JP2013078967A - 車体左右動ストッパ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】台車枠21に対する車体10の左右方向への相対移動可能範囲を規制する車体左右動ストッパ装置100を、車体と台車枠の一方に設けられた固定ストッパ部材110と、車体と台車枠の他方に設けられ車体と台車との左右方向の相対移動量が所定の最大許容移動量に達したときに固定ストッパ部材と当接する可動ストッパ部材120と、可動ストッパ部材を、最大許容移動量が変化するように駆動する可動ストッパ部材駆動手段130とを備える構成とする。
【選択図】図2
Description
このような鉄道車両においては、まくらばねの変形による車体の最大左右変位を規制するため、車体と台車との間に左右動ストッパ装置が設けられている。
例えば、特許文献1には、設定値以上に大きな左右動が生じた場合に、粘弾性物質で構成されたストッパ材が当接するように構成した車体左右動ストッパ装置が記載されている。
しかし、鉄道車両の場合、左右動ストッパ装置における最適な遊間は、状況により異なることが知られている。
例えば、大規模地震時には、軌道からの加振によって車体と台車との相対変位が著大となってストッパが激しく衝突し、場合によっては車体が台車を大きく揺れ動かして脱線に至ることが懸念される。
これまでの知見により、このような場合には、遊間が広いと低周波の地震動では脱線を防止できる場合があることが知られている。
このような場合には、遊間を小さく設定することが好ましい。
これによれば、例えば地震の発生や曲線路での停車といった状況に応じて可動ストッパ部材駆動手段を作動させて遊間を変更し、車両の状態に応じた適切な遊間を設定して地震による脱線や、軌道のカントによる車両限界からの逸脱を防止することができる。
また、前記可動ストッパ部材駆動手段は、前記最大許容移動量を通常運転時に対して減少させる方向に前記可動ストッパ部材を駆動する構成としてもよい。
さらに、前記可動ストッパ部材駆動手段は、前記最大許容移動量を通常運転時に対して増加させる方向及び減少させる方向の双方向に前記可動ストッパ部材を駆動する構成としてもよい。
また、本発明において、前記可動ストッパ部材駆動手段は、車両が所定以上のカントを有する軌道上に停車した場合に前記最大許容移動量を通常運転時に対して減少させる方向に前記可動ストッパ部材を駆動する構成とすることができる。
<第1実施形態>
先ず、本発明を適用した車体左右動ストッパ装置の第1実施形態について説明する。
第1実施形態の車体左右動ストッパ装置は、例えば旅客用の電車等の鉄道車両に設けられる。
図1は、第1実施形態の車体左右動ストッパ装置が設けられる車両の構成を示す模式図であって、車両の前後方向から見た状態を示している。
車体10は、例えば台枠の上部に側構、妻構、屋根構等を設けることによって、ほぼ六面体状に形成されている。
台車20は、台車枠21、輪軸22、軸箱23、軸ばね24等を有して構成されている。
台車枠21は、台車20を構成する主要な構成部材であって、左右一対の側はりを、横はり、端はりなどで連結することによって、枠状に形成されている。
輪軸22は、車軸22aの両端部に車輪22bを固定して構成されている。
軸箱23は、軸受及び潤滑装置等を軸箱体の内部に収容して構成されている。
軸箱23は、図示しない軸箱支持装置を介して、台車枠21に対して相対移動可能に支持されている。
軸ばね24は、台車枠21と軸箱23との間に設けられ、これらの上下方向相対変位に応じたばね反力を発生するものである。
まくらばね30は、車体10と台車枠21との上下方向相対変位に応じたばね反力を発生する。
車体左右動ストッパ装置100は、中心ピン110、ストッパゴム120、ストッパゴム駆動機構130等を有して構成されている。
中心ピン110は、台車枠21の中央に形成された開口21aに挿入されている。
ストッパゴム120は、台車枠21の開口21aの内周縁部から内径側に突き出して配置されている。
ストッパゴム120は、中心ピン110をまくら木方向に挟んだ両側(左右)にそれぞれ設けられている。
車体10は、この遊間の範囲内で台車枠21に対する左右動を許容されるが、それ以上の左右動は、中心ピン110とストッパゴム120とが当接することによって規制される。
図2は、ストッパゴム駆動機構130の構成を模式的に示す概念図である。
ストッパゴム駆動機構130は、圧力容器131、空気供給管132、制御バルブ133、ピストン134、戻しばね135等を有して構成されている。
空気供給管132は、主空気ためと圧力容器131とを連結し、圧力容器131に高圧の空気を供給する管路である。
制御バルブ133は、空気供給管132の圧力容器131に隣接する領域に設けられ、圧力容器131内の空気圧を調節する機能を有する。
ピストン134は、ストッパゴム120に連結され、圧力容器131内に高圧空気が充填された際(空気込め時)に、その圧力を受けて、ストッパゴム120を遊間が狭まる方向(繰り出される方向)に駆動するものである。
戻しばね135は、圧力容器131内を実質的に大気圧まで減圧した際(空気開放時)に、ストッパゴム120の遊間が広がる方向(引き込まれる方向)にピストン134を付勢して引き戻すものである。
車両の通常運転時には、圧力容器131内には高圧の空気が充填された空気込め状態となっており、ストッパゴム120は繰り出され、遊間は通常運転時に適した設定とされる。
そして、例えば大規模地震の発生あるいはその前兆が検出された場合には、地上の変電所から架線への電力供給が停止される。
架線からの電力供給が停止されると、車両1は自動的に図示しない非常ブレーキ装置を作動させて緊急停車するとともに、主空気ためから各種機器へ供給される空気を大気開放する。
これによって、圧力容器131内の空気圧は実質的に大気圧まで減圧され、ストッパゴム120及びピストン134は、戻しばね135の付勢力によって引き戻され、遊間が拡大する。
また、既存の鉄道車両において一般的に行なわれている地震発生時の空気開放を利用してストッパゴム120を駆動することによって、専用の制御装置等を設ける必要がなく、構造が簡素であり、実車への適用が容易である。
次に、本発明を適用した車体左右動ストッパ装置の第2実施形態について説明する。
なお、以下説明する各実施形態において、従前の実施形態と実質的に同様の箇所については、同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図3は、第2実施形態の車体左右動ストッパ装置の構成を模式的に示す概念図である。
図3に示すように、第2実施形態の車体左右動ストッパ装置100には、以下説明するストッパゴム駆動機構130Bが設けられている。
ストッパゴム駆動機構130Bには、圧力容器131への空気込め時に遊間が拡大し、空気開放時に遊間が縮小するように構成されたピストン134、戻しばね135が設けられている。
ここで、非常時とは、例えば、車両1がカント傾斜のある軌道に停車した場合などがあげられる。
車両1は、例えばGPSの測位情報や、速度発電機によって検出される速度の積分値に基づいて自車位置を検出する自車位置検出装置を有する。
そして、車両が停車したときの自車位置を予め準備された路線のカント勾配データと照合し、カント勾配が所定値以上である場合には、圧力容器131の空気を開放し、遊間を縮小する構成とすることができる。
これによれば、カント勾配が大きい区間での停車中に、車体10の変位が過大となって車両限界を逸脱し、地上側の建造物等と干渉することを防止できる。
次に、本発明を適用した車体左右動ストッパ装置の第3実施形態について説明する。
図4は、第3実施形態の車体左右動ストッパ装置の構成を模式的に示す概念図である。
第3実施形態の車体左右動ストッパ装置100には、以下説明するストッパゴム駆動機構130Cが設けられている。
ストッパゴム駆動機構130Cは、圧力容器131(A室)に隣接して、もう一つの圧力容器231(B室)を設けている。
圧力容器231は、空気供給管232、制御バルブ233を介して、主空気ためから高圧空気の供給を受ける。
さらに、第3実施形態においては、圧力容器131内にストッパゴム120を繰り出す方向に付勢する戻しばね135aが設けられるとともに、圧力容器231内にストッパゴム120を引き込む方向に付勢する戻しばね135bが設けられる。
この中立状態から、圧力容器131(A室)の空気を開放すると、ストッパゴム120が繰り出されて遊間は縮小する。
また、中立状態から圧力容器231(B室)の空気を開放すると、ストッパゴム120が引き込まれて遊間は拡大する。
以上説明した第3実施形態によれば、単一の車体左右動ストッパ装置によって、上述した第1実施形態の効果、第2実施形態の効果をともに得ることができる。
なお、本発明は上記した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。
例えば、車体左右動ストッパ装置の遊間(最大許容移動量)を変更するために、ストッパ部材を駆動する機構の動力源、構造等は適宜変更することが可能である。
また、遊間を変更する理由も地震やカントを有する区間への停車に限らず、他の理由によって遊間を変更してもよい。
また、各実施形態では、台車側に設けられたストッパ部材を駆動しているが、車体側に設けたストッパ部材を駆動する構成としてもよい。例えば、車体側に台車側部材と当接するストッパ部材を設けて、このストッパ部材を駆動してもよい。
20 台車 21 台車枠
21a 開口 22 輪軸
22a 車軸 22b 車輪
23 軸箱 24 軸ばね
30 まくらばね
100 車体左右動ストッパ装置
110 中心ピン 120 ストッパゴム
130,130B,130C ストッパゴム駆動機構
131 圧力容器 132 空気供給管
133 制御バルブ 134 ピストン
134a 受圧部 134b 受圧部
135,135a,135b 戻しばね
231 圧力容器 232 空気供給管
233 制御バルブ
Claims (7)
- 台車枠に対する車体の左右方向への相対移動可能範囲を規制する車体左右動ストッパ装置であって、
前記車体と前記台車枠の一方に設けられた固定ストッパ部材と、
前記車体と前記台車枠の他方に設けられ前記車体と前記台車との左右方向の相対移動量が所定の最大許容移動量に達したときに前記固定ストッパ部材と当接する可動ストッパ部材と、
前記可動ストッパ部材を、前記最大許容移動量が変化するように駆動する可動ストッパ部材駆動手段と
を備えることを特徴とする車体左右動ストッパ装置。 - 前記可動ストッパ部材駆動手段は、前記最大許容移動量を通常運転時に対して増加させる方向に前記可動ストッパ部材を駆動すること
を特徴とする請求項1に記載の車体左右動ストッパ装置。 - 前記可動ストッパ部材駆動手段は、前記最大許容移動量を通常運転時に対して減少させる方向に前記可動ストッパ部材を駆動すること
を特徴とする請求項1に記載の車体左右動ストッパ装置。 - 前記可動ストッパ部材駆動手段は、前記最大許容移動量を通常運転時に対して増加させる方向及び減少させる方向の双方向に前記可動ストッパ部材を駆動すること
を特徴とする請求項1に記載の車体左右動ストッパ装置。 - 前記可動ストッパ部材駆動手段は、地震又は地震の前兆の検出に応じて、前記最大許容移動量を通常運転時に対して増加させる方向に前記可動ストッパ部材を駆動すること
を特徴とする請求項2又は請求項4に記載の車体左右動ストッパ装置。 - 前記可動ストッパ部材駆動手段は、車両が所定以上のカントを有する軌道上に停車した場合に前記最大許容移動量を通常運転時に対して減少させる方向に前記可動ストッパ部材を駆動すること
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車体左右動ストッパ装置。 - 前記可動ストッパ部材駆動手段は、供給空気圧を高めることによって前記可動ストッパ部材を所定の駆動方向へ駆動する気圧アクチュエータと、前記供給空気圧を減圧したときに前記ストッパ部材を前記駆動方向の反対方向へ駆動するバネ要素とを有すること
を特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の車体左右動ストッパ装置。
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