JP2013068285A - 回転軸支持構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スラストカラー5を有する回転軸1の支持構造である。回転軸1をラジアルフォイル軸受8一つで回転可能に支持するとともに、回転軸1のスラストカラー5を一つあるいは一対のスラストフォイル軸受9で回転可能に支持する。スラストフォイル軸受9は、スラストカラー5に対向して配置される円環状の軸受部と、軸受部の、スラストカラー5に対向する面と反対側の面に対向して配置されて、回転軸1の回転時に軸受部を支持する円環状のベース部と、を備えているのが好ましい。
【選択図】図1
Description
このように、ベース部によって軸受部を支持しているため、回転軸にこれが傾く軸振動(コニカル振動)が起きた際、この軸振動による荷重を受けたスラストフォイル軸受は、例えば軸受部とこれを支持するベース部との間で摩擦を生じ、これによってエネルギーを散逸して減衰効果を発揮し、振動抑制効果を奏する。したがって、ラジアルフォイル軸受についてはこれ一つで回転軸を支持しているものの、スラストフォイル軸受で回転軸の軸振動(コニカル振動)を抑制できるので、回転軸支持構造全体としては、回転軸の軸振動(コニカル振動)を充分に抑制することが可能になる。
このようにすれば、回転軸が停止状態から回転状態に移る始動時において、スラストフォイル軸受は実質的に抵抗トルク(初期トルク)がないため、始動性をより向上する。
そこで、このスラストフィル軸受では、ベース板と軸受部との少なくとも一方に凹部を形成し、この凹部の深さを、前記ベース板又は前記軸受部の内周側から外周端に向かって連続的に深くなるように形成し、前記凹部に、該凹部を埋めた状態に弾性体を設けているので、前記動圧が高くなる内周側では外周側に比べて弾性体の厚さが相対的に薄くなり、したがって内周側では動圧が低くなる外周側に比べて撓み量(弾性変形量)が小さくなる。よって、この動圧が高くなる部位では弾性体が必要以上に大きく撓むことがないため、この部位でも流体潤滑膜に所望の動圧が発生され易くなり、軸受の軸受負荷能力の低下が抑制される。これにより、このスラストフォイル軸受にあっては、回転軸が傾くような振れ回り振動が起こり、スラストカラーに傾き(面振れ)が生じても、この傾きをより良好に吸収し、したがって回転軸の軸振動(コニカル振動)を充分に抑制することができる。
そこで、このスラストフォイル軸受では、ベース板の軸受部に対向する面側に、その周方向に沿って連続する凹部を形成し、この凹部の深さを、前記ベース板の半径方向において、その内周側から外周端に向かって連続的に深くなるように形成しているので、軸受部は、前記凹部を形成したベース板に支持されることにより、前記動圧が高くなる内周側では動圧が低くなる外周側に比べて曲げ剛性が高く、相対的に強いバネとして機能するようになる。よって、内周側でスラストカラー側に位置するフォイルが必要以上に大きく撓むことがないため、この部位でも流体潤滑膜に所望の動圧が発生され易くなり、軸受の軸受負荷能力の低下が抑制される。
さらに、トップフォイルの、回転軸と対向する面に斜方溝を複数形成しているので、回転軸の始動時にはすでに斜方溝内に周囲流体が存在しているため、昇速途上で回転軸の回転速度が低い段階でも流体潤滑膜が容易に形成されるようになる。したがって、回転軸が停止状態から回転状態に移る始動時において、抵抗トルク(初期トルク)が即座に低下するため、始動性がより向上する。
さらに、ラジアルフォイル軸受については一つで回転軸を支持しているため、二つで支持していた従来に比べて回転軸の長さを短くすることが可能となり、支持構造の小型化が可能になるなど、回転軸を含めた支持構造の設計自由度を高めることができる。
図1は、本発明の回転軸支持構造の一実施形態の概略構成を示す図であり、図1中符号1は回転軸、2はこの回転軸1を支持する回転軸支持構造である。
従来では、二つ(一対)のラジアルフォイル軸受で回転軸を支持しているのに対し、本実施形態では、一つのラジアルフォイル軸受8で回転軸1を支持している。したがって、本実施形態の回転軸支持構造2では、回転軸1にこれが傾く軸振動(コニカル振動)が起き易く、また、起きた際にはこの軸振動が長く続いてしまう懸念がある。そこで、本実施形態の回転軸支持構造2では、特に回転軸1にこれが傾く軸振動(コニカル振動)が起きた際、この軸振動によるエネルギーを減衰させて振動抑制効果を発揮する、ラジアルフォイル軸受8、スラストフォイル軸受9、9を用いるのが望ましい。
後述するようにスラストフォイル軸受9Aによる軸受負荷能力を優先させる場合には、平坦面17の幅(半径方向の長さ)を広くして動圧分布図である図3(b)内の(2)の周辺を広く支持し、この(2)周辺での支持剛性を高くする。
特に、スラストカラー5に対する軸受面10bの追従性を最優先としたい場合には、平坦面17を形成することなく、トップフォイル10に対向する面全体を、凹部16としてもよい。その場合にも、凹部16の内周端(ベース板12の内周端)が凹部16中の他の部位より凹んでいないため、該内周端によって軸受負荷能力が発揮されるようになる。
さらに、図3(d)には、平坦面17を形成することなく、トップフォイル10に対向する面全体を、凹部16とした場合の、スラストフォイル軸受9Aの要部を示す。この図3(d)では、図3(b)に示す(2)の位置より外側に第1弾性体13を配置し、(2)の位置より内側に第2弾性体14を配置している。
回転軸1の停止時においては、スラストフォイル軸受9Aはそのトップフォイル10がスラストカラー5に対して非接触の状態に配置されている。この停止状態から、タービン翼車4に駆動力が与えられて回転軸1が回転し始め、高速回転に進むと、スラストカラー5とトップフォイル10の軸受面10bとの間に、スパイラル溝15で形成された動圧によって流体潤滑膜が形成され、これによってスラストフォイル軸受9Aは、形成された流体潤滑膜を介してスラストカラー5を支持するようになる。その際、スラストフォイル軸受9Aは回転軸1の停止時においてスラストカラー5に対して非接触の状態となっていたため、このスラストフォイル軸受9Aは実質的に始動時の抵抗トルク(初期トルク)を生じていない。
なお、形成された流体潤滑膜の動圧は、前述したようにスラストフォイル軸受9Aの内周側で高く、外周側で低くなっている。
その際、本例のスラストフォイル軸受9Aにあっては、ベース板12に凹部16を形成し、この凹部16の深さを内周側から外周端に向かって連続的に深くなるように形成し、さらに凹部16には第1弾性体13を設け、内周側の平坦面17上には第1弾性体13より剛性が高い第2弾性体14を設けている。
このような構成のもとに軸受部20は、その第2バックフォイル24が、通常は平坦面27にのみ接した状態でベース板21に支持されている。すなわち、ベース板(ベース部)21は、回転軸1の回転時に、第2バックフォイル24を含む軸受部20をその径方向に傾斜可能に支持し、かつ、弾性的に支持できるようになっている。
後述するようにスラストフォイル軸受9Bによる軸受負荷能力を優先させる場合には、平坦面27の幅(半径方向の長さ)を広くして動圧分布図である図5(b)内の(2)の周辺を広く支持し、この(2)周辺での支持剛性を高くする。
特に、スラストカラー5に対する軸受面22aの追従性を最優先としたい場合には、平坦面27を形成することなく、第2バックフォイル24に対向する面全体を、凹部26としてもよい。その場合にも、凹部26の内周端(ベース板21の内周端)が凹部26中の他の部位より凹んでいないため、該内周端によって軸受負荷能力が発揮されるようになる。
さらに、図5(d)には、平坦面27を形成することなく、第2バックフォイル24に対向する面全体を、凹部26とした場合の、スラストフォイル軸受9Bの要部を示す。
回転軸1の停止時においては、第1の例のスラストフォイル軸受9Aと同様にスラストフォイル軸受9Bは、軸受部20のトップフォイル22がスラストカラー5に対して非接触の状態に配置されている。この停止状態から、タービン翼車4に駆動力が与えられて回転軸1が回転し始め、高速回転に進むと、スラストカラー5と軸受部20の軸受面22aとの間に、スパイラル溝25で形成された動圧によって流体潤滑膜が形成され、これによってスラストフォイル軸受9Bは、形成された流体潤滑膜を介してスラストカラー5を支持するようになる。その際、スラストフォイル軸受9Bは回転軸1の停止時においてスラストカラー5に対して非接触の状態となっていたため、このスラストフォイル軸受9Bは実質的に始動時の抵抗トルク(初期トルク)を生じていない。
また、回転軸1は、回転軸が有する不釣合い、外部環境の影響および運転状態などによってその回転が回転中心から僅かながらぶれて振動することがあり、その場合にはこれに固定されているスラストカラー5も僅かながら振動して面振れし、図4(b)に示すように瞬間的には傾いた状態となる。
よって、トップフォイル22はその内周側がほとんど撓まないため、この内周側でも流体潤滑膜に所望の動圧が発生されるようになり、スラストフォイル軸受9Bはその軸受負荷能力の低下が抑制されたものとなる。
さらに、ベース板21には凹部26が形成されているので、回転軸1が傾くように振れ回り振動し、スラストカラー5に傾き(面振れ)が生じても、軸受部20はその傾きに追従するように傾斜する。その際、軸受部20を構成するフォイル22、23、24間などに摩擦が生じ、これによって回転軸1の振動エネルギーが散逸するため、減衰効果が発揮され、これによって振動抑制効果が得られる。
さらに、前記の平坦面27を形成することなく、図5(d)に示したように凹部26を、ベース板21の内周端から外周端にかけて全体に形成してもよい。
スラストフォイル軸受9Cは、トップフォイル32がスラストカラー5に対して接触した状態に配置されている。
図8(a)、(b)は、振動抑制効果を発揮し得るラジアルフォイル軸受の一例を示す図である。このラジアルフォイル軸受8は、回転軸1に外挿されて該回転軸1を支持する円筒状のもので、回転軸1に対向して配置される円筒状のトップフォイル40と、該トップフォイル40の径方向外側に配置されるバックフォイル41と、該バックフォイル41の径方向外側に配置される軸受ハウジング42とを備えて構成されている。
バックフォイル41は、フォイル(薄板)で形成されてトップフォイル40を弾性的に支持するものである。このようなバックフォイル41としては、例えば、バンプフォイル、特開2006−57652号公報や特開2004−270904号公報などに記載されているスプリングフォイル、特開2009−299748号公報などに記載されているバックフォイルなどが用いられる。図8ではバンプフォイルを例に説明する。バンプフォイルは、図8(b)に示すようにフォイル(薄板)が波板状に成形され、さらに軸受ハウジング42の内周面に沿って円筒状に形成配置されたものである。ここで、波板状に成形されたバンプフォイル(バックフォイル)41は、ラジアルフォイル軸受8の周方向に沿って、トップフォイル40に接する山部と、軸受ハウジング42に接する谷部とを交互に形成している。これによってバックフォイル41は、ラジアルフォイル軸受8の軸方向に山部や谷部による流体の通路を形成している。
斜方溝43は、トップフォイル40の外観を示す図9(a)、およびトップフォイル40の内面を展開した図9(b)に示すように、回転軸1の回転方向(矢印方向)後方から前方に向かうとともに、トップフォイル40の軸方向(回転軸1の回転方向と直交する方向)の中心部(本例では軸方向の中心線CL)から両方の端縁側にそれぞれ向かって形成されている。すなわち、軸方向の中心線CLを対称線として、斜方溝43は軸方向の一方の側と他方の側とに、線対称で形成配置されている。
また、斜方溝43は、図9(b)に示すように軸方向に対する角度、すなわち中心線CLと直交するラインに対する傾斜角θが、10°〜35°程度に形成されているのが好ましく、15°〜20°程度に形成されているのがより好ましく、17°程度に形成されているのがさらに好ましい。10°以上にすることで、回転軸1の回転力に付勢された潤滑流体を、斜方溝43に沿って回転軸1の回転方向に向けて良好に流れさせることができ、ラジアルフォイル軸受8をより広範囲に冷却することが可能になる。一方、35°以下にすることで、潤滑流体が斜方溝43に沿って軸方向の端部側に向かって良好に流れるようになり、後述するように熱くなった潤滑流体をラジアルフォイル軸受8の外側に良好に排出することが可能になる。
回転軸1が停止した状態では、トップフォイル40はバックフォイル41によって回転軸1側に付勢されることで回転軸1に密着している。ただし、本例では、トップフォイル40の内面に斜方溝43が形成されているため、回転軸1が停止している状態でもすでに斜方溝43内に周囲流体(例えば空気)が存在している。
また、斜方溝43によって高い冷却効果が得られるようになっているので、その焼き付きが良好に防止されたものとなる。
また、従来の構造に比べてラジアルフォイル軸受を一つ減らせることができるため、コストダウンを図ることができ、したがって特に量産品とした場合に有利になる。
また、従来に比べて回転軸の長さを短くすることで、回転軸を軽量化することができ、したがって慣性量(慣性マス)が低減することで応答性(レスポンス)が向上する。
例えば、図1に示した実施形態では回転軸1を水平方向に配置する横置き型としたが、回転軸を鉛直方向に配置する縦置き型の支持構造にも本発明を適用することができる。その場合、縦置き型では通常スラストフォイル軸受をスラストカラーの下方側にのみ配置する。したがって、このような縦置き型に本発明の支持構造を適用した場合、図1に示した実施形態と異なり、スラストフォイル軸受を一対(二つ)設けることなく、一つのみでスラストカラーを支持するようにしてもよい。その場合にも、前記した第1〜第3の例のスラストフォイル軸受9A〜9Cが好適に用いられる。
Claims (6)
- スラストカラーを有する回転軸の支持構造であって、
前記回転軸をラジアルフォイル軸受一つで回転可能に支持するとともに、該回転軸のスラストカラーを一つあるいは一対のスラストフォイル軸受で回転可能に支持することを特徴とする回転軸支持構造。 - 前記スラストフォイル軸受は、前記スラストカラーに対向して配置される円環状の軸受部と、前記軸受部の、前記スラストカラーに対向する面と反対側の面に対向して配置されて、前記回転軸の回転時に前記軸受部を支持する円環状のベース部と、を備えることを特徴とする請求項1記載の回転軸支持構造。
- 前記スラストフォイル軸受は、前記回転軸の停止時において、該回転軸の前記スラストカラーに対して非接触であることを特徴とする請求項2記載の回転軸支持構造。
- 前記軸受部の前記スラストカラーに対向する面には、動圧発生用のポンプイン形スパイラル溝が形成され、
前記ベース部は、前記軸受部側に配置された弾性体と、該弾性体を保持するベース板とを有して構成され、
前記ベース板の前記軸受部に対向する面側と、前記軸受部の前記ベース板に対向する面側との少なくとも一方には、その周方向に沿って連続する凹部が設けられ、
前記凹部の深さが、前記ベース板又は前記軸受部の半径方向において、その内周側から外周端に向かって連続的に深くなるように形成され、
前記凹部には、該凹部を埋めた状態に前記弾性体が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転軸支持構造。 - 前記軸受部は、複数のフォイルが積層されてなるとともに、該複数のフォイルのうちの前記スラストカラー側に位置するフォイルの、前記スラストカラーに対向する面に、動圧発生用のポンプイン形スパイラル溝を形成してなり、
前記ベース部の前記軸受部に対向する面側には、その周方向に沿って連続する凹部が設けられ、
前記凹部の深さが、前記ベース部の半径方向において、その内周側から外周端に向かって連続的に深くなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転軸支持構造。 - 前記ラジアルフォイル軸受は、前記回転軸に対向して配置される円筒状のトップフォイルと、前記トップフォイルの径方向外側に配置されるバックフォイルとを備え、
前記トップフォイルの前記回転軸と対向する面には、前記回転軸の回転方向後方から前方に向かうとともに、該トップフォイルの軸方向の中心部から両方の端縁側にそれぞれ向かう斜方溝が複数形成され、
該斜方溝間、および該斜方溝の前記端縁側の端部と該端縁との間には、それぞれランド部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転軸支持構造。
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