JP2013073056A - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも感光層とを有する電子写真感光体であって、前記電子写真感光体が、最表面層を有し、前記最表面層が、硬化触媒としてのビニルスルホン酸を用い、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物から、前記[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応により重合して形成される3次元架橋ポリマーを有する電子写真感光体である。
【選択図】なし
Description
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも感光層とを有する電子写真感光体であって、前記電子写真感光体が、最表面層を有し、前記最表面層が、硬化触媒としてのビニルスルホン酸を用い、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物から、前記[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応により重合して形成される3次元架橋ポリマーを有することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも感光層とを有し、更に必要に応じて、その他の層を有する。
前記導電性支持体としては、体積抵抗値が1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスベルト(エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等)を用いてもよい。
前記導電性層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性粉体及び結着樹脂を、必要に応じて溶剤に分散乃至溶解して得られた塗工液を前記導電性支持体上に塗布することにより形成する方法;ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて形成する方法などが挙げられる。
前記感光層としては、最表面に最表面層を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層と、最表面層(架橋型電荷輸送層)とをこの順に有し、更に必要に応じて、その他の層を有する感光層が好ましい。
前記最表面層は、前記感光層の最表面層であり、架橋型電荷輸送層ともいう。
前記最表面層(架橋型電荷輸送層)は、硬化触媒としてのビニルスルホン酸を用い、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物から、前記[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応により重合して形成される3次元架橋ポリマーを有する。
ここで、最表面層が前記3次元架橋ポリマーと前記ビニルスルホン酸のみを有する場合には、前記最表面における前記ビニルスルホン酸の含有量は、前記3次元架橋ポリマーと前記ビニルスルホン酸との合計量に対する前記ビニルスルホン酸の含有量ともいうことができる。
なお、前記最表面層における前記ビニルスルホン酸の含有量は、TOF−SIMSによるイオウ元素分析により測定することができる。
前記3次元架橋ポリマーは、3次元網目構造を有するポリマーである。
前記3次元架橋ポリマーは、硬化触媒としてのビニルスルホン酸を用い、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物から、前記[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応により重合して形成される。
しかし、本発明者らの検討の結果、本発明において電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物は、メチロール基を経由することなく反応することがわかった。したがって、未反応部には[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基がそのまま残る。このように、[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基が架橋ポリマー中に存在することは、得られる最表面層の膜物性にも影響している。即ち、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物から得られる3次元架橋ポリマーは、メチロール体の架橋硬化物に比べて、耐ガス性に影響するガス透過性が小さいというメリットがある。
電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物は、テトラヒドロフランに良く溶解する。しかし、この化合物が反応して3次元の網目状に結合を形成すると、得られた3次元架橋ポリマーは、もはやテトラヒドロフラン及びその他の溶媒に溶解しなくなる。
したがって、前記3次元架橋ポリマーがテトラヒドロフランに不溶であることは、電子写真感光体の表面が巨大分子化されて一体となった構造になっていることを示しており、そのために高い機械的特性を発揮する。ここで、不溶とは、テトラヒドロフランに浸漬しても3次元架橋ポリマーが消失しない状態をいう。更には、テトラヒドロフランで濡らした綿棒などで擦っても、その痕跡が残らない状態が好ましい。
このように、溶媒に不溶であることで、電子写真感光体への異物付着を防止できたり、異物付着を起源とした電子写真感光体表面の傷の発生などを防止することができる。
硬化触媒としてのビニルスルホン酸を用いて加熱することで縮合反応を実用的な速度で進行させることが可能になり、表面平滑性に優れた最表面層の形成が可能になる。表面平滑性が極端に悪くなるとトナーのクリーニング性が悪くなり、異常画像の原因となって高画質な印刷ができなくなる。したがって、適当な硬化触媒を用いて適当な温度で加熱することにより表面平滑性に優れる3次元架橋ポリマーの形成が可能になり、前記3次元架橋ポリマーを感光層の最表面層に含む電子写真感光体は、より高画質な画像を長期に渡って印刷できるようになる。
前記電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物は、硬化触媒としてのビニルスルホン酸を用いた重合反応により、前記[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が脱離して、前記3次元架橋ポリマーを形成する。
下記一般式(1)で表される化合物は、分子量当たりの[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の割合が多く、したがって架橋密度の高い3次元架橋ポリマーの形成が可能になることから硬度の高い耐傷性の高い電子写真感光体の提供が可能となる。
前記一般式(1)中、Ar1、Ar2及びAr3における前記炭素数6〜18の芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ビフェニル、ターフェニル、スチルベンなどが挙げられる。
下記一般式(2)で表される化合物は、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を4個有しており、かつ、非共役連結基のX1を有することで適度な分子運動性をも有しており、一部の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を残した3次元架橋ポリマーを形成しやすく、出来上がった3次元架橋ポリマーの硬度特性や弾性特性のバランスが良く、強靱で耐傷性、耐摩耗性の両方に優れた最表面層の形成が可能となる。更に、X1の構造性から分子の酸化電位が比較的大きく、酸化しにくい特性を有しており、オゾンガスやNOxガスのような酸化性ガスの暴露時にも比較的安定であり、耐ガス性にも強い電子写真感光体の提供が可能になる。
前記一般式(2)中、X1における前記炭素数2〜6のアルキリデン基としては、例えば、1,1−エチリデン基、1,1−プロピリデン基、2,2−プロピリデン基、1,1−ブチリデン基、2,2−ブチリデン基、3,3−ペンタニリデン、3,3−ヘキサニリデンなどが挙げられる。
前記一般式(3)中、X1における前記フェニレン基を介して炭素数2〜6のアルキリデン基が2個結合した2価基としては、例えば、以下の構造のものが挙げられる。
下記一般式(3)で表される化合物は、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を4個有しており、一部の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を残した3次元架橋ポリマーを形成しやすい。かつ、Y1で表される特定の芳香族炭化水素構造を介したジアミン構造となっており、分子内電荷移動が可能であり、ホール移動度の速い架橋保護層の形成が可能となる。したがって、高速印刷や小径ドラムによる印刷のように感光体への光書き込みから現像までの時間が短くなる様な場合でも、明部電位の低い電子写真感光体の提供が可能となる。
前記Ar10、Ar11、Ar12及びAr13の炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基の置換基であるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物は、新規化合物であり、例えば、下記第1〜第2の合成方法により合成することができる。
前記第1の合成方法としては、具体的には、(1)電荷輸送性化合物のアルデヒド体を合成し、(2)得られた電荷輸送性化合物のアルデヒド体を還元剤と反応させてメチロール化合物(電荷輸送性化合物のメチロール体)を合成し、(3)得られたメチロール化合物と3,4−ジヒドロ−2H−ピランとを反応させて、前記[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物を合成する方法などが挙げられる。
電荷輸送性化合物の芳香環を3箇所以上ホルミル化する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化亜鉛、オキシ塩化リン、ジメチルホルムアルデヒド等を用いた方法などが挙げられる。
前記電荷輸送性化合物のメチロール体を合成する際の還元方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水素化ホウ素ナトリムを用いた還元方法が好ましい。
前記第2の合成方法としては、具体的には、(1)[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を有する中間体化合物を合成し、(2)これを用いてアミン化合物とカップリング反応させて電荷輸送性化合物を合成する方法などが挙げられる。
次に重合反応について説明する。
前記電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物は、硬化触媒としてビニルスルホン酸を添加し加熱することで、お互い同士が[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応によりそれぞれが結合して重合し、3次元の網目状巨大分子(前記3次元架橋ポリマー)を形成する。この時、一部の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基は未反応のまま、残留している。この[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応については解明できていないが、単一の反応ではなく、以下に示すような複数の反応が競争的に生じて前記化合物同士が連結する反応である。
以下に反応様式を示す。
前記電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物は、以下に記載の反応様式1〜3が組み合わされて、複雑な結合様式を取りながら、3次元の網目状に重合し巨大分子化するものと推定される。
これらの反応はいずれも(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ基の一部が切れて脱離する反応であり、重量減少を伴う。したがって、これらの組成物を酸触媒と共にTG−DTA熱分析装置により加熱すると重量減少が観察される。
また、加熱反応時に発生するガス成分を質量分析ガスクロマトグラフ(GC−MS)により分析すると、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、5−ヒドロキシペンタナール等の(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ基の一部が切れたことを示す脱離生成物が検出される。
反応様式1は、片方の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基のテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル基部分が切れて脱離し、もう片方の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ基部分が切れて脱離しながら、ジメチレンエーテル結合を形成する反応である。
反応様式2は、両方の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ基部分が切れて脱離しながら、エチレン結合を形成する反応である。
反応様式3は、片方の[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ基部分が切れて脱離しながら、もう片方の芳香環に結合してメチレン結合を形成する反応である。
前記3次元架橋ポリマーの形成は、最表面層の形成と同時に行ってもよい。
前記3次元架橋ポリマーの形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物と、硬化触媒としてのビニルスルホン酸とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する塗工液を、必要に応じて溶媒等で希釈調整し、電子写真感光体表面に塗工した後、加熱乾燥を行い、重合させることで形成する方法などが挙げられる。この際に、膜状に3次元架橋ポリマーを形成することにより、最表面層を得ることができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶剤、レベリング剤、酸化防止剤、フィラーなどが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル−2−アセテート等のエーテル系溶剤;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー乃至オリゴマーなどが挙げられる。
前記レベリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記塗工液の全固形量に対して、1質量%以下が好ましい。
前記酸化防止剤は、繰り返し使用に対する電子写真感光体の感度低下、残留電位の上昇等を防止する目的で、添加することができる。
なお、前記酸化防止剤は、前記架橋型電荷輸送層、前記電荷輸送層、前記電荷発生層、及び前記その他の層などの各層に添加してもよい。
前記酸化防止剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記塗工液により形成される層(最表面層)の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜1質量%がより好ましい。
前記フィラーは、前記塗工液の更なる耐摩耗性を向上させることを目的として、添加することができる。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機性フィラー材料、無機性フィラー材料などが挙げられる。
前記無機性フィラー材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末;シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物;フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物;チタン酸カリウム、窒化硼素などが挙げられる。
これらの中でも、耐摩耗性に優れる点で、無機材料が好ましく、絶縁性、熱安定性、及び耐摩耗性に優れる点で、六方細密構造を有するα型アルミナがより好ましい。
前記表面処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましく、フィラーの分散性及び画像ボケの点で、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸又はこれらとシランカップリング剤との混合物;Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム又はこれらの混合物がより好ましい。なお、前記シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。
前記塗工としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などが挙げられる。
即ち、比較的厚膜の通常の分子分散型電荷輸送層上に薄膜の架橋型電荷輸送層を形成することで、感度特性を低下させることなく上記の特徴を有する電子写真感光体の提供が可能になる。
前記電荷発生層は、電荷発生物質を含有し、結着樹脂を含有することが好ましく、更に必要に応じて上述の酸化防止剤等のその他の成分をする。
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機系材料、有機系材料などが挙げられる。
無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セレン、アモルファス−セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス−シリコン(例えば、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子等でターミネートしたもの;ホウ素原子、リン原子等をドープしたものなどが好適)などが挙げられる。
前記有機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子電荷輸送物質、溶剤、レベリング剤などが挙げられ、上述の酸化防止剤を含んでもよい。
前記低分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷発生層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電荷発生物質及び前記結着樹脂を前記溶剤等の前記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、前記導電性支持体上に塗布して乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。なお、前記塗工液は、例えば、キャスティング法などにより塗布することができる。
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質、高分子電荷輸送物質などが挙げられる。
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記高分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルバゾール環を有する重合体、ヒドラゾン構造を有する重合体、ポリシリレン重合体、トリアリールアミン構造を有する重合体、電子供与性基を有する重合体、その他の重合体などが挙げられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶剤、可塑剤、レベリング剤などが挙げられ、上述の酸化防止剤を含んでもよい。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、前記電荷輸送物質及び前記結着樹脂を良好に溶解する溶剤が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般樹脂の可塑剤などが挙げられる。
前記可塑剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0質量部〜30質量部が好ましい。
前記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー乃至オリゴマーなどが挙げられる。
前記レベリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0質量部〜1質量部が好ましい。
前記電荷輸送層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電荷輸送物質及び前記結着樹脂を前記溶剤等の前記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、前記電荷発生層上に塗布して乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。なお、前記塗工液は、例えば、キャスティング法などにより塗布することができる。
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下引き層、中間層などが挙げられる。
前記下引き層は、前記導電性支持体と前記感光層との間に設けることができる。
前記下引き層は、樹脂を含有し、更に必要に応じて上述の酸化防止剤、微粉末顔料、カップリング剤等のその他の成分を含有する。
これらの中でも、前記樹脂の上に感光層を溶剤で塗布する点で、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂が好ましい。
前記中間層は、前記電荷輸送層と前記架橋型電荷輸送層との間に、前記架橋型電荷輸送層への電荷輸送層成分の混入を抑える又は両層間の接着性を改善することを目的として設けることができる。
第1の実施形態に係る電子写真感光体の層構成について、図1を用いて説明する。
図1は、最も基本的な積層感光体の構成例であり、導電性支持体1上に電荷発生層2、電荷輸送層3を順次積層したものである。負帯電で使用する場合は電荷輸送層にホール輸送性電荷輸送物質が使用され、正帯電で使用される場合は電荷輸送層に電子輸送性電荷輸送物質が使用される。この場合、最表面層は、電荷輸送層3である。
第2の実施形態に係る電子写真感光体の層構成について、図2を用いて説明する。
図2は、基本構成(第1の実施形態)の積層感光体に下引き層4を設けた構成であり、最も実用化されている構成である。この場合、最表面層は、電荷輸送層3である。
第3の実施形態に係る電子写真感光体の層構成について、図3を用いて説明する。
図3は、第2の実施形態に、更に保護層として架橋型電荷輸送層5を最表面に設けた構成である。この場合、最表面層は、架橋型電荷輸送層5である。
ここで、下引き層4は必須ではないが、電荷リークの防止等に重要な機能を果たしており、通常は使用される。
この感光体構成の場合、電荷発生層から感光体表面までの電荷移動を電荷輸送層3と架橋型電荷輸送層5の二層で分担しており、主機能を分離することができる。例えば、電荷輸送性に優れる電荷輸送層と機械的耐久性に優れる架橋型電荷輸送層を組み合わせることで電荷輸送性にも優れ機械的耐久性にも優れた電子写真感光体の提供が可能になる。
第4の実施形態に係る電子写真感光体の層構成について、図4を用いて説明する。
図4は、導電性支持体1上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層6を設けた構成である。この場合、最表面層は、感光層6である。
最表面層に電荷発生物質を含有させることが必要であり、最表面層を形成するための塗工液であって電荷発生物質を混合分散した塗工液を作製して、塗工後、加熱乾燥により重合反応させて最表面層を作製する。
第5の実施形態に係る電子写真感光体の層構成について、図5を用いて説明する。
図5は、単層の感光層6上に保護層7を設けた構成である。この場合、最表面層は保護層7である。
本発明の前記電子写真感光体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、最表面に3次元架橋ポリマーを有する最表面層を有する本発明の前記電子写真感光体の製造方法であって、硬化触媒としてのビニルスルホン酸を用い、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物から、前記[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応により重合して前記3次元架橋ポリマーを形成する3次元架橋ポリマー形成工程を含む電子写真感光体の製造方法が好ましい。
前記導電性支持体の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記感光層としては、最表面に前記最表面層を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層と、最表面層(架橋型電荷輸送層)とをこの順に有し、更に必要に応じて、その他の層を有する感光層などが挙げられる。
前記電荷発生層及び前記電荷輸送層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電子写真感光体の説明において例示した前記電荷発生層及び前記電荷輸送層などが挙げられる。
前記電荷発生層及び前記電荷輸送層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。前記画像形成装置において使用する電子写真感光体が、上述の本発明の電子写真感光体である。なお、帯電手段と、露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。
本発明に関する画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。前記画像形成方法において使用する電子写真感光体が、上述の本発明の電子写真感光体である。なお、帯電工程と、露光工程とを合わせて静電潜像形成工程と称することもある。
前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に実施できる。前記帯電工程は、前記帯電手段により好適に実施でき、前記露光工程は、前記露光手段により好適に実施でき、前記現像工程は、前記現像手段により好適に実施でき、前記転写工程は、前記転写手段により好適に実施でき、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施できる。
前記帯電工程としては、前記電子写真感光体表面を帯電させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記帯電手段により実施できる。
前記帯電手段としては、前記電子写真感光体表面を帯電させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器(電子写真感光体表面と帯電器との間に100μm以下の空隙を有する近接方式の非接触帯電器を含む)などが挙げられる。
前記露光工程としては、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記露光手段により実施できる。
前記露光手段としては、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系等の各種露光器などが挙げられる。前記露光器における光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の高輝度が確保できる光源などが挙げられる。なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記露光工程における電子写真感光体上への静電潜像書き込みは、デジタル方式により行われることが好ましい。これによりPC(パーソナルコンピュータ)での文書及び画像作製出力に効率よく対応できる画像形成方法が提供できる。
前記露光手段による電子写真感光体上への静電潜像書き込みは、デジタル方式であることが好ましい。これによりPCでの文書及び画像作製出力に効率よく対応できる画像形成装置が提供できる。
前記現像工程としては、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記現像手段により実施できる。
前記現像手段としては、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーを含有する現像剤を収容し、前記静電潜像に該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好ましい。前記現像器としては、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよい。これらの中でも、前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有するものが好ましい。前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該電子写真感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記転写工程としては、前記可視像を記録媒体に転写する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記転写手段により実施できる。
前記転写手段としては、前記可視像を記録媒体に転写する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記転写工程としては、例えば、前記電子写真感光体表面から記録媒体に可視像を直接転写する方法と、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する方法がある。いずれの態様も良好に使用することができるが、高画質化に際して転写による悪影響が大きいような場合には、転写回数が少ない前者(直接転写)の方法が好ましい。前記転写は、例えば、前記可視像を、転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。
前記定着工程としては、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記定着手段により実施できる。
前記定着手段としては、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好ましい。前記加熱加圧手段としては、例えば、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。前記加熱加圧手段における加熱としては、通常80℃〜200℃が好ましい。前記定着としては、例えば、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記その他の工程及びその他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電工程及び除電手段、クリーニング工程及びクリーニング手段、リサイクル工程及びリサイクル手段、制御工程及び制御手段などが挙げられる。
前記除電工程としては、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記除電手段により実施できる。
前記除電手段としては、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電ランプなどが挙げられる。
前記クリーニング工程としては、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記クリーニング手段により実施できる。
前記クリーニング手段としては、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが挙げられる。
前記リサイクル工程としては、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記リサイクル手段により実施できる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の搬送手段などが挙げられる。
前記制御工程としては、前記各工程を制御する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記制御手段により実施できる。
前記制御手段としては、前記各工程を制御する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明においては従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、電子写真感光体の高耐久化あるいは高画質化に対し有効かつ有用である。
本発明に関するプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び徐電手段から選択される少なくとも1つの手段を有し、画像形成装置に着脱可能であるプロセスカートリッジにおいて、前記電子写真感光体が、上記の本発明の電子写真感光体である。これにより繰返し使用時の画像安定性が高く、かつ画像欠陥の少ない高画質を長期にわたって維持することができ、環境安定性や耐ガス性にも優れるプロセスカートリッジの提供が可能になる。
なお、実施例中において使用する「部」は、全て質量部を表す。
また、略号、p−TolSO3Hは、パラトルエンスルホン酸を表し、EtOHは、エタノールを表し、t−Bu3Pは、トリターシャルブチルホスフィンを表し、t−BuONaは、ターシャルブトキシナトリウムを表し、Pd(OAc)2は、酢酸パラジウムを表し、Pd[(t−Bu)3P]2は、ビス(トリ−t−ブトキシホスフィン)パラジウムを表す。
<3次元架橋ポリマーの材料の中間体の合成>
3次元架橋ポリマーの材料の中間体である4−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチルブロモベンゼンの合成は、下記の手順により行った。
まず、4−ブロモベンジルアルコール(50.43g)、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(45.35g)、及びテトラヒドロフラン(150mL)を四つ口フラスコに入れ、5℃にて撹拌し、パラトルエンスルホン酸(0.512g)を投下して溶液を調製した。次いで、この溶液を、室温にて2時間撹拌し、酢酸エチルにて抽出して、硫酸マグネシウムにて脱水し、活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行なった。そして、これを濾過、洗浄、及び濃縮することにより、目的物を得た(収量72.50g、無色オイル状物)。反応式を下記に示す。図9に、合成例1で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
<メチロール化合物(比較例化合物A)の合成>
メチロール中間体である4,4’−ビス[ジ(4−ヒドロキシメチルフェニル)アミノ]ジフェニルメタンの合成は、下記の手順により行った。
まず、中間体アルデヒド化合物(12.30g)、及びエタノール(150mL)を四つ口フラスコに入れ、室温にて撹拌し、水素化ホウ素ナトリウム(3.63g)を投下して溶液を調製した。次いで、この溶液を、室温にて4時間撹拌し、酢酸エチルにて抽出し、硫酸マグネシウムにて脱水し、活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行った。そして、これを濾過、洗浄、及び濃縮することにより、アモルファス状物質を得た。これを、n−ヘキサンにて分散させた後、濾過、洗浄、及び乾燥することにより、目的物を得た(収量12.0g、薄黄白色アモルファス状物)。反応式を下記に示す。図10に、合成例2で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
<中間体メチロール化合物(比較例化合物B)の合成>
まず、中間体アルデヒド化合物(3.29g)、エタノール(50mL)を四つ口フラスコに入れ、室温にて撹拌し、水素化ホウ素ナトリウム(1.82g)を投下して溶液を調製した。次いで、この溶液を、室温にて12時間撹拌し、酢酸エチルにて抽出し、硫酸マグネシウムにて脱水し、活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行った。そして、これを濾過、洗浄、及び濃縮することにより、結晶物を得た。これを、n−ヘキサンにて分散させた後、濾過、洗浄、及び乾燥することにより、目的物を得た(収量2.78g、白色結晶)。反応式を下記に示す。図11に、合成例3で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
<3次元架橋ポリマーの材料の合成>
3次元架橋ポリマーの材料である電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物(下記構造式(1−4)で表される化合物)の合成は、以下の手順により行った。
まず、中間体メチロール化合物(3.4g)、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(4.65g)、及びテトラヒドロフラン(100mL)を四つ口フラスコに入れ、5℃にて撹拌し、パラトルエンスルホン酸(58mg)を投下して溶液を調製した。次いで、この溶液を、室温にて5時間撹拌し、酢酸エチルにて抽出し、硫酸マグネシウムにて脱水し、活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行なった。そして、これを濾過、洗浄、及び濃縮することにより、黄色オイル状物質を得た。この黄色オイル状物質をシリカゲルカラムにて精製(トルエン/酢酸エチル=10/1)(体積比)して単離し、目的物を得た(収量2.7g、無色オイル状物)。反応式を下記に示す。図12に、合成例4で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
<3次元架橋ポリマーの材料の合成>
3次元架橋ポリマーの材料である電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物(下記構造式(2−1)で表される化合物)の合成は、以下の手順により行った。
まず、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(2.99g)、合成例1で得られた化合物(17.896g)、酢酸パラジウム(0.336g)、ターシャルブトキシナトリウム(13.83g)、及びo−キシレン(100mL)を四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で、室温にて撹拌し、トリターシャルブチルホスフィン(1.214g)を滴下して溶液を調製した。次いで、この溶液を、80℃にて1時間攪拌し、還流にて1時間撹拌して、トルエンにて希釈し、硫酸マグネシウムにて脱水し、活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行なった。そして、これを濾過、洗浄、及び濃縮することにより、黄色オイル状物質を得た。この黄色オイル状物質をシリカゲルカラムにて精製(トルエン/酢酸エチル=20/1)(体積比)して単離し、目的物を得た(収量5.7g、薄黄色アモルファス状物)。反応式を下記に示す。図13に、合成例5で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
<3次元架橋ポリマーの材料の合成>
3次元架橋ポリマーの材料である電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物(下記構造式(2−8)で表される化合物)の合成は、以下の手順により行った。
まず、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3.0g)、合成例1で得られた化合物(17.896g)、酢酸パラジウム(0.336g)、ターシャルブトキシナトリウム(13.83g)、及びo−キシレン(100mL)を四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で、室温にて撹拌し、トリターシャルブチルホスフィン(1.214g)を滴下して溶液を調製した。次いで、この溶液を、80℃にて1時間攪拌し、還流にて1時間撹拌して、トルエンにて希釈し、硫酸マグネシウムにて脱水し、活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行った。そして、これを濾過、洗浄、及び濃縮することにより、黄色オイル状物質を得た。この黄色オイル状物質をシリカゲルカラムにて精製(トルエン/酢酸エチル=10/1)(体積比)して単離し、目的物を得た(収量5.7g、薄黄色オイル状物)。反応式を下記に示す。図14に、合成例6で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
<3次元架橋ポリマーの材料の合成>
3次元架橋ポリマーの材料である電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物(下記構造式(2−13)で表される化合物)の合成は、以下の手順により行った。
まず、4,4’−エチレンジアニリン(3.18g)、合成例1で得られた化合物(17.896g)、酢酸パラジウム(0.336g)、ターシャルブトキシナトリウム(13.83g)、及びo−キシレン(100mL)を四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で、室温にて撹拌し、トリターシャルブチルホスフィン(1.214g)を滴下して溶液を調製した。次いで、この溶液を、80℃にて1時間攪拌し、還流にて1時間撹拌して、トルエンにて希釈し、硫酸マグネシウムにて脱水し、活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行なった。そして、これを濾過、洗浄、及び濃縮することにより、黄色オイル状物質を得た。この黄色オイル状物質をシリカゲルカラムにて精製(トルエン/酢酸エチル=20/1)(体積比)して単離し、目的物を得た(収量5.7g、薄黄色オイル状物)。反応式を下記に示す。図15に、合成例7で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
<3次元架橋ポリマーの材料の合成>
3次元架橋ポリマーの材料である電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物(下記構造式(2−21)で表される化合物)の合成は、以下の手順により行った。
まず、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(10.335g)、合成例1で得られた化合物(39.05g)、酢酸パラジウム(0.673g)、ターシャルブトキシナトリウム(27.677g)、及びo−キシレン(200mL)を四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で、室温にて撹拌し、トリターシャルブチルホスフィン(2.43g)を滴下して溶液を調製した。次いで、この溶液を、80℃にて1時間攪拌し、還流にて2時間撹拌して、トルエンにて希釈し、硫酸マグネシウムにて脱水し、活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行なった。そして、これを濾過、洗浄、及び濃縮することにより、黄色オイル状物質を得た。この黄色オイル状物質をシリカゲルカラムにて精製(トルエン/酢酸エチル=10/1)(体積比)して単離し、目的物を得た(収量23.5g、薄黄色アモルファス状物)。反応式を下記に示す。図16に、合成例8で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
<3次元架橋ポリマーの材料の合成>
3次元架橋ポリマーの材料である電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物(下記構造式(2−18)で表される化合物)の合成は、以下の手順により行った。
まず、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキセン(9.323g)、合成例1で得られた化合物(45.55g)、酢酸パラジウム(0.785g)、ターシャルブトキシナトリウム(32.289g)、及びo−キシレン(300mL)を四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で、室温にて撹拌し、トリターシャルブチルホスフィン(2.43g)を滴下して溶液を調製した。次いで、この溶液を、80℃にて1時間攪拌し、還流にて2時間撹拌して、トルエンにて希釈し、硫酸マグネシウムにて脱水し、活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行なった。そして、これを濾過、洗浄、及び濃縮することにより、黄色オイル状物質を得た。この黄色オイル状物質をシリカゲルカラムにて精製(トルエン/酢酸エチル=10/1)(体積比)して単離し、目的物を得た(収量11.42g、黄色アモルファス状物)。反応式を下記に示す。図17に、合成例9で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
<3次元架橋ポリマーの材料の合成>
3次元架橋ポリマーの材料である電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物(下記構造式(3−3)で表される化合物)の合成は、以下の手順により行った。
まず、1,3−フェニレンジアミン(0.541g)、合成例1で得られた化合物(6.508g)、ターシャルブトキシナトリウム(3.844g)、ビス(トリ−t−ブトキシホスフィン)パラジウム(52mg)、及びo−キシレン(20mL)を四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で、室温にて撹拌して溶液を調製した。次いで、この溶液を、トルエンにて希釈し、硫酸マグネシウムにて脱水し、活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行なった。そして、これを濾過、洗浄、及び濃縮することにより、黄色オイル状物質を得た。この黄色オイル状物質をシリカゲルカラムにて精製(トルエン/酢酸エチル=10/1)(体積比)して単離し、目的物を得た(収量3.02g、薄黄色アモルファス状物)。反応式を下記に示す。図18に、合成例10で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
<3次元架橋ポリマーの材料の合成>
3次元架橋ポリマーの材料である電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3個以上有する化合物(下記構造式(3−22)で表される化合物)の合成は、以下の手順により行った。
まず、1,5−ジアミノナフタレン(0.791g)、合成例1で得られた化合物(6.508g)、ターシャルブトキシナトリウム(3.844g)、ビス(トリ−t−ブトキシホスフィン)パラジウム(52mg)、及びo−キシレン(20mL)を四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下で、室温にて撹拌して溶液を調製した。次いで、この溶液を、還流にて1時間撹拌して、トルエンにて希釈し、硫酸マグネシウムにて脱水し、活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行なった。そして、これを濾過、洗浄、及び濃縮することにより、黄色オイル状物質を得た。この黄色オイル状物質をシリカゲルカラムにて精製(トルエン/酢酸エチル=9/1)(体積比)して単離し、目的物を得た(収量2.56g、薄黄色アモルファス状物)。反応式を下記に示す。図19に、合成例11で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)を示す。
<電子写真感光体の製造>
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層塗工液、下記組成の電荷発生層塗工液、及び下記組成の電荷輸送層塗工液を順次、塗布し、乾燥することにより、厚み3.5μmの下引き層、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み25μmの電荷輸送層を形成した。
得られた電荷輸送層上に、下記組成の架橋型電荷輸送層塗工液をスプレー塗工し、150℃で30分間加熱乾燥を行い、厚み5.0μmの架橋型電荷輸送層(最表面層)を設けた。以上により、実施例1の電子写真感光体を製造した。
・アルキッド樹脂 ・・・ 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、DIC社製)
・メラミン樹脂 ・・・ 4部
(スーパーベッカミンG−821−60、DIC社製)
・酸化チタン(CREL、石原産業株式会社製) ・・・40部
・メチルエチルケトン ・・・50部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) ・・・0.5部
・シクロヘキサノン ・・・200部
・メチルエチルケトン ・・・ 80部
・下記構造式で表されるビスアゾ顔料 ・・・2.4部
・ビスフェノールZポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成社製) ・・・ 10部
・テトラヒドロフラン ・・・100部
・1質量%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液
(KF50−100CS、信越化学工業社製) ・・・0.2部
・下記構造式(A−1)で表される低分子電荷輸送物質 ・・・ 5部
・合成例4で合成した構造式(1−4)で表される化合物
(3次元架橋ポリマーの材料) ・・・ 10部
・ビニルスルホン酸(旭化成ファインケム社製) ・・・0.015部
・テトラヒドロフラン(特級) ・・・ 90部
<電子写真感光体の製造>
実施例1において、[架橋型電荷輸送層塗工液]における[3次元架橋ポリマーの材料]を表1に記載の[3次元架橋ポリマーの材料]に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
<電子写真感光体の製造>
実施例1において、[架橋型電荷輸送層塗工液]におけるビニルスルホン酸をドデシルベンゼンスルホン酸に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
<電子写真感光体の製造>
実施例1において、[架橋型電荷輸送層塗工液]における0.015部のビニルスルホン酸を0.045部のドデシルベンゼンスルホン酸に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
実施例1において、[架橋型電荷輸送層塗工液]における[3次元架橋ポリマーの材料]を下記構造式で表される比較例化合物Aに代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
実施例1において、[架橋型電荷輸送層塗工液]における[3次元架橋ポリマーの材料]を下記構造式で表される比較例化合物Bに代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
<電子写真感光体の製造>
実施例9において、[架橋型電荷輸送層塗工液]におけるビニルスルホン酸をパラトルエンスルホン酸に代えた以外は、実施例9と同様にして、電子写真感光体を作製した。
<電子写真感光体の製造>
実施例1において、[架橋型電荷輸送層塗工液]における0.015部のビニルスルホン酸を0.0255部のパラトルエンスルホン酸に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
架橋型電荷輸送層の架橋反応性を溶解性試験にて評価した。溶解性試験は、以下の方法で行った。アルミニウム支持体上に架橋型電荷輸送層塗工液を実施例1〜10及び比較例1〜6と同様に直接塗工し、熱乾燥して得た膜に対して、テトラヒドロフランに浸した綿棒でその膜(硬化物)表面を擦り、その表面を観察した。評価結果を表1に示す。溶解性は、表面が溶解したもの、又は膜剥がれしたものを「溶解」、表面が無傷及び無跡のものを「不溶」として評価した。
表面平滑性は、表面粗さ形状測定機(東京精密社製、サーフコム1400D)にて、架橋型電荷輸送層表面のJIS−1982規格による十点平均粗さ(Rz)値を求めることで評価した。1μm以下を「良好」、1μmを超える場合を「不良」と判定した。
実施例1〜10、及び比較例1〜6で作製した各電子写真感光体の機械的耐久性、電気的特性、環境安定性、耐ガス安定性を評価した。株式会社リコー製デジタルフルカラー複合機imagioNeo455のプロセスカートリッジに、得られた電子写真感光体を着装し、暗部電位700(−V)に設定した後に、連続してトータル10万枚の印刷を行った。結果を表2に示す。
画像品質は、600dpi 2×2の画像チャートを出力し、画像濃度計(X−Rite939:SDG社製)により測定することで評価した。
機械的耐久性は、初期及び10万枚印刷後での架橋型電荷輸送層の厚みの差から摩耗量を測定することで評価した。
電気的特性は、初期及び10万枚印刷後の画像露光光源光量が約0.4μJ/cm2における明部電位と10万枚印刷後の暗部電位とを測定することで評価した。
環境安定性は、10万枚印刷後に上記画像出力装置を30℃90%RHの高温高湿室に入れた際の、出力画像の画像品質により評価した。
耐ガス安定性は、NOx暴露試験装置(ダイレック社製)を用いて、作製した電子写真感光体を、一酸化窒素濃度:50ppmかつ二酸化窒素濃度:50ppmの濃度にて、30℃40%RH下で4日間暴露し、NOx暴露後の出力画像の画像品質を確認することで評価した。
なお、画像品質は、下記指標に従って判定した。
(画像品質評価基準)
◎:濃度が0.3を超える
○:濃度が0.2を超え、0.3以下
△:濃度が0.1を超え、0.2以下
×:濃度が0以上0.1以下
特に、実施例1〜5の電子写真感光体は、環境安定性及び耐ガス安定性に非常に優れており、実施例6〜8の電子写真感光体は、明部電位が低く、電荷輸送性に優れていた。
また、メチロール基を有する電荷輸送性化合物の架橋膜を用いた比較例3、及び4は、暗部電位の低下が見られ、かつ画像品質が劣るものであった。
硬化触媒としてパラトルエンスルホン酸を用いた比較例5は、実施例9と比べて耐摩耗性が低く機械的耐久性に劣り、耐ガス安定性が少し低下した。また、実施例1のビニルスルホン酸と同程度のモル濃度のパラトルエンスルホン酸を用いた比較例6は、耐摩耗性や電気的特性は同等であるものの、耐ガス安定性が少し低下し、画像品質が劣るものであった。
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
5 架橋型電荷輸送層
6 感光層(最表面層)
7 保護層
10 電子写真感光体
10Y 電子写真感光体
10M 電子写真感光体
10C 電子写真感光体
10K 電子写真感光体
11 帯電部材
11Y 帯電部材
11M 帯電部材
11C 帯電部材
11K 帯電部材
12 画像露光部材
13 現像部材
13Y 現像部材
13M 現像部材
13C 現像部材
13K 現像部材
15 転写紙
16 転写部材
16Y 転写部材
16M 転写部材
16C 転写部材
16K 転写部材
17 クリーニング部材
17Y クリーニング部材
17M クリーニング部材
17C クリーニング部材
17K クリーニング部材
23 転写部材
24 定着部材
Claims (10)
- 導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体であって、
前記電子写真感光体が、最表面層を有し、
前記最表面層が、硬化触媒としてのビニルスルホン酸を用い、電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物から、前記[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基の一部が切れて脱離する反応により重合して形成される3次元架橋ポリマーを有することを特徴とする電子写真感光体。 - 3次元架橋ポリマーが、テトラヒドロフランに不溶である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1から2のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1から2のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 電荷輸送性化合物の芳香環に[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]メチル基を3つ以上有する化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である請求項1から2のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1−1)で表される化合物である請求項3に記載の電子写真感光体。
- 一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(2−1)で表される化合物である請求項4に記載の電子写真感光体。
- 一般式(3)で表される化合物が、下記一般式(3−1)で表される化合物である請求項5に記載の電子写真感光体。
- 感光層が、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層と、架橋型電荷輸送層とをこの順に有し、前記架橋型電荷輸送層が、前記感光層の最表面層である請求項1から8のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記電子写真感光体が、請求項1から9のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
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