JP2013108964A - 放射線遮蔽性積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射線遮蔽性能に優れ、安価で軽量であるため子どもや高齢者であっても長時間着用することができる防護服の素材となる放射線遮蔽性積層体を得る。
【解決手段】吸水材及び水を含有するシート状の放射線遮蔽層及びその両側に設けられた防水層からなることを特徴とする放射線遮蔽性積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、放射線遮蔽性能に優れ、衣料品等に使用することができる放射線遮蔽性積層体及びこれを利用して得られた衣料に関するものである。
放射線は人間の健康に対して悪影響を与える可能性が高いものであることから、放射線濃度が高い場所においては、これらを遮蔽することが要求されている。このような目的を達成するために防護服が使用されており、例えば、特許文献1、非特許文献1等に開示されている。しかし、これらの防護服は原子力発電所等での作業に対応できるように、機密性が高く、作業環境における放射線を防御できるものである。
しかしながら、東日本大震災における原子力発電所事故によって、放射性物質の拡散が発生したことから、原子力発電所の作業員だけではなく一般の人たちの日常生活においても、放射線遮蔽を行うことが重要になってくる。特に、避難対象地域ではないが、事故現場からの距離が近い地域においては、比較的微弱とはいえ、放射線への曝露が不安視されている。しかしながら、従来の放射線遮蔽用の防御服は、価格が高く重量が非常に重いため、一般の人が日常生活において使用することができるものではない。
特許文献2は人体を保護するための物品として含水シートを利用することが記載されている。しかし、引用文献2における実質的な記載はボードに関するものであり、衣服に関する記載はほとんどなされていない。更に、特許文献2における原子力発電所等で作業する人の作業服としての記載であり、一般の人が日常生活において着用する防護服に関して記載されていない。
一般の人が使用する防護服においては、原子力発電所のように高度の放射線を遮蔽する必要はないが、外出中、長時間にわたって使用するものであることから、引用文献に記載されたものよりも、快適性、軽量性などが必要とされる。
特開2010−133772号公報 特開2002−162493号公報
放射線遮る防護服開発 日本経済新聞 2011年10月8日
本発明は上記に鑑み、放射線遮蔽性能に優れ、安価で軽量であるため子どもや高齢者であっても長時間着用することができる防護服の素材となる放射線遮蔽性積層体を得ることを目的とするものである。
本発明は、吸水性樹脂及び水を含有する放射線遮蔽層及びその両側に設けられた防水層を有することを特徴とする放射線遮蔽性積層体である。
本発明の放射線遮蔽性積層体は、更に、最表面に撥水層を設けたものであることが好ましい。
上記放射線遮蔽層は、更に、ホウ酸又はその塩、炭素粒子、並びに、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1の成分を含有することが好ましい。
本発明は、上述した放射線遮蔽性積層体から得られたものであることを特徴とする放射線遮蔽用衣服でもある。
本発明の放射線遮蔽性積層体は、安価、軽量であり、日常生活において一般の人が容易に利用することができるものである。これによって、衣料品を製造することで、一般の人たちの放射線への曝露を予防することができるものである。
実施例における含水セルロースシートの厚みと遮蔽率との関係を示す図である。 実施例における板状含水ポリアクリル酸ナトリウムの厚さと遮蔽率との関係を示す図である。 実施例における飽和ホウ酸ナトリウム水溶液を浸みこませたセルロースシートの厚みと遮蔽率との関係を示す図である。 比較例における空気層の厚みと遮蔽率との関係を示す図である。 実施例及び比較例において測定した各種素材の遮蔽率を示す図である。
本発明の放射線遮蔽性積層体は、吸水材及び水を含有する放射線遮蔽層を有するものである。放射線のうち、α線、β線は比較的容易に遮蔽することができるが、中性子線、γ線透過力が強い。このうち、中性子線は水の中の水素原子によって遮蔽することができると言われている。
しかしながら、液体状態の水を放射線遮蔽材として使用することは容易ではない。本発明においては、吸水材に水を吸水させた状態のものを放射線遮蔽材として使用する。これによって、一般の人が使用するような軽量の放射線遮蔽性積層体とすることができる。
ここで使用する吸水材としては特に限定されず、セルロース系、パルプ系等の天然由来の吸水材、アクリル酸系重合体等の合成系の吸水材の吸水性の素材を用いたもの;スポンジ等の多孔質体;織布、編布、不織布、綿等の繊維構造物等の公知の材料を挙げることができる。繊維構造物を使用する場合の繊維素材としては特に限定されず、綿、絹、麻、羊毛等の天然繊維、レーヨン等の半合成繊維、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル等の合成繊維のいずれも使用することができる。
上記放射線遮蔽層は、吸収材に吸収材自体の重量と同重量以上の水を含ませたものであることが好ましい。このようにすることで、充分な放射線遮蔽性能を得ることができる点で好ましい。
上記放射線遮蔽層には、水のみを含ませたものであってもよいし、例えば、ホウ酸又はその塩等のような放射線遮蔽性能を有する化合物を溶解・混合したものであってもよい。このようにすることで、より高い放射線遮蔽性能を得ることができる点で好ましい。ホウ酸又はその塩を使用する場合は、溶液に対して5〜45g/lの濃度で配合することが好ましい。
上記放射線遮蔽層は、炭素粒子を含むものであってもよい。このような炭素粒子を添加することで、遮蔽率が向上するという点で好ましい。上記炭素粒子としては特に限定されないが、活性炭と呼ばれる多孔質の炭素粒子を使用することが特に好ましい。炭素粒子を添加する方法としては、上記吸水材に炭素粒子をある程度均一になるように混合し、その後水を添加する方法等を挙げることができる。炭素粒子の配合量は、放射線遮蔽層の全重量に対して、20質量%以下であることが好ましい。
上記放射線遮蔽層は、ゼオライトを含有するものであってもよい。このようなゼオライトを添加することで、遮蔽率が向上するという点で好ましい。ゼオライトは特に限定されず公知の市販のものを使用することができる。炭素粒子を添加する方法としては、上記吸水材に炭素粒子をある程度均一になるように混合し、その後水を添加する方法等を挙げることができる。炭素粒子の配合量は、放射線遮蔽層の全重量に対して、20質量%以下であることが好ましい。
上記放射線遮蔽層は、厚みが1〜45mmであることが好ましい。厚みが薄すぎると、放射線遮蔽能が低下するおそれがあり、厚すぎると重量が増すことで長時間着用することへの負荷が生まれるおそれがある。
上記放射線遮蔽層は、密度が25〜45g/lであることが好ましい。このような範囲のものとすることで、良好な放射線遮蔽性能と軽量であることとを兼ね備えたものとすることができる。
本発明の放射線遮蔽性積層体は、両面に防水層を有するものである。すなわち、上記放射線遮蔽層に含まれる水の蒸散や漏出を防止して使用するためには、このような層を設けることが必要となる。防水層としては、水を透過せず、衣服等として使用した場合に一定以上の強度を有するものであれば特に限定されず、樹脂フィルム、繊維構造物、紙等を使用することができる。防水層は、これらの素材に対して、樹脂コートを行うことによって水の透過性を低下させたものであってもよい。上記防水層は、厚みが0.15〜0.6mmであることが好ましい。このようなものを使用することで、薄くて軽い放射線遮蔽性積層体とすることができる。
本発明の放射線遮蔽性積層体は、更に、表面に撥水層を有することが好ましい。現在、原子力発電所事故の近隣地域では、土壌上に放射性物質が存在している。このため、この上を歩いたときに土が衣類に付着して、それが放射線汚染の原因になるおそれがある。特に雨や雪の直後には、土が泥濘状になっており、服に付着しやすいため、このような問題が顕著となりやすい。
表面に撥水層を設けておくと、上記放射線遮蔽性積層体上に放射性物質を含んだ泥や土が付着しても、水で簡単に洗い流すことができ、これによって、放射線への曝露を低減することができる。
上記撥水層としては特に限定されず、シリコーン系の撥水剤、フッ素系の撥水剤等の公知の撥水剤によって形成することができる。
本発明の放射線遮蔽性積層体は、その構造を特に限定するものではないが、たとえば、防水層を形成する2枚のシート状物でシート状の放射線遮蔽層を形成する吸水材又は水を含ませた吸収材を挟み、その周縁部を接着剤による接着、ヒートシール、縫製等の手法で一体化させた構造とし、その中間部に上記吸水材及び水を含有する放射線遮蔽層を収納する形としてもよい。このようにすることで、簡便に製造することができ、更に、内部の水が蒸散しにくいため、長期にわたって放射線遮蔽性能を得ることができる点で好ましい。
本発明の放射線遮蔽材は、密度が1.2〜4.3kg/mであることが好ましい。このような範囲内のものとすることで、良好な放射線遮蔽性能と軽量性とを兼ね備えたものとすることができる。
本発明の放射線遮蔽材を使用して得られた放射線遮蔽用衣服は、その形態を特に限定されるものではなく、ズボン、オーバーオール、シャツ、靴下、手袋、胴長等の任意の形態のものとすることができる。本発明における放射線遮蔽用衣服は、従来の防護服のような密閉された特殊な形態を有するものではなく、通常の衣服と同様の形態を有し、日常生活における微弱な放射線を防御することを目的とするものである。
放射線漏出による放射線被曝を防止するという観点では、下半身を特に重点的に保護することが重要である。放射性物質は土壌の表面に特に多く存在しているため、下半身ほど保護の重要性が高くなるためである。したがって、特に、下半身全体を被覆して、放射線を遮蔽できるオーバーオールや胴長等の形態であることが好ましい。また、このような多層構造物を一部に含む素材を使用して靴とすることもできる。また、靴の中敷として使用することで、足裏部の保護をすることもできる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明する。まず、実施例における放射線遮蔽性能の測定方法を示す。
放射線遮蔽性能の測定方法
(バックグラウンドの測定方法)
遮蔽された空間において、遮蔽物をはさむように、線源と線量計(Radi PA−300、株式会社堀場製作所)を向かい合わせに置いた。測定期間中の、遮蔽物がないときの値は約1.6μSv/hrから1.7μSv/hrの間であった。
(遮蔽性能の測定方法)
遮蔽効果を調べるに当たっては、まず、自然放射線の線量を独立して7回測定し、これらの値の平均をバックグラウンドとした(以下、この値を「バックグラウンド」と呼ぶ)。次に、種々の材質について、放射線の遮蔽率を以下の方法で調べた。
まず、向かい合わせに置いた線源と線量計との間に何も置かない状態で、線量を独立して7回測定し、これらの値からバックグラウンドを引いた値の平均を算出した(以下、この値を「直接線量」と呼ぶ)。次に、向かい合わせに置いた線源と線量計との間に測定対象サンプルを置き、このときの線量を独立して7回測定し、これらの値からバックグラウンドを引いた値の平均を算出した。(以下、「透過線量」と呼ぶ)。
遮蔽率は、上述のように測定された直接線量、透過線量の値から、次のような計算式を用いて算出された。
遮蔽率=100×(直接線量−透過線量)/直接線量 (式1)
(実施例1)
水、2%硝酸鉄(III)水溶液、2%塩化鉄(II)水溶液について、厚み8mmとなるサンプルでの放射線遮蔽率を測定した。なお、測定に際しては、プラスチック製のトレイ中に各液体サンプルを8mmの深さとなるように入れて、遮蔽率を測定した。その際に、空トレイでの遮蔽率も測定し、
サンプルの遮蔽率=溶液の遮蔽率実測値−空トレイでの遮蔽率
の式で遮蔽率を測定した。
結果を表1に示す。
表1の結果から、水及び鉄イオン水溶液は高い放射線の遮蔽能を有することが明らかである。
(実施例2)
セルロースを支持体とした水の遮蔽率を測定を以下の方法で行った。シート状に加工されたセルロースに水を浸み込ませた。この含水セルロースシートの大きさについては,縦は20cm,横は40cmであり、厚さは、1.6mm,3.3mmまたは5.0mmであった。
セルロースシートの厚さと、放射線の遮蔽率との関係、シートの容積及びシート中の含水量を図1および表2に示す。この図及び表から、遮蔽に用いたセルロースシートの厚さが5mm以上(体積400cm以上、水分含量200g以上)になると、15%以上の放射線を遮蔽できることがわかる。グラフ中の各ポイントの値を表2に示す。含水セルロースシートの厚さと遮蔽率との間には、正の相関が見られた。図2のサンプルポイントに対して近似直線を引いた場合、決定係数であるR値は、約0.99となり、遮蔽率は、セルロースシートの厚さに高く依存することが明らかとなった。また、表2に示された3種類の厚みの含水セルロースシートについて、それらの遮蔽率の測定結果を比較すれば,厚みに比例して遮蔽率が高くなることは明らかである。
また、水を染み込ませたセルロースシートを使用して、衣類を作成する場合、その重さは重要である。そこで、水を染み込ませたセルロースシートを使用して、その単位体積あたりの重量、および単位面積あたりの重量も計算し、その結果を表3に示す。
表2、表3の結果から、含水セルロースシートは、優れた放射線遮蔽性能を有し、かつ、軽量性においても優れていることから、衣類形態の放射線遮蔽材料として優れたものであることが明らかである。
次に、8mmの厚さの水の遮蔽率と比較するため、含水セルロースシートの厚みと遮蔽率との関係式を算出した。図2中に作成した近似曲線から遮蔽率は、
(遮蔽率)=3.51×(厚み) (式2)
で表されることがわかる。この式から,含水セルロースシートの厚さが8mmの場合の遮蔽率は、28.1%と算出された。これは厚み8mmの水の遮蔽率である6.6%と比較して、有意に高い値である。
なお、図2においては、縦軸は遮蔽率(%)を、横軸は厚み(mm)を表す。各ポイントは平均値を表し,エラーバーは標準偏差を表す(n=7)。
(実施例3)
ポリアクリル酸ナトリウムを支持体とした水の遮蔽率の測定を行った。測定においては、板状の保水したポリアクリル酸ナトリウムであり、厚みが、7.4mm、28.8mm、および35.5mmであるものを準備した。水は高分子保水剤の重量に対して100倍量の重量%で混合した。これらを使用した遮蔽率の結果を表4および図3に示した。遮蔽率は,この厚さが大きいものほど高い値となった。
測定された3種類のサンプルの中でもっとも薄い7.4mmのものでさえ、約25%の遮蔽率を有していたことから、保水したポリアクリル酸ナトリウムは放射線の遮蔽に十分適することが示された。なお、図3においては、横軸は、板状の高分子保水剤の厚さを、縦軸は遮蔽率を表す。各ポイントは平均値±S.D.(n=7)を表す。近似直線の決定係数は0.950であった。
また、保水したポリアクリル酸ナトリウムの遮蔽率は、その厚さに比例して増加したことから、保水したポリアクリル酸ナトリウムを放射線の遮蔽用素材として利用する場合には、その厚さを調整することで、種々の線量の線源に対応できると考えられる。
次に、8mmの厚さの水の遮蔽率と比較するため,板状含水ポリアクリル酸ナトリウムの厚みと遮蔽率との関係式を算出した.図3中に作成した近似曲線から遮蔽率は、
(遮蔽率)=0.0004×(厚み)3−0.0581×(厚み)2 +3.36×(厚み) (式3)
で表されることがわかる.この式から,板状含水ポリアクリル酸ナトリウムの厚さが8mmの場合の遮蔽率は、23.4%と算出された.これは厚み8mmの水の遮蔽率である6.6%と比較して,有意に高い値である.
なお、図2において縦軸は遮蔽率(%)を、横軸は厚み(mm)を表す。各ポイントは平均値を表し、エラーバーは標準偏差を表す(n=7)
(実施例4)
水の支持体として吸水性樹脂(株式会社エヌケーコーポレーション)を用いた吸水性樹脂にしみ込ませる水の重量を変化させたサンプルに対して、放射線遮蔽率の測定を行った。結果を表5に示す。表5の結果から、水の重量を増やすことで遮蔽率は高くなることが明らかである。
また、水を染み込ませた吸水性樹脂を使用して、衣類を作成する場合、その重さは重要である。そこで、水を染み込ませた吸水性樹脂を使用して、その単位面積あたりの重量も計算し、その結果を表6に示す。
表6の結果から、上記吸水性樹脂を使用した場合にも、軽量な放射線遮蔽材が得られることから、衣服として使用できる軽量な素材であることが明らかである。
(実施例5)
遮蔽剤としてホウ酸水溶液およびホウ酸塩水溶液を用いた場合の放射線の遮蔽率の測定を行った。
2%ホウ酸水溶液、飽和四ホウ酸ナトリウム水溶液について、実施例1と同様の方法で厚み8mmとなるサンプルでの放射線遮蔽率を測定した。結果を表7に示す。表7の結果から、水と比較して、ホウ酸水溶液はより高い放射線遮蔽率を示すことは明らかである。
次に支持体を用いた時の飽和ホウ酸水溶液の遮蔽率を調べた。支持体としては、セルロースを用い、測定の際には、シート状に加工されたセルロースに飽和ホウ酸水溶液を浸み込ませた.この含浸セルロースシートの大きさについては,縦は20cm,横は40cmであり、一方、厚さは、1.6mm,3.4mm,または5.1mmの物を使用した。
セルロースシートの厚さと、放射線の遮蔽率、シートの容積、シート中の含水率との関係を表8に示す。この表から、遮蔽に用いたセルロースシートの厚さが5mm以上(体積400cm以上、水分含量200g以上)になると、15%以上の放射線を遮蔽できることがわかる。また、飽和ホウ酸水溶液を用いた方が、水を用いた場合と比べてわずかに遮蔽効率が向上することがわかった。含水セルロースシートの厚さと遮蔽率との間には、正の相関が見られた。
次に,8mmの厚さの水の遮蔽率と比較するため,含浸セルロースシートの厚みと遮蔽率との関係式を算出した。図3中に作成した近似曲線から遮蔽率は、
(遮蔽率)=4.22×(厚み) (式4)
で表されることがわかる.この式から,含浸セルロースシートの厚さが8mmの場合の遮蔽率は、33.8%と算出された.これは厚み8mmの水の遮蔽率である6.6%と比較して,有意に高い値である.また,水を浸みこませたセルロースシート(厚み8mm)について算出された遮蔽率である28.1%と比較しても高い.
また,図3中で,各サンプルポイントに対して近似直線を引いた場合、決定係数であるR値は、約0.99となり、遮蔽率は、セルロースシートの厚さに高く依存することが明らかとなった。
なお、図3中、縦軸は遮蔽率(%)を,横軸は厚み(mm)を表す。各ポイントは平均値を表し、エラーバーは標準偏差を表す(n=7)。
また、ホウ酸水を染み込ませたセルロースシートを使用して、衣類を作成する場合、その重さは重要である。そこで、ホウ酸水溶液を染み込ませたセルロースシートを使用して、その単位体積あたりの重量、および単位面積あたりの重量も計算し、その結果を表9に示す。
(比較例)
遮蔽剤として空気を用いて、放射線の遮蔽効果を調べた。空気層は、布団を用いて形成した。使用した布団は、綿を側生地とし、ポリエステルを中わたとした、キルティング製の布団であった。布団のサイズは140cm×190cmであり、中わたの量は0.5Kgであった。この布団の厚みが、10mm,20mm,30mmである場合の遮蔽率を表10に示す。
次に,8mmの厚さの水の遮蔽率と比較するため,空気層の厚みと遮蔽率との関係式を算出した。図4中に作成した近似曲線から遮蔽率は、
(遮蔽率)=1.33×(厚み) (式5)
で表されることがわかる。この式から,空気層の厚さが8mmの場合の遮蔽率は、8.0%と算出された。これは厚み8mmの水の遮蔽率である6.6%と比較して、有意に低い値である。
なお、図4において、縦軸は遮蔽率(%)を、横軸は厚み(mm)を表す。各ポイントは平均値を表し、エラーバーは標準偏差を表す(n=7)。
以上の実験に使用された遮蔽物について、それらの厚みが8mmである場合の遮蔽率を比較する。以下表11に上記実験の結果をまとめる。
上記において,厚みが8mmである場合の遮蔽率は表11のように実測あるいは算出された。飽和ホウ酸水溶液(支持体:セルロース)が最も高く、次いで水(支持体:ポリアクリル酸ナトリウムおよびセルロース)が高い結果となった。このことから,飽和ホウ酸水溶液および水は、有効な放射線の遮蔽物として利用できることが示された.こられの水または水溶液の支持体として,セルロースおよびポリアクリル酸ナトリウムが利用できる。
上記各実施例によって得られたデータのうち、主なものを比較するための図を図5として示した。図5の結果より、吸水材及び水を含有するシート状の放射線遮蔽層は、優れた放射線遮蔽能を有することが明らかになった。
(実施例6 ホウ酸水溶液、活性炭およびポリエステル繊維を併用した場合の放射線遮蔽率)
ポリエステル繊維のみを使用した場合の放射線遮蔽率を、中わたとしてポリエステル繊維を含む布団を用いて測定した。布団のサイズは140cm×190cmであり、中わたの量は0.5Kgであった。この布団の厚みが、10mm,20mmである場合の遮蔽率を下表に示す。
次に、ポリエステル繊維に飽和ホウ酸水溶液および活性炭を配合したものの放射線遮蔽率を測定した。この時の飽和ホウ酸水溶液および活性炭の使用量は、ポリエステル繊維100gに対して、それぞれ3.5gずつであった。当該遮蔽物の厚みが、10mm,20mmである場合の遮蔽率を下表に示す。
上記結果から、放射線遮蔽材として、ポリエステル繊維、飽和ホウ酸水溶液および活性炭を併用する場合は、ポリエステル繊維100gに対して、飽和ホウ酸水溶液および活性炭を配合することで放射線遮蔽効果が更に向上することが明らかになった。
(実施例7)
防水性ポリウレタン樹脂コーティングを行ったポリエスエステル織物2枚の間に上記セルロース支持体に飽和ホウ酸水溶液をしみ込ませた放射線遮蔽層を積層した積層体を製造した。当該積層体は、オーバーオール形態に縫製するパターンに合わせて製造し、周縁部を接着剤によって接着することで、水が漏出することを防止したものとした。更に、シリコーン系撥水剤によって、撥水化処理を行った。これらを縫製することによって、本発明の放射線遮蔽性衣服を得た。このものは、軽量であることから、日常生活に支障を生じることなく着用することができた。
本発明の放射線遮蔽性積層体は、安価、軽量であり、日常生活において一般の人が容易に利用することができる放射線遮蔽用衣服を提供するものである。

Claims (4)

  1. 吸水材及び水を含有するシート状の放射線遮蔽層及びその両側に設けられた防水層を有することを特徴とする放射線遮蔽性積層体。
  2. 更に、最表面に撥水層を設けた請求項1記載の放射線遮蔽性積層体。
  3. 放射線遮蔽層は、更に、ホウ酸又はその塩、炭素粒子、並びに、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1の成分を含有する請求項1又は2記載の放射線遮蔽性積層体。
  4. 請求項1、2又は3記載の放射線遮蔽性積層体から得られたものであることを特徴とする放射線遮蔽用衣服。
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