以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を説明するためのMOS型の固体撮像素子の概略構成を示す平面模式図である。図1に示す固体撮像素子100は、半導体基板内に二次元状(図1の例では正方格子状)に配列形成された複数の光電変換部(フォトダイオード;PD)10と、各PD10に蓄積された電荷に応じた信号を出力する信号読み出し回路Cとを備える。図1には、固体撮像素子100に含まれる複数のPDのうちの8つ分について図示している。
固体撮像素子100では、4つのPD10に対応して信号読み出し回路Cが1つ設けられている。そして、4つのPD10とこれらに対応する信号読み出し回路Cとが矩形の共有画素領域1内に形成されている。固体撮像素子100は、この共有画素領域1が複数個正方格子状に配列されたものとなっている。
図1に示すように、PD10は、行方向Xとこれに直交する列方向Yに正方格子状に配列されている。本実施形態では、PD10は、半導体基板内に形成されたN型不純物層によって形成されている。
列方向Yに隣接する2つのPD10の間の半導体基板内には、この2つのPD10に蓄積された電荷が転送されるフローティングディフュージョンFDが形成されている。フローティングディフュージョンFDは、PD10と同じN型不純物層で形成されている。
フローティングディフュージョンFDと、このフローティングディフュージョンFDの列方向Yに隣接するPD10との間の半導体基板上方にはゲート電極TGが形成されている。PD10と、これに隣接するフローティングディフュージョンFDと、これらの間のゲート電極TGとにより、転送トランジスタが構成される。
共有画素領域1に含まれる4つのPD10のうちの下2つのPD10の列方向Yにおける隣(共有画素領域1の下辺部)には、信号読み出し回路Cが形成されている。
信号読み出し回路Cは、共有画素領域1内のフローティングディフュージョンFDの電位をリセットするリセットトランジスタRTrと、共有画素領域1内のフローティングディフュージョンFDの電位に応じた信号を出力する出力トランジスタOTrと、出力トランジスタOTrから出力される信号を信号出力線に選択的に出力させる行選択トランジスタSTrとから構成される。
リセットトランジスタRTrは、半導体基板内に形成されるN型不純物層RDと、半導体基板内に形成されるN型不純物層RSと、N型不純物層RDとN型不純物層RSの間の半導体基板上方に形成されるゲート電極RGとから構成される。
出力トランジスタOTrは、半導体基板内に形成されるN型不純物層ODと、半導体基板内に形成されるN型不純物層Sと、N型不純物層RDとN型不純物層Sの間の半導体基板上方に形成されるゲート電極OGとから構成される。
行選択トランジスタSTrは、半導体基板内に形成されるN型不純物層Sと、半導体基板内に形成されるN型不純物層OSと、N型不純物層SとN型不純物層OSの間の半導体基板上方に形成されるゲート電極SGとから構成される。ゲート電極TG,OG,SG,RGは、それぞれ同一層に形成されている。
行方向Xに隣接する2つのPD10の間の半導体基板内には、N型不純物層からなる電荷蓄積部11が形成されている。電荷蓄積部11は、リセットトランジスタRTrのN型不純物層RDに接続される電源端子に接続されている。
電荷蓄積部11は、PD10と同じ導電型の不純物層からなる。このため、電荷蓄積部11に光が入射すると、この光によって電荷蓄積部11に電子が発生し、この電子が電荷蓄積部11に形成される空乏層に蓄積される。そして、この空乏層に蓄積された電子は、電荷蓄積部11に接続される電源に排出される。このため、電荷蓄積部11が形成される領域に入射した光によって発生する電子が、その領域の行方向X隣にあるPD10に蓄積されてしまう確率が減る。つまり、この電荷蓄積部11によって、行方向Xに向かう斜め光によるクロストークの影響を低減することができる。
図1では、半導体基板上方に形成される配線の図示を省略している。この配線のレイアウト例について図2を参照して説明する。
図2は、図1に示した固体撮像素子100の半導体基板上方に形成される配線のレイアウト例を示した図である。
行方向Xに並ぶPD10からなるPD行同士の間の境界領域のうち、フローティングディフュージョンFDが形成される境界領域の半導体基板上方には、配線TGL1,TGL2,TGL3,TGL4がこの境界領域に沿って配設されている。
配線TGL1は、共有画素領域1内の左上にあるPD10に対応するゲート電極TGに接続されている。配線TGL2は、共有画素領域1内の右上にあるPD10に対応するゲート電極TGに接続されている。配線TGL3は、共有画素領域1内の左下にあるPD10に対応するゲート電極TGに接続されている。配線TGL4は、共有画素領域1内の右下にあるPD10に対応するゲート電極TGに接続されている。
PD行同士の間の境界領域のうち、信号読み出し回路Cが形成される境界領域の半導体基板上方には、配線RGL,SGLがこの境界領域に沿って配設されている。
配線RGLは、リセットトランジスタRTrのゲート電極RGに接続されている。配線SGLは、行選択トランジスタSTrのゲート電極SGに接続されている。
共有画素領域1の左辺部には、行選択トランジスタSTrのN型不純物層OSに接続される配線SLが列方向Yに配設されている。
また、共有画素領域1には、2つのフローティングディフュージョンFDの各々と、出力トランジスタOTrのゲート電極OGと、リセットトランジスタRTrのN型不純物層RSとを接続する配線13が形成されている。
更に、共有画素領域1の右辺部には、電荷蓄積部11と、リセットトランジスタRTrのN型不純物層RDとにそれぞれ接続される配線RDLが列方向Yに配設されている。配線13と配線RDLと配線SLはそれぞれ同一層に形成されている。配線TGL1〜TGL4,RGL,SGLは、それぞれ同一層に形成され、配線13、配線RDL、及び配線SLよりも上層に形成されている。
なお、図2に示した配線は実際には有る程度の幅を持つ。この配線により、PD行同士の間の境界領域と、PD列同士の間の境界領域とが遮光される。
図3は、図2におけるA−A線の断面模式図である。PD10及び電荷蓄積部11は、N型半導体基板とこの上に形成されるPウェル層によって構成される半導体基板14のPウェル層内に形成されている。半導体基板14上には絶縁膜16が形成され、この上に配線層15が形成されている。
配線層15には、第一層配線M1と、第二層配線M2が形成されている。第一層配線M1には、図2における配線13,RDL,SLが含まれる。第二層配線M2には、図2における配線TGL1〜TGL4,RGL,SGLが含まれる。
配線層15上には、各PD10に対応してカラーフィルタCFとマイクロレンズMLが順次形成されている。
図4は、図2に示した共有画素領域1の等価回路図である。図4に示した4つのPDは、左から順に、図2の共有画素領域1内の左上にあるPD10、図2の共有画素領域1内の右上にあるPD10、図2の共有画素領域1内の左下にあるPD10、図2の共有画素領域1内の右下にあるPD10となっている。
図4に示した配線RGL,SGL,TGL1〜TGL4は、それぞれ、固体撮像素子100に設けられた図示しない垂直走査回路に接続されている。また、配線RDLは図示しない電源端子に接続されている。この電源端子には、リセットトランジスタRTr及び出力トランジスタOTrに固定電圧を供給する電源が接続される。また、配線SLは、固体撮像素子100の外部出力端子に接続されている。
垂直走査回路から配線TGL1に供給されるパルスにより、配線TGL1に接続される転送トランジスタがオンすると、図2の共有画素領域1における左上にあるPD10に蓄積された電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。そして、このフローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷が出力トランジスタOTrによって電圧信号に変換される。その後、垂直走査回路から配線SGLに供給されるパルスにより、行選択トランジスタSTrがオンすると、出力トランジスタOTrによって変換された電圧信号が配線SLに出力される。そして、この電圧信号が固体撮像素子100の外部に出力される。
電圧信号の出力後、垂直走査回路から配線RGLに供給されるパルスにより、リセットトランジスタRTrがオンすると、フローティングディフュージョンFDに蓄積されていた電荷が配線RDLを介して排出されて、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。
以上のように構成された固体撮像素子100によれば、列方向Yに隣接する2つのPD10間には、フローティングディフュージョンFD又は信号読み出し回路Cに含まれるMOSトランジスタの不純物層が形成されている。このため、列方向Yに向かって入射する斜め光によって発生する電子は、フローティングディフュージョンFDやMOSトランジスタの不純物層によって捕獲される。その結果、列方向Yでのクロストークによる画質への影響を抑えることができる。
また、固体撮像素子100によれば、行方向Xに隣接する2つのPD10間には、電荷蓄積部11が形成されている。このため、図3に示すように、あるPD10に対し、行方向Xに向かって入射する斜め光(矢印で示す)は、このPD10の隣にある電荷蓄積部11に入射し、ここで電子に変換されてこの電子が蓄積される。したがって、この斜め光によって発生する電子が、隣接するPD10に蓄積されることを防ぐことができる。この結果、行方向Xでのクロストークによる画質への影響も抑えることができる。
なお、固体撮像素子100において、電荷蓄積部11は電源に接続されないフローティング状態であってもよい。この場合でも、斜め光によって発生する電子を捕集する機能は有するため、行方向Xでのクロストークによる画質への影響を抑えることができる。
また、図2の例では、電荷蓄積部11が、出力トランジスタOTrやリセットトランジスタRTrの電源と接続される電源端子に接続されるものとしたが、電荷蓄積部11は、この電源端子とは独立した別の電源端子に接続してもよい。
図5は、図2に示した固体撮像素子100の変形例を示す図である。図5に示した固体撮像素子は、配線RDLが電荷蓄積部11には接続されていない点、電荷蓄積部11に接続される配線31が追加された点を除いては、図2に示した固体撮像素子100と同じ構成である。
配線31は、PD10のPD列同士の間の境界領域において、この境界領域に沿って配設されている。配線31は、配線RDLが接続される電源端子とは別の電源端子に接続されている。配線31は、配線TGL1〜TGL4,SGL,RGL,SLよりも上層に形成された第三層目の配線である。
図5に示す構成により、電荷蓄積部11には、信号読み出し回路Cに接続される電源とは別の電源を接続することができる。信号読み出し回路Cに接続される電源は固定電圧を供給する電源であるため、図2の例では、電荷蓄積部11の電位は固定にしかできない。これに対し、図5に示す構成によれば、電荷蓄積部11に接続される電源端子に、例えば可変電圧を供給する電源を接続することで、電荷蓄積部11の電位を可変制御することが可能である。
例えば、クロストーク抑制の効果を強くしたいときには、電荷蓄積部11に高電圧を印加して、電荷蓄積部11に形成される空乏層を拡げればよい。逆に、クロストーク抑制の効果を弱くしたいときには、電荷蓄積部11に低電圧を印加して、電荷蓄積部11に形成される空乏層の拡がりを抑えればよい。
クロストークの発生度合いは、固体撮像素子を搭載する撮像装置の撮影光学系の特性に依存する場合がある。このため、撮像装置の工場出荷時に、撮影光学系の特性に合わせて電荷蓄積部11に供給する電圧を設定しておけばよい。
または、電荷蓄積部11に電圧を供給する撮像装置側に設けられた電圧供給部が、撮像装置の撮影条件に応じて、電荷蓄積部11に供給する電圧を変更する制御を行ってもよい。
例えば、電圧供給部は、撮像装置に搭載される絞りが開放のときは、固体撮像素子に入射する光の角度がきつくなるため、電荷蓄積部11に高電圧を印加する。また、電圧供給部は、絞りが小絞りのときは、固体撮像素子に入射する光の角度が緩くなるため、電荷蓄積部11に低電圧を印加する等の制御を行えばよい。
あるいは、電圧供給部は、撮像装置に搭載されるズームレンズ位置が広角側のときは、固体撮像素子に入射する光の角度がきつくなるため、電荷蓄積部11に高電圧を印加する。また、電圧供給部は、ズーム位置が望遠側のときは、固体撮像素子に入射する光の角度が緩くなるため、電荷蓄積部11に低電圧を印加する等の制御を行えばよい。
図6は、図1に示した固体撮像素子100の変形例である固体撮像素子100aの平面模式図である。固体撮像素子100aは、電荷蓄積部11を、N型不純物がドープされたポリシリコンからなる電荷蓄積部21に変更した点を除いては、固体撮像素子100と同じ構成である。
電荷蓄積部21は、平面視においては電荷蓄積部11と同じ位置に形成されるが、その高さが電荷蓄積部11とは異なる。電荷蓄積部21は、半導体基板上に形成されている。N型不純物がドープされたポリシリコンは、N型不純物層からなる電荷蓄積部10と同じ機能を有する。つまり、電荷蓄積部21に入射した光はここで電子に変換されて、この電子が電荷蓄積部21に蓄積される。なお、ここでは、電荷蓄積部21をN型不純物がドープされたポリシリコンとしたが、ドープする不純物の導電型はN型に限らずP型であってもよい。また、不純物をドープしない単なるポリシリコンであってもよい。
図7は、図6に示す固体撮像素子100aの半導体基板上方に形成される配線のレイアウト例を示した図である。図7において図2との違いは、電荷蓄積部11が電荷蓄積部21に変更された点と、配線RDLの接続先が異なっている点である。
図7に示すように、電荷蓄積部21はどの配線にも接続されておらず、フローティングとなっている。
図8は、図7におけるB−B線断面図である。
図8において図3との違いは、電荷蓄積部11が削除され、代わりに、絶縁膜16上に電荷蓄積部21が形成されている点である。
固体撮像素子100aによれば、図8に示すように、あるPD10に対し、行方向Xに向かって入射する斜め光(矢印で示す)は、このPD10の隣にある電荷蓄積部21に入射し、ここで電子に変換されて蓄積される。したがって、この斜め光によって発生する電子が、隣接するPD10に蓄積されるのを防ぐことができる。この結果、行方向Xでのクロストークによる画質への影響を抑えることができる。
図7の例では、電荷蓄積部21をフローティングとしたが、電荷蓄積部21に電源端子を接続して、電圧を印加できるようにしてもよい。
図9は、図7の変形例を示す図である。図9において図7との違いは、配線TGL1〜TGL4が形成される境界領域の配線TGL1〜TGL4と同層において、電荷蓄積部21に接続される配線21aが行方向Xに配設されている点である。
配線21aは、信号読み出し回路Cに接続される電源端子とは別の電源端子に接続される。図9に示す構成によれば、信号読み出し回路Cに供給する電源電圧とは異なる値の電圧を配線21aに供給することが可能になる。例えば、配線21aを介して、電荷蓄積部21に0V(GND)又は負電圧を印加することで、電荷蓄積部21を挟んで隣接する2つのPD10間の電気的な分離を、電荷蓄積部21がフローティングの場合に比較して強くすることができる。この結果、クロストークの影響を更に抑えることができる。
また、配線21aを介して、0V(GND)から所定の負電圧の間の可変電圧を電荷蓄積部21に印加するようにしてもよい。
図10は、固体撮像素子100の変形例である固体撮像素子100bの平面模式図である。固体撮像素子100bは、固体撮像素子100において、共有画素領域1内にある2つのフローティングディフュージョンFDを1つに統合して、共有画素領域1内における4つのPD10の中心位置にこのフローティングディフュージョンFDを配置した構成である。また、このフローティングディフュージョンFDと各PD10との間にゲート電極TGを配置し、共有画素領域1内の右2つのPD10の列と左2つのPD10の列との間に電荷蓄積部11を形成している。
図10に示した共有画素領域1内のフローティングディフュージョンFDは、共有画素領域1に形成された出力トランジスタOTrのゲート電極OGとリセットトランジスタRTrのN型不純物層RSに接続される。
る点である。
この固体撮像素子100bによれば、全てのPD10において、列方向Yと行方向Xのいずれにおいても、クロストークを抑制することができ、画質向上を図ることができる。
図11は、本発明の別実施形態を説明するためのMOS型の固体撮像素子の平面模式図である。
図11に示す固体撮像素子200は、2つのPD10に対応して1つの信号読み出し回路が設けられている点が、固体撮像素子100とは大きく異なる。
固体撮像素子200は、行方向Xとこれに直交する列方向Yに正方格子状に配列された複数のPD10と、列方向Yに隣接する2つのPD10のペア毎に設けられるリセットトランジスタRTr1、出力トランジスタOTr1、及び行選択トランジスタSTr1からなる信号読み出し回路とを備える。図11には、信号読み出し回路とこれに対応する2つのPD10とが形成される領域を、共有画素領域2として示している。固体撮像素子200は、この共有画素領域2が行方向Xと列方向Yに格子状に配列されたものとなっている。
図11に示すように、共有画素領域2の下辺部には、信号読み出し回路を構成する出力トランジスタOTr1及び行選択トランジスタSTr1が形成されている。なお、出力トランジスタOTr1及び行選択トランジスタSTr1の構成は、図1に示した出力トランジスタOTr及び行選択トランジスタSTrと同じである。
共有画素領域2にある2つのPD10の行方向Xにおける左端部同士の間には、この2つのPD10に対応するフローティングディフュージョンFDaが形成されている。そして、このフローティングディフュージョンFDaとこの隣にある各PD10との間の領域を覆って、ゲート電極TGaが形成されている。
また、このフローティングディフュージョンFDaの左隣には少し離間してN型不純物層RDaが形成されている。このフローティングディフュージョンFDaとN型不純物層RDaの間の半導体基板上方には、ゲート電極RGaが形成されている。フローティングディフュージョンFDaと、N型不純物層RDaと、ゲート電極RGaとにより、リセットトランジスタRTr1が構成されている。
行方向Xに隣接する2つのPD10の間の半導体基板内には、N型不純物層からなる電荷蓄積部41が形成されている。電荷蓄積部41は、リセットトランジスタRTr1のN型不純物層RDaに接続される電源端子に接続されている。
電荷蓄積部41は、PD10と同じ導電型の不純物層からなり、図1に示した電荷蓄積部11と同じ機能を有する。
図12は、図11に示した固体撮像素子200の半導体基板上方に形成される配線のレイアウト例を示した図である。
行方向Xに並ぶPD10からなるPD行同士の間の境界領域のうち、フローティングディフュージョンFDaが形成される境界領域の半導体基板上方には、配線TGL1,TGL2,RGLがこの境界領域に沿って配設されている。
配線TGL1は、共有画素領域2内の上側にあるPD10に対応するゲート電極TGaに接続されている。配線TGL2は、共有画素領域2内の下側にあるPD10に対応するゲート電極TGaに接続されている。配線RGLは、リセットトランジスタRTr1のゲート電極RGaに接続されている。
PD行同士の間の境界領域のうち、出力トランジスタOTr1及び行選択トランジスタSTr1が形成される境界領域の半導体基板上方には、配線SGLがこの境界領域に沿って配設されている。
配線SGLは、行選択トランジスタSTr1のゲート電極SGに接続されている。
列方向Yに並ぶPD10からなるPD列の左側部には、当該PD列の各PD10に対応する行選択トランジスタSTr1のN型不純物層OSに接続される配線SLが列方向Yに配設されている。
また、共有画素領域2には、フローティングディフュージョンFDaと、出力トランジスタOTrのゲート電極OGとを接続する配線13aが形成されている。
PD列の左側部(配線SLの左隣)には、当該PD列の各PD10を含む共有画素領域2内の電荷蓄積部41と、当該PD列の各PD10に対応するリセットトランジスタRTr1のN型不純物層RDaと、当該PD列の各PD10を含む共有画素領域2の左隣にある共有画素領域2内の出力トランジスタOTr1のN型不純物層ODとにそれぞれ接続される配線RDLが列方向Yに配設されている。配線13aと配線SLと配線RDLは同一層に形成されている。そして、配線TGL1,TGL2,SGL,RGLは、それぞれ同一層に形成され、かつ、配線13a,RDL,SLよりも上層に形成されている。
なお、図12に示した配線は実際には有る程度の幅を持つ。そして、この配線により、PD行同士の間の境界領域と、PD列同士の間の境界領域とは遮光される。
図13は、図12に示した共有画素領域2内の等価回路図である。図13に示した2つのPDは、左から順に、図12の共有画素領域2内の上側にあるPD10、図12の共有画素領域2内の下側にあるPD10となっている。
図13に示した配線RGL,SGL,TGL1,TGL2は、それぞれ、固体撮像素子200に設けられた図示しない垂直走査回路に接続されている。また、配線RDLは図示しない電源端子に接続される。この電源端子には、リセットトランジスタRTr1及び出力トランジスタOTr1に固定電圧を供給する電源が接続される。また、配線SLは、固体撮像素子200の外部出力端子に接続されている。
垂直走査回路から配線TGL1に供給されるパルスにより、配線TGL1に接続される転送トランジスタがオンすると、図12の共有画素領域2における上側にあるPD10に蓄積された電荷がフローティングディフュージョンFDaに転送される。そして、このフローティングディフュージョンFDaに蓄積された電荷が出力トランジスタOTr1によって電圧信号に変換される。その後、垂直走査回路から配線SGLに供給されるパルスにより、行選択トランジスタSTr1がオンすると、出力トランジスタOTr1によって変換された電圧信号が配線SLに出力される。そして、この電圧信号が固体撮像素子200の外部に出力される。
電圧信号の出力後、垂直走査回路から配線RGLに供給されるパルスにより、リセットトランジスタRTr1がオンすると、フローティングディフュージョンFDaに蓄積されていた電荷が配線RDLを介して排出されて、フローティングディフュージョンFDaがリセットされる。
以上のように構成された固体撮像素子200によれば、列方向Yに隣接する2つのPD10間には、フローティングディフュージョンFDa及びリセットトランジスタRTr1の不純物層、又は、出力トランジスタOTr1及び行選択トランジスタSTr1の不純物層が形成されている。このため、列方向Yに向かって入射する斜め光によって発生する電子は、これら不純物層やフローティングディフュージョンFDaによって捕獲される。その結果、列方向Yでのクロストークによる画質への影響を抑えることができる。
また、固体撮像素子200によれば、行方向Xに隣接する2つのPD10間には、電荷蓄積部41が形成されている。このため、あるPD10に対し、行方向Xに向かって入射する斜め光は、このPD10の隣にある電荷蓄積部41に入射し、ここで電子に変換されて蓄積される。したがって、この斜め光によって発生する電子が、隣接するPD10に蓄積されることを防ぐことができる。この結果、行方向Xでのクロストークによる画質への影響も抑えることができる。
なお、固体撮像素子200において、電荷蓄積部41は電源に接続されないフローティングとしてもよい。この場合でも、斜め光によって発生する電子を捕集する機能は有するため、行方向Xでのクロストークによる画質への影響を抑えることができる。
また、図12の例では、電荷蓄積部41が、出力トランジスタOTr1やリセットトランジスタRTr1の電源と接続される電源端子に接続されるものとしたが、電荷蓄積部41は、この電源端子とは独立した別の電源端子に接続してもよい。これにより、前述したように、撮影条件によって印加電圧を変更したり、撮像装置の特性によって印加電圧を設定したりすることができる。
図14は、図1に示した固体撮像素子200の変形例である固体撮像素子200aの平面模式図である。固体撮像素子200aは、電荷蓄積部41を、N型不純物がドープされたポリシリコンからなる電荷蓄積部51に変更した点を除いては、固体撮像素子200と同じ構成である。
電荷蓄積部51は、平面視においては電荷蓄積部41と同じ位置に形成されるが、その高さが電荷蓄積部41とは異なる。電荷蓄積部51は、半導体基板上に形成されている。N型不純物がドープされたポリシリコンは、N型不純物層からなる電荷蓄積部41と同じ機能を有する。つまり、電荷蓄積部51に入射した光はここで電子に変換されて、この電子が蓄積される。したがって、図14の構成であっても、クロストークによる画質への影響を抑えることができる。
図15は、図14に示す固体撮像素子200aの半導体基板上方に形成される配線のレイアウト例を示した図である。図15において図12との違いは、電荷蓄積部41が電荷蓄積部51に変更された点と、配線RDLの接続先が異なっている点である。
図15に示すように、電荷蓄積部51はどの配線にも接続されておらず、フローティングとなっている。なお、図9に示した構成と同様に、電荷蓄積部51に電源端子を接続して、電荷蓄積部51に固定又は可変の電圧を印加できるようにしてもよい。
図16は、本発明の別実施形態を説明するためのMOS型の固体撮像素子の平面模式図である。
図16に示す固体撮像素子300は、1つのPD10に対応して1つの信号読み出し回路が設けられている点が、固体撮像素子100とは大きく異なる。
固体撮像素子300は、行方向Xとこれに直交する列方向Yに正方格子状に配列された複数のPD60と、各PD60に対応して設けられる信号読み出し回路C’とを備える。図16には、信号読み出し回路とこれに対応するPD60とが形成される領域を、画素領域3として示している。固体撮像素子300は、この画素領域3が行方向Xと列方向Yに格子状に配列されたものとなっている。
図16に示すように、PD60の左端部の下側にはPD60から少し離間してフローティングディフュージョンFDbが形成されている。PD60とフローティングディフュージョンFDbとの間の半導体基板上方にはゲート電極TGbが形成されている。
画素領域3の下辺部には、信号読み出し回路C’を構成するリセットトランジスタRTr2、出力トランジスタOTr2、及び行選択トランジスタSTr2が形成されている。
リセットトランジスタRTr2は、フローティングディフュージョンFDbと、半導体基板内に形成されるN型不純物層RDbと、フローティングディフュージョンFDbとN型不純物層RDbの間の半導体基板上方に形成されるゲート電極RGbとから構成される。
出力トランジスタOTr2は、N型不純物層RDbと、半導体基板内に形成されるN型不純物層Sbと、N型不純物層RDbとN型不純物層Sbの間の半導体基板上方に形成されるゲート電極OGbとから構成される。
行選択トランジスタSTr2は、N型不純物層Sbと、半導体基板内に形成されるN型不純物層OSbと、N型不純物層SbとN型不純物層OSbの間の半導体基板上方に形成されるゲート電極SGbとから構成される。ゲート電極TGb,OGb,SGb,RGbは、それぞれ同一層に形成されている。
行方向Xに隣接する2つのPD10の間の半導体基板内には、N型不純物層からなる電荷蓄積部61が形成されている。電荷蓄積部61は、リセットトランジスタRTr2のN型不純物層RDbに接続される電源端子に接続されている。
電荷蓄積部61は、PD60と同じ導電型の不純物層からなり、図1の電荷蓄積部11と同様、この電荷蓄積部61によって、行方向Xに向かう斜め光によるクロストークの影響を低減することができる。
図17は、図16に示した固体撮像素子300の半導体基板上方に形成される配線のレイアウト例を示した図である。
行方向Xに並ぶPD60からなるPD行同士の間の境界領域の半導体基板上方には、配線TGL,SGL,RGLがこの境界領域に沿って配設されている。
配線TGLは、画素領域3内のゲート電極TGに接続されている。
配線RGLは、リセットトランジスタRTr2のゲート電極RGbに接続されている。配線SGLは、行選択トランジスタSTr2のゲート電極SGbに接続されている。
画素領域3の右辺部には、行選択トランジスタSTr2のN型不純物層OSbに接続される配線SLが列方向Yに配設されている。
画素領域3の左辺部には、リセットトランジスタRTr2のN型不純物層RDbと、電荷蓄積部61とに接続される配線RDLが列方向Yに配設されている。
また、画素領域3には、フローティングディフュージョンFDbと、出力トランジスタOTr2のゲート電極OGbとを接続する配線13bが形成されている。
配線13bと配線RDLと配線SLは同一層に形成されている。そして、配線TGL、SGL、及びRGLは、それぞれ同一層に形成され、かつ、配線13、配線RDL、及び配線SLよりも上層に形成されている。
図17に示した配線により、PD行同士の間の境界領域と、PD列同士の間の境界領域とは遮光される。
図18は、図17に示した画素領域3内の等価回路図である。
図18に示した配線RGL,SGL,TGLは、それぞれ、固体撮像素子300に設けられた図示しない垂直走査回路に接続されている。また、配線RDLは、図示しない電源端子に接続される。この電源端子には、リセットトランジスタRTr2及び出力トランジスタOTr2に固定電圧を供給する電源が接続される。また、配線SLは、固体撮像素子300の外部出力端子に接続されている。
垂直走査回路から配線TGLに供給されるパルスにより、配線TGLに接続される転送トランジスタがオンすると、図17の画素領域3にあるPD60に蓄積された電荷がフローティングディフュージョンFDbに転送される。そして、このフローティングディフュージョンFDbに蓄積された電荷が出力トランジスタOTr2によって電圧信号に変換される。その後、垂直走査回路から配線SGLに供給されるパルスにより、行選択トランジスタSTr2がオンすると、出力トランジスタOTr2によって変換された電圧信号が配線SLに出力される。そして、この電圧信号が固体撮像素子300の外部に出力される。
電圧信号の出力後、垂直走査回路から配線RGLに供給されるパルスにより、リセットトランジスタRTr2がオンすると、フローティングディフュージョンFDbに蓄積されていた電荷が配線RDLを介して排出されて、フローティングディフュージョンFDbがリセットされる。
以上のように構成された固体撮像素子300によれば、列方向Yに隣接する2つのPD60間には、フローティングディフュージョンFDbと、リセットトランジスタRTr2、出力トランジスタOTr1、及び行選択トランジスタSTr1の不純物層とが形成されている。このため、列方向Yに向かって入射する斜め光によって発生する電子は、これら不純物層やフローティングディフュージョンFDbによって捕獲される。その結果、列方向Yでのクロストークによる画質への影響を抑えることができる。
また、固体撮像素子300によれば、行方向Xに隣接する2つのPD60間には、電荷蓄積部61が形成されている。このため、行方向Xでのクロストークによる画質への影響も抑えることができる。
なお、固体撮像素子300において、電荷蓄積部61は電源端子に接続されないフローティングとしてもよい。
また、図17の例では、電荷蓄積部61が、出力トランジスタOTr2やリセットトランジスタRTr2の電源と接続される電源端子に接続されるものとしたが、電荷蓄積部61は、この電源端子とは独立した別の電源端子に接続してもよい。
図19は、図16に示した固体撮像素子300の変形例である固体撮像素子300aの平面模式図である。固体撮像素子300aは、電荷蓄積部61を、N型不純物がドープされたポリシリコンからなる電荷蓄積部71に変更した点を除いては、固体撮像素子300と同じ構成である。
電荷蓄積部71は、平面視においては電荷蓄積部61と同じ位置に形成されるが、その高さが電荷蓄積部61とは異なる。電荷蓄積部71は、半導体基板上に形成されている。図19の構成であっても、クロストークによる画質への影響を抑えることができる。
図20は、図19に示す固体撮像素子300aの半導体基板上方に形成される配線のレイアウト例を示した図である。図20において図17との違いは、電荷蓄積部61が電荷蓄積部71に変更され、配線RDLの接続先が異なっている点である。
図20に示すように、電荷蓄積部71はどの配線にも接続されておらず、フローティングとなっている。なお、図9に示した構成と同様に、電荷蓄積部71に電源端子を接続して、電荷蓄積部71に固定又は可変の電圧を印加できるようにしてもよい。
ここまで説明した実施形態の固体撮像素子において、フォトダイオードをP型不純物層によって形成してもよい。この場合は、各トランジスタの不純物層、フローティングディフュージョン、及び電荷蓄積部を構成する不純物層の導電型をP型とすればよい。
以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
開示されたMOS型固体撮像素子は、半導体基板内に二次元状に配置形成された複数の光電変換部と、前記複数の光電変換部の各々で発生した電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、前記フローティングディフュージョンの電位に応じた信号を読み出す前記半導体基板に形成された信号読み出し回路とを有するMOS型固体撮像素子であって、前記光電変換部の行と行の間の境界領域、及び、前記光電変換部の列と列の間の境界領域の一部に前記信号読出し回路が形成され、前記2つの境界領域の前記フローティングディフュージョン及び前記信号読み出し回路が形成されている領域以外の領域の前記半導体基板には、入射した光に応じて電荷を発生して当該電荷を蓄積する電荷蓄積部が形成されているものである。
開示されたMOS型固体撮像素子は、前記電荷蓄積部は、前記半導体基板内に形成された、前記光電変換部を構成する不純物層と同じ導電型の不純物層、又は、前記半導体基板上に形成されたポリシリコン層によって構成されているものである。また、前記ポリシリコン層は、前記光電変換部を構成する不純物層と同じ導電型の不純物がドープされたものである。
開示されたMOS型固体撮像素子は、前記信号読み出し回路は、2つ又は4つの前記光電変換部に対して1つ設けられているものである。
開示されたMOS型固体撮像素子は、前記信号読み出し回路は、4つの前記光電変換部に対応して1つ設けられており、1つの前記光電変換部を注目光電変換部としたときに、前記注目光電変換部の列方向における一方向の隣には、当該注目光電変換部に蓄積された電荷が転送される前記フローティングディフュージョンが形成され、前記注目光電変換部の列方向における他方向の隣には、前記注目光電変換部に対応する前記信号読出し回路が形成され、前記注目光電変換部の行方向の両隣には、前記電荷蓄積部が形成されており、前記注目光電変換部が、前記電荷蓄積部と、前記フローティングディフュージョンと、前記信号読み出し回路とによって囲まれているものである。
開示されたMOS型固体撮像素子は、前記2つの境界領域の一方における前記光電変換部同士の間の領域において、前記信号読出し回路が形成されていない領域の前記半導体基板にも前記電荷蓄積部が形成されているものである。
開示されたMOS型固体撮像素子は、前記電荷蓄積部に蓄積された電荷を外部に排出する電荷排出部を備えるものである。
開示されたMOS型固体撮像素子は、前記電荷排出部が、前記電荷蓄積部に接続される電源端子であるものである。
開示されたMOS型固体撮像素子は、前記電源端子が、前記信号読出し回路に含まれるMOSトラジスタに接続される電源端子とは独立した電源端子であるものである。
開示されたMOS型固体撮像素子は、前記電源端子が、前記信号読出し回路に含まれるMOSトラジスタに接続される電源端子と同じ電源端子であるものである。
開示された撮像装置は、前記MOS型固体撮像素子によって撮像を行う撮像装置であって、前記独立した電源端子に接続され、可変電圧を供給する電圧供給部を備えるものである。
開示された撮像装置は、前記電圧供給部が、前記独立した電源端子に供給する電圧を前記MOS型固体撮像素子への光の入射角に応じて変更するものである。
開示された撮像装置は、前記電圧供給部が、前記独立した電源端子に供給する電圧を、撮影時の絞り値又はズームレンズ位置に応じて変更するものである。