以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両前照灯制御システム1の構成を示す。車両前照灯制御システム1は、車両に搭載され、車両の2つのヘッドランプ(前照灯)11を制御するためのシステムであり、画像センサ12、ヘッドランプ駆動部13、車速センサ14、舵角センサ15、ECU16等を有している。
画像センサ12は、カメラ部および検出部を備えている。カメラ部は、車両の前方の路面等を繰り返し(例えば、定期的に1/30秒周期で)撮影し、撮影結果の撮影画像を逐次検出部に出力する。検出部は、カメラ部から出力された撮影画像に対して、周知の検出処理を逐次行うことで、撮影画像中に写された光源(所定値以上の輝度、形、色などにより車両と認識できる物体)の検出を試みる。そして、撮影画像中で1つ以上の光源を検出できた場合、それら検出できた各光源の位置座標(撮影画像中の位置座標)を特定し、更に、それら検出できた各光源が先行車の光源か対向車両の光源かを示す先行車/対向車両情報を作成し、更に、それら検出できた各光源から自車両までの距離を特定する。
そして、検出部は、このようにして取得した各光源の撮影画像中の位置座標、先行車/対向車両情報、および当各光源から自車両までの距離の情報を、カメラ情報としてECU16に出力する。
なお、検出できた光源が先行車の光源(すなわち、光っているテールランプ)か対向車両の光源(すなわち、光っているヘッドランプ)かについては、当該光源の色および形状に基づいて判定する。具体的には、例えば、当該光源と上下方向の位置がほぼ同じでかつ左または右に他の光源があり、かつ、当該他の光源と当該光源の特徴量(例えば、形状と色)が所定の基準以上に類似していれば、当該光源を、他の車両の光源(ヘッドランプまたはテールランプ)であると判定する。そして、当該光源の色が赤色よりも白色に近い場合は、当該光源を対向車両の光源(ヘッドランプ)であると判定し、当該光源の色が白色よりも赤色に近い場合は、当該光源を先行車の光源(テールランプ)であると判定する。
また、各光源から自車両までの距離を特定する方法としては、下記の2つの特定方法1、2のいずれかを採用してもよいし、あるいは、両方を併用してもよい。
特定方法1:画像センサ12のカメラ部は、車両の異なる位置(具体的には、自車両の左右方向に離れた位置であり、かつ、自車両の前後方向位置は同じ)に設けられた2つのカメラを備え、それら2つのカメラで同時に撮影し、その結果得られた2つの撮影画像中の光源の位置のずれに基づいて、当該前後方向位置から当該光源までの距離を特定する。このようなステレオ画像撮影による被写体の距離特定方法は、周知の技術であり、例えば特開平7−306037号公報に記載されている。
特定方法2:撮影画像中で、1台の車両の光源として左右方向に並んだ2つの光源のペア(ヘッドランプまたはテールランプ)を特定する。左右方向に並んだ2つの光源が1台の車両の光源のペアであるか否かは、それら2つの光源の特徴量(例えば、形状と色)が所定の基準以上に類似しているか否かで判定する。そして、撮影画像中におけるそれらペア間の距離Aを特定し、この距離から、当該ペアの光源から自車両までの距離Bを特定する。距離Aと距離Bとの対応関係は、あらかじめ対応関係マップとして検出部に記録しておいたものを参照して決定する。対応関係マップにおいては、距離Aが大きくなるほど距離Bは小さくなるようになっている。この対応関係マップについては、車両のヘッドランプ間の距離およびテールランプ間の距離が一定であると仮定した上で、カメラの特性に応じた対応関係マップを作成する。このような特定方法2も周知であり、特開平6−276524号公報および特開昭62−121599号公報に記載されている。
なお、画像センサ12の検出部は、上述の特定方法2で説明した方法を用いて、撮影画像中で、1台の車両の光源として左右方向に並んだ2つの光源のペア(ヘッドランプまたはテールランプ)を特定し、どの光源のペアがどの車両の光源であるかを示す光源ペア情報を、カメラ情報に含める。
また、画像センサ12のカメラ部の撮影範囲内に光源がない場合、画像センサ部12の検出部は、他車両が存在しない旨のカメラ情報を、ECU16に出力する。
ヘッドランプ駆動部13は、ヘッドランプ11の点灯、消灯、照射方向、照射範囲等を制御するためのアクチュエータである。このヘッドランプ駆動部13は、ヘッドランプ11毎に、当該ヘッドランプ11の照射方向を車両の左右方向に変化させる(すなわち、スイブルさせる)ためのスイブルモータ等を有している。ヘッドランプ11照射方向を車両の上下方向に変化させるレベリングモータを有している。
車速センサ14は、車速に応じた車速パルス信号をECU16に出力する。ECU16は、この車速パルス信号に基づいて自車両の車速を特定することができる。舵角センサ15は、車両の舵角に応じた舵角信号をECU16に出力する。ECU16は、この舵角信号に基づいて自車両の舵角を特定することができる。
ECU16(車両用前照灯制御装置の一例に相当する)は、マイクロコンピュータ等を備えた電子制御装置であり、あらかじめECU16に記録されたプログラムを実行することで、ヘッドランプ11の光軸制御のための各種処理を実行する。
以下、このような車両前照灯制御システム1の、ヘッドランプ11の点灯時(例えば夜間、トンネル通過時)における作動について説明する。図2に、車両の走行中にECU16が繰り返し実行する処理のフローチャートを示す。
そしてECU16は、図2の処理を開始すると、まずステップ110で、画像センサ12からのカメラ情報に基づいて、自車両の前方に他車両を検出するまで待つ。画像センサ12から、光源が存在しない旨のカメラ情報を取得している間は、ECU16は、ステップ110で待機しながら、ヘッドランプ駆動部13に所定の指令を出力することで、各レベリングモータおよび各スイブルモータを制御して、各ヘッドランプ11の全体としての光軸が、自車両の正面を向くよう制御する。これにより、自車両の正面を中心とする所定の範囲がヘッドランプ11によって照らされる。
そして、画像センサ12のカメラ部の撮影範囲内に1台の他車両(ヘッドランプを点灯した対向車またはテールランプを点灯した先行車)が入ってくると、画像センサ12の検出部は、当該他車両の光源を検出し、当該光源の撮影画像中の位置座標、当該光源が先行車の光源か対向車両の光源かを示す先行車/対向車両情報、および、当該光源から自車両までの距離を、カメラ情報としてECU16に出力する。
ECU16は、ステップ110においてこのようなカメラ情報を取得すると、続いてステップ120に進み、先行車/対向車検出処理を行う。具体的には、取得したカメラ情報に基づいて、自車両の前方にある各車両が先行車であるか対向車であるかを検出する。具体的には、取得したカメラ情報に含まれる位置座標、ペア情報に基づいて、車両毎に、同じ車両に属する光源のペアを特定し、更に、先行車/対向車情報に基づいて、各車両の光源のペアが先行車の光源(テールランプ)か対向車の光源(ヘッドランプ)かを特定し、その特定結果に従って、各車両が先行車であるか対向車であるかを検出する。
続いてステップ130に進み、車両位置座標の検出を行う。具体的には、ステップ120と同様に、同じ車両に属する光源のペアを特定し、更に、各車両について、当該車両の光源のペアの位置座標の中心座標(例えば位置座標(X1,Y1)と位置座標(X2、Y2)の中心座標((X1+X2)/2,(Y1+Y2)/2)を、当該車両の位置座標として検出する。
続いてステップ140では、左右走行車線判断処理を行う。具体的には、現在自車両が走行している道路は、左側通行なのか右側通行なのかを判定する。通常、左側通行か右側通行かは、地域毎に決められている。例えば、日本なら通常は左側通行であり、フランスなら通常は右側通行である。
左右走行車線判断処理においては、具体的には、ステップ120で判定した各対向車両を対象として、ステップ130で検出した各対向車両の撮影画像中の位置座標に基づいて、撮影画像中の左右方向中央位置(自車両の正面方向に対応する)よりも右側に対向車両があるか左側に対向車両があるかを判定する。そして、左右方向中央位置よりも右側に対向車両があると判定した場合は、自車両は左側通行道路を走行していると判定し、左右方向中央位置よりも左側に対向車両があると判定した場合は、自車両は右側通行道路を走行していると判定する。
例えば、図3に示すように、自車両30に対して対向車31が右側にいる場合には、対向車31の位置座標は中央よりも右側になるので、自車両は左側通行であると判定し、図4に示すように、自車両30に対して対向車31が左側にいる場合には、対向車31の位置座標は中央よりも左側になるので、自車両は右側通行であると判定する。
ただし、ステップ140で左右走行車線判断処理を行わない場合もある。具体的には、ステップ130で対向車両を検出しなかった場合は、ステップ140では、左右走行車線判断処理を行わずに、ステップ150に進む。
また、自車両が直進走行中でない場合も、ステップ140では、左右走行車線判断処理を行わずに、ステップ150に進む。これは、自車両がカーブを走行している場合には、左側通行であっても対向車が自車両の正面よりも左側にいる可能性があり、右側通行であっても対向車が自車両の正面よりも右側にいる可能性があるので、左右走行車線判断処理が不正確になる可能性が高いからである。自車両が直進走行中であるか否かについては、舵角センサ15からの舵角信号に基づいて特定した舵角と、車速センサ14からの車速パルス信号に基づいて特定した車速とに基づいて、舵角がゼロとなっている(すなわち、自車両が直進している)状態を維持しながら自車両が基準移動距離(例えば200メートル)以上走行している場合に、自車両が直進走行中であると判定し、それ以外の場合に、自車両が直進走行中でないと判定する。
これらのように、ステップ140で左右走行車線判断処理を行わない場合は、過去に行った左右走行車線判断処理のうち、最後に行った左右走行車線判断処理の結果をそのまま維持する。車両前照灯制御システム1の作動開始後に一度も左右走行車線判断処理を行っていない場合は、自車両が左側通行の道路を走行しているか右側通行の道路を走行しているかについては、不定とする。
ステップ140に続いてはステップ150で、車線数判断処理を行う。車線数判断処理では、ステップ120で検出した先行車両および対向車両のいずれかまたは両方を対象車両として、ステップ130で検出した各対象車両の撮影画像中の位置座標に基づいて、自車両が走行している道路の車線数を推定する以下、車線数判断処理について詳細に説明する。
まず、対象車両とするのは、ステップ120で検出した他車両(先行車両でも対向車両でもよい)のうち、自車両から所定の距離にある車両である。所定の距離としては、例えば、自車両から100メートル離れた位置にある車両であってもよい。
他車両から自車両までの距離は、以下のようにして特定する。ステップ120と同様に、同じ他車両に属する光源のペアを特定し、更に、各他車両について、当該他車両の光源のペアの各々から自車両までの距離を、取得したカメラ情報に基づいて特定し、当該車両の光源のペアの各々から自車両までの距離の平均値を、当該他車両から自車両までの距離とする。この時点で、自車両から所定の距離にある他車両が存在しなければ、ステップ150では車線数判断処理を行わない。
自車両から所定の距離にある他車両が存在する場合、当該車両を対象車両として、撮影画像中の対象車両の位置座標(ステップ130で特定済み)に基づいて、自車両が現在走行している道路の車線数を判定する。
具体的には、図5に示すように、画像センサ20のカメラ部が撮影した撮影画像20の左右方向の位置範囲を、7つの範囲C、L1、L2、L3、R1、R2、R3に分け、その範囲のうちどこに対象車両の位置座標が属するかを特定し、その特定結果に従って、自車両が現在走行している道路の車線数を判定する。
なお、これら範囲C、L1、L2、L3、R1、R2、R3は、車両前照灯制御システム1の製造者があらかじめ設定して記憶媒体(例えばECU16のROM)に記録しておいたものを用いる。範囲C、L1、L2、L3、R1、R2、R3の設定方法としては、撮影画像20中で、自車両から上記所定の距離(例えば100メートル)だけ離れた位置に相当するライン21を想定し、そのライン21と、撮影画像に写る典型的な車線位置とを比較し、ライン21のうち、自車両の走行車線の位置に含まれる部分ラインの左端から右端までの範囲を、範囲Cとし、自車両の左隣の走行車線の位置に含まれる部分ラインの左端から右端までの範囲を、範囲L1とし、自車両の左隣の更に左隣の走行車線の位置に含まれる部分ラインの左端から右端までの範囲を、範囲L2とし、自車両の左隣の更に左隣の更に左隣の走行車線の位置に含まれる部分ラインの左端から右端までの範囲を、範囲L3とし、自車両の右隣の走行車線の位置に含まれる部分ラインの右端から右端までの範囲を、範囲R1とし、自車両の右隣の更に右隣の走行車線の位置に含まれる部分ラインの右端から右端までの範囲を、範囲R2とし、自車両の右隣の更に右隣の更に右隣の走行車線の位置に含まれる部分ラインの右端から右端までの範囲を、範囲R3とする。
そして、例えば、図6に例示するように、片側2車線の道路で、自車両30が2車線のうち左側車線におり、自車両30から上記所定の距離だけ離れた先行車両32が、2車線のうち右側車線に存在する場合を想定する。この場合、ECU16は、撮影画像30中の範囲R1中に対象車両があり、当該対象車両が先行車両であることに基づいて、道路が片側2車線の道路であると判定する。より具体的には、往路側33(自車両が走行している側)が片側2車線であり、復路側34(自車両が走行している側とは反対側)も片側2車線であり、合計4車線道路であると判定する。
なお、範囲R1中に先行車両がいる場合は、自車両の右側に往路側の車線が少なくとも1つある可能性が非常に高いが、更に右側や、自車両の左側にも往路側の車線がないとは限らない。しかしならが、本実施形態では、不必要に配光範囲を広げないという観点から、存在する可能性が非常に高い車線のみが存在すると判定するようになっている。また、往路側33のみならず復路側34(自車両が走行している側とは反対側)も片側2車線であると判定するのは、往路側も復路側も同じ車線数である可能性が非常に高いからである。
また、図7に例示するように、片側2車線の道路で、自車両30が2車線のうち右側車線におり、自車両30から上記所定の距離だけ離れた先行車両32が、2車線のうち左側車線に存在する場合を想定する。この場合、ECU16は、撮影画像30中の範囲L1中に対象車両があり、当該対象車両が先行車両であることに基づいて、道路が片側2車線の道路であると判定する。より具体的には、往路側33が片側2車線であり、復路側34も片側2車線であり、合計4車線道路であると判定する。
また、図8に例示するように、片側2車線の道路で、自車両30が2車線のうち左側車線におり、自車両30から上記所定の距離だけ離れた対向車両31が、復路側34の2車線のうち左側車線に存在する場合を想定する。この場合、ECU16は、撮影画像30中の範囲R2中に対象車両があり、当該対象車両が対向車両であることに基づいて、道路が片側2車線の道路であると判定する。より具体的には、往路側33が片側2車線であり、復路側34も片側2車線であり、合計4車線道路であると判定する。
なお、撮影画像30中の範囲R2中に対象車両があり、当該対象車両が対向車両である場合は、図9に例示するように、片側2車線の道路で、自車両30が2車線のうち右側車線におり、自車両30から上記所定の距離だけ離れた対向車両31が、復路側34の2車線のうち右側車線に存在する場合も該当する。この場合も、ECU16の判定条件としては図8の事例と同じなのだから、往路側33が片側2車線であり、復路側34も片側2車線であり、合計4車線道路であると判定する。
撮影画像中の範囲R2に対向車両があるということは、少なくとも、自車両が走行している車線と、対向車両が走行している車線と、それら2つの車線の間の車線の3つがあり、間の車線が往路側ならば、往路側が2車線であり、復路側も同様に2車線である確率が高い。また、間の車線が復路側ならば、復路側が2車線であり、往路側も同様に2車線である可能性が高い。結局のところ、撮影画像中の範囲R2対向車両があるときには、往路側33が片側2車線であり、復路側34も片側2車線であり、合計4車線道路である可能性が高い。
これと同様の観点から、図示しないが、ECU16は、撮影画像30中の範囲L2中に対象車両があり、当該対象車両が先行車両であることに基づいて、往路側が片側2車線であり、復路側も片側2車線であり、合計4車線道路であると判定する。
また、図3、図4に例示したように、片側1車線の道路で、自車両30が往路側の車線におり、自車両30から上記所定の距離だけ離れた対向車両32が、復路側の車線に存在する場合を想定する。この場合、ECU16は、撮影画像30中の範囲R1中に対象車両があり、当該対象車両が対向車両であることに基づいて、往路側が片側1車線であり、復路側も片側1車線であり、合計2車線道路であると判定する。
また、図示しないが、撮影画像30中の範囲R3中に対象車両があり、当該対象車両が対向車両であることに基づいて、往路側が片側3車線であり、復路側も片側3車線であり、合計6車線道路であると判定する。また、撮影画像30中の範囲L3中に対象車両があり、当該対象車両が対向車両であることに基づいて、往路側が片側3車線であり、復路側も片側3車線であり、合計6車線道路であると判定する。
このように、ECU16は、対象車両が存在する範囲(C、R1〜R3、L1〜L3)および対象車両が先行車か対向車かに応じて、自車両が走行している道路の車線数を推定する。
なお、上述のように、自車両から所定の距離に他車両が存在しない場合は、ステップ150の車線数判断処理を行わずにステップ160に進むが、それ以外でも、自車両が直進走行中でない場合も、ステップ150では、車線数判断処理を行わずに、ステップ160に進む。これは、自車両がカーブを走行している場合には、他車両の位置に基づいて車線数を判定する場合、不正確になる可能性が高いからである。また、対象車両が存在する範囲(C、R1〜R3、L1〜L3)および対象車両が先行車か対向車かの条件について、例示した条件以外の条件下(例えば、範囲Cに対象車両が存在する場合)では、ステップ150の車線数判断処理を行わずにステップ160に進むようになっていてもよい。
これらのように、ステップ150で車線数判断処理を行わない場合は、過去に行った車線数判断処理のうち、最後に行った車線数判断処理の結果をそのまま維持する。車両前照灯制御システム1の作動開始後に一度も車線数判断処理を行っていない場合は、自車両は片側1車線の道路を走行していると判定することで、後述するように、ヘッドランプ11の光軸の振れ幅を最小にする。
続いてステップ160では、ステップ140、150の処理結果に基づいて、ヘッドランプの照射方向を制御する。
ステップ140、150の説明において示した通り、ECU16は、自車両が走行している道路が右側通行か左側通行か、および、自車両が走行している道路の車線数を推定している。
ステップ160では、この推定結果に応じて、光軸の変動許容範囲を設定する。具体的には、自車両が左側通行の道路を走行していると推定している場合は、図10に示すように、ヘッドランプ11の光軸の変動許容範囲を調整する。なお、図中では右側ヘッドランプ11についてのみ記載しているが、左側ヘッドランプ11についても同じである。
具体的には、往路側1車線、復路側1車線の全2車線道路を走行していると推定している場合は、自車両30の正面方向40に対して角度θ1aだけ左側にずれた方向41aから、正面方向40に対して角度θ1bだけ右側にずれた方向41bまでの範囲のみを、変動許容範囲とする。
なお、角度θ1bは角度θ1aよりも大きい。このようにするのは、左側通行の道路を走行しているときには、右側には復路側の道路があるので、左側を右側と同じ範囲まで配光可能とすると、歩道の歩行者を照らして眩惑してしまう可能性が高くなるからである。
また、往路側2車線、復路側2車線の全4車線道路を走行していると推定している場合は、自車両30の正面方向40に対して角度θ2aだけ左側にずれた方向42aから、正面方向40に対して角度θ2b(同様に角度θ2aよりも大きい)だけ右側にずれた方向42bまでの範囲のみを、変動許容範囲とする。
なお、角度θ2aは、角度θ1aよりも大きい。このようにするのは、片側2車線道路の場合、片側2車線道路に比べて、自車両の左側に車線がある可能性が高く、その分、歩行者を眩惑してしまう可能性が低いからである。
また、角度θ2bは、角度θ1bよりも大きい。このようにするのは、片側1車線道路よりも、片側2車線道路の方が、対向車と自車両の横方向の乖離距離が大きいからである。つまり、自車両から同じ距離の対向車両に光軸を向ける場合、対向車と自車両の横方向の乖離距離が大きくなるほど、光軸を自車両の正面方向から傾けなければならない角度が大きくなるからである。このようにすることで、より近くまで対向車両を照らすことができる。
また、往路側3車線、復路側3車線の全6車線道路を走行していると推定している場合は、自車両30の正面方向40に対して角度θ3aだけ左側にずれた方向43aから、正面方向40に対して角度θ3b(同様に角度θ3aよりも大きい)だけ右側にずれた方向43bまでの範囲のみを、変動許容範囲とする。なお、角度θ3aは、角度θ2aよりも大きく、角度θ3bは、角度θ2bよりも大きい。
また、自車両が右側通行の道路を走行していると推定している場合は、図11に示すように、ヘッドランプ11の光軸の変動許容範囲を調整する。なお、図中では右側ヘッドランプ11についてのみ記載しているが、左側ヘッドランプ11についても同じである。
具体的には、往路側1車線、復路側1車線の全2車線道路を走行していると推定している場合は、自車両30の正面方向40に対して角度φ1aだけ左側にずれた方向51aから、正面方向40に対して角度φ1bだけ右側にずれた方向51bまでの範囲のみを、変動許容範囲とする。なお、左側通行道路の走行時とは逆に、角度φ1bは角度φ1aよりも小さい。
また、往路側2車線、復路側2車線の全4車線道路を走行していると推定している場合は、自車両30の正面方向40に対して角度φ2aだけ左側にずれた方向52aから、正面方向40に対して角度φ2b(同様に角度φ2aよりも小さい)だけ右側にずれた方向52bまでの範囲のみを、変動許容範囲とする。
なお、角度φ2bは、角度φ1bよりも大きい。このようにするのは、片側2車線道路の場合、片側2車線道路に比べて、自車両の右側に車線がある可能性が高く、その分、歩行者を眩惑してしまう可能性が低いからである。
また、角度φ2aは、角度φ1aよりも大きい。このようにするのは、片側1車線道路よりも、片側2車線道路の方が、対向車と自車両の横方向の乖離距離が大きいからである。このようにすることで、より近くまで対向車両を照らすことができる。
また、往路側3車線、復路側3車線の全6車線道路を走行していると推定している場合は、自車両30の正面方向40に対して角度φ3aだけ左側にずれた方向53aから、正面方向40に対して角度φ3b(同様に角度φ3aよりも小さい)だけ右側にずれた方向53bまでの範囲のみを、変動許容範囲とする。なお、角度φ3aは、角度φ2aよりも大きく、角度φ3bは、角度φ2bよりも大きい。
ステップ160では更に、変動許容範囲内で、各ヘッドランプ11の光軸を制御する。具体的には、ステップ120で検出した対向車両および先行車両のうち、最も自車両までの距離が短い他車両を目標車両とし、その目標車両に光軸を向けるよう、ヘッドランプ駆動部13を制御する。
ただし、当該目標車両とする対象の他車両は、上述のように決定した変動許容範囲内に入っている車両に限定する。なお、各車両が変動許容範囲内に入っているか否かは、撮影画像中の当該車両の位置座標に基づいて判定する。その判定の際、撮影画像中の位置座標とヘッドランプ11から見た方向との対応関係については、あらかじめ当該対応関係について定められて記憶媒体(例えばECU16のROM)に記録されている情報を参照する。
また、変動許容範囲内に他車両を検出していない場合は、正面方向40に各ヘッドランプ11の光軸を向けるよう、ヘッドランプ駆動部13の光軸を制御する。ステップ160の後、処理はステップ110に戻る。以上のような図2の処理を繰り返す。
以下、このような図2の処理の繰り返しによる車両前照灯制御システム1の作動の一事例について説明する。例えば、夜間に自車両がヘッドランプ11を点灯して左側通行の直進道路を走行中、1台の対向車両が自車両に接近し、当該対向車両の光源が撮影画像内で検出されたとする。この時点で、当該対向車両から自車両までの距離は、上述の所定距離より長いとする。このとき、ECU16は、カメラ情報に基づいて、ステップ110、120を経てステップ130で当該対向車両の位置座標を検出し、ステップ140では、対向車両が撮影画像中の中央よりも右側にいるので、左側通行道路を走行中であると判定する。
そしてステップ150では、当該対向車両が自車両から所定距離の位置にいないので、車線数判断処理は行わず、最後の車線数判断処理の結果を維持する。本例では、最後の車線数判断処理の結果は、往路側1車線、復路側1車線の全2車線道路を走行しているという結果であるとする。
すると、ECUは、ステップ160で、往路側1車線、復路側1車線の全2車線道路に対応する変動許容範囲内に当該対向車両が位置することに基づいて、当該対向車両に各ヘッドランプ11の光軸を向けるよう、ヘッドランプ駆動部13を制御する。
その後、当該対向車両が自車両に近づくにつれて、このようなステップ110〜160の処理が繰り返され、当該対向車両の方向に追従してヘッドランプ11の光軸が変化する。そして、当該対向車両から自車両までの距離が、上記の所定距離となった時点では、ステップ11〜140に続くステップ150で、車線数判断処理を行い、既に説明した通り、当該対向車両の撮影画像中の位置に応じて、自車両が走行している道路の車線数を推定する。
そしてステップ160では、その推定結果に応じて、変動許容範囲を再設定し、再設定後の変動許容範囲内に対向車両が位置するか否かを判定する。
本例では、変動許容範囲の再設定直前まで、往路側1車線、復路側1車線の全2車線道路を走行しているという推定を維持していたので、変動許容範囲は最も小さかった。したがって、変動許容範囲が再設定されても、その範囲は変化しないかまたは増大するだけなので、再設定後の変動許容範囲内に当該対向車両が位置する。
したがって、ECU16は、続くステップ160で、再設定後の変動許容範囲内に対向車両が位置すると判定し、その対向車両を目標車両として、ヘッドランプ11の光軸を当該目標車両に向けるよう、ヘッドランプ駆動部13を制御する。
その後、当該対向車両が自車両に更に近づくにつれて、このようなステップ110〜160の処理が繰り返され、当該対向車両の方向に追従してヘッドランプ11の光軸が変化する。その間、当該対向車両から自車両までの距離は、上記所定距離よりも短いので、車線数の推定結果および変動許容範囲は、当該対向車両から自車両までの距離が上記所定距離であった時点のものを維持する。
そして、当該対向車両が、変動許容範囲内から外れた時点で、ECU16は、ステップ110〜150に続くステップ160で、変動許容範囲内に他車両を検出していないと判定し、自車両の正面方向40に各ヘッドランプ11の光軸を向けるよう、ヘッドランプ駆動部13の光軸を制御する。
また例えば、夜間に自車両がヘッドランプ11を点灯して左側通行の直進道路を走行中、自車両が1台の先行車両(自車両の左隣の車線にいる)に接近し、当該先行車両の光源が撮影画像内で検出されたとする。この時点で、当該先行車両から自車両までの距離は、上述の所定距離より長いとする。このとき、ECU16は、カメラ情報に基づいて、ステップ110、120を経てステップ130で当該対向車両の位置座標を検出し、ステップ140では、対向車両がいないので、最後に行った左右走行車線判断処理を維持する。
そしてステップ150では、当該対向車両が自車両から所定距離の位置にいないので、車線数判断処理は行わず、最後の車線数判断処理の結果を維持する。本例では、最後の車線数判断処理の結果は、往路側1車線、復路側1車線の全2車線道路を走行しているという結果であるとする。
すると、ECUは、ステップ160で、往路側1車線、復路側1車線の全2車線道路に対応する変動許容範囲内に当該先行車両が位置することに基づいて、当該先行車両に各ヘッドランプ11の光軸を向けるよう、ヘッドランプ駆動部13を制御する。
その後、当該先行車両が自車両に近づくにつれて、このようなステップ110〜160の処理が繰り返され、当該先行車両の方向に追従してヘッドランプ11の光軸が変化する。そして、当該先行車両から自車両までの距離が、上記の所定距離となった時点では、ステップ11〜140に続くステップ150で、車線数判断処理を行い、既に説明した通り、当該先行車両の撮影画像中の位置に応じて、自車両が走行している道路の車線数を推定する。本事例では、当該先行車両が自車両の左隣の車線にいるので、範囲L1に車両位置座標があることに基づいて、往路側2車線、復路側2車線の全4車線道路を走行していると判定する。
そしてステップ160では、その推定結果に応じて、変動許容範囲を再設定し、再設定後の変動許容範囲内に先行車両が位置するか否かを判定する。
本例では、変動許容範囲の再設定直前まで、往路側1車線、復路側1車線の全2車線道路を走行しているという推定を維持していたので、変動許容範囲は最も小さかった。したがって、変動許容範囲が再設定されても、その範囲は変化しないかまたは増大するだけなので、再設定後の変動許容範囲内に当該先行車両が位置する。
したがって、ECU16は、続くステップ160で、再設定後の変動許容範囲内に先行車両が位置すると判定し、その先行車両を目標車両として、ヘッドランプ11の光軸を当該目標車両に向けるよう、ヘッドランプ駆動部13を制御する。
その後、当該先行車両が自車両に更に近づくにつれて、このようなステップ110〜160の処理が繰り返され、当該先行車両の方向に追従してヘッドランプ11の光軸が変化する。その間、当該先行車両から自車両までの距離は、上記所定距離よりも短いので、車線数の推定結果および変動許容範囲は、当該先行車両から自車両までの距離が上記所定距離であった時点のものを維持する。
そして、当該施工車両が、変動許容範囲内から外れた時点で、ECU16は、ステップ110〜150に続くステップ160で、変動許容範囲内に他車両を検出していないと判定し、自車両の正面方向40に各ヘッドランプ11の光軸を向けるよう、ヘッドランプ駆動部13の光軸を制御する。
また、車両が走行しながら、左側通行道路から右側通行道路に乗り移る事例について説明する。このような事例は、例えば、英仏海峡トンネルを通ってドーバー海峡を渡ることでイギリスからフランスに移動するときに起こる。
このような事例では、自車両は、まず左側通行道路にいる。そして、自車両がヘッドランプ11を点灯して左側通行の直進道路を走行中、1台の対向車両が自車両に接近し、当該対向車両の光源が撮影画像内で検出されたとする。このとき、ECU16は、カメラ情報に基づいて、ステップ110、120を経てステップ130で当該対向車両の位置座標を検出し、ステップ140では、対向車両が撮影画像中の中央よりも右側にいるので、左側通行道路を走行中であると判定する。
その後、自車両が左側通行道路を走行している間は、直進道路で対向車両を検出している限り、上述の通りステップ140で左側通行道路を走行中であると判定する。また、直進道路を走行していない場合でも、対向車両を検出していない場合でも、最後の左右走行車線判断処理の結果が維持されるので、左側通行道路を走行しているという判定は維持される。そして、左側通行道路を走行しているという判定は維持されている間は、車線数の推定に応じて、図10に示すような、左側よりも右側が広い変動許容範囲を採用し続ける。
さらにその後、自車両が右側通行道路に入ったとする。その後、直進道路かつ右側通行道路を走行している間は、1台の対向車両が自車両に接近し、当該対向車両の光源が撮影画像内で検出されたとする。このとき、ECU16は、カメラ情報に基づいて、ステップ110、120を経てステップ130で当該対向車両の位置座標を検出し、ステップ140では、対向車両が撮影画像中の中央よりも左側にいるので、右側通行道路を走行中であると判定する。
その後、自車両が右側通行道路を走行している間は、直進道路で対向車両を検出している限り、上述の通りステップ140で右側通行道路を走行中であると判定する。また、直進道路を走行していない場合でも、対向車両を検出していない場合でも、最後の左右走行車線判断処理の結果が維持されるので、左側通行道路を走行しているという判定は維持される。そして、左側通行道路を走行しているという判定は維持されている間は、車線数の推定に応じて、図10に示すような、左側よりも右側が広い変動許容範囲を採用し続ける。
以上説明した通り、本実施形態の車両前照灯制御システム1は、自車両の前方の撮影画像に写された他車両の光源が先行車の光源であるか対向車の光源であるかを検出し(ステップ120)、撮影画像に写された他車両の光源の、撮影画像中の位置座標を取得し、取得した光源の位置座標に基づいて、撮影画像中の他車両の位置座標を検出し(ステップ130)、他車両の光源が対向車の光源であるとされた場合、検出した他車両の位置座標に基づいて、他車両の位置座標が撮影画像中の自車両の正面方向よりも右側にある場合は、自車両は左側通行道路を走行していると推定し、他車両の位置座標が撮影画像中の自車両の正面方向よりも左側にある場合は、自車両は右側通行道路を走行していると推定する(ステップ140)。
そして、左側通行道路を走行していると推定した場合、ヘッドランプ11の光軸の左右方向の変動許容範囲として、車両の正面方向よりも左側の変動許容範囲に対し、自車両の正面方向よりも右側の変動許容範囲の方が大きくなるように設定し、右側通行道路を走行していると推定した場合、ヘッドランプ11の光軸の左右方向の変動許容範囲として、自車両の正面方向よりも右側の変動許容範囲に対し、車両の正面方向よりも左側の変動許容範囲の方が大きくなるように設定する(160)。
このように、光源の位置座標に基づいて他車両の位置座標を特定し、特定した位置座標が自車両正面方向よりも右か左かで、走行している道路が左側通行道路か右側通行道路かを推定することができる。また、左側通行道路を走行している場合は、車両の正面方向よりも右側(すなわち対向車のいる側)の変動許容範囲が左側よりも大きくなるように設定し、右側通行道路を走行している場合は、車両の正面方向よりも左側(すなわち対向車のいる側)の変動許容範囲が左側よりも大きくなるように設定することで、左側通行道路、右側通行道路の違いに応じた光軸制御が可能となる。
また、車両前照灯制御システム1は、自車両が直進走行中でない場合、自車両が左側通行道路を走行しているか右側通行道路を走行しているか推定せず、前回の推定結果を維持するようになっている。このようにすることで、左側通行道路か右側通行道路かを、より正確に推定することができる。
また、車両前照灯制御システム1は、他車両の光源が対向車の光源であるとされたか先行車の光源であるとされたかに基づき、かつ、他車両の位置座標に基づき、車両が走行している道路の車線数を推定し(ステップ150)、推定された車線数が多いほど、車両のヘッドランプ11の光軸の左右方向の変動許容範囲を広くする(ステップ160、図11参照)。
このように、他車両が先行車であるか対向車であるか、および、他車両の位置座標を特定し、特定結果に応じて、車両が走行している道路の車線数を推定することができる。また、車線数が多いほど、車両のヘッドランプ(11)の光軸の左右方向の変動許容範囲を広くすることで、車線数の違いに応じた光軸制御が可能となる。
例えば、上述の通り、他車両の光源が先行車の光源であるとされた場合、他車両の位置座標が、車両のいる車線の隣の車線の位置(範囲R1内の位置または範囲L1内の位置)に該当することに基づいて、車両は片側2車線の道路(往路側2車線、復路側2車線の道路)を走行していると判定する。
また例えば、上述の通り、他車両の光源が対向車の光源であるとされた場合、他車両の位置座標が、車両のいる車線の隣の更に隣の車線の位置(範囲R2内の位置または範囲L2内の位置)に該当することに基づいて、車両は片側2車線の道路(往路側2車線、復路側2車線の道路)を走行していると判定する。
また、車両前照灯制御システム1は、自車両が直進走行中でない場合、自車両が走行している道路の車線数を推定せず、前回の推定結果を維持するようになっている。このようにすることで、左側通行道路か右側通行道路かを、より正確に推定することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。例えば、以下のような形態も許容される。
(1)上記実施形態では、ECU16は、他車両の撮影画像中の位置がどの範囲に入るかに基づいて、自車両が走行する道路の車線数を推定し、その推定結果に応じて、変動許容範囲を設定している。しかし、変動許容範囲の設定は、必ずしも道路の走行車線数の推定を介して行うようになっていなくてもよい。
例えば、図2のステップ150では、左右走行車線判断処理において、7つの範囲C、L1、L2、L3、R1、R2、R3のうちどこに対象車両の位置座標が属するかを特定するだけで、自車両が走行する道路の車線数を推定しなくてもよい。その場合ステップ160で変動許容範囲を設定する場合は、ステップ150における範囲の特定結果を利用して、以下のように変動許容範囲を設定してもよい。
まず、範囲R1に対象車両の位置座標が属する場合は、図10に示した方向41aから方向41bまでの範囲のみを変動許容範囲に設定する。また、範囲R2に対象車両の位置座標が属する場合は、図10に示した方向41aから方向42bまでの範囲のみを変動許容範囲に設定する。また、範囲R3に対象車両の位置座標が属する場合は、図10に示した方向41aから方向43bまでの範囲のみを変動許容範囲に設定する。
また、範囲L1に対象車両の位置座標が属する場合は、図11に示した方向51aから方向51bまでの範囲のみを変動許容範囲に設定する。また、範囲L2に対象車両の位置座標が属する場合は、図11に示した方向52aから方向51bまでの範囲のみを変動許容範囲に設定する。また、範囲L3に対象車両の位置座標が属する場合は、図11に示した方向53aから方向51bまでの範囲のみを変動許容範囲に設定する。
また、範囲Cに対象車両の位置座標が属する場合は、最後に設定した変動許容範囲をそのまま維持する。
なお、この場合、対象車両が先行車両であっても対象車両であっても、変動許容範囲は同じである。
このように、車両用前照灯制御システム1においては、撮影画像に写された他車両の光源の、撮影画像中の位置座標を取得し、取得した前記光源の位置座標に基づいて、撮影画像中の他車両の位置座標を検出し(ステップ130)、検出した他車両の位置座標が、自車両の正面方向に対応する位置から遠いほど、ヘッドランプ11の光軸の左右方向の変動許容範囲を広く設定するようになっていてもよい。
このように、他車両が先行車であるか対向車であるか、および、他車両の位置座標を特定し、特定結果に応じて、車両の正面方向に対応する位置から遠いほど、車両のヘッドランプ11の光軸の左右方向の変動許容範囲を広く設定することで、他車両の位置に応じた適切な光軸制御が可能となる。
(2)また、上記の実施形態において、他車両に光軸を向けたときに、他車両のドライバの眩惑を抑えるため、当該他車両に照射される光量を抑えるようになっていてもよい。そのために、ヘッドランプ駆動部11は、シャッターの開閉を制御するようになっており、このシャッターは、閉じたときにのみ、各ヘッドランプから出る光の一部を遮るようになっており、他車両に光軸を向けたときにのみ、このシャッターを閉じることで、当該他車両に照射される光を遮るようになっていればよい。
(3)また、上記実施形態では、自車両が左側通行道路を走行していると推定した場合、光軸の左右方向の変動許容範囲として、車両の正面方向よりも左側の変動許容範囲に対し、車両の正面方向よりも右側の変動許容範囲の方が大きくなるように設定し、自車両が右側通行道路を走行していると推定した場合、光軸の左右方向の変動許容範囲として、車両の正面方向よりも右側の変動許容範囲に対し、車両の正面方向よりも左側の変動許容範囲の方が大きくなるように設定している。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよく、自車両が左側通行道路を走行していると推定した場合と、自車両が右側通行道路を走行していると推定した場合とで、光軸の変動許容範囲を異ならせるようになっていればよい。
例えば、自車両のヘッドランプ11の光軸左右方向の変動許容範囲のうち、正面よりも対向車線側の光軸の変動許容範囲に関しては、できるだけ近くの歩行者を見つけるため対向車すれ違い時まで追従できるように変動許容範囲を大きくするようになっていてもよいが、別の考え方として、動作の煩わしさを勘案して、頻繁にすれ違う対向車線側は変動幅を小さくするようになっていてもよい。
後者の場合、自車両が左側通行道路を走行していると推定した場合、光軸の左右方向の変動許容範囲として、車両の正面方向よりも左側の変動許容範囲に対し、車両の正面方向よりも右側の変動許容範囲の方が小さくなるように設定し、自車両が右側通行道路を走行していると推定した場合、光軸の左右方向の変動許容範囲として、車両の正面方向よりも右側の変動許容範囲に対し、車両の正面方向よりも左側の変動許容範囲の方が小さくなるように設定することになる。
(4)また、上記実施形態では、自車両が走行している道路の車線数が多いほど、光軸の左右方向の変動許容範囲を広くするようになっているが、必ずしもこのようになっておらずともよく、自車両が走行している道路の車線数に応じて、光軸の左右方向の変動許容範囲が変化するようになっていればよい。
(5)また、上記実施形態では、他車両の位置座標が、自車両の正面方向に対応する位置から遠いほど、光軸の左右方向の変動許容範囲を広く設定するようになっているが、必ずしもこのようになっておらずともよく、他車両の位置座標の変化に応じて光軸の左右方向の変動許容範囲を変動させるようになっていればよい。