JP2013047821A - 防眩性ハードコートフィルム、それを用いた偏光板、画像表示装置 - Google Patents

防眩性ハードコートフィルム、それを用いた偏光板、画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた防眩性を有し、かつ低へイズ値で、斜め方向からの白ボケを防止して、黒の濃さの向上をすることができる防眩性ハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、微粒子を含有する防眩性ハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムであって、前記防眩性ハードコートフィルムのへイズ値が5〜30%の範囲にあり、防眩性ハードコート層表面の凹凸形状をフーリエ解析して得られる凹凸周期において、下記凸幅1〜1000μmの範囲にあるパワースペクトルの最大値が0.05以上0.15未満にあり、かつ、下記凸幅1μm以上15μm未満におけるパワースペクトルの最大値(a)と下記凸幅15〜1000μmにおけるパワースペクトルの最大値(b)との比率b/aが2.5以下であることを特徴とする。凸幅:得られたパワースペクトルの周期(周波数)の1/2の値(μm)
【選択図】図1

Description

本発明は、防眩性ハードコートフィルム、それを用いた偏光板、画像表示装置、防眩性ハードコートフィルムの評価方法および製造方法に関する。
近年の技術の進歩に伴い、画像表示装置は、従来の陰極管表示装置(CRT)に加え、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)およびエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等が開発され、実用化されている。このなかで、LCDは、高視野角化、高精細化、高速応答性、色再現性などに関する技術革新に伴い、LCDを利用するアプリケーションもノート型パーソナルコンピュータやモニタからテレビへと変化しつつある。LCDには、通常、液晶セルの両側に偏光板が配置された液晶パネルが用いられている。液晶パネル表面には、一般に、偏光板への傷付き防止のため、ハードコート処理が行われている。前記ハードコート処理には、ハードコートフィルムが多く用いられる。前記ハードコートフィルムには、前記液晶パネル表面における蛍光灯や太陽光等の外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するための防眩(アンチグレア)処理が施され、特に、画像表示装置の大画面化が進むのに伴い、防眩性のハードコートフィルムを装着した画像表示装置が増大している。
近年、画質を良くするために画素のサイズが小さい高精細の画像表示装置が増大している。このような高精細の画像表示装置に、従来の防眩性ハードコートフィルムを配置すると、画素中に存在する輝度のバラツキがより強調されて目に見える故障(ギラツキ故障)を引き起こし、著しく画質が悪化していた。従来、高精細に対応する防眩性積層体を作製するためには、防眩層のヘイズ値を高くすることでギラツキを解消する方法がなされているが、この方法では、パネル表面で光を強く散乱させるため、コントラストが大幅に低下する課題があった。さらに、ヘイズ値を高くすると、斜め方向から見た場合、反射光の散乱が強くなりすぎて白ぼけて見えるという、いわゆる斜め方向の白ボケの問題がある。前記防眩処理には、無機、有機粒子などを添加することでフィルム表面に凹凸形状を作製する方法が行われている。防眩性の向上とコントラスト改善や白ボケ改善は、一般的に相反関係にあるとされているが、これらの特性を両立させるための、種々の提案がなされている。例えば、防眩層中に前記粒子から形成される三次元立体構造の凝集部を存在させるという検討がなされているが(例えば、特許文献1参照。)、凝集部での散乱の発生や、ハードコートフィルムに微細模様が現れることがある。また、一部の特性の改善に有効な手段は提案されているが(例えば、特許文献2および3参照。)、上記3つの課題すべてを解決する有効な手段は見出されていなかった。
特開2005−316413号公報 特開2003−4903号公報 特許第4001320号公報
そこで、本発明は、高精細化・高コントラスト化が進むLCD等の画像表示装置の特性を落とすことなく視認性を向上させる防眩性ハードコートフィルムを提供することを目的とする。すなわち、優れた防眩性を有し、かつ低へイズ値で高精細に対応でき、斜め方向からの白ボケを防止して、黒表示時における黒の濃さの向上をすることができる防眩性ハードコートフィルム、それを用いた偏光板および画像表示装置の提供を目的とする。また、本発明は、防眩性ハードコートフィルムを評価する方法であって、防眩性、ギラツキ、白ボケ等の表示特性を簡便に評価する方法を提供することを目的とする。また本発明は前記評価方法を利用した防眩性ハードコートフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の防眩性ハードコートフィルムは、透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、微粒子を含有する防眩性ハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムであって、前記防眩性ハードコートフィルムのへイズ値が5〜30%の範囲にあり、防眩性ハードコート層表面の凹凸形状をフーリエ解析して得られる凹凸周期において、下記凸幅1〜1000μmの範囲にあるパワースペクトルの最大値が0.05以上0.15未満にあり、かつ、下記凸幅1μm以上15μm未満におけるパワースペクトルの最大値(a)と下記凸幅15〜1000μmにおけるパワースペクトルの最大値(b)との比率b/aが2.5以下であることを特徴とする。
凸幅:得られたパワースペクトルの周期(周波数)の1/2の値(μm)
本発明の偏光板は、偏光子および防眩性ハードコートフィルムを有する偏光板であって、前記防眩性ハードコートフィルムが、前記本発明の防眩性ハードコートフィルムであることを特徴とする。
本発明の画像表示装置は、防眩性ハードコートフィルムまたは偏光板を備える画像表示装置であって、前記ハードコートフィルムが前記本発明の防眩性ハードコートフィルムであり、前記偏光板が前記本発明の偏光板であることを特徴とする。
本発明の防眩性ハードコートフィルムの評価方法は、防眩性ハードコート層表面の凹凸形状をフーリエ解析して凹凸周期を得、その凹凸周期において、下記で定義されるAとBの値を用いて防眩性ハードコートフィルムの表示特性を評価することを特徴とする。
A:下記凸幅1〜1000μmの範囲にあるパワースペクトルの最大値
B:下記凸幅1μm以上15μm未満におけるパワースペクトルの最大値(a)と下記
凸幅15〜1000μmにおけるパワースペクトルの最大値(b)との比率b/a
凸幅:得られたパワースペクトルの周期(周波数)の1/2の値(μm)
本発明の防眩性ハードコートフィルムの製造方法は、防眩性ハードコートフィルムの評価工程を含む防眩性ハードコートフィルムの製造方法であって、前記評価工程は表示特性の評価方法を含み、前記表示特性の評価方法が前記本発明の評価方法により実施されることを特徴とする。
本発明の防眩性ハードコートフィルムによれば、例えば、解像度が130ppi程度の高精細の液晶パネル等であっても、ギラツキが抑えられ、さらに、低へイズ値化の実現に伴い、従来の高精細対応防眩性ハードコートフィルムと比較して大幅に明暗コントラストを改善することができる。本発明の防眩性ハードコートフィルムは、特徴ある凹凸形状を実現することにより優れた防眩性を有するとともに、斜め方向からの白ボケを防止することができる。前記白ボケを防止することで、画像表示装置の正面方向への光散乱を抑えることができるため、黒輝度が抑えられて明所でのコントラストを向上させることができる。それにより画像表示装置の黒表示時における黒の濃さの向上をすることができる。したがって、本発明の防眩性ハードコートフィルムまたは偏光板を用いた画像表示装置は、表示特性が優れたものになる。
本発明の防眩性ハードコートフィルムの評価方法によれば、防眩性ハードコートフィルムの表面凹凸形状に基づいたデータを用いることで、目視評価をすることなく防眩性、ギラツキおよび白ボケ等の表示特性を把握することが可能となる。また、前記評価方法により実施される評価工程を含む防眩性ハードコートフィルムの製造方法によれば、防眩性ハードコートフィルムが所望の表示特性を有するか否かを、製造工程上で簡便に評価することができる。
図1は、実施例1の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図2は、実施例2の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図3は、実施例3の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図4は、実施例4の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図5は、実施例5の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図6は、比較例1の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図7は、比較例2の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図8は、比較例3の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図9は、比較例4の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図10は、比較例5の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図11は、比較例6の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図12は、比較例7の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図13は、比較例8の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記防眩性ハードコート層が、前記微粒子と、下記の(A)成分および(B)成分を含むハードコート層形成材料とを用いて形成されていることが好ましい。
(A)成分:アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物
(B)成分:無機酸化物粒子と重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなる粒子
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記(B)成分の重量平均粒径が、200nm以下であることが好ましい。
前記(B)成分において、無機酸化物粒子が、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種の粒子を含むことが好ましい。
前記ハードコート層形成材料において、前記(A)成分100重量部に対し、前記(B)成分が、100〜200重量部の範囲で含まれていることが好ましい。
前記ハードコート層形成材料と前記微粒子との屈折率の差が0.01〜0.04の範囲であり、前記微粒子として、重量平均粒径が0.5〜8μmの範囲である球状もしくは不定形の微粒子を1種類以上含み、前記ハードコート層形成材料100重量部に対して、前記微粒子が3〜10重量部の範囲で含まれていることが好ましい。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記防眩性ハードコート層の厚みが、前記微粒子の重量平均粒径の1.2〜3倍の範囲であることが好ましい。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記防眩性ハードコート層の上に反射防止層が形成されていることが好ましい。
本発明の防眩性ハードコートフィルムの評価方法において、前記凸幅1〜1000μmの範囲にあるパワースペクトルの最大値が0.05以上0.15未満の範囲であるか否か、および、前記b/aが2.5以下であるか否かを判断することが好ましい。
つぎに、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の記載により制限されない。
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、透明プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に、防眩性ハードコート層を有するものである。
前記透明プラスチックフィルム基材は、特に制限されないが、可視光の光線透過率に優れ(好ましくは光線透過率90%以上)、透明性に優れるもの(好ましくはヘイズ値1%以下)のものが好ましい。前記透明プラスチックフィルム基材の形成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等があげられる。また、前記透明プラスチックフィルム基材の形成材料としては、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等もあげられる。さらに、前記透明プラスチックフィルム基材の形成材料としては、例えば、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等もあげられる。これらのなかで、光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。本発明の防眩性ハードコートフィルムは、例えば、保護フィルムとして偏光板に使用することもでき、この場合には、前記透明プラスチックフィルム基材としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン等から形成されたフィルムが好ましい。また、本発明において、後述するように、前記透明プラスチックフィルム基材は、偏光子自体であってもよい。このような構成であると、TAC等からなる保護層を不要とし偏光板の構造を単純化できるので、偏光板若しくは画像表示装置の製造工程数を減少させ、生産効率の向上が図れる。また、このような構成であれば、偏光板を、より薄層化することができる。なお、前記透明プラスチックフィルム基材が偏光子である場合には、防眩性ハードコート層が、従来の保護層としての役割を果たすことになる。また、このような構成であれば、防眩性ハードコートフィルムは、液晶セル表面に装着されるカバープレートとしての機能を兼ねることになる。
本発明において、前記透明プラスチックフィルム基材の厚みは、特に制限されないが、例えば、強度、取り扱い性などの作業性および薄層性などの点を考慮すると、10〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは20〜300μmの範囲であり、最適には、30〜200μmの範囲である。前記透明プラスチックフィルム基材の屈折率は、特に制限されない。前記屈折率は、例えば、1.30〜1.80の範囲であり、好ましくは、1.40〜1.70の範囲である。
前記防眩性ハードコート層は、前記微粒子および前記ハードコート層形成材料を用いて形成される。前述のように、前記ハードコート層形成材料は、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線や光で硬化する電離放射線硬化性樹脂があげられる。前記ハードコート層形成材料として、市販の熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂等を用いることも可能であるが、前記ハードコート層形成材料は、例えば、下記の(A)成分および(B)成分を含むものが好ましい。
(A)成分:アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物
(B)成分:無機酸化物粒子と重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなる粒子
前記(A)成分としては、例えば、熱、光(紫外線等)または電子線等により硬化するアクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物が使用できる。前記(A)成分としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物のアクリレートやメタクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマー等があげられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記(A)成分としては、例えば、アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する反応性希釈剤を用いることもできる。前記反応性希釈剤は、例えば、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能アクリレート、多官能メタクリレート等を含む。前記単官能アクリレートは、例えば、エチレンオキサイド変性フェノールのアクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノールのアクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノールのアクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノールのアクリレート、2−エチルへキシルカルビトールアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、トリプロピレングリコールモノアクリレート等を含む。前記単官能メタクリレートは、例えば、エチレンオキサイド変性フェノールのメタクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノールのメタクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノールのメタクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノールのメタクリレート、2−エチルへキシルカルビトールメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、トリプロピレングリコールモノメタクリレート等を含む。前記多官能アクリレートは、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールのジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAのジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAのジアクリレート、エチレンオキサイド変性水添ビスフェノールAのジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンアリルエーテルジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を含む。前記多官能メタクリレートは、例えば、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールのジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAのジメタクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAのジメタクリレート、エチレンオキサイド変性水添ビスフェノールAのジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパンアリルエーテルジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を含む。前記反応性希釈剤としては、3官能以上のアクリレート、3官能以上のメタクリレートが好ましい。これは、防眩性ハードコート層の硬度を、より優れたものにできるからである。前記(A)成分としては、例えば、ブタンジオールグリセリンエーテルジアクリレート、イソシアヌル酸のアクリレート、イソシアヌル酸のメタクリレート等もあげられる。前記(A)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記(B)成分は、前述のとおりである。前記(B)成分において、無機酸化物粒子としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム等の微粒子があげられる。これらの中でも、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウムの微粒子が好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、光の散乱防止、ハードコート層の透過率低下防止、着色防止および透明性の点等から、前記(B)成分は、重量平均粒径が1nm〜200nmの範囲である、いわゆるナノ粒子であることが好ましい。前記重量平均粒径は、例えば、後述の実施例に記載の方法により測定できる。前記重量平均粒径は、より好ましくは、1nm〜100nmの範囲である。ナノ粒子である前記(B)成分を前記(A)成分に添加すると、例えば、後述の溶媒の選択により、塗工および乾燥工程における前記微粒子の動きに変化が起こることを、発明者らは見出した。すなわち、ナノ粒子を添加した系では、ある特定の溶媒を用いると、前記微粒子による表面凹凸が形成されにくく、別の特定の溶媒を用いると、前記凹凸が形成されやすいという傾向が生じた。前記ナノ粒子が含有されていなければ、溶媒の種類による表面凹凸形状の差異は大きくなかった。これらの現象から、前記ナノ粒子が含まれていると、ナノ粒子および微粒子に斥力が働くため前記微粒子が比較的均一に分散しやすく、また、塗工および乾燥工程での微粒子の動きも制御しやすく、そのため、微粒子の添加部数を少なくでき、効果的に本発明の表面凹凸形状を作製することができるものと推察できる。ただし、本発明は、この推察により、なんら制限ないし限定されない。
前記(B)成分において、前記無機酸化物粒子は、重合性不飽和基を含む有機化合物と結合(表面修飾)されている。前記重合性不飽和基が前記(A)成分と反応硬化することで、ハードコート層の硬度を向上させる。前記重合性不飽和基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基が好ましい。また、前記重合性不飽和基を含む有機化合物は、分子内にシラノール基を有する化合物あるいは加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。前記重合性不飽和基を含む有機化合物は、光感応性基を有するものであることも好ましい。
前記(B)成分の配合量は、前記(A)成分100重量部に対し、100〜200重量部の範囲であることが好ましい。前記(B)成分の配合量を100重量部以上とすることで、防眩性ハードコートフィルムのカールおよび折れの発生を、より効果的に防止でき、200重量部以下とすることで、耐擦傷性や鉛筆硬度を高いものとすることができる。前記(B)成分の配合量は、前記(A)成分100重量部に対し、より好ましくは、100〜150重量部の範囲である。
前記(B)成分の配合量を調整することで、例えば、前記防眩性ハードコート層の屈折率を調整することが可能である。後述の反射防止層を設けない場合は、反射率を抑えるために防眩性ハードコート層の屈折率を低くするとよい。反射防止層(低屈折率層)を設ける場合には、防眩性ハードコート層の屈折率を高くすることで、可視光線の波長領域の反射を均一に低減することが可能となる。
前記ハードコート層形成材料は、例えば、下記の(D)成分、(E)成分および(F)成分を含むものも好ましい。
(D)成分:ウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレートの少なくとも一方
(E)成分:ポリオールアクリレートおよびポリオールメタクリレートの少なくとも一方
(F)成分:下記(F1)および下記(F2)の少なくとも一方から形成されるポリマー若しくはコポリマー又は前記ポリマーとコポリマーの混合ポリマー
(F1):水酸基およびアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキルアクリレート
(F2):水酸基およびアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキルメタクリレート
前記(D)成分である前記ウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレートとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリオール、ジイソシアネートを構成成分として含有するものが用いられる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの少なくとも一つのモノマーと、ポリオールとを用いて、水酸基を1個以上有するヒドロキシアクリレートおよび水酸基を1個以上有するヒドロキシメタクリレートの少なくとも一方を作製し、これをジイソシアネートと反応させることによりウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレートの少なくとも一方を製造することができる。前記(D)成分において、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレートは、一種類を単独で使用でもよく、または二種類以上を併用してもよい。
アクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート;シクロヘキシルアクリレート等のシクロアルキルアクリレート等があげられる。メタクリル酸エステルとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;シクロヘキシルメタクリレート等のシクロアルキルメタクリレート等があげられる。
前記ポリオールは、水酸基を少なくとも2つ有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、トリシクロデカンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類等があげられる。
前記ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族または脂環族の各種のジイソシアネート類を使用することができ、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等、さらにはこれらの水添物等があげられる。
前記(D)成分の配合割合は、特に制限されない。前記(D)成分の使用により、形成される防眩性ハードコート層の柔軟性および透明プラスチックフィルム基材に対する密着性を向上させることができる。これらの点および防眩性ハードコート層の硬度の観点等から、前記(D)成分の配合割合は、前記ハードコート層形成材料中の樹脂成分全体に対し、例えば、15〜55重量%の範囲であり、好ましくは、25〜45重量%の範囲である。前記樹脂成分全体とは、(D)成分、(E)成分および(F)成分の合計量、若しくは、その他の樹脂成分を用いる場合は、前記三成分の合計量と前記樹脂成分の合計量とを合わせた量を意味し、以下、同様である。
前記(E)成分としては、例えば、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート等があげられ、これらは単独でもよいし二種類以上を併用してもよい。例えば、前記ポリオールアクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの重合物からなるモノマー成分およびペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを含む混合成分が、好ましい。
前記(E)成分の配合割合は、特に制限されない。例えば、前記(E)成分の配合割合は、前記(D)成分に対し70〜180重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜150重量%の範囲である。前記(E)成分の配合割合が前記(E)成分に対し180重量%以下であると、形成される防眩性ハードコート層の硬化収縮を有効に防止でき、その結果、防眩性ハードコートフィルムのカールを防止でき、屈曲性の低下を防止できる。また、前記(E)成分の配合割合が前記(D)成分の70重量%以上であれば、形成される防眩性ハードコート層の硬度をより向上させることができ、耐擦傷性を向上させることが可能となる。
前記(F)成分において、(F1)および(F2)のアルキル基は、特に制限されず、例えば、炭素数1〜10のアルキル基であって、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。前記(F)成分としては、例えば、下記一般式(1)の繰り返し単位を含むポリマー、コポリマー若しくは前記ポリマーおよび前記コポリマーの混合物があげられる。
Figure 2013047821
前記式(1)において、Rは、−H若しくは‐CHであり、Rは、−CHCHOX若しくは下記一般式(2)で表される基であり、前記Xは、−H若しくは下記一般式(3)で表されるアクリロイル基である。
Figure 2013047821
前記一般式(2)において、前記Xは、−H若しくは下記一般式(3)で表されるアクリロイル基であり、前記Xは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Figure 2013047821
前記(F)成分としては、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジアクリロイルオキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3−ジアクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2−アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−アクリロイルオキシメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一つのモノマーから形成されたポリマー、コポリマー若しくは前記ポリマーおよび前記コポリマーの混合物があげられる。
前記(F)成分の配合割合は、特に制限されない。例えば、前記(F)成分の配合割合は、前記(D)成分に対し、25〜110重量%の範囲が好ましく、より好ましくは45〜85重量%の範囲である。前記(F)成分の配合割合が110重量%以下であれば、防眩性ハードコート層形成材料の塗工性が優れるようになり、前記(F)成分の配合割合が25重量%以上であれば、形成される防眩性ハードコート層の硬化収縮を防止でき、その結果、防眩性ハードコートフィルムにおいて、カール発生を防止可能となる。
前記防眩性ハードコート層を形成するための微粒子は、形成される防眩性ハードコート層表面を凹凸形状にして防眩性を付与し、また、前記防眩性ハードコート層のヘイズ値を制御することを主な機能とする。前記防眩性ハードコート層のヘイズ値は、前記微粒子と前記ハードコート層形成材料との屈折率差を制御することで、設計することができる。前記微粒子としては、例えば、無機微粒子と有機微粒子とがある。前記無機微粒子は、特に制限されず、例えば、酸化ケイ素微粒子、酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化錫微粒子、炭酸カルシウム微粒子、硫酸バリウム微粒子、タルク微粒子、カオリン微粒子、硫酸カルシウム微粒子等があげられる。また、有機微粒子は、特に制限されず、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末(PMMA微粒子)、シリコーン樹脂粉末、ポリスチレン樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、アクリルスチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、ポリオレフィン樹脂粉末、ポリエステル樹脂粉末、ポリアミド樹脂粉末、ポリイミド樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂粉末等があげられる。これらの無機微粒子および有機微粒子は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記微粒子の重量平均粒径は、0.5〜8μmの範囲であることが好ましい。前記微粒子の重量平均粒径が、前記範囲より大きくなると、画像鮮明性が低下し、また前記範囲より小さいと、十分な防眩性が得られず、ギラツキも大きくなるという問題が生じやすくなる。前記微粒子の重量平均粒径は、より好ましくは、2〜6μmの範囲、さらに好ましくは、3〜6μmの範囲である。また、前記微粒子の重量平均粒径は、前記防眩性ハードコート層の厚みの30〜80%の範囲であることも好ましい。なお、前記微粒子の重量平均粒径は、例えば、コールターカウント法により測定できる。例えば、細孔電気抵抗法を利用した粒度分布測定装置(商品名:コールターマルチサイザー、ベックマン・コールター社製)を用い、微粒子が前記細孔を通過する際の微粒子の体積に相当する電解液の電気抵抗を測定することにより、前記微粒子の数と体積を測定し、重量平均粒径を算出する。
前記微粒子の形状は特に制限されず、例えば、ビーズ状の略球形であってもよく、粉末等の不定形のものであってもよいが、略球形のものが好ましく、より好ましくは、アスペクト比が1.5以下の略球形の微粒子であり、最も好ましくは球形の微粒子である。
前記微粒子の配合割合は、前記ハードコート層形成材料100重量部に対し、3〜20重量部の範囲が好ましく、より好ましくは、5〜15重量部の範囲である。
前記防眩性ハードコート層の厚みは、前記微粒子の重量平均粒径の1.2〜3倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.2〜2倍の範囲である。さらに、前記防眩性ハードコート層の厚みは、塗工性および鉛筆硬度の観点から、8〜12μmの範囲であることが好ましく、この厚み範囲になるように前記微粒子の重量平均粒径を調整することが好ましい。前記厚みが前記所定の範囲であれば、微細な凹凸が独立に多数存在する本発明の防眩性ハードコートフィルムの表面形状を実現しやすく、前記防眩性ハードコート層の硬度も十分なものとなる(例えば、鉛筆硬度で4H以上)。また、前記厚みが前記所定の範囲より大きいときは、カールが大きく塗工時のライン走行性が低下するという問題があり、さらに防眩性の低下の問題もある。また、前記厚みが前記所定の範囲より小さい場合は、ギラツキが防止できず、鮮明性が低下するという問題がある。
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、ヘイズ値が5〜30%の範囲である。前記ヘイズ値とは、JIS K7136(2000年版)に準じたヘイズ値(曇度)である。前記ヘイズ値は、5〜20%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜10%の範囲である。ヘイズ値を上記範囲とするためには、前記微粒子と前記ハードコート層形成材料との屈折率差が0.01〜0.04の範囲となるように、前記微粒子と前記ハードコート層形成材料とを選択することが好ましい。ヘイズ値が前記範囲であることにより、鮮明な画像が得られ、また、暗所でのコントラストを向上させることができる。ヘイズ値が低すぎるとギラツキ故障が起こりやすくなるが、前記範囲のヘイズ値を有する防眩性ハードコートフィルムであると、ギラツキを防ぐことができる。
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、防眩性ハードコート層表面の凹凸形状をフーリエ解析して得られる凹凸周期において、凸幅1〜1000μmの範囲にあるパワースペクトルの最大値が0.05以上0.15未満にあり、かつ、前記凸幅1μm以上15μm未満におけるパワースペクトルの最大値(a)と前記凸幅15〜1000μmにおけるパワースペクトルの最大値(b)との比率b/aが2.5以下である。本発明における前記防眩性ハードコート層表面の凹凸形状とは、前記防眩性ハードコートフィルム表面の任意な箇所での任意な一直線上における凹凸プロファイルをいう。前記凹凸形状は、後述の実施例で使用する触針式の表面粗さ測定装置等によって測定することができる。前記凹凸形状をフーリエ解析することで、パワースペクトルが得られる。パワースペクトルとは、複数の周波数成分が含まれたデータについて、その含まれる周波数成分をその強度とともに示したものである。凸幅とは、得られたパワースペクトルの周期(周波数)の1/2の値(μm)をいう。
表面凹凸形状は、厳密には「波」ではなく、フーリエ解析は一般的なものではない。しかし、フーリエ解析を用いて表面凹凸形状から表示特性を評価することは、防眩性ハードコートフィルムの特性評価においては非常に有効な手段である。すなわち、防眩性ハードコートフィルムに要求される防眩性、ギラツキ防止および白ボケ防止等の特性を評価するうえでは、部分的に突出した凹凸がある場合等で前記諸特性に大きく影響することがあるため、平均的な表面粗さ等の指標のみで前記諸特性等を十分に評価しきれないことがあった。そのため、フィルム単独での評価だけでなく、パネル等に実装した状態での視認評価等が必要であった。本発明の評価方法によると、パネル等に実装した状態での視認評価をすることなく、簡便に、防眩性ハードコートフィルムの表示特性を評価することができる。
前記パワースペクトルの最大値は、0.07〜0.12の範囲がより好ましく、さらに好ましくは0.08〜0.10の範囲である。防眩性ハードコートフィルムの表面における外光や像の映り込みを防ぐためには、ある程度の表面の荒れが必要であるが、前記パワースペクトルの最大値が0.05以上あることで前記映り込みを改善することができる。また、白ボケの防止のためには、前記パワースペクトルの最大値が0.15以下であることが必要であり、さらに、表面が全体に荒れているのではなく、うねり状もしくは微細な凹凸がまばらにあるような表面の凹凸形状を有しているのがよい。このような形状であるためにはb/aが2.5以下であることが必要である。b/aは、好ましくは0.5〜2.3の範囲であり、より好ましくは1〜2の範囲である。
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、前記パワースペクトルの最大値および前記b/aで規定されるような凹凸形状を有し、かつ、前記範囲のヘイズ値で規定される内部散乱を有することで、防眩性向上とギラツキおよび白ボケ解消とを両立させることができる。
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、例えば、前記微粒子、前記ハードコート層形成材料および溶媒を含む防眩性ハードコート層形成材料を準備し、前記防眩性ハードコート層形成材料を前記透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させて前記防眩性ハードコート層を形成することにより、製造できる。
前記溶媒は、特に制限されず、種々の溶媒を使用可能であるが、ハードコート層形成材料組成や微粒子の種類、含有量等に応じて、本発明の防眩性ハードコートフィルムを得るために、最適な溶媒種類や溶媒比率が存在する。前記溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n−ペンチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等があげられる。これらは、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
例えば、後述の実施例1で使用したハードコート層形成材料につき、微粒子を5重量部添加し、固形分濃度を45重量%として、防眩性ハードコート層の厚みを約10μmとした場合には、MIBK/MEKの比率は、少なくとも1.5/1〜2.0/1の範囲で本発明の特性を有する防眩性ハードコートフィルムが得られる。酢酸ブチル/MEKの場合は、少なくとも1.5/1〜3.0/1の範囲で本発明の特性を有する防眩性ハードコートフィルムが得られる。後述の実施例1で使用したハードコート層形成材料のように、前記(B)成分がナノ粒子である場合には、例えば、前記溶媒の種類や混合比率により、ナノ粒子および前記微粒子の分散状態に変化が起きることで、防眩性ハードコート層表面の凹凸傾向が変化することが推察される。ただし、本発明は、この推察により、なんら制限ないし限定されない。例えば、後述の前記ハードコート層形成材料であると、溶媒がMEK、シクロペンタノン、酢酸エチル、アセトン等の場合には、表面に凹凸が形成されやすく、溶媒がMIBK、トルエン、酢酸ブチル、2−プロパノール、エタノール等の場合には、表面に凹凸が形成されにくい。そのため、本発明の特性を有する防眩性ハードコートフィルムを得るためには、溶媒の種類や溶媒の比率によって表面形状の制御をすることも好ましい。
前記防眩性ハードコート層形成材料には、各種レベリング剤を添加することができる。前記レベリング剤としては、例えば、フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤があげられ、好ましくは、シリコーン系レベリング剤である。前記シリコーン系レベリング剤としては、例えば、反応性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等があげられる。これらのシリコーン系レベリング剤のなかで、前記反応性シリコーンが特に好ましい。前記反応性シリコーンを添加することにより、表面に滑り性が付与され耐擦傷性が長期間にわたり持続するようになる。また、前記反応性シリコーンとしてヒドロキシル基を有するものを用いれば、後述のように反射防止層(低屈折率層)としてシロキサン成分を含有するものを、前記防眩性ハードコート層上に形成した場合、前記反射防止層と前記防眩性ハードコート層の密着性が向上する。
前記レベリング剤の配合量は、前記樹脂成分全体100重量部に対して、例えば、5重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部の範囲である。
前記防眩性ハードコート層の形成材料には、必要に応じて、性能を損なわない範囲で、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、防汚剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤等が添加されてもよい。これらの添加剤は一種類を単独で使用してもよく、また二種類以上併用してもよい。
前記防眩性ハードコート層形成材料には、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。前記光重合開始剤としては、例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等があげられ、その他、チオキサントン系化合物等が使用できる。
前記防眩性ハードコート層形成材料を透明プラスチックフィルム基材上に塗工する方法としては、例えば、ファンテンコート法、ダイコート法、スピンコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、バーコート法等の塗工法を用いることができる。
前記防眩性ハードコート層形成材料を塗工して前記透明プラスチックフィルム基材の上に塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させる。前記硬化に先立ち、前記塗膜を乾燥させることが好ましい。前記乾燥は、例えば、自然乾燥でもよいし、風を吹きつけての風乾であってもよいし、加熱乾燥であってもよいし、これらを組み合わせた方法であってもよい。
前記防眩性ハードコート層形成材料の塗膜の硬化手段は、特に制限されないが、熱硬化または電離放射線硬化が好ましく、より好ましくは電離放射線硬化である。電離放射線硬化の手段には各種活性エネルギーを用いることができるが、紫外線が好ましい。エネルギー線源としては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素などの線源が好ましい。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cmが好ましい。照射量が、50mJ/cm以上であれば、硬化がより十分となり、形成される防眩性ハードコート層の硬度もより十分なものとなる。また、5000mJ/cm以下であれば、形成される防眩性ハードコート層の着色を防止することができる。
以上のようにして、前記透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、前記防眩性ハードコート層を形成することにより、本発明の防眩性ハードコートフィルムを製造することができる。なお、本発明の防眩性ハードコートフィルムは、前述の方法以外の製造方法で製造してもよい。本発明の防眩性ハードコートフィルムの硬度は、鉛筆硬度において、層の厚みにも影響されるが、例えば、2H以上の硬度を有する。
本発明の防眩性ハードコートフィルムの製造方法においては、防眩性ハードコートフィルムの評価工程を含み、前記評価工程は表示特性の評価方法を含むものである。前記表示特性の評価方法としては、前記パワースペクトルの最大値および前記b/aの値を用いて評価する方法により実施される。特に、防眩性ハードコートフィルムの表示特性として、防眩性、ギラツキおよび白ボケの評価を行う際には、前記パワースペクトルの最大値が0.05以上0.15未満であるか否か、かつ、前記b/aが2.5以下であるか否かを判断することで、表示特性の評価を行うことが好ましい。前記評価工程は、例えば、前記防眩性ハードコート層形成材料を塗工して前記透明プラスチックフィルム基材の上に塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させる工程の後に行うことができるが、これに限定されず、防眩性ハードコート層表面の凹凸形状を測定できる段階であれば行うことができる。
本発明の防眩性ハードコートフィルムの一例としては、透明プラスチックフィルム基材の片方の面に、防眩性ハードコート層が形成されているものをあげることができる。前記防眩性ハードコート層は、微粒子を含んでおり、これによって、防眩性ハードコート層の表面が凹凸形状となっている。なお、この例では、透明プラスチックフィルム基材の片面に防眩性ハードコート層が形成されているが、本発明は、これに限定されず、透明プラスチックフィルム基材の両面に防眩性ハードコート層が形成された防眩性ハードコートフィルムであってもよい。また、この例の防眩性ハードコート層は、単層であるが、本発明は、これに制限されず、前記防眩性ハードコート層は、二層以上が積層された複数層構造であってもよい。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記防眩性ハードコート層の上に、反射防止層(低屈折率層)を配置してもよい。この例の防眩性ハードコートフィルムは、透明プラスチックフィルム基材の片面に、微粒子を含む防眩性ハードコート層が形成され、この防眩性ハードコート層の上に反射防止層が形成されているという構成である。光は物体に当たると、その界面での反射、内部での吸収、散乱といった現象を繰り返して物体の背面に透過していく。例えば、画像表示装置に防眩性ハードコートフィルムを装着した場合、画像の視認性を低下させる要因のひとつに空気と防眩性ハードコート層界面での光の反射が上げられる。反射防止層は、その表面反射を低減させるものである。なお、防眩性ハードコート層および反射防止層は、透明プラスチックフィルム基材の両面に形成してもよい。また、防眩性ハードコート層および反射防止層は、それぞれ、二層以上が積層された複数層構造であってもよい。
本発明において、前記反射防止層は、厚みおよび屈折率を厳密に制御した光学薄膜若しくは前記光学薄膜を二層以上積層したものである。前記反射防止層は、光の干渉効果を利用して入射光と反射光の逆転した位相を互いに打ち消し合わせることで反射防止機能を発現する。反射防止機能を発現させる可視光線の波長領域は、例えば、380〜780nmであり、特に視感度が高い波長領域は450〜650nmの範囲であり、その中心波長である550nmの反射率を最小にするように反射防止層を設計することが好ましい。
光の干渉効果に基づく前記反射防止層の設計において、その干渉効果を向上させる手段としては、例えば、前記反射防止層と前記防眩性ハードコート層の屈折率差を大きくする方法がある。一般的に、二ないし五層の光学薄層(厚みおよび屈折率を厳密に制御した薄膜)を積層した構造の多層反射防止層では、屈折率の異なる成分を所定の厚さだけ複数層形成することで、反射防止層の光学設計の自由度が上がり、より反射防止効果を向上させることができ、分光反射特性も可視光領域で均一(フラット)にすることが可能になる。前記光学薄膜において、高い厚み精度が要求されるため、一般的に、各層の形成は、ドライ方式である真空蒸着、スパッタリング、CVD等で実施される。
多層反射防止層としては、屈折率の高い酸化チタン層(屈折率:約1.8)の上に屈折率の低い酸化ケイ素層(屈折率:約1.45)を積層した二層構造のものが好ましく、より好ましくは、酸化チタン層の上に酸化ケイ素層を積層し、この酸化ケイ素層の上に酸化チタン層を積層し、この酸化チタン層の上に酸化ケイ素層を積層した四層構造のものである。これらの二層反射防止層若しくは四層反射防止層を形成することにより、可視光線の波長領域(例えば、380〜780nmの範囲)の反射を均一に低減することが可能である。
また、防眩性ハードコート層の上に単層の光学薄膜(反射防止層)を形成することによっても反射防止効果を発現させることが可能である。一般的に単層反射防止層の形成には、例えば、ウェット方式であるファンテンコート、ダイコート、スピンコート、スプレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコート等の塗工法が採用される。
単層反射防止層の形成材料は、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂系材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド系材料、テトラエトキシシラン、チタンテトラエトキシド等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル系材料等があげられる。また、前記形成材料において、表面の防汚染性付与のためにフッ素基を含有するものが好ましい。前記形成材料において、耐擦傷性等の理由から、無機成分含有量が多い形成材料が好ましく、より好ましくは前記ゾル−ゲル系材料である。前記ゾル−ゲル系材料は、部分縮合して用いることができる。
反射防止層(低屈折率層)には、膜強度を向上させるために、無機ゾルを含有させてもよい。前記無機ゾルとしては、特に制限されず、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化マグネシウム等の無機ゾルがあげられ、この中で、シリカゾルが好ましい。前記無機ゾルの配合割合は、例えば、前記反射防止層形成材料の全固形分100重量部に対し10〜80重量部の範囲である。前記無機ゾル中の無機微粒子の粒径は、2〜50nmの範囲が好ましく、5〜30nmの範囲がより好ましい。
前記反射防止層の形成材料には、中空で球状の酸化ケイ素超微粒子が含まれていることが好ましい。前記酸化ケイ素超微粒子は、平均粒子径が5〜300nm程度であることが好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましい。前記酸化ケイ素超微粒子は、例えば、細孔を有する外殻の内部に空洞が形成されている中空球状であり、その空洞内に前記酸化ケイ素超微粒子の調製時の溶媒および気体の少なくとも一方を包含したものである。また、前記酸化ケイ素超微粒子の前記空洞を形成するための前駆体物質が前記空洞内に残存していることが好ましい。前記外殻の厚さは、1〜50nm程度の範囲であり、かつ前記酸化ケイ素超微粒子の平均粒子径の1/50〜1/5程度の範囲であることが好ましい。前記外殻は、複数の被覆層から形成されていることが好ましい。また、前記酸化ケイ素超微粒子において、前記細孔が閉塞され、前記空洞が前記外殻により密封されていることが好ましい。これは、前記反射防止層中において、前記酸化ケイ素超微粒子の多孔質または空洞が維持されており、前記反射防止層の屈折率をより低減させることが可能なためである。このような中空で球状の酸化ケイ素超微粒子の製造方法としては、例えば、特開2000−233611号公報に開示されたシリカ系微粒子の製造方法が好適に採用される。
反射防止層(低屈折率層)を形成する際の乾燥および硬化の温度は、特に制限されず、例えば、60〜150℃の範囲であり、好ましくは、70〜130℃の範囲であり、前記乾燥および硬化の時間は、例えば、1〜30分の範囲であり、生産性を考えた場合には、1〜10分の範囲が好ましい。また、前記乾燥および硬化後、さらに加熱処理を行うことにより、反射防止層を有する高硬度の防眩性ハードコートフィルムが得られる。前記加熱処理の温度は、特に制限されず、例えば、40〜130℃の範囲であり、好ましくは50〜100℃の範囲であり、前記加熱処理時間は、特に制限されず、例えば、1分〜100時間、耐擦傷性向上の観点からは、10時間以上行うことがより好ましい。前記加熱処理は、ホットプレート、オーブン、ベルト炉等を用いた方法により実施できる。
反射防止層を有する防眩性ハードコートフィルムを画像表示装置に装着する場合、前記反射防止層が最外層になる頻度が高いため、外部環境からの汚染を受けやすい。反射防止層は、単なる透明板等に比べて汚染が目立ちやすく、例えば、指紋、手垢、汗や整髪料等の汚染物の付着によって表面反射率が変化したり、付着物が白く浮き出て見えて表示内容が不鮮明になる場合がある。汚染物の付着防止および付着した汚染物の除去容易性の向上のために、フッ素基含有のシラン系化合物若しくはフッ素基含有の有機化合物等から形成される汚染防止層を前記反射防止層上に積層することが好ましい。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記透明プラスチックフィルム基材および前記防眩性ハードコート層の少なくとも一方に対し表面処理を行うことが好ましい。前記透明プラスチックフィルム基材表面を表面処理すれば、前記防眩性ハードコート層または偏光子若しくは偏光板との密着性がさらに向上する。また、前記防眩性ハードコート層表面を表面処理すれば、前記反射防止層または偏光子若しくは偏光板との密着性がさらに向上する。前記表面処理としては、例えば、低圧プラズマ処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理があげられる。前記透明プラスチックフィルム基材として、トリアセチルセルロースフィルムを用いた場合の表面処理としては、アルカリ処理が好ましい。このアルカリ処理は、例えば、トリアセチルセルロースフィルム表面をアルカリ溶液に接触させた後、水洗し乾燥することで実施できる。前記アルカリ溶液としては、例えば、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が使用できる。前記アルカリ溶液の水酸化物イオンの規定濃度は、0.1〜3.0N(mol/L)の範囲が好ましく、より好ましくは、0.5〜2.0N(mol/L)の範囲である。
前記透明プラスチックフィルム基材の一方の面に前記防眩性ハードコート層が形成されている防眩性ハードコートフィルムにおいて、カール発生を防止するために、他方の面に対し溶剤処理を行ってもよい。前記溶剤処理は、前記透明プラスチックフィルム基材を溶解可能な溶剤若しくは膨潤可能な溶剤を接触させることにより実施できる。前記溶剤処理により、前記他方の面にもカールしようとする力を付与し、これによって前記防眩性ハードコート層の形成によりカールしようとする力を相殺することで、カール発生を防止できる。同様に、前記透明プラスチックフィルム基材の一方の面に前記防眩性ハードコート層が形成されている防眩性ハードコートフィルムにおいて、カール発生を防止するために、他方の面に透明樹脂層を形成してもよい。前記透明樹脂層としては、例えば熱可塑性樹脂、放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、その他の反応型樹脂を主成分とする層があげられる。これらの内でも特に熱可塑性樹脂を主成分とする層が好ましい。
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、通常、前記透明プラスチックフィルム基材側を、粘着剤や接着剤を介して、LCDに用いられている光学部材に貼り合せることができる。なお、この貼り合わせにあたり、前記透明プラスチックフィルム基材表面に対し、前述のような各種の表面処理を行ってもよい。
前記光学部材としては、例えば、偏光子または偏光板があげられる。偏光板は、偏光子の片側または両側に透明保護フィルムを有するという構成が一般的である。偏光子の両面に透明保護フィルムを設ける場合は、表裏の透明保護フィルムは、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。偏光板は、通常、液晶セルの両側に配置される。また、偏光板は、2枚の偏光板の吸収軸が互いに略直交するように配置される。
つぎに、本発明の防眩性ハードコートフィルムを積層した光学部材について、偏光板を例にして説明する。本発明の防眩性ハードコートフィルムを、接着剤や粘着剤などを用いて偏光子または偏光板と積層することによって、本発明の機能を有した偏光板を得ることができる。
前記偏光子としては、特に制限されず、各種のものを使用できる。前記偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらの中でもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が、偏光二色比が高く、好ましい。前記偏光子の厚みは特に制限されないが、例えば、5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。前記ヨウ素の水溶液は、必要に応じて、ホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよい。また、別途、ホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系フィルムを浸漬してもよい。また、必要に応じて、染色の前に、ポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することで、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができ、その他に、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止するという効果もある。延伸は、ヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れるものが好ましい。前記透明保護フィルムを形成する材料としては、例えば、前記透明プラスチックフィルム基材と同様のものがあげられる。
また、透明保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載の高分子フィルムがあげられる。前記公報に記載の高分子フィルムは、例えば(A)側鎖に置換イミド基および非置換イミド基の少なくとも一方のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換フェニル基および非置換フェニル基の少なくとも一方のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂とを含有する樹脂組成物から形成された高分子フィルムがあげられる。前記樹脂組成物から形成された高分子フィルムとしては、例えば、イソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル−スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物から形成された高分子フィルムがあげられる。前記高分子フィルムは、前記樹脂組成物を、フィルム状に押出成型することにより製造できる。前記高分子フィルムは、位相差が小さく、光弾性係数が小さいため、偏光板等の保護フィルムに適用した場合には、歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
前記透明保護フィルムは、偏光特性や耐久性などの点から、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂製のフィルムおよびノルボルネン系樹脂製のフィルムが好ましい。前記透明保護フィルムの市販品としては、例えば、商品名「フジタック」(富士フイルム社製)、商品名「ゼオノア」(日本ゼオン社製)、商品名「アートン」(JSR社製)などがあげられる。
前記透明保護フィルムの厚みは、特に制限されないが、強度、取扱性等の作業性、薄層性等の点より、例えば、1〜500μmの範囲である。前記の範囲であれば、偏光子を機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光子が収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。前記透明保護フィルムの厚みは、好ましくは、5〜200μmの範囲であり、より好ましくは、10〜150μmの範囲である。
前記防眩性ハードコートフィルムを積層した偏光板の構成は、特に制限されないが、例えば、前記防眩性ハードコートフィルムの上に、透明保護フィルム、前記偏光子および前記透明保護フィルムを、この順番で積層した構成でもよいし、前記防眩性ハードコートフィルム上に、前記偏光子、前記透明保護フィルムを、この順番で積層した構成でもよい。
本発明の画像表示装置は、本発明の防眩性ハードコートフィルムを用いる以外は、従来の画像表示装置と同様の構成である。例えば、LCDの場合、液晶セル、偏光板等の光学部材、および必要に応じ照明システム(バックライト等)等の各構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むこと等により製造できる。
本発明の液晶表示装置は、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、パソコンモニター、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等である。
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例により制限されない。なお、下記実施例および比較例における各種特性は、下記の方法により評価または測定を行った。
(ヘイズ値)
へイズの測定方法は、JIS K7136(2000年版)のヘイズ(曇度)に準じ、ヘイズメーターHM−150((株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。
(表面凹凸形状測定および解析方法)
防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に、MATSUNAMI社製のガラス板(厚み1.3mm)を粘着剤で貼り合わせ、高精度微細形状測定器(商品名;サーフコーダET4000、(株)小坂研究所製)を用いて前記防眩性ハードコート層の表面形状を測定した。得られた粗さプロファイル(Fプロファイル)のうち2.18mm幅を4096(=212)分割したデータのフーリエ解析を、Microsoft社「Excel」を使用して実施し、得られたパワースペクトルの周期(周波数)を凹凸の基本パターンとみなし、その1/2(半分)を凸幅とし、1〜1000μmの範囲にてデータ解析を行った。振幅(凹凸の高さ)に相当するパワースペクトルについて、凸幅1〜1000μmにおける最大値を求めた。また微細凹凸と粗大凹凸の組み合わせの形状評価については、凸幅1μm以上15μm未満におけるパワースペクトルの最大値(a)と凸幅15〜1000μmにおけるパワースペクトルの最大値(b)との比率b/aを算出し、評価を行った。
(防眩性評価)
(1)防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に、黒色アクリル板(三菱レイヨン(株)製、厚み2.0mm)を粘着剤で貼り合わせ、裏面の反射をなくしたサンプルを作製した。
(2)一般的にディスプレイを用いるオフィス環境下(約1000Lx)にて上記で作製したサンプルの防眩性を目視にて判定した。
判定基準
AA:像の写り込みはあるが、視認性への影響は小さい。
A:像の写り込みはあるが、実用上問題はない。
B:像の写り込みがあり、実用上問題がある。
(ギラツキ評価)
防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面を、厚み1.3mmのガラス板に貼り合わせて測定サンプルとした。このサンプルを、バックライト(ハクバ写真産業(株)製、商品名「ライトビュワー5700」)上に置かれたマスクパターン上にセットした。前記マスクパターンとして、開口部60μm×200μm、縦線幅60μm、横線幅200μmの格子状パターン(212ppi)を用いた。前記マスクパターンから前記防眩性ハードコート層までの距離は、1.3mmとし、前記バックライトから前記マスクパターンまでの距離は1.5mmとした。そして、前記防眩性ハードコートフィルムのギラツキを下記判定基準で、目視により判定した。
判定基準
AAA:ギラツキがほとんど認められない。
AA:ギラツキはあるが、視認性への影響が小さいレベル。
A:ギラツキはあるが、実用上は問題がないレベル。
B:ギラツキがひどく、実用上問題があるレベル。
(白ボケ評価)
(1)防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に、黒色アクリル板(日東樹脂工業(株)製、厚み1.0mm)を粘着剤で貼り合わせ、裏面の反射をなくしたサンプルを作製した。
(2)一般的にディスプレイを用いるオフィス環境下(約1000Lx)にて、上記で作製したサンプルの平面に対し垂直方向を基準(0°)として60°の方向から見て、白ボケ現象を目視により観察し、下記の判定基準で評価した。
判定基準
AA:白ボケがほとんどない。
A:白ボケがあるが、視認性への影響は小さい。
B:白ボケが強く、視認性を著しく低下させる。
(透明プラスチックフィルム基材およびハードコート層の屈折率)
透明プラスチックフィルム基材およびハードコート層の屈折率は、アタゴ社製のアッベ屈折率計(商品名:DR−M2/1550)を用い、中間液としてモノブロモナフタレンを選択し、前記フィルム基材および前記ハードコート層の測定面に対して測定光を入射させるようにして、前記装置に示される規定の測定方法により測定を行った。
(微粒子の屈折率)
微粒子をスライドガラスの上に載せ、屈折率標準液を前記微粒子上に滴下し、カバーガラスを被せ試料を作製する。その試料を顕微鏡で観察し、微粒子の輪郭が屈折率標準液との界面で最も見え難くなる屈折率標準液の屈折率を微粒子の屈折率とした。
(微粒子の重量平均粒径)
コールターカウント法により、微粒子の重量平均粒径を測定した。具体的には、細孔電気抵抗法を利用した粒度分布測定装置(商品名:コールターマルチサイザー、ベックマン・コールター社製)を用い、微粒子が細孔を通過する際の微粒子の体積に相当する電解液の電気抵抗を測定することにより、微粒子の数と体積を測定し、重量平均粒径を算出した。
(防眩性ハードコート層の厚み)
(株)ミツトヨ製のマイクロゲージ式厚み計を用い、防眩性ハードコートフィルムの全体厚みを測定し、前記全体厚みから、透明プラスチックフィルム基材の厚みを差し引くことにより、防眩性ハードコート層の厚みを算出した。
(実施例1)
無機酸化物粒子と重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなるナノシリカ粒子(前記(B)成分)を分散させた、前記(A)成分を含むハードコート層形成材料(JSR(株)製、商品名「オプスターZ7540」、固形分:56重量%、溶媒:酢酸ブチル/メチルエチルケトン(MEK)=76/24)を準備した。前記ハードコート層形成材料は、(A)成分:ジペンタエリスリトールおよびイソホロンジイソシアネート系ポリウレタン、(B)成分:表面を有機分子により修飾したシリカ微粒子(重量平均粒径100nm以下)を、(A)成分合計:(B)成分=2:3の重量比で含有する。前記ハードコート層形成材料の硬化皮膜の屈折率は、1.485であった。前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、前記微粒子としてアクリルとスチレンの架橋粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「テクポリマーXX80AA」、重量平均粒径:5.5μm、屈折率:1.515)を5重量部、レベリング剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「GRANDIC PC−4100」)を0.1重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア127」)を0.5重量部混合した。この混合物を、固形分濃度が45重量%、酢酸ブチル/MEK比率が2/1となるように希釈して、防眩性ハードコート層形成材料を調製した。
透明プラスチックフィルム基材として、トリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム(株)製、商品名「TD80UL」、厚さ:80μm、屈折率:1.48)を準備した。前記透明プラスチックフィルム基材の片面に、前記防眩性ハードコート層形成材料を、コンマコータを用いて塗布して塗膜を形成した。ついで、100℃で1分間加熱することにより前記塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、前記塗膜を硬化処理して厚み9μmの防眩性ハードコート層を形成し、実施例1の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(実施例2)
前記混合物を、固形分濃度が45重量%、酢酸ブチル/MEK比率が3/1となるように希釈したこと以外は実施例1と同様な方法にて、実施例2の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(実施例3)
前記微粒子として、アクリルとスチレンの架橋粒子である、「テクポリマーXX79AA」(積水化成品工業(株)製、重量平均粒径:5.5μm、屈折率:1.505)を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、実施例3の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(実施例4)
実施例1の防眩性ハードコート層形成材料を用い、厚み11μmの防眩性ハードコート層を形成した以外は、実施例1と同様な方法にて、実施例4の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(実施例5)
ハードコート層形成材料として、下記に示す成分を含む樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「GRANDIC PC1071」、固形分:66重量%)を準備した。前記ハードコート層形成材料の硬化皮膜の屈折率は、1.52であった。前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、アクリル粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「SSX−106」、重量平均粒径:6.0μm、屈折率:1.49)を15重量部、レベリング剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「GRANDIC PC−4100」)を0.5重量部混合した。前記アクリル粒子のアスペクト比は、ほとんどが1.05であった。この混合物を、固形分濃度が35重量%となるように、混合溶媒(酢酸ブチル:酢酸エチル=58:42(重量比))を用いて希釈して、防眩性ハードコート層形成材料を調製した。なお、前記レベリング剤は、ジメチルシロキサン:ヒドロキシプロピルシロキサン:6−イソシアネートヘキシルイソシアヌル酸:脂肪族ポリエステル=6.3:1.0:2.2:1.0のモル比で共重合させた共重合物である。
(D)成分:ペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートから
なるウレタンアクリレート(100重量部)
(E)成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(49重量部)、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(41重量部)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(24重量部)
(F)成分:前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーおよびコポリマーの混合物(59重量部)
光重合開始剤:商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)(5重量部)
混合溶媒:酢酸ブチル:酢酸エチル(重量比)=89:11
前記透明プラスチックフィルム基材の片面に、前記防眩性ハードコート層形成材料を、バーコーターを用いて塗布して塗膜を形成した。ついで、100℃で1分間加熱することにより前記塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、前記塗膜を硬化処理して厚み11μmの防眩性ハードコート層を形成し、実施例5の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(比較例1)
実施例1の防眩性ハードコート層形成材料を用い、厚み15μmの防眩性ハードコート層を形成した以外は、実施例1と同様な方法にて、比較例1の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(比較例2)
前記実施例1の混合物を、固形分濃度が45重量%、酢酸ブチル/MEK比率が5/1となるように希釈したこと以外は実施例1と同様な方法にて、比較例2の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(比較例3)
前記微粒子として、アクリルとスチレンの架橋粒子である、「テクポリマーXX94AA」(積水化成品工業(株)製、重量平均粒径:6.0μm、屈折率:1.495)を用いた以外は、実施例1と同様な方法にて、比較例3の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(比較例4)
実施例1において、アクリルとスチレンの架橋粒子の混合量を、前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり15重量部とした以外は、実施例1と同様な方法にて、比較例4の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(比較例5)
ハードコート層形成材料として、下記に示す成分を含む樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「GRANDIC PC1097」、固形分:66重量%)を準備した。前記ハードコート層形成材料の硬化皮膜の屈折率は、1.53であった。前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、アクリル粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「SSX−108TNL」、重量平均粒径:8μm、屈折率:1.495)を20重量部、レベリング剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「GRANDIC PC−F479」)を0.1重量部混合した。この混合物を、固形分濃度が55重量%となるように、酢酸エチルを用いて希釈して、防眩性ハードコート層形成材料を調製した。
イソホロンジイソシアネート系ウレタンアクリレート(100重量部)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(38重量部)、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(40重量部)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(15.5重量部)
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー、コポリマーまたは前記ポリマーおよびコポリマーの混合物(30重量部)
光重合開始剤;商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)1.8重量部、および、ルシリン型光重合開始剤5.6重量部
混合溶媒;酢酸ブチル:酢酸エチル(重量比)=3:4
前記透明プラスチックフィルム基材の片面に、前記防眩性ハードコート層形成材料を、コンマコータを用いて塗布して塗膜を形成した。ついで、100℃で1分間加熱することにより前記塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、前記塗膜を硬化処理して厚み24μmの防眩性ハードコート層を形成し、比較例5の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(比較例6)
ハードコート層形成材料として、イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびイソホロンジイソシアネートポリウレタンからなる紫外線硬化型樹脂を準備した。前記ハードコート層形成材料の硬化皮膜の屈折率は、1.53であった。前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、レベリング剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「ディフェンサMCF323」)0.5重量部、ポリスチレン粒子(綜研化学(株)製、商品名「ケミスノーSX350H」、重量平均粒径:3.5μm、屈折率:1.59)14重量部および光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア184」)5重量部を、固形分濃度が45重量%になるように混合溶媒(トルエン:酢酸ブチル:酢酸エチル=86.5:1.0:12.5(重量比))に溶解ないし分散させて、防眩性ハードコート層形成材料を調製した。
前記透明プラスチックフィルム基材の片面に、前記防眩性ハードコート層形成材料を、コンマコータを用いて塗布して塗膜を形成した。ついで、100℃で1分間加熱することにより前記塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、前記塗膜を硬化処理して厚み5μmの防眩性ハードコート層を形成し、比較例6の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(比較例7)
アクリルとスチレンの架橋粒子として、「テクポリマーXX94AA」(積水化成品工業(株)製、重量平均粒径:6.0μm、屈折率:1.495)を用い、混合量を、前記比較例7のハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり10重量部とし、厚み10μm防眩性ハードコート層を形成した以外は、比較例6と同様な方法にて、比較例7の防眩性ハードコートフィルムを得た。
(比較例8)
ハードコート層形成材料として、イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびイソホロンジイソシアネートポリウレタンからなる紫外線硬化型樹脂を準備した。前記ハードコート層形成材料の硬化皮膜の屈折率は、1.53であった。前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、レベリング剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「メガファックF−470N」)0.5重量部、不定形シリカ粒子(富士シリシア化学(株)製、商品名「サイロホービック702」、重量平均粒径:2.5μm、屈折率:1.46)8重量部および光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア184」)5重量部を、固形分濃度が38重量%になるように混合溶媒(トルエン:酢酸ブチル=85:15(重量比))に溶解ないし分散させて、防眩性ハードコート層形成材料を調製した。
前記透明プラスチックフィルム基材の片面に、前記防眩性ハードコート層形成材料を、コンマコータを用いて塗布して塗膜を形成した。ついで、100℃で1分間加熱することにより前記塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、前記塗膜を硬化処理して厚み5μmの防眩性ハードコート層を形成し、比較例8の防眩性ハードコートフィルムを得た。
このようにして得られた実施例1〜5および比較例1〜8の各防眩性ハードコートフィルムについて、各種特性を測定若しくは評価した。その結果を、図1〜図13および下記表1に示す。
Figure 2013047821
前記表1に示すように、実施例においては、防眩性、ギラツキおよび白ボケのすべてについて、良好な結果が得られた。一方、比較例においては、防眩性、ギラツキおよび白ボケの一部については良好な結果が得られてはいるものの、すべての特性について良好なものは得られなかった。本発明において規定したヘイズ値、パワースペクトルの最大値、b/aを測定することで、目視評価をすることなく防眩性、ギラツキおよび白ボケ等の視認性の傾向を把握することが可能であることがわかる。
図1〜図13は前記実施例および比較例で得られた防眩性ハードコートフィルムのパワースペクトルのプロファイルである。前記実施例で得られた防眩性ハードコートフィルムにおいては、前記比較例で得られた防眩性ハードコートフィルムに比べて、微細凹凸から粗大凹凸にかけて広く分布があって、凸幅に対するパワースペクトルの値の分布がなだらかにある。前記実施例のようなパワースペクトルを有する防眩性ハードコートフィルムは、凹凸がバランスよく存在することで防眩性と白ボケ防止とを両立でき、さらに、所定のヘイズ値を満たすことにより、防眩性ハードコートフィルムとして良好に用いることができることがわかる。
本発明の防眩性ハードコートフィルムによると、相反する課題であった高コントラスト化、防眩性確保、白ボケ防止、高精細対応のすべてを解決することが可能となる。したがって、本発明の防眩性ハードコートフィルムは、例えば、偏光板等の光学部材、液晶パネルおよびLCD等の画像表示装置に好適に使用でき、その用途は制限されず、広い分野に適用可能である。また、本発明の防眩性ハードコートフィルムの評価方法は、前記フィルムの簡便な表示特性評価として、例えば、開発過程、製造工程等において適用可能である。


本発明は、防眩性ハードコートフィルム、それを用いた偏光板、画像表示装に関する。
そこで、本発明は、高精細化・高コントラスト化が進むLCD等の画像表示装置の特性を落とすことなく視認性を向上させる防眩性ハードコートフィルムを提供することを目的とする。すなわち、優れた防眩性を有し、かつ低へイズ値で高精細に対応でき、斜め方向からの白ボケを防止して、黒表示時における黒の濃さの向上をすることができる防眩性ハードコートフィルム、それを用いた偏光板および画像表示装置の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の防眩性ハードコートフィルムは、透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、微粒子を含有する防眩性ハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムであって、
前記防眩性ハードコート層は、前記微粒子と、下記の(A)成分および(B)成分とを含むハードコート層形成材料を用いて形成されており、

(A)成分:アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物
(B)成分:無機酸化物粒子と重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなる粒子

前記ハードコート層形成材料において、前記(A)成分100重量部に対し、前記(B)成分が、100〜200重量部の範囲で含まれており、前記ハードコート層形成材料100重量部に対して、前記微粒子が3〜10重量部の範囲で含まれており、前記ハードコート層形成材料と前記微粒子との屈折率の差が0.01〜0.04の範囲であり、前記微粒子として、重量平均粒径が0.5〜8μmの範囲である球状もしくは不定形の微粒子を1種類以上含み、前記防眩性ハードコート層の厚みが、前記微粒子の重量平均粒径の1.2〜3倍の範囲であり、前記防眩性ハードコートフィルムのへイズ値が5〜30%の範囲にあり、防眩性ハードコート層表面の凹凸形状をフーリエ解析して得られる凹凸周期において、下記凸幅1〜1000μmの範囲にあるパワースペクトルの最大値が0.05以上0.15未満にあり、かつ、下記凸幅1μm以上15μm未満におけるパワースペクトルの最大値(a)と下記凸幅15〜1000μmにおけるパワースペクトルの最大値(b)との比率b/aが2.5以下であることを特徴とする。
凸幅:得られたパワースペクトルの周期(周波数)の1/2の値(μm)
図1は、実施例1の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図2は、実施例2の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図3は、実施例3の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図4は、実施例4の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図5は、参考例1の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図6は、比較例1の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図7は、比較例2の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図8は、比較例3の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図9は、比較例4の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図10は、比較例5の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図11は、比較例6の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図12は、比較例7の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。 図13は、比較例8の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のパワースペクトルを示したプロファイルである。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記防眩性ハードコート層が、前記微粒子と、下記の(A)成分および(B)成分を含むハードコート層形成材料とを用いて形成される。
(A)成分:アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物
(B)成分:無機酸化物粒子と重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなる粒子
前記ハードコート層形成材料において、前記(A)成分100重量部に対し、前記(B)成分が、100〜200重量部の範囲で含まれる。
前記ハードコート層形成材料と前記微粒子との屈折率の差が0.01〜0.04の範囲であり、前記微粒子として、重量平均粒径が0.5〜8μmの範囲である球状もしくは不定形の微粒子を1種類以上含み、前記ハードコート層形成材料100重量部に対して、前記微粒子が3〜10重量部の範囲で含まれる。
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記防眩性ハードコート層の厚みが、前記微粒子の重量平均粒径の1.2〜3倍の範囲である。
前記防眩性ハードコート層は、前記微粒子および前記ハードコート層形成材料を用いて形成される。前述のように、前記ハードコート層形成材料は、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線や光で硬化する電離放射線硬化性樹脂があげられる。前記ハードコート層形成材料として、市販の熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂等を用いることも可能であるが、前記ハードコート層形成材料は、下記の(A)成分および(B)成分を含む。
前記(B)成分の配合量は、前記(A)成分100重量部に対し、100〜200重量部の範囲である。前記(B)成分の配合量を100重量部以上とすることで、防眩性ハードコートフィルムのカールおよび折れの発生を、より効果的に防止でき、200重量部以下とすることで、耐擦傷性や鉛筆硬度を高いものとすることができる。前記(B)成分の配合量は、前記(A)成分100重量部に対し、より好ましくは、100〜150重量部の範囲である。
前記微粒子の配合割合は、前記ハードコート層形成材料100重量部に対し、3〜10重量部の範囲であり、好ましくは、5〜10重量部の範囲である。
前記防眩性ハードコート層の厚みは、前記微粒子の重量平均粒径の1.2〜3倍の範囲であり、好ましくは1.2〜2倍の範囲である。さらに、前記防眩性ハードコート層の厚みは、塗工性および鉛筆硬度の観点から、8〜12μmの範囲であることが好ましく、この厚み範囲になるように前記微粒子の重量平均粒径を調整することが好ましい。前記厚みが前記所定の範囲であれば、微細な凹凸が独立に多数存在する本発明の防眩性ハードコートフィルムの表面形状を実現しやすく、前記防眩性ハードコート層の硬度も十分なものとなる(例えば、鉛筆硬度で4H以上)。また、前記厚みが前記所定の範囲より大きいときは、カールが大きく塗工時のライン走行性が低下するという問題があり、さらに防眩性の低下の問題もある。また、前記厚みが前記所定の範囲より小さい場合は、ギラツキが防止できず、鮮明性が低下するという問題がある。
表面凹凸形状は、厳密には「波」ではなく、フーリエ解析は一般的なものではない。しかし、フーリエ解析を用いて表面凹凸形状から表示特性を評価することは、防眩性ハードコートフィルムの特性評価においては非常に有効な手段である。
参考例1
ハードコート層形成材料として、下記に示す成分を含む樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「GRANDIC PC1071」、固形分:66重量%)を準備した。前記ハードコート層形成材料の硬化皮膜の屈折率は、1.52であった。前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、アクリル粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「SSX−106」、重量平均粒径:6.0μm、屈折率:1.49)を15重量部、レベリング剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「GRANDIC PC−4100」)を0.5重量部混合した。前記アクリル粒子のアスペクト比は、ほとんどが1.05であった。この混合物を、固形分濃度が35重量%となるように、混合溶媒(酢酸ブチル:酢酸エチル=58:42(重量比))を用いて希釈して、防眩性ハードコート層形成材料を調製した。なお、前記レベリング剤は、ジメチルシロキサン:ヒドロキシプロピルシロキサン:6−イソシアネートヘキシルイソシアヌル酸:脂肪族ポリエステル=6.3:1.0:2.2:1.0のモル比で共重合させた共重合物である。
(D)成分:ペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートからなるウレタンアクリレート(100重量部)
(E)成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(49重量部)、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(41重量部)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(24重量部)
(F)成分:前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーおよびコポリマーの混合物(59重量部)
光重合開始剤:商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)(5重量部)
混合溶媒:酢酸ブチル:酢酸エチル(重量比)=89:11
前記透明プラスチックフィルム基材の片面に、前記防眩性ハードコート層形成材料を、バーコーターを用いて塗布して塗膜を形成した。ついで、100℃で1分間加熱することにより前記塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、前記塗膜を硬化処理して厚み11μmの防眩性ハードコート層を形成し、参考例1の防眩性ハードコートフィルムを得た。
このようにして得られた実施例1〜4、参考例1、および比較例1〜8の各防眩性ハードコートフィルムについて、各種特性を測定若しくは評価した。その結果を、図1〜図13および下記表1に示す。
Figure 2013047821

Claims (13)

  1. 透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、微粒子を含有する防眩性ハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムであって、前記防眩性ハードコートフィルムのへイズ値が5〜30%の範囲にあり、防眩性ハードコート層表面の凹凸形状をフーリエ解析して得られる凹凸周期において、下記凸幅1〜1000μmの範囲にあるパワースペクトルの最大値が0.05以上0.15未満にあり、かつ、下記凸幅1μm以上15μm未満におけるパワースペクトルの最大値(a)と下記凸幅15〜1000μmにおけるパワースペクトルの最大値(b)との比率b/aが2.5以下であることを特徴とする防眩性ハードコートフィルム。
    凸幅:得られたパワースペクトルの周期(周波数)の1/2の値(μm)
  2. 前記防眩性ハードコート層が、前記微粒子と、下記の(A)成分および(B)成分を含むハードコート層形成材料とを用いて形成されている、請求項1記載の防眩性ハードコートフィルム。
    (A)成分:アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物
    (B)成分:無機酸化物粒子と重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなる粒子
  3. 前記(B)成分の重量平均粒径が、200nm以下である、請求項2記載の防眩性ハードコートフィルム。
  4. 前記(B)成分において、無機酸化物粒子が、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種の粒子を含む、請求項2または3記載の防眩性ハードコートフィルム。
  5. 前記ハードコート層形成材料において、前記(A)成分100重量部に対し、前記(B)成分が、100〜200重量部の範囲で含まれている、請求項2から4のいずれか一項に記載の防眩性ハードコートフィルム。
  6. 前記ハードコート層形成材料と前記微粒子との屈折率の差が0.01〜0.04の範囲であり、前記微粒子として、重量平均粒径が0.5〜8μmの範囲である球状もしくは不定形の微粒子を1種類以上含み、前記ハードコート層形成材料100重量部に対して、前記微粒子が3〜10重量部の範囲で含まれている、請求項1から5のいずれか一項に記載の防眩性ハードコートフィルム。
  7. 前記防眩性ハードコート層の厚みが、前記微粒子の重量平均粒径の1.2〜3倍の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の防眩性ハードコートフィルム。
  8. 前記防眩性ハードコート層の上に反射防止層が形成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の防眩性ハードコートフィルム。
  9. 偏光子および防眩性ハードコートフィルムを有する偏光板であって、前記防眩性ハードコートフィルムが、請求項1から8のいずれか一項に記載の防眩性ハードコートフィルムであることを特徴とする偏光板。
  10. 防眩性ハードコートフィルムまたは偏光板を備える画像表示装置であって、前記ハードコートフィルムが請求項1から8のいずれか一項に記載の防眩性ハードコートフィルムであり、前記偏光板が請求項9記載の偏光板であることを特徴とする画像表示装置。
  11. 防眩性ハードコートフィルムの評価方法であって、防眩性ハードコート層表面の凹凸形状をフーリエ解析して凹凸周期を得、その凹凸周期において、下記で定義されるAとBの値を用いて防眩性ハードコートフィルムの表示特性を評価することを特徴とする防眩性ハードコートフィルムの評価方法。
    A:下記凸幅1〜1000μmの範囲にあるパワースペクトルの最大値
    B:下記凸幅1μm以上15μm未満におけるパワースペクトルの最大値(a)と下記
    凸幅15〜1000μmにおけるパワースペクトルの最大値(b)との比率b/a
    凸幅:得られたパワースペクトルの周期(周波数)の1/2の値(μm)
  12. 前記凸幅1〜1000μmの範囲にあるパワースペクトルの最大値が0.05以上0.15未満の範囲であるか否か、および、前記b/aが2.5以下であるか否かを判断する、請求項11記載の防眩性ハードコートフィルムの評価方法。
  13. 防眩性ハードコートフィルムの評価工程を含む防眩性ハードコートフィルムの製造方法であって、前記評価工程は表示特性の評価方法を含み、前記表示特性の評価方法が請求項11または12記載の評価方法により実施されることを特徴とする防眩性ハードコートフィルムの製造方法。

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