JP2013108964A - 放射線遮蔽性積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸水材及び水を含有するシート状の放射線遮蔽層及びその両側に設けられた防水層からなることを特徴とする放射線遮蔽性積層体。
【選択図】なし
Description
本発明の放射線遮蔽性積層体は、更に、最表面に撥水層を設けたものであることが好ましい。
上記放射線遮蔽層は、更に、ホウ酸又はその塩、炭素粒子、並びに、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1の成分を含有することが好ましい。
本発明は、上述した放射線遮蔽性積層体から得られたものであることを特徴とする放射線遮蔽用衣服でもある。
上記撥水層としては特に限定されず、シリコーン系の撥水剤、フッ素系の撥水剤等の公知の撥水剤によって形成することができる。
放射線遮蔽性能の測定方法
(バックグラウンドの測定方法)
遮蔽された空間において、遮蔽物をはさむように、線源と線量計(Radi PA−300、株式会社堀場製作所)を向かい合わせに置いた。測定期間中の、遮蔽物がないときの値は約1.6μSv/hrから1.7μSv/hrの間であった。
遮蔽効果を調べるに当たっては、まず、自然放射線の線量を独立して7回測定し、これらの値の平均をバックグラウンドとした(以下、この値を「バックグラウンド」と呼ぶ)。次に、種々の材質について、放射線の遮蔽率を以下の方法で調べた。
まず、向かい合わせに置いた線源と線量計との間に何も置かない状態で、線量を独立して7回測定し、これらの値からバックグラウンドを引いた値の平均を算出した(以下、この値を「直接線量」と呼ぶ)。次に、向かい合わせに置いた線源と線量計との間に測定対象サンプルを置き、このときの線量を独立して7回測定し、これらの値からバックグラウンドを引いた値の平均を算出した。(以下、「透過線量」と呼ぶ)。
遮蔽率は、上述のように測定された直接線量、透過線量の値から、次のような計算式を用いて算出された。
遮蔽率=100×(直接線量−透過線量)/直接線量 (式1)
水、2%硝酸鉄(III)水溶液、2%塩化鉄(II)水溶液について、厚み8mmとなるサンプルでの放射線遮蔽率を測定した。なお、測定に際しては、プラスチック製のトレイ中に各液体サンプルを8mmの深さとなるように入れて、遮蔽率を測定した。その際に、空トレイでの遮蔽率も測定し、
サンプルの遮蔽率=溶液の遮蔽率実測値−空トレイでの遮蔽率
の式で遮蔽率を測定した。
結果を表1に示す。
セルロースを支持体とした水の遮蔽率を測定を以下の方法で行った。シート状に加工されたセルロースに水を浸み込ませた。この含水セルロースシートの大きさについては,縦は20cm,横は40cmであり、厚さは、1.6mm,3.3mmまたは5.0mmであった。
(遮蔽率)=3.51×(厚み) (式2)
で表されることがわかる。この式から,含水セルロースシートの厚さが8mmの場合の遮蔽率は、28.1%と算出された。これは厚み8mmの水の遮蔽率である6.6%と比較して、有意に高い値である。
ポリアクリル酸ナトリウムを支持体とした水の遮蔽率の測定を行った。測定においては、板状の保水したポリアクリル酸ナトリウムであり、厚みが、7.4mm、28.8mm、および35.5mmであるものを準備した。水は高分子保水剤の重量に対して100倍量の重量%で混合した。これらを使用した遮蔽率の結果を表4および図3に示した。遮蔽率は,この厚さが大きいものほど高い値となった。
また、保水したポリアクリル酸ナトリウムの遮蔽率は、その厚さに比例して増加したことから、保水したポリアクリル酸ナトリウムを放射線の遮蔽用素材として利用する場合には、その厚さを調整することで、種々の線量の線源に対応できると考えられる。
(遮蔽率)=0.0004×(厚み)3−0.0581×(厚み)2 +3.36×(厚み) (式3)
で表されることがわかる.この式から,板状含水ポリアクリル酸ナトリウムの厚さが8mmの場合の遮蔽率は、23.4%と算出された.これは厚み8mmの水の遮蔽率である6.6%と比較して,有意に高い値である.
水の支持体として吸水性樹脂(株式会社エヌケーコーポレーション)を用いた吸水性樹脂にしみ込ませる水の重量を変化させたサンプルに対して、放射線遮蔽率の測定を行った。結果を表5に示す。表5の結果から、水の重量を増やすことで遮蔽率は高くなることが明らかである。
遮蔽剤としてホウ酸水溶液およびホウ酸塩水溶液を用いた場合の放射線の遮蔽率の測定を行った。
2%ホウ酸水溶液、飽和四ホウ酸ナトリウム水溶液について、実施例1と同様の方法で厚み8mmとなるサンプルでの放射線遮蔽率を測定した。結果を表7に示す。表7の結果から、水と比較して、ホウ酸水溶液はより高い放射線遮蔽率を示すことは明らかである。
セルロースシートの厚さと、放射線の遮蔽率、シートの容積、シート中の含水率との関係を表8に示す。この表から、遮蔽に用いたセルロースシートの厚さが5mm以上(体積400cm3以上、水分含量200g以上)になると、15%以上の放射線を遮蔽できることがわかる。また、飽和ホウ酸水溶液を用いた方が、水を用いた場合と比べてわずかに遮蔽効率が向上することがわかった。含水セルロースシートの厚さと遮蔽率との間には、正の相関が見られた。
(遮蔽率)=4.22×(厚み) (式4)
で表されることがわかる.この式から,含浸セルロースシートの厚さが8mmの場合の遮蔽率は、33.8%と算出された.これは厚み8mmの水の遮蔽率である6.6%と比較して,有意に高い値である.また,水を浸みこませたセルロースシート(厚み8mm)について算出された遮蔽率である28.1%と比較しても高い.
また,図3中で,各サンプルポイントに対して近似直線を引いた場合、決定係数であるR2値は、約0.99となり、遮蔽率は、セルロースシートの厚さに高く依存することが明らかとなった。
遮蔽剤として空気を用いて、放射線の遮蔽効果を調べた。空気層は、布団を用いて形成した。使用した布団は、綿を側生地とし、ポリエステルを中わたとした、キルティング製の布団であった。布団のサイズは140cm×190cmであり、中わたの量は0.5Kgであった。この布団の厚みが、10mm,20mm,30mmである場合の遮蔽率を表10に示す。
(遮蔽率)=1.33×(厚み) (式5)
で表されることがわかる。この式から,空気層の厚さが8mmの場合の遮蔽率は、8.0%と算出された。これは厚み8mmの水の遮蔽率である6.6%と比較して、有意に低い値である。
ポリエステル繊維のみを使用した場合の放射線遮蔽率を、中わたとしてポリエステル繊維を含む布団を用いて測定した。布団のサイズは140cm×190cmであり、中わたの量は0.5Kgであった。この布団の厚みが、10mm,20mmである場合の遮蔽率を下表に示す。
次に、ポリエステル繊維に飽和ホウ酸水溶液および活性炭を配合したものの放射線遮蔽率を測定した。この時の飽和ホウ酸水溶液および活性炭の使用量は、ポリエステル繊維100gに対して、それぞれ3.5gずつであった。当該遮蔽物の厚みが、10mm,20mmである場合の遮蔽率を下表に示す。
防水性ポリウレタン樹脂コーティングを行ったポリエスエステル織物2枚の間に上記セルロース支持体に飽和ホウ酸水溶液をしみ込ませた放射線遮蔽層を積層した積層体を製造した。当該積層体は、オーバーオール形態に縫製するパターンに合わせて製造し、周縁部を接着剤によって接着することで、水が漏出することを防止したものとした。更に、シリコーン系撥水剤によって、撥水化処理を行った。これらを縫製することによって、本発明の放射線遮蔽性衣服を得た。このものは、軽量であることから、日常生活に支障を生じることなく着用することができた。
Claims (4)
- 吸水材及び水を含有するシート状の放射線遮蔽層及びその両側に設けられた防水層を有することを特徴とする放射線遮蔽性積層体。
- 更に、最表面に撥水層を設けた請求項1記載の放射線遮蔽性積層体。
- 放射線遮蔽層は、更に、ホウ酸又はその塩、炭素粒子、並びに、ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1の成分を含有する請求項1又は2記載の放射線遮蔽性積層体。
- 請求項1、2又は3記載の放射線遮蔽性積層体から得られたものであることを特徴とする放射線遮蔽用衣服。
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