JP2013068097A - スクリュー圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部容積比を自動的に高低圧力比に応じた値に調節するスクリュー圧縮機を提供する。
【解決手段】スクリュー圧縮機は、第1流体室(S11)と第2流体室(S12)とを仕切ると共にスライドバルブ(60)に連結されたメインピストン(72)を有するメイン駆動部(70)と、低圧室(S21)と高圧室(S22)とを仕切るパイロットピストン(82)と低圧室(S21)に設けられたパイロットバネ(83)とを有するパイロット駆動部(80)とを備えている。パイロット駆動部(80)は、パイロットピストン(82)の低圧室(S21)側への変位量に応じた距離だけメインピストン(72)がスライドバルブ(60)を後退方向に移動させ且つパイロットピストン(82)の高圧室(S22)側への変位量に応じた距離だけメインピストン(72)がスライドバルブ(60)を前進方向に移動させるように第1流体室(S11)の圧力を調整する。
【選択図】図3

Description

本発明は、スクリュー圧縮機に関し、特に、吸入容積と吐出容積との比(内部容積比)を調整するスライドバルブの位置調整に係るものである。
従来より、吸入容積と吐出容積との比である内部容積比を調整するスライドバルブを備えたスクリュー圧縮機が知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。該スクリュー圧縮機では、スライドバルブをスクリューロータの軸方向へスライドさせてスクリューロータの溝内に形成される圧縮室の高圧ガスの吐出開始位置(圧縮完了位置)を変えることによって吐出容積が変化し、その結果、内部容積比が調整される。
従来のスクリュー圧縮機では、高圧及び低圧を検出して高低圧力比を算出すると共に内部容積比が算出された高低圧力比となるスライドバルブの位置を演算し、又は圧縮機の電動機の駆動電流若しくは駆動電力を検出して該検出値が最小となるスライドバルブの位置を演算し、スライドバルブを演算した位置に移動させることによって内部容積比を高低圧力比に応じた値に調節していた。
特許第4147891号公報
しかしながら、上述のスクリュー圧縮機では、内部容積比を高低圧力比に応じた値に調節するために高圧及び低圧又は圧縮機運転電流若しくは電力を検出するセンサや該センサの検出値に応じたスライドバルブの位置を導き出す演算回路が必要となり、スクリュー圧縮機のみでは内部容積比を高低圧力比に応じた値に調節することができないという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、センサや演算回路を用いることなく内部容積比を自動的に高低圧力比に応じた値に調節するスクリュー圧縮機を提供することにある。
第1の発明は、内部に低圧空間(S1)と高圧空間(S2)とが形成されたケーシング(10)と、該ケーシング(10)内の上記低圧空間(S1)と上記高圧空間(S2)とに跨るように設けられて外周面に圧縮室(23)を形成する螺旋溝(41)が形成されたスクリューロータ(40)と、上記スクリューロータ(40)の外周面に沿って配置され、内部容積比が小さくなる前進方向と内部容積比が大きくなる後退方向とに移動可能なスライドバルブ(60)とを備えたスクリュー圧縮機であって、上記ケーシング(10)内に設けられたメインシリンダ(71)と、該メインシリンダ(71)内を第1流体室(S11)と第2流体室(S12)とに仕切ると共に上記スライドバルブ(60)に連結されて上記第1流体室(S11)と第2流体室(S12)との圧力差の変化に応じて上記スライドバルブ(60)を駆動するメインピストン(72)とを有するメイン駆動部(70)と、上記ケーシング(10)内に設けられたパイロットシリンダ(81)と、該パイロットシリンダ(81)内を上記低圧空間(S1)に連通する低圧室(S21)と上記高圧空間(S2)に連通する高圧室(S22)とに仕切るパイロットピストン(82)と、上記低圧室(S21)に設けられて上記パイロットピストン(82)を上記高圧室(S22)側に付勢する圧縮バネ(83)とを有し、上記パイロットピストン(82)の上記低圧室(S21)側への変位量に応じた距離だけ上記メインピストン(72)が上記スライドバルブ(60)を後退方向に移動させ且つ上記パイロットピストン(82)の上記高圧室(S22)側への変位量に応じた距離だけ上記メインピストン(72)が上記スライドバルブ(60)を前進方向に移動させるように上記第1流体室(S11)の圧力を調整するパイロット駆動部(80)とを備えている。
第1の発明では、スクリューロータ(40)の回転により、低圧空間(S1)側から螺旋溝(41)内の圧縮室(23)に吸入された流体が圧縮されて高圧空間(S2)に吐出される。高低圧力差が増大すると、パイロット駆動部(80)の低圧室(S21)と高圧室(S22)との圧力差が増大し、パイロットピストン(82)が圧縮バネ(83)を押し縮めながら低圧室(S21)側へ移動する。パイロットピストン(82)が低圧室(S21)側へ移動すると、メイン駆動部(70)の第1流体室(S11)内の圧力が調整されてメインピストン(72)がパイロットピストン(82)の変位量に応じた距離だけ移動し、該メインピストン(72)に連結されたスライドバルブ(60)が後退する。その結果、内部容積比が増大する。一方、高低圧力差が減少すると、パイロット駆動部(80)の低圧室(S21)と高圧室(S22)との圧力差が減少し、圧縮バネ(83)の付勢力によってパイロットピストン(82)が高圧室(S22)側へ移動する。パイロットピストン(82)が高圧室(S22)側へ移動すると、第1流体室(S11)内の圧力が調整されてメインピストン(72)がパイロットピストン(82)の変位量に応じた距離だけ移動し、該メインピストン(72)に連結されたスライドバルブ(60)が前進する。その結果、内部容積比が減少する。つまり、高低圧力差が増大するとスライドバルブ(60)が自動的に後退して内部容積比が増大する一方、高低圧力差が減少するとスライドバルブ(60)が自動的に前進して内部容積比が減少する。
また、第1の発明では、スライドバルブ(60)に連結されたメインピストン(72)が、パイロットピストン(82)の変位量に応じた距離だけ移動するように構成されている。パイロットピストン(82)の変位量は、圧縮バネ(83)の変形量と等しくなるため、スライドバルブ(60)は、高低圧力差に基づく圧縮バネ(83)の変形量に応じた距離だけ移動することとなる。そのため、高低圧力差に基づく圧縮バネ(83)の変形量が、スライドバルブ(60)の理想の変位量に近づくように圧縮バネ(83)を構成することにより、高低圧力差の変化に伴って自動的に移動するスライドバルブ(60)の変位が理想のスライドバルブ(60)の変位に近くなる。以下、具体的に詳述する。
図6は、内部容積比とスライドバルブ(60)の変位量との相関を示すグラフである。また、図7の実線は、図6のグラフの横軸に示す内部容積比を高低圧力差に読み替えたものであり、高低圧力差とスライドバルブ(60)の理想の変位量、即ち、内部容積比が高低圧力比に等しくなるようにスライドバルブ(60)を移動させたときの該スライドバルブ(60)の高低圧力差に応じた変位量との相関を示している。なお、図6及び図7において、縦軸に示したスライドバルブ(60)の変位量は、スライドバルブ(60)の最も前側の位置(吐出開始が最も早くなる位置)よりも前側の所定の位置を基準位置としたときの該基準位置からの距離を示している。図7に実線で示すように、スライドバルブ(60)の理想の変位量は、高低圧力差が大きくなる程大きくなり、高低圧力差が小さくなる程小さくなる。
ところで、上記パイロット駆動部(80)の圧縮バネ(83)は高低圧力差に基づいて変形し、その変形量は、高低圧力差が大きい程大きくなり、高低圧力差が小さい程小さくなる。そのため、圧縮バネ(83)のバネ定数を変更することにより、高低圧力差に基づく圧縮バネ(83)の変形量を、高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量に容易に近づけることができる。上述のように、スライドバルブ(60)は圧縮バネ(83)の変形量に応じた距離だけ移動するため、圧縮バネ(83)のバネ定数を上述のように選定することによって、高低圧力差の変化に伴って自動的に移動するスライドバルブ(60)の変位が理想のスライドバルブ(60)の変位に近くなる。
第2の発明は、第1の発明において、上記圧縮バネ(83)は、変形量が大きくなるにつれてバネ定数が大きくなる非線形特性を有している。
図7において実線で示すように、高低圧力差が大きくなるにつれて高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量は大きくなるものの、その変位量の変化は小さくなる。逆に、高低圧力差が小さくなるにつれて高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量は小さくなるが、その変位量の変化は大きくなる。
第2の発明では、圧縮バネ(83)は、変形量が大きくなるにつれてバネ定数が大きくなる非線形特性を有するように構成されている。そのため、圧縮バネ(83)は、高低圧力差が大きくなるにつれて変形量は大きくなるものの変形量の変化は小さくなり、高低圧力差が小さくなるにつれて変形量は小さくなるものの変形量の変化は大きくなる。このような非線形特性を有する圧縮バネ(83)を用いることにより、高低圧力差に基づく圧縮バネ(83)の変形量を高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量により近づけることができる。よって、高低圧力差の変化に伴って自動的に移動するスライドバルブ(60)の変位が理想のスライドバルブ(60)の変位により近くなる。
第3の発明は、第2の発明において、上記圧縮バネ(83)は、高低圧力差に基づく変形量が、内部容積比が高低圧力比に等しくなるように上記スライドバルブ(60)を移動させたときの該スライドバルブ(60)の上記高低圧力差に応じた変位量と等しくなるような非線形特性を有している。
第3の発明では、高低圧力差に基づく圧縮バネ(83)の変形量が、高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量と等しくなるように圧縮バネ(83)が構成されている。そのため、スライドバルブ(60)は、高低圧力比に等しい内部容積比となるように移動する。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記第1流体室(S11)には、上記高圧空間(S2)の流体を該第1流体室(S11)内に供給する供給路(68)と、上記第1流体室(S11)内の流体を上記低圧空間(S1)に排出する排出路(69)とが接続され、上記パイロットピストン(82)は、その変位量に応じて上記供給路(68)の流体流量を変更することによって上記第1流体室(S11)の圧力を調整するように構成されている。
第4の発明では、高低圧力差の変化に伴ってパイロットピストン(82)が移動すると、その変位量に応じて供給路(68)の流体流量を変更することにより、第1流体室(S11)の圧力が調整される。具体的には、供給路(68)の流体流量が減少して排出路(69)の流体流量を下回ると、第1流体室(S11)の圧力が減少する一方、供給路(68)の流体流量が増大して排出路(69)の流体流量を上回ると、第1流体室(S11)の圧力が増大する。
第5の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記第1流体室(S11)には、上記高圧空間(S2)の流体を該第1流体室(S11)内に供給する供給路(68)と、上記第1流体室(S11)内の流体を上記低圧空間(S1)に排出する排出路(69)とが接続され、上記パイロットピストン(82)は、その変位量に応じて上記排出路(69)の流体流量を変更することによって上記第1流体室(S11)の圧力を調整するように構成されている。
第5の発明では、高低圧力差の変化に伴ってパイロットピストン(82)が移動すると、その変位量に応じて排出路(69)の流体流量を変更することにより、第1流体室(S11)の圧力が調整される。具体的には、排出路(69)の流体流量が減少して供給路(68)の流体流量を下回ると、第1流体室(S11)の圧力が増大する一方、排出路(69)の流体流量が増大して供給路(68)の流体流量を上回ると、第1流体室(S11)の圧力が低下する。
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記パイロットシリンダ(81)は、上記メイン駆動部(70)の内部に設けられている。
第6の発明では、内部に第1流体室(S11)と第2流体室(S12)とが形成されたパイロットシリンダ(81)がメイン駆動部(70)の内部に形成される。
第7の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記パイロットシリンダ(81)は、上記メイン駆動部(70)の外部に設けられている。
第7の発明では、内部にパイロットピストン(82)が挿通されるパイロットシリンダ(81)がメインシリンダ(71)の外部に形成される。
第1の発明によれば、スライドバルブ(60)に連結されたメインピストン(72)が高低圧力差に応じて移動するパイロットピストン(82)の変位量に応じた距離だけ移動するようにメイン駆動部(70)及びパイロット駆動部(80)を構成したことにより、高圧及び低圧を検出することなく、高低圧力差に応じてスライドバルブ(60)の位置を自動的に変更することができる。これにより、センサや演算回路を用いることなく内部容積比を自動的に高低圧力比に応じた値に調節することができる。
また、第1及び第2の発明によれば、高低圧力差に基づく圧縮バネ(83)の変形量が、高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量に近づくように圧縮バネ(83)のバネ定数を選定することによって、高低圧力差の変化に伴って自動的に移動するスライドバルブ(60)の変位を理想のスライドバルブ(60)の変位に近づけることができる。特に、第2の発明によれば、変形量が大きくなるにつれてバネ定数が大きくなる非線形特性を有する圧縮バネ(83)を用いることにより、高低圧力差の変化に伴って自動的に移動するスライドバルブ(60)の変位を理想のスライドバルブ(60)の変位により近づけることができる。従って、内部容積比を高低圧力比により近づけることができ、過圧縮又は圧縮不足による損失をより低減することができる。
また、第3の発明によれば、高低圧力差に基づく圧縮バネ(83)の変形量が、高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量と等しくなるように圧縮バネ(83)を構成することにより、高低圧力比に等しい内部容積比となるようにスライドバルブ(60)を移動させることができる。つまり、センサや演算回路を用いることなく高低圧力比の変化に応じて内部容積比を自動的に精度よく調整することができる。
また、第4の発明によれば、パイロットピストン(82)を、その変位量に応じて供給路(68)の流体流量を変更するように構成したため、パイロットピストン(82)によって容易に第1流体室(S11)の圧力を変更することができる。
また、第5の発明によれば、パイロットピストン(82)を、その変位量に応じて排出路(69)の流体流量を変更するように構成したため、パイロットピストン(82)によって容易に第1流体室(S11)の圧力を変更することができる。
また、第6の発明によれば、パイロットシリンダ(81)をメイン駆動部(70)の内部に設けることにより、スクリュー圧縮機(1)を小型化することができる。
また、第7の発明によれば、パイロットシリンダ(81)をメイン駆動部(70)の外部に設けることにより、パイロット駆動部(80)を容易に形成することができる。
図1は、実施形態1のスクリュー圧縮機の概略構成図である。 図2は、実施形態1の圧縮機構を示す断面図である。 図3は、実施形態1の圧縮機構の一部を拡大して示す断面図である。 図4は、実施形態1の圧縮機構の一部を抜き出して示す斜視図である。 図5(A)〜(C)は、圧縮機構の動作を示す平面図であって、(A)は吸入工程を示し、(B)は圧縮行程を示し、(C)は吐出行程を示す。 図6は、内部容積比とスライドバルブの変位量との相関を示すグラフである。 図7は、高低圧力差とスライドバルブの理想の変位量との相関を実線で示し、高低圧力差とパイロットバネの変形量との相関を破線で示すグラフである。 図8は、実施形態2の圧縮機構の一部を拡大して示す断面図である。 図9は、実施形態3の圧縮機構の一部を拡大して示す断面図である。 図10は、実施形態4の圧縮機構の一部を拡大して示す断面図である。 図11は、その他の実施形態において、高低圧力差とスライドバルブの理想の変位量との相関を実線で示し、高低圧力差とパイロットバネの変形量との相関を破線で示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本実施形態のスクリュー圧縮機(1)は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮するためのものである。
〈スクリュー圧縮機の概略構成〉
図1に示すように、スクリュー圧縮機(1)は、所謂シングルスクリュー圧縮機に構成され、圧縮機構(20)と該圧縮機構(20)を駆動する電動機(15)とが1つのケーシング(10)に収容されている。このスクリュー圧縮機(1)は、半密閉型に構成されている。
上記ケーシング(10)は、横長の円筒状に形成されている。ケーシング(10)内には、ケーシング(10)の一端側に位置する低圧空間(S1)と、ケーシング(10)の他端側に位置する高圧空間(S2)とが形成されている。ケーシング(10)には、低圧空間(S1)に連通する吸入管接続部(11)と、高圧空間(S2)に連通する吐出管接続部(12)とが設けられている。冷媒回路の蒸発器から流れてきた低圧ガス冷媒(即ち、低圧流体)は、吸入管接続部(11)を通って低圧空間(S1)へ流入する。また、圧縮機構(20)から高圧空間(S2)へ吐出された圧縮後の高圧ガス冷媒(即ち、高圧流体)は、吐出管接続部(12)を通って冷媒回路の凝縮器へ供給される。
ケーシング(10)内では、低圧空間(S1)に電動機(15)が配置され、低圧空間(S1)と高圧空間(S2)とに跨るように圧縮機構(20)が配置されている。圧縮機構(20)の駆動軸(21)は、電動機(15)に連結されている。また、ケーシング(10)内では、高圧空間(S2)に油分離器(16)が配置されている。油分離器(16)は、圧縮機構(20)から吐出された冷媒から冷凍機油を分離する。高圧空間(S2)における油分離器(16)の下方には、潤滑油である冷凍機油を貯留するための油貯留室(17)が形成されている。油分離器(16)において冷媒から分離された冷凍機油は、下方へ流れ落ちて油貯留室(17)に蓄えられる。
本実施形態のスクリュー圧縮機(1)には、インバータ(111)が設けられている。インバータ(111)は、その入力側が商用電源(112)に接続され、その出力側が電動機(15)に接続されている。インバータ(111)は、商用電源(112)から入力された交流の周波数を調節し、所定の周波数に変換された交流を電動機(15)へ供給する。
インバータ(111)の出力周波数を変更すると、電動機(15)の回転速度が変化し、電動機(15)によって駆動されるスクリューロータ(40)の回転速度も変化する。そして、スクリューロータ(40)の回転速度が変化すると、スクリュー圧縮機(1)へ吸入されて圧縮後に吐出される冷媒の質量流量が変化する。即ち、スクリューロータ(40)の回転速度が変化すると、スクリュー圧縮機(1)の運転容量が変化する。
〈スクリュー圧縮機の詳細構成〉
図2乃至図5に示すように、上記圧縮機構(20)は、ケーシング(10)に形成された円筒状のシリンダ部(30)(図2及び図3では一部のみ図示)と、該シリンダ部(30)の中に配置された1つのスクリューロータ(40)と、該スクリューロータ(40)に噛み合う2つのゲートロータ(50)とを備えている。また、スクリュー圧縮機(1)には、内部容積比(吸入容積と吐出容積の比)を変更するためのスライドバルブ(60)が設けられている。
スクリューロータ(40)には、駆動軸(21)が挿通されている。スクリューロータ(40)と駆動軸(21)は、キー(図示省略)によって連結されている。駆動軸(21)は、スクリューロータ(40)と同軸上に配置されている。なお、以下の説明では、図2及び図3において左右方向の左側を前側、右側を後側として説明する。
駆動軸(21)の内部には、軸方向に沿って延びる軸通路(21a)が貫通している。軸通路(21a)の一端は低圧空間(S1)に連通する一方、他端は駆動軸(21)の後端部を回転自在に支持する玉軸受(36)の後側の後方空間(S31)に連通している。つまり、後方空間(S31)は、軸通路(21a)によって低圧空間(S1)と連通し、低圧圧力状態となる。
シリンダ部(30)の高圧空間(S2)側の端部には、軸受ホルダ(35)が挿入されている。軸受ホルダ(35)は、やや厚肉の概ね円筒状に形成されている。軸受ホルダ(35)の外径は、シリンダ部(30)の内周面(即ち、スクリューロータ(40)の外周面と摺接する面)の直径と実質的に等しくなっている。軸受ホルダ(35)の内側には、上記玉軸受(36)が設けられている。
図2乃至図4に示すように、スクリューロータ(40)は、概ね円柱状に形成された金属製の部材である。スクリューロータ(40)は、円筒状のシリンダ部(30)(図4では図示省略)に回転可能に嵌合しており、その外周面がシリンダ部(30)の内周面と摺接する。スクリューロータ(40)の外周部には、スクリューロータ(40)の一端から他端へ向かって螺旋状に延びる螺旋溝(41)が複数(本実施形態では、6本)形成されている。
スクリューロータ(40)の各螺旋溝(41)は、図4における手前側の端部が前端となり、奥側の端部が後端となっている。また、スクリューロータ(40)は、吸入側に位置する前端部がテーパー状に形成されている(図2参照)。図4に示すスクリューロータ(40)では、テーパー面状に形成されたその手前側の端面(前端面)に螺旋溝(41)の前端が開口する一方、その奥側の端面(後端面)に螺旋溝(41)の後端は開口していない。
各ゲートロータ(50)は、樹脂製の部材である。各ゲートロータ(50)には、長方形板状に形成された複数(本実施形態では、11枚)のゲート(51)が放射状に設けられている。各ゲートロータ(50)は、シリンダ部(30)の外側に、スクリューロータ(40)の回転軸に対して軸対称となるように配置されている。各ゲートロータ(50)の軸心は、スクリューロータ(40)の軸心と直交している。各ゲートロータ(50)は、ゲート(51)がシリンダ部(30)の一部を貫通してスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)に噛み合うように配置されている。
ゲートロータ(50)は、金属製のロータ支持部材(55)に取り付けられている。ロータ支持部材(55)は、基部(56)とアーム部(57)と軸部(58)とを備えている。基部(56)は、やや肉厚の円板状に形成されている。アーム部(57)は、ゲートロータ(50)のゲート(51)と同数だけ設けられており、基部(56)の外周面から外側へ向かって放射状に延びている。軸部(58)は、棒状に形成されて基部(56)に立設されている。軸部(58)の中心軸は、基部(56)の中心軸と一致している。ゲートロータ(50)は、基部(56)及びアーム部(57)における軸部(58)とは反対側の面に取り付けられている。各アーム部(57)は、ゲート(51)の背面に当接している。
圧縮機構(20)では、シリンダ部(30)の内周面と、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)と、ゲートロータ(50)のゲート(51)とによって囲まれた空間が圧縮室(23)になる。スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)は、吸入側端部(前端部)において低圧空間(S1)に開放している。
図2及び図3に示すように、スライドバルブ(60)は、ケーシング(10)のシリンダ部(30)の周方向の2カ所に形成されたスライドバルブ収納部(31)に設けられている。スライドバルブ収納部(31)は、シリンダ部(30)の内周面に開口し、シリンダ部(30)の軸方向へ延びる凹溝状に形成されている。スライドバルブ(60)は、バルブ本体部である弁体部(61)と、連結部(62)と、ガイド部(63)とによって構成されている。スライドバルブ(60)は、弁体部(61)の前端が低圧空間(S1)側を向く姿勢でスライドバルブ収納部(31)に挿入され、シリンダ部(30)の軸心方向にスライド可能に構成されている。
弁体部(61)は、概ね厚板状に形成されている。この弁体部(61)において、スクリューロータ(40)と対面する内面は、シリンダ部(30)の内周面と曲率半径が実質的に等しい円筒面となっている。弁体部(61)は、その前端面が低圧空間(S1)に露出する一方、その後端面が高圧空間(S2)に露出している。
ガイド部(63)は、概ね厚板状に形成されている。このガイド部(63)において、軸受ホルダ(35)と対面する内面は、軸受ホルダ(35)の外周面と曲率半径が実質的に等しい円筒面となっており、軸受ホルダ(35)の外周面と摺接する。ガイド部(63)は、その内面が弁体部(61)の内面と同じ方向を向き、その前端面が弁体部(61)の後端面と向かい合う姿勢で配置される。そして、ガイド部(63)の後端面には、後述するスライドバルブ駆動機構(66)のメイン駆動部(70)のメインピストン(72)のロッド部(72b)の一端部が接続されている。なお、本実施形態では、スライドバルブ(60)とメインピストン(72)のロッド部(72b)が一体に構成されている。
連結部(62)は、比較的短い棒状に形成され、弁体部(61)とガイド部(63)を連結している。この連結部(62)は、その一端が弁体部(61)の後端面に連続し、その他端がガイド部(63)の前端面に連続している。スライドバルブ(60)では、弁体部(61)の後端面とガイド部(63)の前端面との間が吐出口(25)となっている。
スライドバルブ(60)がスライドバルブ収納部(31)に挿入された状態では、弁体部(61)とガイド部(63)の間に形成された吐出口(25)がスクリューロータ(40)の外周に臨むこととなる。そして、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)(図4参照)によって形成された圧縮室(23)は、吐出口(25)を介して高圧空間(S2)に連通する。
このような構成により、スライドバルブ(60)は、軸方向にスライドすることによって、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)内に形成される圧縮室(23)の高圧ガスの吐出開始位置(圧縮完了位置)を変更する。
また、スライドバルブ(60)の内部には、前端から後端まで軸方向に延びる低圧連通路(64)が形成されている。該低圧連通路(64)は、低圧空間(S1)に面する弁体部(61)の前端面から後方に向かって延び、連結部(62)及びガイド部(63)を一体的に貫き、ガイド部(63)の後端面において後述するパイロットシリンダ(81)の低圧連通穴(85)と連通している。なお、詳細については後述するが、本実施形態では、メインピストン(72)のロッド部(72b)とパイロットシリンダ(81)とが一体に構成されている。
図2に示すように、スクリュー圧縮機(1)には、スライドバルブ(60)を移動させるためのスライドバルブ駆動機構(66)が設けられている。このスライドバルブ駆動機構(66)は、スライドバルブ(60)を駆動するメイン駆動部(70)と、該メイン駆動部(70)のメインピストン(82)を駆動するパイロット駆動部(80)とを備えている。
図3に示すように、上記メイン駆動部(70)は、内部に第1シリンダ空間(S10)を形成するメインシリンダ(71)と、該メインシリンダ(71)内に設けられて第1シリンダ空間(S10)を第1流体室(S11)と第2流体室(S12)とに仕切るメインピストン(72)とを有している。
上記メインシリンダ(71)は、箱状に形成されてスライドバルブ(60)の後側に設けられている。また、メインシリンダ(71)は、前壁にスライドバルブ収納部(31)の内部に連通する穴部(71a)が形成されている。メインシリンダ(71)は、前端面の一部が後方空間(S31)に露出し、側面及び後端面は高圧空間(S2)に露出している。
メインピストン(72)は、板状の本体部(72a)と棒状のロッド部(72b)とを有している。本体部(72a)は、第1シリンダ空間(S10)を後側の第1流体室(S11)と前側の第2流体室(S12)とに仕切っている。本体部(72a)には、一端が第2流体室(S12)に開口し、他端が後述するパイロットシリンダ(81)の高圧連通穴(84)に連通する高圧連通路(72c)が形成されている。一方、ロッド部(72b)は、本体部(72a)の中央部に連結されて該中央部から軸方向前側に延びている。ロッド部(72b)は、メインシリンダ(71)の前壁に形成された穴部(71a)を介してスライドバルブ収納部(31)の内部に挿通され、スライドバルブ(60)のガイド部(63)の後端面に連結されている。
また、メインシリンダ(71)の第1流体室(S11)には、メインピストン(72)を第2流体室(S12)側へ付勢するメインバネ(73)が設けられている。メインバネ(73)は、運転停止時にメインピストン(72)を第2流体室(S12)側に付勢することによってスライドバルブ(60)が最も前側の位置まで戻るように構成されている。
メインシリンダ(71)の後壁には第1連通穴(74)が形成され、側壁には第2連通穴(75)が形成されている。また、メインシリンダ(71)の側壁には、低圧連通路(76)と絞り穴(77)とが形成されている。
上記第1連通穴(74)は、メインシリンダ(71)の後壁の中央部に形成され、軸方向に延びて内外を連通している。具体的には、第1連通穴(74)は、内側端が第1流体室(S11)に開口する一方、外側端がメインシリンダ(71)の後方の高圧空間(S2)に開口し、第1流体室(S11)と高圧空間(S2)とを連通している。第1流体室(S11)には、第1連通穴(74)を介して高圧空間(S2)の冷媒が供給される。つまり、第1連通穴(74)は、高圧空間(S2)の冷媒を第1流体室(S11)に供給する本発明に係る供給路(68)を構成する。また、第1連通穴(74)には、後述するパイロット駆動部(80)のパイロットピストン(82)のロッド部(82b)が挿通されている。
上記第2連通穴(75)は、メインシリンダ(71)の側壁の前端部に形成され、径方向に延びて内外を連通している。具体的には、第2連通穴(75)は、内側端が第2流体室(S12)に開口する一方、外側端がメインシリンダ(71)の側方の高圧空間(S2)に開口し、第2流体室(S12)と高圧空間(S2)とを連通している。第2流体室(S12)には、第2連通穴(75)を介して高圧空間(S2)の冷媒が供給される。なお、第2流体室(S12)の圧力が高圧空間(S2)の圧力変動に素早く追随するように、第2連通穴(75)は、内径が比較的大きくなるように形成されている。具体的には、第2連通穴(75)は、内径が6mm程度となるように形成されている。
上記低圧連通路(76)は、メインシリンダ(71)の側壁において軸方向に延びている。具体的には、低圧連通路(76)は、メインシリンダ(71)の側壁の後端部から前端部に亘って形成され、前端部が低圧空間(S1)に連通して低圧圧力状態の後方空間(S31)に開口している。
上記絞り穴(77)は、メインシリンダ(71)の側壁の後端部において径方向に延びている。絞り穴(77)は、内側端が第1流体室(S11)に開口する一方、外側端が低圧連通路(76)に開口し、第1流体室(S11)と低圧連通路(76)とを連通している。また、絞り穴(77)は、第1流体室(S11)の冷媒が微量ずつ低圧連通路(76)に排出されるように、低圧連通路(76)よりも通路断面積が小さくなるように形成されている。具体的には、絞り穴(77)は、内径が1mm程度となるように形成されている。
第1流体室(S11)の冷媒は、絞り穴(77)を介して低圧連通路(76)に排出され、該低圧連通路(76)、後方空間(S31)及び軸通路(21a)を通過して低圧空間(S1)に排出される。つまり、絞り穴(77)、低圧連通路(76)、後方空間(S31)及び軸通路(21a)が、第1流体室(S11)内の冷媒を低圧空間(S1)に排出する本発明に係る排出路(69)を構成する。
このような構成により、第2流体室(S12)には、第2連通穴(75)を介して高圧空間(S2)の冷媒が供給される。これにより、第2流体室(S12)は、高圧圧力状態となる。一方、第1流体室(S11)では、本発明に係る供給路(68)を構成する第1連通穴(74)を介して高圧空間(S2)の冷媒が内部に供給される一方、内部の冷媒が本発明に係る排出路(69)を構成する絞り穴(77)、低圧連通路(76)、後方空間(S31)及び軸通路(21a)を介して低圧空間(S1)に排出される。これにより、第1流体室(S11)は、高圧圧力と低圧圧力との間の中間圧力状態となる。
第1流体室(S11)の圧力は、パイロットピストン(82)が軸方向に移動することによって変更される。パイロットピストン(82)による第1流体室(S11)の圧力調整動作については後述する。第1流体室(S11)の圧力が変化すると、第1流体室(S11)と第2流体室(S12)との圧力差が変化してメインピストン(72)が移動する。
なお、スライドバルブ(60)では、弁体部(61)の前端面に低圧空間(S1)内の冷媒圧力が作用し、弁体部(61)の後端面に高圧空間(S2)内の冷媒圧力が作用する。そのため、スクリュー圧縮機(1)の運転中において、スライドバルブ(60)には、常にスライドバルブ(60)を低圧空間(S1)側へ押す方向(図3における左向き)の力が作用する。この力は、スライドバルブ(60)に連結されたメインピストン(72)にも作用するため、メインピストン(72)は上記力とメインバネ(73)による付勢力とによって第2流体室(S12)側へ押し付けられることとなる。従って、メインピストン(72)の両側に形成された第1流体室(S11)と第2流体室(S12)との圧力差が変化すると、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図3における右向き)の力の大きさが変化し、その結果、メインピストン(72)の位置が変化する。
具体的には、第1流体室(S11)の圧力が低下すると、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向の力が増大し、メインピストン(72)が第1流体室(S11)側へ移動する。これにより、メインピストン(72)のロッド部(72b)に連結されたスライドバルブ(60)が後退する。一方、第1流体室(S11)の圧力が上昇すると、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向の力が減少し、メインピストン(72)が第2流体室(S12)側へ移動する。これにより、メインピストン(72)のロッド部(72b)に連結されたスライドバルブ(60)が前進する。
上記パイロット駆動部(80)は、内部に第2シリンダ空間(S20)を形成するパイロットシリンダ(81)と、該パイロットシリンダ(81)内に設けられて第2シリンダ空間(S20)を低圧室(S21)と高圧室(S22)とに仕切るパイロットピストン(82)と、低圧室(S21)に設けられてパイロットピストン(82)を高圧室(S22)側に付勢するパイロットバネ(83)(圧縮バネ)とを有している。
上記パイロットシリンダ(81)は、箱状に形成され、本実施形態では、上記メインピストン(72)のロッド部(72b)と一体に構成されている。具体的には、第2シリンダ空間(S20)を、メインピストン(72)のロッド部(72b)の後半部分に形成することにより、該ロッド部(72b)をパイロットシリンダ(81)に構成している。このような構成により、本実施形態1では、パイロットシリンダ(81)は、メイン駆動部(70)の内部に設けられることとなる。パイロットシリンダ(81)の後壁には、第2シリンダ空間(S20)とメイン駆動部(70)の第1流体室(S11)とを連通する穴部(81a)が形成されている。
上記パイロットピストン(82)は、板状の本体部(82a)と棒状のロッド部(82b)とを有している。本体部(82a)は、第2シリンダ空間(S20)を前側の低圧室(S21)と後側の高圧室(S22)とに仕切っている。一方、ロッド部(82b)は、本体部(82a)の中央部に連結されて該中央部から軸方向後側に延びている。ロッド部(82b)は、パイロットシリンダ(81)の後壁に形成された穴部(81a)を介してメインシリンダ(71)内の第1流体室(S11)の内部に挿通され、後端部はメインシリンダ(71)の後壁に形成された第1連通穴(74)を介して高圧空間(S2)に露出している。また、ロッド部(82b)は、後端に形成されてメインシリンダ(71)の外部に位置する弁部(82c)を有している。該弁部(82c)は、第1連通穴(74)を閉塞可能な形状に形成されている。具体的には、本実施形態では、弁部(82c)は、第1連通穴(74)よりも大径の円板状に形成されている。
上記パイロットバネ(83)は、変形量が大きくなるにつれてバネ定数が大きくなる非線形特性を有する円錐コイルバネによって構成されている。また、パイロットバネ(83)は、低圧室(S21)と高圧室(S22)との圧力差(高低圧力差)に基づくパイロットバネ(83)の変形量が、高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量に近づくような非線形特性を有するように構成されている。
図6は、内部容積比とスライドバルブ(60)の変位量との相関を示すグラフである。また、図7の実線は、図6のグラフの横軸に示す内部容積比を高低圧力差に読み替えたものであり、高低圧力差とスライドバルブ(60)の理想の変位量、即ち、内部容積比が高低圧力比に等しくなるようにスライドバルブ(60)を移動させたときの該スライドバルブ(60)の高低圧力差に応じた変位量との相関を示している。なお、図6及び図7において、縦軸に示したスライドバルブ(60)の変位量は、スライドバルブ(60)の最も前側の位置(吐出開始が最も早くなる位置)よりも前側の所定の位置を基準位置としたときの該基準位置からの距離を示している。図7に実線で示すように、スライドバルブ(60)の理想の変位量は、高低圧力差が大きくなる程大きくなり、高低圧力差が小さくなる程小さくなる。
ところで、上記パイロットバネ(83)は高低圧力差に基づいて変形し、その変形量は、高低圧力差が大きい程大きくなり、高低圧力差が小さい程小さくなる。そのため、パイロットバネ(83)のバネ定数を変更することにより、高低圧力差に基づくパイロットバネ(83)の変形量を、高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量に容易に近づけることができる。具体的には、パイロットバネ(83)のバネ定数を、高低圧力差に基づくパイロットバネ(83)の変形量が、図7に実線で示す高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量に近づくように、例えば、図7の破線で示す変化となるように選定する。
図3に示すように、パイロットシリンダ(81)の側壁の後端部には、径方向に延びて内外を連通する高圧連通穴(84)が形成されている。該高圧連通穴(84)は、内側端が高圧室(S22)に開口する一方、外側端がメインピストン(72)の本体部(72a)に形成された高圧連通路(72c)に連通し、高圧室(S22)と高圧連通路(72c)とを連通している。高圧室(S22)は、高圧連通穴(84)、高圧連通路(72c)、第2流体室(S12)及び第2連通穴(75)を介して高圧空間(S2)と連通し、高圧圧力状態となる。
また、パイロットシリンダ(81)の前壁の中央部には、軸方向に延びて内外を連通する低圧連通穴(85)が形成されている。該低圧連通穴(85)は、内側端が低圧室(S21)に開口する一方、外側端がスライドバルブ(60)の低圧連通路(64)に連通し、低圧室(S21)と低圧連通路(64)とを連通している。低圧室(S21)は、低圧連通穴(85)及び低圧連通路(64)を介してスライドバルブ(60)の前方の低圧空間(S1)に連通し、低圧圧力状態となる。
このような構成により、高低圧力差の変化に伴って低圧室(S21)と高圧室(S22)との圧力差が変化することによってパイロットピストン(82)が移動する。具体的には、高低圧力差が増大すると、低圧室(S21)と高圧室(S22)との圧力差が増大し、パイロットピストン(82)がパイロットバネ(83)の付勢力に抗して低圧室(S21)側(図3における左側)へ移動する。一方、高低圧力差が減少すると、低圧室(S21)と高圧室(S22)との圧力差が減少し、パイロットピストン(82)がパイロットバネ(83)の付勢力によって高圧室(S22)側(図3における右側)へ移動する。
また、このようなパイロットピストン(82)の移動によって第1流体室(S11)の圧力が調整される。その結果、メインピストン(72)がパイロットピストン(82)の変位量に応じた距離だけ移動する。以下、パイロットピストン(82)による第1流体室(S11)の圧力調整動作と該圧力調整動作によるメインピストン(72)の動作について詳述する。
パイロットピストン(82)が低圧室(S21)側に移動すると、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)が第1連通穴(74)に近づく。その結果、第1連通穴(74)を介した高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が減少する。そして、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量を下回ると、第1流体室(S11)の圧力が低下し始める。第1流体室(S11)の圧力の低下に伴って、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図3における右向き)の力が増大し、メインピストン(72)が第1流体室(S11)側(図3における右側)へ移動し始める。このとき、メインピストン(72)のロッド部(72b)と一体に構成されたパイロットシリンダ(81)内に挿入されたパイロットピストン(82)も移動する。これにより、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)が第1連通穴(74)から遠ざかる。その結果、第1連通穴(74)を介した高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が増大する。そして、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量とほぼ等しくなると、第1流体室(S11)の圧力の低下が止まり、メインピストン(72)の第1流体室(S11)側への移動が停止する。
一方、パイロットピストン(82)が高圧室(S22)側に移動すると、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)が第1連通穴(74)から遠ざかる。その結果、第1連通穴(74)を介した高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が増大する。そして、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量を上回ると、第1流体室(S11)の圧力が増大し始める。第1流体室(S11)の圧力の増大に伴って、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図3における右向き)の力が減少し、メインピストン(72)が第2流体室(S12)側(図3における左側)へ移動し始める。このとき、メインピストン(72)のロッド部(72b)と一体に構成されたパイロットシリンダ(81)内に挿入されたパイロットピストン(82)も移動する。これにより、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)が第1連通穴(74)に近づく。その結果、第1連通穴(74)を介した高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が減少する。そして、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量とほぼ等しくなると、第1流体室(S11)の圧力の増大が止まり、メインピストン(72)の第2流体室(S12)側への移動が停止する。
上述のように、メインピストン(72)は、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量と第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量とが等しくなる位置で停止する。つまり、スライドバルブ駆動機構(66)の動作前と動作完了後における上記弁部(82c)と上記第1連通穴(74)との距離は概ね等しくなる。言い換えると、パイロットシリンダ(81)に対するパイロットピストン(82)の変位量分だけメインピストン(72)が逆方向に移動することにより、スライドバルブ駆動機構(66)の動作前と動作完了後における上記弁部(82c)の上記第1連通穴(74)に対する位置が概ね等しくなる。つまり、メインピストン(72)は、パイロットピストン(82)の移動に伴ってその変位量に応じた距離だけ移動する。パイロットピストン(82)の変位量は、パイロットバネ(83)の変形量と等しいため、メインピストン(72)に連結されたスライドバルブ(60)は、パイロットバネ(83)の変形量に応じて軸方向に移動することとなる。
−スクリュー圧縮機が冷媒を圧縮する動作−
スクリュー圧縮機(1)が冷媒を圧縮する動作について、図5を参照しながら説明する。
スクリュー圧縮機(1)において電動機(15)を起動すると、駆動軸(21)に連結されたスクリューロータ(40)が回転する。スクリューロータ(40)が回転するとゲートロータ(50)も回転し、圧縮機構(20)が吸入行程、圧縮行程および吐出行程を繰り返す。以下、図5においてドットを付した圧縮室(23)に着目して説明する。
図5(A)において、ドットを付した圧縮室(23)は、低圧空間(S1)(図1参照)に連通している。また、この圧縮室(23)が形成されている螺旋溝(41)(図4参照)は、同図の上側に位置するゲートロータ(50b)のゲート(51b)と噛み合わされている。スクリューロータ(40)が回転すると、このゲート(51b)が螺旋溝(41)の後端へ向かって相対的に移動し、それに伴って圧縮室(23)の容積が拡大する。その結果、低圧空間(S1)の低圧ガス冷媒が圧縮室(23)へ吸い込まれる。
スクリューロータ(40)が更に回転すると、図5(B)の状態となる。同図において、ドットを付した圧縮室(23)は、閉じきり状態となっている。つまり、この圧縮室(23)が形成されている螺旋溝(41)は、同図の下側に位置するゲートロータ(50a)のゲート(51a)と噛み合わされ、このゲート(51a)によって低圧空間(S1)から仕切られている。そして、スクリューロータ(40)の回転に伴ってゲート(51a)が螺旋溝(41)の後端へ向かって移動すると、圧縮室(23)の容積が次第に縮小する。その結果、圧縮室(23)内のガス冷媒が圧縮される。
スクリューロータ(40)が更に回転すると、図5(C)の状態となる。同図において、ドットを付した圧縮室(23)は、吐出口(25)を介して高圧空間(S2)(図1参照)と連通した状態となっている。そして、スクリューロータ(40)の回転に伴ってゲート(51a)が螺旋溝(41)の後端へ向かって移動すると、圧縮された冷媒ガスが圧縮室(23)から高圧空間(S2)へ吐出されてゆく。
−内部容積比を変更する動作−
スライドバルブ(60)によって圧縮機構(20)の内部容積比を変更する動作について説明する。なお、圧縮機構(20)の内部容積比は、吸入行程の終了直後における圧縮室(23)の容積(吸入容積)を吐出行程の開始直前における圧縮室(23)の容積(吐出容積)で除した値である。
スライドバルブ(60)が移動すると、それに伴って吐出口(25)の位置が変化する。即ち、圧縮室(23)内から冷媒が吐出されるその開始位置が変更される。一方、図5(A)〜(C)に示すように、同図においてドットを付した圧縮室(23)に着目すると、この圧縮室(23)が高圧空間(S2)側(同図における右側)へ移動するに従って、この圧縮室(23)の容積が次第に減少し、この圧縮室(23)内の冷媒の圧力が次第に上昇してゆく。このため、スライドバルブ(60)が最も高圧空間(S2)側(即ち、同図における右側)に位置する状態では、吐出口(25)に連通し始める直前(即ち、吐出行程の開始直前)における圧縮室(23)の容積が最小となり、圧縮機構(20)の内部容積比が最大となる。一方、スライドバルブ(60)が最も低圧空間(S1)側(即ち、同図における左側)に位置する状態では、吐出口(25)に連通し始める直前(即ち、吐出行程の開始直前)における圧縮室(23)の容積が最大となり、圧縮機構(20)の内部容積比が最小となる。言い換えると、圧縮機構(20)の内部容積比は、スライドバルブ(60)の後退に伴って増大する一方、スライドバルブ(60)の前進に伴って減少する。
−内部容積比の自動調整動作−
冷媒回路の高低圧力が変動すると、冷媒回路の高低圧力比とスクリュー圧縮機(1)の内部容積比とがずれて過圧縮や圧縮不足を生じてしまう。これに対し、本スクリュー圧縮機(1)では、高低圧力差の変化に伴ってスライドバルブ駆動機構(66)がスライドバルブ(60)の位置を自動的に調整することによって内部容積比が高低圧力比に応じた値に自動的に調整される。以下、該自動調整動作について高低圧力比の増大時と減少時とに分けて詳細に説明する。
図3に示すように、冷媒回路の高低圧力比が増大すると、高低圧力差も増大する。そのため、パイロットシリンダ(81)内の低圧室(S21)と高圧室(S22)との圧力差が増大し、パイロットピストン(82)がパイロットバネ(83)の付勢力に抗して低圧室(S21)側(図3における左側)へ移動する。これにより、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)が第1連通穴(74)に近づく。その結果、第1連通穴(74)を介した第1流体室(S11)への冷媒の供給量が減少する。そして、第1流体室(S11)における冷媒の供給量が排出量を下回ると、第1流体室(S11)の圧力が低下し始める。第1流体室(S11)の圧力の低下に伴って、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図3における右向き)の力が減少し、メインピストン(72)が第1流体室(S11)側(図3における右側)へ移動し始める。これにより、メインピストン(72)のロッド部(72b)に連結されたスライドバルブ(60)が後退し始める(図3における右側へ移動し始める)。
メインピストン(72)が第1流体室(S11)側へ移動すると、メインピストン(72)のロッド部(72b)と一体に構成されたパイロットシリンダ(81)内に挿入されたパイロットピストン(82)も移動する。これにより、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)がメインシリンダ(71)の第1連通穴(74)から遠ざかる。その結果、第1連通穴(74)を介した高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が増大する。そして、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量とほぼ等しくなると、第1流体室(S11)の圧力の低下が止まり、メインピストン(72)及びスライドバルブ(60)が停止する。
このようなスライドバルブ(60)の後退により、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)(図4参照)内に形成される圧縮室(23)の高圧ガスの吐出開始位置(圧縮完了位置)が後退する。その結果、吐出行程の開始直前における圧縮室(23)の容積(吐出容積)が小さくなるため、圧縮機構(20)の内部容積比(吸入容積/吐出容積)が大きくなる。
なお、上述のように、メインピストン(72)は、パイロットピストン(82)の移動に伴ってその変位量に応じた距離だけ移動する。また、パイロットピストン(82)の変位量は、パイロットバネ(83)の変形量と等しいため、メインピストン(72)に連結されたスライドバルブ(60)は、パイロットバネ(83)の変形量に応じた分だけ後退することとなる。さらに、パイロットバネ(83)は、高低圧力差に基づくパイロットバネ(83)の変形量が、高低圧力差に対するスライドバルブ(60)の理想の変位量と近づくように構成されている。そのため、高低圧力差の増大に伴って、スライドバルブ(60)がパイロットバネ(83)の変形量に応じた分だけ後退することにより、内部容積比が増大して高低圧力比に近づく。つまり、上記スライドバルブ駆動機構(66)によって、高低圧力比の増大に応じて内部容積比が高低圧力比に近づくように自動的に調整される。
一方、冷媒回路の高低圧力比が減少すると、高低圧力差も減少する。そのため、パイロットシリンダ(81)内の低圧室(S21)と高圧室(S22)との圧力差が減少し、パイロットピストン(82)がパイロットバネ(83)の付勢力によって高圧室(S22)側(図3における右側)へ移動する。これにより、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)がメインシリンダ(71)の第1連通穴(74)から遠ざかり、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が増大する。そして、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量を上回ると、第1流体室(S11)の圧力が増大し始める。第1流体室(S11)の圧力の増大に伴って、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図3における右向き)の力が減少し、メインピストン(72)が第2流体室(S12)側(図3における左側)へ移動し始める。これにより、メインピストン(72)のロッド部(72b)に連結されたスライドバルブ(60)が前進し始める(図3における左側へ移動し始める)。
メインピストン(72)が第2流体室(S12)側へ移動し始めると、メインピストン(72)のロッド部(72b)と一体に構成されたパイロットシリンダ(81)内に挿入されたパイロットピストン(82)も移動する。これにより、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)が第1連通穴(74)に近づく。その結果、第1連通穴(74)を介した高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が減少する。そして、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量とほぼ等しくなると、第1流体室(S11)の圧力の増大が止まり、メインピストン(72)及びスライドバルブ(60)が停止する。
このようなスライドバルブ(60)の前進により、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)内に形成される圧縮室(23)の高圧ガスの吐出開始位置(圧縮完了位置)が前進する。その結果、吐出行程の開始直前における圧縮室(23)の容積(吐出容積)が大きくなるため、圧縮機構(20)の内部容積比(吸入容積/吐出容積)が小さくなる。
なお、上述のように、メインピストン(72)は、パイロットピストン(82)の移動に伴ってその変位量に応じた距離だけ移動する。パイロットピストン(82)の変位量は、パイロットバネ(83)の変形量と等しいため、メインピストン(72)に連結されたスライドバルブ(60)は、パイロットバネ(83)の変形量に応じた分だけ前進することとなる。また、パイロットバネ(83)は、高低圧力差に基づくパイロットバネ(83)の変形量が、高低圧力差に対するスライドバルブ(60)の理想の変位量に近づくように構成されている。そのため、高低圧力差の減少に伴って、スライドバルブ(60)がパイロットバネ(83)の変形量に応じた分だけ前進することにより、内部容積比が減少して高低圧力比に近づく。つまり、上記スライドバルブ駆動機構(66)によって、高低圧力比の減少に応じて内部容積比が高低圧力比に近づくように自動的に調整される。
−実施形態1の効果−
本実施形態のスクリュー圧縮機(1)では、スライドバルブ(60)に連結されたメインピストン(72)が高低圧力差に応じて移動するパイロットピストン(82)の変位量に応じた距離だけ移動するようにメイン駆動部(70)及びパイロット駆動部(80)を構成したことにより、高圧及び低圧を検出することなく、高低圧力差に応じてスライドバルブ(60)の位置を自動的に変更することができる。これにより、センサや演算回路を用いることなく内部容積比を自動的に高低圧力比に応じた値に調節することができる。
また、本スクリュー圧縮機(1)によれば、高低圧力差に基づくパイロットバネ(83)の変形量が、高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量に近づくようにパイロットバネ(83)のバネ定数を選定することによって、高低圧力差の変化に伴って自動的に移動するスライドバルブ(60)の変位を理想のスライドバルブ(60)の変位に近づけることができる。特に、本スクリュー圧縮機(1)では、パイロットバネ(83)として、変形量が大きくなるにつれてバネ定数が大きくなる非線形特性を有する円錐コイルバネを用いているため、高低圧力差の変化に伴って自動的に移動するスライドバルブ(60)の変位を理想のスライドバルブ(60)の変位により近づけることができる。従って、内部容積比を高低圧力比により近づけることができ、過圧縮又は圧縮不足による損失をより低減することができる。
また、本スクリュー圧縮機(1)によれば、パイロットピストン(82)を、その変位量に応じて供給路(68)の流体流量を変更するように構成したため、パイロットピストン(82)によって容易に第1流体室(S11)の圧力を変更することができる。
また、本スクリュー圧縮機(1)では、パイロットシリンダ(81)をメイン駆動部(70)の内部に設けたため、パイロットシリンダ(81)をメイン駆動部(70)の外部に設ける場合に比べてスクリュー圧縮機(1)を小型化することができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2に係るスクリュー圧縮機(1)は、図8に示すように、実施形態1のスライドバルブ駆動機構(66)について、メイン駆動部(70)の内部に設けられていたパイロットシリンダ(81)をメイン駆動部(70)の外部に設けたものである。具体的には、実施形態2では、実施形態1においてメインピストン(72)のロッド部(72b)と一体に形成していたパイロットシリンダ(81)を、メインピストン(72)のロッド部(72b)と別体に構成し、メインシリンダ(71)の外部に設けている。以下、実施形態1と異なる構成について説明し、実施形態1と同様の構成については省略する。
メイン駆動部(70)は、実施形態1と同様に、メインシリンダ(71)とメインピストン(72)とを有している。
上記メインシリンダ(71)は、実施形態1とほぼ同様に構成されるが、実施形態2では、第1連通穴(74)(図3参照)の代わりに挿通穴(71b)が形成されると共に、低圧連通路(76)の構成が実施形態1と異なっている。
上記挿通穴(71b)は、メインシリンダ(71)の後壁の中央部に形成され、軸方向に延びて内外を貫通している。また、挿通穴(71b)は、内側端が第1流体室(S11)に開口する一方、外側端が後述するパイロットシリンダ(81)の高圧室(S22)に開口するように構成されている。挿通穴(71b)には、後述するパイロット駆動部(80)のパイロットピストン(82)のロッド部(82b)が挿通されている。
上記低圧連通路(76)は、メインシリンダ(71)の後壁から側壁に亘って形成され、後端部が後壁の後端面において開口すると共に、前端部が側壁の前端面において開口している。また、低圧連通路(76)の後端部は、後述するメインシリンダ(71)の後方に設けられたパイロットシリンダ(81)の低圧連通路(86)と連通している。低圧連通路(76)の前端部は、メインシリンダ(71)の前方且つ玉軸受(36)の後方の後方空間(S31)と連通している。
実施形態2においても、絞り穴(77)は、メインシリンダ(71)の側壁の後端部において径方向に延び、内側端が第1流体室(S11)に開口する一方、外側端が低圧連通路(76)に開口し、第1流体室(S11)と低圧連通路(76)とを連通している。第1流体室(S11)の冷媒は、絞り穴(77)を介して低圧連通路(76)に排出され、該低圧連通路(76)、後方空間(S31)及び軸通路(21a)を通過して低圧空間(S1)に排出される。つまり、実施形態2においても、絞り穴(77)、低圧連通路(76)、後方空間(S31)及び軸通路(21a)が、第1流体室(S11)内の冷媒を低圧空間(S1)に排出する本発明に係る排出路(69)を構成する。また、実施形態2においても、絞り穴(77)は、第1流体室(S11)の冷媒が微量ずつ低圧連通路(76)に排出されるように、低圧連通路(76)よりも通路断面積が小さくなるように形成されている。具体的には、絞り穴(77)は、内径が1mm程度となるように形成されている。
上記メインピストンは、板状の本体部(72a)と棒状のロッド部(72b)とを有している。本体部(72a)は、実施形態1とほぼ同様に構成されるが、高圧連通路(72c)(図3参照)が形成されていない点が実施形態1と異なる。また、ロッド部(72b)は、実施形態1とほぼ同様に構成されるが、第2シリンダ空間(S20)の代わりに内部に高圧連通空間(S30)が形成されている。高圧連通空間(S30)は、ロッド部(72b)の後端部において軸方向に延びている。また、ロッド部(72b)には、高圧連通空間(S30)の後端部から軸方向に延びて高圧連通空間(S30)と第1流体室(S11)とを連通する第1高圧連通穴(72d)と、高圧連通空間(S30)の前端部から径方向に延びて高圧連通空間(S30)と第2流体室(S12)とを連通する第2高圧連通穴(72e)とが形成されている。上記第1高圧連通穴(72d)には、後述するパイロット駆動部(80)のパイロットピストン(82)のロッド部(82b)が挿通されている。
実施形態2では、第2連通穴(75)を介して第2流体室(S12)に供給された高圧空間(S2)の冷媒は、第2高圧連通穴(72e)を介して高圧連通空間(S30)に流入し、第1高圧連通穴(72d)を介して第1流体室(S11)に供給される。つまり、第2連通穴(75)、第2流体室(S12)、第2高圧連通穴(72e)、高圧連通空間(S30)及び第1高圧連通穴(72d)は、高圧空間(S2)の冷媒を第1流体室(S11)に供給する本発明に係る供給路(68)を構成する。
また、実施形態2では、メインバネ(73)(図3参照)の代わりに、バネ(78)がスライドバルブ収納部(31)に挿入されたメインピストン(72)のロッド部(72b)を外周を取り巻くように設けれている。該バネ(78)は、スライドバルブ(60)を軸方向の前向き(図8では左向き)に付勢している。バネ(78)は、運転停止時にスライドバルブ(60)が前方に付勢されて最も前側の位置まで戻るように構成されている。
以上のような構成により、第2流体室(S12)には、第2連通穴(75)を介して高圧空間(S2)の冷媒が供給される。これにより、第2流体室(S12)は、高圧圧力状態となる。一方、第1流体室(S11)では、本発明に係る供給路(68)を構成する第2連通穴(75)、第2流体室(S12)、第2高圧連通穴(72e)、高圧連通空間(S30)及び第1高圧連通穴(72d)を介して高圧空間(S2)の冷媒が内部に供給される一方、内部の冷媒が本発明に係る排出路(69)を構成する絞り穴(77)、低圧連通路(76)、後方空間(S31)及び軸通路(21a)を介して低圧空間(S1)に排出される。これにより、第1流体室(S11)は、高圧圧力と低圧圧力との間の中間圧力状態となる。
第1流体室(S11)の圧力は、パイロットピストン(82)が軸方向に移動することによって変更される。パイロットピストン(82)による第1流体室(S11)の圧力調整動作については後述する。第1流体室(S11)の圧力が変化すると、第1流体室(S11)と第2流体室(S12)との圧力差が変化してメインピストン(72)が移動する。具体的には、第1流体室(S11)の圧力が低下すると、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図8における右向き)の力が増大し、メインピストン(72)が第1流体室(S11)側へ移動する。これにより、メインピストン(72)のロッド部(72b)に連結されたスライドバルブ(60)が後退する。一方、第1流体室(S11)の圧力が上昇すると、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図8における右向き)の力が減少し、メインピストン(72)が第2流体室(S12)側へ移動する。これにより、メインピストン(72)のロッド部(72b)に連結されたスライドバルブ(60)が前進する。
パイロット駆動部(80)は、実施形態1と同様に、内部に第2シリンダ空間(S20)を形成する箱状のパイロットシリンダ(81)と、該パイロットシリンダ(81)内に設けられて第2シリンダ空間(S20)を低圧室(S21)と高圧室(S22)とに仕切るパイロットピストン(82)と、低圧室(S21)に設けられてパイロットピストン(82)を高圧室(S22)側に付勢するパイロットバネ(83)(圧縮バネ)とを有している。なお、パイロットバネ(83)の構成は実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
上記パイロットシリンダ(81)は、前面が開口する箱状に形成され、メインシリンダ(71)の後方において、前面がメインシリンダ(71)の後端面によって閉塞されるようにメインシリンダ(71)に取り付けられている。
上記パイロットピストン(82)は、実施形態1と同様に、板状の本体部(82a)と棒状のロッド部(82b)とを有している。本体部(82a)は、第2シリンダ空間(S20)を後側の低圧室(S21)と前側の高圧室(S22)とに仕切っている。一方、ロッド部(82b)は、本体部(82a)の中央部に連結されて該中央部から軸方向前側に延びている。ロッド部(82b)は、メインシリンダ(71)の後壁に形成された挿通穴(71b)を介してメインシリンダ(71)内の第1流体室(S11)の内部に挿通され、前端部はメインピストン(72)のロッド部(72b)に形成された第1高圧連通穴(72d)を介して高圧連通空間(S30)に露出している。また、ロッド部(82b)は、前端に形成されて高圧連通空間(S30)の内部に位置する弁部(82c)を有している。該弁部(82c)は、第1高圧連通穴(72d)よりも大径の円板状に形成されている。
パイロットシリンダ(81)の側壁の前端部には、径方向に延びて内外を連通する高圧連通穴(84)が形成されている。該高圧連通穴(84)は、内側端が高圧室(S22)に開口する一方、外側端が高圧空間(S2)に開口し、高圧室(S22)と高圧空間(S2)とを連通している。つまり、高圧室(S22)は、高圧連通穴(84)を介して高圧空間(S2)と連通し、高圧圧力状態となる。また、パイロットシリンダ(81)の側壁には低圧連通路(86)が形成されている。該低圧連通路(86)は、パイロットシリンダ(81)の側壁の軸方向の中央部よりも後側から前端部に亘って形成されている。低圧連通路(86)の後端部は、パイロットシリンダ(81)内の低圧室(S21)に開口し、低圧連通路(86)の前端部は、パイロットシリンダ(81)の側壁の前面において開口してメインシリンダ(71)の低圧連通路(76)に連通している。低圧室(S21)は、パイロットシリンダ(81)の低圧連通路(86)、メインシリンダ(71)の低圧連通路(76)、後方空間(S31)及び軸通路(21a)を介して低圧空間(S1)に連通し、低圧圧力状態となる。
このような構成により、実施形態2においても、高低圧力差の変化に伴って低圧室(S21)と高圧室(S22)との圧力差が変化することによってパイロットピストン(82)が移動する。具体的には、高低圧力差が増大すると、パイロットピストン(82)は、パイロットバネ(83)の付勢力に抗して低圧室(S21)側(図8における右側)へ移動し、高低圧力差が減少すると、パイロットピストン(82)は、パイロットバネ(83)の付勢力によって高圧室(S22)側(図8における左側)へ移動する。
また、このようなパイロットピストン(82)の移動によって第1流体室(S11)の圧力が調整される。その結果、メインピストン(72)がパイロットピストン(82)の移動に伴ってその変位量に応じた距離だけ移動する。以下、パイロットピストン(82)による第1流体室(S11)の圧力調整動作と該圧力調整動作によるメインピストン(72)の動作について詳述する。
パイロットピストン(82)が低圧室(S21)側(図8における右側)に移動すると、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)が第1高圧連通穴(72d)に近づく。その結果、第1高圧連通穴(72d)を介した第1流体室(S11)への冷媒の供給量が減少する。そして、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量を下回ると、第1流体室(S11)の圧力が低下し始める。第1流体室(S11)の圧力の低下に伴って、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図8における右向き)の力が増大し、メインピストン(72)が第1流体室(S11)側(図8における右側)へ移動し始める。これにより、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)が第1高圧連通穴(72d)から遠ざかる。その結果、第1高圧連通穴(72d)を介した第1流体室(S11)への冷媒の供給量が増大する。そして、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量とほぼ等しくなると、第1流体室(S11)の圧力の低下が止まり、メインピストン(72)の第1流体室(S11)側への移動が停止する。
一方、パイロットピストン(82)が高圧室(S22)側(図8における左側)へ移動すると、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)が第1高圧連通穴(72d)から遠ざかる。その結果、第1高圧連通穴(72d)を介した第1流体室(S11)への冷媒の供給量が増大する。そして、第1流体室(S11)における冷媒の供給量が排出量を上回ると、第1流体室(S11)の圧力が増大し始める。第1流体室(S11)の圧力の増大に伴って、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図8における右向き)の力が減少し、メインピストン(72)が第2流体室(S12)側(図8における左側)へ移動する。これにより、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の弁部(82c)が第1高圧連通穴(72d)に近づく。その結果、第1高圧連通穴(72d)を介した第1流体室(S11)への冷媒の供給量が減少する。そして、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量が第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量とほぼ等しくなると、第1流体室(S11)の圧力の増大が止まり、メインピストン(72)の第2流体室(S12)側への移動が停止する。
上述のように、メインピストン(72)は、高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量と第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量とが等しくなる位置で停止する。つまり、スライドバルブ駆動機構(66)の動作前と動作完了後における上記弁部(82c)の上記第1高圧連通穴(72d)との距離は概ね等しくなる。言い換えると、パイロットシリンダ(81)に対するパイロットピストン(82)の変位量分だけメインピストン(72)が同方向に移動することにより、スライドバルブ駆動機構(66)の動作前と動作完了後における上記弁部(82c)の上記第1高圧連通穴(72d)に対する位置が概ね等しくなる。つまり、メインピストン(72)は、パイロットピストン(82)の移動に伴ってその変位量に応じた距離だけ移動する。パイロットピストン(82)の変位量は、パイロットバネ(83)の変形量と等しいため、メインピストン(72)に連結されたスライドバルブ(60)は、パイロットバネ(83)の変形量に応じて軸方向に移動することとなる。
なお、その他の一連の動作については、実施形態1において、メインピストン(72)がパイロットピストン(82)と逆方向に移動していたところ、メインピストン(72)がパイロットピストン(82)と同方向に移動する点以外は実施形態1と同様であるため説明を省略する。
以上により、実施形態2のスクリュー圧縮機(1)によっても、実施形態1のスクリュー圧縮機(1)と同様の効果を奏することができる。また、実施形態2のスクリュー圧縮機(1)によれば、パイロットシリンダ(81)をメイン駆動部(70)の外部に設けたため、パイロット駆動部(80)を容易に形成することができる。
《発明の実施形態3》
実施形態3に係るスクリュー圧縮機(1)は、図9に示すように、実施形態1のスライドバルブ駆動機構(66)の構成を変更したものである。具体的には、実施形態1では、パイロットピストン(82)の移動に伴って第1流体室(S11)への冷媒の供給量が調整されることによって第1流体室(S11)の圧力が調整されるように構成していたところ、実施形態3では、パイロットピストン(82)の移動に伴って第1流体室(S11)からの冷媒の排出量が調整されることによって第1流体室(S11)の圧力が調整されるように構成している。以下、実施形態1と異なる構成について説明し、実施形態1と同様の構成については省略する。
メイン駆動部(70)は、実施形態1と同様に、メインシリンダ(71)とメインピストン(72)とを有している。メインピストン(72)は、実施形態1と同様に構成されているため、説明を省略する。
上記メインシリンダ(71)は、実施形態1とほぼ同様に構成されているが、実施形態3では、第1連通穴(74)、低圧連通路(76)及び絞り穴(77)(図3参照)が形成されない一方、絞り穴(79)が形成されている。
上記絞り穴(79)は、メインシリンダ(71)の後壁の中央部よりも外側で且つメインバネ(73)よりも内側の位置に形成され、内外を連通している。つまり、絞り穴(79)は、内側端が第1流体室(S11)に開口する一方、外側端がメインシリンダ(71)の後方の高圧空間(S2)に開口し、第1流体室(S11)と高圧空間(S2)とを連通している。第1流体室(S11)には、絞り穴(79)を介して高圧空間(S2)の冷媒が供給される。つまり、絞り穴(79)は、高圧空間(S2)の冷媒を第1流体室(S11)に供給する本発明に係る供給路(68)を構成する。また、絞り穴(79)は、高圧空間(S2)の冷媒が微量ずつ第1流体室(S11)に供給されるように、第2連通穴(75)よりも通路断面積が小さくなるように形成されている。具体的には、絞り穴(79)は、内径が1mm程度となるように形成されている。
パイロット駆動部(80)は、実施形態1と同様に、パイロットシリンダ(81)とパイロットピストン(82)と、低圧室(S21)に設けられてパイロットピストン(82)を高圧室(S22)側に付勢するパイロットバネ(83)(圧縮バネ)とを有している。なお、パイロットシリンダ(81)及びパイロットバネ(83)の構成は実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
パイロットピストン(82)は、ロッド部(82b)が実施形態1よりも短く形成され、後端部が第1流体室(S11)内に収容されている。また、パイロットピストン(82)の内部には、前端面から後端面に亘って軸方向に延びる低圧連通路(87)が形成されている。該低圧連通路(87)は、前端が本体部(82a)の前端面において低圧室(S21)に開口する一方、後端がロッド部(82b)の後端面において第1流体室(S11)に開口することによって、低圧室(S21)と第1流体室(S11)とを連通している。第1流体室(S11)の冷媒は、低圧連通路(87)を介して低圧室(S21)に排出され、低圧連通穴(85)、低圧連通路(64)を通過して低圧空間(S1)に排出される。つまり、低圧連通路(87)、低圧室(S21)、低圧連通穴(85)及び低圧連通路(64)が、第1流体室(S11)の冷媒を低圧空間(S1)に向かって排出する本発明に係る排出路(69)を構成する。
このような構成により、実施形態3においても、第2流体室(S12)には、第2連通穴(75)を介して高圧空間(S2)の冷媒が供給される。これにより、第2流体室(S12)は、高圧圧力状態となる。また、第1流体室(S11)では、本発明に係る供給路(68)を構成する絞り穴(79)を介して高圧空間(S2)の冷媒が内部に供給される一方、内部の冷媒が本発明に係る排出路(69)を構成する低圧連通路(87)、低圧室(S21)、低圧連通穴(85)及び低圧連通路(64)を介して低圧空間(S1)に排出される。これにより、第1流体室(S11)は、高圧圧力と低圧圧力との間の中間圧力状態となる。
第1流体室(S11)の圧力は、パイロットピストン(82)が軸方向に移動することによって変更される。具体的には、パイロットピストン(82)の移動により、ロッド部(82b)内に形成された低圧連通路(87)の開口面(後端面)とメインシリンダ(71)の後壁との距離が変更され、排出路(69)を介した第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が変更される。その結果、第1流体室(S11)の圧力が変化する。
具体的には、高低圧力差が増大すると、パイロットピストン(82)は、パイロットバネ(83)の付勢力に抗して低圧室(S21)側(図9における左側)へ移動する。これに伴い、低圧連通路(87)の開口面(後端面)がメインシリンダ(71)の後壁から遠ざかる。その結果、低圧連通路(87)、低圧室(S21)、低圧連通穴(85)及び低圧連通路(64)を介した第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が増大する。そして、第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量を上回ると、第1流体室(S11)の圧力が低下し始める。第1流体室(S11)の圧力の低下に伴って、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図9における右向き)の力が増大し、メインピストン(72)が第1流体室(S11)側(図9における右側)へ移動し始める。このとき、メインピストン(72)のロッド部(72b)と一体に構成されたパイロットシリンダ(81)内に挿入されたパイロットピストン(82)も移動する。これにより、低圧連通路(87)の開口面(後端面)がメインシリンダ(71)の後壁に近づく。その結果、低圧連通路(87)、低圧室(S21)、低圧連通穴(85)及び低圧連通路(64)を介した第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が減少する。そして、第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量とほぼ等しくなると、第1流体室(S11)の圧力の低下が止まり、メインピストン(72)の第1流体室(S11)側への移動が停止する。
一方、高低圧力差が減少すると、パイロットピストン(82)は、パイロットバネ(83)の付勢力によって高圧室(S22)側(図9における右側)へ移動する。これに伴い、低圧連通路(87)の開口面(後端面)がメインシリンダ(71)の後壁に近づく。その結果、低圧連通路(87)、低圧室(S21)、低圧連通穴(85)及び低圧連通路(64)を介した第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が減少する。そして、第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量を下回ると、第1流体室(S11)の圧力が増大し始める。第1流体室(S11)の圧力の増大に伴って、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図9における右向き)の力が減少し、メインピストン(72)が第2流体室(S12)側(図9における左側)へ移動し始める。このとき、メインピストン(72)のロッド部(72b)と一体に構成されたパイロットシリンダ(81)内に挿入されたパイロットピストン(82)も移動する。これにより、低圧連通路(87)の開口面(後端面)がメインシリンダ(71)の後壁から遠ざかる。その結果、低圧連通路(87)、低圧室(S21)、低圧連通穴(85)及び低圧連通路(64)を介した第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が増大する。そして、第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量とほぼ等しくなると、第1流体室(S11)の圧力の増大が止まり、メインピストン(72)の第2流体室(S12)側への移動が停止する。
上述のように、メインピストン(72)は、第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量と高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量とが等しくなる位置で停止する。つまり、スライドバルブ駆動機構(66)の動作前と動作完了後における上記低圧連通路(87)の開口面(後端面)とメインシリンダの後壁との距離は概ね等しくなる。言い換えると、パイロットシリンダ(81)に対するパイロットピストン(82)の変位量分だけメインピストン(72)が逆方向に移動することにより、スライドバルブ駆動機構(66)の動作前と動作完了後における上記低圧連通路(87)の開口面(後端面)のメインシリンダの後壁に対する位置が概ね等しくなる。つまり、メインピストン(72)は、パイロットピストン(82)の移動に伴ってその変位量に応じた距離だけ移動する。パイロットピストン(82)の変位量は、パイロットバネ(83)の変形量と等しいため、メインピストン(72)に連結されたスライドバルブ(60)は、パイロットバネ(83)の変形量に応じて軸方向に移動することとなる。
なお、その他の一連の動作については実施形態1と同様であるため説明を省略する。
以上により、実施形態3のスクリュー圧縮機(1)によれば、実施形態1とほぼ同様の効果を奏することができる。また、パイロットピストン(82)を、その変位量に応じて排出路(69)の流体流量を変更するように構成したため、パイロットピストン(82)によって容易に第1流体室(S11)の圧力を変更することができる。
《発明の実施形態4》
実施形態4に係るスクリュー圧縮機(1)は、図10に示すように、実施形態2のスライドバルブ駆動機構(66)の構成を変更したものである。具体的には、実施形態2では、パイロットピストン(82)の移動に伴って第1流体室(S11)への冷媒の供給量が調整されることによって第1流体室(S11)の圧力が調整されるように構成していたところ、実施形態4では、パイロットピストン(82)の移動に伴って第1流体室(S11)からの冷媒の排出量が調整されることによって第1流体室(S11)の圧力が調整されるように構成している。以下、実施形態2と異なる構成について説明し、実施形態2と同様の構成については省略する。
メイン駆動部(70)は、実施形態2と同様に、メインシリンダ(71)とメインピストン(72)とを有している。
上記メインシリンダ(71)は、実施形態2とほぼ同様に構成されているが、実施形態4では、後壁に絞り穴(79)が形成されている点、及び第1流体室(S11)と低圧連通路(76)とを連通する絞り穴(77)(図8参照)が形成されていない点が実施形態2と異なる。
上記絞り穴(79)は、メインシリンダ(71)の後壁の径方向外側端部に形成され、内外を連通している。つまり、絞り穴(79)は、内側端が第1流体室(S11)に開口する一方、外側端がメインシリンダ(71)の後方の高圧空間(S2)に開口し、第1流体室(S11)と高圧空間(S2)とを連通している。第1流体室(S11)には、絞り穴(79)を介して高圧空間(S2)の冷媒が供給される。つまり、絞り穴(79)は、高圧空間(S2)の冷媒を第1流体室(S11)に供給する本発明に係る供給路(68)を構成する。また、絞り穴(79)は、高圧空間(S2)の冷媒が微量ずつ第1流体室(S11)に供給されるように、第2連通穴(75)よりも通路断面積が小さくなるように形成されている。具体的には、絞り穴(79)は、内径が1mm程度となるように形成されている。
上記メインピストン(72)は、板状の本体部(72a)と棒状のロッド部(72b)とを有している。本体部(72a)は、実施形態2と同様に構成されている。また、ロッド部(72b)は、実施形態2とほぼ同様に構成されているが、高圧連通空間(S30)、第1高圧連通穴(72d)及び第2高圧連通穴(72e)(図8参照)が形成されずに低圧連通路(72f)が形成されている点において実施形態2と異なっている。
なお、実施形態4では、スライドバルブ(60)の内部には、前端から後端まで軸方向に延びる上述の低圧連通路(64)が形成されている。該低圧連通路(64)は、低圧空間(S1)に面する弁体部(61)の前端面から後方に向かって延び、連結部(62)及びガイド部(63)を一体的に貫いている。
上記低圧連通路(72f)は、ロッド部(72b)の内部において前端から後端まで軸方向に延びている。低圧連通路(72f)は、前端がスライドバルブ(60)の内部に形成された低圧連通路(64)と連通する一方、後端が第1流体室(S11)において開口し、スライドバルブ(60)の低圧連通路(64)と第1流体室(S11)とを連通する。第1流体室(S11)の冷媒は、低圧連通路(72f)及び低圧連通路(64)を通過して低圧空間(S1)に排出される。つまり、低圧連通路(72f)及び低圧連通路(64)が、第1流体室(S11)の冷媒を低圧空間(S1)に向かって排出する本発明に係る排出路(69)を構成する。
パイロット駆動部(80)は、実施形態2と同様に、パイロットシリンダ(81)とパイロットピストン(82)と、低圧室(S21)に設けられてパイロットピストン(82)を高圧室(S22)側に付勢するパイロットバネ(83)(圧縮バネ)とを有している。なお、パイロットシリンダ(81)及びパイロットバネ(83)の構成は実施形態2と同様であるため、説明を省略する。
パイロットピストン(82)は、ロッド部(82b)が実施形態2よりも短く形成され、前端部が第1流体室(S11)内に収容されている。また、パイロットピストン(82)は、前端面がメインピストンのロッド部(72b)内に形成された低圧連通路(72f)の後端に対向するように設けられ、該低圧連通路(72f)よりも大径に形成されている。
このような構成により、実施形態4においても、第2流体室(S12)には、第2連通穴(75)を介して高圧空間(S2)の冷媒が供給される。これにより、第2流体室(S12)は、高圧圧力状態となる。また、第1流体室(S11)では、本発明に係る供給路(68)を構成する絞り穴(79)を介して高圧空間(S2)の冷媒が内部に供給される一方、内部の冷媒が本発明に係る排出路(69)を構成する低圧連通路(72f)及び低圧連通路(64)を介して低圧空間(S1)に排出される。これにより、第1流体室(S11)は、高圧圧力と低圧圧力との間の中間圧力状態となる。
第1流体室(S11)の圧力は、パイロットピストン(82)が軸方向に移動することによって変更される。具体的には、パイロットピストン(82)の移動により、該パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の前端面とメインピストン(72)のロッド部(72b)内に形成された低圧連通路(72f)の開口面(後端面)との距離が変更され、排出路(69)を介した第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が変更される。その結果、第1流体室(S11)の圧力が変化する。
具体的には、高低圧力差が増大すると、パイロットピストン(82)は、パイロットバネ(83)の付勢力に抗して低圧室(S21)側(図10における右側)へ移動する。これに伴い、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の前端面が低圧連通路(72f)の開口面(後端面)から遠ざかる。その結果、低圧連通路(72f)及び低圧連通路(64)を介した第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が増大する。そして、第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量を上回ると、第1流体室(S11)の圧力が低下し始める。第1流体室(S11)の圧力の低下に伴って、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図10における右向き)の力が増大し、メインピストン(72)が第1流体室(S11)側(図10における右側)へ移動し始める。これにより、低圧連通路(72f)の開口面(後端面)がパイロットピストン(82)のロッド部(82b)の前端面に近づく。その結果、低圧連通路(72f)及び低圧連通路(64)を介した第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が減少する。そして、第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量とほぼ等しくなると、第1流体室(S11)の圧力の低下が止まり、メインピストン(72)の第1流体室(S11)側への移動が停止する。
一方、高低圧力差が減少すると、パイロットピストン(82)は、パイロットバネ(83)の付勢力によって高圧室(S22)側(図10における左側)へ移動する。これに伴い、パイロットピストン(82)のロッド部(82b)の前端面が低圧連通路(72f)の開口面(後端面)に近づく。その結果、低圧連通路(72f)及び低圧連通路(64)を介した第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が減少する。そして、第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量を下回ると、第1流体室(S11)の圧力が増大し始める。第1流体室(S11)の圧力の増大に伴って、メインピストン(72)を第1流体室(S11)側へ押し付ける方向(図10における右向き)の力が減少し、メインピストン(72)が第2流体室(S12)側(図10における左側)へ移動し始める。これにより、低圧連通路(72f)の開口面(後端面)がパイロットピストン(82)の前端面から遠ざかる。その結果、低圧連通路(72f)及び低圧連通路(64)を介した第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が増大する。そして、第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量が高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量とほぼ等しくなると、第1流体室(S11)の圧力の増大が止まり、メインピストン(72)の第2流体室(S12)側への移動が停止する。
上述のように、メインピストン(72)は、第1流体室(S11)から低圧空間(S1)への冷媒の排出量と高圧空間(S2)から第1流体室(S11)への冷媒の供給量とが等しくなる位置で停止する。つまり、スライドバルブ駆動機構(66)の動作前と動作完了後における上記低圧連通路(72f)の開口面(後端面)とパイロットピストン(82)のロッド部(82b)の前端面との距離は概ね等しくなる。言い換えると、パイロットシリンダ(81)に対するパイロットピストン(82)の変位量分だけメインピストン(72)が同方向に移動することにより、スライドバルブ駆動機構(66)の動作前と動作完了後における上記低圧連通路(72f)の開口面(後端面)のパイロットピストン(82)のロッド部(82b)の前端面に対する位置が概ね等しくなる。つまり、メインピストン(72)は、パイロットピストン(82)の移動に伴ってその変位量に応じた距離だけ移動する。パイロットピストン(82)の変位量は、パイロットバネ(83)の変形量と等しいため、メインピストン(72)に連結されたスライドバルブ(60)は、パイロットバネ(83)の変形量に応じて軸方向に移動することとなる。
なお、その他の一連の動作については実施形態2と同様であるため説明を省略する。
以上により、実施形態4のスクリュー圧縮機(1)によれば、実施形態2とほぼ同様の効果を奏することができる。また、パイロットピストン(82)を、その変位量に応じて排出路(69)の流体流量を変更するように構成したため、パイロットピストン(82)によって容易に第1流体室(S11)の圧力を変更することができる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態は、シングルスクリュー圧縮機に本発明を適用したものであるが、ツインスクリュー圧縮機に本発明を適用することも可能である。
また、上記各実施形態では、本発明に係る圧縮バネを構成するパイロットバネ(83)として円錐コイルバネを用いていたが、本発明に係る圧縮バネはこれに限られず、例えば、変形量が大きくなるにつれてバネ定数が大きくなる非線形特性を有する不等ピッチバネを用いてもよい。
また、本発明に係る圧縮バネを構成するパイロットバネ(83)として円筒コイルバネを用いることとしてもよい。その場合、高低圧力差に基づくパイロットバネ(83)の変形量が、高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量に近づくようにパイロットバネ(83)を構成する。具体的には、パイロットバネ(83)のバネ定数を、高低圧力差に基づくパイロットバネ(83)の変形量が、図11に実線で示す高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量に近づくように、例えば、図11の破線で示す変化となるように選定する。このようにパイロットバネ(83)を構成することにより、上記各実施形態と同様に、高低圧力差の変化に伴って自動的に移動するスライドバルブ(60)の変位を理想のスライドバルブ(60)の変位により近づけることができる。従って、内部容積比を高低圧力比により近づけることができ、過圧縮又は圧縮不足による損失をより低減することができる。
また、上記各実施形態において、高低圧力差に基づくパイロットバネ(83)の変形量(図7の破線)が高低圧力差に応じたスライドバルブ(60)の理想の変位量(図7の実線)に等しくなるように、パイロットバネ(83)のバネ定数を変形量に応じてより細かく選定することとしてももちろんよい。
また、上記各実施形態では、スクリュー圧縮機(1)にインバータ(111)が設けられていたが、本発明に係るスクリュー圧縮機はインバータが設けられないものであってもよい。
また、上記各実施形態では、メイン駆動部(70)とパイロット駆動部(80)とを備えたスライドバルブ駆動機構(66)が2つ設けられ、1つのスライドバルブ駆動機構(66)が1つのスライドバルブ(60)を駆動するように構成されていた。しかしながら、スライドバルブ駆動機構(66)は1つのみ設けられて2つのスライドバルブ(60)を駆動するように構成されていてもよい。
なお、以上の各実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、スクリュー圧縮機について有用である。
1 スクリュー圧縮機
10 ケーシング
23 圧縮室
40 スクリューロータ
41 螺旋溝
60 スライドバルブ
68 供給路
69 排出路
70 メイン駆動部
71 メインシリンダ
72 メインピストン
80 パイロット駆動部
81 パイロットシリンダ
82 パイロットピストン
83 パイロットバネ(圧縮バネ)
S1 低圧空間
S2 高圧空間
S11 第1流体室
S12 第2流体室
S21 低圧室
S22 高圧室

Claims (7)

  1. 内部に低圧空間(S1)と高圧空間(S2)とが形成されたケーシング(10)と、該ケーシング(10)内の上記低圧空間(S1)と上記高圧空間(S2)とに跨るように設けられて外周面に圧縮室(23)を形成する螺旋溝(41)が形成されたスクリューロータ(40)と、上記スクリューロータ(40)の外周面に沿って配置され、内部容積比が小さくなる前進方向と内部容積比が大きくなる後退方向とに移動可能なスライドバルブ(60)とを備えたスクリュー圧縮機であって、
    上記ケーシング(10)内に設けられたメインシリンダ(71)と、該メインシリンダ(71)内を第1流体室(S11)と第2流体室(S12)とに仕切ると共に上記スライドバルブ(60)に連結されて上記第1流体室(S11)と第2流体室(S12)との圧力差の変化に応じて上記スライドバルブ(60)を駆動するメインピストン(72)とを有するメイン駆動部(70)と、
    上記ケーシング(10)内に設けられたパイロットシリンダ(81)と、該パイロットシリンダ(81)内を上記低圧空間(S1)に連通する低圧室(S21)と上記高圧空間(S2)に連通する高圧室(S22)とに仕切るパイロットピストン(82)と、上記低圧室(S21)に設けられて上記パイロットピストン(82)を上記高圧室(S22)側に付勢する圧縮バネ(83)とを有し、上記パイロットピストン(82)の上記低圧室(S21)側への変位量に応じた距離だけ上記メインピストン(72)が上記スライドバルブ(60)を後退方向に移動させ且つ上記パイロットピストン(82)の上記高圧室(S22)側への変位量に応じた距離だけ上記メインピストン(72)が上記スライドバルブ(60)を前進方向に移動させるように上記第1流体室(S11)の圧力を調整するパイロット駆動部(80)とを備えている
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記圧縮バネ(83)は、変形量が大きくなるにつれてバネ定数が大きくなる非線形特性を有している
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  3. 請求項2において、
    上記圧縮バネ(83)は、高低圧力差に基づく変形量が、内部容積比が高低圧力比に等しくなるように上記スライドバルブ(60)を移動させたときの該スライドバルブ(60)の上記高低圧力差に応じた変位量と等しくなるような非線形特性を有している
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
    上記第1流体室(S11)には、上記高圧空間(S2)の流体を該第1流体室(S11)内に供給する供給路(68)と、上記第1流体室(S11)内の流体を上記低圧空間(S1)に排出する排出路(69)とが接続され、
    上記パイロットピストン(82)は、その変位量に応じて上記供給路(68)の流体流量を変更することによって上記第1流体室(S11)の圧力を調整するように構成されている
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
    上記第1流体室(S11)には、上記高圧空間(S2)の流体を該第1流体室(S11)内に供給する供給路(68)と、上記第1流体室(S11)内の流体を上記低圧空間(S1)に排出する排出路(69)とが接続され、
    上記パイロットピストン(82)は、その変位量に応じて上記排出路(69)の流体流量を変更することによって上記第1流体室(S11)の圧力を調整するように構成されている
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、
    上記パイロットシリンダ(81)は、上記メイン駆動部(70)の内部に設けられている
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、
    上記パイロットシリンダ(81)は、上記メイン駆動部(70)の外部に設けられている
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114729639A (zh) * 2019-11-26 2022-07-08 三菱电机株式会社 螺杆式压缩机

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