JP2013067420A - 防錆箱 - Google Patents

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征治 関
Shuji Kajita
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【課題】収納される物品の防錆機能を有しながらも、物品の梱包・開梱作業が簡略化でき、かつ環境への影響を抑制できる防錆箱を提供する。
【解決手段】物品68を収納する紙製の防錆箱1の内部に気化速度が互いに異なる2種類の揮発性の防錆剤8,10を封入し、防錆箱1の内面に、防錆剤8,10の気化した気体8a,10aが通過するのを阻止する通気性の低いシール用シート32が装着され、防錆箱1の内部に防錆剤8,10から離間して乾燥剤6が封入されている。
【選択図】図8

Description

本発明は、物品を収納する紙製の箱体の内部に防錆剤を封入した防錆箱に関するものである。
通常、錆が発生し易い金属製品を梱包するには、金属製品に防錆油を塗布した後、例えばプラスチック製の袋で包装して梱包箱に入れている。しかしながら、防錆油を塗布する工程では、環境への影響に十分な配慮が必要なうえに、防錆油の保管、取り扱いも問題となる。また、荷受サイドでも、防錆油の洗浄、乾燥等が必要となるうえに、防錆油、プラスチック製の包装袋などの廃棄処分が問題となっている。そこで、金属製品に防錆油を直接塗布せず、防錆剤を含んだ防錆フィルムや防錆紙で金属製品を包装あるいは梱包する方法もある(特許文献1)。
特開平10−006420号公報
しかしながら、上記特許文献1のような梱包では、十分な防錆効果を得るのが難しく、さらに、防錆フィルムや防錆紙は環境に悪影響を与える恐れがあり、やはり、これらの廃棄処分が問題となる。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、収納される物品の防錆機能を有しながらも、物品の梱包・開梱作業が簡略化でき、かつ環境への影響を抑制できる防錆箱を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明にかかる防錆箱は、物品を収納する紙製の箱体の内部に揮発性の防錆剤を封入した防錆箱であって、前記箱体の内外面のうち少なくとも内面に、前記防錆剤の気化した気体が通過するのを阻止する通気性の低いシール用シートが装着され、前記箱体の内部に前記防錆剤から離間して乾燥剤が封入されており、前記箱体の内部の前記防錆剤は、気化速度が互いに異なる複数種類の防錆剤を含んでいる。気化速度の速い防錆剤は、例えば、粒状、粉末状、結晶体状等の固体のアミン系炭酸塩であり、気化速度の遅い防錆剤は、例えば、粒状、粉末状、結晶体状等の固体のアミン系硝酸塩である。
この構成によれば、箱体の内部に乾燥剤および防錆剤が封入され、かつ箱体の少なくとも内面にシール用シートが装着されて箱体の気密性を高めているので、気化した防錆剤の漏出を抑制して物品が錆びるのを防ぐことができる。しかも、防錆剤は気化速度が互いに異なる複数種類の防錆剤を含んでいるので、防錆箱の内容積、物品の梱包期間、使用条件等に合わせて、それぞれの防錆剤の種類や量を調整することで、必要な期間にわたって防錆効果が持続する。また、箱体に防錆剤と乾燥剤を入れるだけの単純な作業により、梱包時の防錆油塗布工程や開梱時の防錆油洗浄・乾燥工程等が省略されるので、物品の梱包・開梱作業が簡略化できる。さらに、防錆剤は揮発性であるから、使用後は箱体、シール用シートおよび乾燥剤のみが残るが、箱体およびシール用シートは紙製であるので、再生可能であり環境保護の観点から極めて有効である。乾燥剤にシリカゲルを使用すれば、乾燥することで再使用できるので、すべての梱包材についてリサイクル可能となる。
本発明において、前記箱体は上部に開口部を有する本体と、前記開口部の外周に嵌まり込んで前記開口部を閉塞する蓋とを備えていることが好ましい。この構成によれば、箱体の密閉性が一層高くなるので、防錆効果を向上させることができる。
本発明において、さらに、複数の紙材を重合してなる保持部材を有し、この保持部材における前記紙材間の目に、前記防錆剤および乾燥剤を互いに離間して収納した防錆部材が、前記箱体の内壁面を形成する前記シール用シートの内面に取り付けられていることが好ましい。この構成によれば、防錆剤および乾燥剤を安定して支持できる。また、保持部材も紙材からなるので、再生可能である。
防錆部材を設ける場合、前記防錆部材は前記箱体の天井面または内側面上部に取り付けられていることが好ましい。気化した防錆剤は空気より比重が重いから、箱体の下方へ流れる。そこで、この構成のように、防錆剤を箱体の天井面または内側面上部に取り付けることで、箱体内を効果的に気化した防錆剤で満たすことができ、その結果、防錆効果が向上する。
箱体が本体と蓋を有し、さらに防錆部材を設ける場合、前記防錆部材は前記箱体の蓋の内面に取り付けられていることが好ましい。この構成によれば、本体とは別体の蓋に防錆部材が設けられているので、防錆部材の取り付け、取り外しが容易である。
保持部材を備える場合、前記保持部材は板状であり、前記目が前記保持部材の表裏2つの主面と直交する方向を向いており、第1の主面が前記シール用シートの内面に取り付けられ、第2の主面における少なくとも前記防錆剤および乾燥剤を収納した部分が、前記防錆剤の気化した気体を通過させる通気性のよいカバー用シートによって覆われていることが好ましい。この構成によれば、防錆剤および乾燥剤を安定して支持できるうえに、防錆剤による防錆作用および乾燥剤による水分の吸収作用が妨げられない。
本発明の防錆箱によれば、箱体の内部に乾燥剤および防錆剤が封入され、かつ箱体の少なくとも内面にシール用シートが装着されて箱体の気密性を高めているので、物品が錆びるのを防ぐことができる。しかも、防錆剤は気化速度が互いに異なる複数種類の防錆剤を含んでいるので、防錆箱の内容積、物品の梱包期間、使用条件等に合わせて、それぞれの防錆剤の種類や量を調整することで、必要な期間にわたって防錆効果が持続する。また、箱体に防錆剤と乾燥剤を入れるだけなので、物品の梱包・開梱作業が簡略化できる。さらに、防錆剤は揮発性であり、使用後に残る箱体およびシール用シートは紙製であるので、再生可能であり、乾燥剤にシリカゲルを使用すれば、乾燥することで再使用できるので、すべての梱包材についてリサイクル可能となる。
(A)は本発明の第1実施形態に係る防錆箱を示す斜視図であり、(B)は平面図である。 (A)は同防錆箱の本体の展開図であり、(B)は平面図である。 (A)は同防錆箱の蓋の展開図であり、(B)は底面図である。 同防錆箱の防錆部材を示す斜視図である。 同防錆部材を示す概略底面図である。 図5のVI-VI線断面図である 図5のVII-VII線断面図である 同防錆箱に物品を収納した状態を示す縦断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1(A)および(B)はそれぞれ、本発明の第1実施形態に係る防錆箱1を示す斜視図および平面図である。図1(A)に示すように、防錆箱1は、上部に開口部2aを有する本体2と、開口部2aの外周に嵌まり込んで開口部2aを閉塞する蓋4とを有する、いわゆるテレスコープ型の段ボール箱である。防錆箱1の内部には、乾燥剤6と、気化速度が互いに異なる2種類の揮発性防錆剤8,10とが封入されている。乾燥剤6は、例えば、シリカゲルで、気化速度の速い防錆剤8は、例えば、粒状、粉末状、結晶体状等の固体のアミン系炭酸塩であり、気化速度の遅い防錆剤10は、例えば、粒状、粉末状、結晶体状等の固体のアミン系硝酸塩である
図2(A)に示すように、本体2は、底壁12と、底壁12に連なる4つの第1〜第4本体側壁14,16,18,20と、4つの側壁のうちの対向する2つの本体側壁(この実施形態では第1および第3本体側壁)14,18にそれぞれ2つずつ連設された本体フラップ22,24,26,28とを有している。第1〜4本体側壁14,16,18,20を底壁12に対して垂直に折り曲げ、さらに、4つの本体フラップ22,24,26,28を第1および第3本体側壁14,18に対して垂直に折り曲げ、図2(B)に示すように、4つの本体フラップ22,24,26,28の外面と、第2および第4本体側壁16,20の内面とを接着剤30で固定し、本体2が組み立てられる。
組立て前の本体2の内面全体に通気性の低いシール用シート32が装着され、防錆剤8,10(図1)の気化した気体が通過するのを阻止している。シール用シート32は、例えば、ミルクカートン紙であり、内面に加えて外面の一部または全体に装着してもよい。
図3(A)に示すように、蓋4は、天井壁34と、天井壁34に連なる4つの第1〜第4蓋側壁36,38,40,42と、4つの側壁のうちの対向する2つの蓋側壁(この実施形態では第2および第4蓋側壁)38,42にそれぞれ2つずつ連設された蓋フラップ44,46,48,50とを有している。第1〜4蓋側壁36,38,40,42を天井壁34に対して垂直に折り曲げ、さらに、4つの蓋フラップ44,46,48,50を第2および第4蓋側壁38,42に対して垂直に折り曲げ、図3(B)に示すように、4つの蓋フラップ44,46,48,50の外面と、第1および第3蓋側壁36,40の内面とを接着剤30で固定し、蓋4が組み立てられる。
組立て前の蓋4の内面全体にも、箱体2(図2(B))と同様に、シール用シート32が装着されている。こうして、防錆箱1の全体の内壁面がシール用シート32により形成されている。蓋4の天井壁34の内面である天井面34aに、複数の紙材を重合してなる保持部材52が、例えば接着剤や両面テープ等の固着手段で取り付けられており、この保持部材52に前記乾燥剤6および防錆剤8,10が取り付けられている。これら乾燥剤6、防錆剤8,10および保持部材52により防錆部材54が形成されている。防錆部材54は、乾燥剤6、防錆剤8,10ごとに分割されていてもよい。
防錆部材54の保持部材52は板状であり、図4に示すように、紙材である波形板56の表面と裏面に、紙材である平板58を接着剤で固着してなり、これら波形板56と平板58との間の目60が、板状の保持部材52の表裏2つの主面62,64と直交する方向を向いている。保持部材52は、波形板56と平板58とで形成されたものに限られず、例えばハニカム構造であってもよい。この保持部材52における目60に、図5(底面図)に示すように、乾燥剤6および防錆剤8,10が互いに離間して収納されている。この実施形態では、乾燥剤6と防錆剤8,10とが保持部材52の長手方向に離間して配置され、気化速度の速い防錆剤8と遅い防錆剤10とが長手方向に直交する方向に離間して配置されている。
保持部材52の第1の主面62が、図3(A)の蓋4の天井面34aに貼り付けられたシール用シート32の内面に取り付けられ、これにより、蓋4と防錆部材54が一体化されている。図5ないし図7に示すように、保持部材52の第2の主面64は、防錆剤8,10の気化した気体を通過させる通気性のよいカバー用シート66によって覆われている。カバー用シート66は、例えば、多孔質紙、紙製の不織布等である。この実施形態では、図5から明らかなように、カバー用シート66を保持部材52の第2の主面64の全面に取り付けているが、乾燥剤6および防錆剤8,10を収納した部分にのみ取り付けてもよい。
図8を用いて、この実施形態の防錆箱1の使用方法について説明する。
防錆箱1の箱本体2の内部に、錆が発生し易い、例えば金属製品である物品68を収納する。つづいて、防錆部材54内に乾燥剤6および防錆剤8,10を収納し、蓋4の内面に取り付けた後、箱本体2に蓋4を被せて梱包する。
最初の段階では、防錆箱1の天井面34aに取り付けられた防錆部材54内の気化速度の速い防錆剤8が主に気化し、気化速度の速い防錆剤8が気化して消滅した後の段階では、気化速度の遅い防錆剤10が気化を継続する。気化した防錆剤8a,10aは、空気より比重が重いうえに、気化圧力が加わるため、カバー用シート66を通過して防錆箱1の内部空間Sに充満する。これにより、梱包直後の早い時期から開梱までの長い期間にわたって、防錆剤8a,10aを内部空間Sに滞らせて、防錆効果を上げることができる。
一方、防錆箱1の内部空間Sに気化した防錆剤8a,10aが充満する過程で、防錆剤8a,10aが対流し、空気中の水分Wが、防錆剤8,10から離間した位置にある乾燥剤6により吸収される。防錆箱1は、その内面に高密度の通気性の低いシール用シート32が装着されているうえに、密閉性の高いテレスコープ型の段ボールであるから、防錆剤8a,10aの防錆箱1外への流出および防錆箱1内への外気の流入が最小限に留められ、防錆効果が高められる。
防錆剤8,10は気化して消滅するので、開梱後は乾燥剤6が残存する。箱本体2、蓋4および保持部材52は紙材であるからリサイクル可能である。乾燥剤6として、シリカゲルを用いれば、乾燥剤6も乾燥することで再使用可能となる。
上記構成において、防錆箱1の内部に乾燥剤6および防錆剤8,10が封入され、かつ防錆箱1の内面にシール用シート32が装着されているので、物品68が錆びるのを防ぐことができる。しかも、防錆剤8,10は気化速度が互いに異なる2つの種類の防錆剤8,10を用いているので、防錆箱1の内容積、物品68の梱包期間、使用条件等に合わせて、それぞれの防錆剤8,10の種類や量を調整することで、必要な期間にわたって防錆効果を持続させることができる。また、防錆部材54に防錆剤6と乾燥剤8,10を入れるだけの単純な作業により、梱包時の防錆油塗布工程や開梱時の防錆油洗浄・乾燥工程等が省略されるので、物品68の梱包・開梱作業が簡略化できる。
また、防錆箱1は気密性の高いテレスコープ型であるから、防錆箱1の密閉性が一層高くなり、防錆効果をさらに向上させることができる。図4に示す、複数の紙材を重合してなる保持部材52の目60に、図5の乾燥剤6および防錆剤8,10を収納しているので、乾燥剤6および防錆剤8,10を安定して支持できる。さらに、乾燥剤6および防錆剤8,10は互いに離間して収納されているので、図8に示す防錆箱1の内部空間Sに気化した防錆剤8a,10aが対流したとき、空気中の水分Wが乾燥剤6により吸収され易い。
また、防錆部材54が防錆箱1の天井面34aに取り付けられているので、気化した防錆剤8a,10aが箱体の下方へ流れ、防錆箱1の内部空間Sを効果的に防錆剤8a,10aで満たすことができ、その結果、防錆効果が向上する。さらに、防錆部材54が蓋4の内面に取り付けられることで、防錆部材54の取り付け、取り外しが容易になる。
図6および7に示すように、保持部材52の第2の主面64が、通気性のよいカバー用シート66によって覆われているので、乾燥剤6および防錆剤8,10を安定して支持できるうえに、防錆剤8,10による防錆作用および乾燥剤6による空気中の水分W(図8)の吸収作用が妨げられない。
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。上記実施形態では、防錆箱1としてテレスコープ型のダンボールを使用しているが、4つの側壁と4つの上フラップと4つのしたフラップとを有し、4つの上フラップを重ねて天井壁とし、4つの下フラップを重ねて天井壁とした一般的なダンボールを用いることもできる。また、上記実施形態では、防錆部材54は防錆箱1の天井面34aに取り付けられているが、防錆箱1の内側面上部に取り付けてもよい。また、防錆剤は2種類以上であってもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
1 防錆箱
2 本体
2a 開口部
4 蓋
6 乾燥剤
8,10 防錆剤
32 シール用シート
52 保持部材
54 防錆部材
60 紙材間の目
62第1の主面
64 第2の主面
66 カバー用シート
68 物品

Claims (7)

  1. 物品を収納する紙製の箱体の内部に揮発性の防錆剤を封入した防錆箱であって、
    前記箱体の内外面のうち少なくとも内面に、前記防錆剤の気化した気体が通過するのを阻止する通気性の低いシール用シートが装着され、
    前記箱体の内部に前記防錆剤から離間して乾燥剤が封入されられており、
    前記箱体の内部の前記防錆剤は、気化速度が互いに異なる複数種類の防錆剤を含む防錆箱。
  2. 請求項1において、前記箱体は上部に開口部を有する本体と、前記開口部の外周に嵌まり込んで前記開口部を閉塞する蓋とを備えた防錆箱。
  3. 請求項1または2において、さらに、複数の紙材を重合してなる保持部材を有し、この保持部材における前記紙材間の目に、前記防錆剤および乾燥剤を互いに離間して収納した防錆部材が、前記箱体の内壁面を形成する前記シール用シートの内面に取り付けられている防錆箱。
  4. 請求項3において、前記防錆部材は前記箱体の天井面または内側面上部に取り付けられている防錆箱。
  5. 請求項2を引用する請求項4において、前記防錆部材は前記箱体の蓋の内面に取り付けられている防錆箱。
  6. 請求項3から5のいずれか一項において、前記保持部材は板状であり、前記目が前記保持部材の表裏2つの主面と直交する方向を向いており、第1の主面が前記シール用シートの内面に取り付けられ、第2の主面における少なくとも前記防錆剤および乾燥剤を収納した部分が、前記防錆剤の気化した気体を通過させる通気性のよいカバー用シートによって覆われている防錆箱。
  7. 請求項1から6のいずれか一項において、気化速度の速い前記防錆剤がアミン系炭酸塩であり、気化速度の遅い前記防錆剤がアミン系硝酸塩である防錆箱。
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