JP2013095344A - 自動車用内装品表皮の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自動車用内装品表皮の製造方法は、表皮中間体形成工程、表皮中間体装着工程及びテアライン加工工程を備える。表皮中間体形成工程では、表皮部32と、位置決め部39を有する余剰部33とを備える表皮中間体31を形成する。表皮中間体装着工程では、上記表皮中間体31を、位置決め部39において、治具に設けられた被位置決め部に対し係合させた状態で同治具に装着する。テアライン加工工程では、表皮中間体31における表皮部32の裏面にテアラインを加工する。さらに、上記表皮中間体形成工程で表皮中間体31を形成する際に、表皮部32の裏面であって、テアラインが加工される予定のテアライン加工予定部34の近傍にマークを形成するとともに、マークの位置を確認したうえで上記テアライン加工工程を実施する。
【選択図】図8
Description
続いて、マークの位置が確認されたうえでテアライン加工工程が実施される。この際、マークはテアライン加工予定部の近傍に形成されているため、このマークによってテアライン加工予定部の位置を模擬しても支障がない。
この点、請求項3に記載の発明では、表皮中間体形成工程において、内底面が内側壁面の近傍で深く、同内側壁面から遠ざかるに従い浅くなる凹部が形成される。形成された凹部は、同凹部の少なくとも周囲の箇所に対し高低差を有しているため、マークとしての機能を発揮し得る。また、凹部が形成された箇所での表皮部の厚みは、同凹部の内底面が平らであって深さが均一である場合よりも大きくなるため、表皮部の表面におけるツヤムラの発生が抑制される。
上記の製造方法によれば、表皮中間体形成工程において、凹部の内底面が凸状の球面に形成される。形成された凹部では、内底面が内側壁面の近傍で深く、同内側壁面から遠ざかるに従い浅くなるため、上記請求項3に記載の発明の効果が得られる。
上記の製造方法によれば、表皮中間体形成工程において、表皮部の裏面であって、テアライン加工予定部の近傍であることを条件に、互いに離間した複数箇所にマークが形成される。従って、マークが1箇所に形成される場合に比べ、テアライン加工予定部が適正位置にあるかどうかをより精度よく判断することが可能となる。
上記の製造方法によれば、表皮中間体形成工程において、表皮部の裏面であって、テアライン加工予定部を挟んで相対向する2箇所にマークが形成される。従って、テアライン加工予定部が適正位置にあるかどうかを少ない数のマークによって精度よく判断することが可能となる。
最初に、本実施形態の製造方法によって得られる表皮の適用箇所について説明する。
図1及び図2に示すように、自動車においては、助手席の乗員を保護する助手席用エアバッグ装置(以下、単に「エアバッグ装置」という)11が装備されている。このエアバッグ装置11は、自動車の前席の前方に組付けられたインストルメントパネル12の内部に格納された状態で装備されている。
まず、図6に示すように、所定の大きさに裁断された表皮素材(原反)25が用意される。表皮素材25としては、オレフィン系、エステル系、アミド系、スチレン系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマー(TPE)材料を用いて、カレンダー加工や押し出し成形により形成された樹脂シートが用いられる。
ここで、表皮中間体31の構成について説明する。表皮中間体31は、上述した表皮21を形成する途中段階のものであり、図3に示すように、表皮21として用いられる箇所である表皮部32と、表皮部32の周りに設けられた余剰部33とを備える。表皮部32は、前述したテアライン22が加工される予定のテアライン加工予定部34を裏面に有する。また、表皮部32は、テアライン加工予定部34の近傍の複数箇所にマークMを有する。これらのマークMは、テアライン加工予定部34の位置を模擬するものである。本実施形態では、マークMはテアライン22における主ライン部23の延長線上であって、同主ライン部23の両端から車幅方向外方へ離れた2箇所に位置する。従って、両マークMは、テアライン加工予定部34を挟んで車幅方向に相対向することとなる。
上記表皮素材25の熱成形は、通常の雄型のみを用いた真空成形によって行なわれてもよいが、ここでは、図7に示すように、雌型41及び雄型45を用いたプレス成形によって予備成形した後、型締めと略同時に行なわれる真空成形により最終的な賦形をする方法が行なわれる。
雄型45の上面であって、成形突部46の周りには、上記平面部43とともに余剰部33を形成するための平面部47が形成されている。この平面部47の複数箇所には、より正確には上記雌型41の突部44の下方となる複数箇所には、それらの突部44とともに余剰部33に上記位置決め部39を形成するための凹部48が設けられている。さらに、成形突部46の2箇所には、上記表皮部32の裏面にマークMを形成するためのピン49が昇降可能に設けられている。各ピン49は上下方向に延びる四角柱状をなしており、油圧等により昇降させられる。各ピン49の上端面49Aは、図9(A)に示すように、下方へ凹んだ曲面状に形成されている。
これに対し、凹部35とその周辺箇所との間で所定の高低差が検出されない場合には、制御装置61において、レーザ光LがマークMに照射されていないと判定される。この場合には、マークMが適正位置から外れており、テアライン加工予定部34が適正位置からずれている、又はずれ量が許容範囲を越えているといえる。このことから、加工刃56をテアライン加工予定部34に接近させるための駆動装置57の作動が制御装置61によって禁止される。この作動禁止により、駆動装置57が停止させられ続ける。そのため、適正位置からずれたテアライン加工予定部34に加工刃56が押し付けられて、適正位置からずれた箇所にテアライン22が加工されることがない。
(1)表皮中間体形成工程で表皮中間体31を形成する際に、表皮部32の裏面であって、テアライン22が加工される予定のテアライン加工予定部34の近傍にマークMを形成する(図8)。そして、マークMの位置を確認したうえでテアライン加工工程を実施するようにしている(図10)。
(2)上記(1)に関連するが、表皮中間体形成工程でマークMを形成している(図8)。
(4)マークMの形成に際し、内底面37が内側壁面38の近傍で深く、内側壁面38から遠ざかるに従い浅くなる凹部35を形成するようにしている(図9(B))。
(5)マークMの形成に際し、凹部35の内底面37を凸状の球面に形成している(図9(B))。
そのため、テアライン加工予定部34が適正位置にあるかどうかをより精度よく判断することができる。
(8)各マークMを、主ライン部23の同一の端部から延びる2本の副ライン部24の端部同士を繋ぐ仮想の線から、車幅方向外方へ離れた箇所に形成している(図3)。
(9)表皮中間体形成工程において、表皮素材25を加熱して軟化させ、真空成形することにより表皮中間体31に対応した形状に賦形するとともに、軟化した表皮素材25にピン49を押し付けることによりマークMを形成している(図7、図8)。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・マークMが2つである場合、両マークMは上記実施形態とは異なる箇所に形成されてもよい。例えば、両マークMは、テアライン加工予定部34を挟んで車両前後方向に相対向する2箇所に形成されてもよい。また、両マークMは、テアライン加工予定部34を挟んで相対向しない箇所に形成されてもよい。
例えば、表皮部32の表面(意匠面)におけるツヤムラがさほど目立たなく、問題とならない程度である場合には、凹部35は、内底面37が平らで、深さが均一である形状であってもよい。
<表皮中間体形成工程について>
・表皮中間体形成工程では、真空成形とは異なる方法によって表皮中間体31が形成されてもよい。
・マークMの位置確認は、上記実施形態とは異なる方法で行なわれてもよい。
例えば、レーザ光Lが照射されている箇所を目視することで確認が行なわれてもよい。
さらに、レーザ光Lを、照射位置を時間とともに連続して変えながら照射し、レーザ照射装置58から照射位置までの距離を演算し、その距離の変化に基づいて、マークMの位置が確認されてもよい。
・上記実施形態では、テアライン加工工程において、加熱された加工刃56を表皮中間体31の表皮部32(テアライン加工予定部34)に押し付けることでテアライン22を加工したが、これ以外の手段、例えばコールドナイフ、超音波カッター、ウェルダー等が用いられてテアライン22が加工されてもよい。また、レーザ加工、超音波加工等によってテアライン22が加工されてもよい。
<その他>
・本発明の製造方法は、エアバッグドアを備える自動車用内装品の外表面を構成し、かつエアバッグドアの開放時に開裂されるテアラインが裏面に設けられた表皮に広く適用可能である。この場合のエアバッグドアを備える自動車用内装品としては、インストルメントパネルのほかにも、サイドドア(ドアトリム)、ピラー(ピラーガーニッシュ)、フロントシート、バックシート等が挙げられる。
Claims (7)
- エアバッグドアを備える自動車用内装品の外表面を構成し、かつ前記エアバッグドアの開放時に開裂されるテアラインが裏面に設けられた表皮に適用されるものであり、
前記表皮として用いられる箇所である表皮部と、前記表皮部の周りに設けられ、かつ裏面に位置決め部を有する余剰部とを備える表皮中間体を形成する表皮中間体形成工程と、
前記表皮中間体形成工程で形成された前記表皮中間体を、前記位置決め部において、治具に設けられた被位置決め部に対し係合させた状態で同治具に装着する表皮中間体装着工程と、
前記表皮中間体装着工程で装着された前記表皮中間体における前記表皮部の裏面に前記テアラインを加工するテアライン加工工程と
を備える自動車用内装品表皮の製造方法であって、
前記表皮中間体形成工程で前記表皮中間体を形成する際に、前記表皮部の裏面であって、前記テアラインが加工される予定のテアライン加工予定部の近傍にマークを形成するとともに、前記マークの位置を確認したうえで前記テアライン加工工程を実施することを特徴とする自動車用内装品表皮の製造方法。 - 前記マークの形成に際し、前記表皮部の裏面であって前記テアライン加工予定部の近傍に、少なくとも周囲の箇所よりも窪んだ凹部を形成し、同凹部を前記マークとする請求項1に記載の自動車用内装品表皮の製造方法。
- 前記マークの形成に際し、内底面が内側壁面の近傍で深く、同内側壁面から遠ざかるに従い浅くなる凹部を形成する請求項2に記載の自動車用内装品表皮の製造方法。
- 前記マークの形成に際し、前記凹部の前記内底面を凸状の球面に形成する請求項3に記載の自動車用内装品表皮の製造方法。
- 前記マークを互いに離間した複数箇所に形成する請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動車用内装品表皮の製造方法。
- 前記マークを、前記テアライン加工予定部を挟んで相対向する2箇所に形成する請求項5に記載の自動車用内装品表皮の製造方法。
- 前記表皮中間体形成工程では、表皮素材を加熱して軟化させ、真空成形することにより前記表皮中間体に対応する形状に賦形するとともに、軟化した前記表皮素材にピンを押し付けることにより前記マークを形成する請求項1〜6のいずれか1つに記載の自動車用内装品表皮の製造方法。
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