JP2013095790A - 層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】高い機械的強度、耐熱性、及び液体又は蒸気バリア性を有し、そして従来のナイロン6系複合材料と比較して低吸水性、耐薬品性及び耐加水分解性等に優れ、そしてジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミン単体を用いたポリアミド樹脂系の複合材料よりも成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、さらに高分子量化が可能で強靭な成形体を製造することができる複合材料を提供すること。
【解決手段】ポリアミド樹脂(成分A)と、当該ポリアミド樹脂内に分散している層状珪酸塩(成分B)とを含む複合材料であって、前記成分Aが、ジカルボン酸由来の単位とジアミン由来の単位とが結合してなり、前記ジカルボン酸が蓚酸(化合物a)を含み、
前記ジアミンが1,6−ヘキサンジアミン(化合物b)及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(化合物c)を含み、前記化合物bと前記化合物cのモル比が99:1〜50:50であるである複合材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な複合材料に関する。詳しくは、ジカルボン酸成分が蓚酸(化合物a)を含み、ジアミン成分が1,6−ヘキサンジアミン(化合物b)及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(化合物c)を含むポリアミド樹脂組成物と当該ポリアミド樹脂組成物中に分散している層状珪酸塩とを含む複合材料であって、高い機械的強度、耐熱性、及び液体又は蒸気に対するバリア性を有し、そして従来のナイロン6系複合材料と比較して低吸水性、耐薬品性及び耐加水分解性等に優れ、そしてジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミン単体を用いたポリアミド樹脂系の複合材料よりも成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、さらに高分子量化が可能で強靭な成形体を製造することができる複合材料に関する。
ナイロン6、ナイロン66などに代表される結晶性ポリアミドは、その優れた特性と溶融成形の容易さから、衣料用、産業資材用繊維、あるいは汎用のエンジニアリングプラスチックとして広く用いられているが、一方では吸水による物性変化、酸、高温のアルコール、熱水中での劣化などの問題点も指摘されており、より寸法安定性、耐薬品性に優れたポリアミドへの要求が高まっている。
結晶性ポリアミドに層状珪酸塩を分散させ、複合材料化することにより、結晶性ポリアミドの機械強度、耐熱性、及び液体又は蒸気に対するバリア性を向上できることが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、結晶性ポリアミドとしてナイロン6を用いた複合材料の例が開示され、さらに第2表では、これらの複合材料は、元のナイロン6と比較して、引張り強さ及び引張り弾性率等の機械強度、並びに耐熱性が向上することが開示されている。
一方、ジカルボン酸成分として蓚酸を用いるポリアミド樹脂はポリオキサミド樹脂と呼ばれ、同じアミノ基濃度の他のポリアミド樹脂と比較して融点が高いこと、吸水率が低いことが知られ(特許文献2)、吸水による物性変化が問題となっていた従来のポリアミドが使用困難な分野での活用が期待される。
これまでに、ジアミン成分として種々の脂肪族直鎖ジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が提案されている。例えば、非特許文献1には、ジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が開示され、非特許文献2には、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミンであるポリオキサミド樹脂(以下、PA92ともいう)が開示され、特許文献3には、種々ジアミン成分と、ジカルボン酸エステルとして蓚酸ジブチルを用いたポリオキサミド樹脂が開示され、特許文献4には、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンの2種のジアミンを特定の比率で用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。
特開昭62−74957号公報 特開2006−57033号公報 特表平5−506466号公報 WO2008/072754号公報
S.W.Shalaby,J.Polym.Sci.,11,1(1973) L.Franco,et al., Macromolecules, 31,3912(1998)
しかしながら、非特許文献1に開示されるポリオキサミド樹脂については、融点(約320℃)が熱分解温度(窒素中の1%重量減少温度;約310℃)と近いため、溶融重合、溶融成形が困難であり実用に耐えうるものではなく、非特許文献2に開示されるポリオキサミド樹脂については、蓚酸源として蓚酸ジエチルを用いた場合の製造法とその結晶構造を開示しているが、ここで得られるPA92は固有粘度が0.97dL/g、融点が246℃のポリマーであり、強靭な成形体が成形出来ない程度の低分子量体しか得られておらず、特許文献1に開示される複合材料は、ナイロン6に起因する吸水性の高さ、さらに耐薬品性や耐加水分解性の低さ等の問題があり、特許文献3に開示されるポリオキサミド樹脂については、固有粘度が0.99dL/g、融点が248℃のPA92を製造したことが示されているが、強靭な成形体が成形出来ない程度の低分子量体しか得られていないという問題点があり、特許文献4に開示されるポリオキサミド樹脂については、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンの2種のジアミンを特定の比率で用いたポリオキサミド樹脂が示されているが、これらポリオキサミド樹脂は成形可能温度幅が広く、成形加工性に優れ、かつ低吸水性、耐薬品性、耐加水分解性などにも優れるが、融点が240℃前後であり、成形サイクル性と高融点であることが要求される電気・電子機器用途に対しては、耐熱性がやや劣る。一方、液体や気体を輸送する部品において、従来のナイロン以上のバリア性が求められている。
以上の先行文献においては、ジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンの2種のジアミンを特定の比率で用いたポリオキサミド樹脂の具体的な開示はない。
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、本発明は、高い機械的強度、耐熱性、及び液体又は蒸気に対するバリア性を有し、そして従来のナイロン6系複合材料と比較して低吸水性、耐薬品性及び耐加水分解性等に優れ、そしてジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミン単体を用いたポリアミド樹脂系の複合材料よりも成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、さらに、脂肪族直鎖ポリオキサミド樹脂に見られる低吸水性を損なうことなく、高分子量化が可能で強靭な成形体を製造することができる複合材料を提供することを課題とする。
本発明が解決しようとする課題は、従来のポリオキサミド樹脂と比較して、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した示差走査熱量法により測定した融点Tm(℃)(以下、融点Tmともいう)と窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した熱重量分析における1%重量減少温度Td(℃)(熱分解温度)との温度差(Td−Tm)(℃)(以下、温度差(Td−Tm)ともいう)から見積もられる成形可能温度幅が広く、融点Tmから見積もられる耐熱性、及び低吸水性に優れ、成形サイクルが低減できる複合材料を提供すること(課題1)、
課題1に加えて、課題1中の耐熱性がより優れ、脂肪族直鎖ポリオキサミド樹脂に見られる低吸水性を損なうことなく、従来の脂肪族ポリアミド樹脂組物に比較して、耐薬品性、耐加水分解性に優れた複合材料を提供すること(課題2)にある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ジカルボン酸由来の単位とジアミン由来の単位とが結合してなるポリアミド樹脂であって、前記ジカルボン酸が蓚酸(化合物a)を含み、前記ジアミンが1,6−ヘキサンジアミン(化合物b)及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(化合物c)を含み、前記化合物bと前記化合物cのモル比が99:1〜50:50であるポリアミド樹脂(以下において「PX6」ともいう。)内に分散した層状珪酸塩を含むことにより、機械的物性、耐薬品性に優れながら、高分子量で、融点と熱分解温度の差が充分に大きく溶融成形性に優れ、さらに直鎖ポリオキサミド樹脂に見られる低吸水性を損なうことなく、従来のポリアミドに比較して耐加水分解性などにも優れる複合材料が得られるのみならず、この新規なポリアミド樹脂(PX6)は、PA92と比べて、融点がより高く、曲げ弾性率、荷重たわみ温度などの力学的特性がより優れ、コスト的にも有利でありながら、溶融温度幅の減少は許容範囲内であり、低吸水性は実質的に失われないという特長を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ポリアミド樹脂(成分A)と、当該ポリアミド樹脂(成分A)内に分散している層状珪酸塩(成分B)とを含む複合材料であって、
前記成分Aが、ジカルボン酸由来の単位とジアミン由来の単位とが結合してなり、
前記ジカルボン酸が蓚酸(化合物a)を含み、
前記ジアミンが1,6−ヘキサンジアミン(化合物b)及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(化合物c)を含み、
前記化合物bと前記化合物cのモル比が99:1〜50:50であるである複合材料、及びその成形体である。
本発明のポリアミド樹脂及び層状珪酸塩を含む複合材料は、高い機械的強度、耐熱性、及び液体又は蒸気バリア性を有し、そして従来のナイロン6系複合材料と比較して低吸水性、耐薬品性及び耐加水分解性等に優れ、そしてジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミン単体を用いたポリアミド樹脂系の複合材料よりも成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、さらに高分子量化が可能で強靭な成形体を製造することができる。
以下、本発明に関して、詳細に説明する。
[ポリアミド樹脂(成分A)]
(1)成分Aの構成
本発明におけるポリアミド樹脂である成分Aは、
ジカルボン酸成分が蓚酸であり、ジアミン成分が1,6−ヘキサンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンからなる、即ち、
ジカルボン酸由来の単位とジアミン由来の単位とが結合してなるポリアミド樹脂であって、
前記ジカルボン酸が蓚酸(化合物a)を含み、
前記ジアミンが1,6−ヘキサンジアミン(化合物b)及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(化合物c)を含み、
前記化合物bと前記化合物cのモル比が99:1〜50:50であり、
好ましくは、96%硫酸を溶媒とし、濃度が1.0g/dlの前記成分Aの溶液を用いて25℃で測定した相対粘度ηrが1.8〜6.0である。
成分Aは、化合物a、b及びcを用いて、好ましくはこれらの混合物を用いて重縮合することで、高分子量で、高融点で、融点と熱分解温度の差が大きく溶融成形性に優れ、さらに直鎖ポリオキサミド樹脂に見られる低吸水性を損なうことなく、従来のポリアミドに比較して耐薬品性、耐加水分解性ならびに燃料バリア性に優れる。
成分Aは、耐薬品性、耐加水分解性及び燃料バリア性を確保する観点から、化合物bと化合物cのモル比は、
好ましくは、99:1〜55:45モル%であり、
より好ましくは、99:1〜60:40モル%である。
なお、以下、化合物b及び化合物cのモル比は、成分A中の化合物b由来の単位と化合物c由来の単位のモル比も意味する。
(2)化合物a、b及びc
成分Aの製造で、化合物a(蓚酸)を直接原料として使用すると、化合物a(蓚酸)そのものは熱分解してしまい、成分Aの融点がその熱分解温度を超えることから、製造時には蓚酸源化合物(以下、蓚酸源ともいう)を用い、蓚酸源由来の蓚酸とジアミンとを重縮合して得る。この蓚酸は、蓚酸ジエステル等の蓚酸源由来のものであり、これらはアミノ基との反応性を有するものであればよい。
蓚酸源として、重縮合反応における副反応を抑制する観点から蓚酸ジエステルが好ましく、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジn−(またはi−)プロピル、蓚酸ジn−(またはi−、またはt−)ブチル等の脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、蓚酸ジシクロヘキシル等の脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、蓚酸ジフェニル等の芳香族アルコールの蓚酸ジエステル等が挙げられる。
蓚酸ジエステルの中でも炭素原子数が3を超える脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、芳香族アルコールの蓚酸ジエステルがさらに好ましく、
その中でも蓚酸ジブチル及び蓚酸ジフェニルがさらに好ましく、
蓚酸ジブチルがさらに好ましい。
(2)成分Aの相対粘度
成分Aは、
カルボン酸成分として化合物aである蓚酸を用い、
ジアミン成分として、化合物bである1,6−ヘキサンジアミンと、化合物cである2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを重縮合することで、融点が好ましくは200〜330℃の範囲にすることができ、融点が330℃を超える化合物aと化合物bとを重縮合して得られるポリアミド樹脂(以下、比較成分A2ともいう)に比べ、後述する成分Aの後重合工程での溶融重合において、副反応が起こり高分子量化を阻害するような過度の高温条件にする必要がないため、高分子量化(相対粘度を増加させること)が可能である。
従って、成分Aは、従来のポリアミド樹脂に比べて相対粘度を増大できるので、優れた溶融成形性を有する。
溶融成形後の成形物が脆くなり物性が低下する傾向を避けることと、溶融成形時の溶融粘度が高くなり成形加工性が悪くなる傾向を避ける観点と、相対粘度ηrと溶融粘度が一定以上に高く、過度に高くないことが好ましいとされる自動車部材や電気・電子部品のような用途に好適であるという観点から、成分Aの濃度が1.0g/dlの96%濃硫酸溶液を用い、25℃で測定した相対粘度ηrは、
好ましくは1.8〜6.0であり、
より好ましくは1.8〜4.5であり、
より好ましくは1.8〜3.0であり、
更に好ましくは1.85〜2.5、
更に好ましくは1.85〜2.2であるようにすることができる。
なお、後述する成分Aの後重合工程での溶融重合において、減圧度を上げることで、相対粘度ηrを増大することができる。
また、同様の観点から、成分Aの溶融粘度は、
好ましくは100〜700Pa・s、
より好ましくは110〜600Pa・s、
更に好ましくは120〜500Pa・s、
更に好ましくは130〜400Pa・s、
更に好ましくは150〜300Pa・s、
更に好ましくは160〜220Pa・s、
更に好ましくは170〜200Pa・sであり、
さらに、同様の観点から、成分Aの数平均分子量は、
好ましくは10000〜50000であり、
より好ましくは11000〜40000であり、
更に好ましくは11000〜35000である。
数平均分子量(Mn)は、1H−NMRスペクトルから求めたシグナル強度をもとに、例えば、蓚酸源として蓚酸ジブチル、ジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミン(化合物b)と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(化合物c)を90:10のモル%比で用いて製造したポリアミド〔以下、PX6−2(化合物b/化合物c=90/10)と略称する〕の場合は下式により算出した。
Mn=np×170.21+n(NH)×115.20+n(OBu)×129.13+n(NHCHO)×29.14
なお、1H−NMRの測定条件は以下の通りである。
・使用機種:ブルカー・バイオスピン社製 AVANCE500
・溶媒:重硫酸
・積算回数:1024回
また、前記式中の各項は以下のように規定される。
・np=Np/[(N(NH)+N(NHCHO)+N(OBu))/2]
・n(NH
=N(NH)/[(N(NH)+N(NHCHO)+N(OBu))/2]
・n(NHCHO)
=N(NHCHO)/[(N(NH)+N(NHCHO)+N(OBu))/2]
・n(OBu)
=N(OBu)/[(N(NH)+N(NHCHO)+N(OBu))/2]
・Np=Sp/sp−N(NHCHO)
・N(NH2)=S(NH)/s(NH
・N(NHCHO)=S(NHCHO)/s(NHCHO)
・N(OBu)=S(OBu)/s(OBu)
但し、各項は以下の意味を有する。
・Np:PA62(化合物B/化合物C=90/10)の末端ユニットを除いた、分子鎖中の繰り返しユニット総数。
・np:分子1本当たりの分子鎖中の繰り返しユニット数。
・Sp:PX6−2(化合物b/化合物c=90/10)の末端を除いた、分子鎖中の繰り返しユニット中のオキサミド基に隣接するメチレン基のプロトンに基づくシグナル(3.1ppm付近)の積分値。
・sp:積分値Spにカウントされる水素数(4個)。
・N(NH2):PX6−2(化合物b/化合物c=90/10)の末端アミノ基の総数。
・n(NH2):分子1本当たりの末端アミノ基の数。
・S(NH2):PX6−2(化合物b/化合物c=90/10)の末端アミノ基に隣接するメチレン基のプロトンに基づくシグナル(2.6ppm付近)の積分値。
・s(NH2):積分値S(NH)にカウントされる水素数(2個)。
・N(NHCHO):PX6−2(化合物b/化合物c=90/10)の末端ホルムアミド基の総数。
・n(NHCHO):分子1本当たりの末端ホルムアミド基の数。
・S(NHCHO):PX6−2(化合物b/化合物c=90/10)のホルムアミド基のプロトンに基づくシグナル(7.8ppm)の積分値。
・s(NHCHO):積分値S(NHCHO)にカウントされる水素数(1個)。
・N(OBu):PX6−2(化合物b/化合物c=90/10)の末端ブトキシ基の総数。
・n(OBu):分子1本当たりの末端ブトキシ基の数。
・S(OBu):PX6−2(化合物b/化合物c=90/10)の末端ブトキシ基の酸素原子に隣接するメチレン基のプロトンに基づくシグナル(4.1ppm付近)の積分値。
・s(OBu):積分値S(OBu)にカウントされる水素数(2個)。
(3)成分Aの物性
成分Aは、さらに、化合物b及びcの重縮合比率を変更することで、
温度差(Td−Tm)を、比較成分A2に比べて大きく、化合物aと化合物cとを重縮合して得られるポリアミド樹脂(以下、比較成分A1ともいう)に比べて小さく、
融点Tmを、比較成分A2に比べて低く、比較成分A1に比べて高く、
1%重量減少温度Tdを、比較成分A1に比べて高く、
飽和吸水率を、比較成分A2に比べて小さく、比較成分A1に比べて大きくすることができる。
即ち、成分Aは、従来のポリオキサミド樹脂と比較して、
相対粘度ηr(高分子量化)、
温度差(Td−Tm)から見積もられる成形可能温度幅、
融点Tmから見積もられる耐熱性、
溶融粘度から見積もられる溶融成形性、及び
低吸水性のいずれをも十分に確保することができる。
成分Aは、成形可能温度幅、耐熱性、溶融成形性及び低吸水性のいずれをも十分に確保した上で、化合物bの重合比率(モル比)の高さに由来する耐薬品性、耐加水分解性及び燃料バリア性に特に優れる。
成分Aは、成形可能温度幅、耐熱性、溶融成形性及び低吸水性のいずれをも十分に確保する観点から、
Tmは、好ましくは260〜330℃であり、より好ましくは265〜330℃であり、
Tdは、好ましくは341〜370℃、より好ましくは345〜370℃、更に好ましくは350〜365℃であり、
温度差(Td−Tm)は、好ましくは10〜95℃、より好ましくは20〜95℃、更に好ましくは25〜95℃であり、
飽和吸水率は、好ましくは0〜2.4、より好ましくは1〜2.4、更に好ましくは2〜2.4、更に好ましくは2.3〜2.4である。
(4)成分Aの製造
成分Aは、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができるが、高分子量化及び生産性の観点から、
好ましくは、ジアミン及び蓚酸ジエステルをバッチ式又は連続式で重縮合反応させることにより得ることであり、
より好ましくは、ジアミン及び蓚酸ジエステルを前重縮合工程と後重縮合工程からなる二段重合法もしくは、WO2008−072754公報記載の加圧重合法によって得ることである。
更に好ましい二段重合法及び加圧重合法としては、具体的には、以下の操作で示される。
(4−1)二段重合法
(i)前重縮合工程:まず反応器内を窒素置換した後、ジアミン(化合物b及びc)及び化合物aの蓚酸源である蓚酸ジエステルを混合する。混合する場合にジアミン及び蓚酸ジエステルが共に可溶な溶媒を用いても良い。ジアミン成分及び蓚酸源成分が共に可溶な溶媒としては、トルエン、キシレン、トリクロロベンゼン、フェノール、トリフルオロエタノールなどを用いることができ、特にトルエンを好ましく用いることができる。例えば、ジアミンを溶解したトルエン溶液を50℃に加熱した後、これに対して蓚酸ジエステルを加える。
このとき、蓚酸ジエステルと上記ジアミンの仕込み比は、高分子量化の観点から、蓚酸ジエステル/上記ジアミンで、0.8〜1.5(モル比)、好ましくは0.91〜1.1(モル比)、更に好ましくは0.99〜1.01(モル比)である。
このように仕込んだ反応器内を攪拌及び/又は窒素バブリングしながら、常圧下で昇温する。反応温度は、最終到達温度が80〜150℃、好ましくは100〜140℃の範囲になるように制御するのが好ましい。最終到達温度での反応時間は3時間〜6時間である。
(ii)後重縮合工程:更に高分子量化を図るために、前重縮合工程で生成した重合物を常圧下において反応器内で徐々に昇温する。昇温過程において前重縮合工程の最終到達温度、すなわち好ましくは80〜150℃から、最終的に、
好ましくは295℃以上350℃以下、より好ましくは298℃以上345℃以下、更に好ましくは298℃以上340℃以下の温度範囲にまで到達させる。
昇温時間を含めて好ましくは1〜8時間、より好ましくは2〜6時間保持して反応を行うことが好ましい。さらに後重合工程において、必要に応じて減圧下での重合を行うこともできる。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は0.1MPa〜13.3Paである。
(4−2)加圧重合法
まずジアミンを耐圧容器内に入れ窒素置換した後、封圧下において反応温度まで昇温する。その後、反応温度において封圧状態を保ったまま蓚酸化合物を耐圧容器内に注入し、重縮合反応を開始させる。反応温度は、ジアミンと蓚酸化合物の反応によって生じるポリアミドが、スラリー状、もしくは溶液状態を維持でき、かつ熱分解しない温度であれば特に制限されない。例えば、成分aの場合、上記反応温度は、150℃から250℃が好ましい。ここで、蓚酸ジブチルとジアミンの仕込み比は、蓚酸ジブチルのモル量/ジアミンの総モル量で、0.8〜1.5(モル比)、好ましくは0.91〜1.1(モル比)、更に好ましくは0.99〜1.01(モル比)である。
次に耐圧容器内を封圧状態に保ちながらポリアミド樹脂の融点以上かつ熱分解しない温度以下に昇温する。例えば、成分aの場合、融点は245〜300℃であることから、250℃以上350℃以下、好ましくは255℃以上340℃以下、更に好ましくは260℃以上335℃以下に昇温する。所定温度に到達するまでの耐圧容器内の圧力は、およそ生成するアルコールの飽和蒸気圧から0.1MPa、好ましくは1MPaから0.2MPaに調整する。所定温度に到達後は、生成したアルコールを留去しながら放圧し、必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下において継続して重縮合反応を行う。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は0.1MPa〜13.3MPaである。
(6)成分Aにおけるジカルボン酸として使用できる成分
成分Aにおいて、本発明の効果を損なわない範囲で化合物a以外の他のジカルボン酸成分を使用する事が出来る。
化合物a(蓚酸)以外の他のジカルボン酸成分としては、
マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸、
また、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、
さらに、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸
などを単独で、あるいはこれらの任意の混合物を重縮合反応時に添加することもできる。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
他のジカルボン酸成分を使用する場合、その割合は、化合物a(蓚酸)に対して、25モル%以下であり、15モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下がさらに好ましく、0モル%(即ち、ジカルボン酸成分が化合物aだけからなること)がさらに好ましい。なお、化合物a(蓚酸)に対する他のジカルボン酸成分のモル比は、成分A中の、化合物a由来の単位と他のジカルボン酸成分由来の単位のモル比も意味する。
成分Aにおいて、本発明の効果を損なわない範囲で、化合物b及びc以外の他のジアミン成分を使用する事が出来る。
1,6−ヘキサンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン以外の他のジアミン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、
1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンなどの脂肪族ジアミン、
さらに、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン、
さらにp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミン、
などを単独で、あるいはこれらの任意の混合物を重縮合反応時に添加することもできる。
他のジアミン成分を使用する場合、その割合は、化合物b及びcに対して25モル%以下であり、15モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下がさらに好ましく、0モル%(即ち、ジアミン成分が化合物b及びcだけからなること)がさらに好ましい。なお、化合物b及びcに対する他のジアミン成分のモル比は、成分A中の、化合物b及びc由来の単位と他のジアミン成分由来の単位のモル比も意味する。
[層状珪酸塩(成分B)]
層状珪酸塩(成分B)は、高分子材料に機械的特性及び耐熱性を付与する成分である。
層状珪酸塩は、一辺の長さが0.002〜1μmで、厚さが6〜20Åである平板状のものを用いることが好ましい。また、上記層状珪酸塩は、ポリアミド樹脂中に分散した際に、各層が約18Å以上の層間距離を保ち、均一に分散されるものであることが好ましい。
ここで、「層間距離」とは、平板状をなす層状珪酸塩の各重心の間の距離をいい、「均一に分散する」とは、各層が主にランダムな状態で存在し、層状珪酸塩の50質量%以上、好ましくは70質量%以上が、複層物を形成することなく単層に分散していることをいうものとする。
上記層状珪酸塩としては、珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウムの層から構成される層状フィロ珪酸鉱物、すなわち、珪酸アルミニウム質フィロ珪酸塩又は珪酸マグネシウム質フィロ珪酸塩を例示することができる。具体的には、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト等を例示することができ、これらは天然のものであっても、合成されたものであってもよい。
また、上記層状珪酸塩をポリアミド樹脂に分散させるために、通常、有機アミン、有機アンモニウム等の膨潤化剤が用いられる。当該膨潤化剤は、粘土鉱物の層間を拡げる役割と、粘土鉱物に層間ポリマーを取り込む力を与える役割とを有するものである。上記膨潤化剤としては、本発明の場合には、1,6−ヘキサンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを用いることが好ましい。
なお、上記層状珪酸塩は、ミキサー、ボールミル、振動ミル、ピンミル、ジェットミル、叩解機等を用いて粉砕し、予め所望の形状及びサイズのものとしておくことが好ましい。
[複合材料]
本発明の複合材料は、上記ポリアミド樹脂(成分A)と、当該ポリアミド樹脂内に分散している層状珪酸塩(成分B)とを含む。
本発明の複合材料中の上記層状珪酸塩の量は、本発明の複合材料の機械的特性及び耐熱性が向上する量であれば、特に制限されるものではないが、上記ポリアミド樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.05〜8質量部、特に好ましくは0.05〜5質量部である。層状珪酸塩の割合が低くなると、機械強度及び耐熱性の向上が小さくなる傾向があり、上記割合が高くなると、複合材料の物性、特に流動性が低下し、成形加工性が悪化したり、衝撃強度が低下する傾向がある。
本発明の複合材料は、上記ポリアミド及び層状珪酸塩以外に、任意成分として、さらに以下の成分を含むことができる。
(1)他のポリマー
本発明に用いられるジカルボン酸成分がシュウ酸から成り、ジアミン成分がC6ジアミン混合物(1,6−ヘキサンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンの混合物)からなり、これらのモル比が99:1〜50:50であるポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、その一部を他のポリマー成分で置換されうる。他のポリマー成分としては、例えば、他のポリアミド類、例えば、ポリオキサミド、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミド等、並びにポリアミド以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマー、エラストマーが挙げられる。
上記熱可塑性ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂等の汎用樹脂材料、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、その他高耐熱樹脂が挙げられる。特にポリエチレンやポリプロピレンを併用する場合には無水マレイン酸やグリシジル基含有モノマー等で変性したものを使用することが望ましい。
上記他のポリマーによる置換割合としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは50質量%未満であり、より好ましくは30質量%以下である。
なお、以下単に、「ポリアミド」、又は「ポリアミド樹脂」と称する場合には、ジカルボン酸成分が蓚酸から成り、ジアミン成分がC6ジアミン混合物(1,6−ヘキサンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンの混合物)からなり、これらのモル比が99:1〜50:50であるポリアミド樹脂のことを指すものとする。
(2)添加剤
本発明の複合材料には、本発明の効果を損なわない範囲において、他の添加剤を添加することができる。例えば、顔料、染料、着色剤、耐熱剤、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、銅化合物等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、ガラス繊維、潤滑剤、フィラー、補強繊維等を挙げることができる。
より具体的には、耐熱剤としては、ヒンダードフェノール類、ホスファイト類、チオエーテル類、ハロケン化銅等が挙げられ、単独またはこれらを組み合わせて使用することができる。
上記耐候剤としては、ヒンダードアミン類やサリシレート類が挙げられ、単独又はこれらを組み合わせて使用することができる。
上記結晶核剤としては、タルク、クレー等の無機フィラー類や脂肪酸金属塩等の有機結晶核剤等が挙げられ、単独又はこれらを組み合わせて使用することができる。
上記結晶化促進剤としては、低分子量ポリアミド、高級脂肪酸類、高級脂肪酸エステル類や高級脂肪族アルコール類が挙げられ、単独又はこれらを組み合わせて使用することができる。
上記離型剤としては、脂肪酸金属塩類、脂肪酸アミド類や各種ワックス類が挙げられ、単独又はこれらを組み合わせて使用することができる。
上記帯電防止剤としては、脂肪族アルコール類、脂肪族アルコールエステル類や高級脂肪酸エステル類が挙げられ、単独又はこれらを組み合わせて使用することができる。
上記難燃剤としては、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート、エチレンジメラミンジシアヌレート、硝酸カリウム、臭素化エポキシ化合物、臭素化ポリカーボネート化合物、臭素化ポリスチレン化合物、テトラブロモベンジルポリアクリレート、トリブロモフェノール重縮合物、ポリブロモビフェニルエーテル類や塩素系難燃剤が挙げられ、単独又はこれらを組み合わせて使用することができる。
上記他のポリマー及び添加剤の添加方法は、それぞれを上記ポリアミド樹脂に分散させることができる方法であれば、特に制限されるものではなく、その効果を損なわない任意の時点において、上記ポリアミド樹脂に添加することができる。例えば、上記他のポリマー及び添加剤を、上記ポリアミド樹脂の後重縮合工程の直後に添加することができる。
[複合材料の製法]
本発明の複合材料の製造方法は、上述のポリアミド樹脂に上記層状珪酸塩が均一に分散し得る限り、特に制限はない。例えば、層状珪酸塩の原料が多層状粘土鉱物である場合には、特許文献1に開示されるように、層状珪酸塩を塩酸等によりイオン化し、ここに膨潤化剤、例えば、1,6−ヘキサンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを添加して、あらかじめ層状珪酸塩の各層の間隔を広げる。次いで、当該層の間にポリアミド原料を導入し、さらに当該層の間で上記原料を重合させることができる。
また、膨潤化剤として有機化合物を用いて層間を約100Å以上に予め広げ、これをポリアミド樹脂と溶融混合して、各層をポリアミド樹脂に分散させてもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、例えば、押出成形、ブロー成形、圧縮成形、射出成形等により成形品にすることができる。
本発明の複合材料から成形させる成形品は、自動車部品、工業材料、産業資材、電気電子部品、機械部品、事務機器用部品、家庭用品、容器、シート、フィルム、繊維、その他の任意の用途及び形状の各種成形品であることができる。より具体的には、自動車燃料配管用チューブ又はホース、自動車ラジエーターホース、ブレーキホース、エアコンホース、電線被覆材、光ファイバー被覆材等のチューブ、ホース類、農業用フィルム、ライニング、建築用内装材(壁紙等)、ラミネート鋼板等のフィルム、シート類、自動車ラジエータータンク、薬液ボトル、薬液タンク、バック、薬液容器、ガソリンタンク等のタンク類、タイヤインナーライナー、タンクバルブ、フューエルデリバリーパイプ、クイックコネクタ、EGR部品であることができる。
[エンジン冷却水系部品]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、エンジン冷却水系部品に好適に用いられる。ここでエンジン冷却水系部品とは、ラジエータコア、ラジエータタンクのトップ及びベース等のラジエータタンク部品、冷却液リザーブタンク、ウォーターパイプ、ウォーターポンプハウジング、ウォーターポンプインペラ、ウォータージャケットスペーサー、バルブ、サーモスタットケースなどのエンジンルーム内で冷却水との接触下で使用される部品である。
本発明のエンジン冷却水系部品は、当業界で通常行われる成形方法により、例えば、上記エンジン冷却水系部品用ポリアミド樹脂組成物のペレット等を押出成形、ブロー成形、圧縮成形、射出成形等の方法により成形することにより製造することができる。
[中空成形部品]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、エンジン冷却水系部品に好適に用いることができるが、他の同様の機能を要求される部材、例えば、床暖房用温水パイプや道路融雪用散水パイプなどの中空成形部品その他の樹脂部品にも好適に用いることができる。
本発明の中空成形部品は、ポリアミド樹脂及び層状珪酸塩を用いて作製される。
本明細書において、用語「中空成形部品」の用語は、中空成形により製造された部品を意味する。中空成形には、回転成形、スラッシュ成形、シートブロー成形、インジェクションブロー成形等が含まれる。
本発明の中空成形部品は、中空成形によって成形される部品又は製品、例えば、燃料タンク、例えば、ガソリンタンク、オイルタンク、その他のタンク、農薬ボトル、飲料水用ボトル等の各種ボトル、エアーダクト、インテークマニホールド等各種機械及び自動車の吸気、排気系部品、エアスポイラー、フェンダー、バンパー等の自動車外板・外装構造部材等の用途に使用することができる。また、中空成形部品としては、フューエルデリバリーパイプ、スロットルボディ、レゾネーター、エアクリーナボックス、サスペンションブーツ、エアインテークマニホールド、エアクリーナー、レゾネーター、フューエルレール、ホースジョイントを挙げることができる。
[物性測定、成形、評価方法]
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
なお、実施例中の測定は以下の方法により行った。
(1)相対粘度(ηr):
ηrはポリアミドの96%硫酸溶液(濃度:1.0g/dl)を使用してオストワルド型粘度計を用いて25℃で測定した。
(2)融点(Tm):
Tmは、PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSC用いて窒素雰囲気下で測定した。
製造例1〜2、比較製造例1、実施例1〜4のTmは、30℃から350℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、350℃で3分保持したのち、−100℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に350℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。
製造例3〜5、実施例5〜7と比較例1のTmは、30℃から310℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、310℃で3分保持したのち、−100℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に310℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。
昇温セカンドランの吸熱ピーク温度をTmとした。
(3)1%重量減少温度(Td):
Tdは島津製作所社製THERMOGRAVIMETRIC ANALYZER TGA−50を用い、熱重量分析(TGA)により測定した。20ml/分の窒素気流下室温から500℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、Tdを測定した。
(4)溶融粘度:
溶融粘度はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製溶融粘弾性測定装置ARESに25mmのコーン・プレートを装着して、窒素中、300℃(製造例3〜5)、340℃(製造例1〜2、比較製造例1)、ナイロン6を用いた場合は260℃、せん断速度0.1s−1の条件で測定した。
(5)フィルム成形:
東邦マシナリー社製真空プレス機TMB−10を用いてフィルム成形を行った。500〜700Paの減圧雰囲気下300℃(製造例3〜5、実施例5〜7と比較例1)、340℃(製造例1〜2、比較製造例1、実施例1〜4)、ナイロン6を用いた場合は260℃で5分間加熱溶融させた後、5MPaで1分間プレスを行いフィルム成形した。次に減圧雰囲気を常圧まで戻したのち室温5MPaで1分間冷却結晶化させてフィルムを得た。
(6)吸水率(飽和吸水率、平衡吸水率):
ポリアミド樹脂を(5)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ0.25mm;重量約0.05g)を23℃のイオン交換水に浸漬し、所定時間ごとにフィルムを取り出し、フィルムの重量を測定した。フィルム重量の増加率が0.2%以内の範囲で3回続いた場合にポリアミド樹脂フィルムへの水分の吸収が飽和に達したと判断して、水に浸漬する前のフィルムの重量(Xg)と飽和に達した時のフィルムの重量(Yg)から式(1)により飽和吸水率(%)を算出した。

飽和吸水率(%)=100(Y−X)/X (1)

なお、上記フィルムの成形直後の重量(Xg)と上記フィルムを成形後に湿度65%、温度23℃で平衡に達したときの重量(Yg)から式(1)により算出した吸水率(平衡吸水率)をウェットでの吸水率として表中に記載した。
(7)耐薬品性:
本発明によって得られるポリアミドの熱プレスフィルムを以下に列挙する薬品中に7日間浸漬した後に、フィルムの重量残存率(%)及び外観の変化を観測した。濃塩酸、64%硫酸、30%NaOH水溶液、5%KMnOのそれぞれの溶液においては23℃、ベンジルアルコールでは50℃において浸漬した試料について試験を行った。
(8)耐加水分解性:
本発明によって得られるポリアミドの熱プレスフィルムをオートクレーブに入れ、水(pH=7)、0.5mol/l硫酸(pH=1)、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(pH=14)中でそれぞれ121℃、60分間処理した後の重量残存率(%)、及び外観変化を調べた。
(9)機械的物性:
以下に示す〔1〕〜〔3〕の測定は、下記の試験片を樹脂温度300℃(製造例3〜5、比較製造例2、実施例5〜7と比較例1〜2)、340℃(製造例1〜2、実施例1〜4)、ナイロン6を用いた場合は260℃、ナイロン66を用いた場合は290℃、金型温度80℃の射出成形により成形し、これを用いて行った。成形後直ちに調湿せずに23℃で評価したものをドライ、成形後に湿度65%、温度23℃で調湿した後に23℃で評価したものをウェットとして表中に記載した。
〔1〕 曲げ試験(曲げ弾性率):試験片寸法127mm×12.7mm×3.2mmの試験片を用いてASTM D790に準拠し、23℃で測定した。
〔2〕 荷重たわみ温度:試験片寸法127mm×12.7mm×3.2mmの試験片を用いてASTM D648に準拠し、荷重1.82MPaで測定した。
〔3〕 引張試験(引張強度):ASTM D638に記載のTypeIの試験片をもちいてASTM D638に準拠して測定した。
(10)耐塩化カルシウム性:
(5)の条件で成形したフィルムを、23℃の飽和塩化カルシウム水溶液に浸漬した。一日後、フィルムの外観を目視で観察し、クラックの有無を評価した。
(12)エタノール蒸気透過係数
ステンレス製の容器にエタノールを50ml入れ、(5)の条件で成形したフィルムを用いて、PTFE製のガスケットをかませた容器に蓋をし、ねじ圧力にて締め付けた。カップを60℃恒温槽に入れ、槽内は窒素を50ml/minで流した。重量の経時変化を測定し、時間当たりの重量変化率が安定した時点で、燃料透過係数を次式から計算した。
試料の透過面積は78.5cmである。
エタノール透過係数(g・mm/m・day)=[透過重量(g)×フィルム厚さ(mm)]/[透過面積(mm)×日数(day)×圧力(atom)]
(13)表面平滑性
下記の条件にて試料から、220mm×120mm×50mm、内厚1.5mmの中空ボックスを作成し、その内面の平滑性を測定した。
[中空成形条件]
・中空成形機:押出機 宇部興産(株)製、径50mm
・パリソンコントローラー 日本ムーグ製
・樹脂温度:260℃
・金型温度:80℃
・ブロー圧力:6kg/cm
・ダイ径:90mm
[平滑性測定法]
・表面荒さ計を用い下記の方法にて、平滑性を測定した。
・装置:小坂研究所(株)製万能表面形状測定器SE−3C
・方法:上記装置にて、荒さ曲線を測定し、曲線の波の幅により、表面平滑性(粗さ)
を求めた。
(14)中空成形特性
下記の中空成形機及び、成形条件にて、中空成形を行い、押出時間10秒、20秒、30秒後のそれぞれのパリソン長さを測定し、中空成形特性(ドローダウン性)を評価した。
この試験は、パリソンのドローダウン性を評価したもので、時間に対し、パリソン長さが直線的に変化するものが、好ましい。
[製造例1:ポリアミド樹脂(A):PX6−1]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、ダイアフラムポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、圧力調節装置及びポリマー抜出し口を備えた内容積が約150リットルの圧力容器に1,6−ヘキサンジアミン15.407kg(132.58モル)と2−メチル−1,5−ペンタンジアミンYYY811.1g(6.98モル)の混合物(1,6−ヘキサンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンのモル比が95:5)を仕込み、圧力容器の内部を純度が99.9999%の窒素ガスで0.5MPaに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を5回繰り返し、窒素置換を行った後、封圧下、攪拌しながら系内を昇温した。約30分間かけてシュウ酸ジブチルの温度を80℃にした後、シュウ酸ジブチル28.230kg(139.56モル)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、2時間かけて温度を330℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を0.75MPaに調節した。重縮合物の温度が330℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、4.5時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.1MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=1.95であった。
[製造例2:ポリアミド樹脂(A):PX6−2]
1,6−ヘキンジアミン14.717kg(126.64モル)と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン1.635kg(14.07モル)の混合物(1,6−ヘキサンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンのモル比が90:10)を仕込み、シュウ酸ジブチル28.462kg(140.71モル)を仕込んだほかは、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーで、ηr=2.05であった。
[製造例3:ポリアミド樹脂(A):PX6−3]
1,6−ヘキサンジアミ12.16kg(104.64モル)と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン5.212kg(44.85モル)の混合物(1,6−ヘキサンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンのモル比が70:30)を仕込み、シュウ酸ジブチル30.238kg(149.49モル)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1.5時間かけて温度を290℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を0.5MPaに調節した。重縮合物の温度が290℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を310℃にし、310℃において1.5時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.1MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=2.40であった。
[製造例4:ポリアミド樹脂(A):PX6−4]
1,6−ヘキサンジアミン10.294kg(88.583モル)と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン6.863kg(59.057モル)の混合物(1,6−ヘキサンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンのモル比が60:40)を仕込み、シュウ酸ジブチル29.864kg(147.64モル)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1.5時間かけて温度を275℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を0.5MPaに調節した。重縮合物の温度が270℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を290℃にし、290℃において2時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.1MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=2.68であった。
[製造例5:ポリアミド樹脂(A):PX6−5]
1,6−ヘキサンジアミン8.361kg(71.947モル)と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン8.361kg(71.947モル)の混合物(1,6−ヘキサンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンのモル比が50:50)を仕込み、シュウ酸ジブチル29.107kg(143.89モル)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1.5時間かけて温度を260℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を0.5MPaに調節した。重縮合物の温度が260℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を275℃にし、275℃において3時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.1MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=2.61であった。
[比較製造例1:ポリアミド樹脂:PX6−6]
(i)前重縮合工程:撹拌機、還流冷却器、窒素導入管、原料投入口を備えた内容積が1Lのセパラブルフラスコの内部を純度が99.9999%の窒素ガスで置換し、脱水済みトルエン500ml、1,6−ヘキサンジアミン58.7209g(0.5053モル)を仕込んだ。このセパラブルフラスコをオイルバス中に設置して50℃に昇温した後、シュウ酸ジブチル102.1956g(0.5053モル)を仕込んだ。次にオイルバスの温度を130℃まで昇温し、還流下、5時間反応を行った。なお、原料仕込みから反応終了までの全ての操作は50ml/分の窒素気流下で行った。
(ii)後重縮合工程:上記操作によって得られた前重合物を撹拌機、空冷管、窒素導入管を備えた直径約35mmφのガラス製反応管に仕込み、反応管内を13.3Pa以下の減圧下に保ち、次に常圧まで窒素ガスを導入する操作を5回繰り返した後、50ml/分の窒素気流下290℃に保った塩浴に移し、直ちに昇温を開始した。1時間かけて塩浴の温度を340℃とした後、容器内を約66.5Paまで減圧し、さらに2時間反応させた。
続いて常圧まで窒素ガスを導入したのち、塩浴から取り出し50ml/分の窒素気流下で室温まで冷却してポリアミド樹脂を得た。得られたポリマーは黄色のポリマーであり、ηr=1.65であった。
(試験例1)
製造例1〜5及び比較製造例1で製造したポリアミドPX6−1〜PX6−6、並びにナイロン6(宇部興産製、UBEナイロン1015B:PA6)及びナイロン66(宇部興産製、UBEナイロン2020B:PA66)について、相対粘度、融点、1%重量減少温度、溶融粘度、飽和吸水率、耐薬品性、耐加水分解性、ドライ及びウェットにおける機械的特性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2013095790
[実施例1]
製造例1で製造したPX6−1を100質量部に対し、有機化モンモリロナイト(Nanocor社製、ナノマー30TC)を0.5質量部添加し、340℃で二軸混練機を用いて溶融混練し、ペレット状の本発明の複合材料を得た。
[実施例2〜7]
表2の配合に従った他は実施例1と同様にして、ペレット状の本発明の複合材料を得た。なお、実施例5〜7の混練温度は300℃、実施例2〜4の混練温度は340℃で行なった。
[比較例1]
ポリアミド樹脂の代わりにPA6(宇部興産製、UBEナイロン1015B)を用い、実施例1と同様にして複合材料を得た。混練温度は260℃で行なった。
(試験例2)
実施例1〜7、比較例1の複合材料について、ドライ及びウェットにおける機械的特性、耐塩化カルシウム性、エタノール蒸気透過係数を測定し、その結果を表2に示す。
なお、PX6−6を使用したポリアミド樹脂組成物は、Td−Tmが小さいため、溶融混練できず、成形もできなかった。
Figure 2013095790
[実施例8]
製造例1で製造したPX6−1を100質量部に対し、有機化モンモリロナイト(Nanocor社製、ナノマー30TC)を1.5質量部添加し、340℃で二軸混練機を用いて溶融混練し、ペレット状の本発明の複合材料を得た。
[実施例9〜14]
表3の配合に従った他は実施例8と同様にして、ペレット状の本発明の複合材料を得た。なお、実施例12〜14の混練温度は300℃、実施例9〜11の混練温度は340℃で行なった。
[比較例3,4]
ポリアミド樹脂の代わりにPA6(宇部興産製、UBEナイロン1030B)を用い、実施例8と同様にして複合材料を得た。混練温度は260℃で行なった。
表3に実施例8〜14及び比較例3〜4の測定結果を示す。
Figure 2013095790
本発明のポリアミド樹脂及び層状珪酸塩を含む複合材料は、高い機械的強度、耐熱性及び液体又は蒸気に対するバリア性を有し、そして従来のナイロン6系複合材料と比較して低吸水性、耐薬品性及び耐加水分解性等に優れ、そしてジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミン単体を用いたポリアミド樹脂系の複合材料よりも成形可能温度幅が広く溶融成形性に優れ、さらに高分子量化が可能で強靭な成形体を製造することができ、産業資材、工業材料、家庭用品等の成形材料として広範に使用することができるので、産業上有用である。

Claims (5)

  1. ポリアミド樹脂(成分A)と、当該ポリアミド樹脂(成分A)内に分散している層状珪酸塩(成分B)とを含む複合材料であって、
    前記成分Aが、ジカルボン酸由来の単位とジアミン由来の単位とが結合してなり、
    前記ジカルボン酸が蓚酸(化合物a)を含み、
    前記ジアミンが1,6−ヘキサンジアミン(化合物b)及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(化合物c)を含み、
    前記化合物bと前記化合物cのモル比が99:1〜50:50であるである複合材料。
  2. 上記層状珪酸塩(成分B)の含有量が、上記ポリアミド樹脂(成分A)100質量部に対して、0.05〜10質量部である、請求項1に記載の複合材料。
  3. 上記層状珪酸塩(成分B)が、珪酸アルミニウム質フィロ珪酸塩又は珪酸マグネシウム質フィロ珪酸塩である、請求項1又は2に記載の複合材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料を使用したエンジン冷却水系部品。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料を使用した中空成形部品。
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