JP2013098261A - 固体撮像素子およびその製造方法、並びに電子情報機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】読み出し特性や感度劣化がなく、熱酸化処理による電荷転送電極間のギャップ部の拡大を回避することができ、これにより、微細で高速転送可能な固体撮像素子を実現する。
【解決手段】固体撮像素子100において、垂直CCD部110は、シリコン基板1内に形成され、信号電荷を転送する転送チャネル3と、シリコン基板1上にゲート絶縁膜7を介して転送チャネル3に沿って配列された複数の電荷転送電極8と、隣接する電荷転送電極8の間に絶縁材料を堆積して形成され、該隣接する電荷転送電極を電気的に分離する電極分離絶縁膜とを有する構造とし、受光部101は、シリコン基板1内に形成され、入射光の光電変換により信号電荷を生成する光電変換領域5と、該光電変換領域の表面部分の熱酸化により形成された熱酸化膜11とを有する構造とした。
【選択図】図1
【解決手段】固体撮像素子100において、垂直CCD部110は、シリコン基板1内に形成され、信号電荷を転送する転送チャネル3と、シリコン基板1上にゲート絶縁膜7を介して転送チャネル3に沿って配列された複数の電荷転送電極8と、隣接する電荷転送電極8の間に絶縁材料を堆積して形成され、該隣接する電荷転送電極を電気的に分離する電極分離絶縁膜とを有する構造とし、受光部101は、シリコン基板1内に形成され、入射光の光電変換により信号電荷を生成する光電変換領域5と、該光電変換領域の表面部分の熱酸化により形成された熱酸化膜11とを有する構造とした。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体撮像素子およびその製造方法、並びに電子情報機器に関し、特に、固体撮像素子の受光部および電荷転送部のそれぞれに適した絶縁膜の構成、受光部および電荷転送部を構成する絶縁膜の形成方法、並びに受光部および電荷転送部のそれぞれに適切な絶縁膜を用いた固体撮像素子を備えた電子情報機器に関するものである。
近年、固体撮像素子の高画素化が進んでおり、固体撮像素子では、画素数増加に伴い信号電荷の高速転送が必要となるため、とりわけ電荷転送電極の低抵抗化と、転送方向に並ぶ電荷転送電極の離間間隔(以下、電極間ギャップともいう。)の微細化が重要となってきている。
ところで、電荷転送電極の構成材料膜(以下、電極材料膜ともいう。)の加工は、電極間ギャップが狭くなるよう行って、転送チャネルに形成される電荷転送井戸のポテンシャルレベルを均一にする必要があるが、隣接する電荷転送電極の間の領域(以下、電極間ギャップ部ともいう。)に配置する絶縁膜の形成方法によっては、電極間ギャップが広がってしまうという問題がある。
例えば、従来、電極間ギャップ部に埋め込む絶縁膜の形成方法として、電荷転送電極を構成するポリシリコンなどの導電性膜を酸化させて電極間ギャップ部に絶縁膜を形成する方法が用いられている。
ところが、この方法では、電極間ギャップ部に露出する転送チャネルの表面や電荷転送電極を構成するポリシリコン等の導電性材料膜が熱酸化により侵食され、ゲートバーズビークが大きくなってスマイリング形状となり、電極間ギャップが広がることから、固体撮像素子の微細化の妨げとなるだけでなく、電荷転送特性の劣化を招くこととなる。
つまり、電極間ギャップが広がることで、転送チャネル内で電荷転送井戸をそのポテンシャルレベルが均一になるよう形成することが困難となる。言い換えると、転送チャネル内に転送パルスの印加され難い領域が局所的に形成されることになる。
また、電荷転送電極の材料であるポリシリコンの熱酸化により、ポリシリコンのグレインバウンダリへの高濃度リン偏析による増速酸化現象が起こり、ポリシリコンの異常酸化により電荷転送電極の表面に局所的に凸凹が発生し、電荷転送電極における配線抵抗にばらつきが生じてしまう。
このように電荷転送電極における配線抵抗のばらつきが発生し、さらに転送チャネル内の転送パルスの印加され難い局所的な領域が生ずることで、固体撮像素子における電荷転送特性の劣化が生じてしまう。
このように電極間ギャップ部に熱酸化により絶縁膜を形成することにより生ずる電荷転送特性の劣化に対する対策として、特許文献1には、電極間ギャップ部に熱酸化によらずにLPCVD法によって絶縁膜を充填させることで、電極間ギャップの拡がりを招くことなく、電極間ギャップ部に絶縁膜を形成する方法が開示されている。
以下、この特許文献1に開示の固体撮像素子の製造方法を簡単に説明する。
図16および図17は、特許文献1に開示の固体撮像素子の製造方法を工程順に説明する図である。
まず、シリコン基板31上にゲート絶縁膜32として、酸化シリコン膜32a、窒化シリコン膜32b、および酸化シリコン膜32cの3層構造の絶縁膜を形成し、このゲート絶縁膜32上に電荷転送電極の構成材料としてのポリシリコン膜33を成膜する(図16(a))。
次に、ポリシリコン膜33上に開口幅gの開口パターンを有するレジスト膜R1aを形成し(図16(b))、このレジスト膜R1aをマスクとしてポリシリコン膜33をエッチングし、ポリシリコン膜33に電極間ギャップ部Gを形成する(図16(c))。例えば、ポリシリコン膜33のエッチングは窒化シリコン膜32bをエッチングストッパとして行い、その後、さらなるエッチング処理により、この窒化シリコン膜32bとその下の酸化シリコン膜32aを除去する。この状態では、ポリシリコン膜33は、電極間ギャップ部Gにより、転送方向と直交する方向に延びる複数の帯状導体層33aに分離されている。つまり、この状態では、帯状導体層33aは受光部としてのフォトダイオードの形成領域を覆っている。
続いて、レジスト膜R1aを除去した後、減圧化学気相成長法(LPCVD法)により、シリコン酸化膜(HTO)34を帯状導体層33aの隙間部(電極間ギャップ部)Gを埋めるよう形成し(図17(a))、減圧CVD法によりこの帯状導体層33a全体を覆うようにシリコン窒化膜35を形成する(図17(b))。
その後は、フォトダイオードの形成領域に対応した開口パターンを有するレジスト膜(図示せず)をエッチングマスクとして、シリコン窒化膜35、シリコン酸化膜34、および帯状導電層33aを選択的にエッチングし、さらにこのレジスト膜をイオン注入マスクとして用いてイオン注入を行って受光部としてフォトダイオードを形成する。
そして、全面に層間絶縁膜を介してカラーフィルタ、平坦化膜、およびマイクロレンズを形成するなどの処理を経て固体撮像素子を完成する。
ところで、特許文献1に開示の固体撮像素子の製造方法では、電荷転送電極の構成材料であるポリシリコン膜のパターニングによりポリシリコン膜に電極間ギャップ部のみを形成した後、この電極間ギャップ部に絶縁膜を埋め込み、その後、レジストマスクを用いたさらなる選択的なエッチング処理およびイオン注入処理を行うことにより受光部としてのフォトダイオード部を形成している。
つまり、電極材料膜(ポリシリコン膜)に電極間ギャップ部を形成する処理と、受光部の形成領域上にポリシリコン膜の開口部を形成する処理とは別工程で行っている。このため、電極間ギャップ部を形成した電極材料膜に受光部に対応する開口(受光部開口)を形成する際、マスクパターンの位置合わせにずれが生じて受光部形成用のマスク開口部が電極間ギャップ部Gにまでオーバーラップされなくなると、電荷転送電極を構成するポリシリコン膜が分離されず、隣接する電荷転送電極がショートした状態となる。
以下この問題点について図18〜図23を用いて説明する。
まず、図18〜図21を用いて電極間ギャップ部を形成した電極材料膜に受光部開口を形成する際に、マスクパターンの位置合わせが正常に行われた場合について説明する。
図18は、図16(b)と同様に、シリコン基板31上にゲート絶縁膜32を介して電荷転送電極の構成材料としてのポリシリコン膜33を形成し、さらに、ポリシリコン膜33上にレジスト膜R1aを形成した状態を示している。また、図18(b)および図18(c)は、図18(a)のXVIIIb−XVIIIb線断面およびXVIIIc−XVIIIc線断面の構造を示している。なお、図18中、31aは転送チャネルである。
この図18に示す状態で、レジスト膜R1aをマスクとしてポリシリコン膜33をエッチングして電極間ギャップ部Gを形成し、さらに電極間ギャップ部Gに露出したゲート絶縁膜32をエッチングして除去する(図19参照)。なお、図19(a)は電極材料膜のパターニングにより帯状電極材料膜33aを形成した状態を示す平面図、図19(b)および図19(c)は、図19(a)のXIXb−XIXb線断面図およびXIXc−XIXc線断面図である。
その後、図17(a)および図17(b)に示すように、シリコン酸化膜34およびシリコン窒化膜35を形成した後、受光部に対応するマスク開口R2a1を有するレジストマスクR2aを形成する。なお、図20(a)は、この状態を示す平面図、図20(b)および図20(c)は、図20(a)のXXb−XXb線断面図およびXXc−XXc線断面図である。但し、図20(a)の平面図では、帯状電極材料膜33aとレジストマスクR2aのマスク開口R2a1との位置関係を分かりやすくするため、シリコン酸化膜34およびシリコン窒化膜35は省略している。
この図20に示す状態で、レジスト膜R2aをマスクとしてシリコン窒化膜35、シリコン酸化膜34、および帯状電極材料膜33aを構成するポリシリコン膜をエッチングし、さらにこのレジスト膜R2aをイオン注入マスクとしてイオン注入を行ってフォトダイオードの表面p+層31bを形成する。これにより、帯状電極材料膜33aから電荷転送電極33bが形成され、さらに受光部に表面p+層31bが形成される。
なお、図21(a)は、このイオン注入後にレジスト膜を除去した状態を示す平面図、図21(b)および図21(c)は、図21(a)のXXIb−XXIb線断面図およびXXIc−XXIc線断面図である。但し、図21(a)の平面図では、電荷転送電極33bの平面パターンを分かりやすくするため、ゲート絶縁膜32、シリコン酸化膜34およびシリコン窒化膜35は省略している。
次に、図22および図23を用いて電極間ギャップ部を形成した電極材料膜に受光部開口を形成する際に、マスクパターンの位置合わせにずれが生じた場合について説明する。
図19に示すように、電極材料膜に電極間ギャップGを形成して帯状電極材料膜33aを形成し、電極間ギャップ部のゲート絶縁膜を除去した後、シリコン酸化膜34およびシリコン窒化膜35を形成し、その後、受光部に対応するマスク開口R2b1を有するレジストマスクR2bを形成する。なお、図22(a)は、この状態を示す平面図、図22(b)および図22(c)は、図22(a)のXXIIb−XXIIb線断面図およびXXIIc−XXIIc線断面図である。但し、図22(a)の平面図では、帯状電極材料膜33aとレジストマスクR2bのマスク開口R2b1との位置関係を分かりやすくするため、シリコン酸化膜34およびシリコン窒化膜35は省略している。
このとき、レジストマスクR2bのマスク開口R2b1は、帯状電荷転送電極33aに対して紙面上下方向にずれている。
この図22に示す状態で、レジスト膜R2bをマスクとしてシリコン窒化膜35、シリコン酸化膜34、および帯状電極材料膜33aを構成するポリシリコン膜をエッチングし、さらにこのレジスト膜R2bをイオン注入マスクとしてイオン注入を行う。これにより、帯状電極材料膜33aから電荷転送電極33cが形成され、さらに受光部に表面p+層31cが形成される。
なお、図23(a)は、このイオン注入後にレジスト膜を除去した状態を示す平面図、図23(b)および図23(c)は、図23(a)のXXIIIb−XXIIIb線断面図およびXXIIIc−XXIIIc線断面図である。但し、図23(a)の平面図では、電荷転送電極33cの平面パターンを分かりやすくするため、ゲート絶縁膜32、シリコン酸化膜34およびシリコン窒化膜35は省略している。
図22に示すように、レジストマスクR2bのマスク開口R2b1が帯状電荷転送電極33aに対して紙面上下方向にずれている状態で、この帯状電荷転送電極33aのパターニングを行うと、図23(a)に示すように、紙面左右に隣接する電荷転送電極33cがエッチング残部33c1により繋がった状態となる。
また、特許文献1に開示の固体撮像素子の製造方法では、電極材料(ポリシリコン膜)に受光部の形成領域に対応する開口部を形成するためのレジストマスクR2a(図20参照)あるいはR2b(図22参照)をそのまま残して、これをイオン注入マスクにして、受光部の表面p+層を形成するためのイオン注入を行っている。
この場合、イオン注入は、電極材料膜のエッチング後に現われる下地残膜(ゲート絶縁膜)32(図21(b)、図21(c)など参照)を介して行われることになるので、電極材料膜のエッチング時に下地残膜であるゲート絶縁膜の膜厚がこのゲート絶縁膜の面内で変動することに起因して、シリコン基板内でのイオン注入深さや不純物濃度が変動することになり、この影響で、例えば、フォトダイオード(受光部)から信号電荷を読み出すときの読出し特性がばらつき、信号電荷の読み出し時に読み出される電荷量が変動してしまうことになる。
また、特許文献1に開示の方法では、電極材料膜を形成した後は、受光部の表面が熱酸化されることはないことから、受光部の表面には電極材料膜のエッチングによるダメージが残存してしまい、受光部が構成する個々の画素の特性劣化を招き、白傷が増えて画質が劣化するといった問題があった。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、隣接する電荷転送電極の絶縁分離を、電荷転送特性および画素特性を共に劣化させることなく行うことができる高画質の固体撮像素子、このような固体撮像素子の製造方法、並びに、このような高画質の固体撮像素子を備えた電子情報機器を得ることを目的とする。
本発明に係る固体撮像素子は、入射光を受光する受光部と、該受光部で得られた信号電荷を転送する電荷転送部とを備えた固体撮像素子であって、該電荷転送部は、半導体基板内に形成され、該信号電荷を転送する転送チャネルと、該半導体基板上にゲート絶縁膜を介して該転送チャネルに沿って配列された複数の電荷転送電極と、隣接する電荷転送電極間に該隣接する電荷転送電極が電気的に分離されるよう形成された、絶縁材料を堆積した構造の電極分離絶縁膜とを有し、該受光部は、該半導体基板内に形成され、該入射光の光電変換により信号電荷を生成する光電変換領域と、該光電変換領域の表面部分に形成された、該半導体基板を熱酸化させた構造の熱酸化膜とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明は、上記固体撮像素子において、前記光電変換領域には、前記熱酸化膜に接するよう反射防止膜が形成されていることが好ましい。
本発明は、上記固体撮像素子において、前記反射防止膜は、シリコン窒化膜であることが好ましい。
本発明は、上記固体撮像素子において、前記半導体基板はシリコン基板であり、前記ゲート絶縁膜は、該シリコン基板の熱酸化により形成されたシリコン酸化膜であることが好ましい。
本発明は、上記固体撮像素子において、前記電荷転送電極は、ポリシリコンにより構成されていることが好ましい。
本発明に係る固体撮像素子の製造方法は、入射光を受光する受光部と、該受光部で得られた信号電荷を転送する電荷転送部とを備えた固体撮像素子を製造する方法であって、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して導電性材料膜を形成する工程と、該電荷転送部を構成する電荷転送電極を分離するギャップ部、および該受光部に対応する開口部が該導電性材料膜に形成されるよう該導電性材料膜をパターニングする工程と、隣接する電荷転送電極を電気的に分離する電極分離絶縁膜を絶縁材料の堆積により該ギャップ部内に形成する工程と、該半導体基板の、該受光部を構成する領域の表面部分に熱酸化により熱酸化膜を形成する工程とを含み、そのことにより上記目的が達成される。
本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記導電性材料膜をパターニングする工程は、該導電性材料膜上にレジストマスクを、前記電荷転送電極を分離するギャップ部および前記受光部に対応する開口部にマスク開口が位置するよう形成する工程と、該レジストマスクをエッチングマスクとして該導電性材料膜を選択的にエッチングして該電荷転送電極を分離するギャップ部および該受光部に対応する開口部を同時に形成する工程とを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記電極分離絶縁膜を形成する工程は、前記導電性材料膜上に第1の絶縁膜を化学気相成長により、前記電荷転送電極のギャップ部および前記受光部に対応する開口部を覆うよう形成する工程と、該第1の絶縁膜上に化学気相成長により、該第1の絶縁膜とは材料の異なる第2の絶縁膜を形成する工程とを含み、前記熱酸化膜を形成する工程は前記受光部に対応する開口部内の、該第2の絶縁膜、該第1の絶縁膜、および前記ゲート絶縁膜を除去した後、前記半導体基板における、該受光部に対応する開口部内に露出する部分を熱酸化して前記熱酸化膜を形成する工程であることが好ましい。
本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記第1の絶縁膜としてシリコン酸化膜を形成し、前記第2の絶縁膜としてシリコン窒化膜を形成することが好ましい。
本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記熱酸化膜を第3の絶縁膜として形成した後、第4の絶縁膜として該熱酸化膜に接するよう反射防止膜を形成する工程を含むことが好ましい。
本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記第4の絶縁膜を形成する工程では、該第4の絶縁膜としてシリコン窒化膜を減圧化学気相成長により形成することが好ましい。
本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記第2の絶縁膜として5nm〜30nmの膜厚を有するシリコン窒化膜を形成することが好ましい。
本発明は、上記固体撮像素子の製造方法において、前記導電性材料膜をパターニングする工程は、前記電荷転送電極を分離するギャップ部と前記受光部に対応する開口部とを、異なるエッチングマスクを用いた該導電性材料膜に対する別々のエッチング処理により形成する工程であることが好ましい。
本発明に係る電子情報機器は、上述した本発明に係る固体撮像素子を備えたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
次に作用について説明する。
本発明においては、電荷転送方向に沿って互いに隣接するよう配置された2つの電荷転送電極の間を、絶縁材料の堆積により形成した絶縁膜により電気的に分離し、一方、受光部を構成する光電変換領域の表面には熱酸化膜を形成するので、電荷転送電極の構成材料であるポリシリコンの異常酸化がなく、このため、電荷転送電極の配線抵抗は均質なものとなり、また、電荷転送電極を分離するギャップ部(以下、電極間ギャップ部ともいう。)が酸化により拡がることがなく、この電極間ギャップ部下の転送チャネルの表面も酸化されていないので、電荷転送特性の劣化がない。
さらに、受光部の表面は、熱酸化膜により均一な絶縁膜が形成されることで、受光部を構成する高濃度表面領域を形成するためのイオン注入がばらつきを小さく抑えて行われるので、信号電荷の読み出し特性の劣化が抑制できる。
また、第2の絶縁膜としてのシリコン窒化膜は5nm〜30nmという薄い膜厚で形成するので、画素開口を狭めることがなく、感度劣化がない。
本発明においては、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して導電性材料膜を形成し、この導電性材料膜のパターニングにより導電性材料膜に、電荷転送電極の転送方向に沿った電極間ギャップ部および受光部の形成領域に対応する開口部を形成し、導電性材料膜の電極間ギャップ部には絶縁材料の堆積により絶縁膜を形成し、導電性材料膜の受光部に対応する開口部には熱酸化により絶縁膜を形成するので、電極間ギャップ部が絶縁膜の形成時に広がるのを回避でき、また、受光部に対応する開口部では、絶縁膜の形成時に電極材料膜のエッチングによる下地領域のダメージを回復でき、しかも絶縁膜の膜厚を均一にすることができる。
その結果、電荷転送特性および画素特性を共に劣化させることなく、電荷転送電極の電極間ギャップ部および受光部に対応する開口部に絶縁膜を形成することができる。
また、本発明においては、電荷転送電極の構成材料膜である導電性材料膜を、レジストマスクをエッチングマスクとして選択的にエッチングして、電荷転送電極を分離するギャップ部および受光部に対応する開口部を同時に導電性材料膜に形成するので、電極間ギャップ部を形成した電極材料膜に、受光部に対応する開口を形成する際に、マスクパターンの位置合わせにずれが生じて、電荷転送電極を構成するポリシリコン膜が分離されず、隣接する電荷転送電極がショートした状態となるのを確実に回避することができる。
また、本発明においては、電荷転送電極の電極間ギャップ部に酸化抑制膜としてのシリコン窒化膜を充填するので、受光開口部の熱酸化プロセスで電極間ギャップ部下側の転送チャネルの表面や電荷転送電極が酸化されるのを防止でき、これによって電荷転送電極の構成材料の異常酸化を回避し、電極間ギャップ部の拡大を抑制することができる。
また、本発明においては、電極間ギャップ部に埋め込む絶縁膜をその膜厚が5〜30nmの範囲になるよう薄く形成するので、この絶縁膜が受光開口部内で遮光膜開口を狭めるのを抑制でき、感度劣化を実質的に抑えることができる。
以上のように、本発明によれば、隣接する電荷転送電極の絶縁分離を、電荷転送特性および画素特性を共に劣化させることなく行うことができる固体撮像素子およびその製造方法、並びにこのような固体撮像素子を備えた電子情報機器を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1から図3は、本発明の実施形態1による固体撮像素子を説明する図であり、図1は、この固体撮像素子の全体構成を概略的に示している。また、図2(a)は、図1に示す固体撮像素子の一部(A部分)における電荷転送電極と受光部(光電変換領域)との位置関係を示し、図2(b)は、固体撮像素子の一部(A部分)での電荷転送電極とその駆動信号線との位置関係を示している。さらに、図3(a)は、図2(a)および図2(b)のA1−A1線における断面構造を示し、図3(b)は、図2(a)および図2(b)のA2−A2線における断面構造を示している。
図1から図3は、本発明の実施形態1による固体撮像素子を説明する図であり、図1は、この固体撮像素子の全体構成を概略的に示している。また、図2(a)は、図1に示す固体撮像素子の一部(A部分)における電荷転送電極と受光部(光電変換領域)との位置関係を示し、図2(b)は、固体撮像素子の一部(A部分)での電荷転送電極とその駆動信号線との位置関係を示している。さらに、図3(a)は、図2(a)および図2(b)のA1−A1線における断面構造を示し、図3(b)は、図2(a)および図2(b)のA2−A2線における断面構造を示している。
この実施形態1による固体撮像素子100は、行列状に配列された複数の受光部(PD)101と、複数の受光部101の列毎に設けられ、対応する列の受光部101から信号電荷を読み出して垂直方向に転送する垂直CCD部110と、垂直CCD部110から転送されてきた信号電荷を水平方向に転送する水平CCD部(HCCD)120と、水平CCD部120から転送されてきた信号電荷を電圧信号に変換し増幅して出力する出力部130とを有している。
ここで、各受光部101と、垂直CCD部110における受光部101に対向する部分とにより画素Pxが構成されており、受光部101はフォトダイオードにより構成されており、このフォトダイオードを構成するn型光電変換領域5の表面部分には表面p+層5aが形成されている。この表面p+層5aは、受光部101を構成するn型光電変換領域5の表面部分で結晶欠陥などに起因して熱的に発生したノイズ電荷(電子)と結合するホール濃度を高めてノイズ電荷の寿命を短縮させることにより信号電荷以外のノイズ電荷による雑音を抑制する働きがある。
また、垂直CCD部110は、半導体基板1に転送方向に沿って形成された転送チャネル3と、半導体基板1上にゲート絶縁膜7を介して転送チャネル3に沿って配列された複数の電荷転送電極(以下、転送ゲート電極ともいう。)8と、転送方向に配置された隣接する電荷転送電極8の間に、これらの隣接する電荷転送電極8が電気的に分離されるよう形成された、絶縁材料を堆積した構造の電極分離絶縁膜とを有している。
ここでは、半導体基板1にはn型シリコン基板を用い、電荷転送電極を構成する材料膜(電極材料膜)にはポリシリコン膜を用いている。電極分離絶縁膜は、電荷転送電極8の表面および隣接する電荷転送電極8の間隙部(以下、電極間ギャップ部ともいう。)Gを覆うよう酸化シリコンを堆積して形成された第1の絶縁膜(シリコン酸化膜)9と、第1の絶縁膜9上に窒化シリコンを堆積して形成された第2の絶縁膜(シリコン窒化膜)10と、第2の絶縁膜10上に電極間ギャップ部Gを埋めるよう窒化シリコンを堆積して形成された第4の絶縁膜(シリコン窒化膜)12とを含んでいる。
ここで、ゲート絶縁膜7は、30nm〜50nmの厚さとしており、これは、薄くしすぎると耐圧が不十分となり、一方厚くしすぎると、電荷転送電極8に印加する駆動信号による電荷転送井戸のポテンシャル深さが確保できなくなるからである。第2の絶縁膜(シリコン窒化膜)10は、5nm〜30nmの範囲の厚さとしている。これは、5nm以下の膜厚では酸化防止効果が得られず、厚くしすぎると、遮光膜の開口が狭くなり、感度の劣化につながるためである。従って、第2の絶縁膜(シリコン窒化膜)10は、上記の膜厚の範囲とすることが望ましい。電荷転送電極8の厚さは100nm〜200nmの範囲としている。これは薄くしすぎると、電荷転送電極8の抵抗増大を招き、一方厚くしすぎると、受光部とマイクロレンズとの距離が広がってしまい、集光効率の低下の要因となるためである。
また、受光部101は、表面p+層5aの表面に形成され、半導体基板1を熱酸化させた構造の熱酸化膜11を有している。
また、電荷転送電極8の上側には、第1の絶縁膜9、第2の絶縁膜10、および第4の絶縁膜12を介して駆動信号線15aおよび15bが対をなすよう配置されており、例えば、奇数行の電荷転送電極8は駆動信号線15aにより駆動され、偶数行の電荷転送電極8は駆動信号線15bにより駆動されるようになっている。つまり、奇数行の電荷転送電極8は、駆動信号線15aの基幹部15a2から延びる分岐部15a1にコンタクト部14を介して接続され、偶数行の電荷転送電極8は駆動信号線15bの基幹部15b2から延びる分岐部15b1にコンタクト部14を介して接続されている。
さらに、第4の絶縁膜12上には、駆動信号線15aおよび15bを覆うよう層間絶縁膜16が形成され、この層間絶縁膜16上には、受光部101に対応する部分に遮光膜開口17aを有する遮光膜17が形成されている。また、この遮光膜17上には窒化シリコンなどからなる保護膜(パッシベーション膜)18が形成され、この保護膜18上にカラーフィルタ19が形成され、このカラーフィルタ19上には平坦化膜20を介してマイクロレンズ21が形成されている。ここで、保護膜18は水分の浸入による配線の腐食などを防止する働きがある。
以下、図3(a)を用いて、図2(a)および図2(b)におけるA1−A1線断面のシリコン基板および絶縁膜の構造について詳しく説明する。
図3(a)に示すように、半導体基板としてのn型シリコン基板1の表面側には低濃度p型ウェル2が形成され、p型ウェル2内には転送チャネル3を構成するn型不純物領域が形成されている。n型シリコン基板1の表面上にはゲート絶縁膜7を介して電荷転送電極(転送ゲート電極)8が形成され、電荷転送電極8の表面と電極間ギャップ部Gの内面には、第1の絶縁膜9としてCVD(化学気相成長)による薄いシリコン酸化膜が形成されており、さらに第1の絶縁膜9上に第2の絶縁膜10としてCVDによるシリコン窒化膜が形成されている。さらに第2の絶縁膜10の上側には、例えばシリコン窒化膜からなる第4の絶縁膜12が形成されている。ここで、シリコン窒化膜は、その下側の領域が熱酸化により酸化されないように形成されるものであり、また、ポリシリコン膜にシリコン窒化膜を直につけるとシリコン窒化膜にストレスがかかるため、シリコン窒化膜(第2の絶縁膜)10の下側にシリコン酸化膜(第1の絶縁膜)9をバッファ膜として介在させている。
また、第4の絶縁膜12上には、コンタクト部14を介して電荷転送電極8に接続された駆動信号線15a、15b(図2(b)参照)が配置されており、駆動信号線15a、15bは、第4の絶縁膜12上に形成された層間絶縁膜(シリコン酸化膜)16により覆われており、さらにこの層間絶縁膜16上には、例えばタングステン(W)膜などの遮光膜17が形成されている。この遮光膜17上にはパッシベーション膜18が形成され、その上にはカラーフィルタ19、平坦化膜20およびマイクロレンズ21が形成されている。
このような固体撮像素子では、電荷転送電極(転送ゲート電極)8の上面、および電極間ギャップ部Gの両側に位置する電荷転送電極の側面では、CVDで形成した絶縁膜が接しているため酸化による侵食がなく、また電極間ギャップ部G内に位置する基板表面上では、ゲート絶縁膜7以外の絶縁膜はCVDで形成されており、ゲート絶縁膜7以外の絶縁膜の形成時に酸化による侵食を受けることがない。
次に、図3(b)を用いて、図2(a)および図2(b)におけるA2−A2線断面のシリコン基板および絶縁膜の構造について詳しく説明する。
図3(b)に示すように、n型シリコン基板1上に低濃度のp型ウェル2が形成されている。さらに、p型ウェル2内には、n型転送チャネル3に沿ってp型チャネルストップ領域4が形成され、受光部101で発生した信号電荷を垂直CCD転送部3に読出すためのp型電荷読出し領域6が、受光部101と転送チャネル3との間に形成されている。
また、シリコン基板1上には、ゲート絶縁膜7を介して電荷転送電極8が形成されており、電荷転送電極8は転送チャネル3に沿って配置されている。この電荷転送電極8の上面および側面にはCVDによる第1の絶縁膜9としてのシリコン酸化膜が形成されており、さらに第1の絶縁膜9の表面上には第2の絶縁膜10としてCVDによるシリコン窒化膜が形成され、さらに第2の絶縁膜10の上側には、例えばシリコン窒化膜からなる第4の絶縁膜12が形成されている。
また、第4の絶縁膜12上には、コンタクト部14を介して電荷転送電極8に接続された駆動信号線15a、15b(分岐部15a1、15b1)が配置されており、駆動信号線15a、15bは、第4の絶縁膜12上に形成された層間絶縁膜16により覆われており、さらにこの層間絶縁膜16上には、例えばタングステン(W)膜などの遮光膜17が形成されている。この遮光膜17上には窒化シリコンなどからなるパッシベーション膜18が形成され、その上にはカラーフィルタ19、平坦化膜20およびマイクロレンズ21が形成されている。
ここで、受光部101の表面の、第1の絶縁膜9および第2の絶縁膜10の開口内には、熱酸化による均一な膜厚で形成された第3の絶縁膜11が形成されている。電荷転送電極8下側の、シリコン基板1とゲート絶縁膜7との界面(シリコン界面)と、受光部表面での第3の絶縁膜11とシリコン基板との界面(シリコン界面)とは、第3の絶縁膜11の熱酸化により生じた0〜5nm程度の段差ができている。
次に固体撮像素子の製造方法について説明する。
図4〜図14は、図1〜図3に示した半導体装置の製造方法を説明する図であり、図4(a)〜図14(a)は、図2(a)および図2(b)におけるA1−A1線に対応する断面の構造を工程順に示し、図4(b)〜図14(b)は、図2(a)および図2(b)におけるA2−A2線に対応する断面の構造を工程順に示している。
まず、例えば、n型シリコンからなる半導体基板1に低濃度のp型ウェル2を形成し、n型不純物を選択的に導入して、受光部(フォトダイオード)101を構成するn型光電変換領域5、および垂直CCD部110を構成するn型転送チャネル3を形成し、また、p型不純物を選択的に導入して、画素を分離するp型チャネルストップ領域4、および信号電荷を受光部101から垂直CCD部110に読出すためのp型電荷読出し領域6を形成する。
次に、半導体基板1の表面に例えば膜厚30nmのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜7を形成し、その上に、例えば膜厚200nmのリンドープポリシリコンからなる電極材料膜(電荷転送電極の材料膜)を形成する。その後、各電荷転送電極8に対応するマスクパターンを有するフォトレジスト(図示せず)を電極材料膜上に形成し、このフォトレジストをエッチングマスクとしてゲート絶縁膜7の残膜が例えば10nmになるように電極材料膜をドライエッチングして、電極材料膜にスペース幅が例えば100nmのギャップ部G、および受光部101のn型光電変換領域5に対応する開口部8aを同時に形成する(図4(a)および図4(b))。これにより、電極材料膜は、図2(a)に示すように個々の電荷転送電極8に分離される。なお、ポリシリコンからなる電極材料膜のエッチングの際に残すゲート絶縁膜7の膜厚は、エッチングダメージが半導体基板に入らないような膜厚にする必要があり、このゲート絶縁膜7の残膜の厚さは10nm以上が望ましい。さらに、ギャップ部Gのスペース幅は、隣接する電荷転送電極により形成される電荷転送井戸のポテンシャルレベルを均一にする点からは狭いほど望ましいが、このギャップ部に異物が入り込んだときにショートするのを回避し、さらに加工のマージンを確保するといった点からは、50nm〜130nm程度の範囲が望ましく、加工精度に基づいて決めるのが現実的である。
次に、シリコン基板1および電荷転送電極8の全面に、LPCVD法などでSiH4ガスとN2Oを用いて、例えば800℃の温度で膜厚が5nmのシリコン酸化膜(HTO)からなる第1の絶縁膜9を成膜し、引き続きLPCVD法などでSiH2CL2ガスとNH3ガスを用いて、例えば800℃の温度で膜厚が20nmのシリコン窒化膜からなる第2の絶縁膜10を成膜する。第2の絶縁膜10としてのシリコン窒化膜は、後工程でのHFに耐え、酸化防止効果を有する膜厚として、例えば5〜30nmの範囲で形成する(図5(a)および図5(b))。
次に、受光部101の表面p+層5の形成領域に対応するレジスト開口R11aを有するフォトレジスト膜R11を形成し(図6(a)および図6(b))、このフォトレジスト膜R11をエッチングマスクとして第2の絶縁膜10であるシリコン窒化膜を第1の絶縁膜9であるシリコン酸化膜が露出するまで選択的にエッチング除去する。なお、このとき、第1の絶縁膜9は完全に除去してもよいが、エッチングダメージが半導体基板に入るのを抑えるため、第2の絶縁膜10が除去された時点でエッチング処理を停止するのが好ましい。このエッチング処理により、受光部101の表面p+層5の形成領域に対応する部分では、シリコン窒化膜は除去され、一方、電荷転送電極8の上側、およびギャップ部G内における第2の絶縁膜10としてのシリコン窒化膜は残存する(図7(a)および図7(b))。
次に、シリコン窒化膜である第2の絶縁膜10をマスクとして、シリコン基板の、表面p+層5が形成されるべき領域上のシリコン酸化膜である第1の絶縁膜9およびゲート絶縁膜7をシリコン基板1の表面が露出するように、例えばフッ酸(HF)によりエッチング除去を行う。このときのウエットエッチングは、電荷転送電極8の側壁の第1の絶縁膜9と第2の絶縁膜10の間にウエットエッチレート差によるひさしができないように調整する。例えば、第2の絶縁膜10の選択エッチバックを行う工程においては、ゲート絶縁膜7のエッチング後の残膜が10nm以下に薄くなるようにすることにより、上記ウエットエッチングを極力少なくすることができるので、電荷転送電極8の端部下部での第1の絶縁膜7に対する横方向のエッチング量を小さくすることができる。
次に、図8(a)および図8(b)に示すように、例えば850℃の熱酸化を行って、n型光電変換領域5の表面上の、ゲート絶縁膜7、第1の絶縁膜9、および第2の絶縁膜10が除去された部分に第3の絶縁膜11としてのシリコン酸化膜を10nmの厚みで形成する。この第3の絶縁膜11は、熱酸化により均一な膜厚で形成されるので、この後に行う表面p+層5aを形成するためのイオン注入を注入深さや注入濃度のばらつきを少なく抑えて行うことができ、読み出し特性の劣化が抑制されることとなる。このように受光部101を構成する表面p+層5を形成すべき領域に新たに熱酸化膜を形成するのは、エッチング処理に晒されたゲート酸化膜7を、受光部に応じた膜厚を有する新たな熱酸化膜に置き換えるためである。
また、電極間ギャップ部Gには、酸化抑制膜として機能する第2の絶縁膜10により保護されているので、第3の絶縁膜の形成を熱酸化で行っても、電極間ギャップ部Gにおける酸化シフト(酸化による侵食)は0であるから、電極間ギャップ部Gでの電荷転送電極8の離間間隔の広がりを抑制することができる。
また、従来のポリシリコンを酸化させて絶縁膜を形成する方法では、ゲートポリシリコン表面および側壁の酸化量が受光部表面に対して約3倍(膜厚30nm)あったものが、本実施形態では、受光部101の表面に第3の絶縁膜11を形成する場合にも、電荷転送電極8が酸化されることはなくなり、その側壁部分での絶縁膜の膜厚は、結果的に薄膜で形成される第1の絶縁膜9と第2の絶縁膜10の合計膜厚(25nm)となるから、電荷転送電極の間に位置する受光部の採光用開口(以下、画素の開口ともいう。)を狭めることがなく、感度の劣化を招くことがない。さらに、電荷転送電極8としてのポリシリコン表面が異常酸化により荒れて電荷転送電極8における配線抵抗のばらつきが生ずることもない。
次に、n型光電変換領域5の表面上の、ゲート絶縁膜7、第1の絶縁膜9、および第2の絶縁膜10が除去された部分に、表面p+層5aが形成されるようイオン注入を行う。その後、第4の絶縁膜12として例えば厚さが50nmのシリコン窒化膜をLPCVDにより形成し、これにより電極間ギャップ部Gへの層間絶縁膜の充填と、受光部101の表面p+層5aの表面での反射防止膜の形成とを同時に行う(図9(a)および図9(b))。ここで第4の絶縁膜12は、反射防止膜としての効果が得られる厚さに設定する必要があり、その膜厚は20nm〜70nmの範囲が望ましく、熱酸化膜の膜厚10nmとの関係から膜厚を50nmに設定している。
以上の工程によって、受光部101の表面p+層5の表面での均一な膜厚の絶縁膜の形成と、電荷転送電極8の電極間ギャップ部Gでの拡がりがない理想形状の電極分離絶縁膜の形成とを両立することが可能となる。
続いて、電荷転送電極8上に第1の絶縁膜9、第2の絶縁膜10、および第4の絶縁膜12を貫通するコンタクト部14を形成し、さらに、電荷転送電極8に駆動信号を印加する駆動信号線15aおよび15bを形成し(図2(b)、図10(a)および図10(b))、さらに駆動信号線15aおよび15bを覆うよう全面にシリコン酸化膜などの層間絶縁膜16を100nm程度の厚さに形成する(図11(a)および図11(b))。
その後、例えばCVD法などによって膜厚100nmのタングステン(W)膜などの金属膜を遮光膜17として基板全面に形成し(図12(a)および図12(b))、受光部101に対応する部分に遮光膜開口17aを形成する(図13(a)および図13(b))。
なお、第4の絶縁膜12上の遮光膜17との間に形成される層間絶縁膜16の膜厚は、例えば50nm以上であれば、遮光膜17と電荷転送電極8や半導体基板1との耐圧を確保する上で有効となる。
その後、プラズマCVD法などでシリコン窒化膜などのパッシベーション膜18を形成し、カラーフィルタ19、オンチップレンズ21等を形成して固体撮像素子を得る(図14(a)および図14(b))。
このような構成の本実施形態1の固体撮像素子では、電荷転送方向に沿って互いに隣接するよう配置された2つの電荷転送電極8の間を、絶縁材料の堆積により形成した絶縁膜により電気的に分離し、一方、受光部を構成する光電変換領域の表面には熱酸化膜11を形成するので、電荷転送電極材のポリシリコンの異常酸化がなく、このため、電荷転送電極の配線抵抗は均質なものとなり、また、電極間ギャップ部(電極間隙部)Gが酸化により拡がることがなく、電極間ギャップ部下の転送チャネルの表面も酸化されていないので、電荷転送特性の劣化がない。
さらに、受光部101の表面は、熱酸化膜11により均一な絶縁膜が形成されることで、受光部を構成する表面p+層5aを形成するためのイオン注入がばらつきを小さく抑えて行われるので、信号電荷の読み出し特性の劣化が抑制できる。
また、第2の絶縁膜としてのシリコン窒化膜10は5nm〜30nmという薄い膜厚で形成するので、画素開口を狭めることがなく、感度劣化がない。
また、この実施形態1では、半導体基板1上にゲート絶縁膜7を介して導電性材料膜(ポリシリコン膜)を形成し、この導電性材料膜のパターニングにより導電性材料膜に、電荷転送電極の転送方向に沿った電極間ギャップ部Gおよび受光部の形成領域に対応する開口部8aを形成し、導電性材料膜の電極間ギャップ部には絶縁材料の堆積により絶縁膜を形成し、導電性材料膜の受光部に対応する開口部には熱酸化により絶縁膜を形成するので、電極間ギャップ部が絶縁膜の形成時に広がるのを回避でき、また、受光部に対応する開口部では、絶縁膜の形成時に電極材料膜のエッチングによる下地領域のダメージを回復でき、しかも絶縁膜の膜厚を均一にすることができる。
その結果、熱酸化処理による電荷転送電極のギャップの拡大を回避しつつ、信号電荷の読み出し特性や感度劣化を防止することができ、これにより、微細で高速転送可能な固体撮像素子を実現することができる。
本実施形態の固体撮像素子の製造方法では、電荷転送電極の構成材料膜である導電性材料膜を、レジストマスクをエッチングマスクとして選択的にエッチングして、電荷転送電極を分離するギャップ部および受光部に対応する開口部を同時に導電性材料膜に形成するので、電極間ギャップ部を形成した電極材料膜に、受光部に対応する開口を形成する際に、マスクパターンの位置合わせにずれが生じて、電荷転送電極を構成するポリシリコン膜が分離されず、隣接する電荷転送電極がショートした状態となるのを確実に回避することができる。
また、電荷転送電極の電極間ギャップ部に酸化抑制膜としてのシリコン窒化膜を充填するので、受光開口部の熱酸化プロセスで電極間ギャップ部下側の転送チャネルの表面や電荷転送電極が酸化されるのを防止でき、これによって電荷転送電極の構成材料の異常酸化を回避し、電極間ギャップ部の拡大を抑制することができる。
また、電極間ギャップ部に埋め込む絶縁膜をその膜厚が5〜30nmの範囲になるよう薄く形成するので、この絶縁膜が受光開口部内で遮光膜開口を狭めるのを抑制でき、感度劣化を実質的に抑えることができる。
その結果、電荷転送特性および画素特性を共に劣化させることなく、電荷転送電極の電極間ギャップ部および受光部に対応する開口部に絶縁膜を形成することができる固体撮像素子の製造方法を実現できる。
なお、垂直CCD部を構成する電荷転送電極だけでなく、水平CCD部においても、転送方向に配列された隣接する電荷転送電極の電極間ギャップを、垂直CCD部と同様に、絶縁材料の堆積により電荷転送電極間を電気的に分離する電極分離絶縁膜を形成してもよい。
さらに、上記実施形態1では、電荷転送電極の構成材料膜である導電性材料膜(ポリシリコン膜)を、レジストマスクをエッチングマスクとして選択的にエッチングして、電荷転送電極を分離するギャップ部および受光部に対応する開口部を同時にポリシリコン膜に形成する場合について説明したが、電荷転送電極を分離するギャップ部および受光部に対応する開口部は、別々のエッチング工程で、電荷転送電極の構成材料膜である導電性材料膜(例えばポリシリコン膜)に形成してもよい。
この場合、導電性材料膜をパターニングする工程は、シリコン基板上にゲート絶縁膜を介して導電性材料膜(例えばポリシリコン膜)を形成した後、この導電性材料膜上に第1のレジストマスクを、電荷転送電極を分離するギャップ部の形成領域にマスク開口が位置するよう形成し、この第1のレジストマスクをエッチングマスクとして導電性材料膜を選択的にエッチングして電荷転送電極を分離するギャップ部を形成する。
その後、ギャップ部を形成した導電性材料膜上に第1の絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜)を化学気相成長により電荷転送電極のギャップ部を覆うよう形成し、さらに第1の絶縁膜上に化学気相成長により、この第1の絶縁膜とは材料の異なる第2の絶縁膜(例えばシリコン窒化膜)を形成する。
続いて、第2の絶縁膜上に第2のレジストマスクを受光部に対応する開口部にマスク開口が位置するよう形成し、第2のレジストマスクをエッチングマスクとして第2の絶縁膜、第1の絶縁膜、導電性材料膜およびゲート絶縁膜を除去した後、半導体基板における、受光部に対応する開口部内に露出した部分を熱酸化して熱酸化膜を形成する。
その後は、この熱酸化膜を介して、半導体基板における、受光部に対応する開口部内の領域に、受光部を構成する表面p+層が形成されるよう不純物をイオン注入する。
このように、電荷転送電極の構成材料膜に、電荷転送電極を分離するギャップ部および受光部に対応する開口部を別々のエッチング工程で形成する方法では、従来技術で説明したような電荷転送電極のパターニング不良を回避するため、第1のレジストマスクに対する第2のレジストマスクの位置合わせを高精度で行う必要があるが、ギャップ部を形成するエッチング処理と、受光部に対応する開口部を形成するエッチング処理とでエッチング条件を最適化することができる。
さらに、上記実施形態1では、特に説明しなかったが、上記実施形態1の固体撮像素子を撮像部に用いた、例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、画像入力カメラ、スキャナ、ファクシミリ、カメラ付き携帯電話装置などの、画像入力デバイスを有した電子情報機器について以下簡単に説明する。
(実施形態2)
図15は、本発明の実施形態2として、実施形態1の固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
(実施形態2)
図15は、本発明の実施形態2として、実施形態1の固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
図15に示す本発明の実施形態2による電子情報機器90は、本発明の実施形態1の固体撮像素子を、被写体の撮影を行う撮像部91として備えたものであり、このような撮像部による撮影により得られた高品位な画像データを記録用に所定の信号処理した後にデータ記録する記録メディアなどのメモリ部92と、この画像データを表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示する液晶表示装置などの表示部93と、この画像データを通信用に所定の信号処理をした後に通信処理する送受信装置などの通信部94と、この画像データを印刷(印字)して出力(プリントアウト)する画像出力部95とのうちの少なくともいずれかを有している。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、固体撮像素子およびその製造方法、並びに電子情報機器の分野において、隣接する電荷転送電極の絶縁分離を、電荷転送特性および画素特性を共に劣化させることなく行うことができる固体撮像素子およびその製造方法、並びにこのような固体撮像素子を備えた電子情報機器を得ることができる。
1 n型シリコン基板(n型半導体基板)
2 p型ウェル
3 p型転送チャネル
4 p型チャネルストップ領域
5 n型光電変換領域
5a 表面p+層
6 電荷読出し領域
7 ゲート絶縁膜
8 電荷転送電極(転送ゲート電極)
9 第1の絶縁膜(シリコン酸化膜)
10 第2の絶縁膜(シリコン窒化膜)
11 第3の絶縁膜(熱酸化膜)
12 第4の絶縁膜(シリコン窒化膜)
14 コンタクト部
15a、15b 駆動信号線
15a1、15b1 分岐部
15a2、15b2 基幹部
16 第1の層間絶縁膜
17 遮光膜
17a 遮光膜開口
18 第2の層間絶縁膜
19 カラーフィルタ
20 平坦化膜
21 マイクロレンズ
90 電子情報機器
91 撮像部
92 メモリ部
93 表示部
94 通信部
95 画像出力部
100 固体撮像素子
101 受光部
110 垂直CCD部
120 水平CCD部
130 出力部
G 電極間ギャップ部
Px 画素
R11a フォトレジスト(レジストマスク)
2 p型ウェル
3 p型転送チャネル
4 p型チャネルストップ領域
5 n型光電変換領域
5a 表面p+層
6 電荷読出し領域
7 ゲート絶縁膜
8 電荷転送電極(転送ゲート電極)
9 第1の絶縁膜(シリコン酸化膜)
10 第2の絶縁膜(シリコン窒化膜)
11 第3の絶縁膜(熱酸化膜)
12 第4の絶縁膜(シリコン窒化膜)
14 コンタクト部
15a、15b 駆動信号線
15a1、15b1 分岐部
15a2、15b2 基幹部
16 第1の層間絶縁膜
17 遮光膜
17a 遮光膜開口
18 第2の層間絶縁膜
19 カラーフィルタ
20 平坦化膜
21 マイクロレンズ
90 電子情報機器
91 撮像部
92 メモリ部
93 表示部
94 通信部
95 画像出力部
100 固体撮像素子
101 受光部
110 垂直CCD部
120 水平CCD部
130 出力部
G 電極間ギャップ部
Px 画素
R11a フォトレジスト(レジストマスク)
Claims (14)
- 入射光を受光する受光部と、該受光部で得られた信号電荷を転送する電荷転送部とを備えた固体撮像素子であって、
該電荷転送部は、
半導体基板内に形成され、該信号電荷を転送する転送チャネルと、
該半導体基板上にゲート絶縁膜を介して該転送チャネルに沿って配列された複数の電荷転送電極と、
隣接する電荷転送電極間に該隣接する電荷転送電極が電気的に分離されるよう形成された、絶縁材料を堆積した構造の電極分離絶縁膜とを有し、
該受光部は、
該半導体基板内に形成され、該入射光の光電変換により信号電荷を生成する光電変換領域と、
該光電変換領域の表面部分に形成され、該半導体基板を熱酸化させた構造の熱酸化膜とを有する固体撮像素子。 - 請求項1に記載の固体撮像素子において、
前記光電変換領域には、前記熱酸化膜に接するよう反射防止膜が形成されている、固体撮像素子。 - 請求項2に記載の固体撮像素子において、
前記反射防止膜は、シリコン窒化膜である、固体撮像素子。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の固体撮像素子において、
前記半導体基板はシリコン基板であり、
前記ゲート絶縁膜は、該シリコン基板の熱酸化により形成されたシリコン酸化膜である、固体撮像素子。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の固体撮像素子において、
前記電荷転送電極は、ポリシリコンにより構成されている、固体撮像素子。 - 入射光を受光する受光部と、該受光部で得られた信号電荷を転送する電荷転送部とを備えた固体撮像素子を製造する方法であって、
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して導電性材料膜を形成する工程と、
該電荷転送部を構成する電荷転送電極を分離するギャップ部、および該受光部に対応する開口部が該導電性材料膜に形成されるよう該導電性材料膜をパターニングする工程と、
隣接する電荷転送電極を電気的に分離する電極分離絶縁膜を絶縁材料の堆積により該ギャップ部内に形成する工程と、
該半導体基板の、該受光部を構成する領域の表面部分に熱酸化により熱酸化膜を形成する工程とを含む、固体撮像素子の製造方法。 - 請求項6に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記導電性材料膜をパターニングする工程は、
該導電性材料膜上にレジストマスクを、前記電荷転送電極を分離するギャップ部および前記受光部に対応する開口部にマスク開口が位置するよう形成する工程と、
該レジストマスクをエッチングマスクとして該導電性材料膜を選択的にエッチングして該電荷転送電極を分離するギャップ部および該受光部に対応する開口部を同時に形成する工程とを含む、固体撮像素子の製造方法。 - 請求項7に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記電極分離絶縁膜を形成する工程は、
前記導電性材料膜上に第1の絶縁膜を化学気相成長により、前記電荷転送電極のギャップ部および前記受光部に対応する開口部を覆うよう形成する工程と、
該第1の絶縁膜上に化学気相成長により、該第1の絶縁膜とは材料の異なる第2の絶縁膜を形成する工程とを含み、
前記熱酸化膜を形成する工程は、
前記受光部に対応する開口部内の、該第2の絶縁膜、該第1の絶縁膜、および前記ゲート絶縁膜を除去した後、前記半導体基板における、該受光部に対応する開口部内に露出する部分を熱酸化して前記熱酸化膜を形成する工程である、固体撮像素子の製造方法。 - 請求項8に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記第1の絶縁膜としてシリコン酸化膜を形成し、
前記第2の絶縁膜としてシリコン窒化膜を形成する、固体撮像素子の製造方法。 - 請求項9に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記熱酸化膜を第3の絶縁膜として形成した後、第4の絶縁膜として該熱酸化膜に接するよう反射防止膜を形成する工程を含む、固体撮像素子の製造方法。 - 請求項10に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記第4の絶縁膜を形成する工程では、
該第4の絶縁膜としてシリコン窒化膜を減圧化学気相成長により形成する、固体撮像素子の製造方法。 - 請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記第2の絶縁膜として5nm〜30nmの膜厚を有するシリコン窒化膜を形成する、固体撮像素子の製造方法。 - 請求項6に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記導電性材料膜をパターニングする工程は、
前記電荷転送電極を分離するギャップ部と前記受光部に対応する開口部とを、異なるエッチングマスクを用いた該導電性材料膜に対する別々のエッチング処理により形成する工程である、固体撮像素子の製造方法。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の固体撮像素子を備えた電子情報機器。
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