JP2013076604A - 放射線検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】可搬性を有し、S/Nおよび空間分解能の向上を実現することができる放射線検出装置を提供する。
【解決手段】支持基板23上に配置された複数の検出素子22を有する検出素子群21と、放射線を入射させるピンホール14が前面に形成され、背面にスリット15が形成され、検出素子群21を収容する遮蔽体10と、各検出素子22で検出される検出信号を処理し、遮蔽体10外部に設けられ、かつスリット15の幅よりも大きい寸法を有する信号処理基板31と、スリット15を通り、各検出素子22と信号処理基板31とを接続する中継基板32とを備えた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、γ線やX線などの放射線を検出する放射線検出装置に関する。
γ線やX線(以下単にγ線という。)などの放射線は人体に大きな影響を与えることが知られているが、人間は放射線を目で見ることができない。例えば、原子力発電所で作業する作業員や原子力発電所近隣の住民にとっては、放射線被ばくを低減することが重要である。
従来、特許文献1および2には、可搬性があり作業現場などで使用される、放射線源の位置を特定する装置が開示されている。特許文献1には、複数の配列されたγ線検出器とコリメータとから構成されるγ線放射能分布撮影装置が開示されている。特許文献2には、手術中使用のための携帯用であり、電源内蔵型の独立型ガンマカメラが開示されている。
特開2005−49136号公報 特表2009−521694
放射線源の位置を特定する放射線検出装置は、アレイ状など2次元に配列された放射線検出器と、コリメータとで構成される。コリメータは、放射線検出器の前方に配置されることにより放射線の飛来方向を制限し所望方向の放射線のみを放射線検出器に入射させる。
しかしながら、放射線検出装置が原子力発電所屋内や発電所付近の屋外など放射線量が多い場所で使用される場合、放射線は装置に対して周囲全方位から入射してくる。このため、放射線検出においてはバックグランドのノイズが大きくS/N(signal-to-noise ratio)が悪くなる。
γ線の発生および検出は確率的な現象であるため、S/Nが悪い場合には統計誤差が大きくなり、γ線源の位置特定に関し空間分解能の低下にもつながる。
これに対し、装置周囲のバックグランドノイズを除去するため、鉛やタングステンなど密度の大きい材質で装置を覆うことが考えられる。しかし、装置全体を覆う場合、装置の重量が大きくなり、可搬性が低下する。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、可搬性を有し、S/Nおよび空間分解能の向上を実現することができる放射線検出装置を提供することを目的とする。
本発明に係る放射線検出装置は、上述した課題を解決するために、支持基板上に配置された複数の検出素子を有する検出素子群と、放射線を入射させるピンホールが前面に形成され、背面にスリットが形成され、前記検出素子群を収容する放射線遮蔽体と、各前記検出素子で検出される検出信号を処理し、前記放射線遮蔽体外部に設けられ、かつ前記スリットの幅よりも大きい寸法を有する信号処理基板と、前記スリットを通り、各前記検出素子と前記信号処理基板とを接続する中継基板とを備えたことを特徴とする。
本発明に係る放射線検出装置においては、可搬性を有し、S/Nおよび空間分解能の向上を実現することができる。
第1実施形態における放射線検出装置の断面図。 第1実施形態における放射線検出装置の遮蔽体を正面から示す外観斜視図。 第1実施形態における放射線検出装置の遮蔽体を背面から示す外観斜視図。 ピンホールの形状を比較するための説明図。 前面からねじ止めした場合の遮蔽体の正面図。 第2実施形態における放射線検出装置の断面図。 図6の放射線検出装置の内スリット部および外スリット部の一部の拡大図。 第3実施形態における放射線検出装置の検出素子群およびピンホール部を特に示す断面図。 第3実施形態における放射線検出装置の素子周囲遮蔽部材の他の構成例を特に示す断面図。 第4実施形態における放射線検出装置の断面図であり、第1の位置にピンホール部が配置される場合の図。 第4実施形態における放射線検出装置の断面図であり、第2の位置にピンホール部が配置される場合の図。 第4実施形態における放射線検出装置のピンホール部の正面図。 第5実施形態における放射線検出装置の断面図。 検出素子群の移動前および移動後における放射線検出位置とγ線検出回数との関係を示すグラフ。 変形例としての放射線検出装置の検出素子群、支持基板、およびピンホール部を特に示す図。 遮蔽体の取付機構の他の例を示す放射線検出装置の断面図。
[第1実施形態]
本発明に係る放射線検出装置の第1実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態における放射線検出装置1の断面図である。
図2は、第1実施形態における放射線検出装置1の遮蔽体10を正面から示す外観斜視図である。
図3は、第1実施形態における放射線検出装置1の遮蔽体10を背面から示す外観斜視図である。
なお、各実施形態においては、放射線検出装置1が検出する放射線をγ線として説明する。また、放射線検出装置1は、ピンホール14が形成された側を前側(正面側)、スリット15が形成された側を背側(後側)として定義する。
放射線検出装置1は、検出素子群21、遮蔽体10、信号処理基板31、および中継基板32を主に有する。
検出素子群21は、複数の検出素子22を有し、支持基板23上の2次元平面上にマトリクス状に配列される。例えば、検出素子22が正方形に配列される。検出素子22は、γ線の入射に対し、電荷や光を発生する半導体やシンチレータなどの素子である。
遮蔽体10は、検出素子群21を収容し、ピンホールコリメータ部11、側面遮蔽部12、およびスリット部13を有する。
ピンホールコリメータ部(ピンホール部)11は、四角錐台形状を有し、遮蔽体10の前面(検出素子群21より前側)を形成する。ピンホール部11には、検出素子22で検出されるγ線のみを通過させるための円形や矩形のピンホール14が、矩形状の前面11a(頂点部)の略中心部に形成されている。ピンホール14が円形である場合、タングステンなどの硬い材質を採用した場合であっても容易に加工できる。
ピンホール14が矩形状である場合、測定視野が同一の場合であっても、ピンホール14の面積を低減することができる。これにより、ピンホール14を通過するγ線量を減らすことができ、不要な視野から入射するγ線によるバックグランドの低減が可能である。また、ピンホール14が矩形である場合、検出素子22ごとの測定範囲が狭くなるため、空間分解能の向上が見込める。
ここで、図4は、ピンホール14の形状を比較するための説明図である。
具体的には、円形時視野40では正方形に配置された検出素子群21を対象とするためには正方形の外接円に相当する視野が必要である。これに対し、矩形状視野41では、検出素子群21の外形に好適に対応することができる。
なお、検出素子群21が円形に配列される場合には、ピンホール14の形状を円形にすることにより、検出素子群21の外形およびピンホール14が矩形に構成された場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、ピンホール14の形状と検出素子群21の外形の形状とは相似形であればよい。
側面遮蔽部12は、両端が開放された矩形形状である。側面遮蔽部12は、検出素子群21の検出面および背面以外の周囲側面を囲う。側面遮蔽部12は、例えば検出素子群21の支持基板23を切欠部12aにおいて保持することにより、検出素子群21を固定する。側面遮蔽部12は、検出素子群21に接触しない範囲で小さい内寸であることが好ましい。
スリット部13は、複数のスリット15が形成された板状部材であり、遮蔽体10の背面を形成する。このスリット部13は、例えばスリット15の方向に直交する方向に二分割される。スリット15の幅は、後述する中継基板32が通過可能な限り小さくするのが好ましい。
図3に示すように、遮蔽体10は、ピンホール部11、側面遮蔽部12およびスリット部13が一体となるように取付機構17により固定される。取付機構17は、例えばアルミやステンレス製のねじやタップからなるねじ止め手段を適用することができる。遮蔽体10は、前面から背面方向または背面から前面方向にねじ止めされる。
ここで、図5は、前面からねじ止めした場合の遮蔽体10の正面図である。検出素子22で正確な測定を行うためには、計測前にピンホール部11を遮蔽体10より取り外し、各検出素子22に既知の一様な線量のγ線を照射して校正する必要がある。この場合、図5に示すように、遮蔽体10は前面からねじ止めされることにより、遮蔽体10からピンホール部11のみを容易に取りはずことができ、検出素子22の校正を容易にすることができる。
取付機構17は、ねじやタップにより遮蔽体10の遮蔽効果が維持される位置に設けられることが好ましい。例えば、遮蔽体10の4隅に斜め方向から入射する図5に示すγ線Aの通過距離は、遮蔽体10の厚さが10mmの場合、10mm×√2=14mm程度になる。このため、取付機構17に用いられるねじは、M4程度であれば十分遮蔽効果を保つことができる。
なお、ねじ止めによる遮蔽効果の変化を回避するため、ねじに遮蔽体10と同じ材質を用いたり、遮蔽効果の違いが生じる分遮蔽体を追加したりしてもよい。
遮蔽体10の各部の厚さは検出対象となる放射線のエネルギーに応じて設定される。遮蔽体10は、鉛、タングステン、金などの密度が大きい材質で形成される。例えば、検出対象がCs−137由来のγ線660keVである場合、遮蔽体10の厚さは、タングステンで形成される場合には10mm程度、鉛で形成される場合には20mm程度が好ましい。
図1に示すように、信号処理基板31は、中継基板32を介して検出素子22と接続し、電源電圧の調整や、検出素子22から出力される検出信号を処理する。信号処理基板31は、スリット部13のスリット15の寸法(幅)より大きい寸法を有する。
中継基板32は、スリット15を通り、検出素子22(支持基板23)と信号処理基板31とをコネクタを介して接続する。中継基板32は、例えばフレキシブルプリント基板であり、スリット15幅よりも小さい厚さを有する。中継基板32の材質は任意に選択することができる。
次に、第1実施形態における放射線検出装置1の作用について説明する。
γ線検出時、放射線検出装置1は検出対象箇所に設置される。例えばγ線源が多く存在する場所であるHotspotからのγ線は、遮蔽体10のピンホール14を通過し複数の検出素子22に入射する。
γ線が入射した各検出素子22は、γ線のエネルギーに応じた電荷または光を発生する。検出素子22は、発生した電荷または光を電圧信号に変換し、電圧信号を中継基板32を介して信号処理基板31に出力する。信号処理基板31は、所定の信号処理を行うことにより検出したγ線数をカウントする。なお、信号処理基板31の後段に所要の計算機や表示装置を配置してもよい。
ここで、検出素子群21には前面から照射されピンホール14を通過したγ線だけでなく、側面、背面からγ線が入射する可能性がある。側面および背面から入射されるγ線は、検出信号のノイズとなり、正確な検出の妨げになる。
これに対し、第1実施形態における放射線検出装置1は、検出素子群21の前面のみならず側面および背面を遮蔽体10で覆う。全方位から照射され得るγ線は、遮蔽体10により遮蔽され、または遮蔽体10を通過することにより強度が下がり、検出素子22で計測される信号のノイズを低減させることができる。
また、遮蔽体10の背面を形成するスリット部13のスリット15よりγ線が通過し、仮に検出素子22に入射した場合には、スリット15幅に応じた明線が観測されてしまう。これに対し、第1実施形態における放射線検出装置1は、スリット15幅より大きい信号処理基板31をスリット部13のさらに背面に配置するため、背面から入射し得るγ線を遮蔽することができる。すなわち、背面から入射し得るγ線を遮蔽するための新たな構成を設けることなく好適にγ線を遮蔽することができる。
一般的に、γ線の遮蔽能力は物質の密度に依存する。このため、スリット部13を厚さ約10mmのタングステン(密度5.4g/cm^3)で形成した場合には、信号処理基板31を約30mmの長さのガラスエポキシ基板(1.85g/cm^3)で形成することによりスリット部13と同等の遮蔽能力が得られ、スリット15より入射するγ線に応じた明線が観測されない。
以上のような第1実施形態においては、検出素子群21の周囲を遮蔽体10により遮蔽することにより、必要以上に遮蔽のための部材を要することなく軽量で可搬性を有する放射線検出装置1を実現することができる。
放射線検出装置1は、軽量化された一方で十分な放射線遮蔽能力を有するため、放射線源の位置を特定するにあたりバックグランドの多い環境下であっても精度よく測定することができる。
また、放射線検出装置1は、検出素子群21の配列に対応させてピンホール14の形状を設定することにより、空間分解能を向上させることができる。
[第2実施形態]
本発明に係る放射線検出装置の第2実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図6は、第2実施形態における放射線検出装置51の断面図である。
図7は、図6の放射線検出装置51の内スリット部63aおよび外スリット部63bの一部の拡大図である。
第2実施形態における放射線検出装置51が第1実施形態と異なる点は、遮蔽体60のスリット部63a、63bが複数枚設けられる点である。第2実施形態の説明においては、第1実施形態と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
放射線検出装置51は、検出素子群21、遮蔽体60、信号処理基板31、および中継基板32を主に有する。
遮蔽体60は、ピンホール部61、側面遮蔽部62、内スリット部63aおよび外スリット部63bを有する。ピンホール部61は、平板状であり略中央部にピンホール14が形成されている。
内スリット部63aは、遮蔽体60の背面であって側面遮蔽部62直後(背面側)に配置される。外スリット部63bは、遮蔽体60の背面であって内スリット部63aの直後(背面側)に配置される。内スリット部63aおよび外スリット部63bは、中継基板32を挟み込んだ状態で密着して固定される。
内スリット部63aおよび外スリット部63bには、それぞれ複数の内スリット66a、外スリット66bが形成されている。内スリット66aおよび外スリット66bは、各スリット部63a、63bの厚さ方向において中継基板32がクランク状になるように形成されており、スリット66a、66bが重ならないように形成される。内スリット66aおよび外スリット66bの厚さは、異なっていてもよい。
図7に示すように、内スリット部63aは、遮蔽体60の前方向に突出した凸部68aを有する。凸部68aは、外スリット部63bの外スリット66bが形成された位置と対応する位置に設けられる。内スリット部63aの凸部68aは、外スリット部63bの厚さに相当する長さを有するのが好ましい。外スリット部63bは、遮蔽体60の後方向に突出した凸部68bを有する。凸部68bは、内スリット部63aの内スリット66aが形成された位置と対応する位置に設けられる。外スリット部63bの凸部68bは、内スリット部63aの厚さに相当する長さを有するのが好ましい。
次に、第2実施形態における放射線検出装置51の作用について説明する。
第1実施形態の放射線検出装置1は、スリット部13の背側にスリット15の幅より大きい幅を有する信号処理基板31を設けることにより、検出素子22へのγ線の入射を抑制した。しかし、全方向から放射線が入射し得る環境下においては、スリット15と信号処理基板31や中継基板32との隙間を通って検出素子22にγ線が入射する可能性がある。
そこで、第2実施形態における放射線検出装置51は、検出素子22に対して背側から入射し得るγ線に対し、内スリット部63aおよび外スリット部63bを設けることにより、遮蔽効果をさらに高めることができる。
具体的には、内スリット66aおよび外スリット66bは、各スリット部63a、63bの厚さ方向に重ならないように段違いで配置される。これにより、仮に外スリット部63bの外スリット66bをγ線が通過した場合であっても、前側にはさらに内スリット部63aが設けられているため、遮蔽体60は内スリット部63aにおいてγ線の透過を遮蔽することができる。
また、内スリット部63aおよび外スリット部63bには、それぞれ凸部68a、68bが設けられる。これにより、内スリット部63aおよび外スリット部63bの厚さが小さくなる内スリット66aおよび外スリット66bが設けられる箇所であっても、各スリット66a、66bにより小さくなった厚み分を凸部68a、68bにより補うことができる。したがって、内スリット部63aおよび外スリット部63bの全領域に亘って、各スリット部63a、63bを透過するγ線量が一様になる。また、内スリット部63aおよび外スリット部63bの全領域に亘ってスリット部2枚分の厚みを有することができ、遮蔽体60の遮蔽効果を高めることができる。
第2実施形態における放射線検出装置51は、内スリット66a、外スリット66bから検出素子22に入射し得るγ線を、信号処理基板31や中継基板32の長さや種類によらず遮蔽できる。このため、放射線検出装置51は、バックグランドの影響を低減し、S/Nを向上することができる。
[第3実施形態]
本発明に係る放射線検出装置の第3実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図8は、第3実施形態における放射線検出装置71の検出素子群21およびピンホール部11を特に示す断面図である。
第3実施形態における放射線検出装置71が第1および第2実施形態と異なる点は、検出素子群21に素子周囲遮蔽部材93を設ける点である。第3実施形態の説明においては、第1および第2実施形態と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
放射線検出装置71は、検出素子群21、遮蔽体10、信号処理基板31、および中継基板32を主に有する(図1参照)。
素子周囲遮蔽部材(遮蔽部材)93は、各検出素子22の周囲を囲むように配置され、タングステンなど密度の高い材質である。遮蔽部材93は、各検出素子22に入射するγ線Aの方向に応じて支持基板23に対する傾きを設定することができる。
次に、第3実施形態における放射線検出装置1の作用について説明する。
γ線が検出素子22に入射した際、物質内でγ線の吸収もしくは散乱が生じる。γ線が吸収された場合、放射線検出装置71はγ線源位置を特定し得る。一方、γ線が散乱した場合においては、放射線検出装置71は散乱γ線源位置を特定できず、位置分解能が低下する。
そこで、遮蔽部材93を検出素子22間に設けると、ある検出素子22において散乱した散乱γ線が遮蔽部材93により遮蔽され、検出素子22間の散乱γ線の影響を低減することができる。γ線はエネルギーが低くなるほど物質に吸収されやすくなる。このため、遮蔽部材93が各検出素子22間に配置されることにより、検出素子22間における散乱γ線の遮蔽は十分可能である。
また、遮蔽部材93を設けることにより、放射線検出装置71は、散乱γ線の影響を低減することができるため、空間分解能を向上することができる。
なお、遮蔽部材93は、図9に示すようにピンホール14の方向(前方向)に長くしてもよい。
図9は、第3実施形態における放射線検出装置71の素子周囲遮蔽部材93の他の構成例を特に示す断面図である。
素子周囲遮蔽部材(遮蔽部材)95は、図8に示す遮蔽部材93に比べて、検出素子22からピンホール14の方向に伸ばされている。遮蔽部材95は、隣り合う遮蔽部材95と干渉しない範囲において長いことが望ましい。
γ線は、遮蔽体10を少なからず透過する。しかし、放射線検出装置71は、遮蔽部材95を可能な限りピンホール14の付近まで伸ばすことにより、ピンホール14の方向以外からのγ線を好適に遮蔽することができる。
また、放射線検出装置71は、遮蔽体10を透過したγ線または検出素子22で散乱したγ線を、確実に遮蔽部材95で遮蔽することにより空間分解能をさらに向上することができる。
[第4実施形態]
本発明に係る放射線検出装置の第4実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図10は、第4実施形態における放射線検出装置101の断面図であり、第1の位置にピンホール部111が配置される場合の図である。
図11は、第4実施形態における放射線検出装置101の断面図であり、第2の位置にピンホール部111が配置される場合の図である。
図12は、第4実施形態における放射線検出装置101のピンホール部111の正面図である。
第4実施形態における放射線検出装置101が第1〜第3実施形態と異なる点は、遮蔽体110のピンホール部111が前後方向に移動する点である。第4実施形態の説明においては、第1〜第3実施形態と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
放射線検出装置101は、検出素子群21、遮蔽体110、信号処理基板31(図1参照)、および中継基板32を主に有する。
遮蔽体110は、ピンホール駆動部120、ピンホール部111、側面遮蔽部112、およびスリット部13を有する。
ピンホール駆動部120は、ピンホール部111に接続されたステッピングモータ、およびこのモータを制御する制御装置を有する。ピンホール駆動部120は、自動または手動制御によりピンホール部111を所定位置に移動させる。図10および図11に示すように、ピンホール駆動部120は、ピンホール部111を前後方向(放射線入射方向に対する前後方向)に駆動する。ピンホール駆動部120は、ピンホール部111を検出素子群21に接触しない範囲で駆動する。
ピンホール部111は、図12に示すように、駆動口111aおよびストッパ111bを有する。駆動口111aは、ピンホール部111の対向する一組の辺に形成され、側面遮蔽部112の対向する一組の側壁112aに対してピンホール部111を前後方向に摺動するために形成される。ストッパ111bは、ピンホール部111が側面遮蔽部112に対して所定の範囲外を移動しないように制限する。
次に、第4実施形態における放射線検出装置101の作用について説明する。
図10に示すように、ピンホール駆動部120によりピンホール部111の前後方向の位置を検出素子群21に近づけた場合、検出素子群21に対する放射線測定視野は広くなる。一方、図11に示すように、ピンホール部111の位置を検出素子群21から遠ざけた場合、放射線測定視野は狭くなる。
放射線測定視野が広くなると、放射線検出装置101の位置分解能は悪化するが、入射γ線数が増える。放射線測定視野が狭くなると、放射線検出装置101の位置分解能は向上するが、入射γ線数が減る。放射線検出装置101は、ピンホール駆動部120を用いてピンホール部111の位置を変更することにより、空間分解能およびS/Nを任意に変更することができる。
このような第4実施形態における放射線検出装置101は、測定する放射線強度が弱い場合は位置分解能よりも入射γ線数を増やし、放射線強度が高い場合は入射γ線数を減らし位置分解能を向上させることができる。よって、放射線検出装置101は、ユーザー任意の設定で、空間分解能、S/Nの向上を変更することができる。
[第5実施形態]
本発明に係る放射線検出装置の第5実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図13は、第5実施形態における放射線検出装置131の断面図である。
第5実施形態における放射線検出装置131が第1〜第4実施形態と異なる点は、検出素子群21を二次元方向に移動させる素子駆動部140を有する点である。第5実施形態の説明においては、第1〜第4実施形態と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
放射線検出装置131は、検出素子群21、遮蔽体10、信号処理基板31(図1参照)、中継基板32、および素子駆動部140を主に有する。
素子駆動部140は、x軸、y軸方向に駆動するステッピングモータを1ずつ、およびこのモータを外部から制御する制御装置を有する。素子駆動部140は、検出素子群21を保持する支持基板23に接続される。素子駆動部140は、放射線検出装置131の前後方向であるz方向(γ線の入射方向)に直交するxy平面内において、各検出素子22のxy方向の寸法より小さい距離を、それぞれxy方向に駆動する。
素子駆動部140は、接続基板141に固定され、この接続基板141は遮蔽体10の側面遮蔽部12に固定される。接続基板141は、支持基板23とフレキシブルなリード線142などで接続される。接続基板141は、中継基板32とコネクタで接続され、検出素子22より出力される検出信号を中継基板32に出力する。
次に、第5実施形態における放射線検出装置131の作用について説明する。
素子駆動部140は、検出素子群21を検出素子22のxy方向の寸法より短い範囲だけ移動させる。各検出素子22は、移動した範囲でずれた位置でγ線を検出する。
図14は、検出素子群21の移動前および移動後における放射線検出位置とγ線検出回数との関係を示すグラフである。
放射線検出装置131は、検出素子22の数が少ない場合や、隣接する検出素子22の間隔が大きい場合など、放射線検出装置131を定点固定し連続して撮影する場合には十分な位置分解能が得られない可能性がある。これに対し、素子駆動部140により検出素子群21をxy方向に移動させることにより、検出素子22が通常取得するデータの強度分布の補完が可能となる。この結果、放射線検出装置131は、位置分解能を向上することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、ピンホール部11の形状は、四角錐台形状、板状、台形状、三角形状でもよく任意に選択することができる。また、ピンホール14の形状は、円形状、矩形状のいずれであってもよい。
また、検出素子群21は、球面状の支持基板上に配置されてもよい。図15は、変形例としての放射線検出装置の検出素子群21、支持基板150、およびピンホール部11を特に示す図である。
支持基板23は、球面中心が略ピンホール14中心にあり、検出素子22の受光面が略ピンホール14中心を向くように設置される。これにより、γ線の入射方向に垂直な面に検出素子群21を配置する場合に比べ、入射するγ線は検出素子22を通過する距離が長くなるため、均等に高効率で吸収され得る。
遮蔽体10の取付機構17は、ねじ止め以外にも図16に示すように構成してもよい。図16は、遮蔽体10の取付機構の他の例を示す放射線検出装置161の断面図である。
側面遮蔽部12およびスリット部13は、支持部材170により固定される。一方、ピンホール部11は、支持部材170の前面に設けられた、治具を備えるプレート171により固定される。支持部材170は、必要に応じてピンホール部11のみが遮蔽体10より取り外し可能となる。これにより、検出素子22の校正時などにおけるピンホール部11の取り外しを容易にすることができる。
また、スリット部13は、放射線検出装置の軽量化などを阻害しない限り、2枚以上設けてもよい。
1、51、71、101、131、161 放射線検出装置
10、60、110 遮蔽体
11、61、111 ピンホールコリメータ部(ピンホール部)
12、112 側面遮蔽部
13 スリット部
14 ピンホール
15 スリット
17 取付機構
21 検出素子群
22 検出素子
23、150 支持基板
31 信号処理基板
32 中継基板
63a 内スリット部
63b 外スリット部
66a 内スリット
66b 外スリット
68a、68b 凸部
93、95 素子周囲遮蔽部材(遮蔽部材)
111a 駆動口
111b ストッパ
112a 側壁
120 ピンホール駆動部
140 素子駆動部
141 接続基板

Claims (9)

  1. 支持基板上に配置された複数の検出素子を有する検出素子群と、
    放射線を入射させるピンホールが前面に形成され、背面にスリットが形成され、前記検出素子群を収容する放射線遮蔽体と、
    各前記検出素子で検出される検出信号を処理し、前記放射線遮蔽体外部に設けられ、かつ前記スリットの幅よりも大きい寸法を有する信号処理基板と、
    前記スリットを通り、各前記検出素子と前記信号処理基板とを接続する中継基板とを備えたことを特徴とする放射線検出装置。
  2. 前記放射線遮蔽体は、前記放射線遮蔽体の背面を形成し、それぞれスリットが形成された内スリット部および外スリット部を有し、
    前記内スリット部および前記外スリット部は、互いの前記スリットが重ならないように配置される請求項1記載の放射線検出装置。
  3. 前記内スリット部は、前記放射線遮蔽体の前面方向に突出した凸部を前記外スリット部の前記スリットが形成された位置と対応する位置に有し、
    前記外スリット部は、前記放射線遮蔽体の背面方向に突出した凸部を前記内スリット部の前記スリットが形成された位置と対応する位置に有する請求項2記載の放射線検出装置。
  4. 隣接する前記検出素子の間に配置された放射線遮蔽部材をさらに備えた請求項1〜3のいずれか一項記載の放射線検出装置。
  5. 前記放射線遮蔽体は、前記放射線遮蔽体の前面となる、前記ピンホールが形成されたピンホール部を有し、
    前記ピンホール部を前記放射線の入射方向に対して前後に駆動するピンホール駆動部をさらに備えた請求項1〜4のいずれか一項記載の放射線検出装置。
  6. 前記検出素子群を前記放射線の入射方向に直交する平面内で駆動させる素子駆動部をさらに備えた請求項1〜5のいずれか一項記載の放射線検出装置。
  7. 前記検出素子群の外形と前記ピンホールの形状とが相似形である請求項1〜6のいずれか一項記載の放射線検出装置。
  8. 前記支持基板は、前記ピンホール中心を略球面中心とする球面形状を有する請求項1〜7のいずれか一項記載の放射線検出装置。
  9. 前記放射線遮蔽体は、前記放射線遮蔽体の前面となる、前記ピンホールが形成されたピンホール部を有し、
    前記ピンホール部を前記放射線遮蔽体から取り外し可能な取付機構をさらに備える請求項1〜8のいずれか一項記載の放射線検出装置。
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