JP2013051181A - シースヒータ - Google Patents

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Abstract

【課題】高温で使用する場合であっても沿面放電の発生を抑制することができるシースヒータの提供。
【解決手段】発熱線2の周りを絶縁粉体3で充填して収容する第1の収容部S1を有するシース部10と、発熱線2と電気的に接続されると共に第1の収容部S1から引き出されたリード線4の周りを絶縁粉体3で充填して収容する第2の収容部S2を有する端子部20と、第1の収容部S1と第2の収容部S2との間を気密にシールするシール部30と、を有するシースヒータ1を採用する。
【選択図】図2

Description

本発明は、シースヒータに関するものである。
シースヒータは、例えばコイル状とした発熱導体の周りを、マグネシア(MgO)等の絶縁粉体で充填し、金属製のシース内に収容する構成を有する。このシースヒータは、電気ヒータの一種であり、発熱導体に電圧を印加することにより、当該発熱導体の抵抗加熱でもってシースを介して加熱対象を加熱する。なお、シースヒータのうち、発熱導体がコイル状でなく直線状となってシースが細くなったものを、マイクロヒータと称する場合がある。
シースヒータにおいて安定した出力を確保するためには、沿面放電対策が必要である。例えば、発熱導体と電気的に接続された導体を保持する端子から、そのフラットな沿面に沿って、接地電位にあるシースへと沿面放電が発生すると、結果として地絡となり、ヒータとしての機能を消失してしまう。そこで、従来では、例えば、端子の沿面の形状等をフラットでなくオフセット等することにより、端子からシースへの沿面距離を長くとるようにして、沿面放電を抑制する対策等が採られている(例えば特許文献1参照)。
特開2000−12198号公報
ところで、高温用シースヒータでは、上記沿面対策を採っているにもかかわらず、端子付近の端子部において沿面放電が発生しており、課題となっていた。
本願発明者らは、上記課題を解決するため鋭意実験を重ねた結果、この沿面放電の発生の原因が、次の2つの要因の組み合わせによるものであるとの考察に到った。
第一に、高温用シースヒータでは、発熱導体に高電圧が印加されることから、上記従来技術のように沿面距離を長くとっても、沿面放電の経路に絶縁粉体等の障害物が無い場合には、沿面放電の要因となる。特に、端子部においては、導体の配線等との関係で絶縁粉体を密に充填することが難しく、絶縁粉体と端子との間が空いて(粗となって)沿面放電の経路となりやすいため問題となる。
第二に、高温用シースヒータでは、絶縁粉体の間隙に残存する空気が発熱導体による加熱によって酸化、窒化して消費され、ヒータ内部の圧力が徐々に低下して真空度が上がることが挙げられる。真空では放電が発生しやすく(所謂、真空放電)、このため第一の要因を持つものと組み合わさると、すなわち、絶縁粉体と端子との間が空いているもので且つ真空度が上がると、その間を経路として沿面放電が特に生じやすくなるため問題となる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高温で使用する場合であっても沿面放電の発生を抑制することができるシースヒータの提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、発熱導体の周りを絶縁粉体で充填して収容する第1の収容部を有するシース部と、上記発熱導体と電気的に接続されると共に上記第1の収容部から引き出された導体の周りを絶縁粉体で充填して収容する第2の収容部を有する端子部と、上記第1の収容部と上記第2の収容部との間を気密にシールするシール部と、を有するシースヒータを採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第1の収容部と第2の収容部との間をシール部によって隔離することで、気密性確保による縁切りを行い、発熱導体を収容する第1の収容部における残存空気が酸化、窒化により消費されて真空となっても、第2の収容部においては真空化させないようにし、真空化に関する沿面放電の第二の要因を排除する。これにより、端子部における沿面放電の発生を抑制することができる。
また、本発明においては、上記シール部は、上記第1の収容部に充填された上記絶縁粉体の端面上にシール材を流動状態で流し込み、その後固化することで形成される沿面を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、絶縁粉体の端面上の流動状態のシール材を流し込んでこれを固化して形成したシール部においては、シール材と絶縁粉体とが混じり合った複雑で明確でない沿面となるため、絶縁粉体との隙間に関する沿面放電の第一の要因を排除することができる。これにより、シース部における沿面放電の発生を抑制することができる。
また、本発明においては、上記端子部は、一端が上記シール部によって閉塞されている上記第2の収容部の他端を閉塞すると共に該第2の収容部の外に上記導体を引き出す端子と、上記シール部と上記端子との間の上記第2の収容部を囲う管部材と、を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第2の収容部がシール部と端子と管部材とによって形成される。
また、本発明においては、上記端子部は、上記シール部と上記端子との間で上記第2の収容部を縮小させて圧迫する圧迫部を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第2の収容部を縮小させて圧迫することにより絶縁粉体の充填密度を上げ、シール部との間及び端子との間に絶縁粉体を隙間なく充填させ、絶縁粉体との隙間に関する沿面放電の第一の要因を排除する。これにより、端子部における沿面放電の発生をより確実に抑制することができる。
また、本発明においては、上記圧迫部は、上記シール部に対し離間して設けられているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、シール部を脆性材料で形成した場合等、圧迫によるシール破壊を抑制することができる。
また、本発明においては、上記圧迫部と上記端子との間の距離よりも、上記圧迫部と上記シール部との間の距離の方が短いという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、圧迫部に対して近いシール部の第2の収容部側の沿面においては、隙間なく絶縁粉体を充填させることができる。一方で、端子の第2の収容部側の沿面においては、圧迫部に対してシール部より離れているので絶縁粉体の充填密度は落ちるものの、圧迫の影響を小さくして管部材と端子と間の密封性を確保することができる。
また、本発明においては、上記圧迫部は、上記管部材を、かしめることで形成されるという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、圧迫部が管部材をかしめることで形成される。
また、本発明においては、上記端子の上記第2の収容部に充填された上記絶縁粉体に面する沿面は、段差形状を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、端子の沿面に段差形状を設けることにより沿面距離を長くして、沿面放電が生じないようにする。
本発明によれば、高温で使用する場合であっても沿面放電の発生を抑制することができるシースヒータが得られる。
本発明の第1実施形態におけるシースヒータを示す全体図である。 本発明の第1実施形態におけるシースヒータを示す断面構成図である。 本発明の第2実施形態におけるシースヒータを示す断面構成図である。 本発明の実施例におけるシースヒータを示す断面構成図である。 本発明の実施例におけるシース内部圧力と、加熱時間との関係を示すグラフ図である。 本発明の別実施形態におけるシースヒータを示す断面構成図である。
以下、本発明の実施形態のシースヒータについて図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるシースヒータ1を示す全体図である。
シースヒータ1は、図1に示すように、シース部10と、シース部10に接続された端子部20とを有する。本実施形態のシースヒータ1は、高温用シースヒータであり、不図示の電源装置から給電を受けて、例えば、800℃以上の高温で加熱を行うことが可能な構成となっている。
図2は、本発明の第1実施形態におけるシースヒータ1を示す断面構成図である。
シース部10は、図2に示すように、発熱線(発熱導体)2の周りを絶縁粉体3で充填して収容する第1の収容部S1を有する。第1の収容部S1は、一端が閉塞された円管状のシース11によって形成されている。シース11は、耐熱性金属材として、例えばステンレス材から形成されている。
本実施形態では、発熱線2として、シース11内の一端において折り返されて往復する2芯のものを採用している。なお、発熱線2として、シース11内で折り返されない1芯のものを採用し、シース部10の両端に端子部20を設けたものとしてもよい。発熱線2は、ニッケルクロム材をコイル状にして形成され、抵抗加熱による発熱量を大きくする構成となっている。
絶縁粉体3は、マグネシア(MgO)を主成分とする無機絶縁粉体であり、第1の収容部S1に充填され、発熱線2とシース11との間に介在している。
端子部20は、発熱線2と電気的に接続されると共に第1の収容部S1から引き出されたリード線(導体)4の周りを絶縁粉体3で充填して収容する第2の収容部S2を有する。第2の収容部S2は、一端がシース11に接合される端子管(管部材)21によって形成されている。また、第2の収容部S2は、端子管21の他端に接合されるセラミック端子(端子)22によっても形成されている。
端子管21は、ステンレス材から形成され、その両端が開口した円管状となっている。端子管21は、その一端側からシース11を中に挿入して嵌め込み、溶接等することで接合されている。
セラミック端子22は、ステンレス材から形成されたリード線4を第2の収容部S2の外に引き出す孔部23を有する。セラミック端子22は、端子管21の他端側から中に嵌め込まれて接合される。
セラミック端子22と端子管21との間、リード線4と孔部23との間は、銀ロウ接合されている。これにより、密封性を確保して、第2の収容部S2への空気の浸入を防止し、絶縁粉体3が空気に含まれる水分を吸収して絶縁劣化しないようにしている。
第2の収容部S2に充填される絶縁粉体3も同様に、マグネシア(MgO)を主成分とする無機絶縁粉体であり、リード線4と端子管21との間に介在している。
シースヒータ1は、第1の収容部S1と第2の収容部S2との間を気密にシールするシール部30を有する。シール部30は、発熱線2とセラミック端子22との間に設けられており、発熱線2とセラミック端子22とを縁切り(気密確保)することにより、発熱線2を空間的に隔離する構成となっている。すなわち、シール部30は、第1の収容部S1と第2の収容部S2との間で、絶縁粉体3の隙間に残存した空気の行き来ができないようにしている。
シール部30は、シース11の端を封口する絶縁性の封口剤であり、シース11の内面及びリード線4の周りに隙間なく密着している。また、シール部30は、第1の収容部S1側の絶縁粉体3及び第2の収容部S2側の絶縁粉体3の両者に面している。このシール部30は、第1の収容部S1に充填された絶縁粉体3の端面3a上にシール材を流動状態で流し込み、その後固化することで形成されている。
具体的には、シース11内に発熱線2及びリード線4を配線した後に、その周りに絶縁粉体3を密に充填・圧縮して端面3aを形成し、シース11を立てた状態で、所定の注入器を用いて流動状態のシール材を注入する。このシール材としては、絶縁性を有すると共に流動状態から固体に変態できる材料、例えば、ガラス、セメント、シリコン、エポキシ樹脂等を用いることができる。本実施形態ではガラスを採用し、ガラスを熱して流動状態としたシール材を注入する。
シール材は、注入時に流動状態であるため、シース11の内面及びリード線4の周りを隙間なく埋めることができる。このシール材がその後固化すると、シース11の内面及びリード線4の周りが隙間なくシールされ、第1の収容部S1が気密に封口されることとなる。また、流動状態のシール材を流し込んでこれを固化して形成したシール部30においては、シール材と絶縁粉体3とが混じり合った複雑で明確でない沿面31が形成される。
続いて、上記構成のシースヒータ1の作用について説明する。
リード線4を介して発熱線2に電圧を印加すると、発熱線2の抵抗加熱によって、シース11が、例えば800℃に加熱される。シース部10においては、発熱線2の高温発熱によって、絶縁粉体3の間隙に残存する空気中の酸素、窒素がシース11と発熱線2の酸化、窒化によって消費され、圧力が低下し、第1の収容部S1における真空度が徐々に上がる。
ここで、本実施形態では、第1の収容部S1と第2の収容部S2との間をシール部30によって気密にシールしている。シール部30は、気密性確保による縁切りを行い、第1の収容部S1と第2の収容部S2との間で、絶縁粉体3の隙間に残存した空気の行き来ができないようにする。これにより、発熱線2を収容する第1の収容部S1における残存空気が酸化、窒化により消費されて真空となっても、第2の収容部S2における残存空気までもが消費されない構造とすることができる。
したがって、第2の収容部S2においては、第1の収容部S1と異なり、真空状態が発生しないため、沿面放電の要因のうち、真空化に関する要因(第二の要因)を排除することができる。これにより、端子部20における沿面放電の発生を抑制することができる。すなわち、端子部20では、セラミック端子22の沿面24がフラットであっても、第2の収容部S2において、空気も何もない真空状態ではなく、所定圧の空気が存在することにより、真空放電が生じることはないため、結果、沿面放電の発生を抑制することができる。
一方、発熱線2を収容する第1の収容部S1では、真空状態が発生する。ここで、本実施形態のシール部30は、第1の収容部S1に充填された絶縁粉体3の端面3a上にシール材を流動状態で流し込み、その後固化することで形成される沿面31を有する。この沿面31は、シール材と絶縁粉体3とが混じり合っており、両者の境界が明確でなく、また、絶縁粉体3の間隙にシール材が浸入して複雑に入り組んだ状態となっており、絶縁粉体3との間に明確な隙間が形成されることはない。
したがって、第1の収容部S1においては、沿面放電の要因のうち、絶縁粉体3との隙間に関する要因(第一の要因)を排除することができる。このため、高電圧で且つ真空状態であっても、シール材と絶縁粉体3とが混じり合って両者の境界が明確でない沿面31においては、沿面放電は生じない。また、このような沿面31においては、経験上及び実験上、沿面放電が生じないことが確認されている。これにより、シース部10においても、沿面放電の発生を抑制することができる。
したがって、上述した第1実施形態によれば、発熱線2の周りを絶縁粉体3で充填して収容する第1の収容部S1を有するシース部10と、発熱線2と電気的に接続されると共に第1の収容部S1から引き出されたリード線4の周りを絶縁粉体3で充填して収容する第2の収容部S2を有する端子部20と、第1の収容部S1と第2の収容部S2との間を気密にシールするシール部30と、を有するシースヒータ1を採用することによって、高温で使用する場合であっても、沿面放電の発生を抑制することができる。したがって、高温域において安定した出力を確保でき、また、長寿命のシースヒータ1が得られる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図3は、本発明の第2実施形態におけるシースヒータ1を示す断面構成図である。
端子部20は、一端がシール部30によって閉塞されている第2の収容部S2の他端を閉塞すると共に該第2の収容部S2の外にリード線4を引き出すセラミック端子22と、シール部30とセラミック端子22との間の第2の収容部S2を囲う端子管21と、を有する。すなわち、第2の収容部S2が、シール部30とセラミック端子22と端子管21とによって形成されている。
第2実施形態の端子部20は、シール部30とセラミック端子22との間で第2の収容部S2を縮小させて圧迫する圧迫部40を有する。この圧迫部40は、端子管21を、かしめることで形成される。具体的には、第2の収容部S2に絶縁粉体3を充填し、セラミック端子22を接合して端子管21を封口した後に、所定のかしめ装置を用い、端子管21を部分的にかしめることで圧迫部40を形成する。本実施形態では、端子管21の周方向等間隔3方からかしめている。なお、圧迫部40は、かしめの他に、スエージング(絞り)加工により形成してもよい。
圧迫部40は、シール部30に対し所定距離で離間して設けられている。この構成によれば、シール部30をガラス等の脆性材料で形成した場合、圧迫によるシール破壊を抑制することができる。すなわち、圧迫部40とシール部30との間の距離は、圧迫による端子管21の変形による影響と、シール部30の形成材料に係る脆性と、に基づいて設定されている。
上記構成の第2実施形態によれば、第2の収容部S2を縮小させて圧迫することにより絶縁粉体3の充填密度を上げることができる。すなわち、シース部10は大きな径のものを縮径して作られるので絶縁粉体3は高密度で充填されているのに対し、端子部20では、リード線4の配線後、密閉前に絶縁粉体3を端子管21に入れるだけであるので、絶縁粉体3を密に充填することができず、絶縁粉体3が粗となりやすい。そこで、圧迫部40を設けて第2の収容部S2を圧迫し、シール部30との間及びセラミック端子22との間に絶縁粉体3を隙間なく充填させることにより、沿面放電の要因のうち、絶縁粉体3との隙間に関する要因(第一の要因)を排除することができる。これにより、端子部20における沿面放電の発生をより確実に抑制することができる。
また、第2実施形態では、圧迫部40とセラミック端子22との間の距離よりも、圧迫部40とシール部30との間の距離の方が短いという構成を採用している。この構成によれば、圧迫部40に対して近いシール部30の第2の収容部S2側の沿面32においては、隙間なく絶縁粉体3を充填させることができる。また、圧迫部40は、シール部30に対し離間して設けられているため、圧迫の影響によるシール破壊を抑制することができる。
一方で、セラミック端子22の第2の収容部S2側の沿面24においては、圧迫部40に対してシール部30より離れているので絶縁粉体3の充填密度は落ちるものの、圧迫の影響を小さくして端子管21とセラミック端子22と間の密封性を確保することができる。すなわち、例えば圧迫の影響で、端子管21に対してセラミック端子22が飛び出て第2の収容部S2における密封性が損なわれる、といったことを防止することができる。
また、第2実施形態では、さらに、セラミック端子22の第2の収容部S2に充填された絶縁粉体3に面する沿面24は、段差形状24aを有するという構成を採用している。この構成によれば、セラミック端子22の沿面24の外縁に沿って段差形状24aを設けることにより沿面距離を長くして、沿面放電が生じないようにすることができる。また、万が一、何らかの衝撃等で、シール部30におけるシール破壊がされた場合であっても、沿面放電が生じないようにする予備的措置となる。また、沿面24と反対側にも、段差形状24bを設けることで、沿面放電対策を万全としている。
したがって、上述した第2実施形態では、上記実施形態の作用効果に加え、より確実に端子部20における沿面放電の発生を抑制することが可能となる。
(実施例)
以下、実施例により本発明の効果をより明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
図4は、本発明の実施例におけるシースヒータ1を示す断面構成図である。
この実施例は、上述した第2実施形態と略同様の構成であるが、第2のリード線(導体)5と、第2の端子管(管部材)21aとを備える点で異なっている。なお、第2のリード線5は、ニッケルから形成され、第2の端子管21aは、コバールから形成されている。
実施例において、第2の収容部S2内でステンレス線のリード線4からニッケル線の第2のリード線5に繋ぎ替えているのは、電気抵抗の小さいニッケルにすることにより不要な発熱を抑えることと、ニッケルは発熱線2との溶接が難しいことによる。
また、実施例において、端子管21の一部としてコバールの第2の端子管21aを用いているのは、セラミック端子22と熱膨張係数が近いためと、ステンレスの端子管21と溶接する前に端子管21,21a内に絶縁粉体3を充填するためである。
図5は、本発明の実施例におけるシース内部圧力と、加熱時間との関係を示すグラフである。なお、図5において、縦軸は、大気圧を基準とする圧力を示し、横軸は、日数を示す。
図5に示すように、発熱線2の発熱温度を650℃に設定して所定日数、連続通電試験を行った場合には、シース11内部は徐々に負圧になるものの、−0.04メガパスカル(MPa)以上維持されているのが分かる。一方、発熱線2の発熱温度を800℃に設定した場合には、初日で−0.04MPa以下となることから明らかなように、シース11内部は急激に負圧になることが分かる。
下表1は、連続通電試験後に行った耐圧電試験の試験結果を示している。耐圧電試験は、連続通電試験後にシースヒータ1に1500ボルト(V)印加し、地絡が発生するか否かを確認する為のものである。
その結果、従来品(具体的には、図2に示すシースヒータ1のシール部30が無い構造)では、1500V印加、8秒後に地絡が発生し、基準である60秒(sec)を保持できなかった。一方、新構造品(図4に示すシースヒータ1)は、1500V印加下が、基準である60secを問題なく保持できた。
Figure 2013051181
下表2は、従来構造品、新構造品のそれぞれについて複数のサンプルを製作し、それらについて行った試験結果を示している。なお、下表2中、従来構造品とは、図2に示すシースヒータ1のシール部30が無い構造品のことを示す。また、新構造品のうち沿面距離延長品とは、沿面放電対策としては段差形状24aのみで、図4に示すシースヒータ1のシール部30が無い構造品のことを示す。また、新構造品のうちガラスシール品とは、沿面放電対策としてはシール部30のみで、図2に示す構造品のことを示す。また、新構造品のうち沿面+ガラス品とは、沿面放電対策として段差形状24a及びシール部30を有し、図4に示す構造品のことを示す。
Figure 2013051181
表2に示すように、従来構造品では、2つのサンプル(ナンバー2,4)について、絶縁抵抗値の極端な低下(例えば、1000メガオーム(MΩ)から4MΩ)が確認され、また、耐電圧試験においても地絡が確認された。
一方、新構造品では、全てのサンプルについて、絶縁抵抗値の極端な低下も、耐圧試験における地絡も確認されなかった。すなわち、沿面距離延長品では、シール破壊がされた場合であっても、沿面放電が生じないようにする予備的措置として機能していることが分かる。また、ガラスシール品では、沿面放電の要因のうち、真空化に関する要因(第二の要因)を排除することで、沿面放電を抑制できていることが分かる。また、沿面+ガラス品では、沿面放電対策がより確実なものとなっていることが分かる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、図6に示すように、圧迫部40を複数設けても良い。圧迫部40aを形成した後、さらに、圧迫部40bを形成すれば、沿面32における絶縁粉体3の充填具合を適切に調整することができる。また、シール部30から遠いところで1段階の圧迫を行って、シール部30与える影響を考慮しつつ慎重に圧迫を複数回行うことにより、シール破壊をより確実に防止することができる。
また、例えば、上記実施形態では、発熱導体をコイル状として発熱量の多い高温用シースヒータについて説明したが、発熱導体を直線状として発熱量の小さい低温用シースヒータ(所謂、マイクロヒータ)にも本発明を適用することができる。
なお、低温用シースヒータの場合、端子の段差形状のみであっても、沿面放電対策が可能であることは、表2の沿面距離延長品の結果からも明らかである。
1…シースヒータ、2…発熱線(発熱導体)、3…絶縁粉体、3a…端面、4…リード線(導体)、11…シース部、20…端子部、21…端子管(管部材)、22…セラミック端子(端子)、24…沿面、24a…段差形状、30…シール部、31…沿面、32…沿面、S1…第1の収容部、S2…第2の収容部、40…圧迫部

Claims (8)

  1. 発熱導体の周りを絶縁粉体で充填して収容する第1の収容部を有するシース部と、
    前記発熱導体と電気的に接続されると共に前記第1の収容部から引き出された導体の周りを絶縁粉体で充填して収容する第2の収容部を有する端子部と、
    前記第1の収容部と前記第2の収容部との間を気密にシールするシール部と、を有することを特徴とするシースヒータ。
  2. 前記シール部は、前記第1の収容部に充填された前記絶縁粉体の端面上にシール材を流動状態で流し込み、その後固化することで形成される沿面を有することを特徴とする請求項1に記載のシースヒータ。
  3. 前記端子部は、
    一端が前記シール部によって閉塞されている前記第2の収容部の他端を閉塞すると共に該第2の収容部の外に前記導体を引き出す端子と、
    前記シール部と前記端子との間の前記第2の収容部を囲う管部材と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシースヒータ。
  4. 前記端子部は、前記シール部と前記端子との間で前記第2の収容部を縮小させて圧迫する圧迫部を有することを特徴とする請求項3に記載のシースヒータ。
  5. 前記圧迫部は、前記シール部に対し離間して設けられていることを特徴とする請求項4に記載のシースヒータ。
  6. 前記圧迫部と前記端子との間の距離よりも、前記圧迫部と前記シール部との間の距離の方が短いことを特徴とする請求項4または5に記載のシースヒータ。
  7. 前記圧迫部は、前記管部材を、かしめることで形成されることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のシースヒータ。
  8. 前記端子の前記第2の収容部に充填された前記絶縁粉体に面する沿面は、段差形状を有することを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載のシースヒータ。
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