以下、本発明の実施の形態を図1(A)に基づいて説明する。図1(A)においては、第1の部材1は第1中足骨41を触知可能な足裏部位が当接する可動部材で、第1中足骨41の頭部41bを触知可能な足裏部位が内側の縦アーチの前脚端部として主に当接している。第2の部材2は踵骨51を触知可能な踵部が当接する固定部材である。第1の部材1と第2の部材2を移動可能にする移動機構3は、ボール盤バイス等を採用しても良い。ボール盤バイスの可動金口3aは第1の部材1と連結してある。第2の部材2と移動機構3は基盤4の上にあって動かないように固定してある。ハンドルバー3bを回転させるにより、第1の部材1は第2の部材2と相対的に近接、隔離が自在にできる。これにより、図1(A)においては内側の縦アーチを再生できる。
図1(A)は、第1の部材1と第2の部材2は谷型の勾配をつけて組み立ててあるが、第1の部材1および第2の部材2が当接する第1〜第5中足骨の接点や踵骨を触知可能な踵部の接点と十分な摩擦が生じるようなラテックスやゴム等の素材であれば、部材1と2は水平でもよいし、勾配をつけてもよい。
第1の部材1と第2の部材2を水平に設置した場合の利点は、初めての利用者でも安心して第1の部材1と第2の部材2に足をのせることができるという点である。しかし、水平に設置された第1の部材1と第1中足骨頭部の接点は41aであり、第2の部材と踵骨を触知可能な踵部の接点は51aである。足が両部材から受ける力は、垂直方向の抗力だけである。そして、第1の部材1と第2の部材2を近接させる操作をおこない第1中足骨41を触知可能な足裏部位と踵骨51を触知可能な踵部の距離を近づけると、両部材と各骨の間にある柔らかくて伸縮や変形を許容する皮膚や皮下脂肪層は水平方向に引っ張られて断力を受けることになる。第1の部材1および第2の部材2と第1中足骨の接点および踵骨を触知可能な踵部の接点の摩擦力が、両部材と各骨の間にある分厚くて柔らかい皮膚や皮下脂肪層に剪断力を与えながらも、第1中足骨の接点と踵骨を触知可能な踵部の接点が近づいた分、縦アーチの頂点近傍の高位を上昇させるたわみ力となり、縦アーチの再生という結果になるのである。したがって、第1、第2の部材1、2を水平位にて行った場合、利用者によっては足裏の皮膚に不快感や痛みを感じられるという不利益が生じることも配慮しなければならない。
それに対して、第1の部材1と第2の部材2を図1(A)のように谷型の勾配をつけて組み立て、足をのせると、図1(A)のように、第1中足骨と第1基節骨52の関節部で足の指が足の甲側に背屈するかたちになる。たとえば、θ1、θ2を30度程にして勾配をつけて組み立てると、第1の部材と第1中足骨41を触知可能な足裏部位の接点は、水平設定時の第1中足骨の頭部の真下部分41aから脂肪組織が薄い第1中足骨41の頭部軸芯近傍41bに変わる。第2〜第5中足骨頭部の接点も同様に、真下部分aから頭部軸芯近傍bに変わる。僅かな接触角度の変化のように見えるが、これは大きな違いをうむ。踵骨を触知可能な踵部の接点も脂肪層の多い真下51aから脂肪組織が薄い踵骨を触知可能な踵部の後下方51bに変わる。この状態で第1の部材1と第2の部材2を近接させると、前も後ろも柔らかい組織の剪断力が軽減するので、利用者の苦痛等は軽減する。さらに、図1(B)の拡大図が示すように、勾配を持つ第1の部材1と第2の部材2からの抗力として縦アーチの両端部の接点41bを触知可能な足裏部位、51bを触知可能な踵位には、縦のアーチの頂点近傍へ向かう上向性のベクトルと、両接点が近接しあう求心性のベクトルが同時発生するので、内側と外側の縦アーチの再生は容易になる。つまり、水平に組んだ時よりも、利用者の苦痛等が減り、内側と外側の縦アーチの再生は効率的になる。このとき、足の甲の高さや荷重の変動は関係ない。
本発明の使用法について述べる。使用者は、アーチが扁平化している患足を第1の部材と第2の部材にのせる。もう一方の足は、患足とほぼ同じ高さの台にのせ、立ってもらい足に荷重がかかる状態で操作する。操作者は、移動機構3のハンドルバー3bを回して、第1の部材と第2の部材を近づける。移動機構3があることで操作者も利用者も安心して目的を達成することができる。それは、操作者は、足の縦アーチの前端部と後端部を近接させる操作をハンドルバー3bでするのであるが、アーチが再生されている過程を目や手で客観的に、しかも冷静にリアルタイムで確認しながら操作の加減できるからである。移動機構3のハンドルバー3bを回す量は、まず、使用者が痛くない範囲で行うということが最優先である。次は、第1の部材と第2の部材は少し近づくだけでもアーチを構成する関節の関節液は相応に浸透するので、縦アーチが再生されている様子はアーチ外周のせり上がりからその作用を見て取ることができる。アーチ外周のせり上がりが確認できたら、その場で膝と足首の屈伸を10回ほど行ってもらう。屈伸運動により足根間関節のつながりをさらになじませ、関節液を浸透をはかることができる。屈伸ができたら、ハンドルバーを逆方向に回して第1、第2の部材を隔離する。そして、本健康具から降りてもらい、その場で足踏みや屈伸をしたり、周辺を歩いてもらい、足の変化とその効果を確認してもらう。
本健康具にのる前に、患足に特許登録第4374424号の帯状部10を装着してもらい、横アーチを補強再生した状態で本健康具による縦アーチ再生の操作をうけると、足の3つのアーチを一括して安定的に維持再生することができるのでさらによい。
図1(B)および図1(C)をもとに、扁平化したアーチの骨組みが本発明によりどこがどのように変化するのかを注目していただきたいので、図から第1基節骨53、末節骨54、および移動機構3は省略した。第二中足骨から第五中足骨、および各基節骨から末節骨も以下の説明と同様の変化が起こるので図から省略した。図1(B)は、扁平化した内側の縦アーチの図である。第1の部材1が第1中足骨41の頭部軸芯近傍41bを触知可能な足裏部に当接し、踵骨の後下方51bを触知可能な踵部が第2の部材2に当接している。この時、縦アーチの内周側の骨と骨の間には隙間Aがいくつかある。
図1(C)は移動機構3により両部材が近接したときの図である。移動機構3により両部材が近接すると、41bを触知可能な足裏部位と51bを触知可能な踵部の距離は短くなるともに、縦アーチの内周側の骨と骨の間にあった隙間A‘は、隙間Aより狭小化され、内側の縦アーチの頂点近傍にある距骨52や舟状骨49の高位は上昇する。こうして縦アーチは再生するのであるが、本発明がこの作用をなすだけであれば、本健康具から降りればすぐに扁平した足に戻ってしまう。けれども本発明の目的は、足の内側、および外側の縦アーチを安定的に維持再生することであるので、本健康具から降りてもすぐに骨と骨の間の隙間が広がらないで安定的に効果が持続する理由を以下に述べる。
足や靴の医学業界では、足のアーチ(土踏まず)は、足の裏にある足底の筋群や靱帯が担っているとされている。そのため、従来は扁平化した足底の筋群を強化する運動や足底の筋群を補う装着具が開発されてきた。出願者も足底の筋群や靱帯が足のアーチの担い手であることは否定しないが、それらは主役ではなく、二番手、もしくは三番手であると考える。仮に足底の筋群や靱帯が足のアーチの主役だとすれば、ヒトよりもはるかに足の趾(指)を巧みに使い、木の幹を掴んで登ったり、逆さまにぶら下がったり、素早く木々の間を移動する樹上生活者、サルの足にこそ足底の筋群や靱帯によるアーチや土踏まずがあっても不思議はない。しかし、図4(b)に示したようにサルの足には土踏まずは存在しない。サルの足の裏には強力な足底筋群と、その活動をサポートするための強力な靱帯が発達しているはずだから、土踏まず形成の要は足底の筋群や靱帯ではなかったという当方の考えは簡単に否定されるものではない。
土踏まず形成の要は足裏の筋群や靱帯などの軟組織ではないとすると、残るは硬組織、もしくは結合組織となる。直立二足歩行をするヒトの足裏に非接地部分が必要であったのであれば、骨盤を構成する寛骨のような大きな弓なりの板状の骨を一枚足に備えれば十分であった。しかし、図4(b)にあるように、ヒトの足は土踏まず(3つのアーチ)を、踵から第1〜第5中足骨までの12個もの骨で形成した。1枚の骨ではなく、あえて12個の骨に分割して増やしたものは12個の骨の総接合面積、つまり関節面積と考える以外ない。12個の骨の網目状の関節ネットワークを「足根間関節」という。図4(b)の太線が「足根間関節」である。出願者はドイツ製の全身骨格骨モデルの足の部分(約25cmサイズの足)を分解して足根間関節の関節面1つひとつの拓本をとり、その総面積を計測したところ、片足で120cm2もあった。その広大な面積を潤すに足る量の関節液、やや粘性を持った流体が、足根間関節の関節包の内部に貯留されているのである。12個の骨からなる広大な面積を流体で繋げるためには、流体がもつ表面張力という原理によるしかないと出願者は考えた。
図1(B)では、縦アーチの内周側の骨と骨の間には隙間があるので、関節液は隙間の尖部、縦アーチの外周側に偏在してしまい足根間関節の関節面全体に浸透しえない。この状態では関節間の表面張力は作動しにくい。つまり、12個の骨の締結力は弱くなる。そこで本発明の移動機構3により第1、第2の両部材を近接させると、図1(C)のように、41bと51bの距離は短くなるとともに、縦アーチの内周側の骨と骨の間にあった隙間は狭小化され、内側の縦アーチの頂点近傍にある距骨52や舟状骨49の高位は上昇する。こうして内側の縦アーチは再生するのであるが、このとき、足根間関節の面と面の隙間は、楔状から平行状態に変化する。移動機構3により両部材を近接させると、41bと51bの距離は短くなり、隙間の尖部、縦アーチの外周側に偏在していた関節液が隙間の狭小化、そして平行化にともなって縦アーチの内周側に移動する。つまり、関節液が足根間関節の隅々にまで浸透するようになる。この実施例1により、12個の骨からなるヒトの足の上踏まず(3つのアーチ)は、足根間関節の隅々に浸透した関節液の表面張力によって強く締結される、ことを出願者は確認した。足底の筋群や靱帯は、その二番手、もしくは三番手であると考える。なぜなら、本健康具にのり、所定の操作をすれば、その場で足の変化と効果を利用者に確認してもらうことができるからである。そして、その効果は一定期間持続することを出願者は臨床試験的に確認しているし、次の緩衝原理からも裏付けることができる。
もし本当に足底の筋繊維や靱帯性の繊維が一歩一歩足からはいる振動や衝撃を緩衝、吸収しているとしたら、毎日、長い距離を走るマラソンランナーの足の裏の筋群や靱帯の繊維は伸びきっていることになる。ベテランほど足の裏をアスファルトに叩きつけているのだから、足の裏の筋群や靱帯の繊維は伸びきってしまい、足の土踏まず(アーチ)も喪失していることになる。けれども、そのような事実はない。むしろ、毎日歩いていない人、走ったりしない人の足の裏の方が、筋肉は硬く繊維化したり、扁平化している。
歩行時や走行時は、振動や衝撃を含む地面反力が足から入る。健全なアーチを持つ人の足では足の前と後の端部、第1〜第5中足骨頭部とを触知可能な踵部から、縦アーチの頂点にある距骨52に向かって勾配を直進的にのぼるのであるが、その振動や衝撃は、足根間関節の関節面に貯められた関節液により減衰されていると考えられる。縦方向のぼってきた振動や衝撃を、足根間関節に貯留している関節液が横方向の運動エネルギーに変換する。つまり、足根間関節の関節面に沿って足の裏や甲の方向に地面反力を逃がす油圧性の緩衝機構によって振動や衝撃の極めて少ない力に減らして下腿、膝、腰を守っている、と考えるのである。
アーチ式石橋を代表例として、図5(a)(b)(c)をもとにアーチの特性を示す。アーチ式石橋は1つ以上のくさび形の石を有する石列であり、荷重Gがかかることでおのずと外側に広がろうとするスラスト力Sが生じる。アーチの両脚部に止めがない場合、あるいはあっても弱い場合はアーチは必然的に扁平化する。それを修復する場合、アーチの両脚部にはスラスト力Sと拮抗するアーチ反力arc.に力αを追加する必要がある。(b)のarc+αがそれである。arc+αによって(b)から(c)の状態に復元することができる。(c)では、アーチの両脚部はスラスト力Sとアーチ反力arc.は拮抗してアーチ形状を保つ。実際の石橋では丈夫な両岸がアーチ反力arc.の役割を果たす。この時、(b)の内周側にある石と石の隙間はなくなる。
アーチ式石橋の構築を構築する際の三要素は、▲1▼ひとつ以上のくさび形の石があること。▲2▼アーチ両脚が開かないように受け止める丈夫な両岸。▲3▼上からの荷重。以上の3要素である。▲3▼の「上からの荷重」というのは石材の総重量と捉えても良い。だから石材も軽い石材よりも密度の高い石材の方が隣り合う石と石の締結力が増すので、上からの力だけでなく、横からの力にも強い構造体となる。以上3つの要素が揃っている時、アーチ式石橋は上からの荷重に非常に強い中空の空間を保つ構造体となる。実質的には、弓状にならべた石材や両岸の岩盤が破裂する荷重がかかるまで、アーチ式石橋の構造はそのアーチ下の中空の空間を守り続けることができる。ローマの水道橋などは4000年以上にわたりアーチ下の中空の空間を保ち続けている。このように、アーチ式石橋は上からの荷重には非常に強い。しかしその反対に、下からの突き上げ力や上からの引き抜き力には非常にもろい。実質的に、アーチの石列に沿う形のかまぼこ形の凸の組み物をアーチの石列の下入れ、石材総量プラスアルファ程度の力でジャッキアップするだけでアーチ式石橋は壊れる。実際に土木工学では、「支保工」というかまぼこ形の組み物をアーチの石列の下入れ、できた隙間にロープを入れ、クレーンで積み石を1つずつ引き上げて解体作業をしている。
足に荷重がかかるとアーチができる根拠となる文献をもとに述べる。文献「構造医学 解析I」吉田勧持著 エンタープライズ社刊 頁40〜4241頁の図29▲1▼乃至▲3▼には、接地しているところがラセン形だと、荷重をかけると接地点が自動的に支点になって外側に広がらない力が生じるということが描かれている。もし、アーチ両端で接地する骨のかたちがラセン形であり、しかも、それが向かい合っているとすれば、足に荷重がかかると各アーチの両端の骨、つまり第1〜第5中足骨の頭部や踵骨にアーチが外側に広がるのを抑える「アーチ反力」が自動的に出現することになる。つまり、ヒトの足は、アーチの両脚間の軟組織の力ではなく、アーチをなす両脚端の骨そのものにアーチ反力が発生する仕掛けが内在していたと説明ができる。
先に述べたアーチ式石橋を構築する三要素を、ヒトの足は備えている。▲1▼3つのアーチは、各々1つ以上のくさび形の骨がある。▲2▼各アーチの両端の骨は、アーチ両脚が開かないように「ラセン形状」をなしている。▲3▼立位や歩行時は、身体のどこよりも荷重を受けている。足のアーチを形成する要は、広大な足根間関節に内在する関節液による表面張力である。足の衝撃緩衝作用は、広大な足根間関節に内在する関節液による油圧緩衝機構である。足や靴の医学業界では、足のアーチ(土踏まず)を形成する要は、足の裏にある足底の筋群や靱帯であるとしている。また、足の緩衝作用も足の裏にある足底の筋群や靱帯であるとしている。しかし、現実的には、筋群や靱帯の軟かい組織には、体重や歩行時の衝撃に対する耐久性は無いと考える。体重や歩行時の衝撃に対する耐久性は、骨などの硬い組織や水等の非圧縮性の流体にこそあり得ると考える。
図2(A)乃至図2(B)をもとに本発明の第2の実施の形態を説明する。図2(A)は上面図を示し、図2(B)は斜面図を示す。第1の部材1は第1〜第5中足骨のうち少なくとも1つの中足骨を触知可能な足裏部位が当接し、第2の部材2は踵骨を触知可能な踵部が当接する。移動機構3は前記第1の部材1と第2の部材2とを相対的移動を可能とする。4は、第2の部材2と移動機構3を搭載固定する土台である。前記第1の部材1には、第1〜第5中足骨のうち少なくとも1つの中足骨を触知可能な足裏部位を受け止めて圧力を分散させる部材15を設けてある。15aは第1〜第5中足骨のうち少なくとも1つの中足骨を触知可能な足裏部位を受け止めるためのストッパー、15bは受け止めた圧力を分散させる緩衝材を設ける。前記第2の部材2には、踵骨51を触知可能な踵部を受け止めて圧力を分散させる部材16を設けてある。16aは踵骨を触知可能な踵部を受け止めるためのストッパーで、16bは受け止めた圧力を分散させる緩衝材を設ける。
第1、第2の部材11,12は、水平に設定してあるので、初めての利用者でも安心して足をのせることができる。第1、第2の部材は、木、金属、樹脂、ゴムなど板状のものであれば何でもよい。これにストッパー15a、16aを設ける。ストッパーも木、金属、樹脂、ゴム等でよい。加工しやすい点ではバルサ材でも良い。ストッパーは上から見てやや月形の切り込みを入れ、側面から透視して踵骨側が低い30度程度のスロープをつけるとストッパーには第1〜第5趾のうち少なくとも1つの足趾の先が自然にのるようになるので、利用者にとって楽な足位がとれるのでよい。緩衝材15b、16bの袋体は、ポリエチレンやナイロン、塩ビ等でよい。それに高分子吸水体ポリマーなどのゾル状の流体を封入した保冷剤でよい。袋体の巾はおよそ5cm、長さは19cm〜20cm程度であれば、ほとんどの人の足に対応できる。緩衝材に封入する流体の量は、月形の切り込みの中に据えて少し柔軟に曲がるくらいの封入したものでよい。
ストッパー15aは、第1〜第5中足骨41〜45のうち少なくとも1つの中足骨を触知可能な足裏部位と緩衝材を15bを受け止めるために設けた。ストッパー16aも同様に踵骨を触知可能な踵部と緩衝材16bを受け止めるために設けた。緩衝材15bは、個体差のある第1〜第5中足骨のうち少なくとも1つの中足骨を触知可能な足裏部位の長さの凹凸を流体が埋めてくれる。及び/又は、パスカルの原理によって第1〜第5中足骨のうち少なくとも1つの中足骨の頭部を触知可能な足裏部位や踵を触知可能な踵部にかかる圧力が一点に集中するのではなく、水圧が均一に、面的に分散するので、縦アーチの両端部にかなり強い近接力を移動機構により与えても利用者にとって苦痛にならない。
緩衝材とストッパーを備えた第1の部材1が第2の部材2と近づくように操作をすると、第1〜第5中足骨のうち少なくとも1つの中足骨の頭部軸芯近傍41b〜45bには、緩衝材15bから踵骨側に近接する力と、距骨方向を向いたやや上向きのベクトルの力が与えられる。これらは、縦アーチ再生にとって非常に有利な力になる。また、利用者の体重は、第1〜第5中足骨のうち少なくとも1つの第1〜第5中足骨頭部の真下41a〜45aを触知可能な足裏部位から第1の部材が受け止めるので、本健康具の上で立ったりしゃがんだりする動作をしても、第1〜第5中足骨の頭部軸芯近傍41b〜45bや踵骨の後方の広い領域51bに圧力が分散されるので、利用者にとっては苦痛が軽減される。踵骨の真下51aには利用者の体重はがかかり、移動機構による揚力は分散されるので、利用者にとっても苦痛が非常に少ないし、操作者にとっても縦アーチを再生するという目的を達成することが容易になった。
本健康具にのる前に、図2(D)のように使用者は患足に特許登録第4374424号の帯状部10を装着してもらい、あらかじめ横アーチを補強再生する。その状態で本健康具による縦アーチ再生の操作をうけると、足の横アーチを含む3つのアーチを一括して安定的に維持再生することができるのでさらによい。
実施例2の発明の使用法について述べる。まずは、どのくらいハンドルバーを回すかということについて述べる。本実施例では使用者の足趾や踵を受け止めて圧力を分散する部材、例えば、ストッパーと緩衝材の類を導入したことにより使用者の苦痛等は劇的に軽減したので、移動機構のハンドルバーをかなり回すことができるようになった。それは言い換えると、第1の部材と第2の部材を容易に近接させて、足の縦アーチを効率よく再生できるようになったということであるが、回しすぎないよう注意を要する。ハンドルバーを回す目安は、使用者の感覚と、操作者の目と手で確認するという方法がある。一つ目は、使用者に、もし痛みを感じたら言葉で伝えてもらうようにすること。二つ目は、ハンドルバーを回すにしたがって足の甲部がせり上がる、あるいは、土踏まずの空間が高くなるという変化をみてとれるので、それを目で見ながら加減するという方法。また、ハンドルバーを回していると、緩衝材の袋体が徐々にパンパンに膨らんでくるので、操作者の目で袋体の膨らみ具合を確認して加減するという方法、それと併行して、膨らんでくる緩衝材を指先で押してみれば、使用者の足趾先端にかかっている圧力を推察することができる。
どの位の頻度で本健康具を使用するか。また、何に気をつけて生活すれば足のアーチは持続的に再生するのかについて述べる。まずは使用頻度。一回の操作でアーチの再生を完結させる必要はない。性急に結果を出す必要はない。何回かに渡って、少しずつ足の足根間関節に関節液が行き渡る状況を形成することが大切である。初期は、週に1〜2回。足のアーチの再生がすすむと、足や膝、股関節など痛み症状等が改善してくるので、週に1回、10日に1回、さらには2週に1回、月に1回等に徐々に間隔を開けてよい。
大切なのは、日常の足使いである。足は身体の最下部にあるので、もともと荷重を好む場所なのである。先に述べたように、足は荷重を受けることで3つのアーチからなる土踏まずという中空の空間を設けることができたので、その原理原則に従って足にしっかり荷重を乗せる生活を意識すべきである。土踏まずに問題がある人と椅子に座って話をしていると、十中八九、問題のある足が床についていない。悪い方の足を上にした足組座りをしていたり、つま先立てていたり、踵だけ床についていたり、5趾側の側面が床について足裏が床に着いていない等々の因習がある。立位でも悪い方の足は無意識のうちに体重を乗せていない。これらは、本人が無意識のうちににしていることなので、それを意識させて改めてもらう必要がある。
図3(A)乃至(G)をもとに本発明の第3の実施の形態を説明する。本発明は履き物の例として靴について説明する。
図3(A)は靴の側面からの透視図。(B)は上面からの透視図。靴は、足を支える土台部分である本底30と、本底をのぞいた上の部分、アッパーからなる。図3(A)のアッパーは甲部31と踵を包むカップ部70からなる。
また、アッパーは、(A)に示すように、甲部31をカップ部70まで延長して腰革74と縫合して一体にしてある。甲部31の上面側にファスナー32を長く設けておくと、あらかじめ足の甲部に特許登録第4374424号の帯状部10を装着した足を甲部31に挿入してファスナー32を引き上げるだけで容易に履くことができる。歩行時、足が地面から離れている遊脚期に、足が爪先部60とカップ部70から離れることを防止するためには、足と靴が一体化するような伸縮性のある生地素材を甲部31に採用するとよい。甲部31は接着剤で本底30と一体となっている。
図3(C)はカップ部70の側面図である。カップ部70はカウンター71が中心となる。カウンター71の水平部分は歩行時の体重を受け止める役割を果たし、カウンター71の水平部分に対してほぼ直交する壁の部分も歩行時の体重を受け止める役割をはたす。カウンター71の素材は軽いアルミ合金や硬質樹脂などでもよい。カウンター71の水平部分の表面には三進興産株式会社製のソルボセイン等の振動吸収性のある踵シート72を設ける。踵シート72の表面には綿等の吸湿性のある生地を貼り、履き心地をさらによくする。カウンター71の水平部分の裏面は、本底と接着剤で圧着固定してある。カウンター71の後ろ側の壁面は、図3(C)に示すように後ろ凸の柔らかいカーブをもたせると踵のおさまりがよくなり、後述する踵の緩衝材73の作用効果も高くなる。カウンター71後壁の外側に貼る腰革74の素材は、足の甲部31と同じような綿、ナイロンなどの人工繊維の生地、あるいは革でもよい。カウンター71の内側には面ファスナー75を設け、踵の緩衝材73を固定できるようにする。踵の緩衝材73は、パスカルの原理によって踵部にかかる圧力が一点に集中するのではなく、水圧が面的に均等に分散するので、かなり強い近接力を移動機構により与えても利用者には苦痛にならないので、完成度の高いアーチを再生するための重要な役割を果たす。踵の緩衝材73に入れるものは、水、高分子吸水体ポリマーなど。ゾル状の流体でもよいし、ゲルでもよい。踵の緩衝材73の形は上底が短い台形になる。そのサイズは、例えば足の長手方向のサイズが26cmの人向きの履き物の場合には、袋体の上底がおよそ8cm、下底は14cm程度、高さは6cm程度あればよい。万が一の破裂に備えて2重包装にするとよい。もちろん、履き物のサイズによって袋のサイズも流体の封入量も変わる。封入する流体の量は、履き物が同じサイズでも踵の横幅は個人差があるので、同サイズの袋でも流体の封入量をS(少なめ),M(普通),L(多め)の3種類ほど用意するとよい。カウンター71のなかで踵の位置が定まると歩行時のアーチ形状が安定するという効果もある。踵の緩衝材73は美観を高めるために綿やナイロン製の生地、バックスキンやなめし革などで包む。そして、踵の緩衝材73のカウンター側の面に面ファスナー76を設け、カウンターの内側に設けた面ファスナー75と係合固定できるようにすると、踵の緩衝材73の交換が自由にできる。
続いて図3(A)および(D)乃至(F)をもとに、爪先部60と、本底30の中に設けた移動機構80、および本底30について説明する。
爪先部60の中心となる足趾プレート61には、足の縦アーチの前端部である第1〜第5中足骨のうち少なくとも1つの中足骨を触知可能な足裏部位が当接するが、内側及び/又は外側の縦アーチだけを限定的に再生したい場合と、2つの縦アーチを総合的に再生したい場合とは、足趾プレート61に関わる部材の形態が変わるので、まずは、第1〜第5中足骨に総合的に作用して2つの縦アーチを同時に再生する実施形態について述べ、限定的に再生する実施形態は後に図3(G)をもとに示す。
図3(D)は、第1〜第5中足骨の全趾に作用して内側および外側の縦アーチを同時に再生する爪先部60の構造を示す。足趾プレート61には、2つの縦アーチの前端部である第1〜第5中足骨を触知可能な足裏部が当接する。足趾プレート61は軽量アルミやプラスチック樹脂などからなり、その靴のサイズにフィットする「中敷き」の形の少なくとも爪先側2/5を含むの形状として成型する。足趾プレート61には、勾配63をもつストッパー62が固定されている。勾配63は約30度がよい。ストッパー62は、上から見ると第2の実施形態の15aのように月形の切り込みがあり、側面から見ると踵側は足趾プレートに対して直交する壁面64があり、爪先側はアッパーの甲部31と同じ丸みを有する形をなす。ストッパー62の壁面64には面ファスナー65を設け、後述する前端部の緩衝材66を固定できるようにする。前端部の緩衝材66は、個体差のある第1〜第5中足骨を触知可能な足裏部位の長さの凹凸を流体が埋めてくれる。そして、パスカルの原理によって第1〜第5中足骨の頭部を触知可能な足裏部位にかかる圧力が一点に集中するのではなく、水圧が面的に均等に分散するので、第1〜第5中足骨の頭部を触知可能な足裏部位にかなり強い近接力を移動機構により与えても利用者には苦痛にならないので、完成度の高いアーチを再生するための重要な役割を果たす。前端部の緩衝材66に入れるものは、踵の緩衝材73同様、水、高分子吸水体ポリマーなどのゾル状の流体でもよいし、ゲルでもよい。前端部の緩衝材66の形は円柱状になる。例えば足の長手方向のサイズが26cm用の人の場合、足の横幅(第1中足骨頭部の内縁から第5中足骨頭部の外縁の長さ)は12cmくらいが基準になるので、袋体のサイズは、横が12cm、縦が3.5cm程度を基本にするとよい。袋体は万が一の破裂に備えて2重包装にするとよい。流体を封入する量は、前端部の緩衝材66をストッパーの月形の切り込みにおさめて、手の五本の指の先で押してみて、五本の指先が少し袋体に入るという程度がよい。履き物のサイズによって袋のサイズも流体の封入量も変わる。また、足の横幅は足の長手方向のサイズが同じでも個人差があるので、袋体の縦の3.5cmは同じとしても、横の長さを基本の12cm以外に、13cm、14cmと3種類ほど用意するとよい。足幅が12cmよりも短い(足が細い)人ほど長い袋体を用いることになる。使用者の足幅を越えた袋体の長さ分だけ第1及び第5中足骨の両側面に回り込み、足が靴の中で横方向に動揺しないように流体の圧力で固定する。これで歩行時に再生された足のアーチが安定的に持続することが可能になる。足の長手方向のサイズが26cmでも、足の幅が12cm以上ある人は、ワンサイズ上の履き物で足幅を合わせて、ダイヤル88で長手方向のサイズを合わせるとよい。前端部の緩衝材66は綿やナイロン製の生地などの薄い素材で包むとよい。そして、前端部の緩衝材66に面ファスナー65’を設け、ストッパー62の壁面64に設けた面ファスナー65と係合固定できるようにする。これで前端部の緩衝材66の交換が自由にできる。足趾プレート61およびストッパー62の勾配面には、三進興産株式会社製のソルボセイン等の振動吸収性のある足趾シート67を設ける。足趾シート67に綿等の吸湿性のある生地を貼ると、履き心地はさらによくなる。足趾プレート61の水平部分と前端部の緩衝剤63には、第1〜第5中足骨の触知可能な足裏部が当接し、中足骨より先にある足の指(趾)はストッパー62の勾配面にのせるかたちとなる。足趾プレート61の下面には、前内突起68、前外突起68’、後内突起69、後外突起69’といった4つの突起があり、次に述べる移動機構80と連結する。
図3(E)は移動機構80の構造を示す。上記爪先部60の足趾プレート61はその下面でジョイントプレート81と連結する。そして、ジョイントプレート81は移動ねじ82と連結する。ジョイントプレート81は柔軟性を有する丈夫な樹脂やバネ鋼板がよい。移動ねじ82の前端はジョイントプレート81と結合し、後端側はダイヤル88と連結するためのねじピッチが刻んであり、その間にはスプリング91を受ける止めるツバ82’がある。移動ねじ82は軽くて丈夫な素材であれば、樹脂でも金属でもよい。足趾プレート61とジョイントプレート81の連結方法は接着でも溶接でもよい。ジョイントプレート81と移動ねじは留め具43を用いて接着した。ジョイントプレート81は前方部で足阯プレート61と連結し、後方部では移動ねじ82と連結する。その隙間部分90は剛性が低くなるので、それを靴底の柔軟性に活かす。ジョイントプレート81に柔軟性を有する丈夫な樹脂やバネ鋼板を採用するのはそのためである。歩行時、あしの裏はわずかながらたわむので、靴がそれと同調することは快適で自然な歩行を実現するための必須要件となる。足趾プレート61、およびジョントプレート81は一体となって滑る台83にのる。足の前端部と後端部を近づけたり遠ざけたりする時、つまり足のアーチ再生をはかる時や本履き物を脱ぐ時など、足の長手方向に円滑に移動する。滑る台は、フッ素樹脂等の摩擦係数の小さく耐熱性のある素材がよい。滑る台83には、足趾プレート61の下面に設けた4つの突起、前内突起68、前外突起68’、後内突起69、後外突起69’が貫通する4つの縦長の貫通孔、前内孔84’、前外孔84’、後内孔85、後外孔85’を設け、滑る台83の裏側から4つのスナップ41、41’、42、42’で4つの突起と接着等で固定し、足趾プレート61と滑る台83が分離しないようにする。そして、移動ねじ82の後端部をスプリング91、ダイヤルボックス86のスプリングホール86’、ダイヤルホール87’の順番に通す。スプリング91の一端の外径および移動ねじのツバ82’の外径はスプリングホール86’の内径にちょうどおさまるサイズとし、スプリング91の他端はツバ82’の径よりも小さいサイズとして組み立てる。そして、移動ねじ82の後端部をフッ素樹脂等からなる滑るリング89に通し、ダイヤルボックス86のダイヤルホール87’にダイヤル88の凸部分であるダイヤルイン87を挿入し、移動ねじ82の後端部のねじがダイヤルイン87のねじのピッチにおさまるようにダイヤルを回して移動ねじ82と連結させる。爪先部60はスプリング91によって常に足の先端側に送らているので、爪先部60を近カップ側に寄せたり、足の先端側に送ったりする際、ダイヤル操作が安定的にできる。
図3(F)にて本底30の説明をする。本底30は、滑る台83とダイヤルボックス86を収容して接着固定できるようにウレタンゴム等の軽くて形成しやすい素材からなる。また、ダイヤルボックス86のスプリングホールから移動ねじ82とジョイントプレート81の連結部分の下には、シャンクピース39を埋設し、上記移動機構の一部を歩行時の衝撃から守るようにすると、足と靴の両者にとって好ましい。また、爪先部分をウレタンゴム等でドーム状のカップ38を成型し、甲部31を内側に貼り、靴の先端部分の形崩れを防ぐのもよい。ダイヤル88を時計回り、反時計回りに回すことで、移動ねじ82を介して爪先部60を長手方向に3cm前後移動させることができる。第3の実施形態はこのような構造をもつので、荷重に強い中空の足の内側及び外側の縦アーチを再生することができる。
限定的な実施形態の上面図を図3(G)に示す。足趾プレート61には、足の縦アーチの前端部である第1〜第5中足骨のうち少なくとも1つの中足骨を触知可能な足裏部位が当接する。内側又は外側の縦アーチだけを限定的に再生したい場合は、2つの縦アーチを同時に再生する前記実施例とは爪先部60に関わる部材の形態が少し異なる。例えば、内側の縦アーチの要である第1中足骨に対する限定的な実施形態は、図3(G)に示すように第1中足骨を触知可能な足裏部位が、足の第1趾プレート92およびおよび第1の前端部の緩衝材94に当接し、第1中足骨から先にある第1基節骨、末節骨は第1の前端部のストッパー93の勾配面にのることになる。そして、第1趾プレート92だけが移動機構80と連結する。ダイヤル88の操作で第1趾プレート92を足の長手方向に近接移動させることで内側の縦アーチを再生する。のこる第2〜第5の中足骨を触知可能な足裏部位は、移動機構80とは連結しない。本底と接着固定した足の第2〜第5趾プレート95と第2の前端部の緩衝材97に当接し、その先の足指(趾)は第2の前端部のストッパー96の勾配面にのるだけになる。また、外側の縦アーチの要である第5中足骨に対する限定的な実施形態はそれに準じた形態変更がなされる。限定的な実施形態は、爪先部60に関わる部材が、先に述べた第1〜第5中足骨の全趾に作用して内側および外側の縦アーチを同時に再生する実施形態とは異なる。それ以外の素材、組立順等に関しては基本的に同じである。
第3の実施例は履き物なので、荷重の変動が生じる使用環境になる。体重60キログラムの人が、本発明の履き物に足を入れて、本底の後ろに設けたダイヤルで縦アーチ再生の調節をして歩いた場合、片足には60キログラムの荷重がかかったり、荷重0キログラムになったり、体重の2倍の荷重がかかるなどの荷重変動が生じる。しかし、上記第3の実施形態は、弾性を有する筒状体のように、縦アーチの両脚間の距離が広がったりしないし、狭くなったりもしない。したがって、第3の実施形態は、足部の荷重変動や、足の甲の高さに関係なく、荷重に強い中空の足の内側、および外側の縦アーチを安定的に維持再生することができる。
そして、本発明は上記目的を達成するために、以下の手段をとった。足の縦アーチの前端部である第1〜第5中足骨のうち少なくとも1つの中足骨を触知可能な足裏部位が当接する第1の部材に前記中足骨を触知可能な足裏部位を受け止めて圧力を分散させる部材を設け、該縦アーチの後端部である踵骨を触知可能な踵部が当接する第2の部材に踵骨を触知可能な踵部を受け止めて圧力を分散させる部材を設け、前記第1、第2の部材を足の長手方向に相対的移動を可能とする移動機構を備えていることを特徴とする足の縦アーチを再生する健康具を構成している。
第1の部材1と第2の部材2を水平に設置した場合の利点は、初めての利用者でも安心して第1の部材1と第2の部材2に足をのせることができるという点である。しかし、水平に設置された第1の部材1と第1中足骨頭部の接点は41aであり、第2の部材と踵骨を触知可能な踵部の接点は51aである。足が両部材から受ける力は、垂直方向の抗力だけである。そして、第1の部材1と第2の部材2を近接させる操作をおこない第1中足骨41を触知可能な足裏部位と踵骨51を触知可能な踵部の距離を近づけると、両部材と各骨の間にある柔らかくて伸縮や変形を許容する皮膚や皮下脂肪層は水平方向に引っ張られて剪断力を受けることになる。第1の部材1および第2の部材2と第1中足骨の接点および踵骨を触知可能な踵部の接点の摩擦力が、両部材と各骨の間にある分厚くて柔らかい皮膚や皮下脂肪層に剪断力を与えながらも、第1中足骨の接点と踵骨を触知可能な踵部の接点が近づいた分、縦アーチの頂点近傍の高位を上昇させるたわみ力となり、縦アーチの再生という結果になるのである。したがって、第1、第2の部材1、2を水平位にて行った場合、利用者によっては足裏の皮膚に不快感や痛みを感じられるという不利益が生じることも配慮しなければならない。
第1、第2の部材11,12は、水平に設定してあるので、初めての利用者でも安心して足をのせることができる。第1、第2の部材は、木、金属、樹脂、ゴムなど板状のものであれば何でもよい。これにストッパー15a、16aを設ける。ストッパーも木、金属、樹脂、ゴム等でよい。加工しやすい点ではバルサ材でも良い。ストッパーは上から見てやや月形の切り込み15cを入れ、側面から透視して踵骨側が低い30度程度のスロープ15dをつけるとストッパーには第1〜第5趾のうち少なくとも1つの足趾の先が自然にのるようになるので、利用者にとって楽な足位がとれるのでよい。緩衝材15b、16bの袋体は、ポリエチレンやナイロン、塩ビ等でよい。それに高分子吸水体ポリマーなどのゾル状の流体を封入した保冷剤でよい。袋体の巾はおよそ5cm、長さは19cm〜20cm程度であれば、ほとんどの人の足に対応できる。緩衝材に封入する流体の量は、月形の切り込み15cの中に据えて少し柔軟に曲がるくらいの封入したものでよい。