JP2013101094A - 放射性セシウムによる汚染物の収納方法、及び放射性セシウムによる汚染物の収納容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】収納容器内部の少なくとも底部に、繊維状セピオライト又はゼオライトと、ゼオライト、フェロシアン化合物、マンガン化合物から選ばれた1以上の吸着剤を互いに密接させて、コンクリート製収納容器の少なくとも底部に敷き詰め、底面を覆うように配置し、その上に、セシウム汚染物を前記コンクリート製収納容器に収納することを特徴とする収納方法。
【選択図】 図1
Description
性廃棄物充填容器、及び放射性廃棄物の充填量を増加できる放射性廃棄物の固化材を提供するために、放射性核種を吸着する繊維状活性炭等の核種吸着補強材を含んでいることを特徴とするコンクリート製放射性廃棄物充填容器が、開発されている(特許文献1)。
放射線の遮蔽性能は、密度2.3cm3/gの15cm厚コンクリートで密閉して、γ線を1/10とすることができる。重量骨材を用いた重量コンクリートでは、密度の大きなことで、遮蔽性能を高めることができる。一方、道路整備状況が良好とはいえない農村や山間部においては、厚肉のコンクリート容器を取扱える重機を搬入することが困難な地域も存在すると考えられることから、放射線の遮蔽性能を犠牲にした軽量骨材を用いたコンクリート容器の適用も有効である。本願では、密度1.7cm3/g以上の容器を用いる。好ましくは、密度2.3cm3/g以上の容器を用いる。密度が1.7cm3/g未満では、放射線の遮蔽性能が十分でない。収納容器の容積は、問わないが、移動、搬送等のハンドリングを考慮すると、1m3から2m3程度が好ましい。
次いで、セシウム吸着剤を準備する。ハンドリング性を高めるため、粉末を顆粒状にしたものももちいることができる。例えば、天然ゼオライトとして、クリノプチロライト、モルデナイトが用いられる。合成ゼオライト、シリカゲル、アルミノシリケート系化合物、活性アルミナ、活性炭、ケイチタン酸塩も好ましい。また、フェロシアン化塩として、フェロシアン化コバルト、フェロシアン化鉄、マンガン系吸着剤として、酸化マンガン、マンガン砂が好適に用いられる。これらに、必要に応じて、凝集剤や、担持体としての珪砂等も用いることができる。
図1に示した角型コンクリート容器(普通コンクリート製キューブ内容積1m3、重量コンクリート製キューブ内容積1m3)を用いて、放射性セシウムに汚染された収納物から放射性セシウムを含む溶液が漏出したことを想定して浸透試験を実施した。フレキシブルコンテナに40万Bq/kgのセシウム137で汚染した表層土を1000kg詰めたと仮定すると、セシウムの半減期からセシウム量は0.124mgと計算される。この放射性セシウム全量が1リットルの水に溶解して容器底部に浸出したと仮定すると溶液のセシウム濃度は、0.124ppmとなる。そこで、安定同位体の塩化セシウム試薬で、この濃度のセシウム溶液を調整して模擬セシウム溶液とした。しかし、高濃度の汚染物を処理する場合を想定して、本模擬セシウム溶液100リットルを、収納容器10内に散布し、コンクリート容器へのセシウムの浸透状況を確認した。即ち、40万Bq/kg相当の100倍量のセシウムで試験を実施した(4000万Bq相当)。模擬セシウム溶液散布の後、7日後に吸着剤及び止水材を回収した。コンクリート製角型容器への浸透状態の確認は、模擬セシウム溶液と接触したコンクリート容器底面の表面を1mm削り取り、回収したコンクリートの粉末に存在するセシウムの量を測定した。回収したコンクリートの粉末は塩酸に溶解し、その塩酸溶液のセシウムの濃度をICP-MASを用いて測定することでコンクリート製角型容器に浸透したセシウムの量を評価した。吸着剤及び止水材へのセシウム吸着性能の評価は、回収した吸着剤及び/又は止水材から代表試料100gを分取して1リットルの水に24時間浸漬し、溶出したセシウムの濃度をICP-MASを用いて測定した。
浸透実験(A)と同じ仕様のコンクリートキューブを用いた。コンクリートキューブの底に厚さ2cmのベントナイトを敷き詰め、その上に17.9kgのクリノプチロライトを層状に敷きつめた。そして、本願発明容器に模擬セシウム溶液を投入した。クリノプチロライトのKdを、式(1)から算出すると、5.6×103であった。この値を用いて、収納容器の容積に匹敵する水にセシウムが溶解したと仮定したイオン濃度を1/100にするために、吸着させるための必要量を式(2)から算出して、17.9kgを得たものである。
収納容器の底部にセピオライトを厚さ2cm敷きつめた。その上に、フェロシアン化鉄粉末を1kg設置し、本願発明容器に模擬セシウム溶液を投入した。フェロシアン化鉄のKdを、式(1)から算出すると、1.0×106であった。この値を用いて、収納容器の容積に匹敵する水にセシウムが溶解したと仮定したイオン濃度を1/1000にするために、固層のフェロシアン化鉄に吸着させるための必要量(1kg)は式(2)から算出した。
結晶性ケイチタン酸塩CST−2(米国UOP社製)のKdを、式(1)から算出すると、1.6×105であった。この値を用いて、式(2)から、収納容器の容積に匹敵する水にセシウムが溶解したと仮定したイオン濃度を1/1000にするための、結晶性ケイチタン酸塩CST−2の必要量(6.25kg)を算出した。
収納容器の底部に、結晶性ケイチタン酸塩CST−2(米国UOP社製)、6.25kgとセピオライト粉末5kgを混合して設置し、本願発明容器に模擬セシウム溶液を投入した。
収納容器の底部に、吸着剤を用いず、セピオライト粉末を2cm敷詰めて設置し、本願発明容器に模擬セシウム溶液を投入した。
結晶性ケイチタン酸塩CST−2(米国UOP社製)のKdを、式(1)から算出すると、1.6×105であった。この値を用いて、式(2)から、収納容器の容積に匹敵する水にセシウムが溶解したと仮定したイオン濃度を1/1000にするための、結晶性ケイチタン酸塩CST−2の必要量(6.25kg)を算出した。
収納容器の底部に、結晶性ケイチタン酸塩CST−2(米国UOP社製)、3kgを層状に覆うように敷き詰め、その上に密接して、セピオライト粉末3kgを敷き詰め、更に3.25kgのCST−2と、セピオライト粉末2kgを層状に密接に設置し、本願発明容器に模擬セシウム溶液を投入した。
11 収納容器本体部
12 収納容器の蓋部
20 止水材又は吸着剤設置部
30 セシウムに汚染された被収納物
Claims (6)
- 繊維状セピオライトの集合体であるセピオライト粉末及び/又はベントナイト粉末の層と、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤層を互いに密接させて、コンクリート製収納容器の少なくとも底部に敷き詰め、底面を覆うように配置し、その上に、セシウム汚染物を前記コンクリート製収納容器に収納することを特徴とする収納方法。
- 繊維状セピオライト粉末及び/又はベントナイト粉末と、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤を混合して、コンクリート製収納容器の少なくとも底部に、底面を覆うように層状に配置し、その上に、セシウム汚染物を前記コンクリート製収納容器に収納することを特徴とする収納方法。
- ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤のセシウムに対する固液分配係数を測定し、収納容器内の容積を勘案して、前記吸着剤量を決定して、繊維状セピオライト粉末及び/又はベントナイト粉末と密接させて、底面を覆うように設置した後、セシウム汚染物を収納容器に収納することを特徴とする請求項1又は、2記載のセシウム汚染物収納方法。
- ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤を、セシウムに対する固液分配係数Kdを式(1)にて、測定し、収納容器内の容積を勘案して、前記吸着剤の最低必要量mを式(2)から決定して、繊維状セピオライト及び/又はベントナイトと密接させて、底面を覆うように設置した後、セシウム汚染物を収納容器内に収納することを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかに記載のセシウム汚染物収納方法。
- 止水材又は吸着剤を予めフレキシブルコンテナ内の底部に配置して、それらのフレキシブルコンテナをコンクリート製収納容器に格納することによって、コンクリート製収納容器底部の止水材又は吸着剤設置部分に止水材又は吸着剤を配置したことを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれかに記載の放射性セシウム汚染物収納方法。
- 繊維状セピオライト粉末及び/又はベントナイト粉末と、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤と、セシウム汚染物を、請求項1乃至5の方法のいずれかの方法で収納した放射性セシウム汚染物収納コンクリート製容器。
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