JP2013099771A - 複合部材の製造方法、複合部材及び複合部材の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1部材11の有底穴13に第2部材21の一端側を収容し、第2部材21の端部22を有底穴13の底部14に当接させ、第1部材11と第2部材21の他端側とを支持して荷重を負荷することで、第2部材21の一端側に圧縮応力を生じさせつつせん断応力を繰り返し生じさせて、第2部材21の一端側を肥大化させ、第2部材21の肥大した部位を第1部材11に圧接させることで、第2部材21の一端に第1部材11を接合する。
【選択図】図2
Description
この特許文献1では、被嵌合部材の貫通孔に軸を挿通し、軸に圧縮応力を生じさせつつせん断応力を繰り返し生じさせることで軸の挿通部分を部分的に肥大化し、肥大化した軸が被嵌合部材の貫通孔の内面に圧接することで、軸と被嵌合部材とを接合させている。
第1部材の有底穴と第2部材の一端側との間にクリアランスを設けて第2部材を有底穴に収容するのがよい。
第1部材及び第2部材の少なくとも一方が脆性材料からなる複合部材であっても適用可能である。
この製造方法では、有底穴に収容される第2部材の一端側に先細り形状のテーパ軸部を形成するのが好適である。
(σ/σc)<(1−2・(L/D)・tanα)2 ・・・(1)
(但し、αは第2部材の軸線に対するテーパ角であり、σは加工時に第2部材の元径で生じる応力、σcは第2部材の材料の圧縮破壊強度、Lは有底穴内に収容される第2部材の長さ、Dは元径の直径である。)
有底穴に底部側程太くなる逆テーパ形状を設けることもできる。
第1部材及び第2部材の少なくとも一方が脆性材料からなるものでもよい。第1部材の有底穴が底部側程太くなる逆テーパ形状を有していてもよい。
第1部材における有底穴に対応する外周面に配置され、この外周面と当接する内周面を有する環状治具を備えていれば有利である。
従って、第2部材の一端に第1部材を接合することが可能で、軸肥大技術を利用して製造できる複合部材の形状の自由度を向上できる。
従って第2部材の一端に種々の形状の第1部材が接合された複合部材を提供できる。そのため一端に各種の形状を設けることで軸肥大技術を利用して製造する複合部材の端部形状を自由に選択することができて形状の自由度を向上できる。
従って、第2部材の一端に第1部材が接合された複合部材を容易に製造可能な製造装置を提供することができる。
[第1実施形態]
第1実施形態の複合部材10は、図1に示すように、有底穴13を有する第1部材11と、有底穴13に一端側が収容された第2部材21とを備える。第2部材21の一端側の端部22が有底穴13の底部14に当接し、第2部材21の固定部位23が有底穴13の内周面15に圧接することで、第2部材21の端部22側に第1部材11が接合されている。
第2部材21では、有底穴13の深さよりも長く、一端側が有底穴13に収容可能で軸線Cに直交する断面が円形となっている。例えば中実又は中空の軸体、パイプ等であってもよく、ここでは中実の軸体となっている。
第1部材11や第2部材21が脆性材料により形成されていると、圧縮応力を生じさせつつせん断応力を繰り返し生じさせた際、破損し易く、展延性を有する金属等の材料に比べて肥大化させ難い。ところが本実施形態では、後述の方法で肥大化させることで、脆性材料からなるものであっても第1部材11の有底穴13内で第2部材21を肥大化して、第1部材11と第2部材21とを接合した複合部材が得られる。
この製造方法では、図2に示すように、所定形状の第1部材11及び第2部材21を準備し、有底穴13に第2部材21の一端側を挿入し、図3に示すような製造装置30を用いて第2部材21を部分的に肥大加工し、第1部材11と第2部材21とを接合する。この実施形態では更に他の加工や処理を施してもよい。
即ち、第2部材21の一端部にテーパ軸部を設けずにストレート形状にすると、有底穴13の口元部16付近が優先的に肥大化してしまい、有底穴13の底部側付近が肥大化し難い。このことは、肥大化には圧縮応力とせん断応力が必要であるが、端部22側でせん断力が十分に得難いことに起因しており、同一の圧縮応力を生じさせる条件下では端部の肥大化が進み難くなるためである。極端な場合には有底穴13の口元部16付近だけが肥大化して、有底穴13の底部側の肥大化が進行しないことがある。
ところがテーパ形状とすると、加工時に第2部材21に負荷される荷重が同じであっても、端部22側で断面積が小さくなることで応力をより増加することができ、有底穴13の口元部16付近の肥大化に必要な圧縮応力で端部22側を肥大化し易くできる。
テーパ角αは大きい程、端部22側を肥大化し易くできる。その一方、過剰に大きなテーパ角αとすると第2部材21の破壊等が生じることがある。そのためテーパ角度αを次の式(1)が満たされるように設定するのがよい。
(σ/σc)<(1−2・(L/D)・tanα)2 ・・・(1)
(但し、αは第2部材21の軸線に対するテーパ角であり、σは肥大加工時に第2部材21の他端側である元径で生じる応力、σcは第2部材21の材料の圧縮破壊強度、Lは有底穴13内に収容される第2部材21の長さ、Dは第2部材21の元径の直径である。)
P/((πd2)/4)<σc ・・・(2)
(ここでσcは材料の圧縮破壊強度である。)
第2部材21の先端の直径dは、元径D、テーパ部分の長さL、テーパ角αを用いて次のように表せる。
d=D−(2・L・tanα) ・・・(3)
そのため、(2)式は次のように表せる。
P<σc・((πd2)/4)・(1−2・(L/D)・tanα)2 ・・・(4)
従って、肥大加工時に元径で生じる加工応力をσとすると、上記(1)式となる。
クリアランスmの大きさは第1部材11及び第2部材21の材料、形状、複合部材10の用途等に応じて適宜設定可能である。
第1ホルダ31は、第1部材11の一端側の端部と第1部材11の側周面とを相対移動不能に支持可能な第1保持部36を有する。第2ホルダ32は、第2部材21の他端側の端部を相対移動不能に支持可能な第2保持部37を有する。第1ホルダ31及び第2ホルダ32は適宜な構成を選択でき、図3では詳細な構成の図示は省略している。
環状治具33を装着しないで荷重を負荷すると、有底穴13内に配置された第2部材21に生じる各種の応力が組み合わされて、図4(a)に示すように長手方向の応力分布が生じる。ここでは有底穴13の口元部16では、ヘルツ応力のために急峻に増加する。第1部材11の有底穴13の口元部16においてヘルツ応力による応力集中は、第1部材11の割れや有底穴13の口元部16の変形の原因となる。
まず図2に示すように、第2部材21の一端側を有底穴13に収容し、第2部材21の端部22を有底穴13の底部14に当接させる。
図3に示すように、第2部材21の他端側を第2ホルダ32の第2保持部37に支持させ、第1部材11における有底穴13に対応する外周面に環状治具33を嵌合し、第1部材11を第1ホルダ31の第1保持部36に支持させる。さらに環状治具33を第1ホルダ31の嵌合凹部34に収容して支持させる。これにより第1ホルダ31の第1保持部36及び第2ホルダ32の第2保持部37を軸線Cが直線となるようにして、第1部材11及び第2部材21を製造装置30にセットする。
すると第1部材11の有底穴13内に配置された第2部材21の一端側に、第2部材21を圧縮する方向の荷重が繰り返し変化して負荷され、軸と交差する方向のせん断応力を繰り返し生じさせる。第2部材21が回転していることから、回転に伴い第2部材21の全周方向に変化するせん断応力が第2部材21に繰り返し生じる。第1ホルダ31に対して第2ホルダ32を所定角度θに保って第2部材21を回転させるため、周期的に変化する所定のせん断応力が第2部材21の全周方向に均等に生じる。
第2ホルダ32に保持された第2部材21の軸線Cと第1ホルダ31に保持された第2部材21の軸線Cとの曲げ角度θは、形状や材料などに応じて選択するのがよい。
このとき有底穴13に収容された第2部材21の一端側に先細り形状のテーパ軸部24が形成されているため、一端側が広い範囲で肥大化することができる。また第1部材の有底穴13の内周面と第2部材21の一端側の外周面との間にクリアランスmが設けられているため、確実に第2部材21の一端側が肥大化できる。さらに環状治具33が第1部材11の外周囲に装着されて荷重が負荷されているため、肥大加工中に第1部材11の割れや有底穴13の口元部16の変形が防止される。
その後、第1ホルダ31及び第2ホルダ32から第1部材11及び第2部材21が一体化した状態の複合部材10を取り出し、肥大加工を終了する。得られた複合部材10では、第2部材21に肥大して形成された固定部位23が有底穴13の内周面15に圧接することで、第2部材21に第1部材11が強固に固定されている。
これにより、図1に示すような複合部材10が製造される。
従って、第2部材21の一端に第1部材11を接合することが可能である。そのため第1部材11として各種の形状を選択することで複合部材10の端部形状を自由に選択することができ、軸肥大技術を利用して製造できる複合部材10の形状の自由度を向上できる。
図5は第2実施形態の複合部材を示す。
第2実施形態の複合部材10では、第1部材11及び第2部材21が第1実施形態の脆性材料よりも高い展延性を有する銅、アルミ、軟鋼のような材料によって形成されている。そして第1部材11の有底穴13が底部14側程太くなる先太り形状の逆テーパ形状を有し、第2部材21の固定部位23が逆テーパ形状の有底穴13に対応した逆テーパ形状に形成されている。
有底穴13が逆テーパ形状であるため、第2部材21の固定部位23によって第1部材11と第2部材21とが接合されると、第1部材11の有底穴13から第2部材21の一端側が抜け外れることを確実に防止できる。
他の構成は第1実施形態と同様である。
このとき、環状治具33を使用してもよいが、高い展延性を有する銅、アルミ、軟鋼のような材料では、第1部材11の有底穴13の口元部において、ヘルツ応力による応力集中が生じ難い。そのため第1ホルダ31には環状治具33を用いなくてもよい。
第2実施形態では、第1部材11及び第2部材21が第1実施形態より展延性に富む材料からなるため、第1ホルダ31の加圧力や第2ホルダ32の傾斜量を大きくすることができる。
即ち、第2部材21の一端側を有底穴13に収容し、端部22を有底穴13の底部14に当接させて荷重を負荷する。そのため、第2部材21の適切な位置に十分な荷重を与えて、圧縮応力を生じさせつつせん断応力を繰り返し生じさせることができ、第2部材21の一端に第2部材21よりも大きな断面形状を有する第1部材11を接合できる。
また第1部材11の有底穴13と第2部材21の一端側との間にクリアランスmを設け、第2部材21を有底穴13に収容して肥大加工するので、第1部材11の有底穴13内で第2部材21を肥大化して確実に接合できる。
例えば上記第1及び第2実施形態では、脆性材料の場合に第2部材21の一端側をテーパ形状に形成して接合し、展延性の材料の場合に第1部材11の有底穴13を逆テーパ形状に形成して接合した。しかしながら、第1部材11と第2部材21とが接合可能であれば、脆性材料であっても第2部材21の一端側をストレート形状にしたり第1部材11の有底穴13を逆テーパ形状にすることが可能である。また展延性の材料であっても、第2部材21の一端側や第1部材11の有底穴13を先細り状のテーパ形状にすることが可能である。
α テーパ角
σ 元径で生じる応力
σc 圧縮破壊強度
L 収容長さ
D 元径の直径
d 先端の直径
m クリアランス
10 複合部材
11 第1部材
13 有底穴
14 底部
15 内周面
16 口元部
21 第2部材
22 端部
23 固定部位
24 テーパ軸部
30 製造装置
31 第1ホルダ
32 第2ホルダ
33 環状治具
34 嵌合凹部
36 第1保持部
37 第2保持部
Claims (12)
- 第1部材に第2部材の一部を収容し、上記第2部材に圧縮応力を生じさせつつせん断応力を繰り返し生じさせることで該第2部材を部分的に肥大化し、該第2部材の肥大した部位を第1部材に圧接させることで上記第1部材と上記第2部材とを接合する複合部材の製造方法であり、
上記第1部材に有底穴を設け、
上記第2部材の一端側を上記有底穴に収容して該一端側の端部を該有底穴の底部に当接させ、
上記第1部材と上記第2部材の他端側とを支持して上記第2部材を圧縮する方向の荷重を繰り返し変化させて負荷することで、上記第2部材の一端側に上記圧縮応力及び上記せん断応力を生じさせる、複合部材の製造方法。 - 前記第1部材の有底穴と前記第2部材の一端側との間にクリアランスを設けて上記第2部材を上記有底穴に収容する、請求項1に記載の複合部材の製造方法。
- 前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方が脆性材料からなる、請求項1又は2に記載の複合部材の製造方法。
- 前記第1部材における前記有底穴に対応する外周面に、該外周面を囲む環状治具を配置し、該外周面と環状治具の内周面とを当接させて上記荷重を負荷する、請求項1乃至3の何れかに記載の複合部材の製造方法。
- 前記有底穴に収容される前記第2部材の一端側に先細り形状のテーパ軸部を形成する、請求項1乃至4の何れかに記載の複合部材の製造方法。
- 前記テーパ軸部のテーパ角αを下記(1)式が満たされる範囲にする、請求項5に記載の複合部材の製造方法。
(σ/σc)<(1−2・(L/D)・tanα)2 ・・・(1)
(但し、αは第2部材の軸線に対するテーパ角であり、σは加工時に第2部材の元径で生じる応力、σcは第2部材の材料の圧縮破壊強度、Lは有底穴内に収容される第2部材の長さ、Dは元径の直径である。) - 前記有底穴に底部側程太くなる逆テーパ形状を設ける、請求項1又は2に記載の複合部材の製造方法。
- 有底穴を有する第1部材と、該有底穴に一端側が収容された第2部材とを備え、該第2部材の一端側の端部が上記有底穴の底部に当接し、且つ上記第2部材を部分的に肥大化して形成された固定部位が上記有底穴の内周面に圧接して、上記第1部材と上記第2部材とが接合されている、複合部材。
- 前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方が脆性材料からなる、請求項8に記載の複合部材。
- 前記第1部材の有底穴が底部側程太くなる逆テーパ形状を有する、請求項8に記載の複合部材。
- 有底穴を有する第1部材と、該有底穴に一端側が収容された第2部材とを備え、該第2部材の一端側の端部が上記有底穴の底部に当接し、且つ上記第2部材を部分的に肥大化して形成された固定部位が上記有底穴の内周面に圧接して、上記第1部材と上記第2部材とが接合された複合部材を製造する装置であり、
上記第1部材を支持する第1ホルダと、上記第2部材の他端側を支持する第2ホルダと、を備え、
上記第1ホルダと上記第2ホルダとの間に圧縮方向の荷重を負荷可能で、且つ上記第1ホルダに支持した上記第1部材の軸線と上記第2ホルダに支持した上記第2部材の軸線とを傾斜させた状態で、上記第1ホルダ及び第2ホルダが回転可能である、複合部材の製造装置。 - 前記第1部材における前記有底穴に対応する外周面に配置され、該外周面と当接する内周面を有する環状治具を備えた、請求項11に記載の複合部材の製造装置。
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