーが満了するように設計することにより実行できる。この時間の計測はこの方法に限らず、タイマーがスリープ期間が終了したときに計測を開始し、抑制時間Tが経過したときにタイマーが満了する方法で計測を行うという方法でもよい。また、同様の結果が得られるのであれば、計測方法はどのような方法でも構わない。タイマーは同期ずれ抑制制御の専用タイマーであってもよいし、他のタイマーと兼用のタイマーでも構わない。また、抑制時間Tをスリープ期間明けの帯域更新周期に設定することもできる。
図17は、上述の処理を行う制御装置のフローチャートを示す。図17において、図5、図11または図14と同一の符号は、同一または相当の処理を示している。図17のステップS23aにおいて、PON制御部11はスリープ期間終了直後から抑制時間Tが経過したかどうかを例えば前述のタイマーで検出する。この期間の経過前、すなわち現在の時刻が抑制期間にある場合には、PON制御部11はステップS24の同期ずれ検出処理を飛ばしてステップS25に移行する。前記抑制期間外の場合には、PON制御部11は同期ずれ検出処理を行う(ステップS24)。
なお、ステップS50はスリープ処理であり、図5、図11または図14のステップS30〜S42と同様の処理である。また、図17の処理においては、図5、図11または図14の同期ずれエラー出力抑制終了処理(ステップS26)を省いているため、これに対応する同図の同期ずれエラー出力抑制開始処理(ステップS34)も省くことができる。
以上、この発明の実施の形態について説明した。この発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の主旨に包含されるかぎりどのような変形が行われてもよい。例えば、この通信方法が適用される通信システムは、PONシステムである必要はなく。アクティブ素子を用いた光通信システムにも適用することができる。また、光通信に限らず、端末間を電気信号を用いて通信する通信システムに適用することも可能である。
この発明は、省電力化が必要な子局装置、光通信システムの通信方法、光通信システムおよび制御装置に適している。
1 OLT、2 PON制御部、3,13 受信バッファ、4,12 送信バッファ、5,14 光送受信器、6 WDM、7 PHY、10−1〜10−3 ONU、11 PON制御部、20−1,20−2 端末、30 加入者線、40 スプリッタ、51,142,161−1,161−2 Rx、52,141,162−1,162−2 Tx。

Claims (10)

  1. 送信器、受信器、並びにこれら送信器および受信器のうち少なくとも一つの電力消費を所定のスリープ期間に停止または低下させるスリープモードを制御する制御装置を備えた子局装置であって、
    前記制御装置は、
    親局装置から受信したタイムスタンプと自装置で計測したローカルタイムとの差異を検出し、
    この差異が予め定められた値を超えた場合にタイムスタンプ・ドリフト・エラーを検出し前記親局装置による論理リンクの再設定を待つ非登録状態に移行し、
    前記タイムスタンプ・ドリフト・エラーを検出した場合に、前記スリープモードの種類に応じて異なる処理を行う
    ことを特徴とする子局装置。
  2. 前記制御装置は、
    前記送信器および前記受信器の電力消費を前記スリープ期間に停止または低下させたとき、前記スリープ期間後に送受信を再開する場合には、前記タイムスタンプ・ドリフト・エラーによる前記非登録状態への移行を一時的に抑制する一方、
    前記送信器のみの電力消費を前記スリープ期間に停止または低下させたときには、前記タイムスタンプ・ドリフト・エラーを検出すると前記非登録状態に移行する
    ことを特徴とする請求項1に記載の子局装置。
  3. 前記制御装置は、前記親局装置から許可されたスリープモードに従って、前記送信器または前記受信器の電力消費の停止または低下を制御する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の子局装置。
  4. 前記制御装置は、前記親局装置から許可されたスリープモードが複数の場合には、複数の前記スリープモードから使用するスリープモードを選択する
    ことを特徴とする請求項3に記載の子局装置。
  5. 複数の子局装置を共通の光ファイバを用いて親局装置に接続する光通信システムの通信方法であって、
    非登録状態の前記子局装置が前記親局装置に登録されるまで待機するステップと、
    前記親局装置が前記光ファイバを介して接続された前記非登録状態の子局装置を発見し登録状態の前記子局装置として登録するディスカバリステップと、
    同期信号を受信した前記子局装置が、前記同期信号と自装置の時刻とを比較することにより同期ずれを監視し、前記同期ずれを検出した場合には前記非登録状態に戻って送信を停止する通信ステップと、
    前記子局装置が前記通信ステップ中に通信リンクを維持しながら送信器または受信器への電力供給を所定の休止期間、停止または低減させる省電力制御を断続的に実行する省電力ステップと、を備え、
    前記省電力ステップにおいて、前記同期ずれを検出した場合の処理が前記省電力制御の種類に応じて異なる
    ことを特徴とする光通信システムの通信方法。
  6. 前記省電力ステップにおいて、前記送信器および前記受信器への電力供給を前記休止期間、停止または低減させる場合には、前記休止期間後において、前記子局装置は前記同期ずれの検出による前記非登録状態への移行を一時的に抑制する一方、
    前記省電力ステップにおいて、前記送信器のみへの電力供給を前記休止期間、停止または低減させる場合には、前記同期ずれを検出すると前記非登録状態に戻る
    ことを特徴とする請求項5に記載の光通信システムの通信方法。
  7. 複数の子局装置を共通の光ファイバを用いて親局装置に接続する光通信システムであって、
    前記親局装置は、
    登録状態の前記子局装置に同期信号を送信するとともに、
    前記子局装置は、
    送信器、
    受信器、
    前記子局装置が通信リンクを維持しながら前記送信器または前記受信器への電力供給を所定の休止期間、停止または低減させる省電力制御を断続的に繰り返す省電力制御部、
    受信した前記同期信号と自装置の時刻とを比較することにより同期ずれを監視する監視部、および
    前記監視部が前記同期ずれを検出した場合には前記登録状態から非登録状態へ移行し、
    前記同期ずれを検出した場合に、前記省電力制御の種類に応じて異なる処理を行う制御部
    を備えた光通信システム。
  8. 前記子局装置の制御部は、
    前記省電力制御において前記送信器および前記受信器の電力供給を前記休止期間、停止または低減させたとき、前記休止期間後においては前記同期ずれの検出による前記非登録状態への移行を抑制する一方、
    前記省電力制御において前記送信器のみの電力供給を前記休止期間、停止または低減させたときには、前記同期ずれを検出すると前記登録状態から前記非登録状態に移行する
    ことを特徴とする請求項7に記載の光通信システム。
  9. 光ファイバを用いて親局装置に接続する子局装置の制御装置であって、
    前記子局装置が通信リンクを維持しながら送信器または受信器への電力供給を所定の休止期間、停止または低減させる省電力制御を断続的に繰り返す省電力制御部、
    前記親局装置から受信した同期信号と自装置の時刻とを比較することにより同期ずれを監視する監視部、および
    前記監視部が前記同期ずれを検出した場合には登録状態から非登録状態へ移行し、
    前記同期ずれを検出した場合に、前記省電力制御の種類に応じて異なる処理を行う制御部
    を備えた制御装置。
  10. 前記省電力制御において前記送信器および前記受信器の電力消費を前記休止期間、停止または低減させたとき、前記休止期間後においては前記同期ずれの検出による前記非登録状態への移行を抑制する一方、
    前記省電力制御において前記送信器のみの電力供給を前記休止期間、停止または低減させたときには、前記同期ずれを検出すると前記登録状態から前記非登録状態に移行する
    ことを特徴とする請求項9に記載の制御装置。
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