JP2013057036A - 高温域において見掛け比熱が増加する冷却液およびその循環方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】除熱部における装置上の工夫をすることなく従来の冷却液循環系に適用可能であり、長期使用においても冷却液の劣化が少なく、高温域において見掛け比熱が増加する冷却液、およびその循環方法を提供する。
【解決手段】水および1種以上の有機溶媒を含む多成分冷却液であって、該冷却液が40℃以下の低温状態においては水成分に富む水相と有機成分に富む有機相に分離し、45℃から該冷却液の沸騰温度までの高温状態においては有機成分に富む有機相が増加した水分率を有することを特徴とする、上記冷却液。
【選択図】図1

Description

本発明は、高温域において冷却液の見掛け比熱が増加する冷却液およびその循環方法に関する。
一般的に、高温域において冷却液の見掛け比熱を増加させる方法としては、高温域で融解する相変化物質を冷却液中に分散させる方法、冷却液を高温域において気化させる沸騰冷却等の手段がある。
特許文献1には、高温域で融解する相変化物質を冷却液中に分散させる方法が記載されている。特許文献1においては、相変化物質として水酸化バリウム8水和物(融点78℃)、フッ素系溶媒としてパーフルオロカーボン(商品名「フロリナートFC3255」、住友スリーエム社製)およびフッ素系乳化剤(商品名「フタージェント150」、ネオス社製)を相変化物質の融点以上の温度(85℃)で、高圧乳化機を用いて分散した後に、マイクロカプセル化剤であるスチレンモノマーおよびジビニルベンゼンモノマー、および重合開始剤にて相変化物質粒子をマイクロカプセル化している。得られた冷却液においては、相変化物質の融点以上の温度で相変化物質が融解するために、冷却液の見掛け比熱が増大する。
特許文献2には、冷却液を高温域において気化させる沸騰冷却方法が記載されている。特許文献2においては、発熱するモーターに冷却液である水を供給し、モーターの高温域で水が蒸発することにより、大きな熱の除去が可能となり、高温域で冷却液の見掛け比熱を増大させている。
しかしながら、上記特許文献1に記載された冷却液は、内包される相変化物質が融解した場合に相変化物質が合一しないように、相変化物質を高分子ポリマーでマイクロカプセル化しているが、冷却液はポンプで循環され、さらに除熱部で融解、冷却部で凝固を繰り返すため、長期の使用において、マイクロカプセルが劣化し、相変化物質粒子同士が合一してしまう欠点を有している。
上記特許文献2に記載された冷却液は、高温域において冷却液が蒸発することにより冷却しているので、非常に大きな見掛け比熱が達成できる。しかし、除熱部で冷却液が蒸発し気体となるので、除熱面全体で蒸発が生じるような装置上の工夫が必要となる。また、除熱部で蒸発する物質は揮発性物質に限られるので、不揮発性の添加剤等は除熱部に残存し、除熱部で濃縮されてしまう。
特開2007−031597号公報 特開2009−038864号公報
したがって本発明は、除熱部における装置上の工夫をすることなく従来の冷却液循環系に適用可能であり、長期使用においても冷却液の劣化が少なく、高温域において見掛け比熱が増加する冷却液、およびその循環方法を提供することを課題とする。
本発明者は、従来技術の現状に留意しつつ鋭意研究を重ねた結果、水および1種以上の有機溶媒を含む多成分冷却液において、冷却液が40℃以下の低温状態においては水成分に富む水相と有機成分に富む有機相に分離し、45℃から該冷却液の沸騰温度までの高温状態においては有機成分に富む有機相が増加した水分率を有する冷却液とすることにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の冷却液は、低温域では冷却液の見掛け比熱が小さいために速やかに所定の温度まで到達し、また、高温域において見掛け比熱が大きいために液循環量を少なくすることができる。
本発明は以下の発明を包含する。
(1)水および1種以上の有機溶媒を含む多成分冷却液であって、該冷却液が40℃以下の低温状態においては水成分に富む水相と有機成分に富む有機相に分離し、45℃から該冷却液の沸騰温度までの高温状態においては有機成分に富む有機相が増加した水分率を有することを特徴とする、上記冷却液。
(2)少なくとも1種の有機溶媒が炭素数4から10のアルコール類である、上記(1)に記載の冷却液。
(3)少なくとも1種の有機溶媒が水と完全相互溶解するアルコール類である、上記(1)または(2)に記載の冷却液。
(4)高温状態において、有機相と水相が完全相互溶解して均一相を形成することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の冷却液。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の冷却液の循環方法であって、低温状態において有機相を循環させ、高温状態において有機相、または有機相と水相が完全相互溶解した均一相を循環させることを特徴とする、上記循環方法。
上記(1)の構成によれば、冷却液中に相変化物質等の固形成分を含まないため、長期使用において冷却液の劣化が少ない。また、冷却液の蒸発を伴わないため、従来の循環系システムをそのまま利用できる。
上記(2)の構成によれば、水との有機溶媒の相互溶解度のバランスが良いため、低温域において有機相の水分率を低くし、高温域において有機相の水分率を高くすることができる。
上記(3)の構成によれば、水相にアルコール成分が多く溶解するため、−30℃の低温においても、有機相および水相が完全に凝固しない不凍性を有する冷却液とすることができる。
上記(4)の構成によれば、高温域において均一冷却液となるので、従来の均一系冷却液と全く同様に使用することができる。
上記(5)の構成によれば、低温域において見掛け比熱が小さい有機相を循環させることにより、所定の温度に達する時間を短くすることができ、また、高温域においては見掛け比熱が大きい有機相または均一相を循環させるために、循環流量を少なくすることができる。
冷却液中に相変化物質等の固形成分を含まないため、長期使用において冷却液の劣化を少なくすることができる。冷却液の蒸発を伴わないため、従来の循環系システムをそのまま利用することができる。また、低温域では冷却液の見掛け比熱が小さいために速やかに所定の温度まで到達し、高温域では冷却液の見掛け比熱が大きいために液循環量を少なくすることができる。
図1は、本発明の冷却液の循環方法の一実施形態を説明する図である。
本発明の実施形態について、以下のとおり説明する。
本明細書において、「低温域」とは40℃以下、好ましくは30℃以下、特に好ましくは25℃以下の温度を示し、「低温状態」とは冷却液の温度が低温域にあることを示す。また、「高温域」とは45℃、好ましくは60℃、特に好ましくは80℃から冷却液の沸騰温度までの温度を示し、「高温状態」とは冷却液の温度が高温域にあることを示す。
本明細書において、「水分率」とは、有機溶媒中に完全に溶解している水の有機溶媒に対する割合を示す。本発明の冷却液において、有機相の水分率は、低温状態において10〜40%であり、高温状態において、好ましくは20〜100%、特に好ましくは40〜100%である。
本発明の冷却液において、有機相が上層であり、水相が下層であることが好ましい。本発明の冷却液において、上層の液密度は0.7〜1.0g/cmであり、下層の液密度は0.95〜1.2g/cmであることが好ましい。
本発明に用いる有機溶媒は、多成分の混合状態で水に対して適度な溶解度を示すものであれば特に限定されず、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン・アルデヒド類、エステル類およびフェノール類等の含酸素化合物、および含窒素化合物等から選ばれる1種または2種以上の混合物からなるものを例示し得る。
炭化水素類としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、2,2−ジメチルブタン等のパラフィン類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキセン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の環状炭化水素類、ベンゼン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼン、トルエン、スチレン、キシレン、ビフェニル、ナフタレン等の芳香族炭化水素類、石油エーテル、石油ベンジン、ガソリン、灯油、流動パラフィン等を例示し得る。
ハロゲン化炭化水素類としては、塩化ヘキシル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロトルエン等を例示し得る。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール等の1価アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール等の2価アルコール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、5−メチル−1,2,4−ヘプタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の3価アルコール類およびその他の多価アルコール類、および1−メトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール等のエーテル結合を含んだアルコール誘導体等を例示し得る。
エーテル類としては、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、テトラヒドロフラン等を例示し得る。
ケトン・アルデヒド類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、オクタナール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類を例示し得る。
エステル類としては、酢酸エチル、酢酸イソブチル、ジエチレングリコールモノブチルアセテート等を例示し得る。
フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、グアヤコール等を例示し得る。
含窒素化合物としては、アセトニトリル、エチルヘキシルアミン、ジメチルホルムアミド、メチルホルムアミド、メチルピロドリン等を例示し得る。
本発明に用いる有機溶媒としては、水に対して適度な溶解度を有し、低温状態において有機相の水分率を低くし、高温状態において有機相の水分率を高くする観点から、炭素数4〜10のアルコール類、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、i−ペンタノール、t−ペンタノール、1−ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノールが好ましく、水と完全相互溶解せずに良く水に溶解する観点から、1−ブタノール、2−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、i−ペンタノール、t−ペンタノールが特に好ましい。また、高温状態において、有機相と水相の均一相を形成させる観点から、1−ブタノール及びiso−ブタノールが特に好ましい。
また、アルコール類としては、有機相の水に対する溶解度を増大させ、有機相および水相が完全に凝固しない不凍性を付与する観点から、水と完全相互溶解するアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールが好ましく、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール及び1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
水と有機溶媒の混合比率は特に限定されないが、水中へ有機溶媒が溶解し、有機溶媒中へ水が溶解する観点から、水と有機溶媒との割合は、70:30〜30:70であることが好ましく、60:40〜40:60であることが特に好ましい。
本発明の好ましい一実施態様は、水40〜60質量部、1−ブタノール32〜48質量部と1,4−ブタンジオール8〜12質量部(ただし、合計を100質量部とする)を含む冷却液である。
本発明の好ましい一実施態様は、水40〜60質量部、iso−ブタノール28〜36質量部と2−プロパノール16〜24質量部(ただし、合計を100質量部とする)を含む冷却液である。
本発明の好ましい一実施態様は、水40〜60質量部、1−オクタノール12〜18質量部とエタノール28〜42質量部(ただし、合計を100質量部とする)を含む冷却液である。
本発明の好ましい一実施態様は、水40〜60質量部、1−オクタノール10.8〜16.9質量部と2−プロパノール29.2〜43.8質量部(ただし、合計を100質量部とする)を含む冷却液である。
本発明の好ましい一実施態様は、水40〜60質量部、iso−ブタノール28〜42質量部と1,4−ブタンジオール12〜18質量部(ただし、合計を100質量部とする)を含む冷却液である。
本発明の好ましい一実施態様は、水40〜60質量部、iso−ブタノール28〜42質量部と1,4−ブタンジオール4〜6質量部と2−プロパノール8〜12質量部(ただし、合計を100質量部とする)を含む冷却液である。
本発明の冷却液には上記水および有機溶媒以外の成分を添加することもできる。例えば、これらに限定されないが、金属腐食防止剤、凝固点降下剤、酸化防止剤、消泡剤、殺菌剤、防腐剤、緩衝剤、着色剤、および香料を添加することが可能である。
上記その他の添加剤の合計配合量は、冷却液100質量部に対して、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下である。
本発明の冷却液は冷却するために使用されるのであればその用途は問わず、内燃機関や外燃機関等の様々な熱機関を冷却するために使用することができる。具体的には、これらに限定されるものではないが、自動車、船舶、航空機、発電所、および燃料電池等に使用することができる。
以下に、本発明の一実施形態として、本発明の冷却液の循環方法を用いた冷却システムを、図1を参照しながら詳述する。本実施形態では、冷却システムは、冷却液槽(1)、冷却液循環ポンプ(2)、冷却液循環ライン(3)、除熱部(4)および下層水相冷却液(5,7)、上層有機相冷却液(6,8)から構成されるが、これに限定されるものではない。低温状態では、冷却液槽(1)の水の含有量が少ない上層有機相(6)が冷却液循環ポンプ(2)を介して循環され、除熱部(4)で冷却液は温度上昇し、冷却液循環ライン(3)を介して冷却液槽(1)に循環される。この時、上層有機相(6)の温度が上昇するため、下層水相の水の溶解度が増し、高温状態においては、上層有機相の水分量が増加した状態となる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の実施例において使用する溶媒の略号を以下のように記載する。
水:W
エタノール:E
2−プロパノール:2P
1−ブタノール:1B
iso−ブタノール:iB
1−オクタノール:1O
エチレングリコール:EG
1,4−ブタンジオール:BG
実施例1
水(W)20g、1−ブタノール(1B)20gを50ml蓋付サンプル管に入れ、十分混合した後に25℃恒温槽に入れ、静置分離した後の上層有機相から20mgをアルミシール容器に量り取り、マックサイエンス社示差熱走査熱量計(DSC3100S)にて比熱を求めたところ、2.95kJ/kg・℃と測定された。同様に、水(W)20g、1−ブタノール(1B)20gを50ml蓋付サンプル管に入れ、十分混合した後に80℃恒温槽に入れ、静置分離した後の上層有機相の比熱を測定したところ、3.60kJ/kg・℃と測定された。この時、80℃においても、2相分離状態であった。25℃と80℃における比熱の差から、比熱変化は、0.65kJ/kg・℃と求められた。−30℃の恒温槽に30分保持したところ、上層有機相はシャーベット状、下層水相は完全に凍結した。
実施例2
水(W)20g、1−ブタノール(1B)16g、1,4−ブタンジオール(BG)4gの混合溶液を、25℃においては上層有機相、80℃においては上層有機相と下層水相が完全相互溶解し均一相となるので均一相の比熱を、実施例1と同様の方法で比熱を測定したところ、3.09kJ/kg・℃、3.77kJ/kg・℃と測定され、比熱変化は、0.68kJ/kg・℃と求められた。実施例1と同様に−30℃における保持試験では、上層有機相はシャーベット状、下層水相は完全に凍結した。
実施例3
水(W)20g、iso−ブタノール(iB)12g、2−プロパノール(2P)8gの混合溶液を、25℃においては上層有機相、80℃においては上層有機相と下層水相が完全相互溶解し均一相となるので均一相の比熱を、実施例1と同様の方法で比熱を測定したところ、3.13kJ/kg・℃、3.94kJ/kg・℃と測定され、比熱変化は、0.81kJ/kg・℃と求められた。実施例1と同様に−30℃における保持試験では、上層有機相はシャーベット状、下層水相は完全に凍結した。
実施例4
水(W)20g、1−オクタノール(1O)6g、エタノール(E)14gの混合溶液を、25℃においては上層有機相、80℃においては上層有機相と下層水相が完全相互溶解し均一相となるので均一相の比熱を、実施例1と同様の方法で比熱を測定したところ、2.96kJ/kg・℃、3.89kJ/kg・℃と測定され、比熱変化は、0.93kJ/kg・℃と求められた。実施例1と同様に−30℃における保持試験では、上層有機相、下層水相ともに液状であった。
実施例5
水(W)20g、1−オクタノール(1O)5.4g、2−プロパノール(2P)14.6gの混合溶液を、25℃においては上層有機相、80℃においては上層有機相と下層水相が完全相互溶解し均一相となるので均一相の比熱を、実施例1と同様の方法で比熱を測定したところ、3.20kJ/kg・℃、3.94kJ/kg・℃と測定され、比熱変化は、0.74kJ/kg・℃と求められた。実施例1と同様に−30℃における保持試験では、上層有機相、下層水相ともにシャーベット状であった。
実施例6
水(W)20g、iso−ブタノール(iB)14g、1,4−ブタンジオール(BG)6gの混合溶液を、25℃においては上層有機相、80℃においては上層有機相と下層水相が完全相互溶解し均一相となるので均一相の比熱を、実施例1と同様の方法で比熱を測定したところ、3.16kJ/kg・℃、3.85kJ/kg・℃と測定され、比熱変化は、0.69kJ/kg・℃と求められた。実施例1と同様に−30℃における保持試験では、上層有機相はシャーベット状、下層水相は完全に凍結した。
実施例7
水(W)20g、iso−ブタノール(iB)14g、1,4−ブタンジオール(BG)2g、2−プロパノール(2P)4gの混合溶液を、25℃においては上層有機相、80℃においては上層有機相と下層水相が完全相互溶解し均一相となるので均一相の比熱を、実施例1と同様の方法で比熱を測定したところ、3.15kJ/kg・℃、3.84kJ/kg・℃と測定され、比熱変化は、0.69kJ/kg・℃と求められた。実施例1と同様に−30℃における保持試験では、上層有機相はシャーベット状、下層水相は完全に凍結した。
比較例1
水(W)20gを25℃、80℃にて、実施例1と同様の方法で比熱を測定したところ、4.20kJ/kg・℃、4.25kJ/kg・℃と測定され、比熱変化は、0.05kJ/kg・℃と求められた。実施例1と同様に−30℃における保持試験では、液は凍結した。
比較例2
1−ブタノール(1B)20gを25℃、80℃にて、実施例1と同様の方法で比熱を測定したところ、2.54kJ/kg・℃、3.12kJ/kg・℃と測定され、比熱変化は、0.58kJ/kg・℃と求められた。実施例1と同様に−30℃における保持試験では、液は液状を保持していた。
比較例3
1−オクタノール(1O)20gを25℃、80℃にて、実施例1と同様の方法で比熱を測定したところ、2.09kJ/kg・℃、2.65kJ/kg・℃と測定され、比熱変化は、0.56kJ/kg・℃と求められた。実施例1と同様に−30℃における保持試験では、液は凍結した。
比較例4
エチレングリコール(EG)20gを25℃、80℃にて、実施例1と同様の方法で比熱を測定したところ、2.49kJ/kg・℃、2.76kJ/kg・℃と測定され、比熱変化は、0.27kJ/kg・℃と求められた。実施例1と同様に−30℃における保持試験では、液は液状を保持していた。
実施例1〜7、比較例1〜4の結果を表1にまとめて示す。
Figure 2013057036
低温域においては、従来の冷却液より迅速に所定の温度に到達するため、自動車エンジン冷却における始動時の燃費の改善が期待でき、高温域においては比熱が高く循環量が少なくできるため、自動車エンジン用、自動車モーター、インバータ、電車モーター、その他発熱体の冷却液として利用できる。
1 冷却液槽
2 冷却液循環ポンプ
3 冷却液循環ライン
4 除熱部
5 低温状態の下層水相
6 低温状態の上層有機相
7 高温状態の下層水相
8 高温状態の上層有機相

Claims (5)

  1. 水および1種以上の有機溶媒を含む多成分冷却液であって、該冷却液が40℃以下の低温状態においては水成分に富む水相と有機成分に富む有機相に分離し、45℃から該冷却液の沸騰温度までの高温状態においては有機成分に富む有機相が増加した水分率を有することを特徴とする、上記冷却液。
  2. 少なくとも1種の有機溶媒が炭素数4から10のアルコール類である、請求項1に記載の冷却液。
  3. 少なくとも1種の有機溶媒が水と完全相互溶解するアルコール類である、請求項1または2に記載の冷却液。
  4. 高温状態において、有機相と水相が完全相互溶解して均一相を形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却液。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却液の循環方法であって、低温状態において有機相を循環させ、高温状態において有機相、または有機相と水相が完全相互溶解した均一相を循環させることを特徴とする、上記循環方法。
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WO2015151818A1 (ja) * 2014-03-31 2015-10-08 日産自動車株式会社 冷却液

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