JP2013059589A - 患部固定装置および医療用固定装置 - Google Patents

患部固定装置および医療用固定装置 Download PDF

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孝憲 松木
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Abstract

【課題】患者の負担を軽減しつつ、患部を動かないように固定したり、患部と医療機器とを互いに固定したりする。
【解決手段】患部固定装置としてのスタビライザー1は、粉体Pを内部に流動可能に収容すると共に、当該内部から外部への粉体Pの排出を規制する気体流通口20aを有し、患部としての心臓の一部を固定するに際して当該心臓の表面に接触させられる袋体2を備えており、固定対象である心臓への負担を軽減させつつ拍動を局所的に良好に制限する。
【選択図】図3

Description

本発明は、患部を固定するための患部固定装置、および患部と医療機器とを互いに固定する医療用固定装置に関する。
従来、冠動脈のバイパス手術に際して用いられる医療機器として、拍動状態にある心臓に吸着させられて当該心臓の拍動を局所的に制限するサクションホルダー(スタビライザー)が知られている(例えば、特許文献1参照)。このスタビライザーは、略馬蹄形状を呈すると共に心臓壁面に適合する曲面状に形成された接触面を有する吸引ホルダーヘッド部と、吸引ホルダーヘッド部の接触面に刻設されると共に吸引手段に接続される吸引用溝と、吸引ホルダーヘッド部から延設された支持部と、吸引ホルダーヘッド部の接触面の全外周縁に膨出するように固定された柔軟性を有する薄膜とを備える。そして、このサクションホルダーにおいて、吸引ホルダーヘッド部は、接触面を心臓のサイズや形状に合致させるべく、変形温度が略50℃に設定された形状記憶プラスチックにより形成され、患部の負担をできるだけ軽減しつつ吸引用溝内の空気を吸引して吸引ホルダーヘッド部を心臓に吸着させるべく、薄膜の厚みは0.01mm〜5mmとされ、膨出巾が150mm以内とされる。
また、従来、穿刺針を体内へと案内する穿刺支援装置として、人体に固定されるベース部(Clamp)と、複数の流体圧シリンダを介してベース部に連結された板状のステージ(MARS Robot)と、流体圧シリンダ等の側方に位置するように略L字状の連結部材(Drill guide)を介してステージに固定(片持ち支持)されると共に穿刺針を軸方向に摺動自在に保持する管状の穿刺針ガイド(Guiding tube)とを備えるものが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この穿刺支援装置は、脊椎内に穿刺針を穿刺するのに用いられるものであり、穿刺針を脊椎に穿刺するに際しては、まず、穿刺支援装置のベース部を患者の脊椎横突起にボルトを介して固定する。次いで、X線撮影装置等により体内における目標点を取得した上で、各流体圧シリンダのストロークを調整することによりステージに固定された穿刺針ガイドを目標点に対して位置決めする。そして、穿刺針ガイドに穿刺針を挿入し、穿刺針を体内へと挿入する。
なお、遠隔制御されるロボットにより物体を操作するシステムとして、マニピュレータアームの先端に設けられた高摩擦材料からなるハウジングと、当該ハウジング内に収容されたジャミング材料とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献2および3参照)。このシステムは、ハウジングを物体に押圧すると共にジャミング転移現象を利用してハウジングにより上記物体を把持し、マニピュレータアームを移動させることにより物体を操作する。マニピュレータアームが移動する際、物体は、ハウジングの表面との間で作用する摩擦力により当該ハウジングにより保持される。
特開2004−121766号公報 米国特許出願公開第2010/0054903号明細書 米国特許出願公開第2010/0217436号明細書
IEEE TRANSACTIONS ON ROBOTICS AND AUTOMATION, VOL. 19, NO. 5, OCTOBER 2003 "Bone-Mounted Miniature Robot for Surgical Procedures: Concept and Clinical Applications" Moshe Shoham, Member, IEEE, Michael Burman, Eli Zehavi, Leo Joskowicz, Senior Member, IEEE, Eduard Batkilin, and Yigal Kunicher インターネット<http://www.mazorrobotics.com/Sites/mazor/content/File/IEEE#3%20-%20Bone%20Mounted.pdf>
しかしながら、上記特許文献1に記載のサクションホルダーを用いて心臓の拍動を局所的に制限するに際して、異なるサイズや形状をもった心臓の表面に対して吸着ホルダーを常に密接させることは困難である。従って、吸着ホルダーにより拍動をより確実に制限するためには、吸引用溝内の真空度をより高める必要が生じ、それにより固定対象である心臓への負担を増加させてしまうおそれがある。その一方で、固定対象である心臓への負担を軽減させるために吸引用溝内の真空度を低下させれば、心臓の拍動を良好に制限し得なくなり円滑な手術が妨げられてしまうおそれがある。また、上記非特許文献1に記載の穿刺支援装置は、ベース部を患者の脊椎横突起にボルトを介して固定するという点で、患者に多大な負担を要求するものである。そして、穿刺作業中の脊椎横突起の骨折を回避するためには、ベース部により片持ち支持される穿刺針ガイドから支点(および作用点)となるベース部に対して無理な力が加えられないように慎重な穿刺作業が要求され、医療行為者の作業負担が大きくなってしまうおそれもある。このように、患部の固定や、患部と医療機器との固定に関しては、患者や医療行為者の負担軽減の観点からなお改善の余地がある。
そこで、本発明は、患者の負担を軽減しつつ患部を固定可能とする患部固定装置、および患者の負担を軽減しつつ患部と医療機器とを互いに固定可能とする医療用固定装置の提供を主目的とする。
本発明による患部固定装置および医療用固定装置は、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
本発明による患部固定装置は、
患部を固定するための患部固定装置であって、粉体を内部に流動可能に収容すると共に、該内部から外部への前記粉体の排出を規制する気体流通口を有し、前記患部の表面に接触させられる袋体を備えることを特徴とする。
この患部固定装置は、粉体を内部に流動可能に収容すると共に、当該内部から外部への粉体の排出を規制する気体流通口を有する袋体を備える。そして、この患部固定装置を用いて患部を固定するに際しては、袋体と患部の表面とを互いに接触させる。この際、粉体は袋体の内部に流動可能に収容されており、当該内部における粉体の密度は低いことから、袋体と患部の表面とを互いに押し当てれば、異なるサイズや形状の患部の表面に対して袋体を良好に密接させることができる。そして、袋体を患部の表面に密接させた後、気体流通口を介して袋体の内部から気体を吸引する。これにより、袋体の内部における粉体の密度が高まることで、当該粉体は袋体が患部の表面と密接した状態でジャミング転移現象により流動性を失い、患部の表面に沿った状態で固化して実質的に一体の固体として振る舞う。すなわち、この患部固定装置では、粉体を収容した袋体を患部の表面に沿うように変形させると共に変形した状態で保持するのにジャミング転移現象が利用される。従って、この患部固定装置によれば、患部に対して局所的に大きな力を加えることなく当該患部を強固に固定することが可能となる。この結果、患部の固定に伴う患者の負担を軽減すると共に、強固に固定された患部に対する治療や検査等を可能にして医療行為者の作業負担を軽減することができる。
また、前記患部固定装置は、前記袋体の前記内部に前記粉体を充填する粉体充填機構を更に備えてもよい。これにより、袋体と患部の表面とを互いに接触させた後、袋体の内部から気体を吸引するに先立って、袋体の内部に更に粉体を充填することが可能となるので、比較的柔らかく、かつ複雑あるいは細かに起伏した患部の表面に対して袋体をより良好に密接させることができる。
更に、前記袋体は、前記患部の表面との当接面側で開口すると共に気体吸引口と連通する凹部を有してもよい。これにより、袋体と患部の表面とを互いに接触させた後、気体流通口を介して袋体の内部から気体を吸引すると共に気体吸引口を介して凹部内の気体を吸引することで、粉体を収容した袋体によって患部をより強固に固定することが可能となる。なお、気体流通口を介して袋体の内部から気体を吸引して粉体を固化させることにより粉体を収容した袋体が患部に吸着することから、凹部内の気体の吸引により発生させるべき吸着力はさほど大きくない。従って、凹部内の気体の吸引により発生する吸着力が患部に与える影響すなわち患者の負担は極めて少ない。
また、前記患部固定装置は、心臓の拍動を局所的に制限するスタビライザーとして構成されてもよい。これにより、固定対象である心臓への負担を軽減させつつ拍動を局所的に良好に制限することができるので、冠動脈のバイパス手術等を円滑に実施することが可能となる。
更に、前記袋体は、それぞれ前記気体流通口と連通すると共に間隔をおいて互いに対向する2つの押さえ部を有してもよく、前記押さえ部は、前記患部の表面との当接面側で開口すると共に気体吸引口と連通する凹部をそれぞれ有してもよく、前記押さえ部のそれぞれには、前記気体吸引口と連通すると共に気体通路を画成する通路画成部材が固定されてもよい。これにより、袋体に心臓の一部を押さえ付ける機能と心臓の表面に吸着する機能との双方をもたせることが可能となり、スタビライザー全体の構成を単純化することができる。
また、前記袋体は、前記患部を両側方および下方から保持可能に形成されてもよい。これにより、例えば手首や足首の表面に密接して当該手首等を強固に固定可能な患部固定装置を実現することが可能となる。
本発明による医療用固定装置は、
患部と医療機器とを互いに固定する医療用固定装置であって、粉体を内部に流動可能に収容すると共に、該内部から外部への前記粉体の排出を規制する気体流通口を有し、前記医療機器に固定されると共に前記患部の表面に接触させられる袋体を備えることを特徴とする。
この医療用固定装置は、粉体を内部に流動可能に収容すると共に、当該内部から外部への粉体の排出を規制する気体流通口を有する袋体を備える。そして、この医療用固定装置を用いて患部と医療機器とを互いに固定するに際しては、袋体を医療機器に固定した上で、袋体と患部の表面とを互いに接触させる。この際、粉体は袋体の内部に流動可能に収容されており、当該内部における粉体の密度は低いことから、袋体と患部の表面とを互いに押し当てれば、異なるサイズや形状の患部の表面に対して袋体を良好に密接させることができる。そして、袋体を患部の表面に密接させた後、気体流通口を介して袋体の内部から気体を吸引する。これにより、袋体の内部における粉体の密度が高まることで、当該粉体は袋体が患部の表面と密接した状態でジャミング転移現象により流動性を失い、患部の表面に沿った状態で固化して実質的に一体の固体として振る舞う。すなわち、この医療要固定装置では、粉体を収容した袋体を患部の表面に沿うように変形させると共に変形した状態で保持するのにジャミング転移現象が利用される。従って、この医療用固定装置によれば、患部に対して局所的に大きな力を加えることなく当該患部と医療機器とを互いに強固に固定することが可能となる。この結果、患部の固定に伴う患者の負担を軽減すると共に、医療機器に対して強固に固定された患部に対する治療や検査等を可能にして医療行為者の作業負担を軽減することができる。
また、前記医療用固定装置は、前記袋体の前記内部に前記粉体を充填する粉体充填機構を更に備えてもよい。これにより、袋体と患部の表面とを互いに接触させた後、袋体の内部から気体を吸引するに先立って、袋体の内部に更に粉体を充填することが可能となるので、比較的柔らかく、かつ複雑あるいは細かに起伏した患部の表面に対して袋体をより良好に密接させることができる。
更に、前記袋体は、患部の表面との当接面側で開口すると共に気体吸引口と連通する凹部を有してもよい。これにより、袋体と患部の表面とを互いに接触させた後、気体流通口を介して袋体の内部から気体を吸引すると共に気体吸引口を介して凹部内の気体を吸引することで、粉体を収容した袋体によって患部をより強固に固定することが可能となる。なお、気体流通口を介して袋体の内部から気体を吸引して粉体を固化させることにより粉体を収容した袋体が患部に吸着することから、凹部内の気体の吸引により発生させるべき吸着力はさほど大きくない。従って、凹部内の気体の吸引により発生する吸着力が患部に与える影響すなわち患者の負担は極めて少ない。
また、前記医療機器は、前記患部の骨折の治療に用いられる骨折治療装置であってもよく、この場合、前記袋体は、前記患部を両側方および下方から保持可能に形成されてもよい。更に、前記医療機器は、穿刺針を体内へと案内する穿刺支援装置であってもよい。
本発明の第1実施例に係る患部固定装置としてのスタビライザー1を示す斜視図である。 スタビライザー1の要部を示す分解斜視図である。 スタビライザー1を示す部分断面図である。 (a)および(b)は、ジャミング転移現象を説明するための模式図である。 本発明の第2実施例に係る医療用固定装置50を示す斜視図である。 医療用固定装置50を示す断面図である。 医療用固定装置50の使用状態を示す平面図である。 医療用固定装置50の使用状態を示す側面図である。 医療用固定装置50の使用状態を示す斜視図である。 第3実施例に係る医療用固定装置200により患者に固定される医療機器としての穿刺支援装置101を示す斜視図である。 穿刺針150を保持するアダプタ130を示す部分断面図である。 第3実施例に係る医療用固定装置200を示す斜視図である。 医療用固定装置200を示す平面図である。 医療用固定装置200の要部を示す断面図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施例に係る患部固定装置としてのスタビライザー1を示す斜視図であり、図2は、スタビライザー1の要部を示す分解斜視図であり、図3は、スタビライザー1を示す部分断面図である。これらの図面に示すスタビライザー1は、冠動脈のバイパス手術に際して心臓の拍動を局所的に制限するのに用いられるものであり、中空の袋体2と、当該袋体2に固定される通路画成部材3と、袋体2を支持する袋体支持部材4と、当該袋体支持部材4に固定されると共に図示しない開創器に連結可能に構成されたアーム部5とを備える。
袋体2は、例えばアクリル樹脂やポリエチレン樹脂といった素材からなる可撓性(柔軟性)をもったシート材により概ね馬蹄形状(U字またはC字形状)かつ中空のエアバック(バルーン)として構成されており、その内部には、発泡ポリスチレン等からなる微小な粉体P(図3参照。例えば、外径0.1mm程度の球体)が流動可能に収容される。図1から図3に示すように、袋体2は、基部20と、当該基部20から延出された2つの押さえ部21とを有する。
基部20は、袋体支持部材4の一端(図中左端)に固定され、基部20の図中上部には、気体の流通を許容する接続口6aを有する接続ブロック6が固定される。また、基部20の図中上部には、接続ブロック6に形成された孔を介して接続口6aと連通するように気体流通口20aが形成されており、基部20または接続ブロック6には、粉体Pの通過を規制するフィルタ7が気体流通口20aを覆うように固定される。これにより、気体流通口20a(および接続口6a)を介して、袋体2の内部から外部への粉体Pの排出を規制しつつ、袋体2の内部と外部との間で気体(空気)を流通させることができる。
また、袋体の2つの押さえ部21は、本実施例において基部20から互いに平行をなすように延出され、間隔をおいて互いに対向する。また、各押さえ部21の内部は、基部20の内部を介してそれぞれ気体流通口20aと連通する。更に、各押さえ部21には、図中下面側で開口する凹部22が間隔をおいて複数形成されている。本実施例において、各凹部22は、図中上方から下方に向けて拡径された略円錐台状の凹部であり、押さえ部21の図中上部に形成された気体吸引口23と連通する。通路画成部材3は、本実施例において例えばビニルメチルシリコーンゴムといった弾性体の性質をもつ樹脂やシリコーンハイドロゲルといったゲル状樹脂により形成されており、複数の気体吸引口23を覆うように押さえ部21の図中上面に接合される。また、通路画成部材3は、気体の流通を許容する接続口3aを有しており、通路画成部材3の内部には、接続口3aと押さえ部21に形成された複数の気体吸引口23とを連通させる気体通路3bが形成されている。
袋体支持部材4は、末端(図中右端)が閉鎖された筒体からなり、その内部には、ピストン8が軸方向に摺動自在に配置される。ピストン8には、袋体支持部材4の外周に摺動自在に装着された操作部材8aが連結されており、当該操作部材8aを袋体支持部材4に対して摺動させることにより、ピストン8を袋体支持部材4の内部で進退移動させることができる。また、袋体支持部材4の内部には、袋体2の基部20とピストン8の先端との間に位置するように図示しない粉体貯留部が画成されており、当該粉体貯留部には、袋体支持部材4に形成された図示しない粉体供給口から粉体Pを供給することができる。そして、袋体支持部材4の粉体貯留部は、袋体2の基部20に形成された図示しない粉体導入口と連通可能とされており、操作部材8aを操作してピストン8を粉体導入口に向けて摺動させることにより、粉体貯留部内の粉体Pを袋体2の内部に供給(充填)することができる。なお、本実施例において、基部20の粉体導入口は、ピストン8により押圧される粉体Pの流れにより開放されると共に、粉体Pの流れが生じていないときには閉鎖されるように構成される。また、操作部材8aは、予め定められた図中左側における移動限界位置まで移動された段階で袋体支持部材4に対してロックされ、この際、基部20の粉体導入口は、ピストン8または図示しない他の部材により密封される。
次に、冠動脈のバイパス手術に際して、上述のスタビライザー1を用いて心臓の拍動を局所的に制限する手順について説明する。
スタビライザー1を患者の心臓に装着するに際しては、図3に示すように、接続ブロック6の接続口6aに開閉バルブV1を介して真空ポンプVP1を接続すると共に、通路画成部材3の接続口3aのそれぞれに開閉バルブV2を介して真空ポンプVP2を接続する。また、袋体2の内部には、出荷時または手術開始前に、各凹部22の2つの押さえ部21を心臓に密接させるのに充分な量の粉体Pが予め流動可能に収容されている。そして、患者の胸部を開胸して心臓を露出させた後、開創器に対してスタビライザー1のアーム部5を連結すると共に、通路画成部材3が上側に位置するようにしながら袋体2の2つの押さえ部21を患者の心臓の表面に接触させる。
この際、袋体2の内部には粉体Pが流動可能に収容されており、図4(a)に例示するように当該内部における粉体Pの密度は低いことから、袋体2を心臓の表面に押し当てれば、異なるサイズや形状の心臓の表面に対して2つの押さえ部21を良好に密接させることができる。また、本実施例のスタビライザー1は、袋体2の内部に粉体Pを充填する粉体充填機構としてのピストン8や操作部材8a等を備えていることから、2つの押さえ部21を心臓の表面とを互いに接触させた後、操作部材8aを操作して袋体2の内部に更に粉体Pを充填することができる。これにより、比較的柔らかく、かつ複雑あるいは細かに起伏した心臓の表面に対して2つの押さえ部21をより良好に密接させることができる。
こうして袋体2の押さえ部21を心臓の表面に密接させたならば、開閉バルブV1を開弁すると共に真空ポンプVP1を作動させて接続口6aや気体流通口20aを介して袋体2の内部から空気(気体)を吸引する。そして、例えば真空ポンプVP1により袋体2の内部から吸引された空気の量が所定量に達した段階で、真空ポンプVP1を停止させると共に開閉バルブV1を閉弁する。これにより、図4(b)に示すように、袋体2の内部における粉体Pの密度が高まることで、粉体Pは袋体2が心臓の表面と密接した状態でジャミング転移現象により流動性を失い、心臓の表面に沿った状態で固化して実質的に一体の固体として振る舞う。すなわち、スタビライザー1では、粉体Pを収容した袋体2を心臓の表面に沿うように変形させると共に変形した状態で保持するのにジャミング転移現象が利用される。従って、本実施例のスタビライザー1によれば、心臓に対して局所的に大きな力を加えることなく当該心臓の一部を強固に固定して拍動を局所的に抑制することが可能となり、心臓の一部固定に伴う患者の負担を軽減することができる。
また、本実施例のスタビライザー1の使用に際しては、開閉バルブV1を閉弁した後、開閉バルブV2を開弁すると共に真空ポンプVP2を作動させる。これにより、接続口3aや気体通路3b、気体吸引口23を介して、通路画成部材3とは反対側すなわち心臓の表面との当接面側で開口する各凹部22の内部から空気(気体)が吸引され、スタビライザー1は心臓に対して強固に吸着する。このように、押さえ部21(袋体2)と心臓の表面とを互いに接触させた後、気体流通口20aを介して袋体2の内部から空気を吸引すると共に気体吸引口23を介して各凹部22内の空気を吸引することで、内部で粉体Pが固化して高い剛性を保つに至った押さえ部21を心臓の表面に強固に固定することが可能となり、それにより心臓の一部をより強固に固定することが可能となる。
この結果、スタビライザー1を用いれば、極めて良好に心臓の拍動を局所的に制限することができることから、冠動脈のバイパス手術を極めて円滑に実施することが可能となり、それにより冠動脈のバイパス手術に際しての医療行為者の作業負担を軽減することができる。なお、気体流通口20aを介して袋体2の内部から空気を吸引して粉体Pを固化させることにより粉体Pを収容した押さえ部21(袋体2)が心臓に吸着することから、凹部22内の空気の吸引により発生させるべき吸着力はさほど大きくない。従って、凹部22内の空気の吸引により発生する吸着力が心臓に与える影響すなわち患者の負担は極めて少ない。
ここまで説明したように、患部固定装置としてのスタビライザー1は、粉体Pを内部に流動可能に収容すると共に、当該内部から外部への粉体Pの排出を規制する気体流通口20aを有し、患部としての心臓の一部を固定するに際して当該心臓の表面に接触させられる袋体2を備える。かかるスタビライザー1によれば、固定対象である心臓への負担を軽減させつつ拍動を局所的に良好に制限することができるので、冠動脈のバイパス手術等を円滑に実施することが可能となる。また、上述の袋体2は、それぞれ気体流通口20aと連通すると共に間隔をおいて互いに対向する2つの押さえ部21を有し、押さえ部21は、心臓の表面との当接面側で開口すると共に気体吸引口23と連通する凹部22をそれぞれ有し、押さえ部21のそれぞれには、気体吸引口23と連通すると共に気体通路3bを画成する通路画成部材3が固定される。これにより、袋体2に心臓の一部を押さえ付ける機能と心臓の表面に吸着する機能との双方をもたせることが可能となり、スタビライザー1全体の構成を単純化することができる。
なお、上述のスタビライザー1において、袋体2からの空気の吸引と、押さえ部21の各凹部22内の空気の吸引とに別個の真空ポンプを用いる代わりに、1体の真空ポンプを袋体2からの空気の吸引と各凹部22内の空気の吸引とに兼用できるように空気圧回路を構成してもよい。また、上述のスタビライザー1において、袋体2の凹部22を省略してもよく、ピストン8や操作部材8a等を含む粉体充填機構を省略してもよい。
図5は、本発明の第2実施例に係る医療用固定装置50を示す斜視図であり、図6は、医療用固定装置50の要部拡大断面図である。これらの図面に示す医療用固定装置50は、図7から図9に示すように、例えば手根骨の骨折を治療するための骨折治療装置90に対して患者の手首を固定するのに用いられるものであり、中空の袋体51と、袋体51を支持する袋体支持部材53と、袋体支持部材53に固定された前腕支持部材55とを備える。なお、図7から図9に示す骨折治療装置90は、例えば骨折した手根骨に対して生体コンクリートを注入するための穿刺針をガイドする穿刺針ガイド91と、当該穿刺針ガイド91を図7等におけるY軸周りに摺動自在に支持する円弧ガイド92と、穿刺針ガイド91を円弧ガイド92に沿ってY軸周りに摺動させる第1駆動装置と、円弧ガイド92を図7等におけるX軸周りに回動させる第2駆動装置と、円弧ガイド92を図7等におけるZ軸方向に進退移動させる第3駆動装置とを備えるものである。
袋体51は、例えばアクリル樹脂やポリエチレン樹脂といった素材からなる可撓性(柔軟性)をもったシート材により、患部としての手首周辺を保持可能の中空のエアバックとして構成されており、その内部には、発泡ポリスチレン等からなる微小な粉体P(図6参照。例えば、外径0.1mm程度の球体)が流動可能に収容される。袋体51は、袋体支持部材53に固定されると共に、図5および図7に示すように、前腕支持部材55側から骨折治療装置90に向けて一旦縮径されると共に、前腕支持部材55とは反対側の開放端に向けて再度拡径された患部収容空間52を画成する。これにより、袋体51によって患部としての手首を両側方および下方から保持することができる。また、袋体51の両方の側部には、図5および図6に示すように、間隔を置いて複数の気体流通口51aが形成されている。
袋体支持部材53は、袋体51の下部および両方の側部を支持するように形成されており、骨折治療装置90のベース部に着脱自在に固定される。また、袋体支持部材53の両方の側部内には、それぞれ袋体51の対応する気体流通口51aと連通する複数の気体通路53aが形成されており、各気体通路53aには、袋体支持部材53に固定された接続口53bが接続される。更に、袋体51または袋体支持部材53には、粉体Pの通過を規制するフィルタ54が各気体流通口20aを覆うように固定される。これにより、気体流通口51a(接続口53b)を介して、袋体51の内部から外部への粉体Pの排出を規制しつつ袋体51の内部と外部との間で気体(空気)を流通させることができる。
前腕支持部材55は、袋体支持部材53に固定され、患者の前腕を両側方および下方から保持する患部収容空間56を画成する。また、前腕支持部材55の内部には、図8に示すように、粉体充填部材57が図中X軸方向に延びる回動軸の周りに回動自在に配置される。粉体充填部材57の回動軸には、前腕支持部材55の側部に配置された操作部材58が連結されており、当該操作部材8aを図8における矢印方向に回転させることにより粉体充填部材57を前腕支持部材55の内部で回動させることができる。また、前腕支持部材55の内部には、粉体充填部材57と袋体51との間に位置するように図示しない粉体貯留部が画成されており、当該粉体貯留部には、前腕支持部材55に形成された図示しない粉体供給口から粉体Pを供給することができる。そして、前腕支持部材55の粉体貯留部は、袋体51に形成された図示しない粉体導入口と連通可能とされており、操作部材58を操作して粉体充填部材57を回動させることにより、粉体貯留部内の粉体Pを袋体51の内部に供給(充填)することができる。なお、本実施例において、袋体51の粉体導入口は、粉体充填部材57により押圧される粉体Pの流れにより開放されると共に、粉体Pの流れが生じていないときには閉鎖されるように構成される。また、操作部材58は、予め定められた位置(図8に示す位置)まで回転された段階で前腕支持部材55に対してロックされ、この際、袋体51の粉体導入口は、粉体充填部材57または図示しない他の部材により密封される。
次に、手根骨の骨折の治療に際して、上述の医療用固定装置50を用いて骨折治療装置90に対して患部としての手首を固定する手順について説明する。
医療用固定装置50により骨折治療装置90に対して手首を固定するに際しては、医療用固定装置50と骨折治療装置90とを互いに固定した上で、図8に示すように、袋体支持部材53の接続口53bのそれぞれに開閉バルブVを介して真空ポンプVPを接続する。また、袋体51の内部には、出荷時または手術開始前に、袋体51を患者の手首に密接させるのに充分な量の粉体Pが予め流動可能に収容されている。そして、図7に示すように、患者に、掌が上を向くようにしながら前腕を前腕支持部材55に載せさせると共に手首を袋体51に押し付けさせる。この際、袋体51の内部には、粉体Pが流動可能に収容されており、当該内部における粉体Pの密度は低いことから(図4(a)参照)、手首付近を袋体51に押し付ければ、異なるサイズや形状の手首に対して袋体51を良好に密接させることができる。また、本実施例の医療用固定装置50は、袋体51の内部に粉体Pを充填する粉体充填機構としての粉体充填部材57や操作部材58等を備えていることから、手首を袋体51に押し付けた後、操作部材58を操作して袋体51の内部に更に粉体Pを充填することができる。これにより、比較的柔らかく、かつ複雑あるいは細かに起伏した手首の表面に両側方および下方から袋体51をより良好に密接させることができる。
こうして手首の表面に袋体51を密接させたならば、各開閉バルブVを開弁すると共に真空ポンプVPを作動させて各接続口53bや各気体流通口51aを介して袋体51の内部から空気(気体)を吸引する。そして、例えば真空ポンプVPにより袋体2の内部から吸引された空気の量が所定量に達した段階で、真空ポンプVPを停止させると共に各開閉バルブVを閉弁する。これにより、袋体51の内部における粉体Pの密度が高まることで(図4(b)参照)、粉体Pは袋体51が手首の表面と密接した状態でジャミング転移現象により流動性を失い、手首の表面に沿った状態で固化して実質的に一体の固体として振る舞う。すなわち、医療用固定装置50では、粉体Pを収容した袋体51を手首の表面に沿うように変形させると共に変形した状態で保持するのにジャミング転移現象が利用される。従って、本実施例の医療用固定装置50によれば、手首に対して局所的に大きな力を加えることなく当該手首を強固に固定すると共に、骨折治療装置90に対して手首を強固に固定することが可能となる。この結果、患部としての手首を局所的に締め付けることにより痣を生じさせるといった事態を抑制して手首の固定に伴う患者の負担を軽減すると共に、医療機器としての骨折治療装置90に対して強固に固定された手首に対する治療を可能にして医療行為者の作業負担を軽減することができる。
ここまで説明したように、医療用固定装置50は、粉体Pを内部に流動可能に収容すると共に、当該内部から外部への粉体Pの排出を規制する気体流通口51aを有し、袋体支持部材53を介して骨折治療装置90に固定されると共に患部としての手首の表面に接触させられる袋体51を備える。かかる医療用固定装置50によれば、手首の固定に伴う患者の負担を軽減すると共に、医療機器としての骨折治療装置90に対して強固に固定された手首に対する治療を可能にして医療行為者の作業負担を軽減することができる。また、上述の袋体51は、患部としての手首を両側方および下方から保持可能に形成されているので、手首の表面に密接して当該手首を強固に固定することができる。なお、上述の医療用固定装置50の袋体51に対して、手首との当接面側で開口すると共に気体吸引口と連通する凹部を設けてもよい。また、上述の医療用固定装置50において、粉体充填部材57や操作部材58等を含む粉体充填機構を省略してもよい。更に、上述の医療用固定装置50は、患部としての足首と骨折治療装置等の医療機器との固定に適用されるように構成されてもよい。また、医療用固定装置50は、患部としての手首や足首等を動かないように強固に固定する患部固定装置としても用いられてもよい。
図10は、第3実施例に係る医療用固定装置200により患者(患部)に固定される医療機器としての穿刺支援装置101を示す斜視図である。同図に示す穿刺支援装置101は、穿刺針を脊椎に穿刺するに際して人体に固定されて当該穿刺針を体内へと案内するものであり、医療用固定装置200により患者に固定されるベースユニット102と、穿刺針を体内の目標点に対して位置決めするための姿勢調整機構110とを備える。ベースユニット102は、ベース部材103と、ベース部材103により図10におけるZ軸周りに回転自在に支持される回転ステージ104と、姿勢調整機構110を着脱自在に支持すると共にガイドレール107を介して回転ステージ104により摺動自在に支持される直動ステージ105と含む。また、穿刺支援装置101は、直動ステージ105を回転ステージ104に対して図1におけるX軸およびY軸の双方と45°をなす方向に移動させる直線移動機構108と、回転ステージ104をベース部材103に対してZ軸周りに回転させる回転機構106とを有する。
姿勢調整機構110は、両端部を通る中心軸(X軸)周りに回動可能な半円弧状の第1円弧ガイド111と、第1円弧ガイド111と直交するように配置されると共に両端部を通る中心軸(Y軸)周りに回動可能な半円弧状の第2円弧ガイド112と、第1および第2円弧ガイド111,112のそれぞれを回動自在に支持すると共にベースユニット102の直動ステージ105に着脱自在に嵌合される環状フレーム113と、穿刺針が挿通される穿刺針ガイド114とを含む。第1および第2円弧ガイド111,112、環状フレーム113および穿刺針ガイド114は、何れもX線透過性を有する素材により形成される。第1円弧ガイド111は、間隔をおいて互いに対向する一対の第1アーチ部111aを有すると共に、第2円弧ガイド112は、間隔をおいて互いに対向する一対の第2アーチ部112aを有する。そして、穿刺針ガイド114の針挿通部114aは、一対の第1アーチ部111aと一対の第2アーチ部112aとの交差部に挿入される。
更に、穿刺支援装置101は、第1円弧ガイド111を中心軸周りに回動させる第1駆動装置121と、第2円弧ガイド112を中心軸周りに回動させる第2駆動装置122とを備える。第1駆動装置121は、ベースユニット102の回転ステージ104に配置されると共に第1円弧ガイド111に着脱自在に連結され、第2駆動装置122は、ベースユニット102の回転ステージ104に配置されると共に第2円弧ガイド112に着脱自在に連結される。更に、穿刺支援装置101では、第1駆動装置121が傘歯車115および117からなる軸角45°のかさ歯車対を介して第1円弧ガイド111と連結され、第2駆動装置122が傘歯車116および118からなる軸角45°のかさ歯車対を介して第2円弧ガイド112と連結される。
そして、穿刺支援装置101は、穿刺針150を軸方向に摺動自在に保持すると共に所定条件下で穿刺針150をロック可能なアダプタ130と共に用いられる。アダプタ130は、図11に示すように、中空の筐体131と、筐体131の内部空間内に摺動自在に配置されるプランジャ132と、プランジャ132に固定されたストッパ133と、プランジャ132を付勢するスプリング134と、スプリング134の周囲に画成されると共に図示しない真空ポンプに接続される負圧室135と、テーパ孔を有すると共に筐体131の図中下側の内壁面に固定されたストッパ受容部材136とを有する。穿刺針150は、アダプタ130の筐体131の突出部131aを介して穿刺針ガイド114の針挿通部114aに挿通される。
図11に示すアダプタ130において、真空ポンプが停止されて負圧室135内が正圧(大気圧)に保たれているときには、スプリング134によりプランジャ132が筐体131の突出部131a側(図中下方)へと付勢され、ストッパ133のテーパ面がストッパ受容部材136のテーパ孔に押し付けられる。これにより、プランジャ132やストッパ133に対する穿刺針150の摺動が規制され、穿刺針150がロックされる。また、真空ポンプにより負圧室135内の空気が吸引されて負圧室135内の圧力が低下すると、負圧室135内とストッパ受容部材136が配置される空間内との圧力差により、スプリング134の付勢力に抗してプランジャ132が図中上方へと移動する。これにより、ストッパ133がテーパ孔から離間し、ストッパ133による穿刺針150のロックが解除される。
引き続き、図12から図14を参照しながら、第3実施例に係る医療用固定装置200について説明する。図12に示すように、医療用固定装置200は、円環状のベースプレート201と、当該ベースプレート201に固定される中空の袋体202とを備える。袋体202は、例えばアクリル樹脂やポリエチレン樹脂といった素材からなる可撓性(柔軟性)をもったシート材により円環状かつ中空のエアバックとして構成されており、その内部には、発泡ポリスチレン等からなる微小な粉体P(図14参照。例えば、外径0.1mm程度の球体)が流動可能に収容される。また、ベースプレート201に固定される袋体202の壁部には、図13に示すように、それぞれ袋体202の内部と連通する複数の気体流通口202aが形成されており、ベースプレート201には、各気体流通口202aを露出させるように複数の開口201aが形成されている。更に、袋体202には、ベースプレート201側とは反対側で開口する凹部203が間隔をおいて複数形成されている。本実施例において、各凹部203は、概ね円弧状に延在するように形成され、ベースプレート201に固定される袋体202の壁部に形成された気体吸引口202bと連通する。また、ベースプレート201には、各気体吸引口202bを露出させるように複数の開口201bが形成されている。
図14に示すように、医療用固定装置200のベースプレート201は、穿刺支援装置101のベースユニット102を構成するベース部材103に固定される。そして、ベース部材103には、それぞれ開口201aを介して袋体202の対応する気体流通口202aと連通する複数の気体通路103aが形成されており、各気体通路103aには、ベース部材103に固定されると共に気体の流通を許容する接続口103cが接続される。更に、ベースプレート201、袋体202およびベース部材103の少なくとも何れ一つには、粉体Pの通過を規制するフィルタ204が各気体流通口202aを覆うように固定される。これにより、気体流通口202a(および接続口103c、気体通路103a等)を介して、袋体202の内部から外部への粉体Pの排出を規制しつつ袋体202の内部と外部との間で気体(空気)を流通させることができる。また、ベース部材103には、それぞれ開口201bを介して対応する袋体202の気体吸引口202bと連通する複数の気体通路103bが形成されており、各気体通路103bには、ベース部材103に固定されると共に気体の流通を許容する接続口103dが接続される。
次に、医療用固定装置200により穿刺支援装置101を患部としての患者の背部に固定する手順について説明する。
穿刺支援装置101を患者に固定するに際しては、医療用固定装置200のベースプレート201を穿刺支援装置101のベースユニット102(ベース部材103)に固定すると共に、図14に示すように、1体の真空ポンプVPを各接続口103cに開閉バルブVcを介して、更に各接続口103dに開閉バルブVdを介して接続する。また、袋体202の内部には、出荷時または穿刺作業の開始前に、袋体202を患者の背部に密接させるのに充分な量の粉体Pが予め流動可能に収容されている。そして、例えば俯せに横たわる患者の背部表面に医療用固定装置200の袋体202を接触させる。この際、袋体202の内部には粉体Pが流動可能に収容されており、当該内部における粉体Pの密度は低いことから(図4(a)参照)、袋体202を患者の背部に押し当てれば、異なるサイズや形状の背部の表面に対して袋体202を良好に密接させることができる。
こうして袋体202を背部の表面に密接させたならば、開閉バルブVcを開弁すると共に開閉バルブVdを閉弁し、真空ポンプVPを作動させて各接続口103cや各気体通路103a、各気体流通口202aを介して袋体202の内部から空気(気体)を吸引する。そして、例えば真空ポンプVPにより袋体2の内部から吸引された空気の量が所定量に達した段階で、真空ポンプVPを停止させると共に開閉バルブVcを閉弁する。これにより、袋体202の内部における粉体Pの密度が高まることで(図4(b)参照)、粉体Pは袋体202が比較的柔らかく、かつ複雑あるいは細かに起伏した患者の背部の表面と密接した状態でジャミング転移現象により流動性を失い、背部の表面に沿った状態で固化して実質的に一体の固体として振る舞う。すなわち、医療用固定装置200では、粉体Pを収容した袋体202を背部の表面に沿うように変形させると共に変形した状態で保持するのにジャミング転移現象が利用される。従って、本実施例の医療用固定装置200によれば、患者の背部に対して局所的に大きな力を加えることなく穿刺支援装置101を固定することが可能となる。
また、医療用固定装置200の使用に際しては、開閉バルブVcを閉弁した後、開閉バルブVdを開弁すると共に真空ポンプVPを再度作動させる。これにより、接続口103dや気体通路103b、気体吸引口202bを介して、ベースプレート201とは反対側すなわち背部の表面との当接面側で開口する各凹部203の内部から空気(気体)が吸引され、袋体202は患者の背部に対して強固に吸着する。このように袋体202と背部の表面とを互いに接触させた後、気体流通口202aを介して袋体202の内部から空気を吸引すると共に気体吸引口202bを介して各凹部203内の空気を吸引することで、内部で粉体Pが固化して高い剛性を保つに至った袋体202を背部の表面により強固に固定することが可能となる。
この結果、患部としての背部を局所的に締め付けることにより痣を生じさせるといった事態を抑制して背部に対する穿刺支援装置101の固定に伴う患者の負担を軽減すると共に、背部に対して穿刺支援装置101を強固に固定した状態での穿刺作業を可能にして医療行為者の作業負担を軽減することができる。なお、気体流通口202aを介して袋体202の内部から空気を吸引して粉体Pを固化させることにより粉体Pを収容した袋体202が背部に吸着することから、凹部203内の空気の吸引により発生させるべき吸着力はさほど大きくない。従って、凹部203内の空気の吸引により発生する吸着力が背部に与える影響すなわち患者の負担は極めて少ない。
ここまで説明したように、医療用固定装置200は、粉体Pを内部に流動可能に収容すると共に、当該内部から外部への粉体Pの排出を規制する気体流通口202aを有し、ベースプレート201を介して穿刺支援装置101に固定されると共に患部としての背部の表面に接触させられる袋体202を備える。かかる医療用固定装置200によれば、背部に対する穿刺支援装置101の固定に伴う患者の負担を軽減すると共に、背部に対して医療機器としての穿刺支援装置101を強固に固定した状態での治療を可能にして医療行為者の作業負担を軽減することができる。なお、上述の医療用固定装置200の袋体202から、背部との当接面側で開口すると共に気体吸引口202bと連通する凹部203を省略してもよい。また、上述の医療用固定装置200に対して、上述のスタビライザー1や医療用固定装置50のものに類した粉体充填機構を備えてもよい。更に、上述の医療用固定装置200は、穿刺支援装置101以外の医療機器を患部に対して固定するのに適用されるように構成されてもよい。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明による要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
本発明は、医療機器の製造産業において利用可能である。
1 スタビライザー(患部固定装置)、2,51,202 袋体、3 通路画成部材、3a,6a,53b,103c,103d 接続口、3b,53a,103a,103b 気体通路、4 袋体支持部材、5 アーム部、6 接続ブロック、7,54,204 フィルタ、8 ピストン、8a、58 操作部材、20 基部、20a,51a,202a 気体流通口、21 押さえ部、22,203 凹部、23,202b 気体吸引口、50,200 医療用固定装置、52 患部収容空間、53 袋体支持部材、55 前腕支持部材、56 患部収容空間、57 粉体充填部材、90 骨折治療装置、91 穿刺針ガイド、92 円弧ガイド、101 穿刺支援装置、102 ベースユニット、103 ベース部材、104 回転ステージ、105 直動ステージ、106 回転機構、107 ガイドレール、108 直線移動機構、110 姿勢調整機構、111 第1円弧ガイド、111a 第1アーチ部、112 第2円弧ガイド、112a 第2アーチ部、114 穿刺針ガイド、114a 針挿通部、115,116,117,118 傘歯車、121 第1駆動装置、122 第2駆動装置、130 アダプタ、131 筐体、131a 突出部、132 プランジャ、133 ストッパ、134 スプリング、135 負圧室、136 ストッパ受容部材、150、穿刺針、201 ベースプレート、201a,201b 開口、V,V1,V2,Vc,Vd 開閉バルブ、VP,VP1、VP2 真空ポンプ。

Claims (12)

  1. 患部を固定するための患部固定装置であって、
    粉体を内部に流動可能に収容すると共に、該内部から外部への前記粉体の排出を規制する気体流通口を有し、前記患部の表面に接触させられる袋体を備えることを特徴とする患部固定装置。
  2. 前記袋体の前記内部に前記粉体を充填する粉体充填機構を更に備えることを特徴とする
    請求項1に記載の患部固定装置。
  3. 前記袋体は、前記患部の表面との当接面側で開口すると共に気体吸引口と連通する凹部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の患部固定装置。
  4. 心臓の拍動を局所的に制限するスタビライザーとして構成されることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の患部固定装置。
  5. 請求項4に記載の患部固定装置において、
    前記袋体は、それぞれ前記気体流通口と連通すると共に間隔をおいて互いに対向する2つの押さえ部を有し、
    前記押さえ部は、前記患部の表面との当接面側で開口すると共に気体吸引口と連通する凹部をそれぞれ有し、
    前記押さえ部のそれぞれには、前記気体吸引口と連通すると共に気体通路を画成する通路画成部材が固定されていることを特徴とする患部固定装置。
  6. 前記袋体は、前記患部を両側方および下方から保持可能に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の患部固定装置。
  7. 患部と医療機器とを互いに固定する医療用固定装置であって、
    粉体を内部に流動可能に収容すると共に、該内部から外部への前記粉体の排出を規制する気体流通口を有し、前記医療機器に固定されると共に前記患部の表面に接触させられる袋体を備えることを特徴とする医療用固定装置。
  8. 前記袋体の前記内部に前記粉体を充填する粉体充填機構を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の医療用固定装置。
  9. 前記袋体は、患部の表面との当接面側で開口すると共に気体吸引口と連通する凹部を有することを特徴とする請求項7または8に記載の医療用固定装置。
  10. 前記医療機器は、前記患部の骨折の治療に用いられる骨折治療装置であることを特徴とする請求項7または8に記載の医療用固定装置。
  11. 前記袋体は、前記患部を両側方および下方から保持可能に形成されることを特徴とする請求項10に記載の医療用固定装置。
  12. 前記医療機器は、穿刺針を体内へと案内する穿刺支援装置であることを特徴とする請求項7から9の何れか一項に記載の医療用固定装置。
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