JP2013054068A - ホログラム生成装置およびホログラム生成方法 - Google Patents
ホログラム生成装置およびホログラム生成方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ホログラム生成装置1は、画像情報に位相を付加する位相付加手段10と、距離情報で特定される距離に応じて、位相が付加された画像情報をカメラCの画角に応じた大きさでフレネル変換し、加算することで、1次複素振幅分布を生成する画角付き物体光算出手段20と、複数のカメラCに対応した1次複素振幅分布を統合する統合物体光算出手段30と、統合した2次複素振幅分布である統合物体光複素振幅分布と参照光データとから、ホログラムデータ(干渉縞)を生成する干渉縞算出手段40と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
そして、ホログラフィ技術は、ホログラムに対して、参照光と同一の振幅および位相を持つ光(照明光)を照射し、光の回折により物体光を再生する。
図13(a)に示す物体光Oや参照光Rといった光は、振幅と位相とを有している。すなわち、物体Tから反射してくる物体光Oの振幅を|O|、位相をφOとしたとき、物体光Oは、以下の(1)式に示す複素振幅で表すことができる。同様に、参照光Rの振幅を|R|、位相をφRとしたとき、参照光Rは、以下の(2)式に示す複素振幅で表すことができる。
このようなホログラフィ技術において、ホログラムを生成する種々は手法が存在する。例えば、点充填法、距離画像法、ステレオグラム法等が知られている。以下、点充填法、距離画像法、ステレオグラム法について、簡単に説明しておく。
CGからホログラムを生成する手法は、計算機ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)と呼ばれ、一般的には、点充填法が用いられている。
点充填法は、被写体空間を点の集まり、すなわち、物体を点物体の集合であるとみなして、点光源の波面を加算することでホログラムを生成する方法である。
この点充填法は、図14に示すように、物体T上の1点から出た光(物体光データ)がホログラムHの全点に記録される(図14中A)。逆に、ホログラムH上の1点において、当該点に到達するすべての被写体空間の光が記録される(図14中B)。一方、当該点に到達しない光、例えば、手前の物体T2によって、遮られた物体T3の光は、記録されない(図14中C)。
しかし、この一般的な点充填法では、物体が数百〜数千程度の点で構成されるワイヤーフレームモデルのような単純な立体形状の場合はよいが、物体の形状が複雑化し、ホログラムの解像度が高解像度化するにつれて、計算量が膨大になり、例えば、100万点程度の物体からホログラムを計算するためには、数日〜数ヶ月を要してしまう。
そこで、点充填法を効率的に行うため、物体(被写体)からホログラム面までの距離に応じた光の回折マップを予め用意し、ホログラム計算時にそれを加算することで計算する手法が開示されている(特許文献1参照)。
距離画像法は、点充填法とは異なり、被写体空間を点の集まりではなく、平面の集まりであるとみなしてホログラムを生成する手法である(特許文献2参照)。
この距離画像法は、被写体空間に存在する物体の距離情報をもとに、奥行きごとに標本化した画像を生成し、その標本化された画像を、1枚の透過型2次元表示装置に順番に表示させながら、コヒーレント光で読み出しを行い物体光とすることでホログラムを生成する。
ステレオグラム法は、特許文献1,2で開示されている点充填法や距離画像法とは異なり、物体(被写体)までの距離の情報を用いることなく、多数の視点(通常、数百〜数千視点)で撮影した2次元画像を縮小投影してホログラムの微小領域に記録し、立体像を再生するものである(非特許文献1参照)。
第1特性として、再生された立体像において、被写体までの距離が表現され、視認した際のピント調節が可能であることが必要である。以下、この特性を「調節の再現」と呼ぶ。
また、第2特性として、再生された立体像を視認した際に、視点を動かすことで立体像の見え方が変わることが必要である。以下、この特性を「視差の再現」と呼ぶ。
また、第3特性として、再生された立体像を視認した際に、ある視点で見えていなかった立体物の一部が別の視点では見えるようになる、あるいは、その逆の効果を示すオクルージョンが再現できることが必要である。以下、この特性を「隠蔽関係の再現」と呼ぶ。
これは、主にポリゴン・テクスチャモデルで作成されたオブジェクトを仮想空間に複数個配置することで被写体空間を構成するCGであれば、位置関係(相対的、絶対的)が既知であるため、特許文献1に開示された技術でホログラムを生成することは可能である。
しかし、被写体の隠蔽関係を表現できないボクセル表現の3次元画像では、事前に被写体空間の立体構造を求める前処理が必要になる。また、実写の3次元画像(距離情報付き画像)は、隠蔽関係が表現されていないため、特許文献1に開示された技術では、「隠蔽関係の再現」を特性に持つホログラムを生成することができないという問題がある。
しかし、距離画像法は、被写体を真正面から見た場合の画像をホログラム化するものであるため、生成されたホログラムの再生像は、例えば、レンジファインダの死角になっていた部分の光は正常に再生されないことになる.
つまり、距離画像法によって生成されるホログラムは、「調節の再現」および「視差の再現」の2つの特性は有しているが、「隠蔽関係の再現」を特性として有していないというという問題がある。
また、ステレオグラム法は、被写体までの距離の情報を使用せずに、光を単に光線として捉えているため、波面再生が可能な他のホログラムのように、遠景と近景との両方でシャープな結像を得ることは原理的にできない。
つまり、ステレオグラム法によって生成されるホログラムは、「視差の再現」および「隠蔽関係の再現」の2つの特性は有しているが、「調節の再現」を特性として有していないというという問題がある。
そして、ホログラム生成装置は、干渉縞算出手段によって、2次複素振幅面に生成された統合した物体光の複素振幅分布と、予め定めた参照光の複素振幅分布とから、ホログラムの干渉縞となるホログラムデータを生成する。
そして、ホログラム生成装置は、画角付き物体光算出手段によって、距離情報で特定される距離平面上で画角に含まれる複素振幅分布に対して、距離平面ごとに回折演算を行い加算する。この回折演算において回折結果の対象とする平面は、複数の視点位置からの画角によって覆われる領域に隙間がなく、かつ、その領域が少なくとも2つ以上の視点位置の画角によって重複して覆われる被写体空間上の距離平面である1次複素振幅面とする。これによって、1次複素振幅面の画角に対応するどの位置においても、少なくとも2つの視点位置から見たときの物体光の情報が含まれることになる。なお、各視点位置における画角は、ホログラムの最大回折角とする。
そして、ホログラム生成装置は、干渉縞算出手段によって、物体光加算手段で生成された物体光の複素振幅分布と、予め定めた参照光の複素振幅分布とから、ホログラムの干渉縞となるホログラムデータを生成する。
そして、ホログラム生成装置は、画角付き物体光切り出し手段によって、距離別複素振幅分布から、画角に対応した中央領域の分布を切り出す。
そして、ホログラム生成装置は、画角付き物体光加算手段によって、距離別複素振幅分布を距離ごとに加算する。これによって、画角に対応する物体光の複素振幅分布が生成されることになる。
そして、ホログラム生成装置は、画角付き物体光切り出し手段によって、2次複素振幅面に生成された複素振幅分布の中央領域の画角に対応する分布を切り出す。
このように切り出された複素振幅分布は、どの位置においても、少なくとも2つの視点位置から見たときの物体光の情報が含まれ、統合した物体光の複素振幅分布となる。
そして、ホログラム生成方法は、画角付き物体光算出手段によって、距離情報で特定される距離平面上で画角に含まれる複素振幅分布に対して、距離平面ごとに回折演算を行い加算する(画角付き物体光算出ステップ)。この回折演算において回折結果の対象とする平面は、複数の視点位置からの画角によって覆われる領域に隙間がない被写体空間上の距離平面である1次複素振幅面とする。また、各視点位置における画角は、ホログラムの最大回折角とする。
そして、ホログラム生成方法は、統合物体光算出手段によって、1次複素振幅面に生成された複素振幅分布に対して、複数の視点位置からの画角によって覆われる領域に隙間がなく、かつ、その領域が少なくとも2つ以上の視点位置の画角によって重複して覆われる被写体空間上の距離平面である2次複素振幅面までの回折演算を行う(統合物体光算出ステップ)。
そして、ホログラム生成方法は、干渉縞算出手段によって、2次複素振幅面に生成された統合した物体光の複素振幅分布と、予め定めた参照光の複素振幅分布とから、ホログラムの干渉縞となるホログラムデータを生成する(干渉縞算出ステップ)。
そして、ホログラム生成方法は、画角付き物体光算出手段によって、距離情報で特定される距離平面上で画角に含まれる複素振幅分布に対して、距離平面ごとに回折演算を行い加算する(画角付き物体光算出ステップ)。この回折演算において回折結果の対象とする平面は、複数の視点位置からの画角によって覆われる領域に隙間がなく、かつ、その領域が少なくとも2つ以上の視点位置の画角によって重複して覆われる被写体空間上の距離平面である1次複素振幅面とする。また、各視点位置における画角は、ホログラムの最大回折角とする。
そして、ホログラム生成方法は、物体光加算手段によって、1次複素振幅面に生成された複素振幅分布を、画角が重複した領域ごとに加算する(物体光加算ステップ)。
そして、ホログラム生成方法は、干渉縞算出手段によって、物体光加算手段で生成された物体光の複素振幅分布と、予め定めた参照光の複素振幅分布とから、ホログラムの干渉縞となるホログラムデータを生成する(干渉縞算出ステップ)。
本発明によれば、平面から平面へ複素振幅分布の伝播によって、物体光データを生成するため、被写体を構成する点とホログラムすべての点とを対応付けて、すべての点において、光の回折を計算する従来の点充填法に比べ、計算量が少なく、高速にホログラムデータを生成することができる。
また、本発明は、距離情報から、物体(被写体)の位置を特定するため、被写体空間の立体構造を求める前処理を必要とせず、実写画像からもホログラムデータを生成することができる。
[ホログラム生成システムの構成]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るホログラム生成装置を含んだホログラム生成システムの構成について説明する。
カメラCは、物体Tを含んだ被写体空間を撮影したモノクロ画像またはカラー画像である画像情報Fと、物体Tが存在する被写体空間におけるカメラCからの距離を示す距離情報Dとからなる距離情報付き画像Gを撮影するカメラである。例えば、カメラCは、一般的な測距カメラである。このカメラCは、複数の視点位置での画像を再現するため、2〜10視点程度の台数とする。
距離情報Dは、画像情報Fと同じ画角に対応し、多階調で、カメラCからの奥行きを示す距離画像である。例えば、図1に示した距離情報Dは、カメラCからの距離が近いほど白く、遠いほど黒い画素値で表している。
この距離情報Dは、図2に示すように、カメラC(視点位置)からの距離zmin〜zmaxの範囲の物体Tの距離を示す。なお、図2中、tは、物体Tを点物体の集合であるとみなしたときの個々の点物体を示している。ここで、距離情報Dの階調が256階調であれば、距離情報Dは、距離zmin〜zmaxを256個(0〜255)の値でサンプリングした値を持つ情報である。
なお、ここでは、カメラCによって、実写画像を撮影することとしているが、距離情報付き画像Gは、CGによって、仮想カメラで撮影された画像として生成されたものであっても構わない。その場合、仮想カメラの位置が仮想的な視点位置となる。
以下、本発明を実施するための形態として、第1実施形態および第2実施形態を例として説明する。
〔ホログラム生成の概要〕
まず、図1および図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るホログラム生成装置1におけるホログラムデータの生成手法の概要について説明する。
図3は、ホログラム生成装置1が、仮想的な被写体空間(xyz座標)において、カメラC(ここでは、C1〜C3)と、物体T(点物体t,…,t)とを配置し、ホログラムデータを計算するための手順を模式的に示したものである。なお、ここで、tは、物体Tを点物体の集合であるとみなしたときの個々の点物体を示す。
また、ホログラム生成装置1は、フレネル順変換後の複素振幅分布(1次複素振幅分布)のうち、カメラC1〜C3ごとに、カメラCの画角φに対応する分布を画角(パース)付き物体光複素振幅分布U1〜U3として切り出す。
これによって、個々の画角付き物体光複素振幅分布U1〜U3は、画角φに存在する点物体t,…,tの距離に応じた物体光データとなる。
そして、ホログラム生成装置1は、フレネル逆変換後の複素振幅分布(2次複素振幅分布)のうち、少なくとも2台のカメラCの画角が重複する分布を統合物体光複素振幅分布Oとして切り出す。
この統合物体光複素振幅分布Oは、図3に示すように、どの位置においても、カメラC1〜C3の少なくとも2台で撮影された物体光が重畳されていることになる。
そして、ホログラム生成装置1は、物体光データである統合物体光複素振幅分布Oと、予め準備した参照光データRの複素振幅分布(不図示)とから、ホログラムデータIを生成する。
また、このとき、ホログラム生成装置1は、距離情報付き画像Gを用いることで、被写体空間の立体構造を求める前処理を行うことない。さらに、ホログラム生成装置1は、距離平面ごとに、複素振幅分布を求めるため、点充填法のような点ごとの計算を行う手法に比べて計算量を抑え、高速にホログラムデータを生成することができる。
この図3の例において、最大回折角度φを16°とし、生成するホログラムの幅(図3中、統合物体光複素振幅分布Oのx軸上の長さ)を36.8mmとした場合、視点間隔Lは18.4mm、視点位置(z=0)から画角付き物体光複素分布Uまでの距離z1は65.6mm、視点(z=0)から統合物体光複素振幅分布Oまでの距離z2は131.2mmとなる。なお、実際にカメラCを用いて撮影を行う場合、10倍程度の縮尺で撮影を行うのが現実的である。すなわち、カメラCの間隔(視点間隔L)を18.4cmで撮影した後、実際の物体Tまでの距離を、1/10倍の縮尺として、ホログラムの生成位置等を決めればよい。
以下、図3に示したホログラムデータを生成する手順を実現するホログラム生成装置1の構成および動作について詳細に説明する。
まず、図4を参照(適宜図1参照)して、本発明の第1実施形態に係るホログラム生成装置1の構成について説明する。図4に示すように、ホログラム生成装置1は、位相付加手段10と、画角付き物体光算出手段20と、統合物体光算出手段30と、干渉縞算出手段40と、を備えている。
そこで、位相付加手段10は、画像情報Fの画素値(スカラ振幅)に対して、xy座標に応じて位相を一様に変化させることで、画素ごとに、物体光の振幅情報と位相情報とからなる複素振幅を生成する。
具体的には、位相付加手段10は、画像情報Fのxy座標の画素に対応する画素値(スカラ振幅)をA(x,y)としたとき、以下の(6)式により、位相を付加した複素振幅g(x,y)を生成する。
また、ここで、画像情報Fが、RGBカラーで撮影された画像であった場合には、位相付加手段10は、RGBの波長ごとに、前記(6)式を計算し、RGB個別の複素振幅分布を生成する。
ここでは、ホログラム生成装置1は、カメラCに応じて、画角付き物体光算出手段20を複数(201,202,…,20n)備えている。なお、個々の画角付き物体光算出手段201,202,…,20nは、複素振幅分布の入力元が異なるだけで、機能は同じものである。
この画角付き物体光算出手段20は、距離別フレネル順変換手段21と、画角付き物体光切り出し手段22と、画角付き物体光加算手段23と、を備えている。
ここで、距離zごとの距離平面とは、距離情報D(x,y)の値(距離に対応する画素値)で特定される距離に対応した平面であって、距離情報Dの階調の数(例えば、256階調であれば、256平面)だけ存在する。なお、この距離平面の数は、画像の複雑さによって変化し、最大で距離情報Dの階調数となる。
また、予め定めた距離平面(1次複素振幅面)とは、少なくとも複数のカメラCの画角によって覆われる領域に隙間がない被写体空間上の距離平面である。例えば、図3の場合、距離z1以上、視点位置(カメラC)から離れたxy平面である。ここでは、一例として、カメラCの画角が互いに重なることがない距離平面(図3中、距離z1)とする。
そして、距離別フレネル順変換手段21は、距離情報Dで特定される距離ごとに生成した1次複素振幅分布u(x′,y′)を、画角付き物体光切り出し手段22に出力する。
図5(a)に示すように、距離別フレネル順変換手段21は、位相付加手段10で生成された複素振幅分布g(x,y)のうちで、距離情報Dで特定される距離zに対応した画角(最大回折角度)φに対応する角度の範囲(領域の幅Wz)の距離別複素振幅分布gz(x,y)を、1次複素振幅面(z=z1)までフレネル順変換することで、1次複素振幅分布を生成する。
なお、領域の幅Wzは、画角に対応したものであるため、図5(b)に示すように、距離zに応じて変わり、1次複素振幅面(z=z1)からの距離が遠いほど広がり、距離が近いほど狭くなる。また、距離zは、距離情報Dに対応する距離であって、最小距離zmin〜最大距離zmaxは、距離情報Dの階調に対応している。
この幅Wzは、画角をφ、距離をzとしたとき、以下の(7)式で求めることができる。
この平面から平面へのフレネル順変換は、既知の方法で求めることができる。
例えば、以下の(8)式により求めることができる。
すなわち、距離別複素振幅分布gz(x,y)、1次複素振幅分布u(x′,y′)に対し、距離zの関数である伝達関数をp(x,y)とし、定数項を無視して畳み込み積分(コンボリューション)を用いて、フレネル変換の式を書くと、以下の(9)式となる。なお、*は、畳み込み積分の演算子を示す。
このように、距離別フレネル順変換手段21は、図5(a)に示すように、1次複素振幅面(z=z1)において、距離別複素振幅分布gz(x,y)と同一のサンプリング間隔で、同一幅Wzとなる1次複素振幅分布u(x′,y′)を算出する。
図4に戻って、ホログラム生成装置1の構成について説明を続ける。
この画角付き物体光切り出し手段22は、図5(b)のz=z1の1次複素振幅面に生成された1次複素振幅分布u(x′,y′)について、画角をφとしたとき、以下の(11)式に示す幅Wz1で、1次複素振幅分布u(x′,y′)の中央領域を切り出す。
この画角付き物体光加算手段23は、1次複素振幅分布u(x′,y′)の各画素に相当するそれぞれの複素振幅について、すべての距離について複素和を計算する。
なお、この画角付き物体光加算手段23で生成された複素振幅分布は、図5(b)に示したように、距離別複素振幅分布を、画角φに対応してフレネル変換したものを加算したものであるため、1台のカメラCから見た画角内の近景から遠景までの物体光の複素振幅分布を含んだ画角付き物体光複素振幅分布となる。
この画角付き物体光加算手段23は、生成した画角付き物体光複素振幅分布を、統合物体光算出手段30に出力する。
ここでは、統合物体光算出手段30は、フレネル逆変換手段31と、統合物体光切り出し手段32と、を備えている。
ここで、予め定めたホログラム生成面とは、複数のカメラC(視点位置)からの画角によって覆われる領域に隙間がなく、かつ、その領域が少なくとも2つ以上のカメラCの画角によって重複して覆われる位置に設定した距離平面である。
図3に示したように、画角付き物体光算出手段20で算出された画角付き物体光複素振幅分布は、被写体空間において、カメラCの画角が互いに重なることなく、かつ、隙間のない位置(z=z1)に生成されている。また、ここでは、少なくとも2台のカメラCの画角が重複し、その重複領域に隙間がない位置(図3中、距離z2)をホログラム生成面としている。
そこで、フレネル逆変換手段31は、z=z1の距離平面に配置された画角付き物体光複素振幅分布に対して、z=z2の距離平面まで、光の回折を考慮して、フレネル逆変換する。
すなわち、フレネル逆変換手段31は、被変換複素振幅分布(3つの画角付き物体光複素振幅分布)をu(x′,y′)としたとき、以下の(12)式のフレネル変換を行う。
これによって、z=z2の距離平面における複素振幅分布(2次複素振幅分布)O(x,y)が求められることになる。
このように算出された複素振幅分布は、統合物体光切り出し手段32に出力される。
そこで、統合物体光切り出し手段32は、複数のカメラCの画角が重複する領域のみを、切り出すこととする。
例えば、図6において、z1×2=z2であった場合、O(x,y)の中央部分で水平の幅が2Wz1の分布のみを切り出せばよい。
このように切り出された統合物体光複素振幅分布(2次複素振幅分布)は、図3でも分かるように、2つ以上の視点から観察した被写体の物体光データが重畳されている。
そして、統合物体光切り出し手段32は、切り出した統合物体光複素振幅分布(2次複素振幅分布)を、干渉縞算出手段40に出力する。
この干渉縞算出手段40は、外部から入力した参照光データ(複素振幅分布)Rを用いて、統合物体光複素振幅分布からホログラムデータ(干渉縞情報)を生成する。
物体光データとなる複素振幅分布(ここでは、統合物体光複素振幅分布)から、参照データとなる複素振幅分を用いて、干渉縞情報を生成する手法は、一般的なものを用いればよい。ここでは、一例として、オフアクシス型の振幅ホログラムを生成する例について説明するが、位相ホログラムを生成することとしてもよい。
オフアクシス型のホログラムは、斜め上方から角度θで入射する平行光を参照光とするため、図7に示すような参照光を表す参照光データRは、以下の(13)式で表すことができる。
すなわち、干渉縞算出手段40は、以下の(14)式によりホログラムデータI(x,y)を算出する。なお、*は複素共役を示す。
前記(14)式の右辺の最初の2項(|O|2,|R|2)は、ホログラム全体にほぼ一様に分布する成分であるため、(14)式は、以下の(15)式とみなすことができる。
以上説明したホログラム生成装置1は、コンピュータを、前記した各手段として機能させるホログラム生成プログラムで動作させることができる。
次に、図8を参照(適宜図1,図4参照)して、本発明の第1実施形態に係るホログラム生成装置1の動作(ホログラム生成方法)について説明する。
まず、ホログラム生成装置1は、位相付加手段10によって、カメラCが撮影した距離情報付き画像Gの画像情報Fの画素値(スカラ振幅)に対して、xy座標に応じて位相を一様に変化させることで、画素ごとに、物体光の振幅情報と位相情報とからなる複素振幅を生成する(ステップS1)。
このとき、距離別フレネル順変換手段21は、ステップS1で生成された複素振幅分布について、画角(最大回折角度)に対応する距離平面の範囲についてフレネル変換を行う。
なお、このステップS1からステップS4までの動作は、カメラCに対応した位相付加手段10と画角付き物体光算出手段20とが、カメラCごとに並行して動作するものとする。すなわち、このステップS4が完了した段階で、カメラCの数と同じ数の画角付き物体光複素振幅分布が生成されることになる。
これによって、複数の画角付き物体光複素振幅分布がホログラム生成面において統合されることになる。
例えば、干渉縞算出手段40は、振幅ホログラムを生成する場合、干渉縞算出手段40は、物体光データ(統合物体光複素振幅分布)と参照光データ(複素振幅分布)との複素和の2乗を計算することで、ホログラムデータを算出する。
〔ホログラム生成の概要〕
次に、図1および図9を参照して、本発明の第2実施形態に係るホログラム生成装置1Bにおけるホログラムデータの生成手法の概要について説明する。
図9は、ホログラム生成装置1Bが、仮想的な被写体空間(xyz座標)において、カメラC(ここでは、C1〜C4)と、物体T(点物体t,…,t)とを配置し、ホログラムデータを計算するための手順を模式的に示したものである。なお、ここで、tは、物体Tを点物体の集合であるとみなしたときの個々の点物体を示す。
また、ホログラム生成装置1Bは、ホログラム生成装置1と同様、フレネル順変換後の複素振幅分布(1次複素振幅分布)のうち、カメラC1〜C4ごとに、カメラCの画角φに対応する分布を画角(パース)付き物体光複素振幅分布U1〜U4として切り出す。
これによって、個々の画角付き物体光複素振幅分布U1〜U4は、画角φに存在する点物体t,…,tの距離に応じた物体光データとなる。
この統合物体光複素振幅分布Oは、図9に示すように、どの位置においても、カメラC1〜C4の少なくとも2台で撮影された物体光が重畳されていることになる。
なお、カメラCの画角(ホログラムの最大解析角度)φや、カメラCの配置間隔(視点間隔)等の具体例は、図3と同様であるため、説明を省略する。
次に、図10を参照(適宜図1参照)して、本発明の第2実施形態に係るホログラム生成装置1Bの構成について説明する。図10に示すように、ホログラム生成装置1Bは、位相付加手段10と、画角付き物体光算出手段20Bと、統合物体光算出手段30Bと、干渉縞算出手段40と、を備えている。位相付加手段10および干渉縞算出手段40は、図4で説明したホログラム生成装置1と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
ここでは、画角付き物体光算出手段20Bは、距離別フレネル順変換手段21Bと、画角付き物体光切り出し手段22と、画角付き物体光加算手段23と、を備えている。画角付き物体光切り出し手段22および画角付き物体光加算手段23は、図4で説明したホログラム生成装置1と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
この距離別フレネル順変換手段21Bは、距離情報Dで特定される距離ごとにフレネル変換によって生成した複素振幅分布を、画角付き物体光切り出し手段22に出力する。
なお、この距離別フレネル順変換手段21Bは、フレネル変換を行う1次複素振幅面までの距離が距離別フレネル順変換手段21(図4)と異なるだけで、処理内容は同一である。
この距離別フレネル順変換手段21Bで生成された距離情報Dで特定される距離ごとの複素振幅分布は、図4で説明した画角付き物体光切り出し手段22および画角付き物体光加算手段23によって、図9に示したように、z=z1の1次複素振幅面に、カメラC1,…,C4の画角φに対応する1次複素振幅分布U1,…,U4として生成される。
ここでは、統合物体光算出手段30Bは、物体光加算手段33を備えている。
これによって、統合物体光算出手段30Bは、図9に示すように、画角付き物体光算出手段20Bで算出された複数の画角付き物体光複素振幅分布(1次複素振幅分布)を生成したz=z1の1次複素振幅面と同一の平面に、それぞれの画角付き物体光複素振幅分布を統合した統合物体光複素振幅分布(2次複素振幅分布)を生成する。
この物体光加算手段33で生成された統合物体光複素振幅分布(2次複素振幅分布)は、図4で説明した干渉縞算出手段40によって、ホログラムデータ(干渉縞情報)に変換される。
以上説明したホログラム生成装置1Bは、コンピュータを、前記した各手段として機能させるホログラム生成プログラムで動作させることができる。
次に、図11を参照(適宜図1,図10参照)して、本発明の第2実施形態に係るホログラム生成装置1Bの動作(ホログラム生成方法)について説明する。
このホログラム生成装置1Bの基本動作は、ホログラム生成装置1の動作(図8参照)と同じであるため、主に相違点について説明する。
このとき、距離別フレネル順変換手段21Bは、ステップS1で生成された複素振幅分布について、画角(最大回折角度)に対応する距離平面の範囲についてフレネル変換を行う。
ホログラム生成装置1,1Bで生成されたホログラム(ホログラムデータ)は、従来と同様に、参照光(参照光データ)と同一の振幅および位相を持つ照明光(照明光データ)を用いて、物体の像を再生することができる。
ここで、図12を参照して、ホログラム生成装置1,1Bで生成されたホログラムデータIを記録したホログラムHから、像が再生される現象について説明しておく。
図12に示すように、ホログラムデータIを生成する際に用いた参照光データ(以下、参照光R)と同じ位相と振幅を持つ照明光Rを、ホログラムHに照射すると、物体光データ(以下、物体光O)が再生される。観察者Mは、この物体光Oを視認することで、物体を再生した物体再生像Tを認識する。
この過程を数式で表すと、以下の(17)式で表すことができる。
この透過光は、図12に示すように、角度が付いて入射される光であるため、観察者Mには視認されない。
また、右辺の第3項(O|R|2)は、物体光O(x,y)と同一の位相および強度を持ち、これに|R|2なる強度が乗算されたものである。すなわち、右辺の第3項は、照明光の強さの2乗に比例した明るさを持つ物体光そのものである。よって、図12に示すように、観察者Mが、ホログラムHを観察すると、ホログラムH越しに物体が元々あった位置に物体再生像Tが見えることになる。
この物体再生像Tは、図3で示した例では3台のカメラC、図9で示した例では4台のカメラCで撮影された情報を統合して含んでいる。
以上、本発明の実施形態に係るホログラム生成装置1,1Bの構成および動作について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
第1実施形態に係るホログラム生成装置1では、画角付き物体光算出手段20において、1次複素振幅面(z=z1)を、複数のカメラCの画角によって覆われる領域に隙間がない被写体空間上の平面であって、カメラCの画角が互いに重なることがない平面とした(図3参照)。また、第2実施形態に係るホログラム生成装置1Bでは、画角付き物体光算出手段20Bにおいて、1次複素振幅面(z=z1)を、複数のカメラCのうちで少なくとも2台のカメラCの画角が重複する距離平面であって、その重複領域に隙間がない被写体空間上の平面とした(図9参照)。
1 ホログラム生成装置
10 位相付加手段
20 画角付き物体光算出手段
21 距離別フレネル順変換手段
22 画角付き物体光切り出し手段
23 画角付き物体光加算手段
30 統合物体光算出手段
31 フレネル逆変換手段
32 統合物体光切り出し手段
33 物体光加算手段
40 干渉縞算出手段
Claims (6)
- 複数の視点位置で撮影された2次元画像である画像情報と、当該画像情報の画素ごとに被写体までの距離を対応付けた距離情報とから、ホログラムデータを生成するホログラム生成装置であって、
前記視点位置ごとに、前記画像情報の各画素において、画素値を振幅とし、予め定めた分布の位相を付加することで、各画素位置に複素振幅を対応付けた複素振幅分布を生成する位相付加手段と、
前記視点位置における画角を生成対象のホログラムの最大回折角とし、前記距離情報で特定される距離平面上で前記画角に含まれる前記複素振幅分布に対して、前記距離平面ごとに、前記複数の視点位置からの画角によって覆われる領域に隙間がない被写体空間上の距離平面である1次複素振幅面までの回折演算を行い加算することで、前記視点位置ごとの物体光の複素振幅分布を生成する画角付き物体光算出手段と、
前記1次複素振幅面に生成された複素振幅分布に対して、前記複数の視点位置からの画角によって覆われる領域に隙間がなく、かつ、その領域が少なくとも2つ以上の視点位置の画角によって重複して覆われる被写体空間上の距離平面である2次複素振幅面までの回折演算を行うことで、統合した物体光の複素振幅分布を生成する統合物体光算出手段と、
前記2次複素振幅面に生成された統合した物体光の複素振幅分布と、予め定めた参照光の複素振幅分布とから、ホログラムの干渉縞となるホログラムデータを生成する干渉縞算出手段と、
を備えることを特徴とするホログラム生成装置。 - 複数の視点位置で撮影された2次元画像である画像情報と、当該画像情報の画素ごとに被写体までの距離を対応付けた距離情報とから、ホログラムデータを生成するホログラム生成装置であって、
前記視点位置ごとに、前記画像情報の各画素において、画素値を振幅とし、予め定めた分布の位相を付加することで、各画素位置に複素振幅を対応付けた複素振幅分布を生成する位相付加手段と、
前記視点位置における画角を生成対象のホログラムの最大回折角とし、前記距離情報で特定される距離平面上で前記画角に含まれる前記複素振幅分布に対して、前記距離平面ごとに、前記複数の視点位置からの画角によって覆われる領域に隙間がなく、かつ、その領域が少なくとも2つ以上の視点位置の画角によって重複して覆われる被写体空間上の距離平面である1次複素振幅面までの回折演算を行い加算することで、前記視点位置ごとの物体光の複素振幅分布を生成する画角付き物体光算出手段と、
前記1次複素振幅面に生成された複素振幅分布を、前記画角が重複した領域ごとに加算して、統合した物体光の複素振幅分布を生成する物体光加算手段と、
この物体光加算手段で生成された物体光の複素振幅分布と、予め定めた参照光の複素振幅分布とから、ホログラムの干渉縞となるホログラムデータを生成する干渉縞算出手段と、
を備えることを特徴とするホログラム生成装置。 - 前記画角付き物体光算出手段は、
前記距離情報で特定される複数の距離平面に対応する画素の複素振幅を、距離平面ごとに、前記1次複素振幅面までフレネル順変換を行い、距離別複素振幅分布を生成する距離別フレネル順変換手段と、
この距離別フレネル順変換手段で生成された距離別複素振幅分布から、前記画角に対応した中央領域の分布を切り出す画角付き物体光切り出し手段と、
この画角付き物体光切り出し手段で切り出された距離別複素振幅分布を距離ごとに加算することで、前記画角に対応する物体光の複素振幅分布を生成する画角付き物体光加算手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホログラム生成装置。 - 前記統合物体光算出手段は、
前記画角付き物体光算出手段で生成された前記視点位置ごとの複素振幅分布を、前記2次複素振幅面まで、フレネル逆変換を行うフレネル逆変換手段と、
前記2次複素振幅面に生成された複素振幅分布の中央領域の前記画角に対応する分布を切り出す画角付き物体光切り出し手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のホログラム生成装置。 - 複数の視点位置で撮影された2次元画像である画像情報と、当該画像情報の画素ごとに被写体までの距離を対応付けた距離情報とから、ホログラムデータを生成するホログラム生成方法であって、
位相付加手段によって、前記視点位置ごとに、前記画像情報の各画素において、画素値を振幅とし、予め定めた分布の位相を付加することで、各画素位置に複素振幅を対応付けた複素振幅分布を生成する位相付加ステップと、
前記視点位置における画角を生成対象のホログラムの最大回折角とし、画角付き物体光算出手段によって、前記距離情報で特定される距離平面上で前記画角に含まれる前記複素振幅分布に対して、前記距離平面ごとに、前記複数の視点位置からの画角によって覆われる領域に隙間がない被写体空間上の距離平面である1次複素振幅面までの回折演算を行い加算することで、前記視点位置ごとの物体光の複素振幅分布を生成する画角付き物体光算出ステップと、
統合物体光算出手段によって、前記1次複素振幅面に生成された複素振幅分布に対して、前記複数の視点位置からの画角によって覆われる領域に隙間がなく、かつ、その領域が少なくとも2つ以上の視点位置の画角によって重複して覆われる被写体空間上の距離平面である2次複素振幅面までの回折演算を行うことで、統合した物体光の複素振幅分布を生成する統合物体光算出ステップと、
干渉縞算出手段によって、前記2次複素振幅面に生成された統合した物体光の複素振幅分布と、予め定めた参照光の複素振幅分布とから、ホログラムの干渉縞となるホログラムデータを生成する干渉縞算出ステップと、
を含むことを特徴とするホログラム生成方法。 - 複数の視点位置で撮影された2次元画像である画像情報と、当該画像情報の画素ごとに被写体までの距離を対応付けた距離情報とから、ホログラムデータを生成するホログラム生成方法であって、
位相付加手段によって、前記視点位置ごとに、前記画像情報の各画素において、画素値を振幅とし、予め定めた分布の位相を付加することで、各画素位置に複素振幅を対応付けた複素振幅分布を生成する位相付加ステップと、
前記視点位置における画角を生成対象のホログラムの最大回折角とし、画角付き物体光算出手段によって、前記視点位置における画角を生成対象のホログラムの最大回折角とし、前記距離情報で特定される距離平面上で前記画角に含まれる前記複素振幅分布に対して、前記距離平面ごとに、前記複数の視点位置からの画角によって覆われる領域に隙間がなく、かつ、その領域が少なくとも2つ以上の視点位置の画角によって重複して覆われる被写体空間上の距離平面である1次複素振幅面までの回折演算を行い加算することで、前記視点位置ごとの物体光の複素振幅分布を生成する画角付き物体光算出ステップと、
物体光加算手段によって、前記1次複素振幅面に生成された複素振幅分布を、前記画角が重複した領域ごとに加算して、統合した物体光の複素振幅分布を生成する物体光加算ステップと、
干渉縞算出手段によって、前記物体光加算手段で生成された物体光の複素振幅分布と、予め定めた参照光の複素振幅分布とから、ホログラムの干渉縞となるホログラムデータを生成する干渉縞算出ステップと、
を含むことを特徴とするホログラム生成方法。
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