JP2013104010A - インクジェット記録用非水系インク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用非水系インク組成物およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】記録される画像の耐擦性および表面乾燥性に優れ、かつ安全衛生性にも優れたインクジェット用非水系インク組成物、およびそれを用いたインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物は、下記一般式(1)で表される化合物と、乳酸エステル類と、を含有することを特徴とする。
【化1】
Figure 2013104010

(式(1)中、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、RおよびRは、メチル基またはエチル基を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用非水系インク組成物およびそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
従来、インクジェット記録用ヘッドのノズルから吐出させた微小なインク滴によって、紙等の吸水性記録媒体上に画像や文字を記録するインクジェット記録方法が知られている。このようなインクジェット記録方法に用いるインクとしては、水を主溶媒とする水系インクが広く普及している。しかしながら、インクジェット記録方法は、近年多様な分野において、種々の記録媒体に対する記録に使用されるようになってきている。特に低吸収性記録媒体を対象とした印刷方式に対応する観点から、従来の水系インクに代えて、溶媒として実質的に水を含まない非水系インクが開発された。
低吸収性記録媒体を対象とした印刷方式としては、軟包材用グラビア印刷、サニタリー用フレキソ印刷、金属板用シルクスクリーン印刷、屋内外広告用インクジェット印刷等が一般的に知られている。しかしながら、これらの印刷方式に用いられる非水系インクは第2種有機溶剤に該当するトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等の溶剤を用いることが一般的であり、環境濃度設定、臭気等から局所排気設備の設置、または定期健康診断等の義務が発生する等取扱いが難しく、より安全衛生性の高い非水系インクが求められてきた。
このような観点から、第2種有機溶剤に非該当である、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類等の溶媒を含む非水系インクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−200469号公報
しかしながら、上記のような非水系インクに含まれる溶剤は低吸収性記録媒体の表面を溶解させる能力に乏しいため、低吸収性記録媒体上に記録された画像の定着性が劣る場合があった。また、記録媒体を溶解させる能力に優れた溶剤を用いても、低吸収性記録媒体の種類によっては、画像の定着性に優れない場合があった。
さらに、低吸収性記録媒体は溶媒を吸収する能力が乏しいため、上記のような非水系インクを用いて低吸収性記録媒体上に画像を記録すると、表面乾燥性が著しく低くなる場合があった。
本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、低吸収性記録媒体に記録される画像の定着性および表面乾燥性に優れており、かつ安全衛生性にも優れたインクジェット記録用非水系インク組成物、ならびにそれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明は、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物の一態様は、
下記一般式(1)で表される化合物と、
乳酸エステル類と、
を含有する。
Figure 2013104010
(式(1)中、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、RおよびRは、メチル基またはエチル基を示す。)
適用例1のインクジェット記録用非水系インク組成物によれば、低吸収性記録媒体(特に、被記録面に塩化ビニル樹脂を含有する記録媒体)に記録された画像の定着性および表面乾燥性を向上できる。また、従来の非水系インク組成物に使用されていた第2種有機溶剤を低減、あるいは含有しないことが可能となるため、安全衛生性の面でも優れている。
[適用例2]
適用例1において、
前記一般式(1)中、Rがメチル基であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記一般式(1)で表される化合物の含有量[WA(質量%)]が、3質量%以上20質量%以下であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記乳酸エステル類の含有量[WB(質量%)]が、10質量%以上50質量%以下であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記一般式(1)で表される化合物の含有量[WA(質量%)]と、前記乳酸エステル類の含有量[WB(質量%)]と、の含有比(WA/WB)が、0.1以上0.7以下であることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
前記乳酸エステル類の標準沸点が、180℃以下であることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、
さらに、アルキレングリコール化合物を含有することができる。
[適用例8]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか1例に記載のインクジェット記録用非水系インク組成物の液滴を吐出して、塩化ビニル系樹脂を含む被記録面に該液滴を付着させて画像を記録する。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インクジェット記録用非水系インク組成物
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録用非水系インク組成物(以下、単に「非水系インク組成物」ともいう。)は、後述する一般式(1)で表される化合物と、乳酸エステル類と、を含有する。一般式(1)で表される化合物および乳酸エステル類は、非水系インクの溶媒として機能する有機溶剤である。
本発明において、「非水系インク組成物」とは、インク組成物を製造する際に水を意図的に添加しないという意味であり、インク組成物を製造中または保管中に不可避的に混入する微量の水分を含んでいても構わない。
以下、本実施形態に係る非水系インク組成物に含まれる成分について、詳細に説明する。
1.1.有機溶剤
1.1.1一般式(1)で表される化合物
本実施形態に係る非水系インク組成物は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
Figure 2013104010
上記式(1)中、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、RおよびRは、メチル基またはエチル基を示す。「炭素数1以上4以下のアルキル基」は、直鎖状または分岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基であることができる。上記式(1)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
式(1)で表される化合物の機能としては、低吸収性記録媒体上に付着させたインクの表面乾燥性および定着性を高めることが挙げられる。特に、上記式(1)で表される化合物は、塩化ビニル系樹脂を適度に溶解する作用に優れている。そのため、上記式(1)で表される化合物は、塩化ビニル系樹脂を含有する被記録面を溶解して、低吸収性記録媒体の内部にインクを浸透させることができる。このようにインクが低吸収性記録媒体に浸透することで、インクが強固に定着し、かつ、インクの表面が乾燥しやすくなる。したがって、得られる画像は、耐擦性および表面乾燥性に優れたものとなる。
また、上記式(1)中、Rは、炭素数1のメチル基であることが好ましい。上記式(1)において、Rがメチル基である化合物の標準沸点は、Rの炭素数が2以上4以下のアルキル基である化合物の標準沸点と比較して低い。そのため、上記式(1)において、Rがメチル基である化合物を用いると、記録される画像の表面乾燥性を一層向上できる。
上記式(1)で表される化合物のHLB値は、8.0以上20.0以下であることが好ましく、8.5以上18.5以下であることがより好ましく、12.0以上18.5以下であることが特に好ましい。上記式(1)で表される化合物のHLB値が上記範囲内にあると、塩化ビニル系樹脂との相互作用の点でより好適となる。なお、本明細書におけるHLB値とは、有機概念図における無極性値(I)と有機性値(O)との比(以下、単に「I/O値」ともいう)から下記式(2)により算出された値である。
HLB値=(無極性値(I)/有機性値(O))×10 …(2)
具体的には、I/O値は、藤田穆著、「系統的有機定性分析混合物編」、風間書房、1974年;黒木宣彦著、「染色理論化学」、槙書店、1966年;井上博夫著、「有機化合物分離法」、裳華房、1990年、の各文献に基づいて算出することができる。
上記式(1)で表される化合物の含有量は、非水系インク組成物の全質量に対して、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。上記式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲にあることで、画像の耐擦性および表面乾燥性を一層向上できる場合がある。
1.1.2.乳酸エステル類
本実施形態に係る非水系インク組成物は、乳酸エステル類を含有する。乳酸エステル類の機能としては、低吸収性記録媒体上に付着させたインクの定着性を高めることが挙げられる。特に、乳酸エステル類は、塩化ビニル系樹脂を膨潤させる作用を備えているので、塩化ビニル系樹脂を含有する低吸収性記録媒体に対するインクの定着性を向上できる。
乳酸エステル類としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルが挙げられる。乳酸エステル類は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
また、乳酸エステル類の中でも、記録される画像の表面乾燥性を一層向上できるという観点から、標準沸点が180℃以下の乳酸エステルを用いることが好ましい。標準沸点が180℃以下の乳酸エステルとしては、例えば、乳酸メチル(標準沸点:約144℃)、乳酸エチル(標準沸点:約155℃)、乳酸プロピル(標準沸点:約166℃)等が挙げられ、画像の表面乾燥性をより一層向上できるという観点から、乳酸メチルおよび乳酸エチルが好ましい。
乳酸エステル類の含有量は、非水系インク組成物の全質量に対して、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。乳酸エステル類の含有量が上記範囲にあることで、画像の耐擦性を向上できる場合がある。
乳酸エステル類と上記式(1)で表される化合物とを併用すると、これらの化合物の相乗的な作用によって、多様な種類の低吸収性記録媒体に対して、記録される画像の耐擦性を向上できる。例えば、後述する実施例でも示すように、塩化ビニル系樹脂を含む記録媒体の種類によっては、画像の耐擦性が低下する場合がある。このような場合であっても、両化合物を併用することで、画像の耐擦性が優れたものとなる。
上記一般式(1)で表される化合物の含有量[MA(質量%)]と、乳酸エステル類の含有量[MB(質量%)]と、の含有比(MA/MB)は、0.1以上1以下であることが好ましく、0.1以上0.7以下であることがより好ましく、0.3以上0.7以下であることが特に好ましい。両化合物の含有比が上記範囲内にあると、表面乾燥性および耐擦性に優れた画像が得られる。
また、上記一般式(1)で表される化合物の含有量[MA(質量%)]と、前記乳酸エステル類の含有量[MB(質量%)]との合計(MA+MB)が、20質量%以上50質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。両化合物の含有量の合計が上記範囲内にあることで、表面乾燥性および耐擦性に優れた画像が得られる。
1.2.その他の成分
本実施形態に係る非水系インク組成物は、必要に応じて、上述した有機溶剤以外の有機溶剤、界面活性剤、顔料、分散剤等を含有してもよい。
1.2.1.その他の有機溶剤
本実施形態に係る非水系インク組成物は、塩化ビニル系樹脂に対してインクを強固に定着させる観点から、常温常圧下で液体のアルキレングリコール化合物を含有することが好ましい。
アルキレングリコール化合物としては、国際公開第2002/055619パンフレットに記載されているような、エチレングリコール化合物またはプロピレングリコール化合物であることが好ましい。
本実施形態に係る非水系インク組成物にアルキレングリコール化合物を含有する場合において、印刷特性によって適宜選択することができるが、その含有量は、非水系インク組成物の全質量に対して、20質量%以上85質量%以下であることが好ましく、30質量%以上75質量%以下であることがより好ましい。
好ましいエチレングリコール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、またはポリエチレングリコールのモノエーテルないしはジエーテルが挙げられ、好ましくはジエチレングリコール化合物である。また、好ましいプロピレングリコール化合物としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、またはポリプロピレングリコールのモノエーテルないしはジエーテルが挙げられ、好ましくはジプロピレングリコールである。なお、エチレングリコール化合物のうち、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよびエチレングリコールモノブチルエーテルは、第2種有機溶剤に分類されるので、取扱いの困難性および環境等への負荷を低減するという観点から、使用しないことが好ましい。
前記ジエチレングリコール化合物としては、例えば、下記一般式(3)で示されるジエチレングリコール化合物を用いることができる。
Figure 2013104010
式(3)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはRCO基である。Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。「炭素数1〜4のアルキル基」は、直鎖状または分岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基であることができる。式(3)で示されるジエチレングリコール化合物の具体例としては、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
前記ジプロピレングリコール化合物としては、例えば、下記一般式(4)で示されるジプロピレングリコール化合物を用いることができる。
Figure 2013104010
式(4)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはRCO基である。Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。「炭素数1〜4のアルキル基」は、直鎖状または分岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基であることができる。式(4)で示されるジプロピレングリコール化合物としては、例えば、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物において用いることができるジエチレングリコール化合物およびジプロピレングリコール化合物は、それらの沸点が常圧下で、それぞれ好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上である。
また、本実施形態に係る非水系インク組成物において用いることができる前記ジエチレングリコール化合物およびジプロピレングリコール化合物は、それらの20℃での蒸気圧が、好ましくは1hPa以下、より好ましくは0.7hPa以下である。
前述したような高沸点および低蒸気圧の条件を満たすジエチレングリコール化合物およびジプロピレングリコール化合物を用いることにより、局所的排気設備または排ガス処理設備を設ける負担が軽減され、作業環境の向上が可能となり、また周辺環境への環境負荷も軽減することが可能となる。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、前述したジエチレングリコール化合物、ジプロピレングリコール化合物、ないしそれらの混合物に加えて、さらに、常温常圧下で液体であり、下記一般式(5)で示されるポリアルキレングリコール化合物を含有してもよい。
Figure 2013104010
式(5)中、R10は、炭素数2以上3以下のアルキレン基である。R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)である。nは、3〜6の整数である。炭素数2以上3以下のアルキレン基としては、例えば、エチレン基およびプロピレン基が挙げられる。「炭素数1〜6のアルキル基」は、直鎖状または分岐状のアルキル基であることができ、例えば前記「炭素数1〜4のアルキル基」に加えて、直鎖状もしくは分岐状のペンチル基またはヘキシル基であることができる。
本実施形態に係る非水系インク組成物において用いることができる前記ポリアルキレングリコール化合物は、その沸点が常圧下で、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。また、その引火点は、好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上である。このようなポリアルキレングリコール化合物を用いることにより、非水系インク組成物に揮発抑制性を付与することができる。例えば、インクカートリッジからインクジェット記録用ヘッドへ非水系インク組成物を輸送するチューブ内での非水系インク組成物の揮発を抑制することにより、チューブ内での固形分の堆積を防止ないし軽減することができる。
好ましいポリアルキレングリコール化合物としては、例えば、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、前記一般式(5)においてnが4以上6以下であるポリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、テトラエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
また、本実施形態に係る非水系インク組成物は、前記例示した有機溶剤の他に、以下に例示する有機溶剤をさらに含有してもよい。
その他の有機溶剤としては、好ましくは極性有機溶媒、例えば、アルコール類(例えば、エチルアルコール、1−プロパノール、フッ化アルコール等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等)等が挙げられる。
なお、本実施形態に係る非水系インク組成物は、取扱いの容易性および環境負荷の低減等の観点から、第2種有機溶剤(労働安全衛生法施行令の別表第六の二参照)を含有しないことが好ましい。
1.2.2.界面活性剤
本実施形態に係る非水系インク組成物には、前記有機溶剤の他に、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる観点から、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体を添加してもよい。
シリコン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−347、348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
また、ポリオキシエチレン誘導体としては、アセチレングリコール系界面活性剤を用いることが好ましい。具体例としては、サーフィノール82、104、465、485、TG(いずれもエアープロダクツジャパン社製)、オルフィンSTG、E1010(いずれも日信化学株式会社製)、ニッサンノニオンA−10R、A−13R(いずれも日油株式会社製)、フローレンTG−740W、D−90(共栄社化学株式会社製)、ノイゲンCX−100(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物中における界面活性剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上3質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上2質量%以下である。
1.2.3.顔料
本実施形態に係る非水系インク組成物には、色材として、従来の非水系インク組成物に通常用いられている有色無機顔料または有色有機顔料等の顔料を用いることができる。これらの顔料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料;カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられる。顔料粒子の平均一次粒径は、特に限定されるものではないが、好ましくは50nm以上500nm以下である。
本実施形態に係る非水系インク組成物をマゼンタまたはレッドインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド224等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物をオレンジまたはイエローインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物をグリーンまたはシアンインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物をブラックインクとする場合の顔料としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物をホワイトインクとする場合の顔料としては、例えば、Pigment White 6、18、21等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物中における顔料の含有量は、用途や印刷特性によって適宜選択することができるが、好ましくは0.5質量%以上25質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下、特に好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
本実施形態に係る非水系インク組成物には、顔料の分散安定性を向上させる観点から、通常の非水系インク組成物において用いられる任意の分散剤を用いることができる。分散剤としては、有機溶媒の溶解パラメーターが8〜11であるときに有効に作用する分散剤を用いることが好ましい。このような分散剤の具体例としては、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLUBRIZOL社製)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物において、前記分散剤の含有量は、分散すべき顔料によって適宜選択することができるが、非水系インク組成物中の顔料の含有量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上200質量部以下、より好ましくは30質量部以上120質量部以下である。
1.2.4.その他の成分
本実施形態に係る非水系インク組成物には、さらに通常の非水系インク組成物に含まれるその他の添加剤を添加してもよい。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、バインダー樹脂等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばBHA(2,3−ブチル−4−オキシアニソール)、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、インクの粘度を調整する目的でバインダー樹脂を添加してもよい。バインダー樹脂としては、例えばアクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロースアセテートブチレート等の繊維系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。なお、バインダー樹脂は、その添加量により塩化ビニル系樹脂に対するインクの定着性をさらに良好とすることもできる。
1.3.非水系インク組成物の製造方法
本実施形態に係る非水系インク組成物は、公知の慣用方法によって製造することができる。色材として顔料を用いる場合には、最初に、顔料、分散剤、および有機溶剤(一部分)を混合した後、ボールミル、ビーズミル、超音波、またはジェットミル等で顔料分散液を調製し、所望のインク特性を有するように調整する。続いて、有機溶剤(残量)、およびその他の添加剤(例えば、界面活性剤やバインダー樹脂)を撹拌下に加えて非水系インク組成物を得ることができる。
1.4.物性
本実施形態に係る非水系インク組成物は、記録品質とインクジェット用インク組成物としての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係る非水系インク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
2.インクジェット記録方法
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、前述した非水系インク組成物の液滴を吐出し、低吸収性記録媒体に該液滴を付着させて画像を記録する。
本明細書において「低吸収性記録媒体」とは、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体のことをいい、少なくとも被記録面がこの性質を備えていればよい。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は、「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。なお、低吸収性記録媒体には、水を全く吸収しない非吸収性記録媒体も含まれる。
低吸収性記録媒体としては、具体的には、低吸収性の材料を含むシート、フィルム、繊維製品等が挙げられる。また、低吸収性記録媒体は、基材(例えば、紙、繊維、皮革、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属等)の表面に、低吸収性の材料を含む層(以下、「低吸収性層」ともいう。)を備えたものであってもよい。低吸収性の材料としては、特に限定されないが、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、低吸収性記録媒体としては、塩化ビニル系樹脂を含む被記録面を有するものを好ましく用いることができる。塩化ビニル系樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルエーテル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体等の塩化ビニル系共重合体が挙げられ、これらを単独、あるいは2種類以上組み合わせて用いることもできる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれか一方を意味する。
なお、低吸収性記録媒体の厚み、形状、色、軟化温度、硬さ等の諸特性は、特に限定されるものではない。
前述した非水系インク組成物には、前記一般式(1)で表される化合物と、乳酸エステル類とが含まれており、両化合物は、併用することで、塩化ビニル系樹脂を含む記録媒体に一層良好に作用する。そのため、本実施形態に係るインクジェット記録方法は、塩化ビニル系樹脂を含有する被記録面に前述した非水系インク組成物の液滴を付着させることで、表面乾燥性に優れ、定着性により一層優れた画像を記録できる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置は、特に限定されないが、ドロップオンデマンド型のインクジェット記録装置が好ましい。ドロップオンデマンド型のインクジェット記録装置には、記録ヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う圧電素子記録方法を採用したもの、記録ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法を採用したもの等があるが、いずれの記録方法も採用することができる。また、本実施の形態に係る非水系インク組成物は、撥インク処理された吐出ノズル表面に対して不活性であるという利点を有するので、例えば撥インク処理された吐出ノズル表面を有するインクジェット記録用ヘッドから吐出させるインクジェット記録方法に有利に用いることができる。
3.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
3.1.有機溶剤の合成
3.1.1.下記式(6)で表される化合物
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド19.828gおよびメタノール6.408gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反応物を除いた。このようにして、下記式(6)で表される化合物(以下、「有機溶剤A」ともいう。)を得た。
Figure 2013104010
なお、得られた有機溶剤Aの、有機概念図におけるI/O値から上記式(2)により算出されたHLB値は、18.3であった。
3.1.2.下記式(7)で表される化合物
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド19.828gおよび1−ブタノール14.824gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反応物を除いた。このようにして、下記式(7)で表される化合物(以下、「有機溶剤B」ともいう。)を得た。
Figure 2013104010
なお、得られた溶剤Bの、有機概念図におけるI/O値から上記式(2)により算出されたHLB値は、12.2であった。
3.2.非水系インク組成物の調製
容器に、表1〜2に記載の濃度に相当する量の有機溶剤をそれぞれのインク毎に投入し、マグネティックスターラーを用いて30分間混合撹拌して混合溶剤を得た。
得られた混合溶剤の一部を取り分けて、そこにSolsperse37500(LUBRIZOL社製、商品名)およびC.I.ピグメントブラック7(三菱化学株式会社製、商品名「CARBON BLACK #970」)を所定量添加して、ホモジナイザーを用いて粉砕処理した。その後、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルで分散処理を行うことにより、顔料分散液(顔料の平均粒子径:150nm)を得た。
得られた顔料分散液に、有機溶剤の残部およびBYK−340(ビックケミー・ジャパン株式会社製、フッ素系界面活性剤)、パラロイドB60(ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)を添加してさらに1時間混合撹拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、表1〜2に記載のブラックインク組成物を得た。なお、表中の数値は、質量%を表す。
なお、表中で使用した材料は、下記の通りである。
・C.I.ピグメントブラック7(三菱化学株式会社製、商品名「CARBON BLACK #970」、ブラック顔料)
・Solsperse37500(商品名、LUBRIZOL社製、分散剤)
・乳酸エチル(関東化学株式会社製、有機溶剤)
・乳酸ブチル(関東化学株式会社製、有機溶剤)
・γ−ブチロラクトン(関東化学株式会社製、有機溶剤)
・ジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、有機溶剤)
・ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(商品名「ハイソルブEDM」、東邦化学工業株式会社製、有機溶剤)
・BYK−340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、フッ素系界面活性剤)
3.3.評価試験
3.3.1.摩擦堅牢性試験
JローランドDG社製プリンター「SP−300V」を用いて、「3.2.非水系インク組成物の調製」で得られた各インク組成物を光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社製、「SV−G−1270G」)、およびポリ塩化ビニルシート(Mactac社製、「JT−5829R」)上にDuty100%の条件で印刷した。その後、常温にて1日間乾燥させることで、評価用サンプルを得た。
次に、日本工業規格「JIS L 0849」に準拠して、評価用サンプルについてI型試験機にて乾式試験を行った。その後、試験綿布のOD値をスペクトロリーノ(グレタグマクベス社製)にて測定した。なお、評価基準は、以下の通りである。評価結果を表1および表2に併せて示す。
6:OD値が0.20未満
5:OD値が0.20以上0.25未満
4:OD値が0.25以上0.30未満
3:OD値が0.30以上0.35未満
2:OD値が0.35以上0.40未満
1:OD値が0.40以上
3.3.2.表面乾燥性試験
JローランドDG社製プリンター「SP−300V」を用いて、「3.2.非水系インク組成物の調製」で得られた各インク組成物を光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社製、「SV−G−1270G」)上にDuty100%の条件で印刷した後、5分間乾燥させた。次いで、巻き取り装置を用いて光沢ポリ塩化ビニルシートを巻き取った後の光沢面のスリ痕を観察した。スリ痕の観察は、形状測定レーザマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、「VK−8700 GenerationII」)にて表面粗さを測定することで、スリ痕のある面積の割合を算出した。なお、評価基準は、以下の通りである。評価結果を表1および表2に併せて示す。
6:スリ痕面積が0%
5:スリ痕面積が0%超10%未満
4:スリ痕面積が10%以上20%未満
3:スリ痕面積が20%以上30%未満
2:スリ痕面積が30%以上40%未満
1:スリ痕面積が40%以上
3.3.3.ドットサイズの判定試験
JローランドDG社製プリンター「SP−300V」を用いて、「3.2.非水系インク組成物の調製」で得られた各インク組成物を塩ビバナーシート(3M社製、IJ8451)上に、ドット同士が重ならない条件で印刷を行った。具体的には、Duty30%の条件で3cmの正方形を印刷した後、60分間乾燥させた。その後、光学顕微鏡を用いてドットサイズを観察して、直径を10μm毎に分類した。評価結果を表1および表2に併せて示す。なお、ドットサイズが80μm以下であれば、300dpi以上の解像度を有する画像を印刷することができる。
Figure 2013104010
Figure 2013104010
3.3.4.評価結果
実施例1〜実施例7によれば、有機溶剤に上記式(1)で表される化合物および乳酸エステル類を併用することで、表面乾燥性および耐擦性(摩擦堅牢性)に優れることが示された。また、これらの有機溶剤の相乗効果により、塩化ビニル系樹脂を含む記録媒体の種類によらず、耐擦性に優れた画像が得られることが示された。
比較例1〜比較例2によれば、上記式(1)で表される化合物および乳酸エステル類を併用していないため、塩化ビニル系樹脂を含む記録媒体の種類によっては、耐擦性が良好ではなかった。
また、比較例3によれば、上記式(1)で表される化合物を用いなかったため、摩擦堅牢性および表面乾燥性が良好ではなかった。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物と、
    乳酸エステル類と、
    を含有する、インクジェット記録用非水系インク組成物。
    Figure 2013104010
    (式(1)中、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、RおよびRは、メチル基またはエチル基を示す。)
  2. 請求項1において、
    前記一般式(1)中、Rがメチル基である、インクジェット記録用非水系インク組成物。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記一般式(1)で表される化合物の含有量[WA(質量%)]が、3質量%以上20質量%以下である、インクジェット記録用非水系インク組成物。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記乳酸エステル類の含有量[WB(質量%)]が、10質量%以上50質量%以下である、インクジェット記録用非水系インク組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記一般式(1)で表される化合物の含有量[WA(質量%)]と、前記乳酸エステル類の含有量[WB(質量%)]と、の含有比(WA/WB)が、0.1以上0.7以下である、インクジェット記録用非水系インク組成物。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    前記乳酸エステル類の標準沸点が、180℃以下である、インクジェット記録用非水系インク組成物。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
    さらに、アルキレングリコール化合物を含有する、インクジェット記録用非水系インク組成物。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用非水系インク組成物の液滴を吐出して、塩化ビニル系樹脂を含む被記録面に該液滴を付着させて画像を記録する、インクジェット記録方法。
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