JP2013066624A - イオントフォレーシス用保持具 - Google Patents

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Abstract

【課題】角膜を通じてイオン性薬剤を投与する経膜ドラッグデリバリーを実現可能とするイオントフォレーシス用保持具を提供すること。
【解決手段】イオン性薬剤を起電力で駆動させて作用側電極装置30から経皮的に投与するイオントフォレーシス用装置に用いられて、作用側電極装置30を生体に対して保持せしめるイオントフォレーシス用保持具10であって、作用側電極装置30の起電力作用面にイオン交換膜32を配すると共に、眼球22の表面に載置されて装着される保持具本体12に対して、作用側電極装置30が位置決め固定される装置固定部14を設け、作用側電極装置30を角膜24上で角膜24に接触しない位置に支持せしめるイオントフォレーシス用保持具10を提供し得た。
【選択図】図1

Description

本発明は、イオン性薬剤を起電力で駆動させて経皮的に投与するイオントフォレーシス用装置において、イオン性薬剤に起電力を及ぼす作用側電極装置を生体に対して保持せしめるイオントフォレーシス用保持具に係り、特に角膜を通じてイオン性薬剤を投与する経膜ドラッグデリバリーを実現可能とするイオントフォレーシス用保持具に関するものである。
従来から、生体の皮膚を透過させて積極的に薬剤を投与する方法として、イオントフォレーシスが知られている。イオントフォレーシスは、生体の皮膚の外側に配置したイオン性薬剤に対して起電力を及ぼすことにより、電気泳動を利用して、イオン性薬剤を皮膚を介して体内に導入させるものである。イオントフォレーシス(Iontophoresis)は、イオントフォレーゼ、イオン導入法、イオン浸透療法等とも称されている。
また、かかるイオントフォレーシスの実施に際しては、例えば特表平3−504343号公報(特許文献1)や特開平3−94771号公報(特許文献2)、特開平4−297277号公報(特許文献3)等に示されているイオントフォレーシス用装置が用いられる。これらの装置は、生体を導電体としてイオン性薬剤に起電力を及ぼすために、それぞれ生体に装着される作用側電極装置とグランド側電極装置を備えている。そして、これら両電極間に電圧を印加するとによりイオン性薬剤を起電力で駆動させて、作用側電極装置から経皮的に生体内に投与するようになっている。また、このような作用側電極装置においては、効率的な投与を行うために、薬剤の保持部を設けたり、イオン交換樹脂などを利用することが検討されている。なお、イオン交換樹脂としては、例えば、米国特許第4931278号公報(特許文献4)に記載のイオン交換樹脂等が知られている。
ところで、イオントフォレーシスによる薬剤の経皮投与は、一般に、治療等の対象部位に対して、直接に、作用側電極装置を装着して薬剤を経皮投与するようにされる。それによって、効率的で速やかな薬効が期待できると共に、他組織への悪影響も軽減することができる。しかし、このようなイオントフォレーシスによる薬剤の経皮投与は、一般的には、あくまでも皮膚のような比較的平面に近い体表に対して行われるものである。
一方、かかる治療等の対象部位として、眼球も一つとなり得ると考えられている。具体的には、例えば角膜炎や白内障、眼内炎、ぶどう膜炎、網膜炎等の眼球疾患の治療に際して、角膜や強膜を介して、角膜や水晶体、硝子体、ぶどう膜、網膜に対して薬剤を、経膜的に直接に投与することを検討する価値がある。特に、硝子体への直接の薬剤投与の必要がある場合に、現在では、大きな苦痛を伴う注射針の穿刺で措置せざるを得ないという実情がある。また、眼球内の房水に薬剤を経膜投与できれば、生体の全身に薬剤を速やかに循環させることができる可能性もある。
このような眼球に対するイオントフォレーシスを行うために、例えば、米国特許第2525381号公報(特許文献5)に記載のイオントフォレーシス用カップが考えられている。しかしながら、このようなイオントフォレーシス用カップでは、角膜等にダメージを与えることなく、空間に形成されたリバーザーの薬液を直接角膜や強膜に適切に接触させることが極めて困難であり、実用的とは言えなかった。
一方、特許文献1〜3等に記載のイオントフォレーシス用装置を用いて、供給眼球の角膜や強膜を通じて経膜的に薬剤を投与することも考えられる。しかしながら、眼球の角膜等は、皮膚に比して、極めて敏感で且つ損傷し易く、また含水率も極めて高いという特殊性を備えている。一方、従来から提案されている一般的なイオントフォレーシス用装置は、その作用側電極装置を単に皮膚の上に密着状態で重ねて粘着テープ等で固定するだけの装着構造とされており、また、一般に皮膚への重ね合わせ面にイオン交換膜が採用されている。それ故、皮膚のように粘着テープで固定することが困難であり、しかも著しいアルカリ性又は酸性を示すイオン交換膜を接触させることが大きな問題となる角膜には、作用側電極装置を装着することが出来ないという問題があった。それ故、薬液を保持したイオン交換樹脂等を直接的あるいは間接的に角膜や強膜に接触させて、イオントフォレーシスによる眼球への経膜的な投与を行うことは実質的に実現不可能だったのである。
特表平3−504343号公報 特開平3−94771号公報 特開平4−297277号公報 米国特許第4931278号公報 米国特許第2525381号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、作用側電極装置を眼球の角膜上に装着することを可能と為し、以て、イオントフォレーシスによる角膜を介しての薬剤の経膜的投与を実現可能とする、新規なイオントフォレーシス用保持具を提供することにある。
かかる課題を解決するために為された本発明の第一の態様の特徴とするところは、生体に起電力を及ぼす起電力作用面を有する作用側電極装置とグランド側電極装置とを備え、イオン性薬剤を起電力で駆動させて該作用側電極装置から経皮的に投与するイオントフォレーシス用装置に用いられて、該作用側電極装置を該生体に対して保持せしめるイオントフォレーシス用保持具であって、前記作用側電極装置の前記起電力作用面にイオン交換膜が配されていると共に、眼球表面に載置されて装着される保持具本体に対して、該作用側電極装置が位置決め固定される装置固定部を設け、該作用側電極装置を角膜上で該角膜に接触しない位置に支持せしめるイオントフォレーシス用保持具にある。
本態様に従う構造とされた保持具を採用することにより、イオントフォレーシスに用いられる作用側電極装置を、角膜に対して直接に接触することなく、角膜上に設置することが可能となる。即ち、コンタクトレンズを想定すれば理解できるように、例えば凹形球状の内面と凸形球状の外面からなる略カップ形状等の適当な形状と刺激等の悪影響が少ない材質等を選択することにより、保持具を眼球の角膜や強膜の表面に載置して実質的に接触状態で、且つ安定した位置決め性能をもって装着することができる。そして、この保持具で作用側電極装置を支持させることにより、作用側電極装置を、角膜や強膜への直接の接触を回避しつつ、角膜上に位置決め支持させることが可能となる。
従って、本態様の保持具を採用することで、作用側電極装置から角膜を介して薬剤を経膜的に眼球内に投与するイオントフォレーシスを行なうことが可能となるのである。
なお、本態様における起電力作用面は、作用側電極装置そのものがイオン性薬剤を導出するなら、その導出面とされる。例えば特許文献1に記載されているように、作用側電極装置がイオン交換膜を備えており、該イオン交換膜の背後にイオン性薬剤の貯留部と電極が配設されている場合には、当該イオン交換膜からイオン性薬剤が導出されることとなり、このイオン交換膜(即ち、イオン性薬剤の導出面)が起電力作用面とされる。一方、例えば特許文献2に記載されているように、作用側電極装置と生体との間にイオン性薬剤が配されて、このイオン性薬剤に対して作用側電極装置の起電力が及ぼされる場合には、作用側電極装置そのものはイオン性薬剤を導出するものでなく、作用側電極装置においてその外部に配されたイオン性薬剤に対して起電力を及ぼす面が起電力作用面とされる。
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に従う構造とされたイオントフォレーシス用保持具であって、前記保持具本体の前記装置固定部において、前記作用側電極装置が嵌め込まれて位置決め固定される嵌合孔が該保持具本体を貫通して形成されており、該嵌合孔に位置決め固定された該作用側電極装置における前記起電力作用面が、該嵌合孔の内側開口部を通じて前記角膜に対向位置せしめられ、且つそれら起電力作用面と角膜との対向面間に涙液層を形成する隙間が設けられるようになっているイオントフォレーシス用保持具である。
本態様の保持具においては、作用側電極装置の起電力作用面と角膜との間に隙間が形成されて、かかる隙間に導入される涙液を介して、作用側電極装置と角膜が非接触状態で対向せしめられる。即ち、かかる涙液層の介在によって、作用側電極装置の起電力作用面と角膜との直接の接触に起因する過度の刺激等の不具合の発生が回避されると共に、起電力作用面から及ぼされる起電力の作用が角膜に対して効率的に及ぼされ得るのである。
また、本態様において起電力作用面と角膜との対向面間に隙間を形成する具体的構成としては、例えば、以下に記載の本発明の第三の態様や第四の態様が採用され得る。
すなわち、本発明の第三の態様は、前記第二の態様に従う構造とされたイオントフォレーシス用保持具において、前記保持具本体の内面における前記嵌合孔の開口端から該嵌合孔内の奥まった場所に前記起電力作用面が位置決めされることにより、前記作用側電極装置が嵌め込まれた該嵌合孔内において、該起電力作用面よりも該保持具の内面への開口側部分を含んで前記隙間が形成されるようになっているイオントフォレーシス用保持具である。
本態様の保持具においては、嵌合孔内に隙間が確保されることから、たとえ保持具の内面が眼球表面に当接しても、起電力作用面の角膜への接触を確実に防止することが出来る。例えば、保持具の内面が略全面に亘って眼球表面に当接状態で重ね合わされていても、起電力作用面と角膜との対向面間に隙間を形成して、起電力作用面の角膜への接触を防止することが可能となる。
なお、本態様において、嵌合孔の開口端から嵌合孔内の奥まった場所に起電力作用面を位置決めするに際しては、例えば、保持具の内面側に行くに従って次第に断面が小さくなるテーパ状の嵌合孔や、嵌合孔の内周面に突設された支持突部などが好適に採用される。これらテーパ状内周面や支持突部を設けることにより、保持具の外面側開口部から嵌合孔に嵌め入れられる作用側電極装置を、テーパ状内面や支持突部への当接により、嵌合孔への嵌め入れ端を規定して、嵌め入れ側の先端部分に設けられた起電力作用面を嵌合孔内に位置決めすることが可能となる。
また、本発明の第四の態様は、前記第二又は第三の態様に従う構造とされたイオントフォレーシス用保持具において、前記保持具本体が、その外周部分において前記眼球表面に当接状態で重ね合わされる当接支持部を有していると共に、その中央部分において前記角膜表面から離れて対向位置して該角膜表面との間に前記涙液層を形成する浮上部を有しており、該浮上部に対して前記嵌合孔が形成されているイオントフォレーシス用保持具である。
本態様においては、保持具の内面と角膜表面との間に隙間が形成されることから、たとえ保持具の内面において、作用側電極装置の起電力作用面が嵌合孔の開口面と同一面上に位置していたり、該嵌合孔の開口面から突出位置していても、かかる起電力作用面の角膜表面に対する接触を避けることが可能となる。
なお、本態様において、角膜表面に離隔して対向位置する浮上部は、例えば、保持具の内面を、角膜表面よりも大きな曲率を有する凹形球状面で形成することによって実現され得る。
さらに、本発明の第五の態様は、前記第二〜四の何れかの態様に従う構造とされたイオントフォレーシス用保持具において、前記保持具本体が非含水性の高分子材料で形成されているものである。
本態様では、保持具本体が非含水性の高分子材料で形成されることにより、形状や寸法に関して高い精度が実現されて、眼球に対して作用側電極装置を一層安定して高度な位置決め精度で装着することが可能となる。特に、保持具本体の眼球への装用状態下において、前記第二〜四の態様に記載された隙間を保持して起電力作用面の角膜への接触を回避し得るように、保持具本体の変形量を抑制し得るだけの変形強度を有する硬質材料がより好適である。
また、本発明の第六の態様は、前記第一の態様に従う構造とされたイオントフォレーシス用保持具であって、前記保持具本体の前記装置固定部において、前記作用側電極装置が嵌め込まれて位置決め固定される有底の嵌合穴が該保持具本体の外側面に開口して形成されており、該嵌合穴の底壁部が含水性架橋ポリマー材料で形成されていると共に、該嵌合穴に位置決め固定された該作用側電極装置における前記起電力作用面が該嵌合穴の該底壁部に重ね合わされているイオントフォレーシス用保持具である。
本態様の保持具では、嵌合穴に嵌め込まれて装着された作用側電極装置の起電力作用面が、角膜に対して、該嵌合穴の底壁部を挟んで対向位置せしめられる。それ故、かかる保持具の装着状態下、嵌合穴の底壁部が角膜に当接することはあっても、起電力作用面が直接に角膜に当接することが完全に防止される。しかも、かかる嵌合穴の底壁部は、含水性架橋ポリマー材料で形成されていることから、起電力作用面にて及ぼされる起電力を利用した薬剤の投与に際して大きな障害となるようなこともない。
なお、本態様における起電力作用面は、前記第二の態様における起電力作用面と同様に、作用側電極装置そのものがイオン性薬剤を導出するものであっても良いし、作用側電極装置と生体との間に配された薬剤に対して起電力を及ぼすものであっても良い。後者の場合、作用側電極装置と嵌合穴の底壁部との対向面間に薬剤を配する他、含水性架橋ポリマー材料からなる底壁部に対して薬剤を含有させたり、当該底壁部と角膜との間に薬剤を配することも可能である。
また、本態様では、嵌合穴の底壁部を含む保持具本体の全体を、含水性架橋ポリマー材料で形成しても良いし、嵌合穴の底壁部を除く部分を、含水性架橋ポリマー材料よりも硬質の非含水性の高分子材料等で形成して、作用側電極装置の位置決め強度の向上等を図ることも可能である。
ところで、前記第一〜六の何れかの態様に係る本発明のイオントフォレーシス用保持具において、前記作用側電極装置が嵌め入れられる前記保持具本体の前記装置固定部は、該保持具本体における任意の位置に任意の形状をもって任意の数だけ形成され得る。具体的には、かかる装置固定部は、例えば、保持具本体の中心軸上に設けられていても良いし、それに代えて或いはそれに加えて、保持具本体の中心軸を外れた部分に設けられていても良い。
保持具本体の中心軸上に装置固定部を設けることにより、角膜中央部分に対して作用側電極装置を効率的に対向配置させることが出来て起電力による薬剤の導入効率の向上を図ることも可能となる。また、保持具本体の中心軸から外れた部分に装置固定部を設けることで、例えば作用側電極装置を装着した状態でも患者の視界を確保することも可能となる。
本発明に従う構造とされたイオントフォレーシス用保持具においては、イオントフォレーシス用装置の作用側電極装置を支持せしめて、当該作用側電極装置を、眼球への直接の接触を回避しつつ、角膜上に位置決め支持させて装着することが出来るのであり、それ故、かかる保持具を採用することで、患者に大きな負担を強いることなく、角膜を介して薬剤を経膜的に眼球内に投与するイオントフォレーシスが実現可能とされ得る。
本発明の第一の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具を示す縦断面図。 図1に示した保持具の平面図。 本発明の第二の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具を示す縦断面図。 図3に示した保持具の平面図。 本発明の第三の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具を示す縦断面図。 本発明の第四の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具を示す縦断面図。 本発明の第五の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具を示す縦断面図。 本発明の第六の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具を示す要部拡大縦断面図。 本発明の別の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具を示す平面図。 本発明の更に別の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具を示す平面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。先ず、図1〜2には、本発明の第一の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具10が示されている。
この保持具10は、略球殻ドーム形状とされた保持具本体12に対して、装置固定部としての嵌合孔14が設けられた構造とされている。かかる保持具本体12は、凹形球面形状の内面16と、凸形球面形状の外面18を備えており、それら内面16と外面18間で略一定の肉厚寸法をもって形成されている。また、これら内面16と外面18をつなぐ外周端縁は、滑らかに湾曲した略半円形断面で全周に亘って延びるエッジ部20とされている。
また、保持具本体12は、その外径寸法が、装着される角膜の外径寸法と略同じに設定されている。そして、図1に示されているように、生体である眼球22の角膜24の表面に重ね合わされて装着された際、角膜24の全体を略覆うようになっている。
さらに、保持具本体12の内面16は、角膜24の表面に比して大きな曲率(即ち、小さな曲率半径)で形成されている。これにより、眼球22への装着状態下、保持具本体12の内面16が、角膜24の表面から外方に離隔して位置せしめられ、両者の対向面間の略全体に亘って隙間26が形成されるようになっている。なお、保持具本体12の眼球22への装着状態下では、角膜24の表面を覆う涙液が隙間26に導き入れられて涙液層28とされる。即ち、本実施形態の保持具本体12は、外周部分のエッジ部20が眼球22の表面に当接状態で重ね合わされる当接支持部とされている一方、中央部分が角膜24表面から離れて角膜24と対向位置して涙液層28を形成する浮上部とされている。
一方、保持具本体12の中央部分には、中心軸上を貫通して円形の嵌合孔14が形成されている。この嵌合孔14は、外面18側の開口部から内面16側の開口部に向かって次第に縮径するテーパ形状の内周面を有している。
そして、この嵌合孔14に対して、イオントフォレーシス用装置を構成する作用側電極装置30が組み付けられて固定的に支持されている。即ち、保持具10は、この作用側電極装置30を支持するために用いられている。また、本実施形態では、イオントフォレーシス用装置を構成する図示しないグランド側電極装置が公知の構成に従って別途設けられている。本実施形態では、これら作用側電極装置30とグランド側電極装置を含んでイオントフォレーシス用装置が構成されており、これら作用側電極装置30とグランド側電極装置により眼球22に対して起電力が及ぼされるようになっている。なお、これら作用側電極装置30及びグランド側電極装置を含んで構成されるイオントフォレーシス用装置は、特許文献1,2,3にも記載されているように従来から公知のものであり、作用側電極装置30やグランド側電極装置としても、それら特許文献1,2,3に記載の如き公知の構造のものが適宜に採用される。
本発明は、作用側電極装置30に関して、新規な構造を提供するものでないことから、ここでは詳細な説明を省略するが、例えば、特許文献1のFig.1に記載されている如き構造のものが好適に採用される。具体的には、図1中の下方(角膜24側)に向かって開口する逆カップ形状の円形容器の下方開口部をイオン交換膜32で覆蓋せしめたハウジング34を採用し、このハウジング34内にイオン性薬剤(図示せず)を充填すると共に、該ハウジング34内でイオン交換膜32に対向位置する上底内面に電極を配設して、この電極に外部から電圧を印加するための通電端子(図示せず)をハウジング外部に突設することによって、作用側電極装置30が構成され得る。即ち、本実施形態では、作用側電極装置30の起電力作用面にイオン交換膜32が配されている。
なお、公知のとおり、ハウジング34内に充填される、投与すべきイオン性薬剤としては、鎮痛剤や麻酔薬、抗生物質等の多様な薬剤が一般に電解質(イオン解離性)であることから、それらの中から任意に選択して採用することが出来る。そして、このような薬剤は、一般に、水溶液としてハウジング34内に充填される。
また、イオン交換膜32は、ハウジング34に充填された薬剤のイオン性有効成分を選択透過させるように、薬剤のイオン種(極性)に応じて、カチオン交換膜とアニオン交換膜の何れか一方が選択されて用いられる。即ち、カチオンの薬効成分からなる薬剤を投与したい場合には、イオン交換膜32としてカチオン交換膜を採用し、一方、アニオンの薬効成分からなる薬剤を投与したい場合には、イオン交換膜32としてアニオン交換膜を採用することとなる。
そして、このようなイオン交換膜32を有する作用側電極装置30は、イオン交換膜32を内面16側に向けて、保持具本体12の嵌合孔14に対して、大径の外面18側の開口部から嵌め入れられて位置決め固定されている。また、作用側電極装置30の外径寸法は、テーパ形状の内周面を備えた嵌合孔14の小径側開口部径よりも大きく且つ大径側開口部径よりも小さくされている。これにより、作用側電極装置30は、嵌合孔14の軸方向中間部分で、テーパ形状とされた嵌合孔14の内周面に対して係止され、固定状態で嵌合支持されて組み付けられている。かかる組付状態下、作用側電極装置30における軸方向内側(角膜24側)の端部外周縁部分(環状エッジ部分)は、その全周に亘って、嵌合孔14の内周面に対して密着状態で当接して、該嵌合孔14を覆蓋していることが望ましい。なお、必要に応じて、作用側電極装置30の外周面と嵌合孔14の内周面とを、溶着や接着等で固着しても良い。
このようにして保持具本体12に組み付けられた作用側電極装置30は、保持具本体12の嵌合孔14の小径側開口部を通じて、イオン交換膜32が、角膜24に対して対向位置せしめられるようになっている。また、保持具本体12の眼球22への装着状態下、これらイオン交換膜32と角膜24との対向面間には、涙液層28が介在されており、イオン交換膜32の角膜24への直接の接触が回避されている。
しかも、本実施形態では、作用側電極装置30においてイオン交換膜32が配された下端部の外径寸法が嵌合孔14の小径側端部の内径寸法よりも僅かに大きくされており、作用側電極装置30の嵌合孔14への組付状態下、イオン交換膜32が、嵌合孔14の小径側開口部から内方(図1中の上方)に奥まった位置に配されている。要するに、嵌合孔14は、その小径側端部の所定長さに亘る領域が、イオン交換膜32の外方において内面16側に開口する凹所とされているのである。そして、保持具本体12の眼球22への装着状態下では、この凹所が角膜24に向かって開口して涙液が導入されており、保持具本体12と角膜24との間に形成された隙間26の一部を構成するようになっている。
上述の如く、保持具本体12に対して嵌合孔14等を形成してなる保持具10は、その嵌合孔14に作用側電極装置30を固定的に組み付けた状態で、図1に示されているように眼球22に装着されることにより、作用側電極装置30を、角膜24上において、角膜24に対して直接の接触を回避せしめつつ、涙液層28を介して対向位置する状態に保持し得る。
特に、保持具本体12として、硬質材を採用することにより、かかる装着状態下で作用側電極装置30を角膜24から離隔させた位置に一層安定して位置決め支持することが可能である。かかる作用側電極装置30を、角膜24への接触を防止してより安定して位置決め支持するために、好適には、保持具本体12の硬質材料として、そのヤング率:Yc が、3MPa<Yc 、より好ましくは100MPa≦Yc のものが好適に採用される。なお、装着時の異物感軽減や眼組織への負担軽減等の観点から、かかるヤング率:Yc の上限値は、好適にはYc ≦3000MPa、より好ましくはYc ≦1500MPaとされる。
このような硬質材の具体的材料としては、非含水性の高分子材料が選択され得る。特に、ポリオレフィン、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネートなどの射出成形可能な透明樹脂が採用できる。また、装着時の眼組織への負担を軽減するのに、従来から公知のハードコンタクトレンズ材料が有利に採用される。
具体的には、かかる保持具本体12の材料としては、アルキルメタクリレートや、シロキサニルメタクリレート、フルオロアルキルメタクリレート、シロキサニルスチレン、フルオロアルキルスチレン、シロキサニルフマレート、フルオロアルキルフマレート等を主成分とする重合成分から得られる重合体材料が好適に採用される。
また、保持具本体12は、イオントフォレーシスによる薬剤投与の短時間接触であるが、生体への接触による汚れや涙濡れの問題に対応するためや、保持具本体12と角膜24との隙間26内に放出された薬液や涙液を安定して保持するために、保持具本体12の表面が親水性であることが望ましい。かかる目的から、上述の重合体材料は、親水性モノマーとの共重合体として、保持具本体12の材料を構成することが有効である。かかる親水性モノマーとしては、例えばN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセロールメタクリレート(GMA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)等が好適に採用される。また、このような親水性モノマーとの共重合体に代えて或いは加えて、保持具本体12に対してプラズマ等の表面処理を施すことで親水性を向上させることも有効である。なお、可視光線透過性は患者の恐怖感軽減等に有効ではあるが、必ずしも要求されるものではない。
上述の如き構造とされた保持具10の嵌合孔14に作用側電極装置30を組み付け、当該保持具10を眼球22の角膜24に重ね合わせて装着させることにより、作用側電極装置30ひいてはそのイオン交換膜32を、角膜24への直接の接触を回避しつつ、角膜24に対する対向状態に安定して位置決め支持させることが可能となる。それ故、保持具10により支持された作用側電極装置30を含んで公知のイオントフォレーシス用装置を構成し、作用側電極装置30と図示しないグランド側電極装置との間に電圧を印加することにより、イオン性薬剤を起電力により駆動させて作用側電極装置30のイオン交換膜32から導出させ、涙液層28から角膜24を介して眼球22内に導入させることができる。即ち、本実施形態では、イオン交換膜32の表面(角膜24への対向面)が、作用側電極装置30において生体に起電力を及ぼす起電力作用面となり、この起電力作用面からイオン性薬剤が角膜24を介して経皮的に投与されることとなる。
これにより、イオン交換膜32の角膜24への接触が防止されることから、イオン交換膜32の有する著しいアルカリ性又は酸性が、かかる作用側電極装置30の装着に際して大きな問題となることが回避され、患者に強度の苦痛を強いることもないのである。
しかも、眼球22に装着された保持具10は、保持具本体12のエッジ部20を含む外周部分が角膜24の表面形状を利用して位置決めされ、更に涙液層28の表面張力を利用して保持具10の全体が角膜24に対して位置決めされる。それ故、保持具10に対して固定的に組み付けられた作用側電極装置30は、保持具10を介して、角膜24に対する所定の位置決め状態に保持され得るのであり、患者に強度の苦痛を強いるような固定具の使用を回避することも可能となる。
次に、図3〜4には、本発明の第二の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具40が示されている。本実施形態の保持具40は、第一の実施形態の保持具(10)に対して、保持具本体(12)における眼球22への位置決め支持構造の別例を示すものであり、第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符合を付することにより、その詳細な説明を省略する。なお、後述する実施形態でも同様に、他の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、図中に付した符合を利用して、詳細な説明の重複を避けることとする。
すなわち、本実施形態の保持具40は、眼球22の角膜24の外径よりも大きな外径寸法の保持具本体42を備えている。この保持具本体42において、角膜24よりも外周側に延び出した外周部分が、内面16側に凸となる湾曲断面形状で周方向に延びる当接支持部としての外周当接部44とされている。
そして、保持具40の眼球22への装着状態下、かかる外周当接部44が、角膜24の外周側に位置する強膜46の表面に当接されることにより、保持具40が角膜24を覆うようにして配されることとなる。更に、かかる装着状態下では、保持具本体42の内面16と角膜24との間に、全体に亘って広がる隙間26が形成されており、この隙間26に涙液が充填されて涙液層28とされている。なお、本実施形態では、保持具本体42の外周当接部44が強膜46によって当接状態で支持されることから、保持具本体42の内面16は、その曲率半径が角膜24の表面の曲率半径に比して小さくなくても、角膜24の表面上の全体に亘る隙間26が形成され得る。
また、このような保持具40の眼球22への装着状態下、角膜24と強膜46との表面湾曲形状(表面曲率)の相違を利用して外周当接部44の眼球22への当接位置が位置決めされると共に、保持具40と角膜24の間に形成される涙液層28の表面張力によっても、保持具40の眼球22上への装着位置が保持される。そして、このような本発明の第二の実施形態としての保持具40にあっても、第一の実施形態の保持具(10)と同様な効果が何れも有効に発揮されるのである。
図5に示された本発明の第三の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具は、図示されているとおり第一の実施形態と同じく嵌合孔14が中央に形成された保持具本体12から構成されている。
一方、この嵌合孔14に嵌め込まれた作用側電極装置50には、角膜24に対向位置する内側面において角膜24側に向かって突出する中央突出部52が形成されている。この中央突出部52は、作用側電極装置50のハウジング34よりも小さな外径寸法とされており、且つ嵌合孔14の小径側端部の開口径よりも小さな外径寸法とされている。また、この中央突出部52の突出先端面にイオン交換膜32が配されており、起電力作用面が構成されている。
そして、かかるハウジング34の軸方向内側(角膜24側)の外周端縁部が、嵌合孔14のテーパ形状とされた内周面に当接して、保持具本体12に対して嵌合状態で位置決めされた状態下、中央突出部52が、嵌合孔14の小径側開口部を通じて、該開口部よりも角膜24側に突出して位置せしめられている。なお、中央突出部52の嵌合孔14からの突出高さは、中央突出部52が角膜24に接触しないように設定されている。
このような本発明の第三の実施形態としての保持具においても、保持具本体12によって作用側電極装置50が角膜24から離隔して対向位置した状態に保持されることから、第一の実施形態の保持具と同様な効果が有効に発揮され得る。
図6には、本発明の第四の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具60が示されている。本実施形態の保持具60も、第一の実施形態の保持具(10)と同様に、凹形球面形状の内面16と凸形球面形状の外面18を有し且つそれら内外面16,18が外周縁部のエッジ部20で滑らかに接続された表面形状とされた略球殻ドーム形状の保持具本体62を備えている。
なお、本実施形態の保持具本体62は、第一の実施形態と異なり、装着される角膜24の表面曲率半径と略同じ曲率半径をもって、凹形球面形状の内面が成形されている。これにより、図示されているように、保持具本体62は、眼球22の角膜24の表面に対して当接し或いは僅かな涙液層28をもって、角膜24への直接の接触を回避されない状態で、装着されるようになっている。なお、図面では、保持具本体62が、装着される角膜24と略同じ外径寸法とされているが、これに限定されるものでなく、角膜24より小さくても良いし、角膜24より大きく強膜46まで覆う大きさでも良い。また、角膜24上での変位が許容されていても良い。
また、保持具本体62の中央部分には、装置固定部としての円形の嵌合穴64が、中心軸上で外面18に開口して形成されている。この嵌合穴64は、略平坦な底面68と円形内周面70を有している。図示されているように、嵌合穴64の外面18への開口周縁部には面取りが施されていることが望ましい。
そして、この嵌合穴64に対して、イオントフォレーシス用装置を構成する作用側電極装置30が組み付けられて固定的に支持されている。かかる作用側電極装置30は、第一の実施形態と同様、角膜24側の面にイオン交換膜32を備えている。嵌合穴64に嵌め入れられた作用側電極装置30は、起電力作用面となるイオン交換膜32が、嵌合穴64の底壁部72(底面68)に対して重ね合わされている。なお、イオン交換膜32と底壁部72(底面68)とは密着されていることが望ましいが、それらの間に涙液が導入された隙間26が存在していても良い。
このように作用側電極装置30が組み付けられた保持具60は、眼球22への装着状態下、イオン交換膜32が、角膜24に対して、保持具本体62に形成された嵌合穴64の底壁部72を挟んで対向位置せしめられることとなる。
ここにおいて、本実施形態では、かかる底壁部72を構成する保持具本体62が、含水性架橋ポリマーによって形成されているのである。かかる含水性架橋ポリマーは、例えば従来から軟質のコンタクトレンズ材料として用いられているものが採用可能である。具体的には、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、N−ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド、ビニルアルコール等を主成分とする重合成分から得られる重合材料からなるものが好適に用いられる。なお、これらの親水性モノマー(重合材料)には、エチレングリコールアクリレートやエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の架橋性モノマーが適宜に配合されて、共に重合されることにより、含水性ポリマーの強度や耐久性の向上が図られ得る。
すなわち、このような含水性架橋ポリマーからなる保持具本体62を採用したことにより、作用側電極装置30のイオン交換膜32から導出されたイオン性薬剤は、含水性架橋ポリマーからなる底壁部72を介して角膜24に供給されて投与され得るのである。それ故、第一の実施形態と同様に、作用側電極装置30の角膜24への接触を完全に回避しつつ、作用側電極装置30によるイオン性薬剤の角膜24を介しての眼球22内への投与が実現可能となり、第一の実施形態と同様な効果が発揮されるのである。
なお、本実施形態では、作用側電極装置30のイオン交換膜32と角膜24との対向面間に含水性架橋ポリマーからなる底壁部72が存在していることから、この底壁部72に対して予めイオン性薬剤を保持させておくことも可能である。これにより、特許文献2に記載されているように、作用側電極装置30のイオン交換膜32の外部にイオン性薬剤を配し、このイオン性薬剤に対して作用側電極装置30による起電力を及ぼして投与することも可能となる。
また、図7には、本発明の第五の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具78が示されている。本実施形態の保持具78は、第四の実施形態と同様に、外面18の中央部分に開口する嵌合穴64が形成された保持具本体80を備えており、この嵌合穴64に嵌め込まれて固定的に組み付けられた作用側電極装置30のイオン交換膜32が、嵌合穴64の底壁部72に重ね合わされている。
特に本実施形態の保持具本体80は、嵌合穴64が形成された中央部分が、第四の実施形態と同様に含水性架橋ポリマーで形成された軟質部82とされている一方、この軟質部82の周囲を囲む外周部分が、第一の実施形態と同様に硬質材で形成された硬質部84とされている。
これにより、硬質部84の支持剛性を利用して、第一の実施形態と同様に、保持具本体80の内面16と角膜24の間に隙間26が形成され、この隙間26に涙液が導き入れられて涙液層28が存在せしめられるようになっている。一方、軟質部82は、含水性架橋ポリマーの特性を利用して、第四の実施形態と同様に、嵌合穴64に組み付けられた作用側電極装置30の角膜24への接触を完全に防止しつつ、イオン交換膜32を通じて及ぼされる起電力に基づいて、軟質部82及び涙液層28を介して、イオン性薬剤を角膜24に導き入れて眼球22内に投与し得るようになっている。
なお、上述のように中央の軟質部82及び外周の硬質部84の二種材からなる保持具本体80の材料は、例えば特開2000−343539号公報や特表2005−116728号公報等に記載されている公知のものが適用可能であり、ここでは具体的な例示を省略するが、それら軟質部82と硬質部84の両方に親水性モノマーを共通して含有させることが望ましく、それによって軟質部82と硬質部84の界面での剥離等を効果的に防止することが可能となる。
さらに、図8には、本発明の第六の実施形態であるイオントフォレーシス用の保持具の要部が示されている。即ち、本実施形態は、保持具本体90に形成された嵌合孔92に組み付けられた作用側電極装置93の固定構造の一態様を例示するものである。
具体的には、保持具本体90において、その中央に形成された嵌合孔92の内周面から内方(嵌合孔92内)に突出する係止突起94が一体形成されている。なお、この係止突起94は、周方向の全周に亘って連続して環状に形成されていても良いし、周上で少なくとも一つ、或いは複数が独立凸状に形成されていても良い。
一方、かかる嵌合孔92に嵌め込まれて組み付けられる作用側電極装置93には、その軸方向中間部分において外周面上に開口する係止用溝98が、周方向の全周に亘って環状に形成されている。そして、作用側電極装置93が嵌合孔92の正規位置に組み付けられた際、保持具本体90の係止突起94が係止用溝98に嵌まり込んで係止されるようになっている。
このようにして、作用側電極装置93の係止用溝98に対して保持具本体90の係止突起94が係止されることにより、保持具本体90の嵌合孔92に対する作用側電極装置93の位置決めが、その軸直角方向だけでなく軸方向(角膜24に対する接近/離隔方向となる図中の上下方向)においても正確に規定され得る。これにより、例えば嵌合孔92に嵌め込まれた作用側電極装置93が、意図せずに嵌合孔92内に入り込み過ぎて角膜24に接触してしまう不具合が一層効果的に防止され得るし、意図せずに嵌合孔92から抜け出すことも効果的に防止され得る。
なお、本実施形態に示す如き嵌合孔92の内周面と作用側電極装置93の外周面との間での係止機構は、第一〜三の実施形態に示す貫通構造の嵌合孔14に限らず、第四〜五の実施形態に示す有底穴構造の嵌合穴64においても同様に採用可能であり、それによって、嵌合穴64からの作用側電極装置30の意図しない抜け出しを効果的に防止することが可能となる。
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、本発明は、これらの実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものではない。
例えば、保持具本体における装置固定部の具体的構造や形状、数は、取り付けられる作用側電極装置の構造や形状、数に応じて適宜に決定されるものである。具体的には、一つの保持具本体に対して、相互に異なる場所に、複数の嵌合孔又は嵌合穴を形成し、それら複数の嵌合孔又は嵌合穴に跨がって一つの作用側電極装置を組み付けたり、それら複数の嵌合孔又は嵌合穴の各一つずつに作用側電極装置を組み付けること等も可能である。
また、前記実施形態に記載されているように保持具本体の中心軸上に設けた装置固定部に加えて或いは代えて、保持具本体の中心軸上を外れた位置に装置固定部を設けても良い。具体的には、例えば図9に示されているように、保持具本体99の径方向中間部分をそれぞれ周方向に延びる半周弱の円弧形状の嵌合孔又は嵌合穴からなる一対の嵌合部100,100を設けて、それら各嵌合部100に対して、対応するハウジング形状をもって形成された作用側電極装置を嵌め込んで組み付けても良い。特に保持具本体99を可視光線透過材で形成して、その中心軸を外れた位置に嵌合部100を形成することにより、保持具の装着状態下での患者の視界をある程度確保することも可能となる。また、図10に示されているように、保持具本体101の中心軸を挟んだ両側で対向位置する一対の略半円形状を有する嵌合部102,102を設けて、それら各嵌合部102,102に対して、対応するハウジング形状をもって形成された作用側電極装置を嵌め込んで組み付けることも可能である。
12,42,62,80,90,99,101:保持具本体、14,92:嵌合孔(装置固定部)、20:エッジ部(当接支持部)、24:角膜、26:隙間、28:涙液層、30,50,93:作用側電極装置、32:イオン交換膜(起電力作用面)、44:外周当接部(当接支持部)、46:強膜、64:嵌合穴(装置固定部)、72:底壁部、82:軟質部、84:硬質部、94:係止突起、98:係止用溝、100,102:嵌合部(装置固定部)

Claims (8)

  1. 生体に起電力を及ぼす起電力作用面を有する作用側電極装置とグランド側電極装置とを備え、イオン性薬剤を起電力で駆動させて該作用側電極装置から経皮的に投与するイオントフォレーシス用装置に用いられて、該作用側電極装置を該生体に対して保持せしめるイオントフォレーシス用保持具であって、
    前記作用側電極装置の前記起電力作用面にイオン交換膜が配されていると共に、眼球表面に載置されて装着される保持具本体に対して、該作用側電極装置が位置決め固定される装置固定部を設け、該作用側電極装置を角膜上で該角膜に接触しない位置に支持せしめることを特徴とするイオントフォレーシス用保持具。
  2. 前記保持具本体の前記装置固定部において、前記作用側電極装置が嵌め込まれて位置決め固定される嵌合孔が該保持具本体を貫通して形成されており、該嵌合孔に位置決め固定された該作用側電極装置における前記起電力作用面が、該嵌合孔の内側開口部を通じて前記角膜に対向位置せしめられ、且つそれら起電力作用面と角膜との対向面間に涙液層を形成する隙間が設けられるようになっている請求項1に記載のイオントフォレーシス用保持具。
  3. 前記保持具本体の内面における前記嵌合孔の開口端から該嵌合孔内の奥まった場所に前記起電力作用面が位置決めされることにより、前記作用側電極装置が嵌め込まれた該嵌合孔内において、該起電力作用面よりも該保持具の内面への開口側部分を含んで前記隙間が形成されるようになっている請求項2に記載のイオントフォレーシス用保持具。
  4. 前記保持具本体が、その外周部分において前記眼球表面に当接状態で重ね合わされる当接支持部を有していると共に、その中央部分において前記角膜表面から離れて対向位置して該角膜表面との間に前記涙液層を形成する浮上部を有しており、該浮上部に対して前記嵌合孔が形成されている請求項2又は3に記載のイオントフォレーシス用保持具。
  5. 前記保持具本体が非含水性の高分子材料で形成されている請求項2〜4の何れか1項に記載のイオントフォレーシス用保持具。
  6. 前記保持具本体の前記装置固定部において、前記作用側電極装置が嵌め込まれて位置決め固定される有底の嵌合穴が該保持具本体の外側面に開口して形成されており、該嵌合穴の底壁部が含水性架橋ポリマー材料で形成されていると共に、該嵌合穴に位置決め固定された該作用側電極装置における前記起電力作用面が該嵌合穴の該底壁部に重ね合わされている請求項1に記載のイオントフォレーシス用保持具。
  7. 前記保持具本体の前記装置固定部が、該保持具本体の中心軸上に設けられている請求項1〜6の何れか1項に記載のイオントフォレーシス用保持具。
  8. 前記保持具本体の前記装置固定部が、該保持具本体の中心軸を外れた部分に設けられている請求項1〜6の何れか1項に記載のイオントフォレーシス用保持具。
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