JP2013063051A - オリゴ糖の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高純度の中性多糖類由来のオリゴ糖を効率的に製造することができ、かつ汎用性が高く、低コストなオリゴ糖の製造方法、および、オリゴ糖の分子量制御および再現性に優れ、所望のオリゴ糖を高純度で得られる中性多糖類由来のオリゴ糖の製造方法を提供。
【解決手段】アガロース、キシランおよびグルコマンナンから選ばれる少なくとも一種の中性多糖類を加水分解してオリゴ糖を製造するオリゴ糖の製造方法であって、中性多糖類に加水分解剤の水溶液を供給する工程と、前記中性多糖類を加水分解する工程と、前記中性多糖類の加水分解物からオリゴ糖を回収する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、中性多糖類を加水分解してオリゴ糖を製造するオリゴ糖の製造方法に関する。
オリゴ糖は、甘味性、保湿性、ビフィズス菌増殖性などの種々の生理活性を有するため、機能性食品素材として注目されており、現在、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖などが実用に供されている。
また、オリゴ糖は、坑腫瘍作用、免疫活性化、コレステロール低減、美白効果などの種々の生理活性を有することから、特定保険用食品、化粧品、医薬品などの素材としても注目されている。
これらのオリゴ糖は、主として原料である多糖類に酵素、酸または加圧熱水、二酸化炭素を作用させる加水分解によって製造されている。
多糖類の酵素分解法としては、例えば、市販の酵素を用いたグルコマンナンの加水分解法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、酸を用いた多糖類の加水分解法としては、例えば、原料のコーヒー滓を、160〜260℃の温度にて、pH0.5〜4で加熱した後、中和することにより、重合度1〜10のマンナンオリゴ糖を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、加圧熱水法でマンナンオリゴ糖を製造する場合、200℃以上の反応温度を必要とするので、生成したオリゴ糖の過分解反応が進行し、メイラード反応などによる着色や有害物質が生成し、精製工程が複雑になるという問題があった。
多糖類は、酸性多糖類、塩基性多糖類、中性多糖類に大分類され、「酸性多糖類」とは、カルボキシル基、硫酸基、リン酸基などの酸性基を有する多糖類であり、「塩基性多糖類」とは、アミノ基などの塩基性基を有する多糖類であり、「中性多糖類」とは、酸性基や塩基性基を全く、あるいはほとんど有さない多糖類である。
塩基性多糖類は、天然物としてはキチンやキトサンなどの他にはあまり例がなく、天然物として入手可能な多糖類は、酸性多糖類または中性多糖類がほとんどである。
中性多糖類を加水分解して得られるオリゴ糖は、酸性多糖類由来のオリゴ糖とは異なる生理活性や機能性が期待される。
また、中性多糖類は、酸性多糖類と比べて、加水分解を行いにくい傾向がある。そのため、中性多糖類を加水分解するために、例えば、中性多糖類に無機酸添加の代わりに酸性糖を添加して水熱反応させ、前記中性多糖類を加水分解することを特徴とする単糖もしくはオリゴ糖の製造方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平5−246860号公報 特開昭61−96947号公報 特開2009−011317号公報
しかしながら、酵素分解法では、特定の糖を対象とするため、糖ごとに特定の酵素が必要であるため、汎用性に乏しいという問題があった。また、酸を用いた加水分解法は、加水分解後の中和工程や、脱塩工程が必要であり、製造コストが高くなることや、高い反応温度で過分解反応が進行し、副生成物が生じるという問題があった。また、中性多糖類と酸性糖類を添加して水熱反応をさせるオリゴ糖の製造方法では、得られるオリゴ糖が前記中性多糖類と前記酸性多糖類それぞれの加水分解物の混合物であり、中性多糖類由来のオリゴ糖の純度が高いオリゴ糖を得ることが困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高純度の中性多糖類由来のオリゴ糖を効率的に製造することができ、かつ汎用性が高く、低コストなオリゴ糖の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、オリゴ糖の分子量制御および再現性に優れ、所望のオリゴ糖を高純度で得られる中性多糖類由来のオリゴ糖の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のオリゴ糖の製造方法は、アガロース、キシランおよびグルコマンナンから選ばれる少なくとも一種の中性多糖類を加水分解してオリゴ糖を製造するオリゴ糖の製造方法であって、中性多糖類に加水分解剤の水溶液を供給する工程と、前記中性多糖類を加水分解する工程と、前記中性多糖類の加水分解物からオリゴ糖を回収する工程と、を有することを特徴とする。
本発明のオリゴ糖の製造方法において、前記加水分解剤は、塩化鉄(III)または硫酸鉄(III)であることが好ましい。
本発明のオリゴ糖の製造方法において、前記中性多糖類を加水分解する工程において、90〜160℃で加熱しながら前記中性多糖類を加水分解することが好ましい。
100℃を超える温度範囲で加水分解反応を行なう場合、温度調整が難しくなることから、市販のハイパーグラスター(株式会社耐圧ガラス工業製)を使用するとよい。この装置は、耐圧構造に設計され、内部設定温度がコントロール可能となっているので便利である。
本発明によれば、中性多糖類を原料とし、高純度のオリゴ糖を効率的に製造することができ、かつ汎用性が高く、低コストなオリゴ糖の製造が可能である。また、オリゴ糖の分子量制御が容易となり、所望の高純度な中性多糖類由来のオリゴ糖を再現性よく製造することができる。
実験例1〜4における凍結乾燥後のアガロオリゴ糖のHPLCによる分析結果を示す図である。 実験例2、5および6における凍結乾燥後のアガロオリゴ糖のHPLCによる分析結果を示す図である。 実験例7〜10における凍結乾燥後のキシロオリゴ糖のHPLCによる分析結果を示す図である。 実験例11〜13における凍結乾燥後のキシロオリゴ糖のHPLCによる分析結果を示す図である。 実験例14〜17における凍結乾燥後のキシロオリゴ糖のHPLCによる分析結果を示す図である。 実験例18〜21における凍結乾燥後のマンナンオリゴ糖のHPLCによる分析結果を示す図である。 実験例19、20、22および23における凍結乾燥後のマンナンオリゴ糖のHPLCによる分析結果を示す図である。 実験例21、24〜26における凍結乾燥後のマンナンオリゴ糖のHPLCによる分析結果を示す図である。
本発明のオリゴ糖の製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
(1)第一実施形態
本実施形態のオリゴ糖の製造方法は、中性多糖類のアガロースを加水分解してオリゴ糖を製造するオリゴ糖の製造方法であって、アガロースに加水分解剤の水溶液を供給する工程と、アガロースを加水分解する工程と、アガロースの加水分解物からオリゴ糖を回収する工程と、を有する方法である。
アガロースは、テングサやオゴノリなどの紅藻類中に存在する多糖類であり、D−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースとが交互にα−1,3結合、β−1,4結合を繰り返して構成される多糖類である。アガロースは、下記の化学式(1)で表される。
Figure 2013063051
このアガロースを加水分解して、低分子量化することにより、アガロビオースを構成成分とするアガロオリゴ糖を生成することができる。
アガロオリゴ糖は、アガロースのα−1,3結合を切断して得られるオリゴ糖であり、その重合度は偶数である。また、アガロオリゴ糖の還元末端は、3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースである。アガロオリゴ糖は、下記の化学式(2)で表される。
Figure 2013063051
従来、アガロースの加水分解によるオリゴ糖の製造には、酸加水分解法と酵素加水分解法が用いられてきた。
酸加水分解法では、主としてアガロースのα−1,3結合が切断されるため、アガロオリゴ糖が生成される。
酸加水分解法で用いられる酸としては、塩酸、硫酸などの無機酸、クエン酸、乳酸などの有機酸が挙げられる。
酸加水分解法の問題点としては、生成されるオリゴ糖の大きさ(分子量)を制御することが難しく、特に、重合度の低い低分子オリゴ糖を選択的に生成することが極めて難しいことなどが挙げられる。
酵素加水分解法では、アガロースを分解する酵素として、α−1,3結合を切断するα−アガラーゼと、β−1,4結合を切断するβ−アガラーゼとが挙げられる。
α−アガラーゼを用いることにより、α−1,3結合が切断されるため、アガロビオースを構成成分とするアガロオリゴ糖が生成される。
公知のα−アガラーゼとしては、海洋性のグラム陰性細菌GJ1B株やビブリオ属細菌の生産する酵素が挙げられる。
しかしながら、アルテロモナス・アガリリティクスGJ1B株由来のα−アガラーゼは、六糖以下のオリゴ糖を分解することができないため、生理活性が顕著なアガロビオースを生成することは不可能である。さらに、ビブリオ属細菌由来のα−アガラーゼは、六糖以下のオリゴ糖にのみ活性を示す酵素であり、アガロースに対してはまったく作用しないため、アガロースを原料とするアガロオリゴ糖の製造に使用することはできない。
本実施形態のオリゴ糖の製造方法は、上述の従来の課題を解決するためになされたものである。
本実施形態のオリゴ糖の製造方法を詳細に説明する。
本実施形態のオリゴ糖の製造方法は、例えば、反応容器内に収容したアガロースに、アガロースを加水分解するための加水分解剤の水溶液を供給し、アガロースを加水分解する。
原料となるアガロース源は、特に限定されるものではないが、例えば、海藻である紅藻類の天草(テングサ)を熱水中で処理して得られる高粘度の液体を、凍結乾燥することで得ることができる。
アガロースは、本発明において用いる加水分解剤と配位して可溶化する性質を有していることから、前処理することなく加水分解するようにしてもよいが、加水分解の効率をよりよく高めるためには、前記凍結乾燥物を微粉化しておくとよい。
アガロース源は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その組み合わせは任意に選択できる。
前記加水分解剤としては、塩化鉄(III)(FeCl)または硫酸鉄(III)(Fe(SO)が好適に用いられる。
塩化鉄(III)は、無水物および六水和物のいずれでもよく、鉄粉および塩酸を用いて調製したものでもよい。
硫酸鉄(III)は、無水物または七水和物のいずれでもよく、鉄粉および濃硫酸を用いて調製したものでもよい。
加水分解剤は、塩化鉄(III)または硫酸鉄(III)を単独で用いてもよいし、塩化鉄(III)と硫酸鉄(III)を併用してもよい。塩化鉄(III)と硫酸鉄(III)を併用する場合、その組み合わせおよび比率は、任意に選択できる。
加水分解剤の水溶液に含まれる加水分解剤の濃度は、適宜調節されるが、1〜100mMであることが好ましく、1〜50mMであることがより好ましく、1〜20mMであることが特に好ましい。
加水分解剤の濃度を下限値以上とすることにより、一層速やかにアガロースを加水分解できる。一方、加水分解剤の濃度を上限値以下とすることにより、オリゴ糖の生成が一層容易となる。なお、本明細書において、単位「M」は「mol/L」を表す。
アガロースの加水分解は、加熱しながら行うことが好ましく、このようにすることで、一層速やかにアガロースを加水分解できる。
加熱時の温度は、80℃以上であることが好ましく、90〜160℃であることがより好ましく、100〜140℃であることがさらに好ましく、110〜120℃であることが特に好ましい。
加熱時の温度を上限値以下とすることで、アガロースの過分解を一層抑制できる。
加水分解の反応時間は、反応温度に応じて適宜調節されるものであり、特に限定されるものではない。
例えば、上記のように加熱する場合、反応時間は0.2〜10時間であることが好ましく、1〜2時間であることがより好ましい。
加水分解剤の水溶液の量は、水溶液の濃度、アガロースの量、オリゴ糖の製造装置の形態に応じて、適宜調節される。
加水分解剤の水溶液は、本実施形態の効果を妨げない範囲内で、加水分解剤以外のその他の成分を含有していてもよい。
アガロースの加水分解を終了した後、その加水分解物からオリゴ糖を回収する。
加水分解物は、目的物であるアガロオリゴ糖以外にその他の分解物や、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)などを含んでいる。そこで、加水分解物は、抽出、濃縮、活性炭処理、脱塩処理、ゲル濾過、カラムクロマトグラフィーなどの公知の精製操作を一種以上行い、さらに、濃縮や凍結乾燥などを行うことにより、アガロオリゴ糖を取り出すことが好ましい。
得られたアガロオリゴ糖は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、核磁気共鳴(H−NMR、13C−NMRなど)、質量分析法(MS)など、公知の手法を単独でまたは二種以上組み合わせて適用することで同定できる。
また、上記実施形態において、オリゴ糖の加水分解反応は、回分式または流通式のいずれで行ってもよい。流通式で加水分解反応を行う場合には、所定の反応温度で所望のオリゴ糖が得られるよう、適宜加水分解剤の流量を調整すればよい。
また、上記実施形態において、流通式で加水分解反応を行う場合、アガロースを、加水分解反応の途中で新たに追加してもよい。このようにすることで、加水分解反応を停止させることなく、長時間連続して行い、オリゴ糖の製造を継続して行うことができ、オリゴ糖の製造効率を大幅に向上させることができる。アガロースを追加する具体的な方法としては、例えば、従来のショーラー法における、パーコレーター型反応器を使用する方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態によれば、アガロースを十分にアガロオリゴ糖にまで加水分解できるので、アガロオリゴ糖の生成量が向上するとともに、アガロースの過分解が抑制され、高収率でアガロオリゴ糖やネオアガロオリゴ糖が得られる。また、オリゴ糖の分子量制御が容易となり、再現性よく所望のオリゴ糖を製造することができる。
また、アガロースを高い効率で加水分解する加水分解剤として、塩化鉄(III)または硫酸鉄(III)を用いることによって、一層高収率でアガロオリゴ糖が得られる。そして、反応時間、反応温度、加水分解剤の水溶液の量などを調節することにより、アガロオリゴ糖の収率を一層向上させることができる。
本発明に使用する原料はすべて安全面および入手性に優れており、反応条件が穏やかで、特殊な製造条件が不要であるなど、工程が簡便で低コストでアガロオリゴ糖を製造できる。
このように本実施形態は、汎用性が高く、工業レベルでの実用化が容易である。
(2)第二実施形態
本実施形態のオリゴ糖の製造方法は、中性多糖類のキシラン(ヘミセルロース)を加水分解してオリゴ糖を製造するオリゴ糖の製造方法であって、キシランに加水分解剤の水溶液を供給する工程と、キシランを加水分解する工程と、キシランの加水分解物からオリゴ糖を回収する工程と、を有する方法である。
キシランは、D−キシロース残基をβ−1,4結合にて直鎖状に結合させた直鎖状重合体である。キシランは、下記の化学式(3)で表される。
天然のヘミセルロースには、キシランの他にも、キシランからなる直鎖状の主鎖に、L−アラビノフラノース残基、D−グルクロン酸残基、4−o−メチル−D−グルクロン酸残基などの側鎖を結合させた、アラビノキシラン、グルクロノキシラン、アラビノグルクロノキシラン、メチルグルクロノキシランなどのキシラン誘導体が存在する。
Figure 2013063051
このキシランを加水分解して、低分子量化することにより、キシロオリゴ糖を生成することができる。キシロオリゴ糖は、下記の化学式(4)で表される。
Figure 2013063051
従来、木質系バイオマス資源は主に、食糧、燃料、繊維、建築材料などに利用されているが、その量は地球上のバイオマスの年間生産量のうちの僅かな量に過ぎない。バイオマス資源として木材を利用する場合、細胞壁の利用が多い。木材の細胞壁には、セルロースが45%程度、ヘミセルロースが30%程度、リグニンが25%程度含まれている。これらのうち、セルロースに次ぐ主要成分であるヘミセルロース(キシラン)に関しては、キシリトールなどや、一部のキシロオリゴ糖が食品素材として利用されている以外は、工業的な利用がほとんどなされていない。
木材に含まれるヘミセルロースの主な成分としては、キシランおよびその誘導体からなる多糖が挙げられる。
キシロオリゴ糖は、木材成分のキシランから得ることが可能である。現在、日本では年間5000万トンもの大量の木質廃材が排出されているため、環境問題や廃棄物問題の解決に向けて、このような廃材の工業的な有効利用に大きな期待がかけられている。
本実施形態のオリゴ糖の製造方法は、上述の従来の課題を解決するためになされたものである。
本実施形態のオリゴ糖の製造方法を詳細に説明する。
本実施形態のオリゴ糖の製造方法は、例えば、反応容器内に収容したキシランに、キシランを加水分解するための加水分解剤の水溶液を供給し、キシランを加水分解する。
原料となるキシラン源は、特に限定されるものではないが、例えば、白樺、トウモロコシ、椰子ガラおよび樫などが挙げられる。
バイオマスから得られるキシラン源は、前処理が施されていていることが望ましく、前記前処理としては、アルコールなどの有機溶媒と酸触媒を併用した脱リグニン処理などが挙げられる。
キシランは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その組み合わせは任意に選択できる。
加水分解剤としては、上述の第一実施形態と同様に、塩化鉄(III)または硫酸鉄(III)が好適に用いられる。
加水分解剤の水溶液に含まれる加水分解剤の濃度は、適宜調節されるが、1〜100mMであることが好ましく、1〜50mMであることがより好ましく、1〜20mMであることが特に好ましい。
加水分解剤の濃度を下限値以上とすることにより、一層速やかにキシランを加水分解できる。一方、加水分解剤の濃度を上限値以下とすることにより、オリゴ糖の生成が一層容易となる。
キシランの加水分解は、加熱しながら行うことが好ましく、このようにすることで、一層速やかにキシランを加水分解できる。
加熱時の温度は、110℃以上であることが好ましく、120〜160℃であることがより好ましく、130〜140℃であることがさらに好ましい。
加熱時の温度を上限値以下とすることで、キシランの過分解を一層抑制できる。
加水分解の反応時間は、反応温度に応じて適宜調節されるものであり、特に限定されるものではない。
例えば、上記のように加熱する場合、反応時間は0.2〜10時間であることが好ましく、2〜4時間であることがより好ましい。
加水分解剤の水溶液の量は、水溶液の濃度、キシランの量、オリゴ糖の製造装置の形態に応じて、適宜調節される。
キシランの加水分解を終了した後、その加水分解物からオリゴ糖を回収する。
加水分解物は、目的物であるキシロオリゴ糖以外にその他の分解物や、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)などを含んでいる。そこで、加水分解物は、抽出、濃縮、活性炭処理、脱塩処理、ゲル濾過、カラムクロマトグラフィーなどの公知の精製操作を一種以上行い、さらに、濃縮や凍結乾燥などを行うことにより、キシロオリゴ糖を取り出すことが好ましい。
得られたキシロオリゴ糖は、例えば、上述の第一実施形態と同様の方法で同定できる。
また、上記実施形態において、オリゴ糖の加水分解反応は、回分式または流通式のいずれで行ってもよい。流通式で加水分解反応を行う場合は、所定の反応温度で所望のオリゴ糖が得られるよう、適宜加水分解剤の流量を調整すればよい。
また、上記実施形態において、流通式で加水分解反応を行う場合、キシランを、加水分解反応の途中で新たに追加してもよい。このようにすることで、加水分解反応を停止させることなく、長時間連続して行い、オリゴ糖の製造を継続して行うことができ、オリゴ糖の製造効率を大幅に向上させることができる。キシランを追加する具体的な方法としては、例えば、従来のショーラー法における、パーコレーター型反応器を使用する方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態によれば、キシランを十分にキシロオリゴ糖にまで加水分解できるので、キシロオリゴ糖の生成量が向上するとともに、キシランの過分解が抑制され、高収率でキシロオリゴ糖が得られる。また、キシロオリゴ糖の分子量制御が容易となり、再現性よく所望のキシロオリゴ糖を製造することができる。
また、キシランを高い効率で加水分解する加水分解剤として、塩化鉄(III)または硫酸鉄(III)を用いることによって、一層高収率でキシロオリゴ糖が得られる。そして、反応時間、反応温度、加水分解剤の水溶液の量などを調節することにより、キシロオリゴ糖の収率を一層向上させることができる。
本発明に使用する原料はすべて安全面および入手性に優れており、反応条件が穏やかで、特殊な製造条件が不要であるなど、工程が簡便で低コストでキシロオリゴ糖を製造できる。
このように本実施形態は、汎用性が高く、工業レベルでの実用化が容易である。
(3)第三実施形態
本実施形態のオリゴ糖の製造方法は、中性多糖類のグルコマンナンを加水分解してオリゴ糖を製造するオリゴ糖の製造方法であって、グルコマンナンに加水分解剤の水溶液を供給する工程と、グルコマンナンを加水分解する工程と、グルコマンナンの加水分解物からオリゴ糖を回収する工程と、を有する方法である。
マンナンは、マンノースを主な構成成分とする多糖類の総称である。マンナンは、広義には、マンノース以外の単糖を含むガラクトマンナンまたはグルコマンナンをも含む。
グルコマンナンは、植物分類上、サトイモ科に属するAmorphophallus Konjac, K Kochの塊茎(芋)に含まれるグルコマンナン(貯蔵性多糖類)から分離して得られる多糖類である。そして、グルコマンナンは、D−グルコース(G)とD−マンノース(M)がほぼ1:1.6の割合で、β−1,4結合した複合多糖類である。一般に、グルコマンナンの分子量は、約100万以上(重合度:約6200)で、分子の長さはRG=1300Å程度である。グルコマンナンは、下記の化学式(5)で表される。
Figure 2013063051
このグルコマンナンを加水分解して、低分子量化することにより、マンナンオリゴ糖を生成することができる。グルコマンナンの、どの結合が加水分解されるかによって、得られるマンナンオリゴ糖は異なるが、マンナンオリゴ糖の一例は、下記の化学式(6)で表される。
Figure 2013063051
従来、マンナンオリゴ糖を製造する代表的な方法として、酸加水分解法または酵素加水分解法が用いられている。これらの方法は、グルコマンナンなどを出発原料として、酸加水分解法または酵素加水分解法により、部分加水分解(低分子化)を行うものである。
酸加水分解法としては、例えば、原料であるコーヒー抽出残渣材料を、温度160〜260℃の温度にて、pH0.5〜4で加熱して、中和することにより、重合度1〜10のマンナンオリゴ糖を製造する方法が挙げられる。
しかしながら、この方法では、グルコマンナンの加水分解が激しく行われるため、反応系の設備が複雑になるばかりでなく、設備内では酸による腐食も起きやすく、酸回収にも余分なコストが発生する。
また、多糖類の側鎖が主鎖よりも早く分解されてしまうため、主鎖の分解度を調整するためには、酵素加水分解法が好適に用いられている。この酵素加水分解法に用いられる酵素としては、グルコマンナンを加水分解する機能を有する市販の酵素が挙げられる。酵素加水分解法は、温和な条件で加水分解を行うことができ、環境汚染も少ないが、コストがかかるため、工業化には不向きである。
そこで、後処理を必要としない方法としては、炭酸ガスを添加する方法や、熱水処理する方法が挙げられる。前記熱水処理の方法としては、例えば、コーヒー抽出残渣材料を160〜260℃で熱水処理する方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、得られるマンナンオリゴ糖の収率が14%と低い。
本実施形態のオリゴ糖の製造方法は、上述の従来の課題を解決するためになされたものである。
本実施形態のオリゴ糖の製造方法を詳細に説明する。
本実施形態のオリゴ糖の製造方法は、例えば、反応容器内に収容したグルコマンナンに、グルコマンナンを加水分解するための加水分解剤の水溶液を供給し、グルコマンナンを加水分解する。
原料となるグルコマンナン源は、特に限定されるものではないが、例えば、こんにゃく由来のコンニャクマンナン、コーヒー飲料製造後のコーヒー滓などが挙げられる。
グルコマンナン源は、適宜、前処理が施されていてもよい。グルコマンナンの前処理としては、いわゆる飛び粉と呼ばれる外皮の除去や、えぐみ成分であるシュウ酸カルシウムの除去などが挙げられる。
グルコマンナン源は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その組み合わせは任意に選択できる。
加水分解剤としては、上述の第一実施形態と同様に、塩化鉄(III)または硫酸鉄(III)が好適に用いられる。
加水分解剤の水溶液に含まれる加水分解剤の濃度は、適宜調節されるが、1〜100mMであることが好ましく、1〜50mMであることがより好ましく、1〜20mMであることが特に好ましい。
加水分解剤の濃度を下限値以上とすることにより、一層速やかにグルコマンナンを加水分解できる。一方、加水分解剤の濃度を上限値以下とすることにより、オリゴ糖の生成が一層容易となる。
グルコマンナンの加水分解は、加熱しながら行うことが好ましく、このようにすることで、一層速やかにグルコマンナンを加水分解できる。
加熱時の温度は、120℃以上であることが好ましく、130〜160℃であることがより好ましく、130〜140℃であることがさらに好ましい。
加熱時の温度を上限値以下とすることで、グルコマンナンの過分解を一層抑制できる。
加水分解の反応時間は、反応温度に応じて適宜調節されるものであり、特に限定されるものではない。
例えば、上記のように加熱する場合、反応時間は0.2〜10時間であることが好ましく、10分〜2時間であることがより好ましい。
加水分解剤の水溶液の量は、水溶液の濃度、グルコマンナンの量、オリゴ糖の製造装置の形態に応じて、適宜調節される。
グルコマンナンの加水分解を終了した後、その加水分解物からオリゴ糖を回収する。
加水分解物は、目的物であるマンナンオリゴ糖以外にその他の分解物や、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)などを含んでいる。そこで、加水分解物は、抽出、濃縮、活性炭処理、脱塩処理、ゲル濾過、カラムクロマトグラフィーなどの公知の精製操作を一種以上行い、さらに、濃縮や凍結乾燥などを行うことにより、マンナンオリゴ糖を取り出すことが好ましい。
得られたマンナンオリゴ糖は、例えば、上述の第一実施形態と同様の方法で同定できる。
また、上記実施形態において、オリゴ糖の加水分解反応は、回分式または流通式のいずれで行ってもよい。流通式で加水分解反応を行う場合は、所定の反応温度で所望のオリゴ糖が得られるよう、適宜加水分解剤の流量を調整すればよい。
また、上記実施形態において、流通式で加水分解反応を行う場合、グルコマンナンを、加水分解反応の途中で新たに追加してもよい。このようにすることで、加水分解反応を停止させることなく、長時間連続して行い、オリゴ糖の製造を継続して行うことができ、オリゴ糖の製造効率を大幅に向上させることができる。グルコマンナンを追加する具体的な方法としては、例えば、従来のショーラー法における、パーコレーター型反応器を使用する方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態によれば、グルコマンナンを十分にマンナンオリゴ糖にまで加水分解できるので、マンナンオリゴ糖の生成量が向上するとともに、グルコマンナンの過分解が抑制され、高収率でマンナンオリゴ糖が得られる。また、マンナンオリゴ糖の分子量制御が容易となり、再現性よく所望のマンナンオリゴ糖を製造することができる。
また、グルコマンナンを高い効率で加水分解する加水分解剤として、塩化鉄(III)または硫酸鉄(III)を用いることによって、一層高収率でマンナンオリゴ糖が得られる。そして、反応時間、反応温度、加水分解剤の水溶液の量などを調節することにより、マンナンオリゴ糖の収率を一層向上させることができる。
本発明に使用する原料はすべて安全面および入手性に優れており、反応条件が穏やかで、特殊な製造条件が不要であるなど、工程が簡便で低コストでマンナンオリゴ糖を製造できる。
このように本実施形態は、汎用性が高く、工業レベルでの実用化が容易である。
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
なお、以下に示す「オリゴ糖収率(%)」は、全て単離収率である。
[実験例1]
10gのアガロース(関東化学社製、粉末寒天)を、ハイパーグラスター(耐圧ガラス工業社製、TEM−V−1000N型)の容量が1Lの反応容器に入れ、次いで、濃度が1.0mMの塩化鉄(III)水溶液700mLを前記反応容器に加えて密閉した。
次いで、ハイパーグラスターの設定内部温度(反応温度)を100℃とし、当該温度まで昇温安定化してから1時間(反応時間)、アガロースの加水分解反応を行った。
反応後、加水分解物を遠心分離により可溶分と不溶分に分け、可溶分についてはイオン交換樹脂を用いて脱塩処理を行った。
このとき、加水分解物の可溶分については、電気伝導度が5.00[μs/cm]〜3.00[μs/cm]に下がるまで脱塩処理を行い、脱塩後は、糖の全量が溶出するまで洗浄を行った。
可溶分を一定程度まで濃縮した後、凍結乾燥して、可溶分(アガロオリゴ糖)を4.9g(収率49%)得た。
得られたアガロオリゴ糖は、HPLC分析により同定した。分析条件は以下の通りである。また、得られた分析結果(HPLCチャート)を図1に示す。
(HPLC分析条件)
カラム:Shodex SB−G + SB−802HQ + SB−802.5HQ
流速:0.70mL/分
温度:70℃
移動相:0.1M NaNO水溶液
[実験例2]
反応温度を110℃に設定したこと以外は実験例1と同様にして、アガロースの加水分解、並びに、アガロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、アガロオリゴ糖を6.7g(収率67%)得た。
また、得られたアガロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図1および図2に示す。
[実験例3]
反応温度を120℃に設定したこと以外は実験例1と同様にして、アガロースの加水分解、並びに、アガロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、アガロオリゴ糖を6.9g(収率69%)得た。
また、得られたアガロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図1に示す。
[実験例4]
反応温度を130℃に設定したこと以外は実験例1と同様にして、アガロースの加水分解、並びに、アガロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、アガロオリゴ糖を7.5g(収率75%)得た。
また、得られたアガロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図1に示す。
[実験例5]
反応温度を110℃、反応時間を2時間に設定したこと以外は実験例1と同様にして、アガロースの加水分解、並びに、アガロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、アガロオリゴ糖を7.3g(収率73%)得た。
また、得られたアガロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図2に示す。
[実験例6]
反応温度を110℃、反応時間を3時間に設定したこと以外は実験例1と同様にして、アガロースの加水分解、並びに、アガロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、アガロオリゴ糖を6.8g(収率68%)得た。
また、得られたアガロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図2に示す。
図1より、反応温度を100〜110℃、反応時間を1時間とした場合(実験例1、2)、オリゴ糖のピークが僅かに確認された。一方、反応温度を120〜130℃、反応時間を1時間とした場合(実験例3、4)、加水分解が進行し、オリゴ糖のピークが明確に確認された。また、図2より、反応温度が110℃の場合でも、反応時間を2〜3時間とすることにより(実験例5、6)、加水分解が進行し、オリゴ糖のピークが明確に確認された。
以上の結果から、反応温度を120〜130℃に設定し、反応時間を1時間とすることによって、所望の高純度なアガロオリゴ糖が得られることが確認できた。また、反応温度を110℃に設定した場合は、反応時間を2〜3時間に設定することによって、所望の高純度なアガロオリゴ糖が得られることが確認できた。
[実験例7]
5.0gのキシラン(シグマ社製、ブナ由来)を、ハイパーグラスター(耐圧ガラス工業社製、TEM−V−1000N型)の容量が1Lの反応容器に入れ、次いで、濃度が1.0mMの硫酸鉄(III)水溶液300mLを前記反応容器に加えて密閉した。
次いで、ハイパーグラスターの設定内部温度(反応温度)を140℃とし、当該温度まで昇温安定化してから2時間(反応時間)、キシランの加水分解反応を行った。
反応後、加水分解物を遠心分離により可溶分と不溶分に分け、可溶分についてはイオン交換樹脂を用いて脱塩処理を行った。
このとき、加水分解物の可溶分については、電気伝導度が5.00[μs/cm]〜3.00[μs/cm]に下がるまで脱塩処理を行い、脱塩後は、糖の全量が溶出するまで洗浄を行った。
可溶分を一定程度まで濃縮した後、凍結乾燥して、可溶分(キシロオリゴ糖)を3.1g(収率62%)得た。
得られたキシロオリゴ糖は、HPLC分析により同定した。分析条件を、実験例1と同様とした。また、得られた分析結果(HPLCチャート)を図3に示す。
[実験例8]
加水分解剤の水溶液として、濃度が1.0mMの塩化鉄(III)水溶液を用いたこと以外は実験例7と同様にして、キシランの加水分解、並びに、キシロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、キシロオリゴ糖を3.4g(収率68%)得た。
また、得られたキシロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図3に示す。
[実験例9]
反応温度を160℃に設定したこと以外は実験例7と同様にして、キシランの加水分解、並びに、キシロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、キシロオリゴ糖を2.95g(収率59%)得た。
また、得られたキシロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図3に示す。
[実験例10]
加水分解剤の水溶液として、濃度が1.0mMの塩化鉄(III)水溶液を用い、反応温度を160℃に設定したこと以外は実験例7と同様にして、キシランの加水分解、並びに、キシロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、キシロオリゴ糖を3.15g(収率63%)得た。
また、得られたキシロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図3に示す。
[実験例11]
反応時間を3時間に設定したこと以外は実験例7と同様にして、キシランの加水分解、並びに、キシロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、キシロオリゴ糖を3.4g(収率68%)得た。
また、得られたキシロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図4に示す。
[実験例12]
加水分解剤の水溶液として、濃度が1.0mMの塩化鉄(III)水溶液を用い、反応時間を3時間に設定したこと以外は実験例7と同様にして、キシランの加水分解、並びに、キシロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、キシロオリゴ糖を3.6g(収率72%)得た。
また、得られたキシロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図4に示す。
[実験例13]
反応温度を160℃、反応時間を3時間に設定したこと以外は実験例7と同様にして、キシランの加水分解、並びに、キシロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、キシロオリゴ糖を3.2g(収率64%)得た。
また、得られたキシロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図4に示す。
[実験例14]
反応時間を4時間に設定したこと以外は実験例7と同様にして、キシランの加水分解、並びに、キシロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、キシロオリゴ糖を3.3g(収率66%)得た。
また、得られたキシロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図5に示す。
[実験例15]
加水分解剤の水溶液として、濃度が1.0mMの塩化鉄(III)水溶液を用い、反応時間を4時間に設定したこと以外は実験例7と同様にして、キシランの加水分解、並びに、キシロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、キシロオリゴ糖を3.65g(収率73%)得た。
また、得られたキシロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図5に示す。
[実験例16]
反応温度を160℃、反応時間を4時間に設定したこと以外は実験例7と同様にして、キシランの加水分解、並びに、キシロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、キシロオリゴ糖を2.75g(収率55%)得た。
また、得られたキシロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図5に示す。
[実験例17]
加水分解剤の水溶液として、濃度が1.0mMの塩化鉄(III)水溶液を用い、反応温度を160℃、反応時間を4時間に設定したこと以外は実験例7と同様にして、キシランの加水分解、並びに、キシロオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、キシロオリゴ糖を2.9g(収率58%)得た。
また、得られたキシロオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図5に示す。
図3〜5より、加水分解剤として硫酸鉄(III)を使用し、反応温度を140℃、反応時間を2〜4時間とした場合(実験例7、11、14)、および、加水分解剤として塩化鉄(III)を使用し、反応温度を140℃、反応時間を2〜4時間とした場合(実験例8、12、15)、および、加水分解剤として硫酸鉄(III)を使用し、反応温度を160℃、反応時間を2時間とした場合(実験例9)、加水分解が進行し、オリゴ糖のピークが明確に確認された。
一方、加水分解剤として硫酸鉄(III)を使用し、反応温度を160℃、反応時間を3〜4時間とした場合(実験例13、16)、および、加水分解剤として塩化鉄(III)を使用し、反応温度を160℃、反応時間を2〜4時間とした場合(実験例10、17)、加水分解がより進行し、オリゴ糖のピークが少し確認されたものの、大部分が単糖にまで加水分解されていた。
また、同じ反応温度、反応時間では、加水分解剤として硫酸鉄(III)に比べ、塩化鉄(III)を用いた方がより加水分解反応が進行していた。
以上の結果から、反応温度を140℃に設定し、反応時間を2〜4時間とすることによって、所望の高純度なキシロオリゴ糖が得られることが確認できた。
また、反応温度を160℃に設定し、加水分解剤として硫酸鉄(III)を用いて反応時間を2時間とすることによっても、所望の高純度なキシロオリゴ糖が得られることが確認できた。
また、塩化鉄(III)水溶液を用いた場合、硫酸鉄(III)水溶液を用いた場合よりも短い反応時間で、所望の高純度なキシロオリゴ糖が得られることが確認できた。
[実験例18]
5.0gのグルコマンナン(清水化学社製、プロポールA)を、ハイパーグラスター(耐圧ガラス工業社製、TEM−U−1000N型)の容量が1Lの反応容器に入れ、次いで、濃度が1.0mMの塩化鉄(III)水溶液300mLを前記反応容器に加えて密閉した。
次いで、ハイパーグラスターの設定内部温度(反応温度)を130℃とし、当該温度まで昇温安定化してから1時間(反応時間)、グルコマンナンの加水分解反応を行った。
反応後、加水分解物を遠心分離により可溶分と不溶分に分け、可溶分についてはイオン交換樹脂を用いて脱塩処理を行った。
このとき、加水分解物の可溶分については、電気伝導度が5.00[μs/cm]〜3.00[μs/cm]に下がるまで脱塩処理を行い、脱塩後は、糖の全量が溶出するまで洗浄を行った。
可溶分を一定程度まで濃縮した後、凍結乾燥して、可溶分(マンナンオリゴ糖)を1.1g(収率73%)得た。
得られたマンナンオリゴ糖は、HPLC分析により同定した。分析条件を、実験例1と同様とした。また、得られた分析結果(HPLCチャート)を図6に示す。
[実験例19]
反応時間を1.5時間としたこと以外は実験例18と同様にして、グルコマンナンの加水分解、並びに、マンナンオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、マンナンオリゴ糖を1.03g(収率69%)得た。
また、得られたマンナンオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図6および図7に示す。
[実験例20]
反応温度を140℃に設定したこと以外は実験例18と同様にして、グルコマンナンの加水分解、並びに、マンナンオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、マンナンオリゴ糖を0.92g(収率62%)得た。
得られたマンナンオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図6および図7に示す。
[実験例21]
反応温度を140℃、反応時間を2時間に設定したこと以外は実験例18と同様にして、グルコマンナンの加水分解、並びに、マンナンオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、マンナンオリゴ糖を0.88g(収率58%)得た。
また、得られたマンナンオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図6および図8に示す。
[実験例22]
反応温度を140℃、反応時間を10分に設定したこと以外は実験例18と同様にして、グルコマンナンの加水分解、並びに、マンナンオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、マンナンオリゴ糖を1.1g(収率75%)得た。
また、得られたマンナンオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図7に示す。
[実験例23]
反応温度を140℃、反応時間を30分に設定したこと以外は実験例18と同様にして、グルコマンナンの加水分解、並びに、マンナンオリゴ糖の分離および精製を行った。
その結果、マンナンオリゴ糖を1.1g(収率74%)得た。
また、得られたマンナンオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図7に示す。
[実験例24]
反応温度を120℃、反応時間を2時間に設定したこと以外は実験例18と同様にして、グルコマンナンの加水分解、並びに、マンナンオリゴ糖の分離および精製を行った。
得られたマンナンオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図7に示す。
[実験例25]
反応温度を130℃、反応時間を2時間に設定したこと以外は実験例18と同様にして、グルコマンナンの加水分解、並びに、マンナンオリゴ糖の分離および精製を行った。
得られたマンナンオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図8に示す。
[実験例26]
反応温度を160℃、反応時間を2時間に設定したこと以外は実験例18と同様にして、グルコマンナンの加水分解、並びに、マンナンオリゴ糖の分離および精製を行った。
得られたマンナンオリゴ糖の分析結果(HPLCチャート)を図8に示す。
図6より、反応温度を130℃、反応時間を1〜1.5時間とした場合(実験例18、19)、反応温度を140℃、反応時間を1〜2時間とした場合(実験例20、21)、加水分解反応が進行し、オリゴ糖のピークが明確に確認された。
図7より、反応温度を140℃、反応時間を10分とした場合(実験例22)、オリゴ糖のピークが僅かに確認された。一方、反応温度を140℃、反応時間を30分とした場合(実験例23)、加水分解反応が進行し、オリゴ糖のピークが明確に確認された。
図8より、反応温度を120℃、反応時間を2時間とした場合(実験例24)、オリゴ糖のピークが僅かに確認された。一方、反応温度を130℃、反応時間を2時間とした場合(実験例25)、加水分解反応が進行し、オリゴ糖のピークが明確に確認された。また、反応温度を160℃、反応時間を2時間とした場合(実験例26)、加水分解がより進行し、オリゴ糖のピークが少し確認されたものの、大部分が単糖にまで加水分解されていた。
以上の結果から、反応温度を140℃に設定し、反応時間を30分〜2時間に設定することによって、所望の高純度なマンナンオリゴ糖が得られることが確認できた。また、反応温度を130℃に設定し、反応時間を1〜2時間に設定することによっても、所望の高純度なマンナンオリゴ糖が得られることが確認できた。

Claims (3)

  1. アガロース、キシランおよびグルコマンナンから選ばれる少なくとも一種の中性多糖類を加水分解してオリゴ糖を製造するオリゴ糖の製造方法であって、
    中性多糖類に加水分解剤の水溶液を供給する工程と、前記中性多糖類を加水分解する工程と、前記中性多糖類の加水分解物からオリゴ糖を回収する工程と、を有することを特徴とするオリゴ糖の製造方法。
  2. 前記加水分解剤は、塩化鉄(III)または硫酸鉄(III)であることを特徴とする請求項1に記載のオリゴ糖の製造方法。
  3. 前記中性多糖類を加水分解する工程において、90〜160℃で加熱しながら前記中性多糖類を加水分解することを特徴とする請求項1または2に記載のオリゴ糖の製造方法。
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