JP2013084448A - 複数の極板構成部材の接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の金属薄片間の電導性と機械的強度を確保した金属薄片積層体を提供する。
【解決手段】複数の金属薄片が積層された金属薄片積層体に形成された貫通孔と、
該貫通孔内の金属露出面を高エネルギー線で溶接することにより金属薄片間の電導を確保した電導性が改善された金属薄片積層体およびその製造方法、並びに内面を溶接された貫通孔内にリベットを挿通しカシメ接合した金属薄片積層体。
【効果】金属薄片の表面が有機物により汚染されていても、電導性と機械的強度の確保された金属薄片積層体を提供することができる。
【選択図】図7
Description
また、リベットを使用して積層体の導通する技術の改善方法としては、リベットの円筒脚部を積層体の最下位にある極薄金属片に埋め込むようにカシメ圧接することにより、極薄金属片同士を導通させ、貫通孔が残ることなくしかも導通部分の空隙をなくして十分強度を出すことができる極薄積層体とすることが提案されている(特許文献2)。
従来は、二次電池における出力端子と内部の極板構成部材との接合においては、超音波溶接、スポット溶接、レーザー溶接や針圧接などの方法が用いられていたが十分な強度、および安定した導電性を確保することは困難であることが多かった。そこで、導電性と機械的強度が共に優れた接合方法が求められていた。また、従来の接合方法では、被接合面が何らかの物質により汚染されている場合は、溶接などによる接合安定性が大きく損なわれていたため、接合面が汚染されていても安定した接合が得られ、しかも接合面での機械的強度が十分得られる新たな接合方法が求められていた。
(1)複数の金属薄片が積層された金属薄片積層体に貫通孔を形成し、該貫通孔内の金属露出面を高エネルギー線で溶接することにより金属薄片間の導電性を確保することを特徴とする金属薄片積層体の製造方法。
(2)高エネルギー線が、レーザー光である上記(1)に記載の金属薄片積層体の製造方法。
(3)貫通孔内の金属露出面の2%〜100%を溶接する上記(1)または(2)に記載の金属薄片積層体の製造方法。
(4)内面が溶接された貫通孔内にリベットを挿通しカシメ接合する上記(1)から(3)の何れかに記載の金属薄片積層体の製造方法。
(5)リベットの材質が、アルミニウムあるいは銅からなる上記(4)に記載の金属薄片積層体の製造方法。
(6)金属薄片積層体の外面とリベットとの接触部分を溶接により一体化する上記(1)から(5)の何れかに記載の金属薄片積層体の製造方法。
(7)金属薄片が二次電池の極板構成部材または集電タブである上記(1)から(6)の何れかに記載の金属薄片積層体の製造方法。
(8)リード端子を極板構成部材または集電タブに接合する上記(1)から(7)の何れかに記載の金属薄片積層体の製造方法。
(9)複数の金属薄片よりなる金属積層体と該金属積層体に形成された貫通孔を有し、該貫通孔内の金属露出面が高エネルギー線による溶接により接続されていることを特徴とする金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
(10)貫通孔内の金属露出面の2%〜100%が溶接されている上記(9)に記載の金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
(11)貫通孔にはリベットが挿通され、カシメ接合している上記(9)または(10)に記載の金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
(12)リベットの材質が、アルミニウムあるいは銅からなる上記(9)から(11)の何れかに記載の金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
(13)金属積層体の外面とリベットの接触部分が溶接により一体化されている上記(9)から(12)の何れかに記載の金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
(14)金属薄片が二次電池の極板構成部材または集電タブである上記(9)から(13)の何れかに記載の金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
(15)上記(9)から(14)のいずれかに記載の金属薄片積層体を具備することを特徴とする二次電池。
(1)簡便な方法により、複数の金属薄片からなる積層体の金属薄片相互間を接合することができ、導電性および機械的強度に優れた積層体が得られる。
接合部での電気抵抗は低く、強い振動が加わる環境下においても低い抵抗性を維持することができる。
(2)レーザー光による溶接技術およびリベットによるカシメ圧接による接合技術などの既知技術の応用により実用化が容易である。
(3)現行工法とは比較にならないほどの強度と導電性を確保することができる。
(4)リチウムイオン電池などの二次電池の製造に応用でき、高出力で強い振動のある過酷な環境下、例えば、鉄道、電気自動車などでの使用が可能な電池を提供することができる。
(5)溶接部分の状況を目視により確認することができる為、検査、確認が容易であり、製品の性能にばらつきがほとんど生じない。
本発明により製造された金属薄片積層体は主に二次電池の電極として使用される。そこで、以下における本発明の説明はリチウムイオン電池の電極を形成する技術を例にして本発明を説明する。
一般に、リチウム二次電池における正極または負極は、アルミニウム板や銅板の様な極板構成部材上に、正極活物質または負極活物質、電解質、導電材料、バインダー樹脂等を含有する混合物を塗布して製造する。ゲル状電解質を用いたリチウム二次電池では、活物質、重合性モノマー、電解液を混練、塗布し、しかるのちモノマーを重合することによって電解液をゲル状電解質とし、極板構成部材を積層する方法によって製造される方法が採用されている。本発明は、こうした電池の製造において極板構成部材の表面の一部が有機物質で汚染された場合に特に有用である。
正極板構成部材または負極板構成部材表面に、正極活物質または負極物質を塗布し、またポリマー電解質を塗布することによる工程を経てリチウムイオン電池を製造するにあたっては、塗布工程において塗布が必要でない極板構成部材や集電タブの表面が正極物質やそのバインダー、あるいはポリマー電解質などで汚染されることがある。特に、集電タブはその複数が積層一体化されてリード部と接合されるが、集電タブからなる積層体は電気的にも機械的にも一体化していなければならないため、各種の溶接方式や圧接などにより接合されている。このとき、集電タブ表面が汚染されていると、溶接時の加熱によりガス発生が生じて、集電タブ間の接合がうまく行われないとか、汚染物質が集電タブ間に絶縁層として存在することになり、複数の集電タブを電気的に機械的に良好な接合状態をすることを確立することは極めて困難なことであった。本発明は、こうした従来技術の問題点を解決すると共にさらに良好な接合状態をした極板構成部材の積層体を提供するものである。
本発明電極板構成部材の積層体の接合方法に付いて模式図により説明する。
図1は接合前の電極集合体を示す。電極集合体は、複数の極板構成部材1が積層され、その部材のそれぞれから伸びた集電タブ2が重合積層され、その上面に外部接続用素子と連結するためのリード端子3が載置される。集電タブ2とリード端子3とはそれらが重なり合っている部分の接合部、すなわち溶接部4において溶接またはその他の方法により電気的にまた機械的に接続され一体される。このときの極板構成部材1の集電タブ2が汚染されているとその断面は図2に示すごとくとなり、極板構成部材1およびその延長部である集電タブ2の表面には、例えば、ポリマー電解質やバインダーなどの汚染物5が付着していることがしばしば観察される。図2の破線で示した溶接部4では、複数の極板構成部材1とリード端子3が電気的に導通するよう接合されなければならない。しかも、接合された部分は、機械的強度が確保され、振動などの外力がかかっても変形あるいは導電性の低下があってはならない。本発明による接合部はこうした規定を満足することができる。
従来、電極集合体の部分の接合は超音波溶接、レーザー溶接、リベット接合などが採用されることが多い。図3には超音波溶接による接合を図示したものであり、超音波溶接部61には超音波振動素子6が当接されて圧力下に超音波をかけて積層された複数の金属板間を接合するが、各金属板間の接合強度は弱く非常に不安定である。従って、十分な接合強度と導通性を確保することが難しいものであった。レーザー光による溶接を図4に示す。レーザー光溶接部71にレーザー光7を照射すると、照射された部分は高温となり金属は融着する。このとき、金属は高温に晒されるために集電タブ2の表面に有機物質材料が存在すると、それが高温により気化するため集電タブ2間には気体が存在することになり相互の接触が不良となるため溶接による接合が不安定となる。特に、集電タブ2が電解液などにより汚染されている場合は、電解液が急速に気化して爆飛し、気化飛散物72となることとなり電気的並びに機械的な接合が十分確保されなかった。
このように、上記3種の方法により形成した接合では、導通性と機械的高度の確保は十分ではなく、しかも、外観からは所定の導通性と機械的強度が得られたか否かを判定することは困難であった。
図6には本発明の金属薄片間が導通した金属積層体の製造方法の工程を示す。極板構成部材1から延長された集電タブ2にリード端子3を載置して複数枚の金属薄片を積層状態とし(6.1)、この接合部分(溶接部分)4にパンチ9で貫通孔10を形成する(6.2)。貫通孔10の内面には金属の汚染されていない面が露出されるためレーザー光による溶接は安定して行うことができる。次に、レーザー光7を貫通孔10の内面に照射することにより内面に露出した各金属薄片は溶融し内面で接合される(図6.3a)。これにより、金属薄片間の接合強度と導通性が確保される。貫通孔10の内面のほぼ全面がレーザー溶接された状態の一例を図6.3bに示す。貫通孔10の外周は溶接により盛り上がり、内面は溶接により一体化している。次に、貫通孔10の径および深さに適合したリベット8を貫通孔10に挿入し(6.4)、リベット8をカシメ圧接する(6.5)ことにより積層体の溶接部分の強度を増強することができる。リベット8の採用により接合部の強度をより一層増加させることが可能となり、接合部分の導電性と機械的強度を両立させることが容易となった。
貫通孔の数、直径は金属積層体の大きさ、金属薄片の績層数、金属片の強度、用途などに応じて適宜選定されるが、0.005mm〜0.030mm厚の金属片10〜60枚程度積層された金属薄片積層体であれば、直径1.0〜4.0mmの孔が1個〜10個程度設けられる。別の観点から見ると、貫通孔は、接合部面積の6%〜10%とすることが好ましい。貫通孔の内面のレーザー光による溶接は露出した金属面の2%〜100%、好ましくは5% 〜100%を溶接することにより接合部の導電性と機械的強度を確保することができる。溶接には全ての隣接する金属片同士が接合されていることが好ましく、貫通孔の上端から下端まで、点状、線状、帯状などの溶接部分を複数個設けることにより行なわれる。
リベットをカシメ圧接した後、金属薄片やリード端子の表面と接触しているリベットの頭部および脚部を溶接により金属薄片等と一体化することにより接合強度をさらに向上させることができる。
図7.3は溶接部の外観を示す写真であり、3個のリベットにより極板構成部材1の集電タブ2とリード端子3が接合されている。
図7に示されている接合部を含め3種の接合部を作製しその接合強度試験、電気抵抗試験および耐振動性試験について実施した。
試験1: 15μm厚のアルミニウム製の金属薄片(極板構成部材)を34枚と、300μm厚のアルミニウム製の金属片(リード端子)一枚を重ね合わせて、2.3mmの貫通孔を3個設け、貫通孔の内面の100%をレーザー光により溶接した後貫通孔にリベットを挿通しカシメ圧接した。
試験2: 前記貫通孔内を溶接することなくリベットを挿通し圧接した。
試験3: 超音波溶着により金属薄片を接合した。
作製した接合部の接合強度については90度剥離試験法により、電気抵抗についてはインピーダンス試験法により試験した。耐振動性試験はJIS E4031鉄道3種B種試験により実施した。
上記条件において、表面が有機物からなるポリマー電解液を1.3mg/m2で塗布した極板構成部材を使用して試験したところ次の結果を得た。
[接合強度試験]
試験1(レーザー溶接、リベット接合): 4.7N
試験2(リベット接合) : 4.7N
試験3(超音波溶接) : 1.5N
[電気抵抗試験]
試験1(レーザー溶接、リベット接合): 2.2mΩ
試験2(リベット接合) : 6.6mΩ
試験3(超音波溶接) : 2.5mΩ
本発明の具体例を下記に示すが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
15μm厚のアルミニウム製の金属薄片(極板構成部材)を34枚と、300μm厚のアルミニウム製の金属片(リード)一枚を重ね合わせて、2.3mmの貫通孔を3個設け、貫通孔の内面の100%を溶接した後貫通孔にリベットを挿通し圧接することにより接合部を形成した。各金属薄片の表面には、予め有機物からなるポリマー電解液からなる組成のポリマー電解液を1.3mg/m2の割合で塗布して汚染された状態となした極板構成部材を作製して試験した。接合強度試験、電気抵抗試験、耐振動性試験において次の結果を得た。
接合強度4.7N、電気抵抗2.2mΩであり耐振動性試験には合格した。
[汚染表面の超音波による溶接]
実施例1と同様の汚染面を有する15μm厚のアルミニウム製の金属薄片(極板構成部材)を34枚と、300μm厚のアルミニウム製の金属片(リード端子)一枚を重ね合わせてその端部を超音波溶接した。超音波溶接の条件は以下の通りである。
リード側(2点打ち)アンプ100%、エネルギー180J、圧力5.0Kg/cm2、クリアランス100μm、タブ側(1点打ち)アンプ75%、+エネルギー70J、圧力5.0Kg/cm2、クリアランス100μm
超音波溶接の実施中に溶接外れや金属薄片の破損が発生して溶接がスムースに進行しなかった。また、製造した接合部の強度は1.5Nであった。
レーザー溶接を利用した以外は比較例1と同様にして接合部を形成した。レーザー光溶接の条件は以下の通りである。
エネルギー:6J(パワー:2.7KW・フラッシュ2.5ms・スロープ0.5ms)
3ショット/ポジション オーバーラップ:0.1mm
溶接点数:18点/1穴
レーザー光溶接の実施中にスパッタが発生して溶接がスムースに進行しなかった。また、製造した接合部の強度4.7Nであった。
本発明は、特に、表面が有機物質により汚染された金属薄片間の接合に有用であり、先含浸方式によるリチウムイオン電池の電極の製造に適用することができる。本発明により製造された電極は、良好な電導性と機械的強度を共に有するものであり、高性能電池や強い振動が頻繁に負荷される鉄道や自動車用の電池として適している。また、本発明による電極の製造は、従来技術の応用により十分達成することができる為、新規な技術の開発は必要なくその実施には格別な困難はない。従って、リチウム電池の電極などに直ちに応用することができ、電池関連の産業に大きく貢献するものである。
2:集電タブ(接合部)
3:リード端子
4:溶接部
5:汚染物質
6:超音波振動素子
61:超音波溶接部
7:レーザー光
71:レーザー光溶接部
72:気化飛散物
8:リベット
81:リベット頭部
82:リベット脚部
83:リベットにより圧縮された極板構成部材
9:パンチ
10:パンチ孔(貫通孔)
11:レーザー溶接面
Claims (15)
- 複数の金属薄片が積層された金属薄片積層体に貫通孔を形成し、該貫通孔内の金属露出面を高エネルギー線で溶接することにより金属薄片間の導電性を確保することを特徴とする金属薄片積層体の製造方法。
- 高エネルギー線が、レーザー光である請求項1に記載の金属薄片積層体の製造方法。
- 貫通孔内の金属露出面の2%〜100%を溶接する請求項1または2に記載の金属薄片積層体の製造方法。
- 内面が溶接された貫通孔内にリベットを挿通しカシメ接合する請求項1から3の何れかに記載の金属薄片積層体の製造方法。
- リベットの材質が、アルミニウムあるいは銅からなる請求項4に記載の金属薄片積層体の製造方法。
- 金属薄片積層体の外面とリベットとの接触部分を溶接により一体化する請求項1から5の何れかに記載の金属薄片積層体の製造方法。
- 金属薄片が二次電池の極板構成部材または集電タブである請求項1から6の何れかに記載の金属薄片積層体の製造方法。
- リード端子を極板構成部材または集電タブに接合する請求項1から7の何れかに記載の金属薄片積層体の製造方法。
- 複数の金属薄片よりなる金属積層体と該金属積層体に形成された貫通孔を有し、該貫通孔内の金属露出面が高エネルギー線による溶接により接続されていることを特徴とする金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
- 貫通孔内の金属露出面の2%〜100%が溶接されている請求項9に記載の金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
- 貫通孔にはリベットが挿通され、カシメ接合している請求項9または10に記載の金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
- リベットの材質が、アルミニウムあるいは銅からなる請求項9から11の何れかに記載の金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
- 金属積層体の外面とリベットの接触部分が溶接により一体化されている請求項9から12の何れかに記載の金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
- 金属薄片が二次電池の極板構成部材または集電タブである請求項9から13の何れかに記載の金属薄片間の導電性が確保されている金属薄片積層体。
- 請求項9から14のいずれかに記載の金属薄片積層体を具備することを特徴とする二次電池。
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