JP2013081725A - 心臓手術用送血カニューレ - Google Patents

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Abstract

【課題】人工心肺装置で大腿動脈から挿入する従来型の短い送血カニューレを用いることにより起こる大動脈逆行性解離や動脈硬化プラークによる脳梗塞などの合併症回避を目的に新たな動脈送血用カニューレを提供する。
【解決手段】カニューレ形状をより長く、かつ先端を流線型の柔らかいチップ形状にすること、およびカニューレの側面に円形、楕円形あるいは涙滴状の穴16をカニューレの長軸に沿い螺旋状に配置することで、カニューレ先端からの急速な血液放出を抑制し、送血流は渦流を形成し血管壁50への強い負担を軽減することが可能となった。大腿動脈への挿入も容易なようガイドワイヤーを用いての挿入を可能とした。このカニューレにより上記の重篤な合併症が回避でき、高齢者や高度重症患者に対しても安全に心臓手術が可能となる。
【選択図】図5

Description

本研究は従来の動脈送血カニューレを長く、かつ先端を流線型の柔らかいチップ形状にすることにより人工心肺送血時の逆行性解離や動脈硬化プラーク飛散を予防することを目的としたカニューレに関するものである。
従来の市販の動脈送血用カニューレは、大腿動脈より挿入する短いカニューレであり先端が解放してある管状の構造物で主に緊急の心肺蘇生用に開発された。
発明が解決しようとする課題
前述の市販の従来型カニューレは短く、挿入部である大腿動脈より逆行性に人工心肺血が大動脈内に非生理的な逆行性に送血されることと、カニューレ先端が解放されているため、人工心肺からの血液が勢いよく一部の血管壁に当たり死亡につながる逆行性解離や、脳梗塞の原因となる動脈硬化プラーク飛散など重篤な合併症が起こっていた。
課題を解決するための手段
動脈送血カニューレを長く、かつ先端を流線型の柔らかいチップ形状にすること、およびカニューレの側面に円形、楕円形あるいは涙滴状の穴をあけることで先端からの急速な血液放出を抑制することを目的とした。また穴はカニューレの長軸に沿い螺旋状に配列することで大動脈内で送血時にその血流が渦流を形成し直接血管の一部の壁に強い血流が当たらないように制作する。
発明の効果
従来品に比べて人工心肺による血流が血管壁に対してはるかに低侵襲であること、命にかかわる重篤な人工心肺合併症である逆行性解離や動脈硬化プラーク飛散のほとんどが予防できることなどから高齢者や併存症の多い患者さんにたいして安全に心臓手術ができるようになる。
発明の詳細な説明
本発明は、血液の体外循環を実施する際に使用される送血カニューレに関する。
従来より、患者の心臓手術への補助手段として、人工心肺装置が使われている。この装置は心臓の手術中、停止した心臓や肺の代わりに血液の体外循環を行うことにより、手術の間一時的に患者の心臓と肺機能を代替するものである。
ところで、人工心肺装置では、通常、患者の血液が、脱血カニューレを使って右心房付近から取り出され、人工肺を経由させた後、送血カニューレを使って大腿動脈より逆行性に挿入し大動脈内へと戻されていた。しかし、大腿動脈から挿入する従来型の短いカニューレでは、動脈血液を大腿動脈から逆行性に上半身へ送血するために、時折大動脈が逆行性に解離を起こし重篤な合併症となり死に至ることがあるという欠点があった。また、逆行性に上半身へ送血することによって動脈硬化の強い患者の場合には大腿動脈や腹部大動脈の内壁に付着する動脈硬化プラークを頭部の血管などに飛ばして脳梗塞などの発生要因になる恐れもあった。
そこで、本発明は、脱血カニューレを使って右心房から吸入した血液を、送血カニューレを使って胸部大動脈内に送出することにより、大動脈の逆行性解離と動脈プラークの頭部への飛散の危険を低減することを考えた。このような補助循環を実施できれば、人工心肺装置運転に伴う重篤な合併症も防止できるものと期待される。
発明が解決しようとする課題
しかしながら、上述の如き大腿動脈より挿入して順行性送血を実現するには、以下に述べるような問題があった。まず、このような補助循環を実施するに当たっては、送血カニューレの血液放出口を胸部大動脈内に配置する必要が生じる。そのため、送血カニューレを経皮的に挿入しようとすれば、例えば大腿動脈から腹部大動脈を経て胸部大動脈内に到達させざるを得ず、あまり細い送血カニューレでは十分な量の血液を胸部大動脈内へ送出できないため、有意な補助を実施できないという問題があった。
また静脈用に市販されている既存の長いカニューレを送血用に流用することが考えられるが、既存のカニューレは先端が開放しているためその先端から直線的に血液を送血されるため大動脈内の一部に強い血流があたることでかえって大動脈を損傷する恐れがあった。
本発明は、上記諸問題を解決するためになされたものであり、その目的は、送血時には十分な量の血液を送出可能で、しかも、送血時には局所的に大動脈壁に血流が当たらない自然な層流を形成することと、更に、大腿動脈より挿入可能にも関わらず胸部大動脈より順行送血を可能にするカニューレを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段、および発明の効果
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、長尺で柔軟な管状体で、近位端を体外に残して血管内に挿入され、近位端の血液注入口から注入される血液を、遠位端の血液放出口から放出可能な送血カニューレにおいて、血液を注入するとカニューレ側面の小孔より血液が放出され、先端部より長軸方向に直線的に放出されない構造とされていることを特徴とする。
この送血カニューレは、血液を注入する際に先端が閉鎖されている構造とされている点に特徴があるが、そのような構造については種々のものが考えられる。より具体的には、例えばカニューレの先端を柔らかい材質にすることにより柔軟性を向上させることができ、特に本発明者が実験的に検討した結果によれば、テフロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、塩化ビニルなどの医療器具に適した樹脂材料でカニューレを作製した場合には、請求項2記載のように、血管内へ挿入される先端部分は、外径が3mm〜12mmで、管をなす壁面の肉厚が、0.2mm〜1.0mmとされていると、きわめて安全にスムーズに十分な量の血液を送出することができることが確認された。
また、送血流量を十分確保するためにこの他にも、例えばカニューレの側面に開けられた小孔の配列は従来の長軸に沿った直線的な配列ではなく、小孔の配列をカニューレ長軸に沿って螺旋配列とする構造とした。
以上のように構成された送血カニューレによれば、内部に血液を注入すると、カニューレ本体側面に螺旋状に開けられた小孔を通して血液がカニューレを中心に同心円状にかつ螺旋状に放出がされる。この層流形成によって、カニューレ外周と血管内周との間隙が広がることになり、送血カニューレによって動脈内の動脈硬化プラークがはがれにくくなることが期待される。また、カニューレから放出される螺旋状の血流は、既存のカニューレに比べより効率的に高い流量を大動脈内に送ることができることを我々は実験的に確認した。
したがって、このような送血カニューレを、例えば大腿静脈などから挿入して、腹部大動脈を経て胸部大動脈内に到達させれば、十分な量の血液を胸部大動脈内へ送出することができ、大腿動脈から安全に順行性送血の補助循環を実施することができる。また、送血カニューレ先端は極めて柔軟に形成されているのでカニューレ先端が胸部大動脈内に留置されても大動脈内壁を傷つけるといった問題も招きにくい。
ところで、本発明の送血カニューレは、上述のようにかなり柔軟なものであるため、手元側の操作によってカニューレ本体のみを血管内へ押し込んでも、カニューレが血管内で折れ曲がる恐れがある。したがって、このようなカニューレをうまく血管内へ挿入するためには、例えばスタイレットなど、カニューレ本体に挿入可能な支持体を備えているとよい。
そこで、例えば請求項4記載の送血器具のように、請求項1または請求項2記載の送血カニューレと、該送血カニューレよりも短尺な可撓性を有する部材であって、内部にはガイドワイヤを挿通可能な内腔が形成され、前記送血カニューレの血液注入口から当該送血カニューレ内へ挿入され、先端部付近が前記送血カニューレの血液放出口を通過不能な形状で前記送血カニューレの血液注入口側からのみ抜去可能な支持体とを備えているとよい。
このような送血器具は、支持体を送血カニューレ内に挿入した状態で血管内へ挿入される。血管内への挿入に当たっては、ガイドワイヤをあらかじめ送血カニューレの挿入部位から挿入して目的とする位置に到達させ、そのガイドワイヤを支持体の内腔に導入しつつ、ガイドワイヤに沿わせて血管内へ挿入される。支持体の先端部付近は、送血カニューレの遠位端側の血液放出口を通過不能な形状にされているため、手元側において支持体を押し進めれば、支持体の先端部付近が送血カニューレの遠位端に引っかかり、送血カニューレは支持体の進行方向へと引っ張られることになる。したがって、この送血器具の進行経路が湾曲していても、送血器具はガイドワイヤに沿ってスムーズに誘導される。また、送血器具が目的とする位置に到達したら、支持体は送血カニューレから抜去される。したがって、この状態では、送血カニューレの内腔を介して送血を行うことができる。
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
図1に示すように、送血器具1は、送血カニューレ2と、送血カニューレ2の内部に挿入された支持体3とを備えてなる。
送血カニューレ2は、図1(b)に示すように、遠位端側が僧帽状に絞り込まれたシリコンあるいは塩化ビニールなどの柔軟な先端部 x とポリエチレン製の柔軟なチューブ部10と、チューブ部10の近位端側に固定されたポリカーボネート製のコネクタ部12からなり、コネクタ部12の端面には、チューブ部10の血液注入口14が形成され、一方、チューブ部10の端面には、血液放出口16が形成されている。チューブ部10は、同一形状が連続する部分を省略して図示してあるが、実際は、全長が約500mm〜1000mmとされている。また、チューブ部10は、最も太い部分の外径が約3mm〜12mmで、管を形成する素材の肉厚は、約0.2〜1.0mmという薄いものである。またチューブ部10の側面に配置された血液放出口16はカニューレ長軸にそって螺旋状に配列されている。その血液放出口16の形状は円あるいは楕円など様々な形状の可能性が考えられる。
一方、支持体3は、ポリエチレン製で、図1(c)に示すように、送血カニューレ2よりも僅かに短いい軸部20と、血管内での前進をよりスムーズにするために、軸部20の遠位端側を細く絞り込んで形成された先端部22と、軸部20の近位端側に設けられた操作端部24とからなり、これらの内部を長手方向に貫通する形で内腔26が形成されている。
この支持体3は、送血カニューレ2の内部に送血カニューレ2の近位端側から挿入され、図2に示すように、支持体3の先端部22が送血カニューレ2の内腔に挿入され、その位置まで挿入されたところで送血カニューレ2の先端付近に引っかかる。また、支持体3の内腔26には、図2のようにガイドワイヤ30を挿通可能である。
次に、この送血器具1の使用方法について説明する。まず図3に示すように準備作業として、大腿動脈をシースにて穿刺し、ガイドワイヤーをシースより挿入する。ガイドワイヤーは、大腿動脈から腹部大動脈を経て胸部大動脈にまで誘導される。ガイドワイヤーの先端部が確実に胸部大動脈内に入ったら、送血器具1を挿入する準備が完了する。
以上の準備作業が完了したら、図3に示すように、支持体3の内腔26にガイドワイヤ30を通しつつ、送血器具1を大腿動脈内に挿入する。送血器具1は、ガイドワイヤ30に沿って押し進められ、大腿動脈から腹部大動脈を経て胸部大動脈にまで誘導される。そして、送血器具1の先端が確実に胸部大動脈内に入ったら、送血カニューレ2だけを残して、支持体3およびガイドワイヤ30を体外へ抜去する。
一方、こうして留置される送血カニューレ2とは別に、図4に示すように、脱血カニューレ32を下大静脈側から挿入して、その先端を右心房RAに到達させる。なお、この脱血カニューレ32については、従来よりPCPS等において使用されているものを用いればよい。また、送血カニューレ2および脱血カニューレ32は、血液ポンプ34に接続される。血液ポンプ34は、図4中に矢印で示したように、脱血カニューレ32を介して吸入した血液を人工肺35および送血カニューレ2を介して送出する装置である。
以上のような送血カニューレ2によれば、血液ポンプ34から血液が注入されると、心停止下の心臓からの血液拍出のない状態で人工心肺を用いた血液の流れは通常の生理的な灌流方向と同じく胸部大動脈から腹部大動脈そして大腿動脈方向といういわゆる順行性送血が可能となる。また送血部分での血液の流れを図をもとに詳述すると 図5のように、カニューレを通して大動脈50内に送血すると血液の流れは図示矢印51方向カニューレそって小孔16より螺旋状にしかも同心円状に放出する。そのため螺旋状層流を作らないカニューレにくらべてより高い流量の確保ができ、また大動脈壁への局所的な高圧暴露が減弱するので内壁を傷める事なく大動脈壁の動脈硬化性プラークがあっても遊離しにくいという利点がある。
したがって、このような送血カニューレ2を脱血カニューレ32および血液ポンプ34と組み合わせて使用することにより、大腿動脈より補助循環を実施することができる。また、この送血カニューレ2先端は、きわめて柔軟性に富んでいて、送血カニューレ2の使用時に胸部大動脈壁の内壁を傷付けるといった問題も招きにくい。
更に、送血器具1は、ガイドワイヤ30を挿通可能な支持体3を備えているので、送血カニューレ2自体の剛性がきわめて低いにもかかわらず、送血カニューレ2をガイドワイヤ30沿いに誘導できる。
本研究は従来の動脈送血カニューレを長く、かつ先端を流線型の柔らかいチップ形状にすることにより人工心肺送血時の逆行性解離や動脈硬化プラーク飛散を予防することを目的とした送血カニューレに関するものである。
従来より、患者の心臓手術への補助手段として、人工心肺装置が使われている。この人工心肺装置では、通常、患者の血液が、脱血カニューレを使って右心房付近から取り出され、人工肺を経由させた後、送血カニューレを使って大腿動脈より逆行性に挿入し大動脈内へと戻されていた。しかし、大腿動脈から挿入する従来型の短いカニューレでは、動脈血液を大腿動脈から逆行性に上半身へ送血するために、時折大動脈が逆行性に解離を起こし重篤な合併症となり死に至ることがあるという欠点があった。また、逆行性に上半身へ送血することによって動脈硬化の強い患者の場合には大腿動脈や腹部大動脈の内壁に付着する動脈硬化プラークを頭部の血管などに飛ばして脳梗塞などの発生要因になる恐れもあった。
大腿動脈より挿入して順行性送血を実現するには、以下に述べるような問題があった。まず、このような補助循環を実施するに当たっては、送血カニューレの血液放出口を胸部大動脈内に配置する必要が生じる。そのため、送血カニューレを経皮的に挿入しようとすれば、例えば大腿動脈から腹部大動脈を経て胸部大動脈内に到達させざるを得ず、あまり細い送血カニューレでは十分な量の血液を胸部大動脈内へ送出できないため、有意な補助を実施できないという問題があった。
また静脈用に市販されている既存の長いカニューレを送血用に流用することが考えられるが、既存のカニューレは先端が開放しているためその先端から直線的に血液を送血されるため大動脈内の一部に強い血流があたることでかえって大動脈を損傷する恐れがあった。
本発明は、上記諸問題を解決するためになされたものであり、その目的は、送血時には十分な量の血液を送出可能で、しかも、送血時には局所的に大動脈壁に血流が当たらない自然な層流を形成することと、更に、大腿動脈より挿入可能にも関わらず胸部大動脈より順行送血を可能にするカニューレを提供することを目的とする。
動脈送血カニューレを長く、かつ先端を流線型の柔らかいチップ形状にすること、およびカニューレの側面に円形、楕円形あるいは涙滴状の穴をあけることで先端からの急速な血液放出を抑制することを目的とした。また穴はカニューレの長軸に沿い螺旋状に配列することで大動脈内で送血時にその血流が渦流を形成し直接血管の一部の壁に強い血流が当たらないように制作する。
この送血カニューレは、血液を注入する際に先端が閉鎖されている構造とされている点に特徴があるが、そのような構造については種々のものが考えられる。より具体的には、例えばカニューレの先端を柔らかい材質にすることにより柔軟性を向上させることができ、特に本発明者が実験的に検討した結果によれば、テフロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、塩化ビニルなどの医療器具に適した樹脂材料でカニューレを作製した場合には、請求項2記載のように、血管内へ挿入される先端部分は、外径が3mm〜12mmで、管をなす壁面の肉厚が、0.2mm〜1.0mmとされていると、きわめて安全にスムーズに十分な量の血液を送出することができることが確認された。
また、送血流量を十分確保するためにこの他にも、例えばカニューレの側面に開けられた小孔の配列は従来の長軸に沿った直線的な配列ではなく、小孔の配列をカニューレ長軸に沿って螺旋配列とする構造とした。
以上のように構成された送血カニューレによれば、内部に血液を注入すると、カニューレ本体側面に螺旋状に開けられた小孔を通して血液がカニューレを中心に同心円状にかつ螺旋状に放出がされる。この層流形成によって、カニューレ外周と血管内周との間隙が広がることになり、送血カニューレによって動脈内の動脈硬化プラークがはがれにくくなることが期待される。また、カニューレから放出される螺旋状の血流は、既存のカニューレに比べより効率的に高い流量を大動脈内に送ることができることを我々は実験的に確認した。
したがって、このような送血カニューレを、例えば大腿静脈などから挿入して、腹部大動脈を経て胸部大動脈内に到達させれば、十分な量の血液を胸部大動脈内へ送出することができ、大腿動脈から安全に順行性送血の補助循環を実施することができる。また、送血カニューレ先端は極めて柔軟に形成されているのでカニューレ先端が胸部大動脈内に留置されても大動脈内壁を傷つけるといった問題も招きにくい。
ところで、本発明の送血カニューレは、上述のようにかなり柔軟なものであるため、手元側の操作によってカニューレ本体のみを血管内へ押し込んでも、カニューレが血管内で折れ曲がる恐れがある。したがって、このようなカニューレをうまく血管内へ挿入するためには、例えばスタイレットなど、カニューレ本体に挿入可能な支持体を備えているとよい。
そこで、例えば請求項4記載の送血器具のように、請求項1または請求項2記載の送血カニューレと、該送血カニューレよりも短尺な可撓性を有する部材であって、内部にはガイドワイヤを挿通可能な内腔が形成され、前記送血カニューレの血液注入口から当該送血カニューレ内へ挿入され、先端部付近が前記送血カニューレの血液放出口を通過不能な形状で前記送血カニューレの血液注入口側からのみ抜去可能な支持体とを備えているとよい。
このような送血器具は、支持体を送血カニューレ内に挿入した状態で血管内へ挿入される。血管内への挿入に当たっては、ガイドワイヤをあらかじめ送血カニューレの挿入部位から挿入して目的とする位置に到達させ、そのガイドワイヤを支持体の内腔に導入しつつ、ガイドワイヤに沿わせて血管内へ挿入される。支持体の先端部付近は、送血カニューレの遠位端側の血液放出口を通過不能な形状にされているため、手元側において支持体を押し進めれば、支持体の先端部付近が送血カニューレの遠位端に引っかかり、送血カニューレは支持体の進行方向へと引っ張られることになる。したがって、この送血器具の進行経路が湾曲していても、送血器具はガイドワイヤに沿ってスムーズに誘導される。また、送血器具が目的とする位置に到達したら、支持体は送血カニューレから抜去される。したがって、この状態では、送血カニューレの内腔を介して送血を行うことができる。
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。図1に示すように、送血器具1は、送血カニューレ2と、送血カニューレ2の内部に挿入された支持体3とを備えてなる。
送血カニューレ2は、図1(b)に示すように、遠位端側が僧帽状に絞り込まれたシリコンあるいは塩化ビニールなどの柔軟な先端部 x とポリエチレン製の柔軟なチューブ部10と、チューブ部10の近位端側に固定されたポリカーボネート製のコネクタ部12からなり、コネクタ部12の端面には、チューブ部10の血液注入口14が形成され、一方、チューブ部10の端面には、血液放出口16が形成されている。チューブ部10は、同一形状が連続する部分を省略して図示してあるが、実際は、全長が約500mm〜1000mmとされている。また、チューブ部10は、最も太い部分の外径が約3mm〜12mmで、管を形成する素材の肉厚は、約0.2〜1.0mmという薄いものである。またチューブ部10の側面に配置された血液放出口16はカニューレ長軸にそって螺旋状に配列されている。その血液放出口16の形状は円あるいは楕円など様々な形状の可能性が考えられる。
一方、支持体3は、ポリエチレン製で、図1(c)に示すように、送血カニューレ2よりも僅かに短いい軸部20と、血管内での前進をよりスムーズにするために、軸部20の遠位端側を細く絞り込んで形成された先端部22と、軸部20の近位端側に設けられた操作端部24とからなり、これらの内部を長手方向に貫通する形で内腔26が形成されている。
この支持体3は、送血カニューレ2の内部に送血カニューレ2の近位端側から挿入され、図2に示すように、支持体3の先端部22が送血カニューレ2の内腔に挿入され、その位置まで挿入されたところで送血カニューレ2の先端付近に引っかかる。また、支持体3の内腔26には、図2のようにガイドワイヤ30を挿通可能である。
次に、この送血器具1の使用方法について説明する。まず図3に示すように準備作業として、大腿動脈をシースにて穿刺し、ガイドワイヤーをシースより挿入する。ガイドワイヤーは、大腿動脈から腹部大動脈を経て胸部大動脈にまで誘導される。ガイドワイヤーの先端部が確実に胸部大動脈内に入ったら、送血器具1を挿入する準備が完了する。
以上の準備作業が完了したら、図3に示すように、支持体3の内腔26にガイドワイヤ30を通しつつ、送血器具1を大腿動脈内に挿入する。送血器具1は、ガイドワイヤ30に沿って押し進められ、大腿動脈から腹部大動脈を経て胸部大動脈にまで誘導される。そして、送血器具1の先端が確実に胸部大動脈内に入ったら、送血カニューレ2だけを残して、支持体3およびガイドワイヤ30を体外へ抜去する。
一方、こうして留置される送血カニューレ2とは別に、図4に示すように、脱血カニューレ32を下大静脈側から挿入して、その先端を右心房RAに到達させる。なお、この脱血カニューレ32については、従来よりPCPS等において使用されているものを用いればよい。また、送血カニューレ2および脱血カニューレ32は、血液ポンプ34に接続される。血液ポンプ34は、図4中に矢印で示したように、脱血カニューレ32を介して吸入した血液を人工肺35および送血カニューレ2を介して送出する装置である。
以上のような送血カニューレ2によれば、血液ポンプ34から血液が注入されると、心停止下の心臓からの血液拍出のない状態で人工心肺を用いた血液の流れは通常の生理的な灌流方向と同じく胸部大動脈から腹部大動脈そして大腿動脈方向といういわゆる順行性送血が可能となる。また送血部分での血液の流れを図をもとに詳述すると 図5のように、カニューレを通して大動脈50内に送血すると血液の流れは図示矢印51方向カニューレそって小孔16より螺旋状にしかも同心円状に放出する。そのため螺旋状層流を作らないカニューレにくらべてより高い流量の確保ができ、また大動脈壁への局所的な高圧暴露が減弱するので内壁を傷める事なく大動脈壁の動脈硬化性プラークがあっても遊離しにくいという利点がある。
したがって、このような送血カニューレ2を脱血カニューレ32および血液ポンプ34と組み合わせて使用することにより、大腿動脈より補助循環を実施することができる。また、この送血カニューレ2先端は、きわめて柔軟性に富んでいて、送血カニューレ2の使用時に胸部大動脈壁の内壁を傷付けるといった問題も招きにくい。
更に、送血器具1は、ガイドワイヤ30を挿通可能な支持体3を備えているので、送血カニューレ2自体の剛性がきわめて低いにもかかわらず、送血カニューレ2をガイドワイヤ30沿いに誘導できる。
本発明のカニューレの全体側面図 本発明のカニューレとガイドワイヤの全体側面図 本発明の使用前の準備状態を示す正面図 本発明の使用状態を示す正面図
1 支持体を挿入した状態の送血カニューレ本体
2 支持体を抜去した送血カニューレ本体
3 送血カニューレに挿入する支持体
4 先端部
10 チューブ部
12 コネクタ部
14 血液注入口
16 血液放出口
20 支持体の軸部
24 支持体の操作端部
26 支持体の内腔
30 ガイドワイヤ
32 脱血カニューレ
34 血液ポンプ
35 人工肺
40 大腿動脈
50 大動脈
51 螺旋方向矢印

Claims (5)

  1. 長尺で柔軟な管状体で、近位端を体外に残して血管内に挿入され、近位端の血液注入口から注入される血液を、遠位端の血液放出口から放出可能な送血カニューレにおいて、先端が閉鎖した形状であり血液を注入するとカニューレ側面にあけられた多数の小孔より血液が放出される構造とされていることを特徴とする送血カニューレ。
  2. 請求項1記載の送血カニューレにおいて、外径が3mm〜12mmで、管をなす壁面の肉厚が、0.03mm〜0.1mmでありとくに血管内へ挿入される先端部分は、弾力のあるシリコンあるいは塩化ビニールまたはゴムなどの柔らかい素材で、僧帽型にできており血管内の傷害することのないように作られていることを特徴とする送血カニューレ。
  3. 請求項1または請求項2記載の送血カニューレの血管内へ挿入される部分の側面には小孔が開けられていて、その孔を通して流体は排出されるが、小孔はカニューレに沿ってらせん状に規則正しく配列されており、その孔を通して排出される流体がカニューレを留置した管腔内で当該カニューレを中心に渦流を形成することを特徴とする送血器具。
  4. 請求項1または請求項2記載の送血カニューレの血管内へ挿入される部分の側面には小孔が開けられているが、その小孔の形は円形、楕円形、涙滴型などが考えられ、特に楕円形、涙滴型に形成された小孔の長軸は請求項3記載のカニューレに沿ったらせん状の配列の長軸に重なるよう形成される。
  5. 請求項1または請求項2記載の送血カニューレと、該送血カニューレよりも単尺な可撓性を有する部材であって、内部にはガイドワイヤを挿通可能な第1内腔および流体の給排路となる第2内腔が形成されることを特徴とする送血器具。
JP2011233376A 2011-10-05 2011-10-05 心臓手術用送血カニューレ Pending JP2013081725A (ja)

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