JP2014095549A - 放射性セシウムによる汚染物の収納容器、及び放射性セシウムによる汚染物の収納方法 - Google Patents

放射性セシウムによる汚染物の収納容器、及び放射性セシウムによる汚染物の収納方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的低レベルの放射性セシウムを含む大量の廃棄物を迅速に処理可能な、汚染物の収納方法と、その収納した容器を提供して、長期間保管する場合、及び地下水と接触する可能性ある環境に処分した容器から漏出する放射性セシウムを極力低減することを目的とする。
【解決手段】収納容器内部の少なくとも底部に、ゼオライト、フェロシアン化合物、マンガン化合物から選ばれた1以上の吸着剤を配置したことを特徴とする放射性セシウム汚染物収納容器、を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、放射性セシウムによる汚染物の収納容器、及び放射性セシウムによる汚染物の収納方法に関する。
いままで、原子力発電所及び原子燃料再処理施設等の放射性物質取扱施設から発生する濃縮廃液,使用済みイオン交換樹脂,放射性雑固体等のいわゆる低レベル放射性廃棄物の処理,処分の際,固化容器,固化材,埋め戻し材、及び処分場構造物等にセメント,コンクリート、及び水ガラス(ケイ酸ナトリウム)等の水硬性の無機固化材を用いている。
また、放射性核種を漏出することを遅延させるものとして、放射性廃棄物の固化容器に保護層を設け、かつ、この保護層にイオン交換性かつ吸着性を有する充填剤を包埋させるというものがある(特許文献2)。
さらに、曲げ強度を増大でき、かつ耐衝撃性の向上及び放射能浸出率の低減を図れる放射
性廃棄物充填容器、及び放射性廃棄物の充填量を増加できる放射性廃棄物の固化材を提供するために、放射性核種を吸着する繊維状活性炭等の核種吸着補強材を含んでいることを特徴とするコンクリート製放射性廃棄物充填容器が、開発されている(特許文献1)。
これら、水硬性の無機固化材と固化容器は、比較的少量の、低レベル放射性廃棄物に対しては、固化操作が容易で、安価で、耐放射線性に優れている、と思われる。
しかし、例えば、原発事故によるセシウムの低レベル放射能を含む大量の瓦礫、汚染土等に対して、固化処理、固化容器への収納を行うには、大量の処理を安全且つ迅速に行うことが求められている。
このため、可能ならば、工数の多い固化処理をしなくても、収納できる方法が望ましい。ところが、固化処理を省くと、被収納物は、水を含むので、収納容器内に、セシウム汚染水が生ずる。また、収納容器で、水を完全に密閉することは、通常のコンクリートでは、困難である。又、大量の収納容器を、建屋内でなく、雨水の影響ある場所に、長時間保管することも想定され、収納容器外部から水が浸透する懸念もある。従って、大量の低レベル放射性廃棄物の処理,処分のために、通常のコンクリート容器を用いたとき、また、保管場所を屋外とすると、水を介して、放射性核種が収納容器外へ漏出するおそれが想定される。
特開平10−153690号公報 特開昭58−040000号公報
特許文献1は、繊維強化コンクリートを使用して、曲げ強度を増大でき、かつ耐衝撃性の向上及び放射能浸出率の低減を図れる放射性廃棄物充填容器を提供し、かつ放射性廃棄物の充填量を増加できる放射性廃棄物の固化材を提供できる。しかし、容器製造の工数が多く、これを大量に準備して、大量の汚染物を、より迅速に処理できるものとは言い難い。また、核種に応じた放射能封じ込め対策はなされていなかった。また、これらの大量の汚染廃棄物は水分を伴うのが通常であるが、水溶性の放射性核種に対する対策が十全とは言い難い。
そこで、水溶性である放射性セシウムで汚染された大量の土壌、稲藁、瓦礫、下水汚泥や焼却灰などを、固化処理をせずに、通常の肉厚コンクリートの容器に収納できれば、処理は、迅速に行われる。
しかし、コンクリート自体は、放射線の遮蔽性能は優れるが、完全な水密性を有しているとはいえない。また、放射性セシウムは、セメント系材料に対する執着性が比較的低く、セメント・コンクリート中の高いアルカリ性環境においても陽イオンとして存在するため、長年に亘り、コンクリートの間隙水の中で拡散して、コンクリート製の容器の外部に漏出することが懸念される。
即ち、セシウムイオンは、コバルトイオン等のセメントの高アルカリ性環境下で溶解度が低い核種に比べて、セメント中での溶解度は高く、セメント(固相)への水(液相)からの吸着率が小さく固液間の分配係数が小さいので、水が存在する状態では、放射性セシウム自体の容器内封じ込めには、特別の配慮が必要である。コンクリート容器の場合、コンクリートの透水係数はゼロではないため、セシウム含有水の漏出の虞がある。
そこで、本発明は、比較的低レベルの放射性セシウムを含む大量の廃棄物を迅速に処理する汚染物の収納方法と、その収納した容器を提供して、建屋外の保管場所に、長期間保管する場合であっても、又は、地下水と接触する可能性ある環境であっても、そして、容器が、万一、ひび割れても、収納容器から漏出する放射性セシウムを極力低減することを目的とする。
コンクリート製収納容器内部の少なくとも底部に、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤を配置したことを特徴とする放射性セシウム汚染物収納容器、を提供する。
更に、セピオライト粉末及び/又はベントナイト粉末を、コンクリート製収納容器の少なくとも底部に敷き詰め、その上に、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤を配置したことを特徴とする放射性セシウム汚染物収納容器、を提供する。
セピオライト粉末及び/又はベントナイト粉末と、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤を混合して、コンクリート製収納容器の少なくとも底部に配置したことを特徴とする放射性セシウム汚染物収納容器、を提供する。
ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤のセシウムに対する固液分配係数を測定し、収納容器内の容積を勘案して、前記吸着剤の最低必要量を決定して、前記吸着剤を設置したことを特徴とするコンクリート製容器へのセシウム汚染物収納方法、を提供する。
ゼオライト、フェロシアン化合物、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤のセシウムに対する固液分配係数を式(1)にて、測定し、収納容器内の容積を勘案して、前記吸着剤の最低必要量を式(2)から決定して、前記吸着剤を内部に設置した後、セシウム汚染物を収納容器内に収納することを特徴とするコンクリート製容器へのセシウム汚染物収納方法、を提供する。
(収納容器)
放射線の遮蔽性能は、密度2.3cm/gの15cm厚コンクリートで密閉して、γ線を1/10とすることができる。重量骨材を用いた重量コンクリートでは、密度の大きなことで、遮蔽性能を高めることができる。一方、道路整備状況が良好とはいえない農村や山間部においては、厚肉のコンクリート容器を取扱える重機を搬入することが困難な地域も存在すると考えられることから、放射線の遮蔽性能を犠牲にした軽量骨材を用いたコンクリート容器の適用も有効である。本願では、密度1.7cm/g以上の容器を用いる。好ましくは、密度2.3cm/g以上の容器を用いる。密度が1.7cm/g未満では、放射線の遮蔽性能が十分でない。収納容器の容積は、問わないが、移動、搬送等のハンドリングを考慮すると、1mから2m程度が好ましい。
本発明は、放射能遮蔽効果は、従前のものと同等であるが、密度1.7cm/g以上のコンクリートを用いて、セシウムイオンの外部漏えいを飛躍的に防ぐことができる。
具体的には、例えば、コンクリート製角型容器で、肉厚15cm程度、一辺1〜1.5m、内容積1〜2m、重量2t〜6tを用いることができる。重量2tのものは、軽量骨材を用いて搬送性を高めたもの、重量6tのものは、重量骨材を用いて、密度を高め遮蔽性能を高めたものである。
被汚染物は、収納容器に入る大きさに、サイズを調製して、そのセシウム放射線量を測定する。土壌、稲藁、小さな瓦礫(家屋・ビルなどの建物その他工作物などの撤去時に出るコンクリートや舗装補修工事で掘り起こされたアスファルトがらなどの廃棄物で屑状のもの)はコンテナバッグで、集合して収納容器に入るサイズで、セシウム放射線量を測定する。セシウム放射線量から、半減期を考慮して、セシウム全量を算出する。
(吸着剤)
次いで、セシウム吸着剤を準備する。ハンドリング性を高めるため、粉末を顆粒状にしたものももちいることができる。例えば、天然ゼオライトとして、クリノプチロライト、モルデナイトが用いられる。合成ゼオライト、シリカゲル、アルミノシリケート系化合物、活性アルミナ、活性炭、ケイチタン酸塩も好ましい。また、フェロシアン化塩として、フェロシアン化コバルト、フェロシアン化鉄、マンガン系吸着剤として、酸化マンガン、マンガン砂が好適に用いられる。これらに、必要に応じて、凝集剤や、担持体としての珪砂等も用いることができる。
(計量と配置)
式(1)に、吸着剤の分配係数の計算式を示した。分配係数Kdは、水層から固層にセシウムイオンを吸着して移行させる実験により算出できる。その実験方法は、所定濃度Coのセシウムイオン水溶液の所定量(V)と吸着剤所定量(m)を混合、振盪して、吸着後のセシウムイオン濃度Cを測定して、Kdを算出する。即ち、Coは、模擬水のセシウムイオン濃度であり、蒸留水を用いて希釈する。収納容器の設置環境により、海水、模擬海水、模擬地下水等を適宜選択する。Cは、吸着剤で吸着後に測定した前記模擬水中のセシウム濃度である。mは実験に用いた吸着剤量である。ここで算出されたKdから、本発明で使用する吸着剤の使用量を求めることができる。このとき、セシウムは、放射性セシウムを含む全量である。
式(2)は、測定した分配係数から、容器内に配置する吸着剤量を算出する式である。Vは、収納容器体積であり、Coは、当該容器の容積の水にセシウムが均等に溶解したと仮定したときのイオン濃度であり、Cは、吸着剤に吸着後に、当該容器が水で満たされたと仮定したときのセシウムイオン濃度となる。分配係数Kdが大きいと使用する吸着剤量は少なくて済む。これが、吸着剤の最低必要量となる。これに1以上の安全係数、例えば、1.5を乗じた吸着剤量を最低量として、設定することが好ましい。
さらに、吸着剤は、すくなくとも、容器底部の全面にゆきわたるように、設置厚さ5mm以上、好ましくは、20mm以上となるように敷詰め、容器底部と収納物または、これを覆うコンテナが、直接、接触しないように設置されることが好ましい。従って、(2)から算出される最低必要量が容器底面全面を覆うことができないときは、設置厚さ5mm以上とする。5mm未満であると、セシウムイオンを含む水が、コンクリート製の収納壁と接触する確率が大きくなる。
図1に、セシウムに汚染された被汚染物を本容器に収納する方法の模式図を示した。容器は、15cm厚で、収納部分が1m角の立方体のコンクリート製角型容器10とした。本容器の底部に、止水材又は吸着剤設置部分20を設けた。ここに、粉末、又は顆粒状の吸着剤を設置した。粉末の種類によっては、流動性が悪く、ハンドリング性を向上させるために、顆粒状とすることが好ましいからである。粉末は、比表面積が大きいと、吸着平衡に速やかに到達するので好ましい。
吸着剤は、前記吸着剤を複数混合して用いることができる。異なる吸着剤への吸着反応は、競争的に起きるが、被汚染物の性状によっては、特定の吸着剤の性能が実験値通りに効果を奏しない場合もあり、例えば、ゼオライトとフェロシアン化鉄の併用も好ましい。微粉末の吸着剤には、凝集剤や、担持体としての珪砂等を併用することができる。
さらに止水材として、セピオライト、ベントナイトを予め、容器底部に敷詰めることができる。また、これらを混合することも好ましい。これら、止水材は、吸着剤の作用を妨害しないので、吸着剤とセシウムイオン含有水との接触を妨げない範囲ならば、任意の使用割合で混合して、使用することができる。特に短繊維タイプのセピオライト(トルコ産セピオライト)は、乾燥重量の300%程度の吸水が可能であり、この性能は、水分のpH、共存するイオンの影響が小さく、放射性セシウムの漏えい媒体となる水を吸収するので、特に好ましい。セピオライト粉末(例えば、トルコ産セピオライト原石を解砕、粉砕して、繊維長200〜1μmとした繊維状セピオライトの集合体)を、吸着剤と同量程度以下を混合して、使用するか、吸着剤と収納容器の底面の間に層状に敷詰めることが好ましい。層状に敷詰めたときは、セピオライト粉末の使用量は、底面を覆うことができる層厚5mm以上とする。このとき、止水材は、セシウムイオンが吸着された後の水分を吸収したり、セピオライトにいったんトラップされた水中のセシウムイオンを吸着したりすることも考えられる。
ベントナイトは、例えば、商品名スーパークレイ(株式会社ホージュン製)を、吸着剤と同量程度以下を混合するか、吸着剤と収納容器の底面の間に層状に敷詰めることが好ましい。ベントナイトの使用量も、セピオライトの使用量に準ずる。吸着剤設置部を本容器の底部に設けたのは、容器中の被汚染物中の水が重力で底部に滞留するからである。止水材は、水を容器内にとどめ、吸着剤の吸着平衡へ達する時間を確保するとともに、コンクリートのひび割れ等による漏水を防御する。
吸着剤粉末を設置後、被汚染物30を本容器に格納する。このとき、被汚染物は、フレキシブルコンテナに収納して、コンテナごと格納することもできる。このとき、止水材又は吸着剤を予めコンテナ内の底部にセットして、コンテナを格納したとき、本容器底部の止水材又は吸着剤設置部分20に止水材又は吸着剤がセットされるようにすることもできる。
その後、収納容器の蓋部12を収納容器本体部11に被せて、収納容器内に汚染物を密閉する。
固化処理をしない放射能汚染物質の放射能のセシウムイオンの閉じ込め性能を大幅に向上させる収納容器、収納方法を提供する。放射線の遮蔽性能は、変化しないが、遮蔽性能の満足できる容器への水の浸み込みがあったとき、また、被汚染物とともに水が、容器内に持ち込まれたとき、水中のセシウムイオンが吸着剤に止まり、セシウムイオンを含有する水の濃度を低下させ、セシウムイオンの外部への漏出を遅延させる さらに、止水効果のpH依存性のない止水材により、セシウムを含有しない水も吸収して、容器へのセシウムイオンの浸透を防止し、吸着剤からのセシウムイオンの脱離も防ぐことができる。
[実施の形態]
図1に示した角型コンクリート容器(普通コンクリート製キューブ内容積1m、重量コンクリート製キューブ内容積1m)を用いて、放射性セシウムに汚染された収納物から放射性セシウムを含む溶液が漏出したことを想定して浸透試験を実施した。フレキシブルコンテナに40万Bq/kgのセシウム137で汚染した表層土を1000kg詰めたと仮定すると、セシウムの半減期からセシウム量は0.124mgと計算される。この放射性セシウム全量が1リットルの水に溶解して容器底部に浸出したと仮定すると溶液のセシウム濃度は、0.124ppmとなる。そこで、安定同位体の塩化セシウム試薬で、この濃度のセシウム溶液を調整して模擬セシウム溶液とした。しかし、高濃度の汚染物を処理する場合を想定して、本模擬セシウム溶液100リットルを、収納容器10内に散布し、コンクリート容器へのセシウムの浸透状況を確認した。即ち、40万Bq/kg相当の100倍量のセシウムで試験を実施した(4000万Bq相当)。模擬セシウム溶液散布の後、7日後に吸着剤及び止水材を回収した。コンクリート製角型容器への浸透状態の確認は、模擬セシウム溶液と接触したコンクリート容器底面の表面を1mm削り取り、回収したコンクリートの粉末に存在するセシウムの量を測定した。回収したコンクリートの粉末は塩酸に溶解し、その塩酸溶液のセシウムの濃度をICP-MASを用いて測定することでコンクリート製角型容器に浸透したセシウムの量を評価した。吸着剤及び止水材へのセシウム吸着性能の評価は、回収した吸着剤及び/又は止水材から代表試料100gを分取して1リットルの水に24時間浸漬し、溶出したセシウムの濃度をICP-MASを用いて測定した。
角型コンクリート容器に、そのまま前記の模擬セシウム溶液を投入してセシウムのコンクリートへの浸透実験(A)を行った。
一方、浸透実験(B)として、吸着剤として、クリノプチロライト(山形県板谷地区の天然ゼオライト)、ベントナイト(商品名スーパークレイ:株式会社ホージュン製)を用いて行った。
浸透実験(A)と同じ仕様のコンクリートキューブを用いた。コンクリートキューブの底に厚さ2cmのベントナイトを敷き詰め、その上に17.9kgのクリノプチロライトを層状に敷きつめた。そして、本願発明容器に模擬セシウム溶液を投入した。クリノプチロライトのKdを、式(1)から算出すると、5.6×10であった。この値を用いて、収納容器の容積に匹敵する水にセシウムが溶解したと仮定したイオン濃度を1/100にするために、吸着させるための必要量を式(2)から算出して、17.9kgを得たものである。
(浸透実験(C))
収納容器の底部にセピオライトを厚さ2cm敷きつめた。その上に、フェロシアン化鉄粉末を1kg設置し、本願発明容器に模擬セシウム溶液を投入した。フェロシアン化鉄のKdを、式(1)から算出すると、1.0×10であった。この値を用いて、収納容器の容積に匹敵する水にセシウムが溶解したと仮定したイオン濃度を1/1000にするために、固層のフェロシアン化鉄に吸着させるための必要量(1kg)は式(2)から算出した。
(浸透実験(D))
結晶性ケイチタン酸塩CST−2(米国UOP社製)のKdを、式(1)から算出すると、1.6×10であった。この値を用いて、式(2)から、収納容器の容積に匹敵する水にセシウムが溶解したと仮定したイオン濃度を1/1000にするための、結晶性ケイチタン酸塩CST−2の必要量(6.25kg)を算出した。
収納容器の底部に、結晶性ケイチタン酸塩CST−2(米国UOP社製)、6.25kgとセピオライト粉末5kgを混合して設置し、本願発明容器に模擬セシウム溶液を投入した。
(浸透実験(E))
収納容器の底部に、吸着剤を用いず、セピオライト粉末を2cm敷詰めて設置し、本願発明容器に模擬セシウム溶液を投入した。
上記浸透実験例A乃至Eにおいて、コンクリート容器への浸透量と吸着量測定をおこなった。上記吸着剤と止水材を設置したコンクリートキューブに模擬セシウム溶液を100リットル散布投入した。7日間放置した後、吸着剤及び/又は止水材を回収し、コンクリート容器底部表面から1mmコンクリートを削り取りセシウムの浸透状況を評価した。さらに、吸着剤及び/又は止水材から代表試料を分取してセシウムイオン抽出測定用の水1リットルに浸漬してセシウムイオンの吸着量を評価した。吸着剤及び/又は止水材を浸漬した後24時間静置して、セシウム吸着量測定用の水を採取して、未吸着のセシウムイオン濃度測定をICP-MASでおこなった。これらの結果を、表1に示した。
表1が示す通り、遮蔽効果はコンクリート材料の密度と厚さから評価される通常の効果が期待できるうえ、セシウムイオン吸着効果と浸透に対する止水効果が優れているのは、実験例B乃至Dであった。以上の模擬セシウム水を用いた実験とは、別に、実際の土壌と模擬セシウム水を混合して試験をおこなったが、いずれも、セシウムイオンの吸着促進、コンクリート壁への浸透抑制について、模擬セシウム水単独の実験より、好ましい結果が得られた。従って、模擬セシウム水の単独散布の実験は、最も厳しい条件下を想定した試験であって、これをクリアーすることで、実際の土壌等の汚染物収納に対する対応が可能となったことを確認した。
セシウムに汚染された被汚染物を本容器に収納する方法の模式図である。
10 収納容器
11 収納容器本体部
12 収納容器の蓋部
20 止水材又は吸着剤設置部
30 セシウムに汚染された被収納物

Claims (5)

  1. コンクリート製収納容器内部の少なくとも底部に、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤を配置したことを特徴とする放射性セシウム汚染物収納容器。
  2. セピオライト粉末及び/又はベントナイト粉末を、コンクリート製収納容器の少なくとも底部に敷き詰め、その上に、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤を配置したことを特徴とする放射性セシウム汚染物収納容器。
  3. セピオライト粉末及び/又はベントナイト粉末と、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤を混合して、コンクリート製収納容器の少なくとも底部に配置したことを特徴とする放射性セシウム汚染物収納容器。
  4. ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤のセシウムに対する固液分配係数を測定し、収納容器内の容積を勘案して、前記吸着剤の最低必要量を決定して、前記吸着剤を設置したことを特徴とするコンクリート製容器へのセシウム汚染物収納方法。
  5. ゼオライト、フェロシアン化合物、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤のセシウムに対する固液分配係数を式(1)にて、測定し、収納容器内の容積を勘案して、前記吸着剤の最低必要量を式(2)から決定して、前記吸着剤を内部に設置した後、セシウム汚染物を収納容器内に収納することを特徴とするコンクリート製容器へのセシウム汚染物収納方法。
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