JP2013083560A - アルミダイカスト部品強度評価方法及びアルミダイカスト部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】実際のアルミダイカスト部品の強度を適正に評価することができるアルミダイカスト部品強度評価方法を提供する。
【解決手段】予め行った捻り試験で破壊し且つ予め応力解析で求めた電動パワーステアリング装置のコラムハウジング(アルミダイカスト部品)1の呼応力部であるキーロック部5の所定範囲の内部欠陥を超音波探傷し、当該所定範囲の内部欠陥の最大欠陥面積が所定値以下であるときにコラムハウジング1が所定の強度を有すると評価することにより、実際のアルミダイカスト部品であるコラムハウジング1の強度を適正に評価することができる。また、前記アルミダイカスト部品強度評価方法で強度評価し、キーロック部5の所定範囲の内部欠陥の最大欠陥面積を0.8mm2以下とすることにより、所定の強度のコラムハウジング1を得ることができる。
【選択図】図9

Description

本発明は、アルミダイカスト部品の強度評価方法及びアルミダイカスト部品に関するものであり、例えば車両の電動パワーステアリング装置に用いられる部品などに好適なものである。
例えば車両の電動パワーステアリング装置に用いられるコラムハウジングなどはアルミダイカスト部品からなる。このようなアルミダイカスト部品の強度評価方法としては、例えば下記特許文献1や特許文献2に記載されるものがある。このうち、特許文献1では、例えばアルミダイカスト部品に超音波を照射してアルミダイカスト部品からの音波情報に基づいてアルミダイカスト部品の鋳巣と破断チル層を検出して第1の内部欠陥3次元分布データを取得し、同じアルミダイカスト部品をX線CT測定してアルミダイカスト部品の複数の断面画像からアルミダイカスト部品の鋳巣を検出して第2の内部欠陥3次元分布データを取得し、第1の内部欠陥3次元分布データと第2の内部欠陥3次元分布データを比較してアルミダイカスト部品の破断チル層の3次元分布データを取得する。また、特許文献2では、アルミダイカスト部品のゲート近傍のランナー部内で凝固した溶湯から検査片を切り出し、その検査片の切出し面である検査面の面積に対する検査面に露出している破断チル層の面積の面積率を算出し、その面積率と所定の基準値とを比較してアルミダイカスト部品の不良を判断する。
特開2005−91288号公報 特開2007−111728号公報
しかしながら、前記特許文献2に記載されるアルミダイカスト部品の強度評価方法は、あくまでもアルミダイカスト部品のランナー部内の凝固した溶湯を検査したものであり、アルミダイカスト部品自体の評価ではない。これに対し、前記特許文献1に記載されるアルミダイカスト部品の強度評価方法は、アルミダイカスト部品自体の評価を可能とするが、例えば大きなアルミダイカスト部品や複雑なアルミダイカスト部品の全ての部分について検査を行うのは実質的に困難である。実際のアルミダイカスト部品は、鋳巣などの内部欠陥を回避することができず、この内部欠陥を起点として破壊することがある。また、アルミダイカスト部品は、多くの場合、複雑な形状をしており、例えば超音波探傷によって内部欠陥を探傷しても、どの部分で強度を評価すべきなのか、明らかとなっていない。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、実際のアルミダイカスト部品の強度を適正に評価することができ、所定の強度のアルミダイカスト部品を得ることが可能なアルミダイカスト部品強度評価方法及びアルミダイカスト部品を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明のアルミダイカスト部品強度評価方法は、アルミダイカスト部品の強度を評価する方法であって、予め行った前記アルミダイカスト部品の捻り試験で破壊し且つ当該アルミダイカスト部品を予め応力解析して求めた高応力部に対し、当該高応力部の所定範囲の内部欠陥を超音波探傷し、当該所定範囲の内部欠陥の最大欠陥面積が所定値以下であるときに当該アルミダイカスト部品が所定の強度を有すると評価することを特徴とするものである。
また、本発明のアルミダイカスト部品は、前記アルミダイカスト部品強度評価方法で強度が評価されたアルミダイカスト部品であって、前記高応力部の所定範囲の内部欠陥の最大欠陥面積が0.8mm2以下であることを特徴とするものである。
また、前記アルミダイカスト部品が、車両の電動パワーステアリング装置に用いられるコラムハウジングであり、前記高応力部が前記コラムハウジングのキーロック部であることを特徴とするものである。
而して、本発明のアルミダイカスト部品強度評価方法によれば、予め行った捻り試験で破壊し且つ予め応力解析で求めたアルミダイカスト部品の高応力部に対し、当該高応力部の所定範囲の内部欠陥を超音波探傷し、当該所定範囲の内部欠陥の最大欠陥面積が所定値以下であるときに当該アルミダイカスト部品が所定の強度を有すると評価することとしたため、実際のアルミダイカスト部品の強度を適正に評価することができる。
また、本発明のアルミダイカスト部品によれば、本発明のアルミダイカスト部品強度評価方法で強度評価し、高応力部の所定範囲の内部欠陥の最大欠陥面積を0.8mm2以下としたことにより、所定の強度のアルミダイカスト部品を得ることができる。
本発明のアルミダイカスト部品強度評価方法の一実施形態を示す説明図である。 図1のアルミダイカスト部品強度評価方法における内部欠陥探傷の説明図である。 アルミダイカスト部品の捻り試験による破壊部の説明図である。 アルミダイカスト部品の高応力部の説明図である。 アルミダイカスト部品の高応力部の説明図である。 図2の内部欠陥探傷で得られる画像の説明図である。 図2の内部欠陥探傷で得た探傷画像である。 図7の探傷画像を二値化した画像である。 図8の二値化探傷画像から画像解析により内部欠陥面積を抽出した画像である。 内部欠陥面積と曲げ試験荷重の関係を示す説明図である。
次に、本発明のアルミダイカスト部品強度評価方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のアルミダイカスト部品強度評価方法で用いられる6軸可動超音波探傷装置の説明図であり、図1aは装置の全体図、図1bは被探傷物とターンテーブルの詳細図、図1cは内部欠陥探傷の説明図である。図中の符号1は、本実施形態で強度を評価する対象となるアルミダイカスト部品であり、例えば電動パワーステアリング装置のコラムハウジングである。
本実施形態では、ターンテーブル2の上にアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1を搭載し、ターンテーブル2を回転させながら探触子(プローブ)3を上方から下方に移動し、アルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の内側を螺旋状に探傷する。本実施形態のアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1は、円筒部を有するので、この円筒部の後述する高応力部を超音波探傷装置で探傷し、内部欠陥を検出する。
探傷にあたっては、図2aに示すように、アルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の表面エコーと底面エコーの間に評価ゲートを設定した。評価ゲートは探傷範囲を意味する。超音波探傷では、探触子3から発振された超音波はアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の表面と底面で反射して戻ってくる。その反射波が夫々表面エコー、底面エコーとなる。図2bに示すように、アルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の探傷範囲内部に内部欠陥4が存在する場合、表面エコーと底面エコーの間、即ち評価ゲートの範囲に欠陥エコーが表れる。表面エコーの時刻と底面エコーの時刻は予め分かっているので、二つの時刻の間に存在するエコーが欠陥エコーとなる。そして、その欠陥エコーの最も大きなものをアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の内部に図示化する手法を用いた。なお、本実施形態のアルミダイカスト部品1であるコラムハウジングの円筒部の内径はφ38mmであり、探傷範囲を当該円筒部の軸線方向90mmの範囲とした。また、アルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の円筒部の内周面を旋削加工した方が内周面表面で超音波が乱反射しにくくなるため欠陥エコーを検出しやすい。
探傷に先立ち、本実施形態のアルミダイカスト部品1であるコラムハウジングのキーロック部にキーを装入して捻り方向の負荷をかける捻り試験を行った。捻り試験の結果、図3に示すAの部分、具体的にはキーロック部に破壊(割れ)が生じた。一方、アルミダイカスト部品(コラムハウジング)1について、捻り試験と同様の負荷条件で応力解析を行った結果、図4に示すBの部分、同じくキーロック部が高応力部であることが分かった。両者を比較すると、応力解析によるアルミダイカスト部品1の高応力部、つまりコラムハウジングのキーロック部で破壊が発生することが分かる。即ち、この高応力部(キーロック部)では、例えば内部欠陥を起点とする破壊が生じやすいことから、高応力部の内部欠陥を探傷することとした。
図5には、本実施形態のアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の高応力部(キーロック部)5を示す。図中の黒い枠内が高応力部(所定範囲)5に相当する。この高応力部(キーロック部)5を含めてアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の内部を超音波探傷し、図6に示すように、当該アルミダイカスト部品(コラムハウジング)1をスリットの部分から切り割って内部を展開した図の上に内部欠陥を図示化する。
図7は、前述したアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の探傷範囲の超音波探傷による探傷画像である。探傷範囲は、前述したように、高さ方向に90mm、円筒部の内周全周であるから、画像の横軸は119mm(内径φ38mmの内周)、縦軸は90mmである。この探傷画像に対し、50%エコー強度を閾値とし、それ以上とそれ以下で二値化して色分けしたのが図8である。図中の黒色部分が、エコー強度50%以上の内部欠陥である。更に、図8に示すエコー強度50%以上の内部欠陥の夫々の面積を画像解析したのが図9である。なお、画素数にして50pixel以下(面積0.2mm2未満)は強度的に問題ないと判断し、内部欠陥の面積評価対象から排除した。
下記表1は、このようにして解析された全ての内部欠陥の面積である。このうち、前述した高応力部(キーロック部)5内に存在する内部欠陥は、表中のNo.5である。なお、高応力部(キーロック部)5内に複数の内部欠陥が存在する場合、最大の内部欠陥の面積を抽出し、その面積を評価することとした。
Figure 2013083560
このようにして10個のアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1について、同様に超音波探傷によって内部欠陥を検出し、そのうちの高応力部(キーロック部)5内の内部欠陥の面積を解析した。更に、それらのアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1に対して捻り試験を行い、破壊トルクを検出した。下記表2に、高応力部(キーロック部)5内の内部欠陥の面積と捻り試験の破壊トルク荷重の関係を示す。また、表2の結果をグラフに表したのが図10である。
Figure 2013083560
図10から明らかなように、高応力部(キーロック部)5内の内部欠陥の面積が大きいほど、捻り試験の破壊トルクが小さい。つまり、高応力部(キーロック部)5内の内部欠陥の面積が大きいほど、早く破壊すると考えられる。しかしながら、高応力部(キーロック部)5内の内部欠陥の面積が、実質的に0.8mm2以下であれば、内部欠陥の面積の大きさに関係なく、ほぼ一定の破壊強度が保持される。即ち、本実施形態のアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の場合、高応力部(キーロック部)5内の内部欠陥の面積が0.8mm2以下であれば、所定の強度を有すると評価することができる。
また、実際のアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の破壊断面を観察すると、内部欠陥を起点として亀裂が広がっていることから、内部欠陥起点型の破壊であると考えられ、従って高応力部(キーロック部)5内の内部欠陥の大きさ、つまり面積を検出し、その内部欠陥の面積が所定値以下であれば内部欠陥起点型の破壊を抑制防止できることから、高応力部(キーロック部)5内の内部欠陥の面積が所定値以下であるときにアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1が所定の強度を有すると評価することは適正であると考えられる。
このように、本実施形態のアルミダイカスト部品強度評価方法では、予め行った捻り試験で破壊し且つ予め応力解析で求めたアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の高応力部(キーロック部)5の所定範囲の内部欠陥を超音波探傷し、当該所定範囲の内部欠陥の最大欠陥面積が所定値以下であるときに当該アルミダイカスト部品(コラムハウジング)1が所定の強度を有すると評価することにより、実際のアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1の強度を適正に評価することができる。
また、本実施形態のアルミダイカスト部品によれば、本実施形態のアルミダイカスト部品強度評価方法で強度評価し、高応力部(キーロック部)5の所定範囲の内部欠陥の最大欠陥面積を0.8mm2以下としたことにより、所定の強度のアルミダイカスト部品(コラムハウジング)1を得ることができる。
1はアルミダイカスト部品(コラムハウジング)
2はターンテーブル
3は探触子
4は内部欠陥
5は高応力部(キーロック部)

Claims (3)

  1. アルミダイカスト部品の強度を評価する方法であって、予め行った前記アルミダイカスト部品の捻り試験で破壊し且つ当該アルミダイカスト部品を予め応力解析して求めた高応力部に対し、当該高応力部の所定範囲の内部欠陥を超音波探傷し、当該所定範囲の内部欠陥の最大欠陥面積が所定値以下であるときに当該アルミダイカスト部品が所定の強度を有すると評価することを特徴とするアルミダイカスト部品強度評価方法。
  2. 前記請求項1のアルミダイカスト部品強度評価方法で強度が評価されたアルミダイカスト部品であって、前記高応力部の所定範囲の内部欠陥の最大欠陥面積が0.8mm2以下であることを特徴とするアルミダイカスト部品。
  3. 前記アルミダイカスト部品が、車両の電動パワーステアリング装置に用いられるコラムハウジングであり、前記高応力部が前記コラムハウジングのキーロック部であることを特徴とする請求項2に記載のアルミダイカスト部品。
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